JPH09299868A - 配向性薄膜の製造方法 - Google Patents

配向性薄膜の製造方法

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JPH09299868A
JPH09299868A JP12200996A JP12200996A JPH09299868A JP H09299868 A JPH09299868 A JP H09299868A JP 12200996 A JP12200996 A JP 12200996A JP 12200996 A JP12200996 A JP 12200996A JP H09299868 A JPH09299868 A JP H09299868A
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water
thin film
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oriented thin
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JP12200996A
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Norihiro Tanaka
典宏 田中
Hiroyuki Yanagi
裕之 柳
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作製が容易で耐久性に優れ、かつ、二次加工
も容易なLB膜の作製方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、水面上の両親媒性化合物に表
面圧をかけた後、基板に累積するLB膜の製造方法にお
いて、LBトラフの水相にポリビニルアルコールやポリ
エチレングリコールなどの水溶性かつ非イオン性のポリ
マーを存在させることを特徴とする配向性薄膜の製造方
法である。本発明の製造方法に従うと、高い表面圧での
累積が可能となるため、LB膜が容易に得られ、しかも
得られたLB膜は耐久性に優れ、電気的相互作用を利用
した二次加工も行いやすい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学素子、センサー
素子、エレクトロニクス素子、表示素子等に用いられる
配向性薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】膜の構成要素である有機分子が同一の方
向に並ぶ薄膜である配向性薄膜を作製する方法として
は、界面を利用する方法、異方性蒸着法や自己組織化を
用いる方法などを挙げることができ、なかでも気液界面
を利用するラングミュア−ブロッジェット法(以下「L
B法」と略記する。)が一般によく用いられている。L
B法は、有機化合物を水面上に散布し、それらがある一
定の二次元的圧力(表面圧)を示すまで水面の面積を狭
めることで圧縮し、分子配向膜を形成させ、この分子配
向膜が存在するところの気液界面に基板を通過させるこ
とによって、基板上に配向膜を付着させることによる配
向性薄膜(以下、LB法によって得られた配向性薄膜を
「LB膜」ともいう。)の作製方法である。LB法で散
布する有機化合物には、気液界面に安定的に存在させる
ため、親水性部と疎水性部を併せ持つ両親媒性化合物が
用いられる。これらには通常、ステアリン酸などの高級
脂肪酸やアンモニウム塩などのイオン性物質が使用さ
れ、水面に存在する状態で電荷を帯びている。これらの
両親媒性化合物は、水中に親水性部が、水面上に疎水性
部が存在し、ある程度配向した状態にあるが、水面で圧
縮することにより配向性が向上する。さらに、圧縮を行
うことにより、水面上の分子配向性膜が緻密になり、基
板への付着が容易になる。実際に、基板への分子配向膜
の付着を行うときに表面圧が低いと、基板上の配向性薄
膜が不完全であったり、基板への付着そのものができな
いことすらある。従って、分子配向膜の表面圧は基板へ
の付着を行うために十分高いことが望ましい。しかしな
がら、ある限度以上に表面圧を高めると、水面上に形成
された分子配向膜が崩壊する。この崩壊を始める表面圧
(以下、「崩壊圧」という。)は、用いた両親媒性化合
物や圧縮時の条件によって異なり、個々の場合において
分子配向膜を圧縮したときに示される表面圧の最大値と
して観測される。
【0003】表面圧は、通常N/m(ニュートンパーメ
ートル)やmN/m(ミリニュートンパーメートル)の
単位で表示され、一般に、基板に分子配向膜を付着させ
るためには20mN/m以上の表面圧が必要とされる。
さらに、良好な配向性薄膜を得るには表面圧が(崩壊圧
−10mN/m)程度であることが望ましいため、崩壊
圧は30mN/m以上であることが求められる。崩壊圧
の値は、両親媒性化合物により異なり、また、分子配向
膜の圧縮速度など圧縮時の条件によっても変化するが、
一般に10mN/mから60mN/mの間である。
【0004】両親媒性化合物の中には、純水の水面上に
散布して圧縮を行うと、良好な配向性薄膜が得られる表
面圧に達する前に、水面上の分子配向膜が崩壊を始める
ものが少なくない。また、両親媒性化合物単独でLB膜
を作製した場合は、得られたLB膜が不安定となり、水
中で剥離したりする場合がある。この問題を解決するた
めに、即ち、崩壊圧を高めるために、水中に無機塩ある
いは高分子電解質を添加する方法が一般的に用いられ
る。しかし、無機塩を用いる場合には、無機塩の種類や
濃度は、分子配向膜を形成する両親媒性化合物によって
異なり、個々の場合に合わせて最適な種類と濃度を設定
する必要がある。また、得られたLB膜は耐久性に難点
がある場合が多く、水中で使用した場合や加熱を行った
場合には配向性薄膜が剥離してしまうため、通常このよ
うな条件下では使用することができない。さらに、無機
塩としてしばしば用いられる重金属塩には、人体や環境
に対する有害性が指摘されている。一方、高分子電解質
を用いる場合には、配向性薄膜を構成する両親媒性化合
物がイオン性である必要がある。また、これらの物質を
添加した場合に得られるLB膜は両親媒性化合物の持つ
電荷が中和されてしまうため、LB膜表面を電気的相互
作用によって修飾することができなくなるという欠点が
あった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、前記の欠点の
ない、作製が容易で耐久性に優れ、かつ、電気的相互作
用による二次加工も容易なLB膜の作製方法が望まれて
いた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決するため鋭意研究を行った結果、有用な添加剤
となるポリマーを見いだし、本発明を完成させるに至っ
た。
【0007】即ち本発明は、水面に分散させた両親媒性
化合物に表面圧をかけた後、該両親媒性化合物を基板表
面に付着させる配向性薄膜の製造方法において、水中に
水溶性かつ非イオン性のポリマー(以下、単に「ポリマ
ー」ともいう。)を存在させることを特徴とする配向性
薄膜の製造方法である。
【0008】本発明においては、水溶性かつ非イオン性
のポリマーを水相に溶解させることにより、配向性薄膜
の製造が容易になり、耐久性が向上するという効果が発
現する。このような優れた効果が得られる機構は明らか
ではないが、以下のようなものであると推測される。即
ち、水溶性かつ非イオン性のポリマーは水面に存在する
分子配向膜を形成する両親媒性化合物の親水性部と、両
親媒性化合物の電荷に依存しない相互作用を起こし、水
面上の分子配向膜の表面に吸着し、配向性薄膜の強度を
向上させるためであると推測される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用する両親媒性化合物
としては、界面活性を有する化合物であれば特に限定さ
れず公知の化合物が使用可能であり、必ずしも電荷を有
している必要はない。とりわけ、剛直性基を含んでもよ
い少なくとも一つの直鎖あるいは分岐状疎水基を有し、
かつ親水性基を有する有機化合物が好適に用いられる。
ここでいう剛直性基とは、主として芳香環により構成さ
れる2価の基であり、たとえば以下の(a)、(b)あ
るいは(c)等の基である。
【0010】(a):直結あるいは縮合環を形成するこ
とで結合された複数の芳香環で構成された2価の基(但
し、芳香環はヘテロ元素を含んでいても良い。)。
【0011】このような基を具体的に示せば、例えば、
【0012】
【化1】
【0013】等の基が挙げられる。
【0014】(b):炭素−炭素多重結合、炭素−窒素
多重結合、窒素−窒素多重結合等の原子−原子多重結合
あるいは−O−、−NH−、−COO−、−CONH
−,−OCOO−、−NHCONH−、−COS−等ヘ
テロ元素を含む数原子によって構成される2価の基(以
下、単に「2価の連結性基」ともいう。)を介して連結
された少なくとも2個の芳香環(但し、芳香環はヘテロ
元素を含んでいても良い。)で構成された2価の基。
【0015】(b)に属する基を具体的に示せば、例え
ば、
【0016】
【化2】
【0017】等の2価の基が挙げられる。
【0018】(c):(a)や(b)の構造において、
芳香環の一部がシクロヘキサン環や非芳香族性のヘテロ
環が加わった構造である2価の基。
【0019】このような基を具体的に示せば、例えば、
【0020】
【化3】
【0021】等の基が挙げられる。
【0022】上記の直鎖あるいは分岐状疎水基とは、一
つの直鎖または分岐状のアルキル基から成るか、あるい
は、一つまたは複数のアルキル基が直結または前記2価
の結合性基もしくは下記に示す3価結合性基を介して結
合して成る構造のものであり、その水素原子の一部がハ
ロゲンに置換されていてもよい。なお、3価の連結性基
とは、例えば、
【0023】
【化4】
【0024】の様な基である。また、該アルキル基の炭
素数は製造し易さの観点から4から40の範囲が望まし
い。上記、直鎖あるいは分岐状疎水基と剛直性基とは、
直結あるいは前記2価または3価の結合性基により連結
される。
【0025】上記の親水性基としては、公知の親水性基
が使用可能であるが、一般に、イオン性基や非イオン性
の親水性基が採用される。該親水性基を例示すると、ア
ミノ基及びその塩、イミノ基及びその塩、四級アンモニ
ウム基、ピリジニウム基、ピペリジニウム基、カルボキ
シル基及びその塩、スルホン酸基及びその塩、リン酸基
及びその塩、アルコキシ基、アミノカルボニル基、ポリ
エーテル基等が挙げられる。
【0026】本発明ではとりわけ、アミノ基及びその塩
や四級アンモニウム基のような親水性基に窒素原子を含
有する両親媒性化合物や親水性基としてポリエーテル基
等を有する電荷を持たない両親媒性化合物を用いた場
合、極めて良好な配向性薄膜を得ることができる。これ
は、これらの両親媒性化合物の親水性基がポリマーの親
水性部分と強い相互作用を起こすためであると推測され
る。
【0027】上述の両親媒性化合物をさらに具体的に例
示すると、
【0028】
【化5】
【0029】(ただし、R1 、R2 、R3 およびR4
それぞれ同一または異なる炭素数が1から20の直鎖状
あるいは分岐状アルキル基を表し、XはOHまたはハロ
ゲン原子を表す。)、
【0030】
【化6】
【0031】(ただし、mは4から20の整数であり、
また、nは2から20の整数であり、R1、R2およびR
3はそれぞれ同一または異なる炭素数1から4の直鎖状
アルキル基を表し、その水素原子の一部が水酸基、アル
コキシ基やハロゲンにより置換されていてもよい。)、
【0032】
【化7】
【0033】(ただし、mは4から20の整数であり、
nは2から20の整数であり、 R1、R2 およびR3
はそれぞれ同一または異なる炭素数1から4の直鎖状ア
ルキル基を表し、その水素原子の一部が水酸基、アルコ
キシ基やハロゲンにより置換されていてもよい。)、
【0034】
【化8】
【0035】(ただし、mは4から20の整数であり、
nは1から20の整数である。)、または、
【0036】
【化9】
【0037】(ただし、kとlは同一または異なる4か
ら20の整数であり、mとnは同一または異なる0から
4の整数であり、XはOHまたはハロゲン原子を表す。
また、Yは
【0038】
【化10】
【0039】{ただし、R1 、R2 およびR3 はそれぞ
れ同一または異なる炭素数1から4の直鎖状アルキル基
を表し、その水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基や
ハロゲンにより置換されていてもよい。}、
【0040】
【化11】
【0041】{ただし、Rは炭素数1から4の直鎖状ま
たは分岐状アルキル基を表し、その水素原子の一部が水
酸基、アルコキシ基やハロゲンにより置換されていても
よい。}
【0042】
【化12】
【0043】{ただし、Rは炭素数1から4の直鎖状ま
たは分岐状アルキル基を表し、その水素原子の一部が水
酸基、アルコキシ基やハロゲンにより置換されていても
よい。}を表す。)等である。
【0044】本発明で使用するポリマーは、水溶性かつ
非イオン性のポリマーであれば、特に限定されず公知の
ポリマーを使用できるが、ポリアルコールやポリエーテ
ルあるいはそれらを含む共重合体を使用するのが好適で
ある。ここでいう、ポリアルコールとは、繰り返し単位
中に一つあるいはそれ以上の水酸基を有するポリマーで
あり、ポリエーテルとは、繰り返し単位中に一つあるい
はそれ以上のエーテル結合を有するポリマーである。具
体的には、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記
する。)、ポリエチレングリコール(以下、PEGと略
記する。)、ポリアクリルアミド(以下、PAAと略記
する。)、ポリプロピレングリコール、ポリメタクリル
酸2−ヒドロキシエチル、ポリアクリル酸2−ヒドロキ
シエチル、PVAとPAAの共重合体等を用いるのが、
得られる配向性薄膜の耐久性の点で好適である。
【0045】本発明で使用するポリマーの分子量は、特
に限定されるものではないが、得られる配向性薄膜の安
定性を考慮すれば、一般に1000から1000万の間
が好ましい。
【0046】本発明において、水中にポリマーを存在さ
せる方法としては、特に限定されず公知の方法が採用さ
れる。一般的な方法を例示すれば以下の通りである。即
ち、あらかじめポリマーを溶解させた水を水相として用
いる方法である。このとき、水相のポリマー濃度は特に
限定されないが、効果及び操作性を勘案すると、一般に
1ppm〜100ppmであるのが望ましい。
【0047】本発明において、両親媒性化合物は、水面
に分散させて表面圧をかけた後、基板表面に付着させら
れる。ここで両親媒性化合物を水面に分散させる方法は
特に限定されないが、該両親媒性化合物の溶液を水面に
散布するのが一般的である。ここで使用する溶媒は、特
に限定されず、公知の溶媒を用いることができる。一般
に、アセトン、メタノール、エタノール、ヘキサン、ク
ロロホルム、アセトニトリル及びこれらの混合溶媒など
が好適に用いられる。このときの両親媒性化合物の溶液
の濃度は、特に限定されないが、操作性等を勘案すると
一般に1〜10g/lが望ましい。また、両親媒性化合
物の散布量は、特に限定はされないが、水面上の単分子
膜の品質を考慮すると、水面の面積1平方ミリメートル
に付き、1から100μgが望ましい。
【0048】水面上に散布した両親媒性化合物に対し表
面圧をかける方法としては、水面の面積を縮小させた
り、水相に流れを与える方法などが挙げられるが、一般
的には水面を区切る壁の一部を移動させて、水面の面積
を縮小させる方法がよく用いられている。前述したよう
に、良好な配向性膜を得るには、一般に30mN/m以
上の崩壊圧が必要であるが、本発明の製造方法では、水
中にポリマーが存在しているので、両親媒性化合物の種
類や表面圧の加圧条件によらず崩壊圧を高めることがで
き、30mN/m以上の崩壊圧を容易に得ることができ
る。従って、本発明における表面圧をかける方法として
は、これらの方法を制限無く用いることができる。
【0049】本製造方法に用いられる基板は、特に限定
されず、公知の材料を用いることができる。例えば、ガ
ラス、プラスチック、金属、セラミックス等を素材とし
た平板が一般的に用いられる。
【0050】本発明で用いられる分子配向膜の付着方法
には、一般的なLB膜の作製方法を特に制限なく用いる
ことができる。例を挙げると、垂直累積法、水平付着
法、水面降下法等があるが、とりわけ基板を水面に対し
立てて行う垂直累積法により、幾重にも配向性薄膜を累
積する場合に本法は特に有用である。
【0051】以上述べた配向性薄膜の製造方法は、前記
条件を満たしたものであれば、特に限定されるものでは
ないが、一般に好適な製造方法を図1に従って以下に例
示する。ただし、本発明の製造方法は図1に限定される
ものではない。即ち、LBトラフ1中の水溶性かつ非イ
オン性ポリマーを含む水相2の水面上に両親媒性化合物
4の溶液を散布し、バリアー3を左方向に移動させるこ
とにより表面圧をかけた後、基板5を水面を通過させる
ことにより、基板上に両親媒性化合物の薄膜を付着させ
る配向性薄膜の製造方法である。ここで、表面圧は表面
圧測定器6によって常にモニターされる。
【0052】
【発明の効果】本発明の製造方法では水溶性かつ非イオ
ン性のポリマーを使用しているので、配向性薄膜に重金
属イオン等のイオン性物質を導入することなく、成膜時
の崩壊圧を高めることができる。従って、成膜時の表面
圧を高い状態で安定に保つことができ、成膜が容易とな
るばかりでなく、高配向性を保持したまま多層累積する
ことが可能で、結果として高強度、高耐久性かつ高配向
性の配向性薄膜を得ることができる。さらに、本発明の
方法で作製された配向性薄膜は水中での耐久性も高く、
イオン性物質を含んでいないため静電的な相互作用を利
用した表面修飾(例えば、静電的吸着による物質の固定
化)を行うこともできる。
【0053】本発明の製造方法で作製された配向性薄膜
の用途は、特に限定されず、公知の用途に使用可能であ
る。例えば、本発明の配向性薄膜の機械的強度の強さ、
安定性を生かし、センサーの感応膜等に好適に用いられ
る。該センサーの種類としては、医療用センサー、環境
計測用センサー、食品検査用センサー等が挙げられる。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。なお、以下の説明において、配向性薄膜の製造の
容易さについては製造時の表面圧の安定性を、配向性薄
膜の品質については累積比の平均値を指標として用い
た。ここで、表面圧の安定性については、基板に付着さ
せる直前の10分間に、表面圧の変動が5%未満のもの
を良好、10%未満のものをやや不良、10%以上のも
のを不良とした。表面圧の変化が10%以上のものは、
膜が緩やかに崩壊しているか、膜の構造が変化している
場合であり、分子が十分配向した薄膜は得られない。ま
た、累積比とは基板への付着による水面上の分子配向膜
の面積減少と基板の表面積の比であり、この値が1に近
いほど分子配向膜がその配向性を保持したまま基板上に
付着され、得られた配向性薄膜の品質が良好であること
を示す。
【0055】実施例1 PVA(重合度500)3mgを純水900mlに溶解
させ、サンエス計測社製LB膜作製装置のLBトラフの
水槽に満たした。一般式
【0056】
【化13】
【0057】で示される化合物1mmol/lのクロロホル
ム溶液100μlをトラフの水面上に散布し、15分間
放置した。0.2mm/秒の速度でトラフ上のバリアを移
動させ、表面圧40mN/mまで圧縮し、15分間放置
の後、10×30mmの石英基板を水面に対して垂直に浸
漬、引き上げをする操作を2回繰り返して、LB膜を4
層累積した。累積比の値は、表1に示すとおり1に近い
ものであった。
【0058】
【表1】
【0059】比較例1 PVAを溶解しない純水900mlをLB膜作製装置の
LBトラフの水槽に満たし、実施例1と同様にしてLB
膜の累積を試みたが、表面圧は28mN/mまでしか上
昇しなかった。28mN/mの表面圧でLB膜の累積を
行ったが、2層目の累積中にLB膜が剥離した。
【0060】実施例2 表2に示されるポリマー3mgを用いて実施例1と同様
にして、10×30mmの石英基板上にLB膜をそれぞれ
4層累積した。各々の累積時の表面圧の安定性および累
積比の平均値を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】実施例3 PVA(重合度500)の0.5mg、1mg、3m
g、5mgおよび10mgをそれぞれ純水900mlに
溶解させ、実施例1と同様にして、10×30mmの石英
基板上にLB膜をそれぞれ4層累積した。各々の累積時
の表面圧の安定性および累積比の平均値を表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】実施例4 PVA(重合度500)3mgを純水900mlに溶解
させ、LB膜作製装置のトラフの水槽に満たした。表4
で示される両親媒性化合物1mmol/lのクロロホルム溶
液100μlをLBトラフの水面上に散布し、実施例1
と同様にして10×30mmの石英基板上にLB膜をそれ
ぞれ4層累積した。各々の表面圧の安定性と累積比の平
均値を表4に示す。
【0065】
【表4】
【0066】比較例2 純水900mlをLB膜作製装置のトラフの水槽に満た
した。表4で示される化合物1mmol/lのクロロホルム
溶液100μlをトラフの水面上に散布し、実施例1と
同様にして10×30mmの石英基板上にLB膜をそれぞ
れ4層累積することを試みた。しかし、表面圧が上がら
ず、累積を行うことができたのはステアリン酸のみであ
った。ステアリン酸を用いた場合の表面圧の安定性は良
好で、累積比の平均値は1.043であった。
【0067】実施例5 実施例1〜4及び比較例2に従って、水晶振動子プレー
ト上にそれぞれLB膜を累積した。該プレートをそれぞ
れバッファ溶液100ml中に浸し、約8MHzの電気
的振動を2時間与えて、配向性薄膜の耐久性の評価を行
った。実施例1〜4に従って作製されたLB膜について
は、いずれも膜の剥離は見られなかった。しかし、比較
例2に従って作製されたLB膜は、水中での耐久性が不
足しており、試験中に膜が剥離を起こした。
【0068】実施例6 実施例1と同様にして、水晶振動子プレート上にLB膜
を3層累積した。該プレートを純水100ml中に浸
し、セイコーEG&G社製水晶振動子マイクロバランス
システムにより重量変化をモニターしつつ、10-6mol/
lのアルブミン−FITC水溶液1mlを加え、タンパ
クの吸着量を測定した。また、実施例1で用いたPVA
の代わりにPEG(重合度150)3mgを用いて、実
施例1と同様にLB膜を累積したプレートについて、前
記と同様にしてタンパクの吸着量を測定した。タンパク
水溶液を加えた後の、プレートの重量変化を測定した結
果を表5に示す。タンパクを添加すると、それぞれ重量
変化が観測され、また、該プレートに280nmの波長
の光を照射するといずれもタンパクの蛍光ラベルに由来
する蛍光が観測されたことから、LB膜上にタンパクが
吸着されたことが示された。
【0069】
【表5】
【0070】比較例3 実施例1で用いたPVAの代わりにイオン性高分子であ
るポリスチレンスルホン酸カリウム(重合度1500)
5mgを用いて、実施例1と同様にLB膜を累積したプ
レートについて、実施例6と同様にしてタンパクの吸着
量を測定した。しかし、タンパク添加後にプレートの重
量変化はなく、タンパクを吸着させることができなかっ
た。
【0071】上記の実施例6および比較例3の結果よ
り、本発明の製造方法を用いた場合、配向性薄膜へのタ
ンパクの固定化を容易に行いうることが明白である。こ
のことは、例えば、物質認識機能を有する化合物を担持
させることが要求されるセンサーなどへの応用において
極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はLB膜を作製する装置の一例を示す模
式図である。
【符号の説明】
1・・・LBトラフ 2・・・水相 3・・・バリアー 4・・・両親媒性分子により構成される分子配向膜 5・・・基板 6・・・表面圧測定器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水面に分散させた両親媒性化合物に表面
    圧をかけた後、該両親媒性化合物を基板表面に付着させ
    る配向性薄膜の製造方法において、水中に水溶性かつ非
    イオン性のポリマーを存在させることを特徴とする配向
    性薄膜の製造方法。
JP12200996A 1996-05-16 1996-05-16 配向性薄膜の製造方法 Pending JPH09299868A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004014965A1 (ja) * 2002-08-08 2004-02-19 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha 自己組織性を有する両親媒性化合物をテンプレートとした分子配向性ポリマーゲル及び分子配向性ポリマーキャストフィルム、並びにそれらの製造方法
CN114315615A (zh) * 2021-12-07 2022-04-12 蒲城驭腾新材料科技有限公司 一种光敏混合型表面活性剂和其制备方法以及应用

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