JPH09328903A - 建設躯体プッシュアップ工法に用いるジャッキアップシステム - Google Patents

建設躯体プッシュアップ工法に用いるジャッキアップシステム

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JPH09328903A
JPH09328903A JP16863196A JP16863196A JPH09328903A JP H09328903 A JPH09328903 A JP H09328903A JP 16863196 A JP16863196 A JP 16863196A JP 16863196 A JP16863196 A JP 16863196A JP H09328903 A JPH09328903 A JP H09328903A
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貞夫 久保
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澄広 上田
Hirotaka Uehara
裕隆 上原
Yasumitsu Kurosaki
泰充 黒崎
Tsutomu Tomita
勉 冨田
Tomoaki Matsuda
友秋 松田
Akio Nishida
秋雄 西田
Takezo Miyamoto
武三 宮本
Manabu Shibata
学 柴田
Tomonori Sato
知則 佐藤
Akira Mizutani
亮 水谷
Kansuke Honma
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中高層ビルのプッシュアップ建築工法に使用
するジャッキアップシステムにおいて、組立て済みの上
層階部分を上昇下降あるいは保持している間に各ジャッ
キアップ装置の支持面の高さに差が生じないようにす
る。 【解決手段】 建造物の躯体を支持する支持腕25と、
その支持腕を鉛直方向に駆動する油圧ねじあるいは電動
ねじからなる駆動装置と、支持腕の支持面の高さを測定
する高さセンサ28と、高さセンサの測定値に基づいて
駆動装置を駆動して支持腕の高さを目標値に制御する局
所制御装置31とを備え、高さセンサの測定値を外部の
中央制御装置33に伝送し、各高さセンサの測定値に基
づいて複数台のジャッキアップ装置10を協調制御する
ための補正指令値を受信して制御目標値を補正すること
を特徴とするジャッキアップシステム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プッシュアップ工
法によりビル建設を行うために用いるジャッキアップ装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄骨構造・鉄筋コンクリート構造
・鉄骨鉄筋コンクリート構造等の中高層ビルの自動化施
工方法として特公平7−33688号公報に開示された
プッシュアップ工法が注目されている。上記特許にかか
るプッシュアップ工法は、建物の柱をプッシュアップす
るための支持とプッシュアップ後建物を一定高さに支持
するための支持手段とを有するプッシュアップ装置によ
り建物躯体をプッシュアップするプッシュアップ工程
と、柱と梁をプッシュアップ装置へ搬送し上階の躯体に
接合する柱梁施工工程と、壁部材を搬送し前記柱・梁に
接合する構造壁施工工程と、配筋・コンクリート打設・
均しを行ってスラブを施工するスラブ施工工程とを有
し、地上レベルで1階分の建物を集中的に施工し、1階
分の躯体工事完了後に階高分だけ上方にプッシュアップ
することを繰り返すことにより建物を建設することを特
徴とするものである。このプッシュアップ工法は、地上
に設置したプラントにおいてロボット等の機械を用いて
1階分の建物を施工し1階分の躯体工事完了後に建物を
上方に階高分だけプッシュアップすることを繰り返して
建物全体を建設するものである。
【0003】上記のプッシュアップ工法は常に地上位置
において主要施工工程を実施するので、地上部分に効率
の良いプラントを設置し生産性の高いロボットや建設機
械を有効に活用して建築施工することが可能となり、自
動化率を上げて労働生産性を向上させることが出来る。
また、天候に左右されず夜間でも作業できるほか、外装
仕上げも高所作業によらずに行えるので工事の安全性が
向上する。
【0004】このプッシュアップ工法を実施する上でプ
ッシュアップ装置が重要な役割を演ずることになる。上
記特許公報にはセンターホールジャッキが昇降自在に配
設されたガイド軸と上端付近に固定された水平方向に摺
動自在な保持装置を設備したフレームからなるプッシュ
アップ装置が開示されている。プッシュアップ装置は建
物土台部分の柱位置に固定される。
【0005】建物躯体を形成する鋼製角柱に、建物をプ
ッシュアップするための支持とプッシュアップ後建物を
一定高さに保持するための支持を設ける。具体的には鋼
製角柱の周囲にフランジを取り付け、このフランジの4
隅にプッシュアップ用ピン孔を設け、4辺に固定用ピン
孔を設ける。建物をプッシュアップするときは、センタ
ーホールジャッキに取り付けられたプッシュアップ用ピ
ンを上昇させ上記フランジのプッシュアップ用ピン孔に
係合させた上で、センターホールジャッキを上限位置ま
で上昇させる。センターホールジャッキが上昇して上限
位置に自動的に停止すると階高位置に取り付けられた保
持装置が押し出され、次いでセンターホールジャッキが
下降していく途中で、保持装置の先端に上向きに設けら
れた固定用ピンが上記フランジの固定用ピン孔に係合
し、鋼製角柱を支持して建物をその高さで保持する。セ
ンターホールジャッキはそのまま下限位置まで下降し自
動的に停止して次のサイクルまで待機する。
【0006】このようなプッシュアップ工法では、支持
面が予定の高さと異なると各支持面が分担して受ける荷
重に予定の値からの変動が発生し、この荷重変動により
組立て済みの上層階部分にひずみが生ずる。ジャッキ支
持面の高さ差が大きくなると建造物が損傷・崩壊するこ
とにもなりかねない。特に、鉄骨鉄筋コンクリート(S
RC)は偏荷重に対する許容度が低いため、支持位置高
さの差ができるだけ生じないようにする必要がある。勿
論、建物を上昇下降している途中においても高さの偏倚
が生じないようにする必要がある。
【0007】特公平7−33688号公報に開示された
ジャッキアップ装置を用いたプッシュアップ工法では、
保持装置がフレームに固定され、また、センターホール
ジャッキのストロークは一定であるため、上限位置や下
限位置は現場に設置されたときに固定される。したがっ
て、ジャッキアップ装置を据え付け保持装置を取り付け
る時には、これらの位置管理に細心の注意を払わなけれ
ばならない。また、経時的な変形や建設途中における荷
重の変化による変形に留意して施工管理を行う必要があ
る。
【0008】また、保持装置やセンターホールジャッキ
の係合部材と係合するための孔を設けたフランジは各階
毎に溶接により継ぎ足される鋼製角柱に取り付けられる
から、フランジの取り付け位置の管理が重要であり、鋼
製角柱を別のプラントで製造する場合にもその寸法につ
いては極めて高い精度が要求される。同様に、鋼製角柱
を建物に組み付けるときの工作精度の要求は極めて厳し
いものにならざるを得ない。
【0009】また、センターホールジャッキはそれぞれ
鋼製角柱を把持して互に独立に動くため、各鋼製角柱を
上昇下降し建物を上下させている最中に支持位置同士で
高さ差が生じ易いが、これを管理して修正する方法が開
示されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が解決
しようとする課題は、中高層ビルの建築施工におけるプ
ッシュアップ工法に使用するジャッキアップシステムに
おいて、各ジャッキアップ装置の支持面の高さに生ずる
差を解消し、またプッシュアップ中に計画外の荷重変動
や偏差が出ないようにして、組立て済みの上層階部分に
ひずみが生じないようにすることである。また、プッシ
ュアップ工法において、建物を上昇下降している途中で
もジャッキアップ支持面の高さに偏倚が生じないように
することを課題とする。また、本発明が解決しようとす
る課題は、上記ジャッキアップシステムに使用するジャ
ッキアップ装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のジャッキアップシステムは、建築中の建造
物の躯体を上方に支える支持腕と、支持腕の高さを調整
する駆動装置と、支持腕の支持面の高さを測定する高さ
センサとを備えるジャッキアップ装置を複数台と、各高
さセンサの測定値に基づいて複数台のジャッキアップ装
置を制御する中央制御装置を設けて、建築中の建造物の
躯体を支えた各ジャッキアップ装置の支持腕の高さを相
互に協調して制御しながら上昇させることにより建造物
の組立て済みの上層階部分を次層階の階高にαを加えた
分だけ上昇させてその位置に保持し、上層階部分を空中
で保持する間に次層階部分の柱及び梁を含む建物躯体の
施工を行い、その後建造物を支える支持腕の高さを協調
制御しながらαだけ下降させて次層階を含む躯体を基礎
上のベース上に載置し、次いで再度躯体を下方から支え
て上昇させる工程を繰り返すことによりプッシュアップ
を行うことを特徴とする。
【0012】また、本発明のジャッキアップシステム
は、複数台のジャッキアップ装置が、建造物の躯体を支
える支持腕の高さを調整する駆動装置を備え、各支持腕
にかかる荷重を測定する荷重センサを備えて、荷重セン
サの測定する荷重測定値に基づき駆動装置を調整して支
持腕の間の荷重が躯体上昇中に変動しないように制御す
るものであってよい。
【0013】さらに、複数台のジャッキアップ装置のそ
れぞれに局所制御装置を備え、各ジャッキアップ装置の
駆動装置を高さセンサあるいは荷重センサの測定値に基
づいて独立して各支持腕の高さを制御するとともに、各
ジャッキアップ装置の支持腕の高さの計測値を中央制御
装置で一括管理し、協調制御に必要な補正量を演算して
各ジャッキアップ装置の局所制御装置における制御指令
値に加えることにより、システム中の支持腕の協調上昇
・下降を可能とするように構成することが出来る。
【0014】上記課題を解決するため、本発明のジャッ
キアップ装置は、建造物の躯体を上方に支える1本もし
くは2本の支持腕と、その支持腕を鉛直方向に駆動する
1本もしくは複数本の油圧ねじあるいは電動ねじからな
る駆動装置と、支持腕の支持面の高さを測定する高さセ
ンサと、高さセンサの測定値に基づいて駆動装置を駆動
して支持腕の高さを制御目標値に制御する局所制御装置
とを備え、高さセンサの測定値を外部の中央制御装置に
伝送すると共に、局所制御装置が中央制御装置から補正
指令値を受信して制御目標値を補正することを特徴とす
る。
【0015】また、本発明のジャッキアップ装置は、さ
らに、支持腕のおのおのに支持腕にかかる荷重を測定す
る荷重センサを備えて、荷重センサの荷重測定値に基づ
き制御目標値を補正することにより複数の駆動装置を調
整して支持腕の間の荷重を均等化するようにしてもよ
い。
【0016】本発明のジャッキアップシステムによれ
ば、複数台のジャッキアップ装置を建造物の周囲の柱位
置に配備し、各ジャッキアップ装置の支持腕の支持面を
柱に取り付けた支持や梁などの下に当て、全装置を同時
に駆動して建造物を持ち上げる。この時、各支持腕の支
持面の高さを個々に取り付けた高さセンサにより測定
し、その測定値に基づいて各ジャッキアップ装置の支持
腕の高さを相互に協調制御し、水平を保ちながら組立て
済みの上層階部分を上昇・下降させることができる。
【0017】従って、建造物の上昇・下降中に支持高さ
のアンバランスが生じないから、躯体部分に異常なスト
レスがかかることもなく、鉄骨やコンクリート等の躯体
材料にひびや欠陥が生ずることもない。また、組立て済
みの上層階部分を階高分だけ上昇させて、下層の柱部分
が形成され上層階部分を預けられるようになるまで空中
で保持する間にも、各ジャッキアップ装置から得られる
各支持面の高さ測定値に基づいた協調制御を行うため、
上層階部分は水平に保持され支持面の高さ差に起因する
ストレスが小さく破損が生じない。
【0018】ジャッキアップ装置は支持腕により建造物
を支持するようにするが、支持腕同士の上昇に差がある
とその値が小さくても躯体に大きなストレスがかかり建
造物に損傷が発生しやすかった。これに対して、支持腕
駆動装置を備え支持腕毎に荷重センサを備えたジャッキ
アップ装置であって、荷重センサの測定する荷重測定値
に基づきジャッキアップ装置内の複数の駆動装置を調整
して支持腕の間の荷重変動が生じないようにしたもの
は、駆動装置を制御して支持腕の支持面高さを調整する
ことにより、システム内の支持腕間の負荷荷重がプッシ
ュアップ中にも一定にすることができるので、支持面高
さの差に起因するストレスを解消することができる。
【0019】さらに、各ジャッキアップ装置に局所制御
装置を備え、各駆動装置を局所的に制御すると共に、中
央制御装置に各ジャッキアップ装置の支持腕の高さの計
測値を伝送して中央制御装置で一括管理し、協調制御に
必要な補正量を演算して各ジャッキアップ装置の局所制
御装置に伝送して局所的制御の指令値に加えることによ
り、システム中の支持腕の協調上昇・下降を可能とする
ように構成したものは、全体の協調制御を達成するため
に必要とされる複雑な演算を中央制御装置と局所制御装
置に合理的に分配することができ、全体の制御効率が向
上し、より安定した制御が可能になる。
【0020】また、建造物の躯体を上方に支える1本も
しくは2本の支持腕と、その支持腕を鉛直方向に駆動す
る1本もしくは複数本の駆動装置と、支持腕の支持面の
高さを測定する高さセンサと、高さセンサの測定値に基
づいて支持腕の高さを制御する局所制御装置とを備え、
高さ測定値を外部の中央制御装置に伝送すると共に、中
央制御装置から補正指令値を受信して制御目標値を補正
するように構成した本発明のジャッキアップ装置は、上
記本発明のジャッキアップシステムに必要とされる要素
を有するので、ジャッキアップシステムに組み込むこと
によりプッシュアップ工法による中高層ビルの建築施工
における自動化を可能にする。
【0021】さらに、ジャッキアップ装置が支持腕と支
持腕毎に油圧アクチュエータあるいは電動ねじを備えた
駆動装置を有し、さらに、支持腕のおのおのに支持腕に
かかる荷重を測定する荷重センサを備えて、荷重センサ
の荷重測定値に基づき高さ制御目標値を補正することに
より複数の駆動装置を調整して支持腕の間の荷重を均等
化するようにした本発明のジャッキアップ装置は、隣接
する支持腕間の高さを実測した荷重測定値に基づいて常
時補正することができるため、建物の昇降中あるいは空
中に保持する間に構造体に与えるストレスが小さく、プ
ッシュアップ工法による中高層ビルの建設中に建物等が
損傷を受けたり変形を生じたりしない。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明のジャッキアップシステム
は、中高層ビルを建設するための従来のプッシュアップ
工法において建物を昇降させる間および所定の高さに保
持する間に生じがちな支持面間の高さ偏差に起因するス
トレスについて注目し、これの解消を図ろうとしたもの
である。また、本発明のジャッキアップ装置は、上記の
ジャッキアップシステムに利用することにより上記スト
レスを確実に除去できるようにしたものである。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す図面によって本
発明に係るジャッキアップシステムおよびジャッキアッ
プ装置を詳細に説明する。図1は本発明のジャッキアッ
プシステムの実施の1形態を示す斜視図、図2は本発明
のジャッキアップ装置の主要部の構造を説明する概念
図、図3は本発明の別のジャッキアップ装置の主要部の
構造を説明する概念図、図4はジャッキアップシステム
の制御概念を説明するブロック図、図5は本発明のジャ
ッキアップシステムに使用される協調制御を説明するブ
ロック図、図6は本発明のジャッキアップシステムに使
用される別の協調制御を説明するブロック図、図7は本
発明のジャッキアップシステムにおける協調制御を全体
的に示すブロック図である。
【0024】本発明のジャッキアップシステムおよびジ
ャッキアップ装置を用いたプッシュアップ工法の手順の
1例を説明する。まず、根切り工事、基礎工事を従来工
法で施工する。次に地上階の重量を支えるための主柱を
設置する位置毎に柱を支持するベースを設け、各ベース
の外側または内側にジャッキアップ装置を配備する。こ
れら主柱に囲まれた地面上にロボットや各種作業をする
機械を備えた建設用プラントを設置して利用することに
より、建設の効率を向上させることができる。
【0025】初めに最上階の柱をベース上に立てて最上
階と屋根をその上に組み立てると、ジャッキアップ装置
の支持腕を前進させて柱の両側に取り付けた梁の下面に
支持腕の支持面を当てて、全部のジャッキアップ装置を
同期させて駆動し支持面の高さを協調制御することによ
り、最上階と屋根からなる最上階躯体を水平に維持しな
がら下層階の階高よりαmm、例えば200mm行き過
ぎた高さまで持ち上げる。
【0026】次に、最上階躯体をその高さで水平に保持
している間に地面上に設置された建設プラントを利用し
て各ベース上に次層階の柱および梁を含む躯体を立て
る。次いで、ジャッキアップ装置の支持腕を下降させ
て、次層階部分を含む躯体は新たに施工した次層階の柱
下端と各ベースが接するようにして各ベース上に載置さ
れる。このとき必要に応じてベースと柱下端の間にスペ
ーサを介挿する。ジャッキアップ装置は支持腕をさらに
50〜100mm程度下降させ係合から外すと共に作業
の邪魔にならないように支持腕部分を待機位置に後退さ
せる。
【0027】次のプッシュアップ工程では、ジャッキア
ップ装置の支持腕が次層階の梁と衝突しないよう、全部
のジャッキアップ装置の支持腕をほぼ1階分降下させて
次層階の梁より低い位置に下ろしてから待機位置より前
進させて50〜100mm上昇させ、次層階の柱または
梁の下面に支持腕の支持面を当て、全部のジャッキアッ
プ装置を同期させて駆動し、組立て済みの最上層階部分
と上記の次層階とを水平を維持しながら上昇させ、次に
組み立てる次々層階の階高より多少余分な高さまで持ち
上げる。上階部分の壁工事、床工事や外装工事は比較的
低所にある間に施工できればプッシュアップ工法の安全
性という利点を十分発揮できるので、プッシュアップす
る時までに完了している必要はない。なお、ジャッキア
ップ装置の支持腕で建物躯体を支持するために用いる支
持点は建物自体の部材であることが建築コスト上は望ま
しいが、仮設の梁やブラケットを柱に取り付けたり、柱
に開口を設けて支持腕を挿入するようにしてもよい。
【0028】次に、ジャッキアップ装置により上階部分
をその高さに保持している間に地上の各ベース上に次々
層階の柱を立てて、上述の施工手順を繰り返す。図1
は、10台のジャッキアップ装置10により上層から4
階分までの組立済み建物部分1を水平に保持している間
にベース5の上に外側の柱3を立てているところを表し
た図面である。図のジャッキアップ装置10は電動ねじ
方式の場合であって、支持腕を駆動するための駆動モー
タ24が付設されている。
【0029】上記のような工程を繰り返して地上2階ま
で建設した後に、2階より上の躯体全体をジャッキアッ
プ装置10により設計図通りの高さに保持し、地上1階
部分の柱をベース5上に施工してその上に地上2階以上
の部分を載置し、ジャッキアップ装置10を撤去する。
なお、工事によっては、ベース5を撤去し、地上1階部
分の柱を基礎に直接連結して設けることもできる。ま
た、一連の躯体施工を地上面で行うのではなく、人工地
盤状の床を整え、2階または3階の高さで行っても良
い。躯体施工は地下階層のレベルで行うこともできる。
このようにして、プッシュアップ工法による中高層建物
の建設が可能になる。なお、ジャッキアップ装置10の
能力は建造物の重量に対して大き目とするが、建設が進
んで建造部分1の重量が増すに従ってジャッキアップ装
置10を追加することによって、機械の稼働効率を高め
るようにすることもできる。
【0030】図2は本発明のジャッキアップ装置の1実
施例における支持腕部分の機構を説明する図面である。
本実施例は1本の電動ねじで可動盤を昇降させる1本駆
動型のジャッキアップ装置である。基台21はジャッキ
アップ装置10中の待機位置に格納されていて、必要に
応じてアクチュエータを備えた図外の基台駆動装置によ
り待機位置から前進させたり後退して待機位置に収納し
たりするようになっている。基台21には垂直に電動ね
じ23とこれと平行な軸を有する図外の駆動モータ24
が取り付けられている。駆動モータ24が回転すると、
回転が減速機やチェーンを介して電動ねじ23に伝達
し、電動ねじ23が回転軸周りを基台21に対して回転
する。電動ねじ23は可動盤22に設けられた雌ネジと
係合しており、電動ねじ23が回転すると可動盤22が
図示されていないガイドに案内されて水平を保持しつつ
垂直に昇降する。電動ねじ23はジャッキアップ装置の
構造体の頂部より吊り下げてもよく、また基盤上に支持
してもよい。
【0031】可動盤22には荷重を受ける部材として支
持腕25が付いている。支持腕25の荷重を受ける支持
面にはロードセルを用いた荷重センサ26が設けられて
いてそれぞれ支持腕25にかかる荷重を測定する。ま
た、支持腕25毎に高さセンサ28が設けられていて、
基台21に固定された高さセンサ支持ガイド27と作用
して、基台面を基準とした支持面の高さを測定する。高
さセンサとしては電磁的エンコーダ、光学的エンコー
ダ、あるいは非接触な距離センサなど市販されている各
種センサが利用できる。
【0032】各階層部分の柱の両側には、ジャッキアッ
プ工程に先立ち上階部分の重量を支持できる強度を備え
た梁が取り付けられる。支持腕25の支持面が柱を挟ん
で設けられたふたつの梁の下面を支える。ジャッキアッ
プ装置10は他のジャッキアップ装置と協働して、高さ
センサ28で測定される実際の高さ測定値をフィードバ
ックしながら図外の局所制御装置により予めプログラム
された通りに制御される電動ねじ23の動きに従って建
造物の上層部分を徐々に持ち上げる。
【0033】各電動ねじ23はそれぞれ局所制御装置に
より制御されるため、他のジャッキアップ装置10の支
持腕25の動きと独立に駆動すると、建造物の支持面高
さが相互に偏差を持つようになる場合が生じ得る。この
ような支持面高さの偏差は建造物に歪みをもたらし、組
立済みの構造躯体に無理なストレスを与え、甚だしくは
損壊に至ることも考慮に入れなければならない。特に鉄
筋コンクリートによる建造物を対象にするときは支持面
における偏倚の許容範囲が小さく容易にひび割れ等を起
こすので、支持面高さの精密な管理が必要とされる。
【0034】建物躯体を昇降させるときには躯体が水平
を保持して一様に上昇するようにしなければならない
が、支持点における荷重は支持点毎に異なり、また躯体
施工が進み階数が増加するのに伴い荷重が増加する。こ
のようなプッシュアップ工法上の特異性に十分に対処
し、組立済みの構造躯体にかかるストレスをより直接的
に解消させるためには、各支持腕25が支持する荷重を
測定して、この測定値がプッシュアップ中に変動しない
ように一定の値になるように高さ調整する方法が有効で
ある。荷重センサ26はこのような目的に使用すること
ができる。各支持腕の荷重センサの測定値がプッシュア
ップ中に増減する場合は、プッシュアップ中の建物躯体
にストレスが掛かっていることを示し、各支持点におけ
るプッシュアップ高さが均一でないため高さ制御目標値
を加減する。
【0035】上記実施例ではジャッキアップ装置10中
に基台21の待機位置を設けて基台21を待機位置から
出し入れするように構成した。しかし、支持腕25を可
動盤22の上で水平方向に摺動させることにより前進後
退させるようにして、基台21を水平方向に動かす機構
を省いても良い。
【0036】なお、高さセンサ28の測定を基台21の
上面でなくジャッキアップ装置10が設置されている地
上面を基準として行うようにしてもよい。
【0037】図3は本発明の別の実施例におけるジャッ
キアップ装置の支持腕部分の機構を説明する図面であ
る。図中、図2に示したジャッキアップ装置と同じ機能
を有する構成要素には同じ参照番号を付して説明を簡約
化した。本実施例は2本駆動型のジャッキアップ装置で
あって、図2のジャッキアップ装置と比較して異なる点
は、駆動ねじ23が個々の支持腕25に対応して2本設
けられていて、支持腕25の支持面高さをそれぞれ調整
することができるようになっていることである。また、
各支持面について高さ制御を可能にするため、支持腕毎
に高さセンサ28が付設されている。
【0038】プッシュアップ中にふたつの支持腕に取り
付けられた荷重センサ26が検出する各支持腕毎の荷重
に変動があるときはこれを一定にするようにに電動ねじ
23を調整して荷重変動を解消するようにする。ふたつ
の支持面の高さの平均値をこのジャッキアップ装置10
により支持される柱の支持面高さとして中央制御装置に
伝送して、全体の機台の協調制御のために用いる情報と
する。なお、図3は、ふたつの支持腕25が共に一体の
可動盤22に設備されて水平姿勢から大きく逸脱しない
ようにされた構成について図示しているが、支持腕25
がそれぞれ独立に対応するひとつの電動ねじ23で駆動
されるように構成しても良いことは言うまでもない。
【0039】図4は本発明のジャッキアップシステムの
制御概念を説明するブロック図である。複数のジャッキ
アップ装置10にはそれぞれ局所制御装置31が付設さ
れており、これら全体を協調的に統合制御するために中
央制御装置33が設けられている。中央制御装置33と
複数の局所制御装置31はRS485等のシリアル通信
回線により直列に連結されている。シリアル通信回線は
局所制御装置31が配備される建築物の周囲を全長30
0m程度まで延長できる。
【0040】中央制御装置33にはシステム全体を統合
的に管理するホストコンピュータ34の他に特にジャッ
キアップ装置相互が同調した動作を行うようにするため
の協調制御マスタボード35が備えられており、局所制
御装置31には個々の駆動装置の制御を行う協調制御ス
レーブボード32が備えられている。局所制御装置31
の協調制御スレーブボード32は、対象とするジャッキ
アップ装置10の高さセンサ28と荷重センサ26から
測定値情報を受け取り、中央制御装置33に伝送する。
また、協調制御スレーブボード32内に設けられた記憶
装置に収納されるか中央制御装置33から伝送されてく
る予め決められた高さ変更プログラムに従いこれらの測
定値情報に基づいて駆動モータ24を駆動して支持腕2
5の上昇高さを制御する。
【0041】中央制御装置33の協調制御マスタボード
35は、シリアル通信回線を介して各局所制御装置31
から集めた各支持面の高さと荷重の測定値情報から建物
全体が水平を保持するために必要な各支持腕25の高さ
補正値を算出し、その結果をシリアル通信回線を介して
各局所制御装置31の協調制御スレーブボード32に伝
達する。協調制御スレーブボード32は、予め決められ
た支持腕高さ変更プログラム値に上記補正値を加算して
実際の高さ目標値とし、これに応じた回転量もしくは速
度指令値に従って駆動装置を制御する。
【0042】図5は本発明のジャッキアップシステムに
使用される協調制御の1例を説明するブロック図であ
る。この実施例は、ジャッキアップ装置10を1個の支
持面高さセンサ28の測定値に基づいて制御するもので
ある。各ジャッキアップ装置10における局所制御系に
は、予め決められる高さあるいは速度パターンが目標値
44として入力される。例えば、建物の上階部分を昇降
させるときは、空中に支える建物に急激な加速度を与え
ないように設計された速度パターンに従って全ジャッキ
アップ装置を同時に駆動しなければならない。また、上
階部分を空中に支持して静止させるときは、全部の支持
面が同じ高さ水準に保持されるようにする。こうした局
面に応じて適合した目標値44が決められている。
【0043】しかし、個々の局所制御系が独立的に支持
面高さを制御しても、他の支持面との間に高さ差がある
と構造躯体に無理な力が働いて建物に損傷を与えること
になる。そこで、建物を支えるために使用される全部の
ジャッキアップ装置10の支持面を常に同じ高さに維持
するため、全ての局所制御装置31の制御目標値を動的
に連動させて統合的に制御する機構を導入する。このた
め、中央制御装置33に設けられる基準高さ演算部41
が、各ジャッキアップ装置10から各支持面の高さ測定
値45を取り込んで、それらの情報に基づいて協調制御
の基準値46を算出する。この基準値46は全ジャッキ
アップ装置10の支持面の各時点におけるあるべき高さ
を表すものである。この基準値46は、例えば全ジャッ
キアップ装置10の支持面高さの内の最高値や全部の支
持面高さの平均値などに基づいて、各ジャッキアップ装
置10の各支持腕25の駆動モータ24の能力や作業仕
様などを勘案して動的に決められる。
【0044】この基準値46と各ジャッキの高さ測定値
45との差を算出し、それらに補償要素42を作用させ
た結果を各ジャッキに与える協調制御目標値44の補正
量とする。補償要素42は個々の制御系の動特性に基づ
きこれを補償してよりよい制御性を達成するために挿入
されるもので、比例、積分、微分、位相調整などの要素
から構成される。補正対象とする制御変数は位置あるい
は高さとしても速度としても良い。
【0045】補正量を加減した制御目標値44は高さセ
ンサ28により測定されてフィードバックされる高さ測
定値45と比較されて、制御偏差47として制御部を含
む制御対象43に入力され、設定された制御アルゴリズ
ムにより演算された結果に従って駆動モータ24を制御
すると、駆動モータ24の動きにより支持面高さが調整
される。支持面高さの変化は高さセンサ28により逐一
測定されて制御対象43の制御部にフィードバックされ
ると共に中央制御装置33に供給されて基準高さ演算に
用いられる。このようにして、個々の支持面高さ測定値
45に基づいて全部のジャッキアップ装置10の支持腕
25の高さを協調制御することにより、上層階部分1を
水平に保持しながらプッシュアップすることが可能にな
る。
【0046】図6は本発明のジャッキアップシステムに
使用される別の協調制御を説明するブロック図である。
この協調制御は、支持腕の高さを制御する駆動系が2個
あるジャッキアップ装置を使用する場合に適用するもの
である。図中、図5に示したものと同じ機能を有する構
成要素には同じ参照番号を付して説明を簡約化した。ま
た、この実施例においても中央制御装置33による補正
指令等については図5に表した実施例と同様であるた
め、図6には説明を簡約して局所制御装置31における
局所的なフィードバック制御の状況のみを表示した。
【0047】支持腕を制御する駆動系が2個あるため、
プッシュアップ中の昇降高さを恒に同一に維持すること
は容易でない。しかも、1台のジャッキアップ装置中に
設けられた2個の支持腕25の間隔は狭く、左右の支持
腕25の間に高さ差があるときは2本の支持腕25で支
持された梁の間に生ずるストレスはジャッキアップ装置
10同士の間に生ずるストレスと比較すると極めて大き
くなる。従って、ジャッキアップ装置10内の支持腕2
5同士の高さ差はジャッキアップ装置相互間と比較して
より厳密に管理しなければならない。このため、支持腕
25の支持面に設けた荷重センサ26による荷重測定値
を直接使用してふたつの支持面にかかる荷重が均等化す
るようにふたつの電動ねじ23を制御して、支持面高さ
を調整することによりストレスの解消を図るようにして
いる。
【0048】この実施例は、ジャッキアップ装置10単
体に独立した2個の駆動モータ24を備え、支持腕25
の高さを予め定めたプログラムに従って調整するのに加
えて、支持腕25に設けた荷重センサ26の測定値に基
づき、支持腕間の荷重差を管理しながら駆動ねじ23を
駆動して支持面高さ制御をするものである。制御結果と
しての支持面高さは、支持面高さと荷重の両制御の妥協
的な中間位置に収束することになる。第1の制御部と第
1の駆動ねじ23からなる第1の制御対象51は、制御
の結果支持面の高さが変化し高さセンサ28により高さ
測定値52が与えられる。この高さ測定値52は制御部
の入力部に供給され目標値53との差が算出され制御偏
差54となり、第1のフィードバック制御系が構成され
る。第2の制御部と第2の駆動ねじ23からなる第2の
制御対象55についても同様に、制御部の入力部で高さ
測定値56と目標値57との差を制御偏差58とする第
2のフィードバック制御系が構成される。ここにおける
第1制御対象51と第2制御対象55の各目標値53、
57はそれぞれ中央制御装置33からの補正指令による
補正が施された後の値になっているので、必ずしも同じ
値とは限らないことはいうまでもない。
【0049】一方、第1制御対象51の荷重センサ26
により測定された支持面にかかる荷重測定値61と第2
制御対象55の支持面にかかる荷重測定値62の差が算
出され、補償要素63の作用を受けた後にそれぞれ上記
第1、第2フィードバック制御系にフィードバックされ
る。この制御ループにより、第1駆動ねじ23により駆
動される支持腕25の支持面に印加される荷重と第2駆
動ねじ23の支持面に印加される荷重を平準化する方向
にそれぞれの駆動軸が駆動される。補償要素63は第1
制御対象51と第2制御対象55の動特性を補償するも
のである。これらふたつの制御対象は普通はほぼ等価で
あるので、図のように1個の補償要素63を共通に使用
しても補償が可能であるが、両者の特性が異なる場合は
別々の補償要素を使用して良好な補償を行うようにする
こともできる。
【0050】ジャッキアップ装置自体の制御系を上記の
ように構成することにより、左右の支持腕25にかかる
荷重を取り荷重差がゼロになるように電動ねじ23の回
転あるいは速度を調整し、荷重の平準化を達成して、建
造物の躯体に無理な力が働かないようにすることができ
る。
【0051】図7は本発明のジャッキアップシステムに
おける協調制御の1実施例を全体的に示すブロック図で
ある。本実施例のジャッキアップシステムは、全体制御
を行う中央制御装置70と、それぞれの局所的制御を行
う局所制御装置80を備えた複数の2本駆動型ジャッキ
アップ装置a1、・・・amと、同じく局所制御装置8
0を備えた複数の1本駆動型ジャッキアップ装置b1、
・・・bnから構成されている。ここで、1本駆動型ジ
ャッキアップ装置とは図2に表したような1本の電動ね
じで可動盤を昇降する形式のジャッキアップ装置をい
い、2本駆動型ジャッキアップ装置とは図3に表したよ
うな2本の電動ねじで可動盤を昇降する形式のジャッキ
アップ装置をいう。
【0052】全体制御70は、全ジャッキアップ装置の
支持面高さ協調制御を実施するために必要となる各ジャ
ッキ高さ遅れ補正機能71と、2本駆動型ジャッキアッ
プ装置a1、・・・amの高さ制御に必要となるジャッ
キ内高さ補正機能72と荷重変動監視機能73を含む。
局所制御80は、各ジャッキアップ装置の各支持腕に対
応して、支持腕の動特性を補償する補償要素機能81と
その出力に係数を掛けて次段の制御要素に適合させる変
換係数機能82と異常の発生を検知して警報する異常検
知機能83が付属し、全体制御70から与えられる高さ
目標値に従い各支持腕の高さ制御を行うほか、警報と信
号の伝達を行う。
【0053】ジャッキアップ装置自体は、インバータ9
1と駆動モータ92と減速機やチェーンを含む減速機構
93と電動ねじ94を備えている。また、電動ねじ94
の回転により変化する支持腕高さは、高さ検出器により
測定されて局所制御80と全体制御70にフィードバッ
クされる。2本駆動型ジャッキアップ装置a1、・・・
amには、2つの高さ測定値を平均して支持腕高さと
し、これを各ジャッキ高さ遅れ補正71に用いるように
するための回路が追加されている。
【0054】局所制御80で、全体制御70から与えら
れる高さ目標値と高さセンサで測定される実際の支持面
高さとの差を取って、これを制御偏差入力とし補償要素
81における制御式に従った演算によりモータ速度を指
示する制御指令信号とし、その指令信号をインバータ9
1の入力形式に適合する電気信号に変換してインバータ
91に供給する。インバータ91はその指令信号入力に
基づいてモータ駆動周波数を調整する制御出力を発生
し、この制御出力に応じて駆動モータ92が回転する。
モータ92の回転速度はインバータ91にフィードバッ
クされ、形成された制御ループにより安定した回転制御
が行えるようになっている。局所制御80の異常検知機
能83がモータ電流を常時監視していて、過電流発生な
どの異常があるとそれを検知し警報する。
【0055】駆動モータ92の回転は減速機構93によ
り適当なレートに調整されベルトにより電動ねじ94に
伝達される。電動ねじ94が回転すると可動盤22が回
転の向きに従って昇降する。可動盤22に設備された支
持腕25の高さは、高さセンサで測定して局所制御装置
にフィードバックし、上記制御ループの制御変数として
高さ目標値と比較される。
【0056】2本駆動型ジャッキアップ装置a1、・・
・amでは、この高さ情報がさらに全体制御70におけ
るジャッキ内高さ補正機能72に供給される。ジャッキ
内高さ補正機能72が他方の支持腕25についての支持
面高さ測定値と比較して各支持腕に適合する補正値を算
出し、それぞれ算出された補正値をそれぞれの高さ目標
値に加え、この目標値に基づいてふたつの駆動モータを
制御することにより両者の偏差が小さくなる方向に調整
する。こうすることにより1個のジャッキアップ装置内
のふたつの支持腕の間に高さ差が生じないように管理
し、支持した上階部分に余分なストレスを与えないよう
にすることができる。また、平均化回路96でふたつの
支持面の高さの平均値を算出して、全体制御70の各ジ
ャッキ高さ遅れ補正機能71に伝達する。
【0057】支持面にそれぞれ設けられた荷重センサ9
5は、ジャッキアップ装置のふたつの支持面に実際に印
加する荷重を測定して、測定結果を荷重変動監視機能7
3に伝送する。荷重監視機能73は、これら荷重情報を
把握して管理し、異常時に警報を発したりする以外に、
ふたつの支持面にかかる荷重が平準化するような補正値
を高さ目標値に加えることにより、ふたつの支持腕高さ
が適当に調整されるように機能するように構成すること
もできる。荷重測定値に基づいて制御すれば、より直接
的にストレスの解消が図れるため好ましい。
【0058】一方、1本駆動型ジャッキアップ装置b
1、・・・bnでは、高さセンサで測定した支持腕25
の高さは、局所制御装置にフィードバックして制御に利
用されると共に、同じ情報が各ジャッキ高さ遅れ補正機
能71に伝達される。1本駆動型ジャッキアップ装置b
1、・・・bnでは、電動ねじは1本しか存在しないか
らジャッキ内高さ補正機能72は不要である。なお、支
持面にそれぞれ設けられた荷重センサ95は、ふたつの
支持面に印加する荷重を測定した結果を全体制御70に
伝送し、全体制御70においてこれら荷重情報を把握し
て管理し、異常時に警報を発するようにすることができ
る。
【0059】各支持腕の高さ制御は、全ての支持面が同
じプログラムに従って同じ高さを維持しつつ高さを変化
させるようにするため、高さ設定値発生機能74から出
力される高さ設定値を入力して行われる。高さ設定値は
支持面と上階部分の支持位置に関する個々の条件により
差異を有することになるが、上昇、保持、下降の各局面
において全ジャッキアップ装置の支持面を同じ速度で高
さ変化させるものでなければならない。この高さ設定値
は、上記のように、1本駆動型ジャッキアップ装置b
1、・・・bnでは、各ジャッキ高さ遅れ補正機能71
の補正を受けて他のジャッキアップ装置の支持面高さと
同じ高さになるように調整される。また、2本駆動型ジ
ャッキアップ装置a1、・・・amでは、2本の支持面
高さを平準化するジャッキ内高さ補正機能72と荷重監
視機能73により修正を受けて、ふたつの支持腕高さを
調整して上階部分の水平を保持するようにされる。ジャ
ッキ内高さ補正機能72は各ジャッキ高さ遅れ補正機能
71の補正を受けて補正値を調整し、他のジャッキアッ
プ装置との協調制御を達成する。
【0060】各ジャッキ高さ遅れ補正機能71は、2本
駆動型ジャッキアップ装置a1、・・・amのそれぞれ
から伝達されたふたつの支持面の高さの平均値と、1本
駆動型ジャッキアップ装置b1、・・・bnのそれぞれ
から伝達された支持面の高さを常時監視している。そし
て、最も早く上昇あるいは下降している支持面を把握し
その高さに他の全ての支持面を追従させて、全ての支持
面が同じ高さを保持することにより支持された上階部が
水平姿勢を保つようにするための補正値を算出して、各
ジャッキアップ装置の制御装置に伝達する。隣り合う支
持位置間の間隔が狭い程ストレスが大きくなるため、支
持面間の距離が短いほど精密な高さ差管理が必要とな
る。例えば、システム全体の高さ差限界を10mmとす
れば、隣同士のジャッキアップ装置の間には3mmの偏
差しか認められない。同じジャッキアップ装置内の支持
腕同士ではさらに高い精度が要求される。
【0061】以上の説明では、可動盤22の昇降には電
動ねじを用いる場合について行われているが、電動ねじ
の代わりに油圧シリンダなどの流体アクチュエータを利
用することも可能であることは当業者自明である。ま
た、制御機能を明確に説明するため中央制御装置と局所
制御装置が分割出来るものとしているが、両者の機能を
1個の装置で統合的に実施することも可能であることは
いうまでもない。なお、全体制御と局所制御は単なる説
明の便宜のために分離したものとしたが、いかなる位置
で分割することも、あるいは全てを1個の制御ボードで
実行させるようにすることも可能である。
【0062】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明のジャッキア
ップシステムおよびジャッキアップ装置は、中高層ビル
の建築施工におけるプッシュアップ工法に使用すること
により、建物を上昇下降している途中でも各ジャッキア
ップ装置の支持面の高さが同じ水準を維持して、組立て
済みの上層階部分にひずみが生じないようにすることが
できる。特に、プッシュアップ工法により鉄筋コンクリ
ート(RC)の建物を建築するときにも十分安全に効率
よく施工できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のジャッキアップシステムの実施の1形
態を示す斜視図である。
【図2】本発明のジャッキアップ装置の主要部の構造を
説明する概念図である。
【図3】本発明の別のジャッキアップ装置の主要部の構
造を説明する概念図である。
【図4】本発明のジャッキアップシステムの制御概念を
説明するブロック図である。
【図5】本発明のジャッキアップシステムに使用される
協調制御を説明するブロック図である。
【図6】本発明のジャッキアップシステムに使用される
別の協調制御を説明するブロック図である。
【図7】本発明のジャッキアップシステムにおける協調
制御を全体的に示すブロック図である。
【符号の説明】
1 組立済み建物部分 3 主柱 5 ベース 10 ジャッキアップ装置 21 基台 22 可動盤 23 電動ねじ 24 駆動モータ 25 支持腕 26 荷重センサ 27 高さセンサ支持ガイド 28 高さセンサ 31 局所制御装置 32 協調制御スレーブボード 33 中央制御装置 34 ホストコンピュータ 35 協調制御マスタボード 41 演算部 42 補償要素 43 制御対象 44 目標値 45 支持面高さ測定値 46 協調制御基準値 47 制御偏差 51 第1制御対象 52、56 高さ測定値 53、57 目標値 54、58 制御偏差 55 第2制御対象 61、62 荷重測定値 63 補償要素 70 中央制御装置 71 各ジャッキ高さ遅れ補正機能 72 ジャッキ内高さ補正機能 73 荷重変動監視機能 74 高さ設定値発生機能 80 局所制御装置 81 補償要素機能 82 変換係数機能 83 異常検知機能 91 インバータ 92 駆動モータ 93 減速機 94 電動ねじ 95 荷重センサ 96 平均化回路 a1、・・・am 2本駆動型ジャッキアップ装置 b1、・・・bn 1本駆動型ジャッキアップ装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 澄広 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 (72)発明者 上原 裕隆 千葉県野田市二ツ塚118番地 川崎重工業 株式会社野田工場内 (72)発明者 黒崎 泰充 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 冨田 勉 東京都江東区南砂2丁目11番1号 川崎重 工業株式会社東京設計事務所内 (72)発明者 松田 友秋 東京都江東区南砂2丁目11番1号 川崎重 工業株式会社東京設計事務所内 (72)発明者 西田 秋雄 東京都江東区南砂2丁目11番1号 川崎重 工業株式会社東京設計事務所内 (72)発明者 宮本 武三 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建 設株式会社内 (72)発明者 柴田 学 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建 設株式会社内 (72)発明者 佐藤 知則 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建 設株式会社内 (72)発明者 水谷 亮 愛知県名古屋市中区新栄町2丁目14番地 鹿島建設株式会社名古屋支店内 (72)発明者 本間 完介 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建 設株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築中の建造物の躯体を上方に支える支
    持腕と該支持腕の高さを調整する駆動装置と前記支持腕
    の支持面の高さを測定する高さセンサとを備えるジャッ
    キアップ装置を複数台と、前記高さセンサの測定値に基
    づいて前記複数台のジャッキアップ装置を制御する中央
    制御装置を設けたジャッキアップシステムであって、 建築中の建造物の躯体を下方から支えた各ジャッキアッ
    プ装置の支持腕を相互に全体系として高さについて協調
    制御しながら該建造物を次層階の階高に余裕代を加えた
    分上昇させてその位置に保持し、該建造物を空中で保持
    する間に前記上昇分内に納まる次層階部分の柱及び梁を
    含む建物躯体の施工を行い、その後前記建造物を支える
    前記支持腕の高さを協調制御しながら前記余裕代だけ下
    降させて次層階を含む躯体を基礎上のベース上に載置
    し、次いで再度躯体を下方から支えて上昇させる工程を
    繰り返すことによりプッシュアップを行うことを特徴と
    するジャッキアップシステム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のジャッキアップシステム
    であって、 前記複数台のジャッキアップ装置が、前記建造物の躯体
    を支える支持腕と該支持腕の高さを調整する駆動装置と
    前記支持腕にかかる荷重を測定する荷重センサを備え
    て、 該荷重センサの荷重測定値に基づき前記駆動装置を調整
    して前記支持腕の間の荷重が躯体上昇中に変動しないよ
    う制御することを特徴とするジャッキアップシステム。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のジャッキアップシステム
    であって、 前記複数台のジャッキアップ装置をそれぞれ局所的に制
    御する局所制御装置を備え、各ジャッキアップ装置の駆
    動装置を高さセンサあるいは荷重センサの測定値に基づ
    いて独立して前記支持腕の高さを制御するとともに、 各ジャッキアップ装置の支持腕の高さの計測値を前記中
    央制御装置で一括管理し、協調制御に必要な補正量を演
    算して各ジャッキアップ装置の前記局所制御装置におけ
    る支持腕の高さ制御の指令値に加えることによりシステ
    ム中の支持腕の協調上昇・下降を可能とすることを特徴
    とするジャッキアップシステム。
  4. 【請求項4】 建造物の躯体を上方に支える1本もしく
    は2本の支持腕と、該支持腕を鉛直方向に駆動する1本
    もしくは複数本の油圧アクチュエータあるいは電動ねじ
    からなる駆動装置と、前記支持腕の支持面の高さを測定
    する高さセンサと、該高さセンサの測定値に基づいて前
    記駆動装置を駆動して支持腕の高さを制御目標値に制御
    する局所制御装置とを備えるジャッキアップ装置であっ
    て、 前記高さセンサの測定値を外部の中央制御装置に伝送す
    ると共に、前記局所制御装置が該中央制御装置から補正
    指令値を受信して前記制御目標値を補正することを特徴
    とするジャッキアップ装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のジャッキアップ装置であ
    って、 さらに、前記支持腕に支持腕にかかる荷重を測定する荷
    重センサを備えて、 該荷重センサの荷重測定値に基づき前記高さの制御目標
    値を補正することにより前記駆動装置を調整して前記支
    持腕の間の荷重を均等化することを特徴とするジャッキ
    アップ装置。
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