JPH0930172A - 偽造防止策を施した有価証券印刷物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、有価証券印刷物において、その印刷
物のカラーコピー機などによる複製防止と、偽造防止用
のシール状貼付物を剥して改ざんする行為に対する、偽
造防止策を施した有価証券印刷物を提供する 【構成】株券、債券、商品券などの有価証券印刷物にお
いて、該印刷物の用紙の一部領域に複数の貫通孔を設
け、該貫通孔を隠蔽するように用紙の表裏から、光輝性
画像形成層を有し、かつ、前記用紙強度以上の強度を有
するシール状貼付物を熱転写したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、有価証券印刷物におい
て、その印刷物のカラーコピー機などによる複製防止
と、偽造防止用のシール状貼付物を剥して改ざんする行
為に対する、偽造防止策を施した有価証券印刷物に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、カラーコピー機を用いた有価証券
印刷物の複製事件が問題となっているが、特に、紙幣
（日本銀行券）についてはコピー機側で画像認識により
複写できないようになっている。しかしながら、株券や
債券、商品券などの法人発行の有価証券印刷物について
は対象物が多く、コピー機のメーカー側では効果的な対
策を施すことができないのが現状である。そのため、ホ
ログラムシール、金属光沢シールなどの特殊印刷物を有
価証券印刷物券面の一部領域に貼着して、コピー防止対
策とした印刷物が知られているが、特殊印刷物を通常行
っている貼着するだけでは、この特殊印刷物を用紙の相
関剥離を利用して剥し、他の券面に貼り替え実際に購入
した金額より高額の券に改ざんしたり、最近の紙幣の偽
造のように、印刷物を表裏２枚に分割して改ざんするな
どに対しては全く効果がないため、今までにない効果的
な対策を提案するよう発行者側よりの強い要請がなされ
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は有価
証券印刷物の一部領域に、印刷物用紙の表裏からほぼ同
じ位置に、ホログラムなどによる光輝性画像形成層を有
するシール状貼付物を熱転写することで、カラーコピー
機による複写防止と同時に、そのシール状貼付物を印刷
物の用紙より強い素材によって作製すると共に、印刷物
の貼付物を貼る部分（用紙の一部領域）の用紙強度を、
他の部分より強くする加工を施すことによって、貼り替
えたり、印刷物の用紙を分割して複製するような改ざん
に対して優れた効果がある偽造防止策を施した有価証券
印刷物を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、従来の有価証
券印刷物で使用している用紙を、特殊な用紙に変更する
ことなく、用紙の表裏両面からシール状貼付物を貼るこ
とのみによって偽造防止効果をあげる有価証券印刷物を
提供するもので、本発明の請求項１によれば、有価証券
印刷物の用紙の一部領域に複数の貫通孔を設け、この貫
通孔を隠蔽するように印刷物の表裏から、光輝性画像形
成層を有し、かつ、用紙強度以上の強度を有するシール
状貼付物を熱転写したことを特徴とするものである。

【０００５】請求項２によれば、前記有価証券印刷物に
おける用紙の一部領域に、漉入などによる薄紙部を設け
たことを特徴とするものである。

【０００６】請求項３によれば、前記シール状貼付物
が、支持体上に保護樹脂層と、ホログラムパターン層、
金属蒸着層、金、銀インキ層などの光輝性画像形成層の
いずれかと、樹脂接着剤層とを順に積層したシールから
なることを特徴とする。

【０００７】本発明を詳細に説明する。本発明の有価証
券印刷物の用紙（基材）の種類は限定しないが、シール
状貼付物を貼着する部分（用紙の一部領域）の用紙強度
を、他の部分より強くすることが必要条件となるため、
用紙の一部領域にミシン目或いは適宜な穿孔用プレスに
より多数の小さな貫通孔を設けるか、又は用紙の一部領
域に漉入などによる薄紙部を設け、この貫通孔又は薄紙
部に表裏面からシール状貼付物を熱転写することによ
り、シール状貼付物の接着剤が前記の貫通孔又は薄紙部
に入り込み、この部分を固着、一体化して強化するもの
である。

【０００８】この有価証券印刷物の用紙の一部領域に熱
転写するシール状貼付物は、支持体上に保護樹脂層と、
ホログラムパターン層又は金属蒸着層又は金、銀インキ
層やＯＶＩ(Optically.Variable.Inks) インキ層などに
よる光輝性画像形成層のいずれかと、樹脂接着剤層とを
順に積層したもので、基本的には表面側に複写時にコピ
ー機の光源を乱反射させる、光反射層又は金属添加物を
含有するシール状貼付物である。また、貼付物は、印刷
物の用紙強度より強い素材であることがよい。なお、印
刷物の一部領域に表裏から貼着する貼付物の組合わせ
は、同種類又は異なるシール状貼付物と特に限定はしな
いが、この表裏の貼付物の素材の強度は、用紙のそれに
比べて高いことが前提である。

【０００９】このシール状の貼付物に使用する樹脂接着
剤の接着強度は、用紙のそれを上回るものであることが
前提条件となる。また、常温では接着性はないが加熱さ
れると活性化して接着性が発現するもので、加熱温度が
低下しても接着力を持続するタイプである。例えばポリ
エステル、アクリル、塩化ビニルなどを適宜な溶剤でワ
ニス化した熱可塑性樹脂接着剤で、塗布の厚さは２〜２
０μｍ程度がよい。この接着剤は貼付物の転写の際に、
熱圧着ローラー、或いは加熱プレスにより貼付物の支持
体側より熱圧着すると、接着剤が溶融して印刷物の貫通
孔又は薄紙部に入り込み、表裏のシール状貼付物をしっ
かりと密着させるとともに、用紙のこの部分を固着し、
一体化する。これにより貼付物を剥そうとすると、貼付
物の周辺の用紙が破れて、有価証券印刷物を破壊するこ
ととなり、しかも、表裏の貼付物を１枚づつに分割する
ことが難しい。

【００１０】

【作用】本発明の偽造防止策を施した有価証券印刷物
は、カラーコピー機により複写をすると、シール状貼付
物の輝度が高いため乱反射して変色して複写されるの
で、再現することができない。また、シール状貼付物を
１枚づつに分割して剥して高額券に貼り替え改ざんしよ
うとしても、貼付物を転写した周辺の印刷物用紙強度は
変わらないため、強化された一部領域の周辺部分の有価
証券印刷物が破損して外観を保つことが不可能となる。
また、印刷物の相関剥離を利用して分割して改ざんしよ
うとした場合、貼付物の樹脂接着剤が多数の貫通孔にま
で入って（薄紙部には浸透して）表裏の貼付物及び用紙
の一部領域を固着し、一体化するので、この部分は相関
剥離を利用した分割ができずに用紙が破壊され、表裏２
枚の貼付物が密着したまま剥がされることになるので、
他の印刷物に貼り替えることがでず、しかも入れ替えて
も改ざん行為が一目で確認することができる。

【００１１】

【実施例】以下、図に基づき実施例を詳細に説明する。
図１は、本発明の偽造防止策を施した有価証券印刷物の
一例を示す、部分断面で表した説明図である。すなわ
ち、有価証券印刷物の用紙（１５）の一部領域に、多数
の貫通孔（Ｈ）を設け、この貫通孔を覆うように用紙の
表裏からホログラムシール等のシール状貼付物（１１，
１２）を熱転写したものである。

【００１２】図１に示すように、有価証券印刷物の用紙
の一部領域に、用紙強度を向上させるための加工を施し
たもので、この加工方法は、用紙の所定の一部領域にミ
シン目などにより貫通孔（Ｈ）を開けるか、穿孔用のプ
レスにより複数の貫通孔（Ｈ）を設ける方法などが挙げ
られる。この貫通孔（Ｈ）を覆って塞ぐように用紙（１
５）の表裏面より、光輝性画像形成層を有し、かつ、用
紙より強い素材によるホログラムシール等のシール状貼
付物を熱圧着ローラー（Ｒ）で転写すると、この貫通孔
（Ｈ）に貼付物の接着剤が溶融して入り込み、貼付物
（１１，１２）の接着強度を増幅させることになる。し
たがって、貼付物を剥がそうとしても、貼られた部分は
強く固着しており、反対にこの周囲の用紙が破壊されて
しまう（図２を参照）。また、用紙の相関剥離を利用し
て表裏に分割しようとしても、貼付物と用紙が固着し、
一体化しているので分割できずに、他の領域の用紙が破
壊されてしまう。

【００１３】また、図３に示すように、他の加工方法と
して用紙の一部領域の厚みを、白透かしに代表される漉
入等により、局部的に薄くする方法によって薄紙部（１
５ａ）を設けたもので、この場合の用紙（１５ａ）の強
度は、他の部分に比べて２分の１以下にすることが望ま
しい。すなわち、この場合、用紙の薄紙部（１５ａ）が
極端に弱くなっているが、表裏から転写されるシール状
貼付物（１１，１２）により固着し、一体化さるので、
用紙の相関剥離を利用して剥離するために表裏に分割し
ようとしても、用紙部分が薄く、しかも浸透した樹脂接
着剤（Ｓ）により固着されているので難しく、反対に貼
付物周囲の用紙が破壊されるので、効果的な偽造防止と
なっている。

【００１４】用紙の一部領域に設ける貫通孔（Ｈ）の大
きさは特に限定しないが、１個の直径が２〜５ｍｍ程度
がよく穿孔用のプレスなどにより〔ＶＯＩＤ〕等の孔文
字を入れたり、孔の形状を十字や幾何学的な形状にする
と、表裏のシール状貼付物（１１，１２）の接着効果を
一層増幅させて、貼付物を剥すことが難しくなる。

【００１５】用紙の一部領域に設けた複数の貫通孔
（Ｈ）或いは薄紙部（１５ａ）を覆うように、表裏から
スタンパー等によりシール状貼付物（１１，１２）を貼
着する。この時用紙に貫通孔を設けた場合には、図４に
示すように、用紙の両端をくわえて、用紙にテンション
を発生させて、熱圧着ローラーにより加圧しながら貼付
物を転写すると、接着剤の入り込みがよく、用紙との密
着性が向上する。なお、貼付物を転写する場合、貫通孔
（Ｈ）に接着剤（Ｓ）を浸透させるため接着剤のタイプ
にもよるが熱圧着ローラーが好ましい。

【００１６】

【発明の効果】本発明は以上の構成であるから、下記に
示す如き効果がある。すなわち、カラーコピー機等で複
写した場合、シール状貼付物が光輝性を有する画像形成
層のため、オリジナルと違って視認される。よって真偽
鑑定が容易に可能となる。また、表裏いずれかの貼付物
を剥そうとした場合、貼付物を転写した用紙の一部領域
の強度が強くなっているので、剥がそうとすると有価証
券印刷物そのものが破壊されてしまう。このように、有
価証券印刷物の用紙の一部領域は貼り合わせる貼付物同
士により、他の用紙部分に比べ強くなっている。したが
って、この条件を満たした有価証券印刷物は、故意に貼
付物を剥そうとすると、その外観が損なわれることによ
って、偽造防止の効果を生ずるとともに、表裏に転写し
た貼付物を分割することが難しいため、他に転用するこ
とができず、発行者の利益を保護することができる優れ
た偽造防止策を施した有価証券印刷物を提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す、本発明の偽造防止策
を施した有価証券印刷物の部分断面で表した説明図であ
る。

【図２】本発明に係わる貼付物を剥そうとした場合、有
価証券印刷物が破壊される状態の一例を示す説明図であ
る。

【図３】本発明の他の実施例を示すもので、有価証券印
刷物の一部領域に薄紙部を設けた、有価証券印刷物の部
分断面図（ａ）と、表面側よりの一例を示す平面図
（ｂ）である。

【図４】本発明に係わる貼付物の熱転写方法の一例を示
す説明図である。

【符号の説明】

１１，１２…シール状貼付物 １３ …樹脂接着剤層 １５ …用紙（基材） １５ａ …用紙の薄紙部 Ｈ …貫通孔 Ｓ …貫通孔（薄紙部）内の接着剤

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】株券、債券、商品券などの有価証券印刷物
   において、該印刷物の用紙の一部領域に複数の貫通孔を
   設け、該貫通孔を隠蔽するように用紙の表裏から、光輝
   性画像形成層を有し、かつ、前記用紙強度以上の強度を
   有するシール状貼付物を熱転写したことを特徴とする偽
   造防止策を施した有価証券印刷物。
2. 【請求項２】前記印刷物における用紙の一部領域に、漉
   入などによる薄紙部を設けたことを特徴とする請求項１
   に記載の偽造防止策を施した有価証券印刷物。
3. 【請求項３】前記シール状貼付物が、支持体上に保護樹
   脂層と、ホログラムパターン層、金属蒸着層、金、銀イ
   ンキ層などの光輝性画像形成層のいずれかと、樹脂接着
   剤層とを順に積層したシールからなることを特徴とする
   請求項１に記載の偽造防止策を施した有価証券印刷物。