JPH09302829A - 床構造材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 垂直ラチス筋の使用を省略又は削減或いはよ
り確実に機能させ、連結支持筋に垂直ラチス筋の機能を
負担させる床構造材の提供。 【解決手段】 床構造材１０は、デッキプレート１１
と、デッキプレート１１の上面に取り付けられた床鉄筋
とで構成され、床鉄筋はデッキプレート１１の長手方向
の両端にそれぞれ並設した端部固定材１２と、端部固定
材１２間へ架設状態で連結された上下に平行する上弦筋
１３及び下弦筋１４と、デッキプレート１１の短手方向
に沿って並設した連結支持筋１５とで構成され、連結支
持筋１５には上方へ突出して上弦筋１３及び下弦筋１４
を跨ぐ態様で逆Ｕ字状に折り曲げ形成した垂直連結部１
６を設け、垂直連結部１６は少なくとも１片が垂直に起
立して上弦筋１３及び下弦筋１４に当接して一体に連結
されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、デッキプレートに
床鉄筋を取り付けた状態で工場生産し、これを建築現場
に搬入して設置し、当該床鉄筋付のデッキプレートを捨
て型枠としてコンクリートを打設して建物の床スラブを
構成するための床構造材に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の床構造材としては、例えば実公
平２−２９１３７号公報などに開示された構造のものが
ある。

【０００３】これらの床構造材１は、例えば図１及び図
２で示すように、長手方向に沿って補強リブ加工が施さ
れたデッキプレート２と、このデッキプレート２の上面
に対して補強リブと直角な短手方向に沿って配設した連
結支持筋３と、デッキプレート２の長手方向の両端にそ
れぞれ配設した端部固定材４，４と、この端部固定材
４，４間へ架設状態で連結された上下に平行する上弦筋
５及び下弦筋６と、この上弦筋５と下弦筋６の間を連結
する垂直ラチス筋７によって構成されている。

【０００４】上弦筋５及び下弦筋６と連結支持筋３とで
形成された鉄筋ラチス梁は、上弦筋５と下弦筋６の間を
蛇行させた垂直ラチス筋７の上下の折り曲げ部分が、当
該上弦筋５と下弦筋６に溶接などによってそれぞれ固着
され、これにより、上方からの圧縮力に対して変形しな
いように補強を行っている。

【０００５】連結支持筋３は連続する山形状に形成さ
れ、平坦な底部側をデッキプレート２の上面に溶接など
によって固着すると共に、山形の頂部が鉄筋ラチス梁を
跨ぐようにして当該山形の頂部を上弦筋５に対して溶接
などで固着し、これにより、連結支持筋３は鉄筋ラチス
梁を吊り下げ状態で支持し、端部固定材４，４と協働し
て鉄筋ラチス梁の倒れ防止部材として機能し、且つデッ
キプレート２の上面から下弦筋６迄の高さ方向の間隔を
一定に保持するためのスペーサーとしても機能するもの
である。

【０００６】上記した床構造材１は、デッキプレート２
に鉄筋ラチス梁を含む床鉄筋を取り付けた状態で工場生
産し、これを建築現場に搬入して設置し、必要に応じて
亀裂防止用のメタルラスなどを取り付けた後に、当該床
鉄筋付のデッキプレートを捨て型枠としてコンクリート
を打設して建物の床スラブを構成する。

【０００７】尚、この種の床構造材では連結支持筋３が
延在するデッキプレート２の短手方向を定尺にして、垂
直ラチス筋７が延在するデッキプレート２の長手方向は
建物の床構造に適合する任意の長さに設定すると共に、
床鉄筋の高さは床スラブの厚さに適合する任意の長さに
設定し、同様の構成による複数枚の床構造材１をデッキ
プレート２の短手方向に隣接させて並設した状態で使用
する。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記したように、床鉄
筋として垂直ラチス筋７を用いて鉄筋ラチス梁にした従
来の床構造材１の場合には、次のような改善すべき点が
あった。

【０００９】その第１は、断面円形の上弦筋５及び下弦
筋６の円弧状面と、断面円形の垂直ラチス筋７を折り曲
げた円弧状面とを、点接触状態に当接した状態で熔着し
ているので、溶接する際に両者の位置決めを正確にし且
つ位置ずれを生じないように固定保持しておく必要があ
り、垂直ラチス筋７の取り付け作業が容易ではないこ
と、取り付け作業の良否によって、垂直ラチス筋７が傾
斜して歪んだ状態で熔着されたり、両者が離間して熔着
が不十分であったりする恐れがあり、その場合には強度
の低下を来すことになって品質が安定しない。

【００１０】その第２は、この床構造材１は使用される
建物の床構造に応じて、デッキプレート２の長手方向の
寸法及び床鉄筋の高さ寸法を選定する事になるが、特に
長さと高さの双方を選定する必要がある垂直ラチス筋７
の場合には、床構造材１の製造に際して長さや高さの異
なる多種類の部品を在庫として用意したり、出荷に適合
させて段取りの組み替えを行わなければ成らず、生産コ
ストの低減や作業能率の向上を損なう要因になってい
た。

【００１１】その第３は、連結支持筋３は上弦筋５には
連結されているが、下弦筋６には連結されていないの
で、その分だけ鉄筋ラチス梁に対する倒れ防止部材とし
ての機能が損なわれる。

【００１２】そこで本発明では、これら従来技術の課題
を解決するために、上記垂直ラチス筋７の使用を省略又
は削減或いはより確実に機能させるようにすると共に、
上記連結支持筋３の構成を変更して垂直ラチス筋７の機
能を負担させるようにした床構造材の提供を目的とする
ものである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明による請求項１の床構造材は、デッキプレート
と、このデッキプレートの上面に取り付けられた床鉄筋
とで構成され、上記床鉄筋はデッキプレートの長手方向
の両端にそれぞれ並設した端部固定材と、この端部固定
材間へ架設状態で連結された上下に平行する上弦筋及び
下弦筋と、デッキプレートの短手方向に沿って並設した
連結支持筋とで構成され、この連結支持筋には上方へ突
出して上弦筋及び下弦筋を跨ぐ態様で逆Ｕ字状に折り曲
げ形成した垂直連結部を設け、この垂直連結部は少なく
とも１片が垂直に起立して上弦筋及び下弦筋に当接し、
当該上弦筋及び下弦筋と一体に連結されている。この床
構造材では、連結支持筋の垂直連結部を介して上弦筋と
下弦筋とを一体に連結する事によって、従来技術による
垂直ラチス筋を省略する事ができる。

【００１４】また、本発明による請求項２の床構造材
は、上記連結支持筋の垂直連結部は、２片が垂直に起立
して上弦筋及び下弦筋を狭持する態様でそれぞれ当接
し、当該上弦筋及び下弦筋と一体に連結されている。こ
の床構造材では、連結支持筋の垂直な２片の垂直連結部
を介して上弦筋と下弦筋とを一体に連結する事によっ
て、特に上方からの圧縮力による変形防止に対してより
強固な構造である。

【００１５】また、本発明による請求項３の床構造材
は、上記連結支持筋の垂直連結部は、１片が垂直に他の
一片が傾斜状にそれぞれ起立して垂直な一片が上弦筋及
び下弦筋に当接し、当該上弦筋及び下弦筋と一体に連結
されている。この床構造材では、垂直連結部の垂直な１
片で上弦筋と下弦筋を一体に連結し、他の１片を傾斜状
に形成することによって、特に倒れ防止部材としての機
能を強化させた構造である。

【００１６】また、本発明による請求項４の床構造材
は、上記上弦筋と下弦筋の間を垂直ラチス筋で連結させ
た。この床構造材では、従来技術と同様な垂直ラチス筋
を用いているが、従来技術の場合とは異なり、上弦筋と
下弦筋の間は連結支持筋の垂直連結部を介して一体に連
結されているので、強度が増強され且つ品質が安定し、
例えば１列おきのような削減した状態での使用も可能で
ある。

【００１７】また、本発明による請求項５の床構造材
は、上記連結支持筋の隣接する垂直連結部の間を横補強
材で連結させた。この床構造材では、直状筋や水平ラチ
ス筋などによる横補強材によって倒れ防止部材としての
機能を強化させた構造である。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下に、本発明による床構造材を
図３〜図７で図示する実施の形態に基づいて詳細に説明
する。

【００１９】この床構造材１０は、図３及び図４で示す
ように、従来構造と同様に短手方向となる横幅が定尺
で、長手方向となる長さが建物の構造に適合させた方形
状の鉄板で、長手方向に沿って補強リブ加工が施された
デッキプレート１１を用い、このデッキプレート１１の
上面に床鉄筋が取り付けられている。

【００２０】床鉄筋は、デッキプレート１１の長手方向
の両端にそれぞれ配設した端部固定材１２，１２と、こ
の端部固定材１２，１２間へ架設状態で連結された上下
に平行する上弦筋１３及び下弦筋１４と、デッキプレー
ト１１の上面に対して補強リブと直角な短手方向に沿っ
て配設した連結支持筋１５とで構成されている。

【００２１】連結支持筋１５は、上方へ突出する態様で
逆Ｕ字状に折り曲げ形成した垂直連結部１６を、上記し
た上弦筋１３及び下弦筋１４が延在する所定間隔毎に設
け、この垂直連結部１６が上弦筋１３及び下弦筋１４を
狭持する態様で直交状に配設し、当該垂直連結部１６に
上弦筋１３及び下弦筋１４を溶接して一体に連結させる
ようにしている。

【００２２】上記した構成による床構造材１０では、従
来の床構造材１のように垂直ラチス筋７を用いておら
ず、逆Ｕ字状に折り曲げ形成した連結支持筋１５の垂直
連結部１６によって、上弦筋１３及び下弦筋１４が狭持
された状態で一体に熔着されているので、従来技術の課
題は悉く解消される。

【００２３】即ち、垂直ラチス筋７の代わりに上弦筋１
３と下弦筋１４の間を連結する連結支持筋１５の垂直連
結部１６は、上弦筋１３及び下弦筋１４を跨ぐようにし
て当該上弦筋１３の半周以上で面接触すると共に、下弦
筋１４に対しても対向する両側で接触しているので、溶
接する際の位置決めや固定保持は殆ど不要で作業がきわ
めて簡単であり且つ強固に熔着する事ができる。

【００２４】また、長さと高さの双方を選定するために
他の部品に比べて多品種の在庫を必要としていた垂直ラ
チス筋７を省略したことにより、在庫を減らして工程管
理計画も容易に成るので生産コストの低減や作業能率の
向上を図ることができる。

【００２５】さらに、連結支持筋１５の垂直連結部１６
を下弦筋１４にも連結させたことによって、床鉄筋の倒
れ防止部材としての機能が増強され、当該連結支持筋１
５は端部固定材１２と協働して、下弦筋１４をデッキプ
レート１１の上面から所定高さに保持する床鉄筋のスペ
ーサーとしての機能と、上方からの圧縮力に対して床鉄
筋が変形しないように補強する補強部材としての機能を
併せ持ち、垂直ラチス筋７を省略したことによる強度の
低下を十分にカバーすることができる。

【００２６】次に、図５〜図７は本発明による床構造材
の変形例を示すものであり、図５で示す床構造材２０
は、先の床構造材１０に於ける上弦筋１３と下弦筋１４
の間を連結する垂直ラチス筋１７を適所に装着させたも
のであり、図示の実施形態では一列おきに垂直ラチス筋
１７を装着したものと装着しないものとを交互に配列さ
せた。

【００２７】この床構造材２０は、先の床構造材１０よ
りさらに強度を必要とする場合に、所望な適所にラチス
筋１７を装着して上方からの圧縮力に対する補強を行う
ものであり、従来技術のものよりラチス筋１７の使用数
を削減して生産コストの低減や作業能率の向上を図るこ
とができると共に、仮に垂直ラチス筋１７と上弦筋１３
又は下弦筋１４との溶接が不十分な個所が有っても、当
該上弦筋１３と下弦筋１４との間を連結支持筋１５の垂
直連結部１６が連結しているので、必要な強度を確保す
ることができる。

【００２８】図６で示す床構造材３０は、先の床構造材
１０に於ける隣接する上弦筋１３，１３の間の適所に横
補強材１８を架設状態で連結させたものであり、この床
構造材３０では先の床構造材１０の効果に加え、当該床
構造材１０の場合よりも床鉄筋の倒れ防止効果が増強さ
れる。

【００２９】なお、横補強材１８は直状な複数本の鉄筋
を所定間隔毎に平行状に取り付けるようにしても良い
し、ジグザグ状に折り曲げ加工した水平ラチス筋を取り
付けても良く、ここで使用される水平ラチス筋は従来技
術による垂直ラチス筋７の高さ寸法の場合とは異なり、
幅方向のピッチは一定で長さ寸法のみが使用される建物
の床構造に応じて変わるので品種の増加は比較的少なく
済む。

【００３０】図７で示す床構造材４０は、先の床構造材
１０に於ける連結支持筋１５の垂直連結部１６を、一片
を従来技術の場合と同様に傾斜状にして下弦筋１４とは
分離させた状態にし、他の一片は垂直連結部１６の場合
と同様に垂直に起立させて下弦筋１４と連結させて連結
支持筋１９の垂直連結部２１を形成したものであり、従
来技術の場合と遜色のない強度などの性能が得られると
共に、垂直ラチス筋７を省略又は削減できる分だけ有利
である。

【００３１】尚、上記した実施の態様はそれぞれ個別に
実施しても良いし、複数を適宜組み合わせて実施するよ
うにしても良い。

【００３２】

【発明の効果】以上の実施例でも明らかなように、本発
明による床構造材では従来技術に於ける垂直ラチス筋の
使用を省略又は削減或いはより確実に機能させるように
すると共に、従来技術に於ける連結支持筋の構成を変更
して垂直ラチス筋の機能を負担させるようにしたもので
あり、次のような効果を奏することができる。

【００３３】請求項１の床構造材では、連結支持筋の垂
直連結部を介して上弦筋と下弦筋とを一体に連結する事
によって、従来技術による垂直ラチス筋を省略する事が
できるので、床鉄筋の取付作業が容易になり、長さや高
さの異なる多種類の部品を在庫として用意したり、出荷
に適合させて段取りの組み替え作業が削減され、生産コ
ストの低減や作業能率の向上を図ることができる。

【００３４】請求項２の床構造材では、連結支持筋の垂
直な２片の垂直連結部を介して上弦筋と下弦筋とを一体
に連結する事によって、特に上方からの圧縮力による変
形防止に対してより強固な構造であり、従来技術に於け
る垂直ラチス筋の場合とは異なり、位置決めが容易で位
置ずれが生じ難く且つ確実な連結が得られる。

【００３５】請求項３の床構造材では、垂直連結部の垂
直な１片で上弦筋と下弦筋とを一体に連結し、他の１片
を傾斜状に形成することによって、特に床鉄筋に対する
倒れ防止部材としての機能を強化させた。

【００３６】請求項４の床構造材では、上弦筋と下弦筋
の間を垂直ラチス筋で連結させているが、この垂直ラチ
ス筋は従来技術の場合とは異なり、上弦筋と下弦筋の間
は連結支持筋の垂直連結部を介して一体に連結されてい
るので、強度が増強され且つ仮に垂直ラチス筋に溶接の
不具合が有っても強度の低下を補って品質が安定した床
鉄筋が得られる。

【００３７】請求項５の床構造材では、連結支持筋の隣
接する垂直連結部の間を直状筋や水平ラチス筋などの横
補強材で連結させることによって、床鉄筋に対する倒れ
防止部材としての機能を強化させた。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来技術による床構造材の実施形態を示す要部
斜視図。

【図２】図１の要部を拡大した縦断面図。

【図３】本発明による床構造材の実施形態を示す要部斜
視図。

【図４】図１の要部を拡大した縦断面図。

【図５】本発明による床構造材の他の実施形態を示す要
部を拡大した縦断面図。

【図６】本発明による床構造材のさらに他の実施形態を
示す要部を拡大した縦断面図。

【図７】本発明による床構造材のさらに他の実施形態を
示す要部を拡大した縦断面図。

【符号の説明】

１，１０，２０，３０，４０ 床構造材 ２，１１ デッキプレート ３，１５，１９ 連結支持筋 ４，１２ 端部固定材 ５，１３ 上弦筋 ６，１４ 下弦筋 ７，１７ 垂直ラチス筋 １６，２１ 垂直連結部 １８ 横補強材

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 デッキプレートと、このデッキプレート
   の上面に取り付けられた床鉄筋とで構成され、上記床鉄
   筋はデッキプレートの長手方向の両端にそれぞれ並設し
   た端部固定材と、この端部固定材間へ架設状態で連結さ
   れた上下に平行する上弦筋及び下弦筋と、デッキプレー
   トの短手方向に沿って並設した連結支持筋とで構成さ
   れ、この連結支持筋には上方へ突出して上弦筋及び下弦
   筋を跨ぐ態様で逆Ｕ字状に折り曲げ形成した垂直連結部
   を設け、この垂直連結部は少なくとも１片が垂直に起立
   して上弦筋及び下弦筋に当接し、当該上弦筋及び下弦筋
   と一体に連結されていることを特徴とする床構造材。
2. 【請求項２】 上記連結支持筋の垂直連結部は、２片が
   垂直に起立して上弦筋及び下弦筋を狭持する態様でそれ
   ぞれ当接し、当該上弦筋及び下弦筋と一体に連結されて
   いることを特徴とする請求項１の床構造材。
3. 【請求項３】 上記連結支持筋の垂直連結部は、１片が
   垂直に他の一片が傾斜状にそれぞれ起立して垂直な一片
   が上弦筋及び下弦筋に当接し、当該上弦筋及び下弦筋と
   一体に連結されていることを特徴とする請求項１の床構
   造材。
4. 【請求項４】 上記上弦筋と下弦筋の間を垂直ラチス筋
   で連結させたことを特徴とする請求項１〜３の何れかの
   床構造材。
5. 【請求項５】 上記連結支持筋の隣接する垂直連結部の
   間を横補強材で連結させたことを特徴とする請求項１〜
   ４の何れかの床構造材。