JPH09318561A - 高温用マイクロ波アンテナ及びこれを用いた空胴共振器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温にてマイクロ波注入・検出ができ安価で
構造簡単な高温用マイクロ波アンテナとこれを用いた空
胴共振器を得る。 【解決手段】 円形ループ５を有する耐熱性及び導電性
材料の線６ａ，６ｂを高温用碍子７の孔に通して、外部
から耐熱性材料箔にてシールド被覆８をしたアンテナを
得る。空胴共振器１の円筒状部材１ａに開口１３ａ，１
３ｂを開け、アンテナ１１，１２の円形ループ５をこの
開口１３ａ，１３ｂに臨ませた装置を得る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体の高温物性
測定に利用される高温用マイクロ波アンテナとこれを用
いた空胴共振器に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、セラミックスの焼結や接合など
に必要な高温雰囲気の生成には、急速昇温が可能なマイ
クロ波加熱が用いられる。この場合、セラミックス等誘
電体のマイクロ波吸収電力は、周波数，電界強度、及び
複素誘電率（比誘電率，誘電正接）に依存するが、セラ
ミックスの特性としては複素誘電率が常温から焼結ある
いは接合温度の範囲にて大きく変化することが判明して
いる。このため、マイクロ波によるセラミックスの焼結
又は接合装置の製作に当っては、常温から焼結あるいは
接合処理温度の範囲でのセラミックスの誘電物性を把握
する必要がある。

【０００３】このセラミックスの誘電物性を把握する方
法のひとつとして空胴共振器による方法がある。この方
法は、マイクロ波領域にて共振する空胴共振器（金属壁
で密閉された所定形状空間）を作り、その中部を中空と
した場合と測定対象物を充填した場合との共振状態（共
振周波数、共振のＱ値）の変化により測定対象物の複素
誘電率を求める方法である。

【０００４】上記空胴共振器による誘電物性の測定にあ
っては、この空胴共振器に共振状態を励起するように信
号を注入する必要があり、また共振状態を検出する必要
があって、図４に示す構造のものが使用されている。こ
の図４において、１は空胴共振器であり、この空胴共振
器１は円筒状部材１ａ、円形底部材１ｂ、蓋部材１ｃに
より構成され、更に円筒状部材１ａにはマイクロ波領域
の信号を注入又は検出するための導波管（図では矩形）
２ａ，２ｂが連通されている。この場合、例えば一方の
導波管２ａは高周波信号発生源（図示省略）に接続さ
れ、他方の導波管２ｂは高周波信号検出装置（図示省
略）に接続されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上述の図４に示す空胴
共振器１においては、前述の如き高温の試験を行なうた
めに次のような問題がある。 （１）図４に示す導波管２ａ，２ｂ自体銅、アルミ等の
電気良導体によって構成されることになるが、これら導
波管を構成する金属の銅やアルミの融点がそれぞれ１０
３５℃，６６０℃であり、仮に空胴共振器本体を白金等
の高温材料で構成したとしても、この導波管の材料によ
る特質からセラミック焼結温度（１５００℃以上）では
使用できない。 （２）導波管全体を例えば白金等の耐熱性及び導電性の
良い材料にて形成することもできるが、装置全体が高価
となる。 （３）また、空胴共振器１と導波管２ａ，２ｂとの結合
部分についても白金等の耐熱性構造とする必要があり、
装置が高価で複雑となる。

【０００６】本発明は、上述の問題に鑑み、所温の温度
まで昇温できると共に白金等の高価な材料をなるべく使
用しないようにした高温用マイクロ波アンテナ及びこれ
を用いた空胴共振器の提供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成する本
発明の発明特定事項は次のとおりである。 （１）マイクロ波領域の信号を注入・検出するためのア
ンテナは、耐熱性及び導電性材料よりなる線を円形ルー
プに形成した電流環流部と、この電流環流部のループ両
端につながる耐熱性及び導電性材料よりなる２本の信号
線と、この２本の信号線を電気的に絶縁して通す孔を有
する高温用碍子と、この高温用碍子の外部を覆う耐熱性
及び導電性材料よりなるシールド被覆とを有することを
特徴とする。 （２）中空の空胴の壁に２個の開口を設け、この開口内
に前記（１）記載のアンテナの円形ループが臨むように
配置したことを特徴とする。

【０００８】高温用マイクロ波アンテナを耐熱性及び導
電性材料にて形成しこのアンテナを介して空胴共振器に
マイクロ波を注入しまたマイクロ波を検出することによ
り白金等よりなる高価な材料をなるべく用いることなく
測定装置が構成できる。

【０００９】

【発明の実施の形態】ここで、図１〜図３を参照して本
発明の実施の形態の一例を説明する。図１において、ア
ンテナ先端部となる円形ループ５は、線径０．５ｍｍの
白金線によって構成した直径３．５ｍｍのループであり
電流環流部を構成する。この円形ループ５の両端には同
じく線径０．５ｍｍの白金線を接続し又は一体に延ばし
た信号線６ａ，６ｂがつながっている。また、信号線６
ａ，６ｂを通す孔があけられた高温用碍子７が形成さ
れ、この碍子にて信号線６ａ，６ｂが電気的に絶縁され
る。更に、信号線６ａ，６ｂが通された高温用碍子７全
体を電磁的にシールドするためシールド被覆８がこの碍
子７に巻き付けられている。このシールド被覆８は、厚
さ０．２ｍｍの白金箔よりなる。また、９は例えばモリ
ブデン等の高温用材料よりなりアンテナを支持固定する
部材であり、更にこの部材９は高温用セメント１０によ
ってアンテナ本体に接着される。

【００１０】かかる図１において、空胴共振器の寸法や
測定対象物の物性値により仕様が変わるものであるが、
円形ループ５の寸法は３〜５ｍｍが適当である。また、
加工のしやすさや強度等の関係から線径は０．３〜１．
０ｍｍ程度が適当であり、シールド被覆８については電
磁シールド性能の確保や加工のしやすさ等から０．０５
〜０．２ｍｍの厚さが適当である。

【００１１】高周波電流は、図１に示す信号線６ａ，６
ｂ上を高周波信号発生源（図示省略）により流される。
この場合、円形ループ５によって図３に示すように電磁
誘導の原理に従って、環流する高周波電流３により空間
に磁界４が放射され、この放射磁界によって空胴共振器
を励起して共振器内に共振電磁界を発生させることがで
きる。また、同様に共振器内の共振電磁界を電流環流部
に流れる高周波電流として高周波信号検出装置（図示省
略）にて検出することができる。

【００１２】図２は、図１に示す高温用マイクロ波アン
テナを用いた空胴共振器を示したものである。ここで
は、装置全体を加熱するための加熱装置は割愛してい
る。図２において、空胴共振器全体をセラミックス等の
耐熱性材料で形成し、その内壁面を耐熱性を有する導電
性の材料（例えば白金）にてコーティングされており、
更には、空胴共振器の円筒状部材１ａに貫通開口１３
ａ，１３ｂが２箇所あけられており、この開口１３ａ，
１３ｂ内にマイクロ波アンテナ１１，１２の円形ループ
５が一部入り込むようにアンテナ１１，１２が配置され
ている。この場合、マイクロ波アンテナ１１は例えば高
周波信号発生源（図示省略）に接続され、マイクロ波ア
ンテナ１２は高周波信号検出装置（図示省略）に接続さ
れる。こうして、アンテナ１１は空胴共振器１中に電磁
的共振状態を励起する一方、アンテナ１２にて開口１３
ｂから共振状態を検知する。

【００１３】

【発明の効果】アンテナ自体が白金のような耐熱性及び
導電性材料と高温用碍子とにより、導体，絶縁，被覆を
形成したことにより、高温でも十分耐えることができし
かも安価なものを得ることができる。更に、共振器には
開口を形成し、この開口にアンテナの円形ループを臨ま
せているため、従来に比べて構造が簡単であり、セラミ
ックス等の耐熱性を有する材料によって製作できる。ま
た、従来構造の共振器に比べ開口部の面積を小さくする
ことができ、共振器のＱ値を大幅に低下させずに測定装
置を構成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】高温用マイクロ波アンテナの一例の断面図。

【図２】空胴共振器全体の簡略構成図。

【図３】円形ループによる磁界の発生を説明する図。

【図４】従来例の構成図。

【符号の説明】

１ 空胴共振器 ３ 高周波電流 ５ 円形ループ ６ａ，６ｂ 信号線 ７ 高温用碍子 ８ シールド被覆 １１，１２ アンテナ １３ａ，１３ｂ 開口

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 耐熱性及び導電性材料よりなる線を円形
   ループに形成した電流環流部と、 この電流環流部のループ両端につながる耐熱性及び導電
   性材料よりなる２本の信号線と、 この２本の信号線を電気的に絶縁して通す孔を有する高
   温用碍子と、 この高温用碍子の外部を覆う耐熱性及び導電性材料より
   なるシールド被覆と、を有する高温用マイクロ波アンテ
   ナ。
2. 【請求項２】 中空の空胴の壁に２個の開口を設け、こ
   の開口内に請求項１記載のアンテナの円形ループが臨む
   ように配置した空胴共振器。