JPH09308676A - 医療用具及びその製造方法 - Google Patents

医療用具及びその製造方法

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JPH09308676A
JPH09308676A JP12811996A JP12811996A JPH09308676A JP H09308676 A JPH09308676 A JP H09308676A JP 12811996 A JP12811996 A JP 12811996A JP 12811996 A JP12811996 A JP 12811996A JP H09308676 A JPH09308676 A JP H09308676A
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solvent
antibacterial
polymer material
medical device
antibacterial substance
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JP12811996A
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Keiichi Yamamoto
慶一 山本
Hiroshi Yokoi
洋 横井
Masako Hanada
正子 花田
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌性を有する医療用具及び抗菌剤を高温に
さらすことなく、常温で、簡便に、医療用具の所望の部
位に抗菌性を付与する方法を提供する。 【解決手段】 高分子材料から形成された医療用具にお
いて、抗菌性物質が高分子材料に含浸されていることを
特徴とする医療用具、及び高分子材料から医療用具を製
造するに際し、高分子材料を溶媒により膨潤させ、溶媒
中に溶解させた抗菌性物質を高分子材料に含浸させるこ
とを特徴とする抗菌性を有する医療用具の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、抗菌性を有する医
療用具及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、体内に長期にわたり医療用具を留
置する場合、医療用具を経由する感染の可能性が指摘さ
れている。例えば、高カロリー輸液用カテーテルにおい
ては、経皮的に留置されたカテーテルの皮膚刺入部から
菌が侵入し、カテーテルに沿って血管に到達し、全身に
回って敗血症を起こす可能性があるといわれる。このよ
うな感染の可能性を低減させるために多くの試みが行わ
れている。例えば、ブロビアックカテーテルは、血管カ
テーテルの皮膚刺入部と血管との間の皮下に留置される
部分にカフとよばれる綿状のものを接着したカテーテル
であり、体内に留置されると、皮下組織がカフの内部に
発達してくるので、菌が皮膚刺入部から侵入してもカフ
の部分でそれ以上の侵入を阻止するものである。特公平
7−90039号公報には、感染抵抗性組成物の製造方
法としてクロルヘキシジンと銀化合物を含む被覆組成物
により感染抵抗性を付与する方法が開示されている。ま
た、特公平5−23790号公報には、クロルヘキシジ
ンを溶融混練法により親水性ポリマーに均一に分布させ
ることにより抗感染性を付与する医療用品の製造方法が
開示されている。さらに、特公平2−56103号公報
には、高分子材料を有機溶剤に溶解した抗菌剤の溶液に
浸漬、乾燥後、中間浸漬溶剤に浸漬、乾燥し、さらに中
間浸漬溶剤に溶解した抗菌剤の溶液に浸漬し、乾燥する
耐感染性高分子材料の製造方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ブロビアックカテーテ
ルにおいては、上記のような機序により感染防止効果が
発現されるため、カテーテルの留置直後は皮下組織がカ
フの内部まで発達せず、感染を充分防止できないという
問題があった。また、ブロビアックカテーテルはカテー
テルの途中にカフが設けてあるという構造上、留置手技
が煩雑で、患者の負担も通常のカテーテルより大きくな
るという問題を有していた。特公平7−90039号公
報に開示された、抗菌物質を含有するポリマーをコーテ
ィングする方法では、コーティング液の粘度が高くなる
ため、細いチューブへのコーティングには適しておら
ず、また、被膜の厚みの制御が比較的困難である。特公
平5−23790号公報に示された溶融混練法では、作
業は比較的容易に行うことが出来るが、抗菌性物質とし
ては、開示されているクロルヘキシジンのようにポリマ
ー溶融時の高温に対して安定なものを用いなければなら
ず、使用できる抗菌性物質が限定されるという問題を有
していた。また、押し出し成形によってカテーテルのよ
うな医療用具を製造する場合には、長手方向の一部分だ
けに抗菌性をもたせることができないという問題も有し
ていた。
【0004】特公平2−56103号公報の方法では、
3回の浸漬工程を要するので、煩雑であった。この方法
において3回の浸漬工程を要するのは、単に抗菌剤が溶
解している溶液に繰り返し浸漬するだけでは高分子材料
に含有される抗菌剤の量を高めることができないからで
ある旨の記載が当該公報中にある。すなわち、特公平2
−56103号公報の方法では中間浸漬工程により、抗
菌剤の溶液に予め浸漬した高分子材料の表面を活性化す
ることに特徴があるため、3回の浸漬を行わなければな
らなかった。本発明は、抗菌性を有する医療用具及び抗
菌剤を高温にさらすことなく、簡便に、医療用具の所望
の部位に抗菌性を付与できる医療用具の製造方法を提供
することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決するため、鋭意検討した結果、高分子材料を
溶媒により膨潤させ、その溶媒中に溶解している抗菌性
物質を高分子材料中に含浸させることにより、高分子材
料に抗菌性を付与できることを見出し、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、高分子材料から形成された医
療用具において、抗菌性物質が高分子材料に含浸されて
いることを特徴とする医療用具、及び高分子材料から医
療用具を製造するに際し、高分子材料を溶媒により膨潤
させ、溶媒中に溶解させた抗菌性物質を高分子材料に含
浸させることを特徴とする抗菌性を有する医療用具の製
造方法を要旨とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の医療用具を形成する高分子材料は、溶媒で膨潤
させることができる材料であればよく、例えば、ポリウ
レタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリア
セタール、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリ
ル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリカ
ーボネート、ポリサルホン等が挙げられる。このような
材料から形成されている医療用具としては、例えば、血
管カテーテル、導尿カテーテル、気管切開チューブ、腹
膜透析用チューブ、栄養カテーテル、創傷被覆材、ドレ
ッシング、縫合糸、輸血や透析回路等に用いられる蓄尿
バッグ、三方活栓、薬栓、コネクター、フィルター、セ
プタム等が挙げられる。
【0007】本発明に用いる抗菌性物質は特に制限され
るものではなく、形成される医療用具の使用目的、抗菌
性物質の抗菌スペクトル、安全性、抗菌剤の徐放性等を
考慮して適宜選択することができる。例えば、エリスロ
マイシン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリ
ン、クロラムフェニコール、フシジン酸、ミカマイシ
ン、カナマイシン、ゲンタマイシン、フラジオマイシ
ン、グラミシジン、ストレプトマイシン、ポリミキシ
ン、コリスチン、バシトラシン等の抗生物質、クロルヘ
キシジン等のビグアニド化合物、ベンゼトニウム、ベン
ザルコニウム、ラウリル硫酸、アルキルポリアミノエチ
ルグリシン、脂肪酸、臭化ドミフェン等の表面活性を有
する化合物、チモール、フェノール、ヘキサクロロフェ
ン、レゾルシン等のフェノール誘導体、ホウ酸、ホウ砂
等のホウ酸化合物、ヨウ素、ヨードホルム、ポビドンヨ
ード等のヨウ素化合物、金、銀、銅、水銀等の金属、チ
メロサール、メチロブロミン等の金属化合物、アクリノ
ール、メチルロザリニン等の抗菌色素化合物、酢酸マフ
ェニド、スルファジアジン、スルフィソミジン、スルフ
ァメトキサゾール等のサルファ剤、ヒノキチオール、カ
テキン等の天然由来の抗菌性物質等が挙げられる。これ
らの抗菌性物質は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネ
シウム塩、カルシウム塩、塩酸塩、硫酸塩、グルコン酸
塩等の塩化合物であってもよく、2種類以上の抗菌性物
質を併用してもよい。
【0008】医療用具に対する抗菌性物質の含有量は、
使用される抗菌性物質の抗菌力、安定性、使用期間、使
用される高分子材料の性状等の条件を勘案して決めれば
よい。
【0009】本発明に用いる医療用具を構成する高分子
材料を膨潤させる溶媒は、高分子材料や抗菌性物質と反
応しないものであればいかなるものでもよい。例えば、
メタノール、エタノール等のアルコール、アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、ベンゼン、キシレン、トルエン、酢酸エチル、ク
ロロホルム、四塩化炭素、アニリン、シクロヘキサノ
ン、アセトニトリル、ジエチルスルホン、ジエチルエー
テル、ピリジン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独
で用いてもよいが、抗菌性物質の溶解性と高分子材料の
膨潤性を調整するために、2種類以上の溶媒を混合して
用いることもできる。
【0010】膨潤させる高分子材料と用いる溶媒の好ま
しい組み合わせとしては、例えば、膨潤させる高分子材
料がポリ塩化ビニルであれば、用いる溶媒はベンゼン、
トルエン、キシレン、アニリン、アセトン等が好まし
く、ポリ塩化ビニリデンであれば、シクロヘキサノン、
テトラヒドロフラン、ジオキサン等が好ましく、ポリア
クリロニトリルであれば、アセトニトリル、ジエチルス
ルホン等が好ましく、ポリ酢酸ビニルであれば、キシレ
ン、四塩化炭素等が好ましく、ポリウレタンであればア
セトン等が好ましく、ポリビニルアセタールであれば、
メタノール、ジエチルエーテル、ピリジン等が好まし
い。高分子材料に含浸させる抗菌性物質は、高分子材料
を膨潤させる溶媒に溶解してもよく、また、高分子材料
を膨潤させる溶媒に対する溶解度が低い場合には、用い
る溶媒と混和する別の溶媒に抗菌性物質を溶解した後、
高分子材料を膨潤させる溶媒と混合して用いてもよい。
【0011】高分子材料の膨潤性や抗菌性物質の濃度を
調整するために、2種類以上の溶媒を混合して用いる場
合、混合する溶媒としては、高分子材料を膨潤させる溶
媒同士を混合してもよく、また、高分子材料を膨潤させ
る溶媒にそれ以外の溶媒を混合してもよい。高分子材料
を膨潤させる溶媒以外の溶媒としては、例えば、水等が
挙げられる。
【0012】本発明では、上記溶媒に高分子材料に含浸
させる抗菌性物質を溶解させる。溶媒に抗菌性物質を溶
解させる方法としては、高分子材料を膨潤させる溶媒に
抗菌性物質を直接溶解させてもよく、また、高分子材料
を膨潤させる溶媒が抗菌性物質を溶解しない溶媒であれ
ば、予め抗菌性物質を溶解した溶液を調製し、この溶液
を高分子材料を膨潤させる溶媒と混合して用いればよ
い。この際、抗菌性物質を溶解した溶液と高分子材料を
膨潤させる溶媒とが均一に混合するものであれば、医療
用具を構成する高分子材料に抗菌性物質を均一に含浸さ
せることができる。また、予め抗菌性物質を溶解する溶
液としては、高分子材料を膨潤させる溶媒でも、それ以
外のものでもよい。
【0013】例えば、ポリ塩化ビニルから形成される医
療用具にチモールを含浸させるには、アセトンを使用す
るとチモールはよく溶解するがポリ塩化ビニルが膨潤し
すぎるため、基材の強度が低下し、医療用具が破損しや
すくなることがあるので、アセトンに水を混合したもの
を用いればよい。このように、アセトンに水を混合する
ことで、ポリ塩化ビニルの膨潤の程度を制御することが
できる。
【0014】塩化ベンゼトニウムをポリウレタンから形
成される医療用具に含浸させるには、アセトンを溶媒と
して用いるとポリウレタンは膨潤するが、塩化ベンゼト
ニウムが溶解しないので、予め塩化ベンゼトニウムを水
に溶解し、得られた塩化ベンゼトニウム水溶液をアセト
ンと混合して用いればよい。また、ポリウレタンから形
成される医療用具を浸しているアセトン中に予め調製し
た塩化ベンゼトニウム水溶液を加えてもよい。
【0015】本発明の方法では、医療用具を溶媒で膨潤
させる際、膨潤させる部位を変えることにより、抗菌性
付与部位を変えることができる。例えば、医療用具全体
を溶媒で膨潤させれば、医療用具全体に抗菌性を付与す
ることができ、医療用具の一部分のみを膨潤させれば、
膨潤させた部位のみ抗菌性を付与することが可能であ
る。
【0016】体内に留置される医療用具は、例えば、血
管内に留置される部分には抗菌性物質を含有せず、血管
内に入らない部分に抗菌性物質を含有することが望まれ
る場合がある。このような医療用具は、押し出し成形に
より抗菌性物質を含有させる従来の方法では製造するこ
とはできないが、本発明の方法により容易に製造するこ
とができる。
【0017】また、本発明の製造方法によれば、外面に
は抗菌性物質を含有するが、内面にはそれを含有しない
チューブや、内面だけに抗菌性物質を含有するチューブ
を得ることも可能である。
【0018】外面のみに抗菌性を付与するには、例え
ば、チューブの両端を封じておくか、または、チューブ
内に抗菌性物質を含有しない純溶媒や空気等を流すこと
により、チューブ内面が抗菌性物質を溶解させた溶媒と
接触しないようにすればよい。内面だけに抗菌性を付与
するには、例えば、チューブ内に抗菌性物質を溶解させ
た溶媒を流せばよい。これらの方法により抗菌性を付与
する場合、抗菌性物質を溶解した溶媒と高分子材料と
を、外面、内面のうち、片面だけに接触させる接触時間
を調整することにより、片面だけに抗菌性を付与するこ
とも、両面に抗菌性を付与することもできる。長時間接
触させると、抗菌性物質が高分子材料内を拡散し、接触
させている面から反対側の面にまで含浸されるので、両
面に抗菌性を付与することができる。また、これらの方
法で両面に抗菌性を付与するさせる場合、接触時間を調
整することにより、外面と内面の抗菌性に強弱を持たせ
ることもできる。
【0019】医療用具の抗菌性の強さを部分的に変える
ためには、抗菌性物質を溶解した溶媒との接触時間を部
分的に変えるか、または、医療用具を部分的に、溶媒中
の抗菌性物質の濃度を変えた溶媒と接触させればよい。
【0020】抗菌性物質を溶解した溶媒に高分子材料を
接触させる条件としては、特に制限はないが、例えば、
室温で24時間放置すればよい。
【0021】高分子材料を溶媒により膨潤させ、抗菌性
物質を高分子材料に含浸した後、得られた医療用具は室
温放置や真空乾燥等により乾燥すればよい。
【0022】また、抗菌性物質を高分子材料に含浸した
後、医療用具を乾燥前または乾燥後に洗浄してもよい。
医療用具を洗浄することにより、医療用具表面に抗菌性
物質が高濃度に残留することを防止できるので、得られ
た医療用具を人体に使用した時に過度の刺激を与えるこ
とを防止できる。洗浄に用いる溶媒としては、高分子材
料と抗菌性物質との組合せを考慮して適宜選択すること
ができるが、高分子材料を膨潤させない溶媒が好まし
い。また、高分子材料を膨潤させる溶媒を用いて洗浄す
ると、高分子材料に含浸された抗菌性物質が溶出する場
合があり、さらに、高分子材料を膨潤させ、かつ抗菌性
物質を溶解する溶媒を用いると、含浸された抗菌性物質
が溶出される可能性が高くなるので、洗浄に使用する溶
媒には、抗菌性物質を含浸させる際に用いた溶媒とは異
なる溶媒を用いるのが好ましい。
【0023】例えば、ポリウレタンやポリ塩化ビニル等
の水では膨潤しない高分子材料にチモール、ヒノキチオ
ール、臭化ドミフェン、塩酸クロルヘキシジン等の水に
対する溶解度の低い抗菌性物質を含浸させた場合には、
水を用いて洗浄すればよく、ポリビニルアルコール等の
有機溶媒で膨潤しない高分子材料に塩化ベンゼトニウム
や塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン
等の水に対する溶解度が高い抗菌性物質を含浸させた場
合には、四塩化炭素等で洗浄すればよい。
【0024】得られた医療用具は、医療用具を形成する
高分子材料に抗菌性物質が含浸されており、抗菌性を有
するものである。
【0025】
【作用】高分子材料からなる医療用具基材は溶媒中で膨
潤させると、その高分子材料の平均の分子間距離が長く
なり、溶媒中に溶解した抗菌性物質が高分子の分子鎖の
間に入り込むことができる。ついで溶媒を除去し、高分
子材料をもとの状態に収縮させることによって、抗菌性
物質は高分子の分子鎖に捕捉され、自由な動きが制限さ
れ、あるいは固着される。これにより、医療用具表面に
菌が接触したときに含浸された抗菌性物質の効果により
菌が殺菌され、感染を防止することが出来る。
【0026】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0027】実施例1、比較例1 ポリウレタン〔サーメディックス(Thermedics)社製、
テコフレックス(Tecoflex)65D〕をプレス機(林機
械製作所社製SG−1300型ホットプレス機)で15
0℃にてシート化した。次に、チモール(石津製薬社
製)をアセトン(石津製薬社製)に溶解し、1%の溶液
を得た。プレス成形により得たポリウレタン製シートを
チモールのアセトン溶液に浸漬し、室温で24時間放置
した後、8時間、室温で真空乾燥した。得られたシート
を直径2 cm の円盤状に打ち抜き、オートクレーブ(ヤ
マト科学社製SP52)で121℃、20分間滅菌し
た。得られた円盤を用いて、以下の方法により、抗菌性
試験を行った。スタフィロコッカス・アウレウス(Stap
hylococcus aureus, ATCC6538P)をブレイン・ハート・
インフュージョン〔Brain Heart Infusion, ベクトン・
ディッキンソン・アンド・カンパニー(Becton Dickins
on and Company)社製〕培地で前培養して菌濃度を1×
105 CFU/mlに調整した菌液10μl を、2枚の円盤で
挟み、37℃で6時間培養した後、0.1% Tween 80
を含む生理食塩水10 ml 中に入れて振盪し、菌を分散
させた。得られた溶液の100μl をブレイン・ハート
・インフュージョン寒天〔Brain Heart Infusion Agar,
ベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー(Be
cton Dickinson and Company )社製〕培地に塗布し
て、37℃で約16時間培養した後、菌の検出を行っ
た。その結果、菌は検出されなかった。次に、比較のた
め、実施例1の方法でプレス成形した後、チモールのア
セトン溶液に含浸していないシートについて同様の試験
を行ったところ(比較例1)、170個のコロニーが形
成された。
【0028】実施例2、比較例2 塩酸クロルヘキシジン(丸石製薬社製)を50%のエタ
ノール水溶液に0.4%となるように溶解した。この溶
液80mlに20mlのアセトンを加えた。得られた溶液中
にポリ塩化ビニル(積水化学工業社製、エスメディカ)
製シートを浸漬し、24時間、室温にて放置した後、乾
燥、水洗して、再び乾燥した。得られたシートを直径2
cm の円盤状に打ち抜き、オートクレーブ(ヤマト科学
社製SP52)で121℃、20分間滅菌した。得られ
た円盤を用いて、実施例1と同様の方法により、抗菌性
試験を行った。その結果、菌は検出されなかった。次
に、比較のため、塩酸クロルヘキシジンの溶液に含浸し
ていないシートについて同様の試験を行ったところ(比
較例2)、122個のコロニーが形成された。
【0029】実施例3 塩化ベンゼトニウム(東京化成社製)を水に溶解して1
%水溶液とし、更に等量のアセトンを加えた。この溶液
に、長さ30cm、外径10mm、内径8mmのポリ塩化ビニ
ル(積水化学工業社製、エスメディカ)製チューブを片
側の端から15cm浸漬し、室温で16時間静置した後、
乾燥した。得られたチューブの両端から5cmずつを切り
落とし、さらに長さ1cmのサンプルを4個採取して抗菌
性試験に供した。得られたサンプルを2個1組として、
そのまま円盤状サンプルの代わりに用いた他は実施例1
と同様の方法で抗菌性試験を行った。その結果、塩化ベ
ンゼトニウム溶液に浸漬した部分から採取したサンプル
ではコロニーは形成されなかったが、浸漬しなかった部
分から採取したサンプルでは98個のコロニーが形成さ
れた。
【0030】
【発明の効果】本発明の製造方法は、抗菌剤を高温にさ
らすことなく、常温で、簡便に、医療用具の所望の部位
に抗菌性を付与することが可能である。また、本発明の
医療用具は十分な抗菌性を有するものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子材料から形成された医療用具にお
    いて、抗菌性物質が高分子材料に含浸されていることを
    特徴とする医療用具。
  2. 【請求項2】 高分子材料から医療用具を製造するに際
    し、高分子材料を溶媒により膨潤させ、溶媒中に溶解さ
    せた抗菌性物質を高分子材料に含浸させることを特徴と
    する抗菌性を有する医療用具の製造方法。
  3. 【請求項3】 溶媒が、高分子材料を膨潤させる溶媒
    と、抗菌性物質を溶解する溶媒との混合物であることを
    特徴とする請求項2記載の医療用具の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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