JPH09296216A - 耐水素誘起割れ性に優れた高強度鋼板の製造方法 - Google Patents

耐水素誘起割れ性に優れた高強度鋼板の製造方法

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JPH09296216A
JPH09296216A JP13965296A JP13965296A JPH09296216A JP H09296216 A JPH09296216 A JP H09296216A JP 13965296 A JP13965296 A JP 13965296A JP 13965296 A JP13965296 A JP 13965296A JP H09296216 A JPH09296216 A JP H09296216A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度かつ耐水素誘起割れ性に優れた熱延鋼
板を製造する。 【解決手段】 C:0.01〜0.12%、Si:0.
5%以下、Mn:0.50〜1.8%、P:0.02%
以下、S:0.001%以下、Ti:0.010〜0.
030%、Nb:0.01〜0.05%、Ca:0.0
005〜0.0050%を含有し、かつCeq(C+S
i/7+Mn/5)≦0.40、[Ca]/[O]:
1.5〜2.0を満足し、残部Feおよび不可避的不純
物からなる連続鋳造鋼片を熱間圧延するに際し、Ar3
+100℃{Ar3=910−310×C(%)−80
×Mn(%)−20×Cu(%)−15Cr(%)−5
5Ni(%)−80Mo(%)}以上で圧延を終了し、
1〜20秒空冷したのちAr3点以上の温度から冷却を
開始し、20秒以内に550〜650℃まで冷却し、そ
の後450〜500℃でコイルに巻取る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐水素誘起割れ
性に優れた高強度鋼管の製造に使用される高強度熱延鋼
板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、採掘可能な油井やガス井において
は、石油資源が枯渇しつつあり、今後のエネルギー需要
を満たすためには、従来は顧みられなかったような深層
油田の発掘や、開発が一旦放棄されたサワーガス田など
に対する開発が急務となっている。
【0003】このような新規開発油井、ガス井から得ら
れる原油、天然ガスは、多量のH2SおよびCO2を含む
場合が非常に多くなっている。このようなサワー原油や
サワーガスの輸送用ラインパイプでは、H2Sに起因す
る割れが発生する場合があり、ラインパイプの破壊事故
につながる危険性が大きいため、重要な問題となってい
る。また、輸送の効率化のためには、高圧輸送に耐える
ラインパイプの高強度化も現在の重要な課題である。こ
のため、耐水素誘起割れ性仕様のアメリカ石油協会(A
PI)規格のX60〜X70グレードの需要が増加して
いる。
【0004】サワー環境下におけるラインパイプの割れ
には、水素誘起割れ(HIC)がある。水素誘起割れ
は、材料強度によらず、また外部応力が存在しなくても
発生することから、比較的低強度の材料でも大きな問題
となる。これは、H2Sによる腐食反応で鋼材表面に発
生した水素が鋼中に侵入拡散し、非金属介在物あるいは
異常組織部と地鉄との界面に分子状水素として析出する
ため、界面における内圧が高まる結果、割れを発生する
もので、これらの割れが幾つか隣接して発生すると、相
互に連結することによって成長し、鋼材の全肉厚を貫通
するに至る現象である。
【0005】このような水素誘起割れを防止する対策と
しては、これまで下記のような様々な試みがなされてい
る。 (1) 熱延鋼帯を溶接製管して得られた鋼管に焼入
れ、焼戻し処理を行い、鋳片の中心偏析部を主とした低
温変態生成物による割れの発生を防ぐ方法(特開昭50
−108119号公報)。 (2) 鋳片を高温長時間加熱処理し、鋳片の中心偏析
を拡散によって消滅させ、割れの起点をなくする方法
(特開昭57−63631号公報)。 (3) Ca等の添加により割れの起点となり易い硫化
物系介在物を球状化し、割れを発生し難くする方法(特
開昭51−114318号公報)。 (4) 鋼中にCuを添加して表面に保護皮膜を形成
し、H2Sによる腐食反応での水素の発生および鋼中へ
の水素の拡散を制御する方法(特開昭50−97515
号公報)。 (5) 所定化学成分の連続鋳造スラブを、1110〜
1250℃の温度領域で再加熱後、850℃以下720
℃以上の温度領域で、少なくとも50%以上の熱間圧延
を行い、720℃以上で該熱間圧延を終了し、680℃
以上の温度領域から550℃以下400℃以上の温度域
まで冷却速度5〜40℃/secの範囲で加速冷却し、
水冷停止後放冷し、パーライト組織をなくしてベイナイ
ト+フェライト(あるいはアシキュラーフェライト)組
織とし、割れ感受性を低下させる方法(特公平7−59
68号公報)。 (6) 所定化学成分のスラブを、950℃以上の温度
で圧下率60%以上の粗圧延を行い、850℃以上の温
度で仕上圧延を行った後、10℃/sec以上の冷却速
度で急冷して500〜650℃にて急冷停止し、引続き
0.5〜10℃/secの冷却速度で冷却して450℃
以下の温度で巻取り、ベイナイト主体の組織として粒界
脆化を防止する方法(特公平7−30391号公報)。 (7) 所定化学成分のスラブを、1250℃以上に1
0時間以上加熱保持した後、850℃以上の仕上温度で
熱間圧延を行い、さらにその鋼帯をホットランテーブル
上で5〜25℃/secの平均速度で急冷し、400〜
550℃の温度で巻取り、パーライト組織をなくしてベ
イナイト組織とし、割れ感受性を低下させる方法(特開
平6−81034号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)および
(2)の方法は、消費エネルギーおよび生産性が悪化
し、製造コスト増につながるという問題がある。また、
上記(3)の方法だけでは、完全に割れの発生を阻止で
きず、また、添加量の制御が不十分であるとCa系介在
物による割れが発生する場合がある。さらに、上記
(4)の方法だけでは、pHが4.5以下の酸性環境下
では効果がなく、また熱間加工性の悪化を招く場合があ
る。さらにまた、上記(5)の方法は、ベイナイト+フ
ェライトの複合組織鋼となるため、粒界での割れが発生
し易いという問題がある。また、上記(6)の方法は、
中心偏析部を中心にベイナイト以外の変態生成物が生成
する可能性が高く、前記(5)の方法と同様粒界での割
れが発生し易いという問題がある。また、巻取温度を4
50℃以下と規定しているが、この温度範囲ではコイル
の一部にマルテンサイトが生成することがあり、耐水素
誘起割れ性が悪化し、かつコイル製造において形状が悪
化し製造が困難である。さらに、上記(7)の方法は、
ホットランテーブル上の平均冷却速度で制御すると、パ
ーライト組織の生成が起こる可能性が高いため、耐水素
誘起割れ性が悪化するという問題がある。
【0007】この発明の目的は、上記従来技術の欠点を
解消し、高強度かつ耐水素誘起割れ性に優れた熱延鋼板
の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意試験検討を重ねた結果、非金属介在物
の制御および材料の組織の最適化が必要であることを究
明した。すなわち、非金属介在物の影響を無くすために
は、Caの添加量を最適な範囲に制御するだけでなく、
さらに、ベイナイト単相組織とすることによって組織的
な不均一をなくし、割れ感受性を低減させることにより
高強度・耐水素誘起割れ性を兼ね備えた熱延鋼板を製造
できるとの結論に至った。
【0009】この発明の請求項1は、C:0.01〜
0.12%、Si:0.5%以下、Mn:0.50〜
1.8%、P:0.02%以下、S:0.001%以
下、Ti:0.010〜0.030%、Nb:0.01
〜0.05%、Ca:0.0005〜0.0050%を
含有し、かつ炭素当量(C+Si/7+Mn/5)≦
0.40、[Ca]/[O]:1.5〜2.0を満足
し、残部Feおよび不可避的不純物からなる連続鋳造鋼
片を熱間圧延するに際し、Ar3+100℃{Ar3=9
10−310×C(%)−80×Mn(%)−20×C
u(%)−15Cr(%)−55Ni(%)−80Mo
(%)}以上で圧延を終了し、1〜20秒空冷したのち
Ar3点以上の温度から冷却を開始し、20秒以内に5
50〜650℃まで冷却し、その後450〜500℃で
コイルに巻取ることとしている。このように、上記化学
成分の鋼片を熱間圧延するに際し、Ar3+100℃
{Ar3=910−310×C(%)−80×Mn
(%)−20×Cu(%)−15Cr(%)−55Ni
(%)−80Mo(%)}以上で圧延を終了し、1〜2
0秒空冷することによって、冷却前の組織が再結晶オー
ステナイトとなり、冷却時のフェライト析出を防止する
ことができる。また、Ar3点以上の温度から冷却を開
始し、20秒以内に550〜650℃まで冷却すること
によって、フェライトおよびパーライトの析出を防止す
ることができる。さらに、450〜500℃でコイルに
巻取ることによって、均一なベイナイト単一相が得ら
れ、強度および耐水素誘起割れ性に優れた熱延鋼板を製
造することができる。
【0010】この発明の請求項2は、C:0.01〜
0.12%、Si:0.5%以下、Mn:0.50〜
1.8%、P:0.02%以下、S:0.001%以
下、Ti:0.010〜0.030%、Nb:0.01
〜0.05%、Ca:0.0005〜0.0050%を
含み、さらに、V:0.03〜0.10%、Mo:0.
30%以下、Cu:0.35%以下、Ni:0.30%
以下のうちの1種または2種以上を含有し、かつ炭素当
量(C+Si/7+Mn/5)≦0.40、[Ca]/
[O]:1.5〜2.0を満足し、残部Feおよび不可
避的不純物からなる連続鋳造鋼片を熱間圧延するに際
し、Ar3+100℃{Ar3=910−310×C
(%)−80×Mn(%)−20×Cu(%)−15C
r(%)−55Ni(%)−80Mo(%)}以上で圧
延を終了し、1〜20秒空冷したのちAr3点以上の温
度から冷却を開始し、20秒以内に550〜650℃ま
で冷却し、その後450〜500℃でコイルに巻取るこ
ととしている。このように、上記化学成分の鋼片を熱間
圧延するに際し、Ar3+100℃{Ar3=910−3
10×C(%)−80×Mn(%)−20×Cu(%)
−15Cr(%)−55Ni(%)−80Mo(%)}
以上で圧延を終了し、1〜20秒空冷することによっ
て、冷却前の組織が再結晶オーステナイトとなり、冷却
時のフェライト析出を防止することができる。また、A
r3点以上の温度から冷却を開始し、20秒以内に55
0〜650℃まで冷却することによって、フェライトお
よびパーライトの析出を防止することができる。さら
に、450〜500℃でコイルに巻取ることによって、
均一なベイナイト単一相が得られ、請求項1よりさらに
強度および耐水素誘起割れ性に優れた熱延鋼板を製造す
ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】まず、この発明において対象とす
る鋼の化学成分を上記のように限定した理由を説明す
る。Cは鋼の強度を得るために必要な元素であるが、
0.01%未満では必要な強度を確保することができ
ず、0.12%を超えるとパーライトやマルテンサイト
が生成し易くなり、耐水素誘起割れ性の悪化ならびに母
材の靭性低下等が起こるため、0.01〜0.12%と
した。
【0012】Siは溶鋼の脱酸のために必要な元素であ
るが、0.5%を超えると溶接部の靭性が悪化するた
め、0.5%以下とした。
【0013】Mnは低コストで鋼の強度および靭性を確
保するために必要な元素であるが、0.50%未満では
その効果が十分でなく、1.8%を超えると焼入れ性が
増加してマルテンサイトの生成を促したり、溶接部の靭
性低下を来たすことがあり、また中心偏析部の増大およ
びMnSの増加等によって耐水素誘起割れ性に悪影響を
及ぼすので、0.50〜1.8%とした。
【0014】炭素当量(Ceq)はC量、Si量および
Mn量によって変化し、Ceq(C+Si/7+Mn/
5)が0.40を超えると、CおよびMnの中心偏析が
激しくなり、耐水素誘起割れ性が低下し、また、溶接性
が悪化するため、Ceq(C+Si/7+Mn/5)≦
0.40とした。
【0015】Pは不純物元素であり、0.02%を超え
ると中心偏析を助長し、また粒界に偏析して耐水素誘起
割れ性を低下させるので、0.02%以下としたが、
0.010%以下とするのが望ましい。
【0016】SはPと同様不純物元素であり、0.00
1%を超えるとMnSを形成し、耐水素誘起割れ性に対
し非常に悪影響を及ぼすので、0.001%以下とし
た。
【0017】Tiは鋼の強度を確保するために必要な元
素であるが、0.01%未満では必要な強度が得られ
ず、0.03%を超えると鋼中水素原子の凝集場所とな
り易く、また、材料の切欠き感受性を上げる粗大なTi
Nが析出し易くなるため、0.01〜0.03%とし
た。
【0018】NbはTiと同様鋼の強度を確保するため
に必要な元素であると同時に溶接部靭性の向上にも効果
があるが、0.01%未満ではその効果が十分でなく、
0.05%を超えると効果が飽和するばかりでなく、経
済的にも不利となるので、0.01〜0.05%とし
た。
【0019】Caは非金属介在物の形態を制御するため
に必要な元素であるが、0.0005%未満ではその効
果が十分でなく、0.0050%を超えるとCa系介在
物が生じ、かえって耐水素誘起割れ性を悪化させるの
で、0.0005〜0.0050%とした。
【0020】前記のとおり、Ca量が0.0050%を
超えるとCa系介在物が生じ、かえって耐水素誘起割れ
性を悪化させるので0.0005〜0.0050%に規
制すると同時に、[Ca]/[O]は1.5未満では介
在物の球状化が十分でなく、水素誘起割れが発生し、
2.0を超えるとCa系介在物が生成して水素誘起割れ
が発生するため、[Ca]/[O]を1.5〜2.0と
した。
【0021】この発明の請求項2においては、強度調整
元素としてV、Mo、Cu、Niのうちの少なくとも1
種以上を添加する。Vは鋼の強度を向上させる効果を有
する元素であるが、0.03%未満ではその効果が十分
でなく、0.10%を超えると効果が飽和して経済的に
不利となるばかりでなく、溶鋼から鋳片を製造する際に
表面割れの原因となる場合があるため、0.03〜0.
10%とした。
【0022】Moは鋼の強度を向上させる効果に加え、
水素誘起割れを抑える効果もあるが、0.3%を超える
と効果が飽和して経済的に不利となるばかりでなく、溶
接性が劣化するので、0.3%以下とした。
【0023】Cuは鋼の強度を向上させる効果に加え、
pH5.0付近での耐食性を向上させるが、0.35%
を超えると強度向上効果が飽和して経済的に不利となる
ばかりでなく、熱間加工性が悪化するため、0.35%
以下とした。
【0024】NiはCuを添加した際に同時に添加する
ことによって、熱間加工性を改善できるが、Ni単独で
も強度向上効果を有するが、0.30%を超えると効果
が飽和して経済的に不利となるので、0.30%以下と
した。
【0025】上記の化学組成を有する鋼片に対し、この
発明では熱間圧延条件および圧延後の冷却条件を規定す
ることによって、均一なベイナイト組織を得ることがで
きる。すなわち、鋼片を熱間圧延する際、Ar3+10
0℃{Ar3=910−310×C(%)−80×Mn
(%)−20×Cu(%)−15Cr(%)−55Ni
(%)−80Mo(%)}以上で圧延を終了し、1〜2
0秒空冷することによって、冷却前の組織を再結晶オー
ステナイトとすることができ、冷却時のフェライト析出
を防止することができる。Ar3+100℃以下の温度
で仕上圧延すると、加工硬化したオーステナイトが残留
することがあり、冷却時にフェライトが析出し易くな
る。組織がベイナイト+フェライトの二相となると、水
素誘起割れに対して不利となるため、仕上温度はAr3
+100℃以上とした。また、仕上圧延後1秒以内に冷
却を開始すると、加工硬化したオーステナイトが残留す
ることがあり、冷却時にフェライトが析出するため、水
素誘起割れに対して不利となり、20秒以上空冷すると
Ar3点より低い温度からの冷却となり、冷却までにフ
ェライトが析出してしまい、水素誘起割れに対して不利
となるので、1〜20秒空冷することとした。
【0026】Ar3点以上の温度から冷却を開始し10
秒以内に550〜650℃まで冷却することによって、
フェライトおよびパーライトの析出を防止することがで
きる。550〜650℃まで冷却するのに10秒以上の
時間がかかると、冷却速度の関係からパーライトの析出
が起こる。また、650℃以上の温度で冷却を終える
と、パーライトが析出してしまい、水素誘起割れに対し
て悪影響を及ぼす。また、550℃以下まで冷却する
と、鋼板の一部にマルテンサイト等の低温変態生成物が
生じ、水素誘起割れに対して悪影響を及ぼすだけでな
く、鋼板の形状を維持することが困難になるため、55
0〜650℃まで冷却することとした。
【0027】さらに、450〜500℃でコイルに巻取
ることによって、ベイナイト単一相が得られ、強度およ
び耐水素誘起割れ性に優れた鋼板を製造することができ
る。巻取温度が450℃以下では、鋼板の一部にマルテ
ンサイト等の低温変態生成物が生じ、水素誘起割れに対
して悪影響を及ぼすだけでなく、鋼板の形状を維持する
ことが困難になり、また、500℃を超えるとパーライ
ト組織が生成することがあるため、耐水素誘起割れ性が
悪化するので、450〜500℃とした。
【0028】
【実施例】
実施例1 表1に示す化学成分の鋼No.1〜29の本発明例の連
続鋳造鋳片を、表3に示す条件で本発明例の熱延鋼板を
製造した。また、表2に示す化学成分の鋼No.30〜
54の比較例の連続鋳造鋳片を、表4示す条件で比較例
の熱延鋼板を製造した。得られた本発明例および比較例
の各熱延鋼板から試験片を切り出し、JIS Z224
1に規定の金属材料引張試験方法に準じて引張強さおよ
び降伏強さを測定すると共に、水素誘起割れ面積率を求
めた。その結果を表3および表4に示す。なお、水素誘
起割れ面積率は、0.5%CH3COOHを添加した5
%NaCl水溶液にH2Sを飽和させた溶液(pH=
2.7〜4.0、いわゆるNACE環境)中に96時間
浸漬したのち、試験片の板厚方向に超音波探傷して割れ
面積率(CAR(%))を求め、耐水素誘起割れ性を評
価した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】本発明による条件で製造した表3に示す本
発明例の熱延鋼板は、耐水素誘起割れ性仕様のAPI規
格のX60〜X70グレードを満足させるのに対し、本
発明外の条件で製造した表4に示す比較例の熱延鋼板
は、コメント欄に示す原因によって、耐水素誘起割れ性
仕様のAPI規格のX60〜X70グレードを満足しな
い。
【0034】
【発明の効果】この発明は、近年需要の高まっている耐
水素誘起割れ性を有するAPI規格のX60〜X70グ
レードのラインパイプ用鋼板を製造することが可能とな
る。これによってエネルギーの安定供給を将来に亘り継
続することができるため、人類文明の繁栄に寄与すると
ころ大である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.01〜0.12%、Si:0.
    5%以下、Mn:0.50〜1.8%、P:0.02%
    以下、S:0.001%以下、Ti:0.010〜0.
    030%、Nb:0.01〜0.05%、Ca:0.0
    005〜0.0050%を含有し、かつ炭素当量(C+
    Si/7+Mn/5)≦0.40、[Ca]/[O]:
    1.5〜2.0を満足し、残部Feおよび不可避的不純
    物からなる連続鋳造鋼片を熱間圧延するに際し、Ar3
    +100℃{Ar3=910−310×C(%)−80
    ×Mn(%)−20×Cu(%)−15Cr(%)−5
    5Ni(%)−80Mo(%)}以上で圧延を終了し、
    1〜20秒空冷したのちAr3点以上の温度から冷却を
    開始し、20秒以内に550〜650℃まで冷却し、そ
    の後450〜500℃でコイルに巻取ることを特徴とす
    る耐水素誘起割れ性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 C:0.01〜0.12%、Si:0.
    5%以下、Mn:0.50〜1.8%、P:0.02%
    以下、S:0.001%以下、Ti:0.010〜0.
    030%、Nb:0.01〜0.05%、Ca:0.0
    005〜0.0050%を含み、さらに、V:0.03
    〜0.10%、Mo:0.30%以下、Cu:0.35
    %以下、Ni:0.30%以下のうちの1種または2種
    以上を含有し、かつ炭素当量(C+Si/7+Mn/
    5)≦0.40、[Ca]/[O]:1.5〜2.0を
    満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる連続鋳
    造鋼片を熱間圧延するに際し、Ar3+100℃{Ar3
    =910−310×C(%)−80×Mn(%)−20
    ×Cu(%)−15Cr(%)−55Ni(%)−80
    Mo(%)}以上で圧延を終了し、1〜20秒空冷した
    のちAr3点以上の温度から冷却を開始し、20秒以内
    に550〜650℃まで冷却し、その後450〜500
    ℃でコイルに巻取ることを特徴とする耐水素誘起割れ性
    に優れた高強度鋼板の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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