JPH09313154A - 耐環境性を高めたゼラチンカプセル並びにその製造方法 - Google Patents

耐環境性を高めたゼラチンカプセル並びにその製造方法

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JPH09313154A
JPH09313154A JP8156195A JP15619596A JPH09313154A JP H09313154 A JPH09313154 A JP H09313154A JP 8156195 A JP8156195 A JP 8156195A JP 15619596 A JP15619596 A JP 15619596A JP H09313154 A JPH09313154 A JP H09313154A
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JP
Japan
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transglutaminase
gelatin
capsule
gelatin capsule
capsule body
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JP8156195A
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Inventor
Toshimitsu Ishikawa
俊光 石川
Nobuyuki Wada
伸行 和田
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Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温、多湿の過酷な条件下にあっても、内容
物の漏出や変形が起こらず、加えて人体への安全性に優
れた溶解性の良好なゼラチンカプセルを提供する。 【解決手段】 本発明の耐環境性を高めたゼラチンカプ
セル1は、内容物Aを収容した状態のカプセル本体2の
表層部にトランスグルタミナーゼTを含む保護層3を形
成したことを手段とし、一方、本発明の耐環境性を高め
たゼラチンカプセルの製造方法は、内容物Aを収容した
状態のカプセル本体2を一次加工品とし、この一次加工
品の表層部にトランスグルタミナーゼ溶液を接触させ、
爾後乾燥させることにより、前記カプセル本体2の表層
部にトランスグルタミナーゼTを含む保護層3を形成す
るようにしたことを手段とし、これらの手段により上記
課題の解決を図っている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば調味料エキス
等を内容物として、カプセル形状のゼラチン被膜内に収
容し、ゼラチンカプセルとして供給するに際し、当該ゼ
ラチンカプセルの耐熱性、耐湿性等の耐候性を向上させ
ることにより、その耐環境性を高めたゼラチンカプセル
並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】ゼラチンカプセルに医薬品等を収容する
ことが行われているが、この種の医薬品等はその用途に
因み、商品の個装のパッケージが充分耐候性等が考慮さ
れた形態となっているため、そのパッケージ内の個々の
内容物が多少輸送、保管時の環境変化等にあっても形や
内容物の漏出等が起こらないように配慮されている(カ
プセルそのものの損壊が回避されている)。
【0003】ところで近時、例えばインスタントラーメ
ンの調味エキスをゼラチンカプセルに収容し、単に湯を
注ぐだけで、そのエキス分が利用できるようにして更に
簡便な用法の開発が試みられている。しかしながらこの
種のインスタントラーメン等の場合、医薬品や健康食品
等に比べて輸送条件あるいは保管条件等は必ずしも良好
ではなく、例えば温度条件としては40℃、湿度条件と
しては90%RH程度の保管、輸送環境に晒される場合
もある。
【0004】このような場合、従来のゼラチンカプセル
にあっては、吸湿等によりカプセル自体に変形が起きた
り、あるいは内容物の漏出が生じたりして、実用的な用
途には供し得ない。一方このような問題を回避するに
は、ゼラチンカプセルの耐熱性及び耐湿性等を向上させ
ればよいわけであるが、食用ないしは服用に供されるこ
の種のゼラチンカプセルの人体への影響を考慮しなけれ
ばならないこと、そして使用時にはゼラチンカプセルは
容易に溶解して欲しいという相反する要求の存在等があ
り、現実問題としてその解決は困難を強いられていた。
【0005】
【開発を試みた技術的事項】本発明はこのような背景を
認識してなされたものであって、この種のゼラチンカプ
セルにとって比較的過酷な条件にあっても耐え得るとと
もに、人体への安全性に優れ、使用に支障のない所望の
溶解性を達成し得る耐環境性を高めたゼラチンカプセル
並びにその製造方法の開発を試みたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明にあって
は、ゼラチンカプセルの耐環境性を高め、所望の安全
性、良好な溶解性を得る手段として、内容物を収容した
状態のカプセル本体の表層部にトランスグルタミナーゼ
を含む保護層を形成した。内容物としては医薬品、健康
食品のほか、後述する発明の実施の形態において使用し
たインスタントラーメンの調味エキス等が一例として適
用できるが、これらに限らず各種の液体、粉体、粒体あ
るいは半固形物が適用できる。
【0007】またカプセル本体としては、ゼラチン、グ
リセリン、水により一例として組成されるゼラチンシー
トを使用し、このゼラチンシートを一対のダイロール間
に拝み合わせた状態に送り込み、その間に上記内容物を
供給し、これを内包したカプセル形状のものが一例とし
て適用できる。そして本発明ではこのようなカプセル本
体のうち、内容物を取り除いたカプセル素材の部分を更
に表層部と内層部に区分けし、この表層部に対して上述
のトランスグルタミナーゼを含む保護層が形成されてい
るのである。
【0008】ここでトランスグルタミナーゼとは、タン
パク質中のグルタミン残基のγ−カルボキシアミド基と
リジン残基のε−アミノ基との間でε−(γ−グルタミ
ン)リジン結合を形成させ、タンパク質を架橋重合する
酵素を意味する。従って可食性の点では何ら問題は生じ
ない。また保護層はこのようなトランスグルタミナーゼ
を含むことによって形成されるわけであるが、本発明に
おいて「トランスグルタミナーゼを含む」とは、保護層
内にトランスグルタミナーゼが分散して存在している場
合、保護層がトランスグルタミナーゼと、他の組成物と
を積層する(一部含浸した状態のものを含む)ことによ
って形成されている場合を包含する意味で使用するもの
である。
【0009】そしてこのような手段を講ずることによっ
て、カプセル本体の内層部、更にはこの内層部内に収容
される内容物と外部環境との遮断がより強固となって、
カプセルの機械的強度、耐熱性、耐湿性等の耐候性が向
上し、ゼラチンカプセル全体での耐環境性が高まるので
ある。またトランスグルタミナーゼは、上述のような人
体に対する安全性の点でも使用に支障はなく、更に溶解
性も良好であるから、カプセル本体の表層部の保護層を
形成する材料に要求される条件を満たす好適な材料とい
うことができる。
【0010】また本発明では、前記課題を解決する手段
としてカプセル本体における内層部をトランスグルタミ
ナーゼを添加したゼラチン層により形成するという構成
をとる。ここで言う「トランスグルタミナーゼを添加す
る」とは、カプセル本体における内層部中にトランスグ
ルタミナーゼを内添する場合と、カプセル本体における
内層部の表面側(前記保護層が形成される側)、あるい
は裏面側(内容物が収容される側)にトランスグルタミ
ナーゼを少なくとも含む層が形成される外添する場合と
の両方を包含する意味で使用するものである。
【0011】更に上記ゼラチン層におけるトランスグル
タミナーゼの添加量としては、ゼラチン100gに対し
て0.1mg〜1.5mgの範囲が適量である。因みに
トランスグルタミナーゼを2.5mg以上添加するとゼ
ラチンの溶解性が悪くなる。そしてこれらの手段を講じ
た場合には、カプセルの機械的強度、耐熱性、耐湿性等
の耐候性が更に向上し、例えばインスタントラーメンの
調味エキスを内容物とする過酷な使用環境下において使
用されるゼラチンカプセルにあっても、製品の変形、内
容物の漏出は生じない。
【0012】更に本発明では前記課題を解決する手段と
して次のような製造方法を採用する。すなわち上述の内
容物を収容した状態のカプセル本体を一次加工品とし、
この一次加工品の表層部にトランスグルタミナーゼ溶液
を接触させ、爾後乾燥させることにより前記カプセル本
体の表層部にトランスグルタミナーゼを含む保護層を形
成するようにしている。以下その特徴を分説する。まず
保護層を形成する対象をすでに内容物を収容し、カプセ
ル形状に成形されたカプセル本体としたことを特徴とし
ている。
【0013】従ってこのカプセル本体を成形するまでは
既存の設備をそのまま利用でき、設備コストの削減、設
備の有効利用に寄与するものである。またこのカプセル
本体は成形後、完全に乾燥した状態のものであってもよ
いが、好ましくはカプセル本体成形後、数時間経過以内
の半乾燥状態のものを使用する。因みにこのような半乾
燥状態のカプセル本体を一次加工品として使用した場合
には、最終製品であるゼラチンカプセルの耐熱性が向上
するという効果が得られる。
【0014】次にこのようなカプセル本体を一次加工品
とし、この一次加工品の表層部にトランスグルタミナー
ゼ溶液を接触させ、爾後乾燥させるようにしたことを他
の特徴としている。ここで使用するトランスグルタミナ
ーゼ溶液としては、水溶液あるいはエタノール水溶液中
にトランスグルタミナーゼを溶解したものが一例として
使用できる。そしてこの場合のトランスグルタミナーゼ
溶液の濃度としては、水溶性あるいはエタノール水溶液
1リットルに対してトランスグルタミナーゼを0.02
5〜0.25g含むように一例として調製し、好ましく
はトランスグルタミナーゼを0.05g程度含むように
調製する。
【0015】また上記エタノール水溶液を使用する場合
におけるエタノールと水の混合比は、最終製品であるゼ
ラチンカプセルの変形とゼラチンカプセルからの内容物
の漏出に関係するものであって、エタノールの割合が多
くなると、保護層形成後のゼラチンカプセルの重量変化
は小さく、ゼラチンカプセルの変形量は小さくなるが、
ゼラチンカプセルからの内容物の漏出が起きやすくな
る。逆にエタノールの割合が少なくなると、保護層形成
後のゼラチンカプセルの重量変化は大きく、ゼラチンカ
プセルの変形量は大きくなってしまうが、ゼラチンカプ
セルからの内容物の漏出は起きにくくなる。従って内容
物の種類によってゼラチンカプセルの変形の防止とゼラ
チンカプセルからの内容物の漏出の防止とのどちらを重
視するかによって、適宜上記エタノールと水の混合比を
調節するようにする。
【0016】また本明細書において「一次加工品の表層
部にトランスグルタミナーゼ溶液を接触させる」という
場合には、トランスグルタミナーゼ溶液中に一次加工品
を浸漬する場合のほか、一次加工品に対してトランスグ
ルタミナーゼ溶液を塗布ないしは噴霧することをも包含
する意味で使用するものである。そしてこのような特徴
を有することによって、カプセル本体の表層部に簡易且
つ確実に保護層が形成され、カプセルの機械的強度、耐
熱性、耐湿性等の耐候性が向上し、耐環境性が高まるの
である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下具体的な実施の形態をとり上
げて、本発明の内容について更に具体的に説明する。ま
ず本発明の耐環境性を高めたゼラチンカプセル1の基本
的構成は、図2において骨格的に描いた原理図に示すよ
うに、内容物Aを収容した状態のカプセル本体2の表層
部にトランスグルタミナーゼTを含む保護層3を形成す
ることによって構成される。また本発明のゼラチンカプ
セル1としては、図3において骨格的に示すような多重
式の構成とすることも可能である。因みにこのような多
重式のゼラチンカプセル1にあっては、種類の異なる複
数の内容物Aを同時に収容できる点で利便性を有する。
【0018】そして本実施の形態にあっては、内容物A
として一例としてインスタントラーメンの調味エキスを
適用し、この調味エキスを収容するカプセル本体2とし
て、その内層部をゼラチン100gに対して1.0mg
のトランスグルタミナーゼTを添加したゼラチン層によ
って形成したものを示す。また上記ゼラチン層には、上
記ゼラチン、トランスグルタミナーゼTのほか、通常の
ゼラチンカプセルないしはゼラチンシートと同様にグリ
セリン、水等が含まれている。
【0019】そしてこのような本発明の耐環境性を高め
たゼラチンカプセル1を製造するにあたっては、以下の
(1)〜(4)の手順に従う。 (1)ゼラチンシートの作製 まずカプセル本体2の成形において使用するゼラチンシ
ート4を作製する。この場合にはゼラチン、グリセリ
ン、水から成る上記溶液中にトランスグルタミナーゼT
を上記添加量だけ添加し、これを原料とする。そしてこ
の原料をヒータによって温められている原料タンク内に
収容し、原料の溶融状態を確保しておく。
【0020】次に原料タンク内の原料は供給ホースによ
ってスプレダーボックス内に供給され、そのスリット状
の吐出孔から溶融状態で吐出され、その下方に位置する
冷却ドラムによって冷却、そしてシート状に成形され、
ゼラチンシート4が連続して作製される。なおこのよう
なゼラチンシート4は二枚同時に並行して作製されるも
のであって、これら二枚のゼラチンシート4が次工程で
あるカプセル本体成形工程に同時に供給される。
【0021】(2)カプセル本体の成形 このようにして作製された二枚の連続するゼラチンシー
ト4は、図1に示すように一対のダイロール5に拝み合
わせた状態に送り込まれ、その上方に位置するノズル8
から所定のタイミングで内容物Aが供給される。すなわ
ちダイロール5の周面には多数のカプセル成形凹部6
と、このカプセル成形凹部6の周縁部に形成されている
成形突起7とが設けられているから、これらの接近離反
作用によってカプセル成形凹部6内に供給された二枚の
ゼラチンシート4及び内容物Aは、次々と図に示すよう
なカプセル形状に成形され、カプセル本体2として取り
出されていくのである。因みにこのようにして成形され
たカプセル本体2の内容物Aを除いたカプセル素材の部
分(内層部)がゼラチン層となるのである。
【0022】(3)保護層の形成 次にこのようにして成形したカプセル本体2を約1時間
乾燥後、トランスグルタミナーゼ溶液中へ浸漬する。な
おこのトランスグルタミナーゼ溶液としては、水溶液1
リットルに対してトランスグルタミナーゼTを0.05
g含む濃度に調製したものを使用し、浸漬時間を7〜1
0分とした。そして上記浸漬時間経過後、カプセル本体
2をトランスグルタミナーゼ溶液中から引き上げ、乾燥
させればカプセル本体2の表層部に保護層3の形成され
た本発明の耐環境性を高めたゼラチンカプセル1が最終
製品として製造されるのである。
【0023】
【比較試験】次に条件を異ならせた本発明のゼラチンカ
プセルの種々の実施例と、本発明のゼラチンカプセルと
の比較を行うために使用した比較例とに基づいて行った
四種類の比較試験の内容と、その結果について説明す
る。 (1)比較試験1 この比較試験1は、トランスグルタミナーゼの添加及び
浸漬が内容物の漏出と溶解時間とにどのような影響を与
えるかを確認することを目的として行ったものである。
【0024】表1に示すように比較例1として、トラン
スグルタミナーゼがカプセル本体の内層部に添加されて
おらずカプセル本体の表層部にも浸漬されていないも
の、実施例1として、トランスグルタミナーゼが添加さ
れていないが浸漬がされているもの、比較例2としてト
ランスグルタミナーゼが添加されているが浸漬がされて
いないもの、実施例2としてトランスグルタミナーゼが
添加され、更に浸漬されているものの四種類のサンプル
をとり上げ、これらについての比較試験を行った。
【0025】
【表1】
【0026】なお上記実施例1では、成形後のカプセル
本体を完全に乾燥させたものを用いてトランスグルタミ
ナーゼを浸漬したものを示し、上記実施例2では成形後
のカプセル本体を1時間乾燥させたものを用いてトラン
スグルタミナーゼを浸漬したものを示す。また上記比較
例2及び実施例2においてトランスグルタミナーゼを添
加するにあたっては、ゼラチン、グリセリン、水から成
る溶液中にトランスグルタミナーゼを内添する方法で行
い、その際のトランスグルタミナーゼの添加濃度は、
1.0mg/100gゼラチンとした。
【0027】更に実施例1及び実施例2においてトラン
スグルタミナーゼを浸漬するにあたっては、トランスグ
ルタミナーゼの浸漬溶液濃度を0.05g/リットル水
溶液、浸漬時間を7〜10分とする条件下で行った。そ
してこのようにして得られたサンプルを40℃90%R
H条件下に置いて、内容物の漏出の有無の確認と、内容
物が漏出した場合の漏出時間の測定とを行い、その結果
を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】なお表2において「×」に示すものは、内
容物の漏出があった場合を示し、「○」に示すものは内
容物の漏出がなかった場合を示す。また表欄中記載の時
間は比較例1、実施例1、比較例2については内容物の
漏出した時間を示し、実施例2については内容物の漏出
の有無確認を行った継続時間を示す。そして表2より明
らかなように実施例2にあっては内容物の漏出は起こら
ず、実施例1にあっても内容物が漏出するまでの時間の
延長が認められた。
【0030】また上記四種のサンプルを80℃条件下に
置いて、内容物の漏出開始時間、漏出終了時間、完全に
溶解するまでの時間について測定し、その結果を表3に
示す。
【0031】
【表3】
【0032】表3より明らかなようにトランスグルタミ
ナーゼの添加や浸漬による溶解時間の際立った変化は認
められなかった。従って上記結果より実施例2の場合、
すなわちトランスグルタミナーゼを添加したカプセル本
体を用い、成形後のカプセル本体を1時間乾燥後、その
表層部にトランスグルタミナーゼを浸漬したものが最も
耐熱性、耐湿性に優れ、内容物の漏出が起きにくいこ
と、そして溶解時間についてもトランスグルタミナーゼ
を含まないゼラチンカプセルと比べても遜色なく、充分
使用に応え得ることが確認された。
【0033】(2)比較試験2 この比較試験2は、トランスグルタミナーゼ溶液の濃度
と内容物の漏出との関係を確認することを目的として行
ったものである。表4に示すようにトランスグルタミナ
ーゼ溶液の濃度を異ならせた三種類の実施例を三サンプ
ルずつ用意し、これらを40℃90%RH条件下に置
き、内容物の漏出の有無を7日間にわたって測定した。
その測定結果を表4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】なお表4において「×」に示すものは内容
物の漏出があった場合を示し、「○」に示すものは内容
物の漏出がなかった場合を示す。この表4から明らかな
ようにトランスグルタミナーゼ溶液の濃度が0.05g
/リットルの場合には、内容物の漏出は確認されず、日
数の経過による違いは全サンプルを通じて認められなか
った。また内容物の漏出がなかったゼラチンカプセルに
あっても40℃90%RH条件下ではゼラチンカプセル
の変形が認められたが、トランスグルタミナーゼ溶液の
濃度が0.05g/リットルの場合が最も変形が少な
く、トランスグルタミナーゼ溶液の濃度としては0.0
5g/リットル程度が好ましいことが確認された。
【0036】(3)比較試験3 この比較試験3は、エタノール水溶液を使用する場合の
エタノール%と、浸漬後のゼラチンカプセルからの内容
物の漏出との関係を確認することを目的として行ったも
のである。表5に示すようにエタノール%を異にする四
種類の実施例をとり上げ、これらを40℃90%RH条
件下に置き、内容物の漏出の有無を測定した。その測定
結果を表5に示す。
【0037】
【表5】
【0038】なお表5において「×」に示すものは内容
物の漏出があった場合を示し、「○」に示すものは内容
物の漏出がなかった場合を示す。またトランスグルタミ
ナーゼ溶液への浸漬の条件は、トランスグルタミナーゼ
溶液の濃度を0.05g/リットル、浸漬温度を20
℃、浸漬時間を3分とした。この表5から明らかなよう
にエタノール%が多くなると、具体的には50%程度に
達すると内容物の漏出が起こることが確認された。
【0039】(4)比較試験4 この比較試験4は、成形後のカプセル本体をトランスグ
ルタミナーゼ溶液中に浸漬するまでの乾燥時間と、浸漬
後のゼラチンカプセルの耐熱性、耐湿性ないしは機械的
強度との関係を確認することを目的として行ったもので
ある。表6に示すように浸漬までの乾燥時間及びトラン
スグルタミナーゼ溶液の濃度を異にする16種類の実施
例と、トランスグルタミナーゼを浸漬しない比較例との
計17種類のサンプルをとり上げ、これらを41℃%8
6RH条件下に置き、あらかじめ設定しておいた経過時
間(分)毎にガラス棒でサンプル表面を引っ掻き、キズ
の付き具合を測定した。その測定結果を表6に示す。
【0040】
【表6】
【0041】なお上記実施例は、トランスグルタミナー
ゼを浸漬するにあたり、その浸漬温度10℃、浸漬時間
3分間の各条件下において行ったものを使用した。この
表5から明らかなようにトランスグルタミナーゼを浸漬
した場合の方がはるかに耐熱性、耐湿性、ないしは機械
的強度が強くなり、カプセル本体成形後、乾燥があまり
進まない段階で浸漬した方が耐熱性、耐湿性、ないしは
機械的強度が強くなることが認められた。
【0042】
【発明の効果】本発明の耐環境性を高めたゼラチンカプ
セル並びにその製造方法は、以上述べた発明の実施の形
態あるいは実施例によって具現化される請求項1〜8記
載の発明特定事項を具備することによって成るものであ
って、このような発明特定事項を具備することによっ
て、以下述べるような優れた効果が発揮される。すなわ
ちまずカプセル本体の表層部にトランスグルタミナーゼ
を含む保護層を形成したことによりカプセル本体内の内
容物と、外部環境との遮断が強固となって、ゼラチンカ
プセル全体の耐候性が向上し、耐環境性が高まるのであ
る。
【0043】またトランスグルタミナーゼをカプセル本
体の内層部に添加し、ゼラチン層を形成した場合には、
前記保護層との組み合わせにより、上記耐環境性は更に
一層高まる。更にトランスグルタミナーゼは人体に対す
る安全性の点でも使用に支障はなく溶解性も良好である
から、例えばインスタントラーメンの調味エキス用のゼ
ラチンカプセルに使用するにあたり、好適な材料という
ことができる。
【0044】更にまたこのようなゼラチンカプセルを製
造するにあたり、保護層の形成対象をカプセル本体とし
ているから、カプセル本体を成形するまでは既存の設備
をそのまま利用でき、設備コストの削減、設備の有効利
用にも寄与し得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】カプセル本体の成形の様子の一例を示す正面図
である。
【図2】本発明の耐環境性を高めたゼラチンカプセルの
基本的構造を骨格的に示す原理図である。
【図3】同上他の実施の形態を示す原理図である。
【符号の説明】
1 ゼラチンカプセル 2 カプセル本体 3 保護層 4 ゼラチンシート 5 ダイロール 6 カプセル成形凹部 7 成形突起 8 ノズル A 内容物 T トランスグルタミナーゼ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内容物を収容した状態のカプセル本体の
    表層部にトランスグルタミナーゼを含む保護層を形成し
    たことを特徴とする耐環境性を高めたゼラチンカプセ
    ル。
  2. 【請求項2】 前記カプセル本体における内層部は、ト
    ランスグルタミナーゼを添加したゼラチン層により形成
    されていることを特徴とする請求項1記載の耐環境性を
    高めたゼラチンカプセル。
  3. 【請求項3】 前記ゼラチン層におけるトランスグルタ
    ミナーゼの添加量はゼラチン100gに対し、0.1m
    g〜1.5mgであることを特徴とする請求項2記載の
    耐環境性を高めたゼラチンカプセル。
  4. 【請求項4】 内容物を収容した状態のカプセル本体を
    一次加工品とし、この一次加工品の表層部にトランスグ
    ルタミナーゼ溶液を接触させ、爾後乾燥させることによ
    り、前記カプセル本体の表層部にトランスグルタミナー
    ゼを含む保護層を形成するようにしたことを特徴とする
    耐環境性を高めたゼラチンカプセルの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記トランスグルタミナーゼ溶液とカプ
    セル本体との接触は、トランスグルタミナーゼ溶液への
    浸漬により行われることを特徴とする請求項4記載の耐
    環境性を高めたゼラチンカプセルの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記トランスグルタミナーゼ溶液は、水
    溶液1リットルに対してトランスグルタミナーゼを0.
    025〜0.25g含む濃度に調製されていることを特
    徴とする請求項4または5記載の耐環境性を高めたゼラ
    チンカプセルの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記トランスグルタミナーゼ溶液は、エ
    タノール水溶液1リットルに対してトランスグルタミナ
    ーゼを0.025〜0.25g含む濃度に調製されてい
    ることを特徴とする請求項4または5記載の耐環境性を
    高めたゼラチンカプセルの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記一次加工品は、カプセル本体成形
    後、数時間経過以内の半乾燥状態のカプセル本体である
    ことを特徴とする請求項4、5、6または7記載の耐環
    境性を高めたゼラチンカプセルの製造方法。
JP8156195A 1996-05-27 1996-05-27 耐環境性を高めたゼラチンカプセル並びにその製造方法 Pending JPH09313154A (ja)

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JP8156195A JPH09313154A (ja) 1996-05-27 1996-05-27 耐環境性を高めたゼラチンカプセル並びにその製造方法

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JP5984275B1 (ja) * 2015-07-03 2016-09-06 株式会社 日本予防医学研究所 ゼラチンカプセルおよび該ゼラチンカプセルの製造方法

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