JPH09310365A - 植生用コンクリートブロック及び植生用コンクリートブロックによる壁体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 法面や河川面等に積み上げられて前面側に植
物を植え付けることにより、自然環境を維持できて周囲
の自然の景観を損なわないようにした。 【解決手段】 ブロック本体２の前面側に、植物の栽培
土を収納する横方向の土壌受部分３を設け、前記土壌受
部分３の前面側に、土壌受部分３に収納した栽培土の前
面側を保持するとともに装飾的効果をもたらせる装飾部
４を設けてなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、法面や河川面等に
積み上げられて前面側に植物を植え付けることにより、
自然環境を維持できて周囲での自然の景観を損なわない
ようにするとともに、植物を植え付けている栽培土が雨
水等によって洗い流されない様にした植生用コンクリー
トブロック及び植生用コンクリートブロックによる壁体
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】道路用や軌道用等の山岳の法面や造成面
に積み上げて擁壁体を構築したり、川岸面に積み上げて
護岸用の壁体を構築し、これら壁体の表面に植物を植え
付けることができて景観を損なわないようにした植生用
のコンクリートブロックとしては、本特許出願人がすで
に提案した例えば特開平６−３４６４７４号公報に記載
のものが知られている。前記従来の植生用のブロック
は、上下方向に貫通部を形成した前方枠部の前端両側部
の外面に切欠部を形成し、前記前方枠部の貫通部の前端
の中央下部に土受け止め部を突設し、前方枠部の後方に
後方部を連設してなる構成である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来の植
生用のブロックでは、未だコンクリート面が前面側に露
呈するので、擁壁体を構築した場合に充分な自然環境を
創り出したり、周囲の自然の景観を損ねるものである。
また、植物の栽培用土を充填する貫通部の上下部分が開
放しているし、前記貫通部を設けた前方枠部もブロック
の一部を構成しているので、強度が不足する。したがっ
て、広大な面積の擁壁体や川岸用の壁体を構築する場合
には、壁体の構築強度に問題がある。したがって、前面
側からはコンクリートの地肌が見えなくて体裁がよく、
しかもきわめて強度に富む植生用コンクリートブロック
が要望されている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は前記従来の欠点
と要望とに鑑み提案されたもので、ブロック本体の前面
側に、植物の栽培土を収納する土壌受部分を横方向に設
け、前記土壌受部分の前面側に、土壌受部分に収納した
栽培土の前面側を保持するとともに装飾的効果をもたら
せる装飾部を設けてなることを特徴とする植生用コンク
リートブロック、及びブロック本体の前面側に、植物の
栽培土を収納する土壌受部分を横方向に設け、前記土壌
受部分の前面側に、土壌受部分に収納した栽培土を保持
するとともに装飾的効果をもたらせる装飾部を設けてな
る植生用コンクリートブロックを法面等に積層し、植生
用コンクリートブロックの土壌受部分に栽培土を収納し
て植物を植え付け、前面には各植生用コンクリートブロ
ックの装飾部、栽培土及び植物を臨ませ、その裏面側に
は各ブロック本体による強固な壁部分が構築されている
ことを特徴とする植生用コンクリートブロックによる壁
体に関するものである。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下に本発明の植生用コンクリー
トブロックの実施の形態を説明する。本発明の植生用コ
ンクリートブロック１は、ブロック本体２の前面側に、
植物の栽培土を収納する土壌受部分３を設け、前記土壌
受部分３の前面側に、土壌受部分３に収納した栽培土の
前面側を保持するとともに装飾的効果をもたらせる装飾
部４を設けてなる。

【０００６】前記ブロック本体２は横長な厚板状で、左
右の側端から４分の１の位置には縦方向の縦鉄筋挿通孔
２１が開設されている。前記縦鉄筋挿通孔２１は、上下
が拡張部分２２となって、高さの途中が縮小部分２３と
なっている。

【０００７】そして、前記ブロック本体２の上面には横
方向に係合凸部２４を突設するとともに、下面には横方
向に嵌合凹部２５を横溝状に形成する。

【０００８】また、前記ブロック本体２の左右の側端部
には、高さの途中に位置するように側部合端２６を横方
向に突出するように設け、前記側部合端２６の側端面に
は、縦方向の半円状の溝部２７を形成する。

【０００９】前記ブロック本体２の前面に設けた土壌受
部分３は、ブロック本体２の前面側に設けた上下の支持
部３１，３１からなり、前記上下の支持部３１間に、前
面が開放する横方向の肉抜き部３２を設けてある。そし
て、前記上下の支持部３１は、横幅がブロック本体２の
横幅より短尺であるから、ブロック本体２の表面側の左
右の側端部には、上下の支持部３１が存在しないことに
よる空部３３が構成される。

【００１０】また、前記土壌受部分３の前面側に設けた
装飾部４は、コンクリートにより前記土壌受部分３と一
体成形されるもので、図面の実施の形態では土壌受部分
３の表面に設けた複数の擬似石４１によって構成されて
いる。

【００１１】前記植生用コンクリートブロック１を使用
して山岳や造成面の擁壁として、若しくは川岸の護岸壁
等の壁体５１を構築するには、クレーン等によって植生
用コンクリートブロック１を搬送し、下側に設置する植
生用コンクリートブロック１に対し、上側に設置する植
生用コンクリートブロック１を、横幅の２分の１だけ位
置をずらせて千鳥状に積層する布積みにして上下に積層
する。この布積み構築作業においては、下側に位置する
植生用コンクリートブロック１の係合凸部２４が、上側
に位置する植生用コンクリートブロック１の嵌合凹部２
５に嵌合して係合するので、位置決めが正確になるばか
りでなく、布積み強度を著しく高めることができる。

【００１２】そして、植生用コンクリートブロック１を
法面や川岸の面等に沿って必要な高さまで布積みした
ら、各植生用コンクリートブロック１の上下に連通する
縦鉄筋挿通孔２１に縦鉄筋５２を一連に挿通するととも
に、間詰めコンクリート５３を充填して養生硬化させ、
各植生用コンクリートブロック１を一体化させる。

【００１３】したがって、前記の様にして構築した壁体
５１は、上下の各植生用コンクリートブロック１のブロ
ック本体２が、縦鉄筋５２や間詰めコンクリート５３等
によって、コンクリートブロックによる強固な保護壁体
を構築することができる。そして、縦鉄筋挿通孔２１の
上下に拡張部分２２を形成することにより、上下の植生
用コンクリートブロック１の接合部分は拡張部分２２に
充填する間詰めコンクリートによって連結されるので、
太くなってきわめて強固なものとなる。しかも、上下、
左右に隣り合う植生用コンクリートブロック１において
は、土壌受部分３の上下の支持部３１の上方部分、下方
部分、肉抜き部３２及び左右の空部３３ばかりでなく、
左右に隣り合うブロック本体２の側部合端２６が突き合
わされる上下の部分に、全体として連続する覆土空間部
が構成される。

【００１４】そして、これらの覆土空間部に、壁体５１
を構築後、若しくは構築作業と同時に植物の栽培土等を
充填するとともに、草木や蔓科の植物の株や根等を植え
付けて、壁体５１の表面に延在させて繁茂させる。前記
栽培土としては、通常の土壌や土砂類でもよいが、粘土
質土壌に榧、藁、よし、細い短尺樹脂パイプ材等の細か
い繋ぎ材を混練したものを使用すると、保水性が高くて
植物の成育が良好になるばかりでなく、雨水による流出
防止をもたらせることができる。

【００１５】したがって、前記のようにして壁体５１を
構築すると、壁体５１の表面にはコンクリートがほとん
ど露呈しないで、繁茂する植物と各植生用コンクリート
ブロック１の装飾部４だけであるから、きわめて体裁が
よくて自然環境に馴染むものとなる。

【００１６】そして、前記覆土空間部は側部合端２６の
上下の覆土空間部によって壁体５１の裏側の法面や河川
面の地山に連続するので、自然地中の微生物や地中水が
覆土空間部に充填した栽培土に供給されるので、ブロッ
ク本体２の栽培土をも自然な状況に保たせることがで
き、植物の成長が良好なばかりでなく、枯らせることも
ない。また、前記壁体５１の側端部においては、植生用
コンクリートブロック１を布積みすることによって、上
下２段ごとに植生用コンクリートブロック１の縦半分の
寸法の空部が形成されることになる。したがって、植生
用コンクリートブロック１の縦半分の形状の植生用コン
クリートブロックを製造し、このコンクリートブロック
を前記空部に埋め込むと、壁体５１の全面を、装飾部４
を有する植生コンクリートブロックで構成することがで
きる。

【００１７】以上本発明を図面の実施の形態に基づいて
説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるもの
ではなく、特許請求の範囲に記載されている構成を変更
しない限り、どのようにでも実施することができる。

【００１８】

【発明の効果】以上要するに、本発明によれば、ブロッ
ク本体の前面側に、植物の栽培土を収納する横方向の土
壌受部分を設け、前記土壌受部分の前面側に、土壌受部
分に収納した栽培土の前面側を保持するとともに装飾的
効果をもたらせる装飾部を設けてなることを特徴とする
植生用コンクリートブロック、及び、前記植生用コンク
リートブロックを積層し、各植生用コンクリートブロッ
クの土壌受部分に栽培土を収納して植物を植え付け、前
面には各植生用コンクリートブロックの装飾部、栽培土
及び植物を臨ませ、その裏面側には各ブロック本体によ
る強固な壁部分が構築されていることを特徴とする植生
用コンクリートブロックによる壁体に関するものであ
る。

【００１９】したがって、法面、川岸等の表面には、各
植生用コンクリートブロック１のブロック本体２によっ
て強固な保護壁部分を構築できるので、法面等を確実に
保護することができるばかりでなく、大規模で大面積の
擁壁や護岸壁を構築することができる。そして、植生用
のコンクリートブロックで構築される壁体の表面は、土
壌受部分に植え付けられる植物と装飾部とによって覆わ
れるので、自然環境がそのまま生かされて、周囲の景観
を損なわせることがない。また、装飾部は土壌受部分に
充填した栽培土を確実に保持するため、風雨等によって
栽培土が洗い流されたり流れ出ることがないので、半永
久的に植物を植え付けておくことができ、実用的価値の
高いものとなる。

【００２０】更に、ブロック本体の左右の側端部の高さ
の途中に側部合端を突設し、左右に隣り合うブロック本
体を側部合端で接合させることにより、接合する側部合
端の上下の部分に充填する栽培土によって土壌受部分３
のすべての覆土空間部が法面等の自然の土壌に連続する
ことになるため、植物の栽培にとってきわめて環境の良
いものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の植生用コンクリートブロックの１実施
の形態を示す平面図である。

【図２】図１の正面図である。

【図３】左半分を土壌受部分の位置で、右半分をブロッ
ク本体の位置で切断した正面図である。

【図４】図１の側面図である。

【図５】図１の縦断面図である。

【図６】土壌受部分３の部分を断面とした斜視図であ
る。

【図７】コンクリートブロックにより構築した壁体の一
部を欠截した側面図である。

【図８】図７の壁体における装飾部、及びブロック本体
をそれぞれ一部欠截した正面図である。

【符号の説明】

１ 植生用コンクリートブロック ２ ブロック本体 ３ 土壌受部分 ４ 装飾部 ２１ 縦鉄筋挿通孔 ２２ 拡張部分 ２３ 縮小部分 ２４ 係合凸部 ２５ 嵌合凹部 ２６ 側部合端 ２７ 溝部 ３１ 支持部 ３２ 肉抜き部 ３３ 空部 ４１ 擬似石 ５１ 壁体

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブロック本体の前面側に、植物の栽培土
   を収納する土壌受部分を横方向に設け、前記土壌受部分
   の前面側に、土壌受部分に収納した栽培土の前面側を保
   持するとともに装飾的効果をもたらせる装飾部を設けて
   なることを特徴とする植生用コンクリートブロック。
2. 【請求項２】 土壌受部分は、ブロック本体の横幅より
   短尺な上下の支持部からなり、上下の支持部間に肉抜き
   部が形成してある請求項１に記載の植生用コンクリート
   ブロック。
3. 【請求項３】 ブロック本体の左右の側端部の高さの途
   中に側部合端を突設し、左右に隣り合うブロック本体を
   側部合端で接合させてなる請求項１又は２に記載の植生
   用コンクリートブロック。
4. 【請求項４】 ブロック本体の前面側に、植物の栽培土
   を収納する土壌受部分を横方向に設け、前記土壌受部分
   の前面側に、土壌受部分に収納した栽培土を保持すると
   ともに装飾的効果をもたらせる装飾部を設けてなる植生
   用コンクリートブロックを法面等に積層し、植生用コン
   クリートブロックの土壌受部分に栽培土を収納して植物
   を植え付け、前面には各植生用コンクリートブロックの
   装飾部、栽培土及び植物を臨ませ、その裏面側には各ブ
   ロック本体による強固な壁部分が構築されていることを
   特徴とする植生用コンクリートブロックによる壁体。