JPH09323937A - 新規な血小板産生因子 - Google Patents

新規な血小板産生因子

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JPH09323937A
JPH09323937A JP8139842A JP13984296A JPH09323937A JP H09323937 A JPH09323937 A JP H09323937A JP 8139842 A JP8139842 A JP 8139842A JP 13984296 A JP13984296 A JP 13984296A JP H09323937 A JPH09323937 A JP H09323937A
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JP
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amino
activity
sodium chloride
platelet
wheat germ
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JP8139842A
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English (en)
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Yoji Ishida
陽治 石田
Hiroki Shigematsu
弘樹 重松
Kazuo Yano
和雄 矢野
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】下記の性質を有する血小板産生因子、その
製造法、およびその医薬用途。 (a)巨核球胞体突起形成活性を有する。 (b)インターロイキン−6及びエリスロポエチンの活
性中和抗体によっても活性が中和されない。 (c)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−
エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件下で、小麦
胚芽レクチンに吸着する。 (d)136mMの食塩と2.7mMの塩化カリウムを
含むpH7.4の10mMリン酸緩衝液(PBS)条件
下で、ブルー色素に吸着しない。 【効果】 上記の物質は、巨核球胞体突起形成活性を有
し、血小板を産生し得るものであって、血小板減少症の
治療及び予防に用いることのできる血小板産生剤として
有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、巨核球胞体突起形成を
促進する血小板産生因子及び該因子を含有する医薬組成
物、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】造血組織は生体内の中で最も活発に新生
と崩壊を繰り返している組織の一つである。多数の血球
成分が日々産生され、傍らでは機能を果たした血球は死
滅していく。このような激しい細胞の交換にもかかわら
ず、各血球は過不足がなく、恒常性が保たれている。こ
うした血球数の調節は、造血細胞の増殖、分化、成熟に
多数の造血因子が作用することにより行われていると考
えられる。即ち、赤血球を増加させる因子としてはエリ
スロポエチン(1) (以下、EPOと略記することがあ
る)が、白血球を増加させる因子としてはコロニー刺激
因子(2) が、血小板を増加させる因子としてはトロンボ
ポエチンが作用していると考えられている。
【0003】血小板は血液幹細胞から巨核球前駆細胞を
へて分化、成熟した巨核球より血中に放出されることは
知られているが、この血小板の産生過程において特異的
に作用する因子はこれまで知られてなかった。1994
年に血小板減少症動物からmplリガンドが精製され、
in vitro及びin vivoの検討からトロン
ボポエチン=mplリガンドと考えられるようになった
(3)(4)。すなわちmplリガンドは、巨核球前駆細胞数
を増加させる巨核球コロニー刺激因子(Meg−CS
F)活性及び巨核球を成熟させる巨核球増幅因子(Me
g−POT)活性を単独で有することが明らかにされ
た。しかし生体内で成熟した巨核球からの血小板の放出
にmplリガンドが直接作用しているという証拠はな
い。成熟巨核球からの血小板の放出を反映すると思われ
るin vitroの系として、精製巨核球の胞体突起
形成能を観察する方法が知られているが(5) 、mplリ
ガンドが単独で胞体突起形成を促進するという報告はこ
れまでになく、最近ではmplリガンドは巨核球胞体突
起形成活性を有さないと考えられるようになった(6)
【0004】従来、巨核球胞体突起形成活性を有する因
子としては、インターロイキン−6(以下、IL−6と
略記することがある)とEPOが知られているが、その
活性は弱く、巨核球に特異的に作用する因子ではないこ
とが知られている(7) 。 〔(1)平嶋邦猛,臨床透析,,891,1989
(2)Donahue,R.E.et al.,Sci
ence,241,1820,1988(3)Fred
eric J.,et al.,Nature,36
,533,1994(4)Kaushansky
K.et al.,Nature,369,568,1
994(5)長澤俊郎,血栓止血誌,,27,199
5(6)Nagahisa,H.et al.,Blo
od,87,1309,1996(7)Emi,An.
et al.,Experimental Hemat
ology,22,149,1994〕
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにmpl
リガンドは巨核球の増殖及び成熟を促進するため血小板
産生剤の候補の1つとして挙げられるが、ヒトに対する
血小板産生剤としてどれほど有効であるかは不明であ
る。化学療法後あるいは骨髄移植後等の血小板減少症を
改善する良い薬剤が無い現在では、mplリガンド以外
の新たな血小板産生を促進させる因子の開発が待ち望ま
れている。
【0006】
【課題を解決するための手段】血小板産生過程は大きく
分けて、次の3段階からなることが知られている。すな
わち第1段階が巨核球前駆細胞の増殖、第2段階が巨核
球の成熟、第3段階が成熟巨核球から血小板の放出であ
る。本発明者らは血小板造血の第1段階から第2段階ま
ではmplリガンドが作用し、第3段階には血漿中の未
知の因子が作用すると予想した。そこで特異的に且つ強
力に巨核球からの血小板放出を促進する作用を有する新
規な血小板産生因子を見いだすべく鋭意研究を重ねた。
その結果、血小板産生因子に親和性を持ったアフィニテ
ィーカラムを使用することにより、微量な同因子を血小
板減少症患者の血液から精製することに成功し、次いで
血小板減少症モデル動物の血液から精製することにも成
功した。さらに健常人の血液からも同じく精製すること
が可能であることを確認した。本発明の血小板産生因子
の諸性質を検討したところ、該因子は巨核球胞体突起形
成活性を有する、すなわち血小板造血の第3段階に作用
するのに対し、mplリガンドは第1、第2段階に作用
するものであり、本発明の血小板産生因子とは明らかに
相違することが確認された。さらに本発明の血小板産生
因子は、IL−6及びEPOのそれぞれの活性中和抗体
によってもその活性が中和されないことから、これらの
因子とは免疫学的に異なることが確認された。本発明
は、これらの知見に基づいて完成されたものである。す
なわち本発明は、下記の性質を有することを特徴とする
血小板産生因子である。 (a)巨核球胞体突起形成活性を有する。 (b)インターロイキン−6及びエリスロポエチンの活
性中和抗体によっても活性が中和されない。 (c)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−
エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件下で小麦胚
芽レクチンに吸着する。 (d)136mMの食塩と2.7mMの塩化カリウムを
含むpH7.4の10mMリン酸緩衝液(PBS)条件
下でブルー色素(1−amino−4−[[4−[[4
−chloro−6−[(2−sulfopheny
l)amino]−1,3,5−triazin−2−
yl]amino]−3−sulfophenyl]a
mino]−9,10−dihydro−9,10−d
ioxo−2−anthracenesulfonic
acid)に吸着しない。
【0007】本発明の血小板産生因子を製造するに際し
て用いる原料としては、本発明の血小板産生因子が含有
されるものであれば特に限定されないが、例えば哺乳動
物の血液、好ましくはヒト血液が挙げられる。血液とし
ては、全血であっても許容されるが、通常は、血漿また
は血清が好ましく、特に血漿が好ましい例として挙げら
れる。上記の血液を採取する哺乳動物としては、ヒトが
好ましく、血小板が減少した個体、例えば、再生不良性
貧血患者(AA)や、特発性血小板減少性紫斑病患者
(ITP)であってもよいが、正常の個体、健常人を用
いることも好ましい。血液から公知の方法により、血漿
または血清とすることができる。
【0008】通常前記原料は、精製の出来るだけ早い段
階において、プロテアーゼ不活化処理を行うことが好ま
しい。このプロテアーゼ不活化処理は、公知の方法にて
プロテアーゼの不活化を行えるのであれば特に限定され
ることはなく、例えば、公知の阻害剤を添加する例が挙
げられる。不活化処理の対象となるプロテアーゼとして
は、通常セリンプロテアーゼが挙げられることより、公
知のセリンプロテアーゼ阻害剤を使用することが好まし
く、例えば、ジイソプロピルフルオロリン酸(DFP)
を使用する例が挙げられる。
【0009】前記原料からの本発明の因子の分離・精製
方法としては、通常は、最初に塩析を行うことが好まし
い。塩析に用いる塩としては、種々の塩が知られてお
り、通常は、硫安塩析が好ましい。使用する塩の濃度と
しては、適宜の濃度を使用できるが、例えば、硫安塩析
では、55〜80%の硫安を使用することができる。次
いで、精製度を上げるために特に小麦胚芽レクチン、ブ
ルー色素の少なくともいずれかを用いることが好まし
く、両方用いる場合使用する順番は問わない。これらを
用いることで他の方法に比べて特に効率良く精製するこ
とが可能である。すなわち小麦胚芽レクチンは糖鎖を有
する蛋白質やペプチドを特異的に吸着するため、糖鎖を
有すると推測できる本発明の因子を効率良く精製でき
る。またブルー色素はmplリガンドや大量に含まれる
アルブミン等に吸着するが、本発明の因子には吸着しな
いので、物質として異なることが分かるとともに、精製
において、混入してくるこれら公知の因子と本発明の因
子を効率良く分離することが可能である。
【0010】小麦胚芽レクチンによる精製工程は、精製
原料に、通常pH6−8、好ましくはpH7.0−7.
5の適当な緩衝液、さらに好ましくは、150mMの食
塩を含むpH7.4の10mMのHEPES緩衝液の条
件下で、小麦胚芽レクチンを接触せしめ、吸着物を常法
に従って適当な濃度の糖例えば200mMのN−アセチ
ルグルコサミンを含む同緩衝液により溶出し、採取する
方法である。
【0011】ブルー色素による精製工程は、精製原料
に、通常pH6−8、好ましくはpH7.0−7.5の
適当な緩衝液、さらに好ましくは、pH7.4のPBS
条件下で、ブルー色素を接触せしめ、非吸着物を採取す
る方法である。小麦胚芽レクチンおよびブルー色素によ
る精製工程の好ましい例を示すと、精製原料にpH7.
0−7.5の適当な緩衝液、例えば、150mMの食塩
を含むpH7.4の10mMのHEPES緩衝液条件下
で小麦胚芽レクチンを接触せしめ、吸着物を常法に従っ
て適当な濃度の糖例えば200mMのN−アセチルグル
コサミンを含む同緩衝液により溶出し、さらに該画分
に、pH7.0−7.5の適当な緩衝液、例えば、pH
7.4のPBS条件下でブルー色素を接触せしめ、該非
吸着物を採取する方法である。
【0012】小麦胚芽レクチンは、通常に市販されてお
り、例えば生化学工業社製の製品を用いることが好まし
い。ブルー色素としてはシグマ社1994年度試薬カタ
ログに記載のシバクロンブルー3GAが好ましい。小麦
胚芽レクチンまたはシバクロンブルー3GAの使用に当
たっては、ハロゲン化シアンやエポキシドを作用させて
活性化した適当な担体例えば、活性化セルロース、活性
化アガロース、活性化デキストラン等に固定化して用い
ると好適である。その固定化方法は、特に限定されない
が、例えば小麦胚芽レクチンをハロゲン化シアン活性化
担体に固定化する場合は、pH11〜12に調製した担
体懸濁液に臭化シアンを添加することにより担体を活性
化した後、適当な固定化反応用緩衝液、好ましくは0.
5Mの食塩を含むpH8.3の0.1M炭酸水素ナトリ
ウム緩衝液中で活性化担体と小麦胚芽レクチンを反応さ
せることにより固定化できる。また、小麦胚芽レクチン
固定化担体としては、ウィートジャームレクチン(WG
L)セファロース6MB(スウェーデン、ファルマシア
社)が、シバクロンブルー3GA固定化担体としては、
ブルーセファロース・ファーストフロー(ファルマシア
社)が市販されており、これを利用することが簡便であ
る。それぞれカラムクロマトグラフィーとなして用いる
と、特に操作、効率において好ましく、本発明品は小麦
胚芽レクチンカラムの吸着画分、ブルー色素カラムの非
吸着画分に回収される。
【0013】試料の緩衝液組成を変える場合は、透析法
を用いるが、使用する透析膜は再生セルロースやセルロ
ースエステル等一般に用いられる材質が好ましい。さら
に、分画分子量は10000以下の物を使用するのが好
ましい。透析に際しては、透析する試料の100倍以上
の透析外液に対して8時間以上透析することが好まし
く、透析外液は最低1回は変えるほうが良い。透析外液
は、適当な緩衝液を用いることが通常であって、変えよ
うとする組成の緩衝液を使用すればよい。
【0014】試料の濃縮には低分子塩類を除去できる限
外濾過膜等を用いることができるが、その材質はポリス
ルホンやポリアクリロニトリル等一般に蛋白の濃縮に用
いられる材質が好ましい。さらに、分画分子量は100
00以下の物を使用するのが好ましい。また本発明の製
造方法においては、通常使用される方法、例えば、担体
による吸着法、塩析法、電気泳動法、およびイオン交
換、ゲル濾過、適当なリガンドへのアフィニティーを応
用した各種のクロマトグラフィー法等を単独で、または
組み合わせて使用できる。クロマトグラフィー法とし
て、好ましくは、カルボキシメチル(CM)基を結合さ
せた担体を用いるCMカラムクロマトグラフィー、第4
級アミノエチル基(Q)を結合させた担体を用いるQカ
ラムクロマトグラフィー、架橋したデキストランゲル等
の粒子を用いるゲル濾過カラムクロマトグラフィー、フ
ェニル基やブチル基を結合させた担体を用いる疎水性カ
ラムクロマトグラフィー、銅イオンやニッケルイオンを
結合させたキレーティングカラムクロマトグラフィー、
色素やレクチン等の該因子に親和性がある物質を結合さ
せた担体を用いるアフィニティーカラムクロマトグラフ
ィーを使用できる。
【0015】本発明の製造方法においては、上記の精製
工程の順番は特に限定されないが、特に好ましい具体的
な製造例を挙げると以下の通りである。原料として血
漿、好ましくはヒトの血漿を用い、ジイソプロピルフル
オロリン酸(DFP)処理により、内在性のセリンプロ
テアーゼを失活させ、55〜80%の硫酸アンモニウム
(硫安)塩析により分画する。血小板産生活性を有する
画分をpH7.0−7.5の適当な緩衝液、例えばHE
PES緩衝液にて透析する。次に同緩衝液で平衡化した
適当なレクチンアフィニティーカラム例えば小麦胚芽レ
クチン固定化担体、好ましくはウィートジャームレクチ
ン(WGL)セファロース6MB(スウェーデン、ファ
ルマシア社)にアプライし、十分にカラムを洗浄して非
吸着物を除く。吸着物は、常法に従って適当な糖例えば
N−アセチルグルコサミンを含む緩衝液により溶出す
る。溶出液を限外濾過膜等により適当な濃度、好ましく
は2−5mg/mlまで濃縮し、pH7.0−7.5の
適当な緩衝液、例えばPBSで予め平衡化したシバクロ
ンブルー3GA固定化担体、好ましくはブルーセファロ
ース・ファーストフロー(ファルマシア社)カラムにア
プライし、同緩衝液で十分にカラムを洗浄して非吸着画
分を得る。非吸着画分を限外濾過膜等により適当な濃
度、好ましくは2−10mg/mlまで濃縮し、pH
7.0−7.5の適当な緩衝液、例えばHEPES緩衝
液に透析する。
【0016】このようにして得られる新規な血小板産生
因子は、巨核球胞体突起形成活性を有し、血小板を産生
することのできるものである。生体に由来することから
判断できる通り、本発明の因子は、毒性が少ないことが
確認される。本発明の血小板産生因子は、巨核球の胞体
突起形成を促進する研究用試薬として、また該因子単独
で、あるいは有効量の該因子に、薬学上許容される担
体、例えば希釈液、賦形剤、増粘剤、pH調製剤等を添
加して適当な剤形とし、医薬組成物として使用すること
ができる。すなわち本発明は有効量の前記血小板産生因
子、及び薬学上許容される担体を含有することを特徴と
する医薬組成物である。
【0017】本発明の医薬組成物は、例えば、血小板産
生剤として有用である。すなわち、ある種の血小板減少
症、例えば抗癌剤投与後の血小板減少症、放射線治療後
の血小板減少症、造血因子欠損による血小板減少症、再
生不良性貧血の血小板減少症、骨髄異形成症侯群の血小
板減少症、自己免疫疾患の血小板減少症の治療及び予防
に有用である。本発明の医薬組成物は、特に好ましくは
注射剤として用いることができる。例えば、注射用蒸留
水、ブドウ糖、ショ糖、グリセリン、食塩、リン酸ナト
リウム等の希釈液、増粘剤、等張剤、pH調整剤等を加
えることができる。
【0018】本発明の血小板産生因子の成人1回当りの
投与量は、年齢、性別、体重、症状などによって異なる
が、一般に約0.1μg〜100mgであり、1日当り
1回または必要に応じて数回投与することができる。本
発明をより詳細に記述するために、参考例及び実施例に
より説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定
されるものではない。
【0019】
【参考例】マウス骨髄細胞をmplリガンド存在下で培
養することにより誘導した巨核球を用いて、巨核球から
の血小板放出を反映すると考えられる胞体突起形成活性
を測定した。 〔IMDM液(Iscove’s modeifica
tion of Dallbecco’s mediu
m)〕;粉末IMDM(1リットル用)(米国、ギブコ
社製)に重曹3.024gを加え、pHを7.1に調整
した後、1リットルにメスアップし、更に50IU/m
lペニシリン及び50μg/mlストレプトマイシン
(いずれも米国、フローラボラトリーズ社製)を加えて
調製したものである。 〔巨核球誘導培地〕;10μg/mlのウシ由来インシ
ュリン(ギブコ社製)、5μg/mlのウシ由来ホロタ
イプトランスフェリン(ギブコ社製)、0.3ng/m
lのmplリガンド(英国、ペプロテック社製)を含む
IMDM液を用いた。 〔巨核球胞体突起形成培地〕;10μg/mlのウシ由
来インシュリン(ギブコ社製)、5μg/mlのウシ由
来ホロタイプトランスフェリン(ギブコ社製)を含むI
MDM液を用いた。 〔巨核球分散液の調製〕;6〜10週齢のddYマウス
(雄)8匹の大腿骨を採取し、その両端を切断し、1m
Mエチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)を
含むカルシウム、マグネシウム不含ハンクス液(米国、
シグマ社製;pH7.4)20mlをいれたプラスチッ
ク注射器(22G針)を用いて、100mmプラスチッ
クディッシュ中に、骨髄を押し出した。ピペッティング
により細胞を分散した後、15mlのチューブに移し、
100gで20分間遠心した。沈殿性の細胞を10ml
のIMDMに分散し、350gで5分間遠心し、再び、
沈殿性の細胞を10mlのIMDMに分散し、350
g、5分間遠心した。沈殿性の細胞を5×106 /ml
になるように巨核球誘導培地に分散して、約40mlの
骨髄細胞分散液を取得した。
【0020】8個の25cm2 培養用フラスコ(米国、
ベクトンディッキンソン社製)に、前記骨髄細胞分散液
5mlずつを分注し、37℃、5%CO2 の条件下で2
日間培養し、巨核球を誘導せしめた。培養後、巨核球を
含むこの培養細胞を、数回のピペッティングにより分散
した後、4本の15mlチューブに10mlずつ分注
し、1時間静置した。4本のチューブのそれぞれから、
上部の8.5mlを吸い出して除去し、沈降性の細胞を
含む下部の1.5mlを集め、数回のピペッティングに
より、細胞を分散し、4本のチューブをあわせて6ml
の細胞分散液を取得した。
【0021】2本の15mlチューブに、下から1.5
mlの16%BSAを含むカルシウム、マグネシウム不
含ハンクス液(シグマ社製)、続いて、3mlの4%B
SAを含むカルシウム、マグネシウム不含ハンクス液、
さらに続いて、1.5mlの2%BSAを含むカルシウ
ム、マグネシウム不含ハンクス液を重層し、さらにその
上に、前記にて調製された細胞分散液3mlを重層し、
1時間静置した。巨核球は、最下部に分画されることか
ら、上部7mlを吸い出して除去し、下部2mlを取得
した。
【0022】これに8mlのIMDMを加え、60gで
5分間の遠心を行い、細胞を洗浄した。顕微鏡観察によ
り20μm以上の大きさを持つ細胞を巨核球として、沈
殿中の巨核球数を測定し、3000巨核球/mlになる
ように胞体突起形成培地に分散し、これを巨核球分散液
とした。 〔胞体突起形成活性の測定〕;培養用96穴プレート
(日本国、住友ベークライト社製)に、前記巨核球分散
液を100μlずつ分注し、被験体10μlを添加し
た。また、陰性対照として、被験体無添加試験群を設け
た。
【0023】このプレートを2日間培養し、培養後、プ
レートの各穴の巨核球を顕微鏡下で観察して、胞体突起
形成を起こした巨核球数を測定し、陰性対照の胞体突起
形成を起こした巨核球数と、被験体を添加したときの胞
体突起形成を起こした巨核球数とを比較し、被験体の胞
体突起形成能を測定した。活性の強さは、陰性対照での
胞体突起形成巨核球数を100%としてその比率で表し
た。
【0024】
【実施例】
[実施例1] 再生不良性貧血患者(AA)血漿からの
血小板産生因子の精製 血小板数約2万/μlの再生不良性貧血患者(AA)か
ら得た血液に10分の1量の3.8%クエン酸ナトリウ
ム水溶液を加え、1,000gで20分間遠心した後に
得られた上清を血漿とした。血漿35mlに1mMのジ
イソプロピルフルオロリン酸を加え、4℃で2時間撹拌
して内在性のセリンプロテアーゼを失活させた後、アン
モニア水でpHが酸性にならないように調整しながら5
5%飽和となるように硫安を添加し、4℃で約1時間撹
拌した。55%飽和硫安溶液を4℃、10,000gで
30分間遠心後、その上清にさらに80%飽和となるよ
うに硫安を添加し、4℃で約1時間撹拌した。80%飽
和硫安溶液を4℃、10,000gで30分間遠心後、
得られた沈殿を150mMの食塩を含むpH7.4の1
0mMのHEPES緩衝液に溶解し、同緩衝液に対して
透析したものを粗精製品1とした。
【0025】粗精製品1を予め150mMの食塩を含む
pH7.4の10mMのHEPES緩衝液で十分に平衡
化したWGLセファロース6MB(ファルマシア社製)
カラム(直径5.0cm×高さ2.8cm)にアプライ
した。約250mlの同緩衝液で非吸着物を洗浄、除去
した後、200mMのN−アセチルグルコサミンを含む
同緩衝液で吸着物を溶出した。操作はすべて4℃、流速
は3ml/分、検出は280nmの吸収で行った。精製
開始後約100分から170分までの溶出液、約200
mlを集め、限外濾過中空糸(旭化成工業製)で約10
mlまで濃縮し、PBSに対して透析したものを粗精製
品2とした。図1に精製2段目のWGLセファロースク
ロマトグラフィーの結果の一例を示した。
【0026】粗精製品2を予めPBSで十分に平衡化し
たブルーセファロース・ファーストフロー(ファルマシ
ア社製)カラム(直径2.6cm×高さ2.5cm)に
アプライし、約20mlの同緩衝液で非吸着物を洗浄、
除去した後、約30mlの1.5M食塩を含む同緩衝液
で吸着物を溶出した。操作はすべて4℃、流速は1.3
ml/分、検出は280nmの吸収で行った。精製開始
後約5分から35分までの洗浄液、約40mlを集め、
限外濾過中空糸(旭化成工業製)で約2mlまで濃縮
し、150mMの食塩を含むpH7.4の10mMのH
EPES緩衝液に対して透析したものを精製標品とし
た。図2に精製3段目のブルーセファロースカラムクロ
マトグラフィーの結果の一例を示した。
【0027】AAの血漿を原料とした各精製工程におけ
る蛋白質の回収率をそれ表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】[実施例2] 特発性血小板減少性紫斑病
患者(ITP)血漿からの血小板産生因子の精製 血小板数約2万/μlの特発性血小板減少性紫斑病患者
(ITP)から得た血液に10分の1量の3.8%クエ
ン酸ナトリウム水溶液を加え、1,000gで20分間
遠心した後に得られた上清を血漿とした。血漿35ml
に1mMのジイソプロピルフルオロリン酸を加え、4℃
で2時間撹拌して内在性のセリンプロテアーゼを失活さ
せた後、アンモニア水でpHが酸性にならないように調
整しながら55%飽和となるように硫安を添加し、4℃
で約1時間撹拌した。55%飽和硫安溶液を4℃、1
0,000gで30分間遠心後、その上清にさらに80
%飽和となるように硫安を添加し、4℃で約1時間撹拌
した。80%飽和硫安溶液を4℃、10,000gで3
0分間遠心後、得られた沈殿を150mMの食塩を含む
pH7.4の10mMのHEPES緩衝液に溶解し、同
緩衝液に対して透析したものを粗精製品1とした。
【0030】粗精製品1を予め150mMの食塩を含む
pH7.4の10mMのHEPES緩衝液で十分に平衡
化したWGLセファロース6MB(ファルマシア社製)
カラム(直径5.0cm×高さ2.8cm)にアプライ
した。約250mlの同緩衝液で非吸着物を洗浄、除去
した後、200mMのN−アセチルグルコサミンを含む
同緩衝液で吸着物を溶出した。操作はすべて4℃、流速
は3ml/分、検出は280nmの吸収で行った。精製
開始後約100分から170分までの溶出液、約200
mlを集め、限外濾過中空糸(旭化成工業製)で約10
mlまで濃縮し、PBSに対して透析したものを粗精製
品2とした。
【0031】粗精製品2を予めPBSで十分に平衡化し
たブルーセファロース・ファーストフロー(ファルマシ
ア社)カラム(直径2.6cm×高さ2.5cm)にア
プライし、約20mlの同緩衝液で非吸着物を洗浄、除
去した後、約30mlの1.5M食塩を含む同緩衝液で
吸着物を溶出した。操作はすべて4℃、流速は1.3m
l/分、検出は280nmの吸収で行った。精製開始後
約5分から35分までの洗浄液、約40mlを集め、限
外濾過中空糸(旭化成工業製)で約2mlまで濃縮し、
150mMの食塩を含むpH7.4の10mMのHEP
ES緩衝液に対して透析したものを精製標品とした。
【0032】ITPの血漿を原料とした各精製工程にお
ける蛋白質の回収率を表2に示した。
【0033】
【表2】
【0034】[実施例3] 血小板減少症ウサギ血漿か
らの血小板産生因子の精製 ニュージーランドホワイトウサギからクエン酸ナトリウ
ムを用いて全採血後、100gで20分間遠心し、上清
の血小板を集めた。これに1.5mMのエチレンジアミ
ン4酢酸2ナトリウム(EDTA)を含むPBSを当量
加え、400gで15分間遠心し、沈殿の血小板を集め
た。血小板を同緩衝液で同様にして2回洗浄した後、少
量の同緩衝液に懸濁した。血小板懸濁液にフロイント完
全アジュバンドを適量加え乳化して、ヤギの皮下または
皮内の数か所に2週間おきに接種した。一回の接種には
ウサギ2羽分の血小板を用いた。7回目の接種から2週
間後に全採血し、抗ウサギ血小板ヤギ抗血清約1000
mlを取得した。
【0035】2.5〜3.0kgのニュージーランドホ
ワイトウサギに、上記により得られた抗ウサギ血小板ヤ
ギ抗血清を3ml静注することにより血小板減少症を引
き起こした。mplリガンドは抗体投与24時間後にそ
の血中濃度が最大になるので(F.Wendling,
Nature,369,571,1994)、mplリ
ガンドの混入を最小限にし、かつ該因子を効率良く精製
するために、抗血小板抗体を投与して約6時間後の血漿
を精製原料として用いた。抗血清投与約6時間後に心臓
採血して得た血液に、直ちに、10分の1量の77mM
のEDTA水溶液(ただし1NのNaOH水溶液でpH
7.4に調整)を加え、1,000gで20分間遠心し
て得た上清を血漿とした。血漿76mlに1mMのジイ
ソプロピルフルオロリン酸を加え、4℃で2時間撹拌し
て内在性のセリンプロテアーゼを失活させた後、アンモ
ニア水でpHが酸性にならないように調整しながら55
%飽和となるように硫安を添加し、4℃で約1時間撹拌
した。55%飽和硫安溶液を4℃、10,000gで3
0分間遠心後、その上清にさらに80%飽和となるよう
に硫安を添加し、4℃で約1時間撹拌した。80%飽和
硫安溶液を4℃、10,000gで30分間遠心後、得
られた沈殿を150mMの食塩を含むpH7.4の10
mMのHEPES緩衝液に溶解し、同緩衝液に対して透
析したものを粗精製品1とした。
【0036】粗精製品1を予め150mMの食塩を含む
pH7.4の10mMのHEPES緩衝液で十分に平衡
化したWGLセファロース6MB(ファルマシア社製)
カラム(直径5.0cm×高さ5.5cm)にアプライ
した。約450mlの同緩衝液で非吸着物を洗浄、除去
した後、200mMのN-アセチルグルコサミンを含む
同緩衝液で吸着物を溶出した。操作はすべて4℃、流速
は3ml/分、検出は280nmの吸収で行った。精製
開始後約180分から310分までの溶出液、約400
mlを集め、限外濾過中空糸(旭化成工業製)で約15
mlまで濃縮し、PBSに対して透析したものを粗精製
品2とした。
【0037】粗精製品2を予めPBSで十分に平衡化し
たブルーセファロース・ファーストフロー(ファルマシ
ア社製)カラム(直径2.6cm×高さ2.8cm)に
アプライし、約25mlの同緩衝液で非吸着物を洗浄、
除去した後、約35mlの1.5M食塩を含む同緩衝液
で吸着物を溶出した。操作はすべて4℃、流速は1.3
ml/分、検出は280nmの吸収で行った。精製開始
後約5分から40分までの洗浄液、約45mlを集め、
限外濾過中空糸(旭化成工業製)で約2mlまで濃縮
し、150mMの食塩を含むpH7.4の10mMのH
EPES緩衝液に対して透析したものを精製標品とし
た。
【0038】ウサギの血漿を原料とした各精製工程にお
ける蛋白質の回収率を表3に示した。
【0039】
【表3】
【0040】[実施例4] 健常人血漿からの血小板産
生因子の精製 健常人(N)から得た血液に10分の1量の3.8%ク
エン酸ナトリウム水溶液を加え、1,000gで20分
間遠心した後に得られた上清を血漿とした。血漿86m
lに1mMのジイソプロピルフルオロリン酸を加え、4
℃で2時間撹拌して内在性のセリンプロテアーゼを失活
させた後、アンモニア水でpHが酸性にならないように
調整しながら55%飽和となるように硫安を添加し、4
℃で約1時間撹拌した。55%飽和硫安溶液を4℃、1
0,000gで30分間遠心後、その上清にさらに80
%飽和となるように硫安を添加し、4℃で約1時間撹拌
した。80%飽和硫安溶液を4℃、10,000gで3
0分間遠心後、得られた沈殿を150mMの食塩を含む
pH7.4の10mMのHEPES緩衝液に溶解し、同
緩衝液に対して透析したものを粗精製品1とした。
【0041】粗精製品1を予め150mMの食塩を含む
pH7.4の10mMのHEPES緩衝液で十分に平衡
化したWGLセファロース6MB(ファルマシア社製)
カラム(直径5.0cm×高さ5.5cm)にアプライ
した。約450mlの同緩衝液で非吸着物を洗浄、除去
した後、200mMのN-アセチルグルコサミンを含む
同緩衝液で吸着物を溶出した。操作はすべて4℃、流速
は3ml/分、検出は280nmの吸収で行った。精製
開始後約180分から310分までの溶出液、約400
mlを集め、限外濾過中空糸(旭化成工業製)で約28
mlまで濃縮し、PBSに対して透析したものを粗精製
品2とした。
【0042】粗精製品2を予めPBSで十分に平衡化し
たブルーセファロース・ファーストフロー(ファルマシ
ア社製)カラム(直径2.6cm×高さ2.8cm)に
アプライし、約25mlの同緩衝液で非吸着物を洗浄、
除去した後、約35mlの1.5M食塩を含む同緩衝液
で吸着物を溶出した。操作はすべて4℃、流速は1.3
ml/分、検出は280nmの吸収で行った。精製開始
後約5分から50分までの洗浄液、約60mlを集め、
限外濾過中空糸(旭化成工業製)で約3.5mlまで濃
縮し、150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
HEPES緩衝液に対して透析したものを精製標品とし
た。
【0043】Nの血漿を原料とした各精製工程における
蛋白質の回収率を表4に示した。
【0044】
【表4】
【0045】[実施例5] 本発明の血小板産生因子の
巨核球胞体突起形成活性 該因子精製標品について、巨核球胞体突起形成活性を参
考例に示した方法で検討した結果を図3に示した。A
A、ITP、N及びウサギの血漿から精製した該因子は
コントロールに比べ濃度依存的に巨核球の胞体突起形成
を促進し、その活性の強さは最大300%を越えた。一
方巨核球胞体突起形成活性を有する既知因子のヒト組換
え型IL−6(米国、アップステートバイオテクノロジ
ー社製)およびヒト組換え型EPO(独国、ベーリンガ
ーマンハイム社製)は最大でもその活性は200%以下
であり、該因子よりも弱かった。ヒト組換え型mplリ
ガンドには、巨核球胞体突起形成活性は認められなかっ
た。
【0046】本発明の因子は、コントロールに比べた巨
核球胞体突起形成活性が少なくとも200%以上、好ま
しくは300%以上の数値となりえる物質であると判断
される。以上纏めると、本発明の因子は、明らかに巨核
球胞体突起形成活性を有することが確認された。また、
150mMの食塩を含むpH7.4の10mMのHEP
ES緩衝液条件下で小麦胚芽レクチンを接触せしめ、該
小麦胚芽レクチンに吸着する画分を採取し、さらに該画
分に、pH7.4のPBS条件下でブルー色素を接触せ
しめ、該ブルー色素に吸着しない画分を採取することに
より取得された精製標品に、巨核球胞体突起形成活性が
確認できたことから、(c)150mMの食塩を含むp
H7.4の10mMのN−(2−ヒドロキシエチル)ピ
ペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)
緩衝液条件下で小麦胚芽レクチンに吸着する性質と、
(d)pH7.4のPBS条件下でブルー色素(1−a
mino−4−[[4−[[4−chloro−6−
[(2−sulfophenyl)amino]−1,
3,5−triazin−2−yl]amino]−3
−sulfophenyl]amino]−9,10−
dihydro−9,10−dioxo−2−ant
hracenesulfonic acid)に吸着し
ない性質が確認された。 [実施例6] 本発明の血小板産生因子の他の物質との
免疫学的な区別 実施例1、2、4のそれぞれの精製標品について、ヒト
IL−6 ELISAシステム(英国、アマシャム社
製)を用いてIL−6抗原量を測定した。すなわち、キ
ットとして添付された抗ヒトIL−6抗体がコートされ
た96穴プレートに、実施例1、2、4のそれぞれの精
製標品と、ビオチン標識した抗ヒトIL−6抗体を添加
し、洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識スト
レプトアビジンを添加した。各穴を洗浄後、テトラメチ
ルベンシジンを添加し、発色させた。硫酸添加により酵
素反応を止め、450nmの吸光度を測定した。既知量
のIL−6標準品による吸光度と比較することにより、
実施例1、2、4のそれぞれの精製標品中のIL−6量
を測定した。
【0047】その結果ヒト血漿から調製した実施例1、
2、4のそれぞれの精製標品中のIL−6混入量は1p
g/ml以下であり、IL−6の混入がないか、または
あっても極めて微量であることが確認された。さらに別
の方法により以下の確認を行った。即ち、該因子精製標
品の巨核球胞体突起形成活性がIL−6及びEPOが混
入していることによる活性ではないこと、およびIL−
6及びEPOのそれぞれの活性中和抗体によっても活性
が中和されない性質を、本発明の因子が有することを確
かめるために、抗ヒトIL−6抗体及び抗ヒトEPO抗
体を用い、該因子精製標品の活性中和実験を行なった。
なお抗ヒトIL−6抗体及び抗ヒトEPO抗体は、米国
のジェンザイム社製のウサギ抗血清を、カラムに充填し
て調製したプロセップA(英国、バイオプロセッシング
社製)カラムにより精製したものを用いた。すなわち1
mlの抗血清(米国ジェンザイム社製)に、PBSを9
ml添加して、PBSで平衡化した1mlのプロセップ
Aカラムにアプライした。5mlの同緩衝液でカラムを
洗浄した後に5mlのpH3.0の0.1Mグリシンー
塩酸緩衝液で吸着している抗体を溶出した。溶出液を直
ちに中和した後、150mMの食塩を含むpH7.4の
10mMのHEPES緩衝液に透析した。ポリスルホン
中空糸(旭化成社製)で約10mg/mlまで濃縮した
ものを以下の活性中和実験に用いた。0.3%のAA、
ITP及びNの精製標品に精製抗体を添加し、4℃で3
0分間反応させた後、その残存活性を参考例に示した方
法で測定した。AAの精製標品の抗体中和後の残存活性
を図4に、ITPの精製標品の抗体中和後の残存活性を
図5に、Nの精製標品の抗体中和後の残存活性を図6に
示した。添加する抗体の量を増加させても、すなわち1
〜100ng/mlまでのIL−6と0.05〜5U/
mlまでのEPOを完全に中和する量の抗体を添加して
も巨核球胞体突起形成活性の低下傾向は全く認められな
いことから、該因子は免疫学的にIL−6及びEPOと
区別できることが確認された。
【0048】即ち、本発明の因子は、インターロイキン
−6(IL−6)及びエリスロポエチン(EPO)のそ
れぞれの活性中和抗体によっても活性が中和されない性
質が確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 硫安塩析により得られた血小板産生因子粗
製製品1のWGLセファロースカラムクロマトグラムで
ある。
【図2】 WGLセファロースカラムクロマトグラフ
ィーにより得られた血小板産生因子粗製製品2のブルー
セファロースカラムクロマトグラムである。
【図3】 各種血漿から取得した該因子精製標品の巨
核球胞体突起形成活性を比較したグラフである。
【図4】 AA血漿から取得した該因子精製標品の抗
体中和後の残存巨核球胞体突起形成活性を示したグラフ
である。
【図5】 ITP血漿から取得した該因子精製標品の
抗体中和後の残存巨核球胞体突起形成活性を示したグラ
フである。
【図6】 N血漿から取得した該因子精製標品の抗体
中和後の残存巨核球胞体突起形成活性を示したグラフで
ある。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の性質を有することを特徴とする血
    小板産生因子。 (a)巨核球胞体突起形成活性を有する。 (b)インターロイキン−6及びエリスロポエチンの活
    性中和抗体によっても活性が中和されない。 (c)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−
    エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件下で小麦胚
    芽レクチンに吸着する。 (d)136mMの食塩と2.7mMの塩化カリウムを
    含むpH7.4の10mMリン酸緩衝液(PBS)条件
    下でブルー色素(1−amino−4−[[4−[[4
    −chloro−6−[(2−sulfopheny
    l)amino]−1,3,5−triazin−2−
    yl]amino]−3−sulfophenyl]a
    mino]−9,10−dihydro−9,10−d
    ioxo−2−anthracenesulfonic
    acid)に吸着しない。
  2. 【請求項2】 哺乳動物の血液を原料とし、55%から
    80%の飽和硫酸アンモニウムで塩析される画分を採取
    し、該画分に、150mMの食塩を含むpH7.4の1
    0mMのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−
    N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件
    下で小麦胚芽レクチンを接触せしめ、該小麦胚芽レクチ
    ンに吸着する画分を採取し、さらに該画分に、136m
    Mの食塩と2.7mMの塩化カリウムを含むpH7.4
    の10mMリン酸緩衝液(PBS)条件下でブルー色素
    (1−amino−4−[[4−[[4−chloro
    −6−[(2−sulfophenyl)amino]
    −1,3,5−triazin−2−yl]amin
    o]−3−sulfophenyl]amino]−
    9,10−dihydro−9,10−dioxo−2
    −anthracenesulfonic acid)
    を接触せしめ、該ブルー色素に吸着しない画分を採取す
    ることにより取得されえる下記の性質を有することを特
    徴とする血小板産生因子。 (a)巨核球胞体突起形成活性を有する。 (b)インターロイキン−6及びエリスロポエチンの活
    性中和抗体によっても活性が中和されない。 (c)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−
    エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件下で小麦胚
    芽レクチンに吸着する。 (d)136mMの食塩と2.7mMの塩化カリウムを
    含むpH7.4の10mMリン酸緩衝液(PBS)条件
    下でブルー色素(1−amino−4−[[4−[[4
    −chloro−6−[(2−sulfopheny
    l)amino]−1,3,5−triazin−2−
    yl]amino]−3−sulfophenyl]a
    mino]−9,10−dihydro−9,10−d
    ioxo−2−anthracenesulfonic
    acid)に吸着しない。
  3. 【請求項3】 血小板産生因子が、ヒト由来である請求
    項1又は2のいずれかに記載の血小板産生因子。
  4. 【請求項4】 有効量の請求項1〜3のいずれかに記載
    の血小板産生因子、及び薬学上許容される担体を含有す
    ることを特徴とする医薬組成物。
  5. 【請求項5】 医薬組成物が、血小板産生剤である請求
    項4に記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】 小麦胚芽レクチンまたはブルー色素を用
    いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    血小板産生因子の製造方法。
  7. 【請求項7】 小麦胚芽レクチンへの吸着画分を採取す
    る工程及びブルー色素への非吸着画分を採取する工程を
    含むことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 哺乳動物の血液を原料とし、55%から
    80%の飽和硫酸アンモニウムで塩析される画分を採取
    し、該画分に、150mMの食塩を含むpH7.4の1
    0mMのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−
    N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件
    下で小麦胚芽レクチンを接触せしめ、該小麦胚芽レクチ
    ンに吸着する画分を採取し、さらに該画分に、136m
    Mの食塩と2.7mMの塩化カリウムを含むpH7.4
    の10mMリン酸緩衝液(PBS)条件下でブルー色素
    (1−amino−4−[[4−[[4−chloro
    −6−[(2−sulfophenyl)amino]
    −1,3,5−triazin−2−yl]amin
    o]−3−sulfophenyl]amino]−
    9,10−dihydro−9,10−dioxo−2
    −anthracenesulfonic acid)
    を接触せしめ、該ブルー色素に吸着しない画分を採取す
    ることを特徴とする下記の性質を有する血小板産生因子
    の製造方法。 (a)巨核球胞体突起形成活性を有する。 (b)インターロイキン−6及びエリスロポエチンの活
    性中和抗体によっても活性が中和さない。 (c)150mMの食塩を含むpH7.4の10mMの
    N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−
    エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液条件下で小麦胚
    芽レクチンに吸着する。 (d)136mMの食塩と2.7mMの塩化カリウムを
    含むpH7.4の10mMリン酸緩衝液(PBS)条件
    下でブルー色素(1−amino−4−[[4−[[4
    −chloro−6−[(2−sulfopheny
    l)amino]−1,3,5−triazin−2−
    yl]amino]−3−sulfophenyl]a
    mino]−9,10−dihydro−9,10−d
    ioxo−2−anthracenesulfonic
    acid)に吸着しない。
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