JPH09310151A - 冷間加工性に優れたばね用鋼線材 - Google Patents

冷間加工性に優れたばね用鋼線材

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JPH09310151A
JPH09310151A JP12200696A JP12200696A JPH09310151A JP H09310151 A JPH09310151 A JP H09310151A JP 12200696 A JP12200696 A JP 12200696A JP 12200696 A JP12200696 A JP 12200696A JP H09310151 A JPH09310151 A JP H09310151A
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wire rod
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steel
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JP12200696A
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Masaki Shimotsusa
正貴 下津佐
Nobuhiko Ibaraki
信彦 茨木
Yoshinori Yamamoto
義則 山本
Shiyuugorou Adachi
周悟郎 足立
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中心偏析が少なく冷間コイリング性などの冷
間加工性に優れたばね用鋼線材を提供すること。 【解決手段】 圧延鋼線材における横断面の中心点を含
む任意の1mm2 の観察視野面内に存在するC,Mn,
Pが単独もしくは共存している中心偏析粒の下記(1)
式で求められる総面積指数(SE)が5以上である冷間
加工性に優れたばね用鋼線材を開示する。 SE=−(1/√C)×log(S/D2 )……(1) 式中、Cは圧延鋼線材中の炭素含有量(質量%) Dは圧延鋼線材の直径(mm) Sは偏析粒の総面積(mm2) をそれぞれ表わす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の弁ばね
や懸架ばね等として使用されるばね用鋼線材に関し、特
に中心偏析が少なく冷間コイリング性などの冷間加工性
に優れたばね用鋼線材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ばね用鋼の化学成分はJIS G356
5〜G3567,G4801等に規定されており、通常
はC含有量が0.6質量%程度であるSi−Mn系、S
i−Cr系、Cr−V系などの鋼材が汎用されている。
また最近では、自動車の燃費や排ガス低減等を目的とす
る軽量化対策の一環としてばね用鋼の高応力化が進めら
れており、たとえばNiやMo等を含有させて靭性を高
めたばね用鋼線材、あるいは結晶粒の微細化を狙ってN
bやAl等を含有させたばね用鋼線材も開発されてい
る。
【0003】ところで通常の鋼ばねは、上記の様なばね
用鋼から製造された熱間圧延線材や棒鋼(以下、圧延材
という)を用いて所定の線径まで引抜加工した後、オイ
ルテンパー処理を施してからばね加工(冷間ばね成形)
したり、あるいは圧延材を引抜加工し或はピーリング加
工や直線加工してから加熱し、ばね成形後に焼入れ焼戻
し(熱間ばね成形)を行なう等により、各種ばねが製造
されている。
【0004】ところで最近のばね鋼においては、生産性
の一層の向上とコストダウン指向のもとで、製造工程を
更に高速化すると共に省工程化を進めようとする傾向が
あり、それに伴って、内部品質等に対する要求特性は一
段と厳しくなってきている。またばね用鋼の製造には主
として造塊法が採用されてきたが、近年では連続生産の
可能な連続鋳造法に移行してきており、それにつれて中
心偏析の問題が従来以上に重要となってくる。即ちばね
用鋼は、概して高CでSiやMnも多量含まれており、
連続鋳造法では従来の造塊法に比べてそれらの元素や不
可避不純物が中心部に偏析し易く、圧延鋼線材とした時
に該偏析部に過冷却組織が出現したり、該偏析部が延性
不良となって後の引抜き加工時に断線や内部にミクロク
ラックを生じるといった問題を引き起こす。
【0005】また冷間成形を行なう際には、中心偏析部
の塑性変形能不足によってコイリング加工時に切損を生
じたり、切損を生じないまでもミクロクラックが発生し
最終製品としたときに早期切損を起こす原因となる。更
に、前記した様な軽量化のための高応力化が進むにつれ
て、中心偏析等の内部欠陥による感受性は一層高まって
おり、高応力ばね用鋼線材のコイリング加工等では、僅
かな内部欠陥が断線等の問題につながることが経験され
ている。
【0006】ところで、コイリング加工時における切損
の起こり易さを評価するための代用特性として、オイル
テンパー線の引張特性のうち絞り値で評価する方法があ
るが、該絞り値にしても中心偏析によって大きなばらつ
きが生じたり、20%前後といった極めて低い絞り値し
か得られないこともあり、この様な低絞り値のオイルテ
ンパー線では、コイリング加工時に生じる切損確率が非
常に高くなることが確認されている。
【0007】こうした流れの中で、特に冷間加工性を著
しく害する中心偏析の低減対策については多くの方法が
提案され、その一部は実用化されているが、中心偏析の
評価手段としては、たとえば圧延鋼線材の断面をマク
ロエッチングしサルファプリントによって評価する方
法、線材の中心部と半径の1/2の位置における硬さ
の差で評価する方法、の如く定性的あるいは官能的な評
価に止まり、該中心偏析の定量的な評価基準は明らかに
されていない。その結果、ばね用鋼線材としての冷間加
工性、特にコイリング加工性の良否を正確に評価するこ
とができず、常に安定した品質のばね用鋼線材が得られ
るとは限らず量産される製品としての品質安定性に問題
を生じることが指摘されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な問
題点に着目してなされたものであって、その目的は、ば
ね用として用いられる鋼線材における冷間加工性に影響
を及ぼす元素の中心偏析状態を定量的に把握し、常時安
定して優れた冷間加工性を示す様なばね用鋼線材を提供
しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係るばね用鋼線材は、圧延鋼線材にお
ける横断面の中心点を含む任意の1mm2 の観察視野面
内に存在するC,Mn,Pが単独もしくは共存している
中心偏析粒の下記(1)式で求められる総面積指数(S
E)が5以上であるところに要旨が存在する。 SE=−(1/√C)×log(S/D2 )……(1) 式中、Cは圧延鋼線材中の炭素含有量(質量%) Dは圧延鋼線材の直径(mm) Sは偏析粒の総面積(mm2) をそれぞれ表わす。
【0010】上記において、中心偏析粒はEPMA分析
で検出されるものであり、鋼材中のC,Mn,Pの各々
の平均含有率に対して、C含有率が1.3倍以上のも
の、および/またはMn含有率が1.3倍以上もの、お
よび/またはP含有率が3倍以上のものを中心偏析粒と
する。
【0011】
【発明の実施の形態】ばね用として使用される鋼を高強
度化しばねとしての疲労寿命を高めるには、鋼素材を硬
質化することが有効であるが、鋼素材の硬度を高めると
内部欠陥や表面疵に対し鋭敏となって早期欠損を起こす
可能性が増大してくる。例えばオイルテンパー線は高強
度化するにつれて絞り値が低くなることが確認されてお
り、該絞り値低下の原因の一つは中心偏析によるものと
考えられるが、前述の如く従来のマクロ試験法等では中
心偏析の状況を定量的に確認することができず、真に中
心偏析によるものかどうかも正確に確認できているとは
言えない。
【0012】そこで本発明者等は、鋳造条件を様々に変
更して中心偏析の状態を変えた種々のばね用鋼線材を調
製し、圧延鋼材の中心偏析とオイルテンパー後の絞り値
や冷間コイリング性の関係を定量的に評価することので
きる方法を開発し、ひいては優れた冷間加工性を安定し
て確実に発揮し得る様なばね用鋼線材を提供すべく鋭意
研究を進めた結果、上記本発明に想到したものである。
【0013】以下、本発明で規定する上記式(1)の設
定理由について説明する。ばね用鋼中のC,Mn,Pの
中心偏析が冷間引抜き加工性や冷間コイリング性に悪影
響を及ぼすことは示唆されていたが、その因果関係が飽
くまでも定性的評価に止まっていたことは先に述べた通
りである。
【0014】そこで本発明者等は、引抜き加工時の断線
やミクロクラックの発生、冷間コイリング時に断線など
を起こさないばね用圧延鋼線材の開発を期して、中心偏
析の定量的な評価基準を明らかにすると共に、該中心偏
析と引抜き加工性や冷間コイリング性の関係を明らかに
すべく研究を進めた。
【0015】その結果、中心偏析は圧延線材の軸心を含
む横断面をエッチングした後、その中心点を含む面積1
mm2 内をEPMAによってC,Mn,Pの面分析を行
ない、画像解析装置を用いてそれらの偏析状態を確認
し、具体的にはCとMnについては当該鋼材の平均含有
率の1.3倍、Pについては同じく平均含有率の3倍を
越える部分を偏析部として2値化処理し、その面積率と
鋼材のC含有量および圧延材の線径の関係が前記式
(1)の関係を満たすものは、冷間コイリング性等の冷
間加工性において安定して優れた特性を示すことを知っ
た。
【0016】引抜き加工性や冷間コイリング性に悪影響
を及ぼす中心偏析の大小は、その鋼材のC含有量に大き
く依存し、C含有量が多い鋼材ほどその中心偏析を減じ
る必要がある。また圧延材の中心偏析の大小は、圧延材
線径にも依存し、線径が太いほどその影響は大きく表わ
れるのである。従って、上記式(1)の関係を満足する
様に中心偏析を抑えた圧延鋼材であれば、引抜き加工性
や冷間コイリング性に悪影響を及ぼすことなく安定した
冷間加工性を得ることができるのである。そして上記式
(1)の関係を外れる圧延鋼材では、中心偏析によって
中心部の組成変形能が乏しくなる結果、オイルテンパー
線の状態で絞り値が乏しくなり、冷間コイリング工程で
折損を起こしたり、折損として表われなかった場合で
も、内部にミクロクラックが生じて鋼ばねとしての使用
時に早期折損を起こす原因となる。
【0017】尚、上記式(1)を満足する様に中心偏析
を低減する手段としては、 溶鋼の加熱度を30℃以下に抑えて連続鋳造を行なう
方法、 連続鋳造に際して鋳型内電磁攪拌を十分に行なう方
法、 鋳造工程で鋳片の内部が未凝固の状態で強圧下を加え
る方法 等が有効であり、これらを適宜組合せて実施すれば良
い。また許容できる中心偏析の程度は、鋼材の化学成分
や圧延材の線径によっても違ってくるので、それらに応
じて適正な条件を設定すればよい。
【0018】上記の様に本発明では、ばね用圧延鋼線材
の横断面におけるC,Mn,Pの偏析量と鋼材のC含有
量および圧延材の線径との関係を前記式(1)によって
規定し、優れた冷間加工性を安定的に発揮させるもので
あり、鋼材の成分組成そのものは特に制限されないが、
ばね用鋼として求められる疲労特性や強度特性などを考
慮して好ましい成分組成を例示すると下記の通りであ
る。
【0019】C:0.3〜0.8%(以下、特記しない
限り質量%を意味する) Cはばね用鋼としての強度を確保すると共に疲労特性を
高めるうえでも重要な元素であり、0.3%以上、より
好ましくは0.4%以上とすべきである。しかしなが
ら、C量が多くなるにつれて中心偏析による冷間加工性
への悪影響が鋭敏に表われる傾向があり、また多過ぎる
と靭延性や耐食性にも悪影響が表われてくるので、0.
8%以下、より好ましくは0.65%以下に抑えるべき
である。
【0020】Si:0.2〜4.0% Siは固溶強化元素として必要であり、0.2%未満で
はマトリックスが強度不足になる嫌いがある。しかしな
がら4.0%を超えると、焼入れ時の脱炭が多くなり、
ばねの疲労寿命に悪影響が現われてくる。適度の硬さを
与える上でより好ましいのは0.5%以上、更に好まし
くは1.0%以上であり、また脱炭防止の観点から好ま
しくは3.0%以下、より好ましくは2.5%以下にす
ることが望ましい。
【0021】Mn:0.1〜2.0% Mnは焼入れ性向上元素として有効に作用し、こうした
効果を有効に発揮させるには0.1%程度以上、より好
ましくは0.2%以上含有させることが望ましいが、反
面、中心偏析の原因となって冷間加工性に悪影響を及ぼ
すので、1.0%以下、より好ましくは0.8%以下に
抑えるべきである。
【0022】ばね用鋼の基本的含有元素は上記の3種で
あり、残部はFeと不可避不純物であるが、不可避不純
物のうち特にPは、少量であっても中心偏析により冷間
加工性に顕著な悪影響を及ぼすので、多くとも0.03
%程度以下、より好ましくは0.02%以下に抑えるこ
とが望ましい。上記の基本元素に加えて、例えば下記の
様な元素を必要に応じて適量含有させることにより、ば
ね鋼としての特性を一段と高めることが可能である。
【0023】Cr:2.0%以下 Crは、腐食条件下で表層部に生成する錆を非晶質で緻
密なものとし、耐食性の向上に寄与する他、焼入性の向
上にも有効に作用する。こうした効果は0.2%以上の
添加で有効に発揮されるが、2.0%を超えて過度に添
加すると、素材の靭性低下といった難点が表われてく
る。Crのより好ましい範囲は0.3〜1.5%の範囲
である。
【0024】Ni:2.0%以下 Niは鋼材の靭性を高めると共に、生成する錆を非晶質
で緻密なものとして耐食性を高める作用があり、更にば
ね特性として重要な疲労特性を改善する作用も有してい
る。こうした作用は極少量のNiによって発揮される
が、好ましくは0.1%以上含有させることによって有
為に発揮される。しかし、2.0%を超えて過多に含有
させると焼入性が過度に増大して圧延組織中に過冷却組
織が出易くなり、冷間加工性に悪影響が表われてくる。
Niのより好ましい含有量は0.2〜1.0%の範囲で
ある。
【0025】Mo:1.5%以下 Moは、焼入性を高めると共に、耐食性の向上にも有効
に作用する元素であり、また粒界強度を高めて水素脆化
を抑える作用も有している。しかしそれらの効果は1.
5%で飽和するので、それ以上の添加は経済的に無駄で
ある。
【0026】また更に他の元素として、TiやVなどを
適量含有させることにより、その特性を一段と改善する
ことが可能である。これらの元素を添加するときの好ま
しい含有量は下記の通りである。
【0027】V:0.5%以下 Vは結晶粒度を微細化して靭延性を高め、疲労特性を改
善するのに有効である。こうした効果を有効に発揮させ
るには0.01%以上の添加が必要である。しかし、
0.5%を超えて添加すると、焼入れ加熱時にオーステ
ナイト中に固溶されない合金炭化物量が増大し、これが
大きな塊状物となって残存し疲労寿命を低下させる。V
のより好ましい範囲は0.05〜0.2%の範囲であ
る。
【0028】Ti:1.0%以下 Tiも、上記NbやAlと同様に結晶粒度を微細化して
疲労特性の向上に寄与する元素であり、その効果は0.
01%程度以上含有させることによって有効に発揮され
る。しかし、1.0%を超えて含有させると、粗大な炭
窒化物の生成によって疲労寿命に悪影響が現れてくる。
Tiのより好ましい範囲は0.01〜0.3%の範囲で
ある。
【0029】
【実施例】次に本発明の実施例を示すが、本発明はもと
より下記実施例によって制限を受けるものではなく、前
後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施
することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の
技術的範囲に含まれる。
【0030】実験例1 表1に示すA,B,C,Dの化学成分鋼をそれぞれ80
トン溶製した後、鋳造条件を種々変化させて造塊または
連続鋳造を行ない、その後、分塊圧延によって偏析レベ
ルの異なる様々のビレット(155mm)を作製した
後、熱間圧延を行なって直径15.8mmの線材2トン
を得、夫々について中心偏析の定量評価を行なった。尚
ビレットの中心偏析状態は、下記の方法を適宜組合せる
ことによって調整した。
【0031】造塊で鋳塊した鋼塊から、トップ、ボト
ム、ミドルを選別する。 連続鋳造時の鋳型内電磁撹拌強度を変化させる。 溶鋼加熱温度をタンディシュヒータにより変化させ
る。 連続鋳造時の凝固末期に大径ロールを用いて強圧下を
付与する。 分塊圧延前に均熱拡散処理を行ない、その時の温度と
時間を変化させる。
【0032】
【表1】
【0033】得られた各圧延線材について、下記の方法
で夫々の中心偏析の程度を調べた。即ち上記各圧延線材
を1トンづつに分割し、その両端末部4箇所からサンプ
リングし、偏析部分を見易くするためAc3 点より50
℃低い温度から焼入れを行なって均一なマルテンサイト
組織にした後、横断面を研磨し「ナイタル」でエッチン
グした。その後、横断面の中心を含む面積1mm2 内を
EPMAによって面分析(ビーム径:2μm、面素数:
512×512)し、該鋼材の平均組成に対しC,Mn
は夫々1.3倍、Pは3倍を超える部分(粒状)をC,
Mn,Pの偏析部とし、画像解析装置によりC,Mnの
1.3倍、Pの3倍の値をしきい値として2値化処理を
行ない、偏析部分(粒状)の総面積を算出した。尚各元
素の平均組成は、各鋼のレードル値とした。そして、各
サンプルにつき4箇所の偏析粒の1mm2 内の総面積の
平均値を各熱間圧延線材の中心偏析とし、得られた総面
積の平均値と各鋼材の炭素含有量および圧延線材の線径
(直径15.8mm)から、中心偏析の総面積指数(S
E)を求めた。
【0034】また冷間コイリング性の評価には、夫々の
1トンコイルを1パス20%程度の減面率で引き抜き、
オイルテンパー処理を行なって引張強度を約2000M
Paにした線材を使用した。但し、表1に示した鋼種D
については、圧延材がマルテンサイト組織であった為、
焼鈍処理を施してから引抜き加工を行ないオイルテンパ
ー処理を行なった。
【0035】図4(図中、1はばね用鋼線材、2は矯正
ローラ、3はガイドローラ、4は曲げローラを夫々示
し、ローラ4を矢印方向に移動させることによって曲げ
加工を与える)に示す如く、ばね相当でD/d=5
(D:ばねとしての平均径、d:素線の線径)となる様
な円形の溝付き治具に沿わせてオイルテンパー線を連続
的に曲げ加工する試験機を作製し、該試験機を用いた曲
げ試験での折損の有無を確認した。またオイルテンパー
線の延性評価は、両末端から400mm長さを夫々15
本づつサンプリングして引張試験を行ない、30本中の
最低の絞り値を採用した。
【0036】上記評価試験の結果と、前記で求めた中心
偏析の総面積指数(SE値)との関係を図1〜3に示
す。即ち図1は、SE値とオイルテンパー線の絞り値と
の関係、図2は、オイルテンパー線の絞り値と曲げ加工
折損率との関係、図3は、SE値と曲げ加工折損率との
関係を夫々整理して示したグラフであり、これらのグラ
フからも明らかである様に、中心偏析が少なくてSE値
が5を超えるものは30%以上の高い絞り値を示し(図
1)、また絞り値が30%以上であるものでは、冷間曲
げ加工時に全く折損を起こさず(図2)、こうした傾向
は図3によっても確認できる。これに対し、SE値が5
未満のものでは絞り値が30%未満で冷間曲げ加工時の
折損率が急激に高まることが分かる。
【0037】また表2は、上記表1に示したのと同じ成
分組成の鋼材を使用し、上記と同様にして得た圧延線材
(但し、線径は直径5.0〜22.0mmの範囲で変
更)について、SE値、絞り値、冷間曲げ加工折損率の
値を示したものであり、本発明の規定要件を満足する実
施例の優位性を確認することができる。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、ば
ね用として用いられる鋼線材における冷間加工性に影響
を及ぼす元素、とりわけC,Mn,Pの中心偏析状態を
定量的に把握し、それらの値と鋼材中のC量および鋼線
材径を関連付けることによって、常に安定して優れた冷
間加工性を示すばね用鋼線材を提供し得ることになっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験によって得たSE値と絞り値の関係を示す
グラフである。
【図2】実験によって得た絞り値と冷間曲げ加工折損率
の関係を示すグラフである。
【図3】実験によって得たSE値と冷間曲げ加工折損率
の関係を示すグラフである。
【図4】実験に用いた冷間曲げ加工折損率の測定装置を
示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 足立 周悟郎 神戸市灘区灘浜東町2番地 株式会社神戸 製鋼所神戸製鉄所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧延鋼線材における横断面の中心点を含
    む任意の1mm2 の観察視野面内に存在するC,Mn,
    Pが単独もしくは共存している中心偏析粒の下記(1)
    式で求められる総面積指数(SE)が5以上であること
    を特徴とする冷間加工性に優れたばね用鋼線材。 SE=−(1/√C)×log(S/D2 )……(1) 式中、Cは圧延鋼線材中の炭素含有量(質量%) Dは圧延鋼線材の直径(mm) Sは偏析粒の総面積(mm2) をそれぞれ表わす。
  2. 【請求項2】 中心偏析粒はEPMA分析で検出される
    ものであり、鋼材中のC,Mn,Pの各々の平均含有率
    に対して、C含有率が1.3倍以上のもの、および/ま
    たはMn含有率が1.3倍以上もの、および/またはP
    含有率が3倍以上のものを中心偏析粒とする請求項1に
    記載のばね用鋼線材。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7618498B2 (en) 2005-03-03 2009-11-17 (Kobe Steel, Ltd.) Steels for high-strength springs excellent in cold workability and quality stability
JP2012172247A (ja) * 2011-02-24 2012-09-10 Nippon Steel Corp 耐水素脆化特性に優れた高強度ばね用鋼
KR20180019212A (ko) 2015-07-27 2018-02-23 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 현가 스프링용 강 및 그의 제조 방법

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