JPH09323239A - 回転切削工具の摩耗状態検出装置および検出方法 - Google Patents

回転切削工具の摩耗状態検出装置および検出方法

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JPH09323239A
JPH09323239A JP7022997A JP7022997A JPH09323239A JP H09323239 A JPH09323239 A JP H09323239A JP 7022997 A JP7022997 A JP 7022997A JP 7022997 A JP7022997 A JP 7022997A JP H09323239 A JPH09323239 A JP H09323239A
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JP
Japan
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cutting tool
rotary cutting
output
wear
wavelet
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JP7022997A
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English (en)
Inventor
Hiroo Ozeki
宏夫 大関
Koji Tanaka
興治 田中
Hideki Aoyama
英樹 青山
Ichiro Inazaki
一郎 稲崎
Kimiya Hisada
仁也 久田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誤動作を起こす虞が少なく、異常検出の構成
が簡単で、しかも応答性が早い回転切削工具の摩耗状態
検出装置および検出方法を提供すること。 【解決手段】 回転切削工具に作用する切削トルクをト
ルクセンサによって測定し、その測定結果をウェーブレ
ット変換装置29aにおいてウェーブレット変換する。
次に、その変換結果を絶対値化回路29bにおいて絶対
値に変換し、絶対値変換によって得られた信号を積分装
置29cにおいて例えば工具の1回転時間積分する。そ
して、その積分結果を、記憶装置29d内に予め記憶さ
れている摩耗が0の時の積分データによって、除算装置
29eにおいて除算し、該除算結果を一定値と比較する
ことによって回転切削工具の摩耗状態を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンドミルやドリ
ル等の回転切削工具を用いた切削加工に係わり、特に工
具摩耗状態を検出する回転切削工具の摩耗状態検出装置
および検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の検出装置として、新しい
工具によってテストワークを試験的に切削し、この時の
工具に加わるトルクパターンを検出し、このパターンか
ら工具が折損に至る手前の大きさの折損危険トルクレベ
ルを設定し、実際に多数のワークの切削を行う時にトル
クパターンを常時検知し、該パターンが折損危険トルク
レベルに達したか否かによって工具折損の予知(工具摩
耗状態の検出)を行うものが知られている(特開昭6−
198547号)。また、他の検出装置として、AE
(アコースティック・エミッション)センサを工作物や
主軸ヘッドに取り付け、その出力信号を周波数分析して
工具摩耗等の加工異常に関連ある情報を抽出し、この抽
出結果から工具摩耗、工具異常を検出するものも知られ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
装置にあっては、工具の種類や切削条件によって工具摩
耗の進行に伴う切削トルクの変化が小さい場合などがあ
り、そのような場合に誤動作を引き起こす虞があった。
また、後者の装置にあっては、AEセンサの取付位置や
工作物の形状が変化すると、AEセンサの出力が変化
し、このため、該取付位置や形状に応じて異常検出条件
を変えなければならない問題があった。そこで、この発
明は、誤動作を起こす虞が少なく、異常検出の構成が簡
単で、しかも応答性が早い回転切削工具の摩耗状態検出
装置および検出方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、回転切削工具に作用する切削トルクをトルクセンサ
によって測定する測定手段と、測定手段の出力信号をウ
ェーブレット変換する演算手段と、演算手段の出力に基
づいて前記回転切削工具の摩耗状態を検出する検出手段
とを具備することを特徴とする回転切削工具の摩耗状態
検出装置である。請求項2に記載の発明は、請求項1に
記載の回転切削工具の摩耗状態検出装置において、測定
手段が、切削トルクを磁歪式トルクセンサによって測定
することを特徴としている。
【0005】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の回転切削工具の摩耗状態検出装置において、演算手段
を、前記測定手段の出力信号をウェーブレット変換する
変換手段と、変換手段の出力の絶対値をとる絶対値演算
手段と、絶対値演算手段の出力を一定期間積分する積分
手段とから構成したことを特徴とする。請求項4に記載
の発明は、請求項3に記載の回転切削工具の摩耗状態検
出装置において、演算手段は、前記回転切削工具の摩耗
がない状態における前記積分手段の出力値を記憶する記
憶手段と、積分手段の出力を前記記憶手段内の上記出力
値で除算する除算手段とをさらに具備することを特徴と
する。
【0006】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
の回転切削工具の摩耗状態検出装置において、検出手段
は、演算手段の出力を予め設定された一定値と比較する
比較手段を具備することを特徴とする。請求項6に記載
の発明は、回転切削工具に作用する切削トルクをトルク
センサによって測定し、その測定結果をウェーブレット
変換し、その変換によって得られたデータに基づいて前
記回転切削工具の摩耗状態を検出することを特徴とする
回転切削工具の摩耗状態検出方法である。請求項7に記
載の発明は、回転切削工具に作用する切削トルクをトル
クセンサによって測定し、その測定結果をウェーブレッ
ト変換し、その変換結果を絶対値に変換し、絶対値変換
によって得られた信号を一定時間積分し、その積分結果
を摩耗が0の時の積分データによって除算し、該除算結
果を一定値と比較することによって回転切削工具の摩耗
状態を検出することを特徴とする回転切削工具の摩耗状
態検出方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図2は本発明の一実施形態
による回転切削工具の摩耗状態検出装置の構成を示すブ
ロック図、図1は同検出装置における演算装置29の構
成を示すブロック図である。図2において、符号11
は、先端部に工具を把持する機構を有する、トルクを検
出するためのトルク検出軸であり、このトルク検出軸1
1は、その基端部がホルダ12によって保持され、さら
にこのホルダ12が工作機械の主軸13に取り付けられ
ることにより、これらホルダ12および主軸13ととも
にその軸線Oの回りに回転されつつ該軸線Oおよび該軸
線Oに直交する送り方向に送られ、該トルク検出軸11
の先端に把持された工具15によって、工作機械のテー
ブル16上に載置された被加工物Wの切削を行う。
【0008】一方、上記ホルダ12の先端部には円筒壁
状の延出部12aが形成されており、この延出部12a
と該延出部12aに収容されるトルク検出軸11の胴周
部との間には、工作機械の主軸頭17から延びるアーム
18に連結された円筒状の支持体19がベアリング20
…を介して介装されていて、これによりこの支持体19
は、一体に回転するトルク検出軸11およびホルダ12
に対しては相対的に回転可能に、かつ主軸頭17に対し
ては固定的に支持される。そして、上記トルク検出軸1
1の胴周部には、Fe−Ni−Mo−Bよりなる磁歪膜
をプラズマ溶射法を用いて成膜してなる磁歪層21…,
22…が形成されており、一方これらの磁歪層21…,
22…に対向する上記支持体19の内周部には、一対の
コイル23,23が軸線O方向に並んでトルク検出軸1
1の胴周部を取り囲むように配設されていて、これら磁
歪層21…,22…とコイル23,23とにより、本実
施形態における測定手段としての磁歪式トルクセンサ2
4が構成されている。
【0009】ここで本実施形態では、図2に示されるよ
うに上記磁歪層21…,22…は軸線O方向に対してそ
れぞれ±45°の方向に螺旋状に形成されて形状異方性
が付与されており、切削時に工具15を介してトルク検
出軸11に切削トルクが印加されて捩れの応力が作用す
ると、磁歪層21…,22…には互いに引張応力と圧縮
応力とが発生してその透磁率が変化し、これに比例して
コイル23,23の自己インダクタンスも変化するた
め、これら二つのコイル23,23のインダクタンスの
差から工具15に印加された切削トルクが測定される。
【0010】上記コイル23,23は、アーム18に内
蔵されたプリアンプ25を介してセンサアンプ26に接
続されている。したがって、このセンサアンプ26の出
力が切削トルクの大きさを示している。図3にこのセン
サアンプ26の出力波形を示す。この図において(a)
は工具15の逃げ面摩耗幅VBが0の場合、(b)は逃
げ面摩耗幅VBが0.10mmの場合、(c)は逃げ面摩
耗幅VBが0.27mmの場合である。このセンサアンプ
26の出力はカットオフ周波数5kHzのローパスフィ
ルタ27を介してA/D変換器28へ入力される。A/
D変換器28はローパスフィルタ27の出力を周波数1
0kHzでサンプリングしてディジタルデータに変換
し、所定のサンプリングデータの記憶が可能なバッファ
33へ出力し、バッファ33内に記憶されたサンプリン
グデータを用いて演算装置29により所定の演算が行わ
れる。
【0011】ところで、信号の周波数成分を調べる場
合、一般には高速フーリエ変換が用いられる。しかし、
フーリエ変換に用いられる変換基底は時間方向に無限に
続くため、フーリエ変換を用いると信号の時間的情報が
失われるという欠点がある。更に本実施の形態のように
ディジタル変換した信号を用いる離散型のフーリエ変換
を行う場合、所定量のサンプリングデータを1ブロック
とし、ブロック単位にフーリエ変換を行うことになり、
連続的に得られる信号をリアルタイムに処理することに
は適していない。そこで、本実施の形態では周波数解析
の手段として、ウェーブレット変換を用いる。ウェーブ
レット変換は変換基底が短いため、周波数的情報のみで
なく時間的情報も得られ、かつ連続的に得られる信号に
対して連続的な変換処理が可能であり、リアルタイムな
処理に適している。以下では、ウェーブレット変換機能
を備えた演算装置29の詳細を図1を参照して説明す
る。図1において、29aはウェーブレット変換装置で
ある。このウェーブレット変換装置29aは、ローパス
フィルタ27の出力波形{f(t)とする}をディジタル技
術によってウェーブレット変換する装置である。以下に
おいて、このウェーブレット変換装置29aで行われる
演算について説明する。
【0012】周知のように、波形f(t)のウェーブレット
変換は次式で表される。
【数1】 但し、W(b,a):ウェーブレット変換 ψ(t):マザーウェーブレット a:スケールパラメータ b:トランスレートパラメータ しかし、この式に基づくウェーブレット変換(連続ウェ
ーブレット変換)は、信号処理が難しい等の問題があ
り、次式に示す「離散ウェーブレット変換」が用いられ
る場合が多い。
【0013】
【数2】 但し、φ(t):スケーリング関数 なお、上式の「j」はレベルと呼ばれ、元信号に対する
解像度である階層番号を示す。また、cj,kはウェーブ
レット係数と呼ばれるものであり、信号の周波と時間分
布を示す。そして、dj,kはスケーリング係数と呼ば
れ、元信号のj次の解像度の離散化表現となるものであ
る。この離散ウェーブレット変換をディジタル技術で行
うため、この実施形態では次式に基づいて演算を行う。
【0014】
【数3】 この数3において、係数群pおよびqはウェーブレット
変換のための変換基底であり、それぞれローパスフィル
タおよびハイパスフィルタの役割を有する。よって(j
+1)次のスケーリング係数dj+1,kは、j次のスケー
リング係数dj,kより1つ下の解像度表現となり、解析
可能な周波数および時間的な解像度がj次の1/2にな
る。一方、(j+1)次のウェーブレット係数cj+1,k
はj次のスケーリング係数dj,kをハイパスフィルタに
通すことにより得られ、スケーリング係数dj+1,kとd
j,kの間の周波数成分を表すことになる。なお、この実
施態様では、マザーウェーブレットとして、Daubechies
の正規直交ウェーブレットを用い、スケーリング関数を
N=2としている。このDaubechiesの正規直交ウェーブ
レットを用いた実際の演算は行列式に基づいて行われ
る。なお、スケーリング関数がN=2の場合、p0
3、q0〜q3が値をもち、ほかはすべてゼロとなる。
このようにDaubechiesの正規直交ウェーブレットは、時
間方向にコンパクトサポートであるという性質をもつた
め、計算がきわめて容易で、連続入力される信号の処理
に特に適している。なお、このウェーブレットを用いた
行列式は次のようになる。
【数4】 ここで、pkおよびqkは次式によって求められる。
【数5】 以上の条件で方程式を解くとpkが求められる。qkにつ
いては、 qk=(-1)k2N-1-k なる式によって求められる。なお、数4の行列式では、
m個のサンプリングデータd0,0〜d0,m-1に対してm×
mの行列Tmにより1次のウェーブレット係数c1,0
1,m/2-1およびスケーリング係数d1,0〜d1,m/2-1
求めているが、2次のウェーブレット係数およびスケー
リング係数は、1次のスケーリング係数d1,0〜d
1,m/2-1に対して行列Tmと同様の行列で大きさが(m
/2)×(m/2)の行列Tm/2を掛けることにより求
めることができる。なお、3次の係数も同様に求められ
る。
【0015】以上がウエーブレット変換装置29aで行
われる演算の内容であるが、このウェーブレット変換装
置29aによる演算をより具体的に示したものを図8に
示し、この図を用いてウェーブレット変換装置29aの
動作をより具体的に説明する。なお、以下の例では、バ
ッファ33に、512点のサンプリングデータを納める
ことができるものとする。A/D変換器28よりサンプ
リングM時点のセンサ信号であるサンプリングデータd
0,Mが入力されると、すでに記憶されているd0,M-1から
0,M-512の512個のサンプリングデータから最も古
いサンプリング(M−512)時点のサンプリングデー
タd0,M-512が消去され、d0,Mからd0,M-511の512
のサンプリングデータがバッファ内に記憶される。な
お、以下では、このバッファ33内のサンプリングデー
タを新しく入力された順にd0,0、d0,1、・・・、d
0,511と呼ぶものとする。そして、ウェーブレット変換
装置29aは、d0,488からd0,509の22サンプリング
データをバッファ33より読み出し、一次のスケーリン
グ係数であるd1, 244からd1,253の演算を行う(ステッ
プs1)。この演算は、数4の係数p0からp3を用い
て、 d1,244=p00,488+p10,489+p20,490+p30,4911,245=p00,490+p10,491+p20,492+p30,4931,246=p00,492+p10,493+p20,494+p30,495 ・ ・ ・ d1,252=p00,504+p10,505+p20,506+p30,5071,253=p00,506+p10,507+p20,508+p30,509 により行う。そして、求めた10個の一次のスケーリン
グ係数d1,244からd1,253を用いて2次のスケーリング
係数d2,122からd2,125を求める(ステップs2)。こ
の演算は、数4の係数p0からp3を用いて、 d2,122=p01,244+p11,245+p21,246+p31,2472,123=p01,246+p11,247+p21,248+p31,2492,124=p01,248+p11,249+p21,250+p31,2512,125=p01,250+p11,251+p21,252+p31,253 により行う。そして、求めた4個の2次のスケーリング
係数d2,122からd2,125を用いて3次のウェーブレット
係数c3,61を求める(ステップs3)。この演算は、数
4の係数q0からq3を用いて、 c3,61=q02,122+q12,123+q22,124+q32,125 により行う。そして求めた3次のウェーブレット係数c
3,61は絶対値化回路29bに送られる。
【0016】このように、A/D変換器28からサンプ
リングされたセンサ信号が新たにバッファ33に出力さ
れるたびに、ウェーブレット変換器29aは、22個の
サンプリングデータを用いて図8のステップs1からス
テップs3を実行することにより、3次のウェーブレッ
ト係数c3,Kを1個求める。このようにウェーブレット
変換を用いることにより、少ないサンプリングデータか
ら順次必要とする係数を求めることができるので、リア
ルタイムな処理が可能となる。なお、図8に示す演算に
おいて、ウェーブレット変換装置29aは、d0,488
らd0,509の22サンプリングデータをバッファ33よ
り読み出し、ステップs1の演算を行っているが、これ
に限定されるものではなく、連続した22サンプリング
データであればよい。また、ウェーブレット変換装置2
9aは、バッファ33にサンプリングデータが入力され
る毎に3次のウェーブレット係数を1個求める演算を行
っているが、これをバッファ33に新たに2つのサンプ
リングデータが入力される毎に1個3次のウェーブレッ
ト係数を1個求める演算を行うようにしてもよい。な
お、以下では絶対値化回路29bに出力される3次のウ
ェーブレット係数c 3,kを「変換データ」とよぶ。
【0017】図4はウェーブレット変換装置29aから
出力される変換データc3,kの変化を示す図であり、こ
の図において、(a)は工具15の逃げ面摩耗幅VBが
0の場合、(b)は逃げ面摩耗幅VBが0.10mmの場
合、(c)は逃げ面摩耗幅VBが0.27mmの場合であ
る。この図に示すように、逃げ面摩耗幅VBが大きくな
るに従ってデータc3,kの振幅が大きくなる。
【0018】ここで、摩耗状態の検出に変換データとし
てc3,0、c3,1、・・・c3,k・・・を用いている理由
は次の通りである。図5は変換データと変換レベルとの
関係を示す図であり、この図に示すように、初期データ
0,kに対し、レベル1の変換、すなわち1次の変換
(第1回目の行列式演算)を行うと1次の係数d1,k
1,kが得られるが、これにより得られた1次のスケー
リング係数d1,kが低周波数領域を、1次のウェーブレ
ット係数c1,kが高周波数領域を表している。ここで、
元の波形f(t)(ローパスフィルタ27出力)の周波
数は5kHz以下であることから、レベル1の変換後は
1次のスケーリング係数d1,kが0〜2.5kHzの領
域を、1次のウェーブレット係数c1,kが2.5kHz
〜5kHzの領域を表している。同様に、レベル2の変
換後は、2次のスケーリング係数d2,kが0〜1.25
kHzの領域を、2次のウェーブレット係数c2,k
1.25kHz〜2.5kHzの領域を表し、レベル3
の変換後は、3次のスケーリング係数d3,kが0〜62
5Hzの領域を、3次のウェーブレット係数である変換
データc3,kが625Hz〜1.25kHzの領域を表
している。
【0019】一方、センサアンプ26から出力されるト
ルク波形f(t)の周波数は工具系の固有振動数で決ま
り、この実施形態の場合約800Hzである。そこで、
この実施形態では625Hz〜1.25kHzの領域を
表しているレベル3、すなわち3次のウェーブレット係
数である変換データc3,kを使用している。次に、図1
の絶対値化回路29bはウェーブレット変換装置29a
から順次出力される変換データc3,kの絶対値をとり、
積分装置29cへ出力する。積分装置29cは、絶対値
化回路29bの出力データを工具15の1回転(または
10回転、100回転等)の間積分し、積分結果を工具
15の1回転毎に除算装置29eへ出力する。図6はこ
の積分装置29cの出力を示す図であり、横軸は工具の
逃げ面摩耗幅VB、縦軸は積分装置29cの出力であ
る。この図に示すように、工具の逃げ面摩耗幅VBが大
きくなるに従って積分装置29cの出力も大きくなる。
【0020】記憶装置29dは、工具摩耗量VBが0の
時の積分装置29cの出力を予め工具種類および切削条
件別に記憶している不揮発性メモリである。除算装置2
9eは、記憶装置29dから、現在使用している工具1
5に対応して記憶されているデータを読み出し、積分装
置29cの出力を該データで除算し、その除算結果を出
力する。図7に除算装置29eの出力を示す。この図に
おいて、横軸は工具の逃げ面摩耗幅、縦軸は除算装置2
9eの出力である。この図に示すように、この除算装置
29eの出力は、工具摩耗量が大きくなると共に大きく
なるが、工具の刃先径による特性の違いは非常に少な
い。
【0021】次に、上述した演算装置29の出力は図2
に示す比較装置30へ入力される。比較装置30は演算
装置29の出力と、記憶装置32内に予め記憶されてい
るしきい値(図7参照)とを比較し、演算装置29の出
力が該しきい値を越えた時警告信号を制御装置31へ出
力する。なお、記憶装置32には、予め切削条件毎にし
きい値が記憶されている。制御装置31はこの工作機械
を制御する装置であり、上記警告信号を受けると、工作
機械のモータを停止させたり、ステップバックを行った
り、あるいは回転駆動系のクラッチを切ったりして、そ
れ以上切削トルクが大きくなるのを防止するように構成
されている。
【0022】以上が図1および図2に示すこの発明の実
施形態の詳細である。この実施形態によれば、サンプリ
ングデータが入力されると順次、分析結果(変換データ
3, k)が得られるので、リアルタイム性に優れた工具
異常検出が可能となる。また、ウェーブレット変換がバ
ンドパスフィルタと同様の機能を有するので、この種の
波形検出において通常不可欠であるバンドパスフィルタ
を設ける必要がない利点がある。さらに、リアルタイム
で工具摩耗量の推定が可能であり、この結果、加工中に
パスの変更等の補正による加工精度の維持が可能とな
る。なお、上記実施形態において、演算装置29内の積
分装置29cは、1回転(または10回転、100回転
等)の間積分し、その積分結果を除算装置29eへ出力
しているが、これに限定されるものではない。例えば、
切込量、送り量、加工対象物の個数を基準として積分
し、その結果を除算回路29eへ出力するようにしても
よい。なお、この場合、記憶装置29dには、工具摩耗
量VBが0の時の上記積分条件における積分装置29e
の出力が予め工具類および切削条件別に記憶されている
ものとする。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ウ
ェーブレット変換によってトルク波形を解析し、工具摩
耗状態を検出するようにしているので、工具摩耗状態を
正確に検出することができ、しかも、装置の構成を簡易
化することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態による摩耗状態検出装
置における演算装置29の構成を示すブロック図であ
る。
【図2】 この発明の一実施形態による摩耗状態検出装
置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】 同摩耗状態検出装置におけるセンサアンプ2
6の出力波形を示す波形図である。
【図4】 同摩耗状態検出装置におけるウェーブレット
変換装置29aの出力波形を示す波形図である。
【図5】 同摩耗状態検出装置において用いられている
ウェーブレット変換を説明するための説明図である。
【図6】 同摩耗状態検出装置における積分装置29c
の出力を示すグラフである。
【図7】 同摩耗状態検出装置における除算装置29e
の出力を示すグラフである。
【図8】 ウェーブレット変換装置の動作を示す図であ
る。
【符号の説明】
15・・・工具 26・・・センサアンプ 29・・・演算装置 29a・・・ウェーブレット変換装置 29b・・・絶対値化回路 29c・・・積分装置 29d・・・記憶装置 29e・・・除算装置 30・・・比較装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲崎 一郎 神奈川県横須賀市鴨居3−47−3 (72)発明者 久田 仁也 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社総合研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転切削工具に作用する切削トルクをト
    ルクセンサによって測定する測定手段と、 前記測定手段の出力信号をウェーブレット変換する演算
    手段と、 前記演算手段の出力に基づいて前記回転切削工具の摩耗
    状態を検出する検出手段と、 を具備することを特徴とする回転切削工具の摩耗状態検
    出装置。
  2. 【請求項2】 前記測定手段は、切削トルクを磁歪式ト
    ルクセンサによって測定することを特徴とする請求項1
    に記載の回転切削工具の摩耗状態検出装置。
  3. 【請求項3】 前記演算手段は、前記測定手段の出力信
    号をウェーブレット変換する変換手段と、 前記変換手段の出力の絶対値をとる絶対値演算手段と、 前記絶対値演算手段の出力を一定期間積分する積分手段
    と、 を具備することを特徴とする請求項1に記載の回転切削
    工具の摩耗状態検出装置。
  4. 【請求項4】 前記演算手段は、前記回転切削工具の摩
    耗がない状態における前記積分手段の出力値を記憶する
    記憶手段と、 前記積分手段の出力を前記記憶手段内の上記出力値で除
    算する除算手段と、 をさらに具備することを特徴とする請求項3に記載の回
    転切削工具の摩耗状態検出装置。
  5. 【請求項5】 前記検出手段は、前記演算手段の出力を
    予め設定された一定値と比較する比較手段を具備するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の回転切削工具の摩耗状
    態検出装置。
  6. 【請求項6】 回転切削工具に作用する切削トルクをト
    ルクセンサによって測定し、 その測定結果をウェーブレット変換し、 その変換によって得られたデータに基づいて前記回転切
    削工具の摩耗状態を検出することを特徴とする回転切削
    工具の摩耗状態検出方法。
  7. 【請求項7】 回転切削工具に作用する切削トルクをト
    ルクセンサによって測定し、 その測定結果をウェーブレット変換し、 その変換結果を絶対値に変換し、 絶対値変換によって得られた信号を一定時間積分し、 その積分結果を摩耗が0の時の積分データによって除算
    し、 該除算結果を一定値と比較することによって回転切削工
    具の摩耗状態を検出することを特徴とする回転切削工具
    の摩耗状態検出方法。
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