JPH0933431A - 炭酸ガス検出器および炭酸ガス検出方法 - Google Patents

炭酸ガス検出器および炭酸ガス検出方法

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JPH0933431A
JPH0933431A JP18153295A JP18153295A JPH0933431A JP H0933431 A JPH0933431 A JP H0933431A JP 18153295 A JP18153295 A JP 18153295A JP 18153295 A JP18153295 A JP 18153295A JP H0933431 A JPH0933431 A JP H0933431A
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JP
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carbon dioxide
wavelength
ceramic heater
infrared
radiation
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JP18153295A
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Inventor
Masamichi Yamada
正通 山田
Hideaki Yagi
秀明 八木
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Niterra Co Ltd
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭酸ガス検出器の検出精度や出力の安定性を
向上させる。 【解決手段】 セラミックヒータ10から放射された赤
外線中で波長4.3μm付近の赤外線は気体容器22内
の炭酸ガスにより吸収され、その放射強度が低下する。
波長3.9μmの赤外線は炭酸ガスによる吸収は受けな
い。光学フィルタ30a、30bで濾波された、波長
4.3μmと波長3.9μmの赤外線の放射強度に基づ
いては気体容器22内の炭酸ガスの濃度が算出される。
セラミックヒータ10の放射強度分布は、炭酸ガスの赤
外線吸収スペクトルを含む、2μm〜50μmの波長領
域でブロードであり、炭酸ガスの赤外線吸収スペクトル
付近の波長領域で十分な放射強度を有するので、炭酸ガ
ス検出器20の検出精度および出力の安定性は向上され
る。また、波長50μm付近の赤外線放射は浮遊物や水
分等の除去に有効で、検出精度を一層向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭酸ガスによる赤外線
吸収を利用して炭酸ガスの濃度を検出する炭酸ガス検出
器に関する。
【0002】
【従来の技術】赤外線を利用して気体中の炭酸ガス濃度
を検出する方法としては、炭酸ガスの共鳴放射によって
放出される赤外線の強度に基づいて測定対象気体の炭酸
ガス濃度を算出するものと、測定対象気体に赤外線を照
射してその気体中の炭酸ガスによる赤外線吸収に基づい
て炭酸ガス濃度を算出するものが知られており、前者の
例として特開平1−113635号公報に開示される炭
酸ガス検知器がある。
【0003】前者の共鳴放射を利用する方法では、図5
に示されるように、炭酸ガスから放射される赤外線のピ
ーク波長の放射強度を第1の放射強度として検出する。
この第1の放射強度には、炭酸ガスの放射ではない外来
の赤外線(バックグランドノイズ)が含まれているの
で、第1の放射強度だけでは炭酸ガス濃度を正確に検出
できない。そこで、炭酸ガスの共鳴放射の波長領域外
で、かつこの波長領域に近い波長の赤外線の放射強度を
第2の放射強度として検出する。この第2の放射強度に
はバックグランドノイズのみが含まれており、しかもバ
ックグランドノイズは炭酸ガスの共鳴放射に比べてブロ
ードな放射強度分布をしているので、第2の放射強度を
バックグランドノイズの放射強度とみて差し支えない。
したがって、第1の放射強度から第2の放射強度を引い
た残りが共鳴放射の放射強度に対応することになり、こ
れは炭酸ガス濃度に比例している。
【0004】しかし、光学系を含む検出器の感度は、検
出器毎にばらつきがあったり、同じ検出器でも経時変化
が大きく、上述のように検出された放射強度を絶対値と
して扱うには問題があった。このため、予め既知の炭酸
ガス濃度のサンプル気体を使用して検出器の感度を校正
してから、改めて測定対象の気体の炭酸ガス濃度を検出
するという、煩雑な手順が要求されていた。
【0005】また、安定した共鳴放射を得るには、測定
対象の気体を例えば200℃程度に保つことが要求さ
れ、ヒータ等で気体容器を加熱し続ける必要があった。
一方、後者の赤外線吸収を利用する方法では、図6
(a)に例示される構成の装置が使用される。この装置
は、炭酸ガスの赤外線吸収スペクトルの波長領域におい
てロードな放射強度分布を有する発光源、発光源からの
赤外線を透過させる気体容器(光路長:L)、炭酸ガス
の赤外線吸収スペクトルで最大の吸収値となる波長(約
4.3μm)近傍の波長の赤外線のみを通過させる第1
の光学フィルタ、炭酸ガスの赤外線吸収スペクトルから
は外れていて且つなるべく近い波長領域の赤外線を通過
させる第2の光学フィルタ、第1、第2の光学フィルタ
の下流側に配置される検出器を備えている。
【0006】気体容器に測定対象の気体を封入または導
入して発光源から赤外線を照射すると、炭酸ガスの赤外
線吸収スペクトルの波長領域では測定対象の気体に含ま
れる炭酸ガスの濃度に応じて赤外線が吸収される。した
がって、気体容器を通過した赤外線においては、図6
(b)に示されるように、炭酸ガスの赤外線吸収スペク
トルの波長領域で放射強度が低下する。これを第1の光
学フィルタを介して検出器で検出すれば、第1の検出強
度が得られる。また、第2の光学フィルタを介在させて
検出器を作動させれば、第2の検出強度が得られる。そ
こで、第2の検出強度から第1の検出強度を引いた検出
強度の差は、炭酸ガスの吸収による強度低下に対応する
ことになり、これは炭酸ガスの濃度に比例している。
【0007】さらに、発光源をOFFにしたときの検出
器の検出強度(バックグランドノイズに相当する)を第
3の検出強度とすれば、第2の検出強度から第3の検出
強度を引くことで発光源の放射強度が得られる。検出器
の絶対精度は前述のように低いのであるが相対精度は高
いので、発光源の放射強度と上述の検出強度の差との相
対的な強度関係、すなわち強度比は検出器の個体差や経
時変化に依存することなく正確に得られる。また、この
強度比と炭酸ガスの濃度との間には、およそ下記の
(1)式の関係が成り立つことが知られている。
【0008】
【数1】
【0009】この式に従えば、放射強度や検出強度の絶
対値によらずに炭酸ガス濃度を検出できるので、検出器
の感度の校正は不要となる。また、その構成から、測定
対象の気体を加熱する必要もない。したがって、赤外線
吸収を利用する方法では、これらの点で、共鳴放射を利
用する方法に優っているといえる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】赤外線吸収を利用する
炭酸ガスの濃度検出方法は、このように優れているので
あるが、まったく問題がないわけではなかった。従来技
術の説明で述べたことから明かではあるが、発光源に
は、 (1)その放射強度は、炭酸ガスの赤外線吸収スペクト
ルを含む波長領域でブロードな分布であること。 (2)炭酸ガスの赤外線吸収スペクトル付近の波長領域
で十分な放射強度を有すること。 が要求されることになる。
【0011】ところで、従来発光源として使用されてい
た赤外線ランプ(タングステンランプやハロゲンラン
プ)の放射強度は、図4に示すように、3μm以上の波
長領域ではきわめて小さくなっている。発光源の放射強
度分布は発光源の温度に依存しているから、赤外線ラン
プの発熱温度を低くすれば放射強度分布を長波長側にシ
フトさせることはできるのであるが、そうすると絶対的
な発光強度が低下するので、目的の波長領域(例えば3
μm〜5μm)で十分な放射強度を得られないことにな
ってしまう。つまり、従来の赤外線ランプは、赤外線吸
収を利用する炭酸ガス濃度の検出に使用するには、上記
(1)、(2)の特性を満たしていなかった。したがっ
て、このような赤外線ランプを使用する従来の炭酸ガス
検出器では、検出する赤外線(例えば波長3μm〜5μ
m)の強度がきわめて低くなり、検出精度や出力の安定
性の面で十分とはいえなかった。
【0012】本発明は、目的の赤外線波長領域において
十分な強度とブロードな放射強度分布を有する発光源を
備えることにより、検出精度や出力の安定性を向上させ
た炭酸ガス検出器を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、請求項1記載の炭酸ガス検出器は、赤外
線発光源と、炭酸ガスの赤外線吸収スペクトルで最大の
吸収値となる波長近傍の波長の赤外線を透過させる第1
の光学フィルタと、前記赤外線吸収スペクトルの波長領
域に隣接する波長領域の赤外線を透過させる第2の光学
フィルタと、前記赤外線発光源と前記第1および第2の
光学フィルタとの間に配置される気体容器と、前記第1
の光学フィルタを透過した赤外線の放射強度に応じたサ
ンプル信号並びに前記第2の光学フィルタを透過した赤
外線の放射強度に応じたリファレンス信号を出力する光
電変換手段と、前記サンプル信号とリファレンス信号と
を演算処理して前記気体容器内の炭酸ガス濃度に対応す
る濃度信号とする演算手段とを備える炭酸ガス検出器に
おいて、前記赤外線発光源としてセラミックヒータを設
けたことを特徴とする。
【0014】請求項2記載の炭酸ガス検出器は、請求項
1記載の炭酸ガス検出器において、前記セラミックヒー
タは平面状の放射面を有することを特徴とする。請求項
3記載の炭酸ガス検出器は、請求項1または2記載の炭
酸ガス検出器において、前記セラミックヒータの放射強
度分布は、波長2μmないし波長50μmの領域を含む
ことを特徴とする。
【0015】請求項4記載の炭酸ガス検出器は、請求項
3記載の炭酸ガス検出器において、前記セラミックヒー
タの放射強度分布は、最大の放射強度を有する波長領域
が波長2μmないし波長50μmの領域内に存在し、且
つ波長2μmおよび波長50μmにおける放射強度が前
記最大の放射強度の40%以上であることを特徴とす
る。
【0016】請求項5記載の炭酸ガス検出方法は、請求
項1ないし4のいずれか記載の炭酸ガス検出器を使用し
て炭酸ガス濃度を検出するに当たって、前記セラミック
ヒータの制御温度を400℃から800℃の範囲とする
ことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】上記の構成になる請求項1記載の
炭酸ガス検出器においては、赤外線発光源としてセラミ
ックヒータを設けている。セラミックヒータは、物性的
に赤外領域に強い放射強度分布を持つので、(1)その
放射強度は、炭酸ガスの赤外線吸収スペクトルを含む波
長領域でブロードな分布であり、(2)炭酸ガスの赤外
線吸収スペクトル付近の波長領域で十分な放射強度を有
するという、赤外線吸収を利用する炭酸ガス検出器の発
光源に要求される特性を良好に満たすことができ、これ
を使用する炭酸ガス検出器の検出精度および出力の安定
性を向上させることができる。
【0018】請求項2記載の炭酸ガス検出器において
は、セラミックヒータは平面状の放射面を有するので、
放射面に対して垂直な方向への放射指向性を持つ。した
がって、気体容器に放射面を対面させれば、放射強度を
向上させることができ、炭酸ガス検出器の検出精度およ
び出力の安定性を一層向上させることができる。
【0019】請求項3記載の炭酸ガス検出器において
は、セラミックヒータの放射強度分布は、波長2μmな
いし波長50μmの領域を含んでいる。例えば波長2μ
m〜5μm付近の赤外線放射が必要となるのは装置の用
途から当然である。一方、放射強度分布が波長50μm
までの波長領域を含んでいると有利な理由は次のとおり
である。例えば大気中を浮遊する有機物や水分等が、測
定対象の気体と共に気体容器に侵入したり、気体容器の
壁面等に付着していると、測定上の外乱となることがあ
る。このような浮遊物や水分は波長50μm付近に吸収
領域を持っているので、波長50μm付近の赤外線を照
射することで、これらを加熱して除去することができ
る。その結果、炭酸ガス検出器の検出精度が向上され
る。なお、外乱となる有機物や水分等が存在しないか、
きわめて少ない気体を測定対象とする場合には、セラミ
ックヒータの放射強度分布は、波長2μm〜5μm付近
の領域、好ましくは波長2μm〜10μmの領域を含ん
でいれば十分といえる。
【0020】さらに、請求項4記載のように、セラミッ
クヒータの放射強度分布を、最大の放射強度を有する波
長領域が波長2μmないし波長50μmの領域内に存在
し、且つ波長2μmおよび波長50μmにおける放射強
度が最大の放射強度の40%以上とすれば、バックグラ
ンドノイズによる検出精度の低下を良好に防止でき、外
乱除去効果を一層高めることができる。したがって、炭
酸ガス検出器の検出精度をさらに向上できる。
【0021】ただし、上記の条件をわずかに外れたから
といって、請求項3または4に記載の構成による検出精
度の向上が期待できなくなるわけではない。請求項5記
載の炭酸ガス検出方法は、請求項1ないし4のいずれか
記載の炭酸ガス検出器を使用して炭酸ガス濃度を検出す
るに当たって、セラミックヒータの制御温度を400℃
から800℃の範囲としている。これは、制御温度が4
00℃に満たないと所期の赤外線放射が得られない場合
があり、800℃を越えるとセラミックヒータの耐久性
を損なうおそれがあることにもよるが、この制御温度と
すると、請求項3または4に記載の放射強度分布を良好
に実現できることにもよる。また、セラミックヒータの
制御温度を、400℃から600℃の範囲とすると、セ
ラミックヒータの劣化が少なく、より長期の使用が可能
となる。したがって、セラミックヒータの制御温度は、
400℃から600℃の範囲がより好ましい。
【0022】なお、セラミックヒータは、セラミックの
基材に導電層を積層した形態や、さらにこの導電層をセ
ラミックで被覆したサンドイッチ状等が例示され、導電
層に通電することによってセラミックヒータが加熱され
る。セラミックとしてはアルミナ、窒化アルミ、窒化珪
素、炭化珪素等が例示され、導電層としては白金やタン
グステン等の金属が例示されるが、セラミック、導電層
ともこれらに限定されるものではない。また、セラミッ
クヒータの表面粗度は、最大で5μm(RZ)が望まし
く、これより小さい例えば0.3〜0.5μm(Ra)
が更に好ましいが、これらに限定されるわけではない。
【0023】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。実施例で
使用するセラミックヒータ10は、厚さ0.4mmのア
ルミナ(Al 23)シート上に白金(Pt)ペーストを
スクリーン印刷し、白金層上に前記と同様のアルミナシ
ートを積層した後、樹脂抜き、焼成を行い、白金層に白
金のリード線を結線して製作された。図1に示すよう
に、このセラミックヒータ10のサイズは2x2x
t0.5mm で、アルミナ層の表面が発光面10aとな
っている。
【0024】このセラミックヒータ10の500℃にお
ける放射強度分布は、図4に示されるように波長1μm
〜波長50μmの範囲でブロードであり、波長2μmの
放射強度は最大の放射強度(波長23μm付近)に対し
て40%を越えており、波長50μmの放射強度は最大
の放射強度に対して80%を越えている。
【0025】このセラミックヒータ10を装着する炭酸
ガス検出器20の構造を、図2に従って説明する。本発
明の赤外線発光源としてのセラミックヒータ10は、直
方体状の気体容器22の一方の端24a側において、発
光面10aを気体容器22内に想定される濃度検出用赤
外線の光路22aに対して垂直として設置されている。
気体容器22は、一方の端24a側から他方の端24b
側へと赤外線が通過可能である。また気体容器22に
は、一対の取入出口26a、26bが設けられており、
取入出口26a、26bを介して気体容器22の内部2
8に気体を注入、排出できる。
【0026】気体容器22の、セラミックヒータ10と
対向する端24b側には、波長4.3μmの赤外線を透
過させ他の波長の光を吸収する光学フィルタ30aと波
長3.9μmの赤外線を透過させ他の波長の光を吸収す
る光学フィルタ30bとが並置されている。この光学フ
ィルタ30aは本発明の第1の光学フィルタに相当し、
光学フィルタ30bは本発明の第2の光学フィルタに相
当している。
【0027】また、光学フィルタ30aの下流側には焦
電素子32aが設置され、光学フィルタ30bの下流側
には焦電素子32bが設置されている。焦電素子32a
は光学フィルタ30aを透過した光を受光可能、焦電素
子32bは光学フィルタ30bを透過した光を受光可能
で、それぞれ受光量に応じたレベルの電気信号を出力す
ることができる。つまり、焦電素子32a、32bが、
本発明の光電変換手段に相当している。
【0028】焦電素子32aの出力信号は、サンプル信
号Sとしてプリアンプ34a、ロックインアンプ36a
にて増幅された後、演算回路38に入力される。同様
に、焦電素子32bの出力信号は、リファレンス信号R
としてプリアンプ34b、ロックインアンプ36bにて
増幅された後、演算回路38に入力される。演算回路3
8は、サンプル信号Sとリファレンス信号Rとに所定の
処理を施して濃度信号Oとすることができる。このこと
から明かなように、演算回路38が本発明の演算手段に
相当している。
【0029】また、ロックインアンプ36bの出力信号
は、コントローラ40へも入力され、セラミックヒータ
10のON/OFFを検知するための信号として使用さ
れる。このコントローラ40には、セラミックヒータ1
0に駆動電流を供給する駆動回路42が接続されてお
り、コントローラ40はセラミックヒータ10への駆動
電流の供給を制御することができる。なお、コントロー
ラ40に設けられている入力用のパネル44により、セ
ラミックヒータ10に供給される駆動電流量、その供給
継続時間(ON時間)、供給停止時間(OFF時間)等
を設定できる。
【0030】次に、このような構成になる炭酸ガス検出
器20を使用して任意の気体中の炭酸ガス濃度を検出す
る場合について説明する。まず測定対象の気体を例えば
取入出口26bから気体容器22の内部28に導入す
る。次に炭酸ガス検出器20を稼動させると、コントロ
ーラ40の指令により、駆動回路42はセラミックヒー
タ10に予め設定した通電時間t1(図3参照)だけ電
流を供給する。これによりセラミックヒータ10は、例
えば約500℃まで加熱される。なお、このセラミック
ヒータ10に供給される電流はパルス電流であるので、
正確には、きわめて小刻みなON/OFFが繰り返され
ていることになる。
【0031】セラミックヒータ10の加熱により発光面
10aから放射された赤外線は、気体容器22の内部2
8を進行する。この際、波長4.3μm付近の赤外線
は、炭酸ガスにより吸収さるが、波長3.9μmの赤外
線は、炭酸ガスの赤外線吸収スペクトル域から外れてい
るので、炭酸ガスによる吸収は受けない。
【0032】気体容器22の内部28を通過した赤外線
は光学フィルタ30a、30bに至り、ここで濾波され
る。光学フィルタ30aを透過した波長4.3μmの赤
外線は焦電素子32aに入射し、光学フィルタ30bを
透過した波長3.9μmの赤外線は焦電素子32bに入
射する。焦電素子32a、32bは受光量に応じたレベ
ルの電気信号を出力する。焦電素子32aの出力信号
は、サンプル信号Sとしてプリアンプ34aに入力さ
れ、焦電素子32bの出力信号は、リファレンス信号R
としてプリアンプ34bに入力される。サンプル信号S
は、プリアンプ34aからロックインアンプ36aを経
て演算回路38に入力され、リファレンス信号Rは、プ
リアンプ34bからロックインアンプ36bを経て演算
回路38に入力される。
【0033】ここで得られるサンプル信号Sは図6
(b)に示される第1の検出強度に対応し、リファレン
ス信号Rは図6(b)に示される第2の検出強度に対応
しているので、第2の検出強度(リファレンス信号R)
から第1の検出強度(サンプル信号S)を差し引けば、
図6(b)に示される検出強度の差に対応する信号値を
得ることができる。
【0034】次に、コントローラ40の指令により、駆
動回路42は、セラミックヒータ10への電流供給を予
め設定された通電停止時間t2(図3参照)だけ停止す
る。これによりセラミックヒータ10の温度は低下し、
やがてほぼ室温となる。このときセラミックヒータ10
の赤外線放射は0と見てよいので、この際のリファレン
ス信号Rは、図6(b)に示される第3の検出強度(バ
ックグランドノイズに相当)に対応していることにな
り、上述のセラミックヒータ10の温度が約500℃の
ときのリファレンス信号R(第2の検出強度)から今回
のリファレンス信号R(第3の検出強度)を引くこと
で、温度500℃におけるセラミックヒータ10の放射
強度が得られる。
【0035】したがって、下記の(1)式に基づいて、
測定対象の気体中の炭酸ガス濃度を検出できる。
【0036】
【数2】
【0037】なお、図3に示すように、この測定操作に
当たっては、セラミックヒータ10は、通電時間t1の
通電(加熱)と通電停止時間t2の通電停止(冷却)と
を交互に行われている。これは、上述のようにバックグ
ランドノイズ除去に必要なこともあるが、焦電素子32
a、32bの検出能を低下させないためにも必要であ
る。これは、一般に焦電素子は、受光した光量に比例す
る電荷を発生させ、その電荷量が出力値とされるのであ
るが、光の照射を受け続けると電荷を発生しなくなるこ
とがあり、その検出能を維持するには断続的に光の照射
を停止することが必要とされていることによる。
【0038】また、炭酸ガス濃度の検出は、通電時間t
1+通電停止時間t2=ロックイン周期にしたがって、
上述の操作を繰り返し、各ロックイン周期毎の検出値の
平均を採ることによって検出精度を向上させている。こ
のロックイン周期が短ければ、相対的に短時間で多数の
検出値を得ることが可能となる。したがって、炭酸ガス
検出器20の周囲の温度等、環境の変化が少ないうちに
多数の検出値を得ることができるので、ロックイン周期
が短いほど検出精度が高いといえる。ただし、このロッ
クイン周期は、セラミックヒータ10の抵抗や印加電
圧、セラミックヒータ10の放熱特性等にもよるが、セ
ラミックヒータ10を所定の制御温度、例えば500℃
まで昇温するに必要な時間、その温度から室温程度まで
の降温時間に応じて決定する必要がある。なお、言うま
でもないが、ロックイン周期を決定するに当たって、通
電時間t1と通電停止時間t2とを等しくする必要はな
い。
【0039】あるいは、セラミックヒータ10をON/
OFFするかわりに、例えばセラミックヒータ10と気
体容器22との間に遮蔽板を設置し、これを定期的に開
閉することによってセラミックヒータ10のON/OF
Fと同様の効果を得ることも可能で、このようにすれば
ロックイン周期の設定に当たって自由度が増す。ただ
し、この場合、セラミックヒータ10は連続稼動される
ので、その寿命が低下することもある。
【0040】以上のように、炭酸ガスの赤外線吸収スペ
クトルを含む波長領域でブロードな放射強度分布であ
り、炭酸ガスの赤外線吸収スペクトル付近の波長領域で
十分な放射強度を有するセラミックヒータ10を使用し
ているので、実施例の炭酸ガス検出器20では、その検
出精度および出力の安定性は向上されている。
【0041】また、セラミックヒータ10の平面状の発
光面10aを気体容器22に対面させているので、放射
指向性は測定対象の気体へ向かう方向となり、放射強度
を向上させることができ、炭酸ガス検出器20の検出精
度および出力の安定性を一層向上させることができる。
【0042】セラミックヒータ10の放射強度分布は、
波長2μmないし波長50μmの領域を含んでおり、波
長2μmおよび波長50μmにおける放射強度が最大の
放射強度の40%以上となっている。このため例えば波
長2μm〜5μm付近でのバックグランドノイズによる
検出精度の低下を良好に防止できる。また、例えば気体
容器22内を浮遊する有機物や水分等に波長50μm付
近の赤外線を照射することで、これらを加熱して除去す
ることができるので、炭酸ガス検出器20の検出精度が
向上される。
【0043】なお、実施例の炭酸ガス検出器20と発光
源としてタングステンランプを使用した炭酸ガス検出器
(従来例、発光源以外は実施例と同様の構造)とにより
比較試験を実施したところ、実施例の炭酸ガス検出器2
0におけるサンプル信号Sおよびリファレンス信号Rの
出力レベルは従来例の約4倍以上であった。また、実施
例の炭酸ガス検出器20では濃度信号Oのふらつきもき
わめて小さかった。
【0044】以上、実施例に従って、本発明について説
明したが、本発明はこのような実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに
実施できることは言うまでもない。例えば実施例では光
電変換手段として焦電素子を使用しているが、他の形式
の赤外線センサを使用することもできる。
【0045】また、気体容器への測定対象の気体の導入
は、注入のほか自然拡散を使用してもよく、気体容器の
一対の取入出口26a、26bの代わりに複数の取入出
口を用いることもできる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の炭
酸ガス検出器によれば、赤外線発光源としてのセラミッ
クヒータは、(1)放射強度は、炭酸ガスの赤外線吸収
スペクトルを含む波長領域でブロードな分布であり、
(2)炭酸ガスの赤外線吸収スペクトル付近の波長領域
で十分な放射強度を有するので、検出精度および出力の
安定性を向上させることができる。
【0047】請求項2記載の炭酸ガス検出器では、セラ
ミックヒータは平面状の放射面を有するので、放射面に
対して垂直な方向への放射指向性を持つ。したがって、
気体容器に放射面を対面させれば、検出強度を向上させ
ることができ、炭酸ガス検出器の検出精度および出力の
安定性を一層向上させることができる。
【0048】請求項3記載の炭酸ガス検出器では、セラ
ミックヒータの放射強度分布は、波長2μmないし波長
50μmの領域を含んでいる。波長2μm〜5μm付近
の赤外線放射は炭酸ガス検出器の検出精度の確保に有効
であり、測定上の外乱となる浮遊物や水分に波長50μ
m付近の赤外線を照射することで、これらを加熱して除
去することができる。その結果、炭酸ガス検出器の検出
精度が向上される。
【0049】請求項4記載の炭酸ガス検出器によれば、
バックグランドノイズによる検出精度の低下を良好に防
止でき、外乱除去効果を一層高めることができる。した
がって、炭酸ガス検出器の検出精度をさらに向上でき
る。請求項5記載の炭酸ガス検出方法によれば、請求項
1ないし4のいずれか記載の炭酸ガス検出器を使用して
炭酸ガス濃度を良好に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の炭酸ガス検出器に装備されるセラミ
ックヒータの構造を説明する斜視図である。
【図2】 実施例の炭酸ガス検出器の概略構成を説明す
るブロック図である。
【図3】 実施例の炭酸ガス検出器におけるセラミック
ヒータのON/OFFのタイミングを例示する説明図で
ある。
【図4】 実施例の炭酸ガス検出器に装備されたセラミ
ックヒータと従来の赤外線ランプの放射強度分布を示す
グラフである。
【図5】 共鳴放射の利用による炭酸ガス濃度検出の原
理を説明する模式図である。
【図6】 赤外線吸収の利用による炭酸ガス濃度検出の
説明図であり、図6(a)は装置構成の説明図、図6
(b)は、検出の原理を説明する模式図である。
【符号の説明】
10・・・セラミックヒータ、 10a・・・発光面、 20・・・炭酸ガス検出器、 22・・・気体容器、 30a・・・光学フィルタ(第1の光学フィルタ)、 30b・・・光学フィルタ(第2の光学フィルタ)、 32a・・・焦電素子(光電変換手段)、 32b・・・焦電素子(光電変換手段)、 34a、34b・・・プリアンプ、 36a、36b・・・ロックインアンプ、 38・・・演算回路(演算手段)、 O・・・濃度信号、 R・・・リファレンス信号、 S・・・サンプル信号。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤外線発光源と、炭酸ガスの赤外線吸収
    スペクトルで最大の吸収値となる波長近傍の波長の赤外
    線を透過させる第1の光学フィルタと、前記赤外線吸収
    スペクトルの波長領域に隣接する波長領域の赤外線を透
    過させる第2の光学フィルタと、前記赤外線発光源と前
    記第1および第2の光学フィルタとの間に配置される気
    体容器と、前記第1の光学フィルタを透過した赤外線の
    放射強度に応じたサンプル信号並びに前記第2の光学フ
    ィルタを透過した赤外線の放射強度に応じたリファレン
    ス信号を出力する光電変換手段と、前記サンプル信号と
    リファレンス信号とを演算処理して前記気体容器内の炭
    酸ガス濃度に対応する濃度信号とする演算手段とを備え
    る炭酸ガス検出器において、 前記赤外線発光源としてセラミックヒータを設けたこと
    を特徴とする炭酸ガス検出器。
  2. 【請求項2】 前記セラミックヒータは平面状の放射面
    を有することを特徴とする請求項1記載の炭酸ガス検出
    器。
  3. 【請求項3】 前記セラミックヒータの放射強度分布
    は、波長2μmないし波長50μmの領域を含むことを
    特徴とする請求項1または2記載の炭酸ガス検出器。
  4. 【請求項4】 前記セラミックヒータの放射強度分布
    は、最大の放射強度を有する波長領域が波長2μmない
    し波長50μmの領域内に存在し、且つ波長2μmおよ
    び波長50μmにおける放射強度が前記最大の放射強度
    の40%以上であることを特徴とする請求項3記載の炭
    酸ガス検出器。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか記載の炭酸
    ガス検出器を使用して炭酸ガス濃度を検出するに当たっ
    て、前記セラミックヒータの制御温度を400℃から8
    00℃の範囲とすることを特徴とする炭酸ガス検出方
    法。
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