JPH09295810A - 複合材料およびその製造方法ならびに複合材料含有樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

複合材料およびその製造方法ならびに複合材料含有樹脂組成物およびその製造方法

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JPH09295810A
JPH09295810A JP30236896A JP30236896A JPH09295810A JP H09295810 A JPH09295810 A JP H09295810A JP 30236896 A JP30236896 A JP 30236896A JP 30236896 A JP30236896 A JP 30236896A JP H09295810 A JPH09295810 A JP H09295810A
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organic polymer
layered silicate
silicate
polymer material
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JP30236896A
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Shunichi Kobayashi
俊一 小林
Tatsuhiro Takahashi
辰宏 高橋
Tsunemi Monma
恒視 門馬
Keiichi Kurosaka
恵一 黒坂
Takayuki Arai
隆幸 荒井
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Kunimine Industries Co Ltd
Du Pont KK
Original Assignee
Kunimine Industries Co Ltd
Du Pont KK
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K7/00Use of ingredients characterised by shape

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 層状珪酸塩と有機高分子からなり熱安定性で
あり、珪酸塩層の層間距離が拡大するかまたは層間の平
行性が減少せしめられた複合材料、およびアミド以外の
有機高分子材料であっても層状珪酸塩を分散させ、しか
も重合工程を含まない複合材料の製造方法、ならびに該
複合材料を含有する複合材料含有樹脂組成物およびその
製造方法を提供すること。 【解決手段】 エチレンメタクリル酸共重合体を一部ま
たは全部中和したアルカリ金属あるいはアルカリ土類金
属塩からなるアイオノマー100重量部と、層状珪酸塩
0.5重量部〜300重量部とを水中で分散、混合、乾
燥、粉砕して、層状珪酸塩の珪酸塩層にアイオノマーを
挿入して複合材料とする。これは層間距離が拡大するか
または層間の平行性が減少した層状珪酸塩の珪酸塩層1
の間にアイオノマー2が挿入された構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機高分子材料の
機械的特性やガスバリアー性や耐熱性や透明性を改良す
る目的で有機高分子材料に配合される複合材料およびそ
の製造方法に関し、詳しくは層状珪酸塩を構成する珪酸
塩層にアイオノマーが挿入された複合材料およびその製
造方法に関する。さらに、本発明は、アイオノマーと相
溶性を有する有機高分子材料と得られた複合材料とを含
有する複合材料含有樹脂組成物およびその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より層状珪酸塩を構成する珪酸塩層
に有機高分子材料を挿入した複合材料を得ようとする試
みがなされていた。それらの試みは、例えば、加藤忠蔵
(高分子、1970年、Vol.19、No.222、
p758−764)や加藤忠蔵、黒田一幸(粘土科学、
1986年、Vol.26、No.4、p292−30
5)等の総説にまとめられている。しかしながら、珪酸
塩層に有機高分子材料を挿入して層間距離を拡大するこ
とや層間の平行性を減少させて粘土鉱物を分散させるこ
とが困難であった。
【0003】この問題を解決するために開発された複合
材料のひとつとして、膨潤性粘土鉱物を構成する珪酸塩
層に、必要に応じて、アルキルアミン系の膨潤化剤を処
理して、さらにモノマーを含浸させ重合することを特徴
とする粘土鉱物/ポリアミド樹脂組成物がある(特開昭
58−35211号公報、特開昭58−35542号公
報)。
【0004】また、ポリアミドの高分子鎖の一部と珪酸
塩層がイオン結合してなる複合材料としては、層状珪酸
塩を構成する珪酸塩層の厚さが7〜12Å(オングスト
ローム)で層間距離が30Å以上である珪酸塩層にポリ
アミドを含む樹脂を混入し、ポリアミドの高分子鎖の一
部と珪酸塩層がイオン結合してなる複合材料も報告され
ている(特開昭62−74957号公報)。
【0005】この複合材料の製造方法もまた、層状珪酸
塩と膨潤化剤とを接触させて、モノマーの溶融温度以上
の温度で、モノマー中のポリアミドにより膨潤する性質
を有する複合体とする接触工程と、得られた複合体とポ
リアミドモノマーとを混合する混合工程と、混合物を所
定温度に加熱して重合する重合工程とから成る(特開昭
62−74957号公報)。これらの方法に従うと、製
造工程に重合工程が含まれるため、複合材料の製造は必
ずしも容易ではなく、また、ポリアミド以外に応用する
ことが困難であった。
【0006】製造工程の困難を解決するため、層状珪酸
塩とアルキルアミン系膨潤化剤とを水中に分散させ乾燥
させることにより得られた層状珪酸塩/アルキルアミン
系膨潤化剤複合材料をポリアミドと溶融混練することに
より、層間距離を30Å以上に拡大することや層間の平
行性を減少させた複合材料含有樹脂組成物が報告されて
いる(米国特許第5385776号公報)。しかし、こ
の方法では低分子量のアルキルアミン系膨潤化剤が最終
製品に混入してしまうため、その熱安定性に問題があっ
た。また、ポリアミド樹脂以外の樹脂を用いて、層間距
離を30Å以上に拡大させることは層間の平行性を減少
せしめ、分散性が向上した複合材料含有樹脂組成物を得
ることは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、ポリアミド以
外の有機高分子材料であっても層状珪酸塩を分散せし
め、しかも、重合工程を含まない複合材料および複合材
料含有樹脂組成物の製造方法の確立が望まれていた。
【0008】本発明の課題は、層状珪酸塩と有機高分子
材料からなり熱安定性を有すると共に珪酸塩層の層間距
離が拡大するかまたは層間の平行性が減少せしめられた
複合材料を提供すること、および層状珪酸塩と有機高分
子材料から、珪酸塩層の層間距離を拡大するかまたは層
間の平行性を減少させるように分散性が向上した複合材
料を製造する際、層状珪酸塩をアルキルアミン系膨潤化
剤と接触させる工程や重合工程を必要としない、簡略
な、優れた複合材料の製造方法を提供することにある。
【0009】さらに、本発明の課題は、そのような複合
材料を含有する複合材料含有樹脂組成物およびその製造
方法を提供することにある。
【0010】詳しくは、本発明の課題は、エチレン系ア
イオノマーと層状珪酸塩とからなる複合材料およびその
製造方法、ならびにかかる複合材料を含有する複合材料
含有樹脂組成物およびその製造方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、層状珪
酸塩とともに複合材料を構成する有機高分子材料とし
て、一定の条件を満足する有機高分子材料(A)、およ
び複合材料と混練する有機高分子材料(B)を選択して
しまえば、簡単な製造工程で、珪酸塩層の層間距離を拡
大するかまたは層間の平行性を減少させるように分散性
が向上し、いろいろな樹脂に応用でき重合工程を含まな
い層状珪酸塩および有機高分子材料から成る複合材料お
よびそれを含有する複合材料含有樹脂組成物を製造する
方法を見出した。
【0012】すなわち、本願の第1の発明に従う複合材
料の製造方法は、水に溶解、あるいは分散可能であり、
溶融可能な極性有機高分子材料を、層状珪酸塩と極性溶
媒中で分散、混合、乾燥、粉砕することにより、前記層
状珪酸塩の珪酸塩層に前記極性有機高分子材料を挿入す
ることを特徴とする。
【0013】本願の第2の発明に従う複合材料の製造方
法は、上述の第1の発明に従う製造方法において、前記
極性有機高分子材料としてアイオノマーを用いることを
特徴とする。
【0014】本願の第3の発明に従う複合材料の製造方
法は、エチレンメタクリル酸共重合体の一部分あるいは
全部を中和したカリウム塩からなるカリウムアイオノマ
ー100重量部と、層状珪酸塩0.5重量部〜300重
量部とを水中で分散、混合、乾燥、粉砕することによ
り、前記層状珪酸塩の珪酸塩層にカリウムアイオノマー
を挿入させることを特徴とする。
【0015】本願の第4の発明に従う複合材料は、エチ
レンメタクリル酸共重合体の一部分あるいは全部を中和
したナトリウム塩からなり、水中に分散または溶解可能
であるナトリウムアイオノマー100重量部と、層状珪
酸塩0.5重量部〜300重量部とを水中で分散、混
合、乾燥、粉砕することにより、前記層状珪酸塩の珪酸
塩層にナトリウムアイオノマーを挿入させることを特徴
とする。
【0016】本願の第5の発明に従う複合材料は、水に
溶解、あるいは分散可能であり、溶融可能な極性有機高
分子材料と、層状珪酸塩とを含み、前記極性有機高分子
材料が前記層状珪酸塩の珪酸塩層間に挿入されてなるこ
とを特徴とする。
【0017】本願の第6の発明に従う複合材料含有樹脂
組成物の製造方法は、上述の第1〜第4の発明のいずれ
かに従う製造方法により製造された複合材料、あるいは
上述の第5の発明に従う複合材料と、前記極性有機高分
子材料と相溶性を有する有機高分子材料とを溶融混練す
ることにより、前記極性有機高分子材料と前記有機高分
子材料のブレンドの100重量部の中に前記層状珪酸塩
0.05重量部以上を分散、充填することを特徴とす
る。
【0018】本願の第7の発明に従う複合材料含有樹脂
組成物は、上述の第1〜第4の発明のいずれかに従う製
造方法により製造された複合材料、あるいは上述の第5
の発明に従う複合材料と、前記極性有機高分子材料と相
溶性を有する有機高分子材料とからなる溶融混練物を含
み、前記極性有機高分子材料と前記有機高分子材料の1
00重量部に対して前記層状珪酸塩を0.05重量部以
上含有することを特徴とする複合材料含有樹脂組成物を
特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】有機高分子材料(A)が有する一
定の条件とは、水に溶解、あるいは分散可能であり、溶
融可能である有機高分子材料であるということである。
さらに、有機高分子材料(A)の水性溶液あるいは水性
分散液と、層状珪酸塩を水に分散させた珪酸塩水性分散
液とを混合拡散し、さらに乾燥、粉砕することによっ
て、珪酸塩層に有機高分子材料(A)が挿入された複合
材料を形成できる有機高分子材料を選択する必要があ
る。
【0020】具体的には、アイオノマー等が挙げられ
る。好ましくは、エチレンとメタクリル酸とのランダム
共重合体でメタクリル酸を部分的あるいは全部を中和し
たアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属塩である。カ
リウム塩タイプが水中での分散が良好であるため、特に
好適に用いられるが、他のナトリウムあるいはマグネシ
ウム等の金属塩タイプでも水中に分散または溶解可能で
あれば用いることができる。
【0021】層状珪酸塩0.5重量部〜300重量部を
水に分散させた珪酸塩水性分散液と、アイオノマー10
0重量部を水に分散させたポリマー水性分散液とを混合
した後、乾燥、粉砕することによって層状珪酸塩を構成
する珪酸塩層にアイオノマーを挿入させた複合材料を製
造できる。得られた複合材料において、アイオノマーが
珪酸塩層に挿入されていることは、広角X線測定のピー
ク位置および強度から判定できる。
【0022】複合材料と混練する有機高分子材料(B)
は、有機高分子材料(A)と相溶性を有し、しかも溶融
混練可能であるものでなければならない。ここで、相溶
性とは、完全相溶性であるか、界面での親和性が良好で
あることを意味する。相溶性がないと次の混練工程で層
状珪酸塩の珪酸塩層を最終物質中で全体に分散しにく
い。
【0023】具体的には、有機高分子材料(B)の例と
しては、エチレンとメタクリル酸とのランダム共重合
体、エチレンとメタクリル酸とのランダム共重合体でメ
タクリル酸を部分的あるいは全部を中和したナトリウ
ム,マグネシウム,亜鉛塩等のアイオノマー、ポリブチ
レンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート等の
ポリエステル、ナイロン6,ナイロン66等のポリアミ
ド等が挙げられる。エチレン系アイオノマーを用いた場
合には、エチレン系アイオノマーに無機充填材を添加し
て機械的特性を改善しようとすると、エチレン系アイオ
ノマーの透明性が損われるという問題をも解決すること
ができる。
【0024】有機高分子材料(A)と(B)を併せて1
00重量部中に層状珪酸塩は0.05重量部以上分散、
充填されなければならない。0.05重量部未満である
と充填することによる効果が不十分である。また、有機
高分子材料(A)と(B)を併せて100重量部に対し
て層状珪酸塩が300重量部を越えると分散不良を生じ
る。
【0025】本発明で用いる層状珪酸塩の珪酸塩層の厚
みは通常7〜15Åで、珪酸マグネシウム,珪酸アルミ
ニウム層等により形成される。具体的には、モンモリロ
ナイト,サポナイト,バイデライト,ノントロナイト,
ヘクトライト,ステイブンサイト等のスメクタイト系粘
土鉱物や、バーミキュライト,ハロサイト、マイカなど
があり、天然のものでも合成されたものでもよい。さら
にまた、膨潤性フッ素マイカ等も挙げられる。なかでも
スメクタイト系層状珪酸塩が好ましい。
【0026】本発明の複合材料の製造方法において、攪
拌、乾燥、粉砕は、従来のいかなる方法で行ってもよ
い。また、複合材料と有機高分子材料(B)との溶融混
練(コンパウンディング)は従来公知のいかなる方法で
行ってもよいが、有機高分子材料(A)と有機高分子材
料(B)の相溶性を良好にしておくことで機械的な分散
力が複合材料に伝達し、層状珪酸塩がさらに良好に分散
されるよう、強い溶融混練能力を有する混練機械を使用
することが望ましい。具体的には、二軸(同方向回転、
異方向回転)混練機、ヤブスニーダー等が好ましい。
【0027】複合材料含有樹脂組成物中で、珪酸塩層の
層間距離が拡大するかまたは層間の平行性を減少させる
ように分散性が向上した複合材料の構成が形成されてい
るかどうかは光学顕微鏡による透明度の目視による観察
と必要に応じて透過型電子顕微鏡観察から判断した。
【0028】
【実施例】本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明
は本実施例にのみに限定されるものではない。
【0029】(実施例1)粉末状モンモリロナイト(ク
ニミネ工業株式会社製クニピアF)1.0gを水100
gに添加し、それを約3時間攪拌して珪酸塩水性分散液
を調製した。また、ポリ(エチレン−メタクリル酸)カ
リウム塩(三井デュポンポリケミカル社製MKD10
0)水性分散液を希釈しポリ(エチレン−メタクリル
酸)カリウム塩1.0gが水100gに分散するよう調
整し、約1時間攪拌してポリマー水性分散液を調製し
た。得られたポリマー水性分散液を珪酸塩水性分散液に
ゆっくり混合し、約2時間攪拌した。その後、約150
℃に調節したホットプレート上に置いたフライパン上で
十分に乾燥し、層状珪酸塩とポリマーとの割合が1:1
である複合材料を製造した。得られた複合材料を乳鉢を
用いて粉砕した。
【0030】(実施例2)粉末状合成スメクタイト(ク
ニミネ工業株式会社製スメクトンSA)1.0gを水1
00gに添加し、それを約3時間攪拌して珪酸塩水性分
散液を調製した。また、ポリ(エチレン−メタクリル
酸)カリウム塩(三井デュポンポリケミカル社製MKD
100)水性分散液を希釈し、ポリ(エチレン−メタク
リル酸)カリウム塩1.0gが水100gに分散するよ
う調整し、約1時間攪拌してポリマー水性分散液を調製
した。得られたポリマー水性分散液を珪酸塩水性分散液
にゆっくり混合し、約2時間攪拌した。その後、約15
0℃に調節したホットプレート上に置いたフライパン上
で十分に乾燥し、層状珪酸塩とポリマーとの割合が1:
1である複合材料を製造した。得られた複合材料を乳鉢
を用いて粉砕した。
【0031】(比較例1)実施例1と同様、クニミネ工
業株式会社製クニピアF:ポリアクリル酸ナトリウム=
1:1の複合材料を作成した。
【0032】(比較例2)実施例2と同様、クニミネ工
業株式会社製スメクトンSA:ポリアクリル酸ナトリウ
ム水溶液=1:1の複合材料を作成した。
【0033】(比較例3)実施例1と同様、クニミネ工
業株式会社製クニピアF:ポリエチレンイミン=1:1
の複合材料を作成した。
【0034】(比較例4)実施例2と同様、クニミネ工
業株式会社製スメクトンSA:ポリエチレンイミン=
1:1の複合材料を作成した。
【0035】(実施例3)粉末状モンモリロナイト(ク
ニミネ工業株式会社製クニピアF)1.0gを水100
gに添加し、それを約3時間攪拌して珪酸塩水性分散液
を調製した。また、ポリ(エチレン−メタクリル酸)ナ
トリウム塩(三井石油化学工業(株)製ケミパールS−
100)水性分散液を希釈しポリ(エチレン−メタクリ
ル酸)ナトリウム塩3.0gが水100gに分散するよ
う調整し、約1時間攪拌してポリマー水性分散液を調製
した。得られたポリマー水性分散液を珪酸塩水性分散液
にゆっくり混合し、約2時間攪拌した。その後、約15
0℃に調節したホットプレート上に置いたフライパン上
で十分に乾燥し、層状珪酸塩とポリマーとの割合が1:
3である複合材料を製造した。得られた複合材料を乳鉢
を用いて粉砕した。
【0036】(X線解析)以上で得られた複合材料のX
線解析を行った結果を表1にまとめた。
【0037】表1の結果からわかるように、1000c
ps以上のピークが2シータ(θ)の角度で10deg
まで観察されなかった。このことから、ポリ(エチレン
−メタクリル酸)カリウム塩またはナトリウム塩が層状
珪酸塩の珪酸塩層に挿入し珪酸塩層が平行性を減少させ
て分散されていることがわかる。比較例1,2で得られ
た複合材料のピークが粉末状クニピアFまたはスメクト
ンSAのピークと位置、強度ともに同じであったことよ
り、ポリアクリル酸ナトリウムやポリエチレンイミンは
珪酸塩層に挿入していないことがわかる。これらから構
造を図示したものが図1および図2である。図1,図2
において、1は層状珪酸塩の珪酸塩層、2はアイオノマ
ーである。実施例1〜3の複合材料の形状を模式的に示
す図1では、珪酸塩層1同士は平行ではなく、向きの乱
れた珪酸塩層間にアイオノマー2が挿入されている。こ
れに対して、比較例1〜4の複合材料の形状を模式的に
示す図2では、珪酸塩層1は平行状態を保ち層間も拡大
しておらず、アイオノマー2は層間に入らずに層状珪酸
塩粒子の外に存在している。
【0038】
【表1】
【0039】(実施例4)実施例1と同じ方法で、粉末
状クニピアF/ポリ(エチレン−メタクリル酸)カリウ
ム塩複合材料(重量比=1/1)を80g準備した。こ
れにポリ(エチレン−メタクリル酸)亜鉛塩(三井デュ
ポンポリケミカル社製ハイミラン1706)のペレット
920gをドライブレンドし、これを同方向二軸混練機
械(TEM35、東芝機械製)にて溶融混練した。作成
された複合材料中のクニピアFの重量%は4wt%であ
る。これの透明性を光学顕微鏡で目視観察し、また写真
をとった(図3)。
【0040】(実施例5)実施例1と同じ方法で、粉末
状クニピアF/ポリ(エチレン−メタクリル酸)カリウ
ム塩複合材料(重量比=1/3)を160g準備した。
これにポリ(エチレン−メタクリル酸)亜鉛塩(三井デ
ュポンポリケミカル社製ハイミラン1706)のペレッ
ト840gをドライブレンドし、これを同方向二軸混練
機械(TEM35、東芝機械製)にて溶融混練した。作
成した複合材料中のクニピアFの重量%は4wt%であ
る。これの透明性を光学顕微鏡で目視観察し、また写真
をとった(図4)。
【0041】(実施例6)実施例1と同じ方法で、粉末
状スメクトンSA/ポリ(エチレン−メタクリル酸)カ
リウム塩複合材料(重量比=1/1)を80g準備し
た。これにポリ(エチレン−メタクリル酸)亜鉛塩(三
井デュポンポリケミカル社製ハイミラン1706)のペ
レット840gをドライブレンドし、これを同方向二軸
混練機械(TEM35、東芝機械製)にて溶融混練し
た。作成された複合材料中のクニピアFの重量%は4w
t%である。これの透明性を光学顕微鏡で目視観察し、
また、写真をとった(図5)。さらに、別途、透過型電
子顕微鏡写真をとった(図6)。 (比較例5)クニピアFを40g用意した。これにポリ
(エチレン−メタクリル酸)亜鉛塩(三井デュポンポリ
ケミカル社製ハイミラン1707)のペレット960g
をドライブレンドし、これを同方向二軸混練機械(TE
M35、東芝機械製)にて溶融混練した。作成された複
合材料中のクニピアFの重量%は4wt%である。これ
の透明性を顕微鏡で目視観察し、また写真をとった(図
7)。
【0042】(光学顕微鏡写真および電子顕微鏡写真)
光学顕微鏡写真および電子顕微鏡写真よりわかるよう
に、層状珪酸塩のみをポリ(エチレン−メタクリル酸)
亜鉛塩に分散させた場合、大きな塊が確認でき、透明性
も良好ではないが層状珪酸塩/ポリ(エチレン−メタク
リル酸)カリウム塩複合材料をポリ(エチレン−メタク
リル酸)亜鉛塩に分散させた場合大きな塊が確認でき
ず、透明性も良好である。特に、粉末状クニピアF/ポ
リ(エチレン−メタクリル酸)カリウム塩複合材料の重
量比=1/3の方が1/1よりも最終複合材料中での層
状珪酸塩の分散が良好であることがわかる。
【0043】(実施例7)実施例3と同じ方法で、粉末
状クニピアF/ポリ(エチレン−メタクリル酸)ナトリ
ウム塩複合材料(重量比=1/3)を16g準備した。
これにポリ(エチレン−メタクリル酸)亜鉛塩(三井デ
ュポンポリケミカル社製ハイミラン1707)のペレッ
ト84gをドライブレンドし、これを同方向二軸混練機
械(TEM35、東芝機械製)にて溶融混練した。作成
された複合材料中のクニピアFの重量%は4wt%であ
る。これの透明性を光学顕微鏡で目視観察し、また写真
をとった(図8)。
【0044】(比較例6)クニピアFを4g用意した。
これにポリ(エチレン−メタクリル酸)亜鉛塩(三井デ
ュポンポリケミカル社製ハイミラン1707)のペレッ
ト96gをドライブレンドし、これを同方向二軸混練機
械(TEM35、東芝機械製)にて溶融混練した。作成
された複合材料中のクニピアFの重量%は4wt%であ
る。これの透明性を光学顕微鏡で目視観察し、また写真
をとった(図9)。
【0045】(電子顕微鏡写真)電子顕微鏡写真よりわ
かるように、層状珪酸塩のみをポリ(エチレン−メタク
リル酸)亜鉛塩に分散させた場合、大きな塊が確認で
き、透明性も良好ではないが層状珪酸塩/ポリ(エチレ
ン−メタクリル酸)ナトリウム塩複合材料をポリ(エチ
レン−メタクリル酸)亜鉛塩に分散させた場合大きな塊
が確認できず、透明性も良好である。
【0046】
【発明の効果】上述したように、アイオノマー等、一定
の条件を満足するポリマーを選択すれば、簡単な製造方
法で、層状珪酸塩をポリマーに透明性を保持したまま添
加することができる。これは珪酸塩層の層間が開き、ポ
リマーが挿入されて珪酸塩層がポリマーに良好に分散で
きているからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜3の複合材料中の層状珪酸
塩とアイオノマーの存在状態を示す説明図である。
【図2】比較例1〜4の複合材料中の層状珪酸塩とアイ
オノマーの存在状態を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例4の複合材料の光学顕微鏡写真
であり、(A)は拡大率15倍の写真、(B)は拡大率
40倍の写真である。
【図4】本発明の実施例5の複合材料の光学顕微鏡写真
であり、(A)は拡大率15倍の写真、(B)は拡大率
40倍の写真である。
【図5】本発明の実施例6の複合材料の光学顕微鏡写真
であり、(A),(B)はともに拡大率40倍の写真で
ある。
【図6】本発明の実施例6の複合材料の透過型電子顕微
鏡写真(拡大率:約70000倍)である。
【図7】比較例5の複合材料の光学顕微鏡写真であり、
(A)は拡大率15倍の写真、(B)は拡大率40倍の
写真である。
【図8】本発明の実施例7の複合材料の光学顕微鏡写真
(拡大率:約100倍)である。
【図9】比較例6の複合材料の光学顕微鏡写真(拡大
率:約100倍)である。
【符号の説明】
1 珪酸塩層 2 アイオノマー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09C 3/10 PBP C09C 3/10 PBP // C08L 33/02 LHR C08L 33/02 LHR (72)発明者 門馬 恒視 福島県いわき市小名浜岡小名字作23 (72)発明者 黒坂 恵一 福島県いわき市小名浜諏訪町28−3 (72)発明者 荒井 隆幸 茨城県取手市西2−9−10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水に溶解、あるいは分散可能であり、溶
    融可能な極性有機高分子材料を、層状珪酸塩と極性溶媒
    中で分散、混合、乾燥、粉砕することにより、前記層状
    珪酸塩の珪酸塩層に前記極性有機高分子材料を挿入する
    ことを特徴とする複合材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記極性有機高分子材料としてアイオノ
    マーを用いることを特徴とする請求項1記載の複合材料
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 エチレンメタクリル酸共重合体の一部分
    あるいは全部を中和したカリウム塩からなるカリウムア
    イオノマー100重量部と、層状珪酸塩0.5重量部〜
    300重量部とを水中で分散、混合、乾燥、粉砕するこ
    とにより、前記層状珪酸塩の珪酸塩層にカリウムアイオ
    ノマーを挿入させることを特徴とする複合材料の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 エチレンメタクリル酸共重合体の一部分
    あるいは全部を中和したナトリウム塩からなり、水中に
    分散または溶解可能であるナトリウムアイオノマー10
    0重量部と、層状珪酸塩0.5重量部〜300重量部と
    を水中で分散、混合、乾燥、粉砕することにより、前記
    層状珪酸塩の珪酸塩層にナトリウムアイオノマーを挿入
    させることを特徴とする複合材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 水に溶解、あるいは分散可能であり、溶
    融可能な極性有機高分子材料と、層状珪酸塩とを含み、
    前記極性有機高分子材料が前記層状珪酸塩の珪酸塩層間
    に挿入されてなることを特徴とする複合材料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方
    法により製造された複合材料、あるいは請求項5記載の
    複合材料と、前記極性有機高分子材料と相溶性を有する
    有機高分子材料とを溶融混練することにより、前記極性
    有機高分子材料と前記有機高分子材料のブレンドの10
    0重量部の中に前記層状珪酸塩0.05重量部以上を分
    散、充填することを特徴とする複合材料含有樹脂組成物
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方
    法により製造された複合材料、あるいは請求項5記載の
    複合材料のいずれかと、前記極性有機高分子材料と相溶
    性を有する有機高分子材料とからなる溶融混練物を含
    み、前記極性有機高分子材料と前記有機高分子材料の1
    00重量部に対して前記層状珪酸塩を0.05重量部以
    上含有することを特徴とする複合材料含有樹脂組成物。
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