JPH09303322A - 等速上昇型多段式油圧シリンダ - Google Patents

等速上昇型多段式油圧シリンダ

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JPH09303322A
JPH09303322A JP11336696A JP11336696A JPH09303322A JP H09303322 A JPH09303322 A JP H09303322A JP 11336696 A JP11336696 A JP 11336696A JP 11336696 A JP11336696 A JP 11336696A JP H09303322 A JPH09303322 A JP H09303322A
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JP
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ram
oil
cylinder
hydraulic
valve
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JP11336696A
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English (en)
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Shigeru Yamada
茂 山田
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Tokyo Sintered Metals Corp
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Tokyo Sintered Metals Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多段油圧シリンダにおいて、偏荷重に強いラ
ムタイプでの等速上昇を簡易な手段で達成することを目
的とする。 【解決手段】 上下に延在するよう配置される外筒1
と、外筒1内で昇降し得る外側ラム2と、外側ラム2内
で昇降し得る内側ラム3と、外筒1内にて外側ラム2と
内側ラム3とに面する油室7と、油圧源および作動油溜
を油室7に接続する油路11とを具える油圧シリンダにお
いて、外側ラム2に、油室7内の油圧で上昇付勢される
受圧面5a, 2aと、外側ラム2の上昇限位置を定めるスト
ッパ部5とが設けられ、内側ラム3に、油室7内の油圧
で上昇付勢される受圧面3aと、外側ラム2の上昇に内側
ラム3を連動させるプレート部6とが設けられ、外筒1
に、内側ラム3と摺接して、内側ラム3の受圧面3aが面
する空間9を内側ラム3が外側ラムの上昇限位置に上昇
するまで油室7から隔離する内側ラムガイド部8と、空
間9から油路11への流れのみ許容する弁10と、作動油溜
に常時連なる油路13と、その油路13から空間9への流れ
のみ許容する弁12とが設けられたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、多段式油圧シリ
ンダに関し、特には理容・美容関係や医療関係に用いら
れる椅子の上下動を行わせる多段式油圧シリンダの改良
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】理容・美容関係や医療関係の分野では、
子供から大人まで共通の椅子が用いられるのでその高さ
を低い位置から高い位置まで調整し得る必要があり、そ
の高さ調整のためこれらの分野の椅子では、平行リンク
やパンタグラフ等を用いるリンク形式による上昇機構
や、ワイヤと滑車の組合わせ等を用いるリフタ形式によ
る上昇機構、あるいは油圧で作動する多段式シリンダ等
が設けられている。
【0003】しかしながらリンク形式やリフタ形式の上
昇機構では、その構造上から広い設置面積を必要とし、
またシリンダ以外の付属機構を必要とするなど、構造の
複雑化やコスト高等の問題が多い。このため上記の如き
椅子には一般に多段式シリンダが用いられることが多い
が、その多段式シリンダを、ロッド下端にピストンを取
り付けるピストンタイプとした場合、横方向からの偏荷
重に比較的弱いため、屈曲を避けるにはシリンダ外周に
別途ロッドガイドを設ける必要があった。
【0004】またピストンタイプで等速上昇を行ってい
る既知の多段式シリンダでは、下段のピストンの上昇に
よって縮小される油室を設けて、そこから押し出される
作動油で上段のピストンを下段のピストンと同時にかつ
その下段のピストンに対して上昇させているため、その
上段のピストンの駆動用の作動油がシリンダ内で密封さ
れており、それゆえ油漏れが生じた場合に補給ができ
ず、作動油の劣化も早いという問題があった。
【0005】この一方、多段式シリンダを、ロッド下端
に受圧部を一体的に形成するラムタイプとした場合に
は、比較的偏荷重に強いため別途ロッドガイドを設ける
必要がなくなるが、外部から供給される作動油で各段の
ラムが順次に伸長する従来のラムタイプの構造では、段
に応じて受圧部の受圧面積が異なるため、通常の一定流
量での作動油供給では、ラムの上昇速度が上昇する段に
よって変化してしまって等速上昇が達成できないという
問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特には理容
・美容関係や医療関係の分野に用いられる椅子の上下動
を行わせる多段式油圧シリンダにおいて、ピストンタイ
プで必要とされる偏荷重支持用のロッドガイドを必要と
せず、しかもラムタイプでは従来は構造的に困難であっ
た等速上昇を簡易な手段で達成し得る多段式シリンダを
提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】かかる課
題を達成するためこの発明の多段式油圧シリンダは、実
質的に上下方向に軸線が延在するよう配置される、下端
部が閉止された外筒と、その外筒に対し液密に昇降可能
にその外筒内に同心に配置された外側ラムと、その外側
ラムに対し液密に昇降可能にその外側ラム内に同心に貫
通配置された内側ラムと、前記外筒内に設けられて前記
外側ラムおよび内側ラムに共に面する油室と、前記油室
に連なるとともにシリンダ外の油圧源または作動油溜を
選択的に接続される第1の油路と、を具える多段式油圧
シリンダにおいて、前記外側ラムには、前記油圧源から
前記第1の油路を介して前記油室内に供給される作動油
の油圧により上昇方向に付勢される第1の受圧面が一体
的に設けられるとともに、前記外筒からの当該外側ラム
の上昇によりその外筒に対して掛合して当該外側ラムの
上昇限位置を特定する第1の掛合部が設けられ、前記内
側ラムには、前記油室内に供給される作動油の油圧によ
り上昇方向に付勢される第2の受圧面が一体的に設けら
れるとともに、前記外側ラムに対する掛合によりその外
側ラムの上昇に連動させて当該内側ラムを前記外筒から
上昇させる第2の掛合部が設けられ、前記外側ラムと前
記内側ラムとは、互いに同一の作動油量で同一の高さだ
け上昇するように、各々の軸線と直角な方向の断面積を
設定され、前記外筒には、その外筒内の上下方向中間部
にて前記内側ラムの外周と液密に摺接して前記第2の受
圧面が面する空間を画成するとともに、前記内側ラムが
前記外側ラムの上昇限位置に上昇するまで、前記空間を
前記油室から隔離して前記第2の受圧面に前記油室内の
油圧が作用するのを遮断する内側ラムガイド部と、前記
空間から前記第1の油路への作動油の通流を可能とする
がその逆方向への通流は阻止する第1の弁と、前記作動
油溜に常時接続される第2の油路と、前記第2の油路か
ら前記空間への作動油の通流を可能とするがその逆方向
への通流は阻止する第2の弁と、が設けられていること
を特徴としている。
【0008】かかる多段式シリンダにあっては、外側ラ
ムと内側ラムとが共に下降限位置にある状態でシリンダ
外の油圧源から第1の油路を介して油室に作動油が供給
されて油室内に油圧が発生すると、その状態では、内側
ラムの外周と液密に摺接して内側ラムの第2の受圧面が
面する空間を画成している内側ラムガイド部が、その空
間を油室から隔離して内側ラムの第2の受圧面に油室内
の油圧が作用するのを遮断しており、しかも第1の弁は
上記第1の油路から上記空間への作動油の通流を阻止し
ているので、油室内の油圧は外側ラムの第1の受圧面の
みに作用し、これによって外側ラムが、その外側ラムに
第2の掛合部を介して掛合した内側ラムを伴って上昇す
る。その際、上記油室から隔離された空間内は内側ラム
の上昇により負圧となり、これによりその空間内に第2
の油路および第2の弁を通って作動油溜から作動油が流
入して、後述する内側ラムの連続的なさらなる上昇が可
能となる。
【0009】しかして外側ラムが上昇限位置に到達する
と、外側ラムが第1の掛合部を介して外筒に掛合してさ
らなる上昇を阻止される一方で、内側ラムガイド部が画
成している空間の隔離が終了してその空間が油室と連通
され、その際、その空間内は上述の如く既に第2の油路
および第2の弁を介して流入した作動油で満たされてお
り、その作動油の作動油溜への流出は第2の弁が阻止し
ているので、油室内の油圧が内側ラムの第2の受圧面に
直ちに作用し、これにより内側ラムが、外側ラムからの
上昇を直ちに開始して、外側ラムとの掛合による上昇位
置から引き続いてさらに上昇する。ここで内側ラムと外
側ラムとは、互いに同一の作動油量で同一の高さだけ上
昇するように、各々の軸線と直角な方向の断面積を設定
されているので、内側ラムは通常の一定流量での作動油
供給によって外側ラムと同一の速度で連続的に上昇す
る。
【0010】この一方、外側ラムおよび内側ラムを下降
させる際には、第1の油路を油圧源から作動油溜に切換
え接続すれば、先ず内側ラムが、油室内の作動油を第1
の油路を介して作動油溜へ排出しながら下降し、その
後、内側ラムが第2の掛合部により外側ラムを一緒に押
し下げながらさらに下降し、その際、外側ラムは油室内
の作動油を直接第1の油路へ排出し、内側ラムは前記空
間内の作動油を第1の弁10介して第1の油路へ排出す
る。しかして外側ラムおよび内側ラムは下降限位置に至
る。
【0011】従ってこの発明の多段油圧シリンダによれ
ば、ラムタイプシリンダにおいて、内側ラムを一定流量
での作動油供給で等速上昇させることができるので、横
方向からの偏荷重に対しシリンダ自体で充分な剛性を確
保し得て、ピストンタイプの場合のような嵩張る偏荷重
支持用ロッドガイドを不要にできるので、小さなスペー
スで設置することができ、さらに、シリンダ内に作動油
を密封する必要がないので、作動油の漏れが生じた場合
の補給や劣化の問題を生ずることもない。しかもこの発
明の多段油圧シリンダによれば、等速上昇を簡易な構成
で達成し得るので、等速上昇型多段シリンダを低コスト
で製造することができる。
【0012】なお、この発明の多段式油圧シリンダにお
いては、前記第1の弁と第2の弁とは、各々チェック弁
によって別個に構成されていても良く、かかる構成によ
れば内側ラムガイド部が画成している空間に対する作動
油の給排を第1の弁と第2の弁とに自動的に行わせるこ
とができる。
【0013】一方、この発明の多段式油圧シリンダにお
いては、前記第1の弁と第2の弁とは、前記第1の油路
または前記第2の油路に前記空間を選択的に連通させる
単一の切換え弁によって一体的に構成されていても良
く、かかる構成によればその切換え弁で上記二つの弁の
機能を達成し得るので、弁構造を簡易なものとし得て、
シリンダの製造コストをさらに引き下げることができ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施の形態を
実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここ
に、図1はこの発明の等速上昇型多段式油圧シリンダの
一実施例をその各ラムが下降した状態にて示す断面図、
図2は上記実施例の油圧シリンダをその外側ラムが内側
ラムを伴って上昇した状態にて示す断面図、そして図3
は、上記実施例の油圧シリンダをその内側ラムが外側ラ
ムからさらに上昇した状態にて示す断面図である。
【0015】この実施例の油圧シリンダは、図1に示す
ように、実質的に上下方向に軸線が延在するよう配置さ
れる、下端部が閉止された外筒1と、その外筒1に対し
液密に昇降可能にその外筒1内に同心に配置された外側
ラム2と、その外側ラム2に対し液密に昇降可能にその
外側2ラム内に同心に配置されてその外側ラム2を上下
方向に貫通した内側ラム3と、外筒1内に設けられて外
側ラム2および内側ラム3に共に面する油室7と、その
油室7に連通するように外筒1の下端部に形成された第
1の油路11とを具えており、その第1の油路11には、シ
リンダ外の図示しない油圧源または作動油溜が、図示し
ない切換え弁を介して選択的に接続される。
【0016】なお、図1では外筒1の全体が一体的に示
されているが、外側ラム2および内側ラム3の組み込み
を可能にするため外筒1は実際上は複数に分割されてお
り、その分割方法は、通常のようにロッドカバーとヘッ
ドカバーとシリンダチューブとに分割するようにして良
く、あるいはロッドカバーまたはヘッドカバーとシリン
ダチューブとを一体化したものに残る部分を組付けるよ
うにしても良い。またこの実施例では外筒1と外側ラム
2とを円筒状とするとともに内側ラム3を円柱状として
いるが、例えば内側ラムの回転防止のため等所要に応じ
てそれらを角筒状や角柱状とすることもできる。
【0017】そして、ここにおける外側ラム2には、図
2に示すように、外筒1からの当該外側ラム2の上昇に
よりその外筒1に対し掛合して外側ラム2の同図に示す
上昇限位置を特定する第1の掛合部として、その外側ラ
ム2の下端部に、外筒1の上端部の内向きフランジ部4
に掛合し得る外向きフランジ状のストッパ部5が一体的
に設けられており、ここではそのストッパ部5の下端面
5aおよび、そのストッパ部5の内側にて内側ラム3に隣
接する段部の下向き面2aが、油路11から油室7内に供給
される作動油の油圧により上昇方向に付勢される、外側
ラム2に一体的に設けられた第1の受圧面とされてい
る。
【0018】また、ここにおける円柱状の内側ラム3で
は下端面3aが、油路11から油室7内に供給される作動油
の油圧により上昇方向に付勢される、その内側ラム3に
一体的に設けられた第2の受圧面とされており、その一
方、この内側ラム3の上端部には、外側ラム2に対する
掛合によりその外側ラム2の上昇に連動させて当該内側
ラム3を外筒1から上昇させる第2の掛合部としてプレ
ート部6が、例えばボルトによって固定されている。そ
して外側ラム2と内側ラム3とは、互いに同一の作動油
量で同一の高さだけ上昇するように、各々の軸線と直角
な方向の断面積を設定されている。
【0019】さらに、ここにおける外筒1内には、この
実施例では外筒1の下端部から上方へ延在して外筒1の
中間部で内側ラム3の外周と液密に摺接する円筒状の内
側ラムガイド部8が設けられており、この内側ラムガイ
ド部8はその内側に、内側ラムの下端面3aが面する空間
9を画成するとともに、内側ラム3が外側ラム2と連動
してその外側ラム2の上昇限位置に上昇するまで、上記
空間9を油室7から隔離して内側ラムの下端面3aに油室
7内の油圧が作用するのを遮断する。なお、この実施例
では、内側ラム3の下端部にその外周と下端面3aとを繋
ぐ複数本の小孔15が形成されており、内側ラム3が外側
ラム2と連動して外側ラム2の上記上昇限位置まで上昇
すると、その小孔15が油室7に対し開口して油室7と空
間9とを連通させることになる。
【0020】加えて、ここにおける外筒1の下端部に
は、内側ラムガイド部3内の空間9から第1の油路11へ
の作動油の通流を可能とするがその逆方向への通流は阻
止する第1の弁としての第1のチェック弁10と、前記作
動油溜に常時接続される第2の油路13と、その第2の油
路13から内側ラムガイド部8内の空間9への作動油の通
流を可能とするがその逆方向への通流は阻止する第2の
弁としての第2のチェック弁12とが設けられている。
【0021】かかる構成を持つこの実施例の多段式油圧
シリンダにあっては、外側ラム2と内側ラム3とが共に
下降限位置にある図1に示す状態で、図2中矢印Aで示
すように前記シリンダ外の油圧源から第1の油路11を介
して油室7に作動油が供給されてその油室7内に油圧が
発生すると、その状態では、内側ラム3と液密に摺接し
て内側ラム3の下端面3aが面する空間9を内側に画成し
ている内側ラムガイド部8が、その空間9を油室7から
隔離して、内側ラム3の下端面3aに油室7内の油圧が作
用するのを遮断しており、しかも第1のチェック弁10が
第1の油路11から空間9への作動油の通流を阻止してい
るので、油室7内の油圧は外側ラム2のストッパ部下端
面5aおよび上記段部下向き面2aのみに作用し、これによ
って外側ラム2が、その外側ラム2にプレート部6を介
して掛合した内側ラム3を伴って上昇する。その際、油
室7から隔離された空間9内は内側ラム3の上昇により
負圧となり、これによりその空間9内には、図2中矢印
Bで示すように第2の油路13および第2のチェック弁12
を通って上記作動油溜から作動油が流入する。
【0022】しかして外側ラム2が図2に示す上昇限位
置に到達すると、外側ラム2のストッパ部5が外筒1の
内向きフランジ部4と掛合して外側ラム2のそれ以上の
上昇が阻止される一方で、上述したように内側ラム3の
小孔15が空間9を油室7に連通させ、その連通の際、空
間9内は既に上述の如く第2のチェック弁12を介して流
入した作動油で満たされており、その作動油の作動油溜
への流出は第2のチェック弁12が阻止しているので、図
2中矢印Cで示すように油室7内から小孔15を介して空
間9内にもたらされた作動油の油圧が内側ラム3の下端
面3aに直ちに作用し、これにより内側ラム3が外側ラム
2からの上昇を直ちに開始し、その後、内側ラム3が内
側ラムガイド部8から完全に離間して空間9は油室7と
実質的に一体化し、図3に示すように、内側ラム3は油
室7内の油圧で付勢されて外側ラム2との掛合による上
昇位置から引き続いてさらに上昇する。ここで、内側ラ
ム3と外側ラム2とは互いに同一の作動油量で同一の高
さだけ上昇するように、各々の軸線と直角な方向の断面
積を設定されているので、内側ラム3は、上記油圧源か
らの通常の一定流量での作動油供給によって外側ラム2
と同一の速度で連続的に上昇する。
【0023】この一方、外側ラム2および内側ラム3を
下降させる際には、第1の油路11を油圧源から作動油溜
に切換え接続すれば、先ず内側ラム3が、油室7内の作
動油を第1の油路11を介して作動油溜へ排出しながら図
2に示す位置まで自重で下降し、その後、内側ラム3が
プレート部6により外側ラム2を一緒に押し下げながら
自重でさらに下降し、その際、外側ラム2は油室7内の
作動油を直接第1の油路11へ排出し、内側ラム3は空間
9内の作動油を第1のチェック弁10を介して第1の油路
11へ排出する。しかして外側ラム2および内側ラム3
は、最終的に図1に示す下降限位置に至る。
【0024】従ってこの実施例の多段油圧シリンダによ
れば、ラムタイプシリンダにおいて内側ラム3を一定流
量での作動油供給で等速上昇させることができるので、
横方向からの偏荷重に対しシリンダ自体で充分な剛性を
確保し得て、ピストンタイプの場合のような嵩張る偏荷
重支持用ロッドガイドを不要にできるので、小さなスペ
ースで設置することができ、さらに、シリンダ内に作動
油を密封する必要がないので、作動油の漏れが生じた場
合の補給や劣化の問題を生ずることもない。しかもこの
多段油圧シリンダによれば、内側ラム3の等速上昇を簡
易な構成で達成し得るので、等速上昇型多段シリンダを
低コストで製造することができる。
【0025】加えてこの実施例の多段式油圧シリンダに
よれば、第1の弁と第2の弁とを、第1のチェック弁10
と第2のチェック弁12とで別個に構成しているので、上
述の如く、空間9に対する作動油の給排を自動的に行わ
せることができる。
【0026】以上、図示例に基づき説明したが、この発
明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、この発
明の多段式油圧シリンダにおいては、前記第1の弁と第
2の弁とを、前記第1の油路または前記第2の油路に前
記空間を選択的に連通させる単一の切換え弁によって一
体的に構成しても良く、そのようにすれば、その単一の
切換え弁で上記二つの弁の機能を達成し得るので、弁構
造を簡易なものとし得て、シリンダの製造コストをさら
に引き下げることができる。またこの発明の多段式油圧
シリンダにおいては、外筒の構造の選択上等所要に応じ
て、外筒の中間部に内向きフランジ部を形成してその内
周面を内側ラムに液密に摺接させることで前記内側ラム
ガイド部を構成しても良い。
【0027】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、小さなスペ
ースで設置することができ、また作動油の漏れが生じた
場合の補給や劣化の問題を生ずることもない、そして等
速上昇を簡易な構成で安価に達成し得る、高いストロー
クを持つ多段式油圧シリンダを提供することができる。
【0028】なお、この発明の多段式油圧シリンダにお
いては、前記第1の弁と第2の弁とが各々チェック弁に
よって別個に構成されていても良く、かかる構成によれ
ば前記空間に対する作動油の給排を自動的に行わせるこ
とができる。
【0029】一方、この発明の多段式油圧シリンダにお
いては、前記第1の弁と第2の弁とが単一の切換え弁に
よって一体的に構成されていても良く、かかる構成によ
ればその切換え弁で前記内側ラムガイド部内の空間を前
記作動油溜または前記油路に選択的に接続することで上
記二つの弁の機能を達成し得るので、弁構造を簡易なも
のとし得て、シリンダの製造コストをさらに引き下げる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の等速上昇型多段式油圧シリンダの一
実施例をその各ラムが下降した状態にて示す断面図であ
る。
【図2】上記実施例の油圧シリンダをその外側ラムが内
側ラムを伴って上昇した状態にて示す断面図である。
【図3】上記実施例の油圧シリンダをその内側ラムが外
側ラムからさらに上昇した状態にて示す断面図である。
【符号の説明】
1 外筒 2 外側ラム 2a 段部下向き面 3 内側ラム 4 内向きフランジ部 5 ストッパ部 5a 下端面 6 プレート部 7 油室 8 内側ラムガイド部 9 空間 10 第1のチェック弁 11 第1の油路 12 第2のチェック弁 13 第2の油路 15 小孔

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に上下方向に軸線が延在するよう
    配置される、下端部が閉止された外筒(1)と、その外
    筒に対し液密に昇降可能にその外筒内に同心に配置され
    た外側ラム(2)と、その外側ラムに対し液密に昇降可
    能にその外側ラム内に同心に貫通配置された内側ラム
    (3)と、前記外筒内に設けられて前記外側ラムおよび
    内側ラムに共に面する油室(7)と、前記油室に連なる
    とともにシリンダ外の油圧源または作動油溜を選択的に
    接続される第1の油路(11)と、を具える多段式油圧シ
    リンダにおいて、 前記外側ラムには、前記油圧源から前記第1の油路を介
    して前記油室内に供給される作動油の油圧により上昇方
    向に付勢される第1の受圧面(5a, 2a)が一体的に設け
    られるとともに、前記外筒からの当該外側ラムの上昇に
    よりその外筒に対して掛合して当該外側ラムの上昇限位
    置を特定する第1の掛合部(5)が設けられ、 前記内側ラムには、前記油室内に供給される作動油の油
    圧により上昇方向に付勢される第2の受圧面(3a)が一
    体的に設けられるとともに、前記外側ラムに対する掛合
    によりその外側ラムの上昇に連動させて当該内側ラムを
    前記外筒から上昇させる第2の掛合部(6)が設けら
    れ、 前記外側ラムと前記内側ラムとは、互いに同一の作動油
    量で同一の高さだけ上昇するように、各々の軸線と直角
    な方向の断面積を設定され、 前記外筒には、その外筒内の上下方向中間部にて前記内
    側ラムの外周と液密に摺接して前記第2の受圧面が面す
    る空間(9)を画成するとともに、前記内側ラムが前記
    外側ラムの上昇限位置に上昇するまで、前記空間を前記
    油室から隔離して前記第2の受圧面に前記油室内の油圧
    が作用するのを遮断する内側ラムガイド部(8)と、前
    記空間から前記第1の油路への作動油の通流を可能とす
    るがその逆方向への通流は阻止する第1の弁(10)と、
    前記作動油溜に常時接続される第2の油路(13)と、前
    記第2の油路から前記空間への作動油の通流を可能とす
    るがその逆方向への通流は阻止する第2の弁(12)と、
    が設けられていることを特徴とする、多段式油圧シリン
    ダ。
  2. 【請求項2】 前記第1の弁と第2の弁とは、各々チェ
    ック弁(10,12)によって別個に構成されていることを
    特徴とする、請求項1記載の多段式油圧シリンダ。
  3. 【請求項3】 前記第1の弁と第2の弁とは、前記第1
    の油路(11)または前記第2の油路(13)に前記空間
    (9)を選択的に連通させる単一の切換え弁によって一
    体的に構成されていることを特徴とする、請求項1記載
    の多段式油圧シリンダ。
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