JPH09289392A - 電磁波吸収装置 - Google Patents

電磁波吸収装置

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JPH09289392A
JPH09289392A JP10215396A JP10215396A JPH09289392A JP H09289392 A JPH09289392 A JP H09289392A JP 10215396 A JP10215396 A JP 10215396A JP 10215396 A JP10215396 A JP 10215396A JP H09289392 A JPH09289392 A JP H09289392A
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JP
Japan
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conductive
electromagnetic wave
coils
conductive substrate
coil
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JP10215396A
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Yoshihiro Konishi
良弘 小西
Hideki Komori
秀樹 古森
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K LAB KK
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
K LAB KK
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の周波数の電磁波を吸収して電磁遮蔽す
ることができ、しかも小型・軽量化することができる電
磁波吸収装置を提供する。 【解決手段】 導電性基板1と、上記導電性基板1上に
電気的に絶縁されるように設けられ、それぞれの所定の
共振周波数を有する複数の導電性コイル10とを備えて
電磁波吸収装置を構成する。ここで、上記導電性基板1
上に形成された、誘電体層2又は磁性体層をさらに備
え、上記複数の導電性コイル10は上記誘電体層2又は
磁性体層上に設けてもよい。さらに、上記複数の導電性
コイル10を上記導電性基板1から離れるように支持す
る支持部材をさらに備えてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の周波数の電
磁波を吸収して電磁遮蔽するための電磁波吸収装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば電子回路製品を、外部装置
からの電磁波から遮蔽するためには、一般的には、金属
板(以下、従来例という。)が用いられてきた。また、
電磁波を吸収する部材として、フェライト焼結体を用い
た電磁波吸収体が研究開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
の金属板では、すべての電磁波を一様に遮蔽することは
できるが、例えば特定の周波数を有する強い電磁波を吸
収することはできなかった。また、フェライト焼結体を
用いた従来の電磁波吸収体では、電磁波を吸収するため
に比較的大型であるという問題点があった。本発明の目
的は以上の問題点を解決し、特定の周波数の電磁波を吸
収して電磁遮蔽することができ、しかも小型・軽量化す
ることができる電磁波吸収装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1記
載の電磁波吸収装置は、導電性基板と、上記導電性基板
上に電気的に絶縁されるように設けられ、それぞれの所
定の共振周波数を有する複数の導電性コイルとを備えた
ことを特徴とする。また、請求項2記載の電磁波吸収装
置は、請求項1記載の電磁波吸収装置において、上記導
電性基板上に形成された、誘電体層又は磁性体層をさら
に備え、上記複数の導電性コイルは上記誘電体層又は磁
性体層上に設けられたことを特徴とする。さらに、請求
項3記載の電磁波吸収装置は、請求項1記載の電磁波吸
収装置において、上記複数の導電性コイルを上記導電性
基板から離れるように支持する支持手段をさらに備えた
ことを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係
る実施形態について説明する。図1は、本発明に係る第
1の実施形態である電磁波吸収装置の斜視図である。図
1において、例えば金属板である導電性基板1上に、例
えば樹脂などの電気絶縁材料にてなる誘電体層2が形成
された後、複数の導電性コイル10が、互いに平行とな
るようにかつ導電性コイル10の軸方向が導電性基板1
の表面と平行となるように、例えば接着剤を用いて誘電
体層2上に固定されて設けられる。従って、複数の導電
性コイル10は導電性基板1に対して電気的に絶縁され
て設けられる。ここで、各導電性コイル10は、例えば
銅線などの金属線にてなり、両端子11,12を有し、
かつ所定のターン数、所定のコイル径とを有し、両端子
11,12が電気的に開放とされて、両端子11,12
には空気によるキャパシタンスが装荷されている状態と
なっている。従って、導電性コイルはLCによる共振回
路を構成し、所定の共振周波数を有する。
【0006】図2は、本発明に係る第2の実施形態であ
る電磁波吸収装置の斜視図であり、(a)は複数の導電
性コイル10を導電性基板1に対して垂直に設けたとき
の斜視図であり、(b)は複数の導電性コイル10を導
電性基板1に対して平行に設けたときの斜視図であり、
(c)は複数の導電性コイル10を互いにかつ導電性基
板1に対して平行に設けたときの斜視図である。図2の
第2の実施形態においては、図1の第1の実施形態と比
較して、誘電体層2を形成せず、導電性基板1上に、両
面接着テープ3を電気絶縁材料として用いて複数の導電
性コイル10を接着させて設けている。ここで、図2
(a)においては、複数の導電性コイル10が導電性基
板1に対して垂直に設けられ、図2(b)においては、
複数の導電性コイル10が導電性基板1に対して平行に
設けられ、図2(c)においては、複数の導電性コイル
10が互い平行であってかつ導電性基板1に対して平行
に設けられている。
【0007】以下、実施形態で用いる材料及び変形例に
ついて詳細に説明する。導電性基板1の形状は板状体で
あり、その材料は、金、銀、銅、アルミニウム、クロ
ム、ニッケルクロム合金、鉄、ニッケル、錫、半田、ス
テンレス合金、真鍮などの金属、金属合金、又は金属間
化合物にてなる。ここで、導電性基板1は、その表面を
メッキ膜、蒸着膜、導電性塗料又はインクなどの塗膜に
より良好な電気伝導性を有するようにしたものでもよ
い。ここで、導電性材料は、好ましくは、周波数に依存
する表皮抵抗値が200kΩ以下である材料である。
【0008】導電性基板1は、電磁波に対して共振状態
となる導電性コイル10と結合して、導電性コイル10
に近接した、導電性基板1の表面において、高周波電流
を流せることが必要である。そのためには、導電性基板
1の表皮抵抗は小さくなくてはならない。一方では、共
振する導電性コイル10と結合して流れる高周波電流を
熱に変換して、電磁波吸収作用を発揮させるためには、
ある程度の大きさの表皮抵抗が必要である。従って、導
電性基板1は、その表皮抵抗がコイルの表皮抵抗よりわ
ずかに大きいものが好ましい。導電性基板1の表皮抵抗
は、表面に透磁率の虚数項を有する磁性薄膜を形成して
調整してもよい。ここで、導電性基板1のための基板材
料の表皮抵抗値及び体積固有抵抗値を表1に示す。
【0009】
【表1】 ─────────────────────────────────── 基板材料 表皮抵抗値 10MHz 1GHz 10GHz (体積固有抵抗) ─────────────────────────────────── 亜鉛 1.36Ω 13.6Ω 43Ω( 5.9 x10-8Ωm) 銅 0.74Ω 7.4Ω 23Ω( 1.7 x10-8Ωm) アルミニウム 0.93Ω 9.3Ω 29Ω( 2.8 x10-8Ωm) 鉄 2〜50Ω 20〜150Ω 60〜300Ω(1〜2 x10-7Ωm) 真鍮(黄銅) 1.5Ω 15Ω 47Ω( 7 x10-8Ωm) カーボン繊維 60Ω 600Ω 1kΩ( 2 x10-4Ωm) 導電性塗料 560Ω〜5.6kΩ 5.6〜56kΩ 18〜180kΩ( 10-2〜100Ωm) ───────────────────────────────────
【0010】導電性コイル10の材料は、金、銀、銅、
アルミニウム、クロム、ニッケルクロム合金、鉄、ニッ
ケル、錫、半田、ステンレス合金、真鍮などの金属、金
属合金、又は金属間化合物にてなり、その表面をメッキ
膜、蒸着膜、導電性塗料又はインクなどの塗膜により良
好な電気伝導性を有するようにしたものでもよい。ここ
で、導電性材料は、好ましくは、周波数に依存する表皮
抵抗値が200kΩ以下であり、より好ましくは、5k
Ω以下の材料である。ここで、導電性コイル10の材料
の導電性がより大きい方が好ましく、すなわち、表皮抵
抗が小さい方がより好ましい。
【0011】導電性コイル10は、吸収すべき電磁波の
目的周波数で共振するように、その巻き数と、直径(又
はコイル径ともいう。)及びコイルの長さが調整され
る。ここで、導電性コイル10の巻き数が少なくなれば
共振周波数が高くなり、導電性コイル10の内径が小さ
くなれば共振周波数が高くなり、導電性コイル10のコ
イルピッチが大きくなれば共振周波数が高くなる。例え
ば、内径3mmで5ターンを有する導電性コイル10
は、2GHzないし4GHzの共振周波数を有する。本
実施形態において、導電性コイル10はその両端子1
1,12が開放されており、当該導電性コイル10が有
するインダクタンスと、開放された導電性コイル10の
両端子に接続される空気のキャパシタンスにより、共振
回路を構成する。ここで、導電性コイル10の形成材料
の導電率が高いほど共振器の共振効率が高くなり好まし
い。導電性コイル10の形成材料の導電率と共振周波数
によって決まる表皮抵抗が大きくなると、共振回路の共
振効率が低下する。
【0012】導電性コイル10の中心軸には、当該コイ
ル10と電気的に絶縁された心材料を設けてもよい。当
該心材料の誘電率及び透磁率は、虚数項が小さいほど共
振器の共振効率が高く好ましい。当該心材料を設けず空
心であるときは、共振器として好ましい。ここで、導電
性コイル10の心材料の誘電率及び透磁率が大きい程、
同一の巻き数及び、同一の直径のコイルで、より低い周
波数で共振させることができ、同一の共振周波数であれ
ば、巻き数が少なく、直径の小さいコイルで共振させる
ことができる。
【0013】導電性コイル10の形成方法は、金属の線
状材料を特定の直径でコイル状に巻回し、必要巻き数の
ところで切断する。また、例えば、電気絶縁材料にてな
り必要な直径をもつ円柱部材に、導電性を有する金属線
を螺旋状に巻き付け、必要な巻き数の位置で導電性金属
線を切断することによって導電性コイル10を形成する
ことができる。この形成法により、導電性コイル10の
軸が一列に並んだ多数のコイルを簡便に作成することが
できる。
【0014】さらに、例えば、電気絶縁材料の円柱部材
に導電性塗料又はインクで螺旋を描き、必要な長さで切
断して形成してもよい。さらには、電気絶縁材料の円柱
部材に導電性の金属を金属蒸着法又は液相成長法を用い
てメッキすることにより形成した後、所定のパターンに
エッチングして螺旋形状のコイル部を形成し、切断して
形成してもよい。また、螺旋形状の電気絶縁体の表面に
金属を気相蒸着法又は液相成長法を用いてメッキするこ
とにより形成して、導電性を付与したコイルを形成して
もよい。
【0015】さらに、導電性基板1と複数のコイル10
との間の電気的絶縁方法は、以下の方法を用いる。例え
ば、導電性基板1と複数のコイル10との間に、導電性
の無い、誘電性体や磁性体を挿入してもよい。誘電性体
又は磁性体としては、フィルム状のものが好ましい。具
体的には、導電性基板1上に誘電性フィルム又は磁性フ
ィルムを貼付した後、複数のコイル10を誘電性フィル
ム又は磁性フィルム上に接着する。なお、誘電性体及び
磁性体は、それぞれ単独で使用してもよいし、同時に使
用してもよい。もしくは、図2に示すように、複数のコ
イル10を、両面粘着テープを用いて導電性基板1上に
接着固定する。さらには、図1に示すように、導電性基
板1上に電気絶縁性樹脂にてなる誘電体層2を形成した
後、複数のコイル10を誘電体層2上に接着して固定す
る。また、導電性基板1上に、複数のコイル10を導電
性基板1から物理的に浮かして又は離して、導電性基板
1上に垂直方向に形成した2つの支持部材により、空気
で電気的に絶縁して、複数のコイル10の各心材料を支
持するようにしてもよい。このほかに、導電性コイル1
0の表面を電気絶縁性樹脂などを用いて被覆することに
より、導電性基板1から電気的絶縁を施してもよい。
【0016】さらに、導電性コイル10の設置方法とし
ては、次の方法を用いる。導電性コイル10を接着剤や
両面粘着テープを用いて導電性基板1上に固定する。ま
たは、有機樹脂部材や無機材料部材などの支持部材中に
複数の導電性コイル10を挿入して形成し、当該支持部
材を接着剤や両面粘着テープで固定してもよい。もしく
は、複数のコイル10を導電性基板1から電気絶縁材料
にてなる糸などを用いて吊り下げてもよい。
【0017】複数の導電性コイル10は互いに接しない
ように配置する。また、複数のコイル10は、図2の
(a)、(b)及び(c)に示すように、その巻き軸方
向が導電性基板1に対して水平方向であっても、垂直方
向であってもよい。
【0018】また、複数のコイル10と導電性基板1の
距離は、導電性コイル10の共振によって発生する電磁
界が導電性基板1の表面に高周波電流を誘起させなくて
はならないため、複数の導電性コイル10から導電性基
板1への相互作用がおよぶ範囲にする必要がある。すな
わち、複数の導電性コイル10は導電性基板1と電磁的
に結合するように設けられる。ここで、複数の導電性コ
イル10と導電性基板1の距離は、好ましくは、導電性
コイル10の外径の50倍以内であり、より好ましく
は、5倍以下であれば相互作用が強くなり共振を効率よ
く利用できる。導電性基板1上に配置する導電性コイル
10の配置密度が大きくなると共振効果が増大し、導電
性コイル10が最も効率よく共振する有効面積を確保で
きなくなるほどに密に配置すると逆に共振効率は悪くな
る。導電性コイル10が最も強く共振する周波数は、基
本共振モードであるが、基本共振モードよりも高い周波
数における共振モードである高次共振モードにおける共
振効果も利用できる。その場合、より高い周波数での吸
収体などに応用できる。
【0019】本実施形態の装置が吸収する電磁波につい
て述べる。吸収すべき電磁波の対象周波数は、0.01
GHz乃至80GHzであり、約0.1GHzないし2
0GHzの範囲である。これらの周波数範囲の現在使用
している電磁波としては、テレビ放送用電波、コードレ
ス電話、移動体無線(0.1〜1GHz)、PHS(簡
易型携帯電話)(1.9GHz)、中速無線LANおよ
び電子レンジ(2.4GHz)、 高速無線LAN(19
GHz)、超高速無線LANおよび自動車衝突防止レー
ダー装置(60GHz,76GHz)などが発射する電
磁波がある。
【0020】上記電磁波が本発明に係る電磁波吸収装置
によって入射すると、各導電性コイル10が形成する共
振回路が共振周波数において共振し、当該共振回路の近
傍にある導電性基板1の表面に高周波電流が誘起され
る。導電性基板1の表面に流れた高周波電流は表皮抵抗
によって熱に変換され、電磁波吸収作用を有することに
なる。
【0021】以上の説明したような本発明に係る電磁波
吸収装置によれば、電磁波吸収装置が電磁波吸収能を示
す周波数は、各導電性コイル10自身の共振周波数で制
御できるため設計が容易である。また、導電性コイル1
0の共振回路を用いた電磁波吸収装置は、導電性コイル
10の共振周波数が決定されているために、電磁波の入
射角度に依存せずに、きわめて大きな吸収能を有する。
さらに、異なった複数の共振周波数を持つ複数の導電性
コイル10の共振回路を用いることにより、複数周波数
において電磁波を吸収したり、広い周波数帯域で吸収す
る電磁波吸収装置を製造することができる。電磁波を吸
収する周波数帯域を広くするためには、異なった複数の
共振周波数を持つ複数の導電性コイル10の共振回路を
組み合わせるほかに、各導電性コイル10の共振回路の
無負荷Qを小さくすればよい。具体的には、例えば、導
電性コイル10の等価抵抗値を大きくすればよい。
【0022】さらには、対象とする電波の波長が長くな
っても、言い換えれば、周波数が低くなっても、導電性
コイル10の共振回路は波長に比べて非常に小さなもの
であるため、従来の電磁波吸収装置体よりも非常に薄い
ものが作成することができる。従って、従来のフェライ
ト焼結体を用いた電磁波吸収体よりも非常に小型・軽量
化することができる。
【0023】
【実施例】本発明者は、本実施形態の電磁波吸収装置を
試作して、吸収性能について測定した。このとき、アイ
コム株式会社製アンテナ近傍界測定システムを用いて電
磁波の吸収特性を測定した。導電性基板1の大きさは、
10×10cmの正方形であり、測定アンテナとしてダ
イポールアンテナを用いた、測定すべき電磁波吸収装置
から反射する電磁波の量を25mm間隔で32×32ケ
所で計測し、試料の電磁波吸収量又は反射量を測定し
た。
【0024】ここで、共振周波数及び吸収量を制御する
方法としては、1つの寸法形状の導電性コイルのみを用
いるか、複数の導電性コイルを縦に連結して用いて共振
周波数を低下させる。もしくは、導電性コイル10の材
料の太さ、長さ、材料を変更し、又は、複数の導電性コ
イル10の相互距離を変更する。また、導電性コイル1
0の端面形状は円形に限らず、矩形又は三角であっても
よい。
【0025】導電性コイル10の表面被覆材料は導電性
材料であってもよいし、電気絶縁性材料であってもよ
い。例えば、導電性コイル10自体に、例えばエナメル
被覆など電気絶縁材料を施してもよい。また、導電性コ
イル10の共振周波数は、導波管又はマイクロストリッ
プ線路とネットワークアナライザを用いて測定される。
【0026】
【実施例】
<実施例1>外径2.5mmの金属棒に、太さ0.3m
mの錫メッキ鉄線を5ターン巻回することにより導電性
コイル10を形成し、導電性コイル10から金属棒を抜
き取り、空心の導電性コイル10を作製した。この導電
性コイル10を100×100mmのアルミ板上に、日
東電工株式会社製両面粘着テープを用いて、アルミ板に
対して巻き軸方向が垂直方向(図2(a)参照。)およ
び平行方向(図2(b)参照。)になるように配置し
た。このときの電磁波吸収装置に対して、TMモードの
電磁波を45°の入射角度で入射したときの、電磁波吸
収装置からの反射量を上記アンテナ近傍界測定システム
にて測定した。その結果を図3及び図4に示す。
【0027】図3から明らかなように、約3.55GH
zの共振周波数で反射損失が最大となり、共振状態とな
り電磁波を吸収していることがわかる。また、図4から
明らかなように、約2.55GHzの共振周波数で反射
損失が最大となり、共振状態となり電磁波を吸収してい
ることがわかる。図3及び図4を比較することにより、
図3の場合、すなわち、複数のコイル10を導電性コイ
ル1に対して垂直方向に設けた場合の方が、電磁波の吸
収帯域が比較的広いということがわかる。
【0028】<実施例2>実施例1と同様に複数の導電
性コイル10を作製し、100×100mmのアルミ板
にてなる導電性基板1上に、日東電工株式会社製両面粘
着テープを用いて、導電性基板1に対して巻き軸方向が
平行方向(図2(c)参照。)になるように400個の
コイルを配置した。このときの電磁波吸収装置に対し
て、TMモードの電磁波を30°、45°及び60°の
入射角度で入射したときの、電磁波吸収装置からの反射
量を上記アンテナ近傍界測定システムにて測定した。そ
の結果を図5に示す。
【0029】図5から明らかなように、約1.67GH
zの共振周波数で反射損失が最大となり、共振状態とな
り電磁波を吸収していることがわかる。また、TMモー
ドの電磁波の入射角度を変化してもほとんど変化がない
ということがわかる。
【0030】<実施例3>外径2.3mmの金属棒に、
太さ0.4mmのエナメル被覆銅線を巻回してターン数
が4ターンになるように切断した後、導電性コイル10
から当該金属棒を抜き取り、空心の導電性コイル10を
作製した。200個の導電性コイル10を、真鍮、亜
鉛、銅、及びアルミニウムの各種材料にてなる導電性基
板1上に巻き軸方向が導電性基板1に対して平行方向
(図2(b)参照。)となるように配置した。このとき
の電磁波吸収装置に対して、TMモードの電磁波を45
°の入射角度で入射したときの、電磁波吸収装置からの
反射量を上記アンテナ近傍界測定システムにて測定し
た。その結果を次の表2に示す。
【0031】
【表2】 ────────────────── 導電性基板 反射量 ────────────────── 真鍮板 −11.8dB 亜鉛板 −10.0dB 銅板 −6.7dB アルミニウム板 −8.1dB ──────────────────
【0032】表2から明らかなように、導電性基板1が
真鍮板にてなるとき、反射量は最小となり、導電性基板
1が銅板にてなるとき、反射量は最大となることがわか
る。
【0033】<実施例4>エナメル被覆銅線を金属棒に
巻回して、必要なターン数になるように切断した後、導
電性コイル10から金属棒を抜き取り、空心の導電性コ
イル10を得た。作製した導電性コイル10を表3に示
す。
【0034】
【表3】 ──────────────────────────────── 番号 巻き線の材質 巻き線の太さ コイル内径 ターン数 ──────────────────────────────── 1 銅 0.6mm 16mm 21 2 銅 0.6mm 16mm 15 3 銅 0.6mm 6.2mm 58 4 銅 0.6mm 16mm 6 5 銅 0.6mm 4.9mm 11 6 銅 0.6mm 4.9mm 4 7 錫メッキ鉄 0.3mm 2.2mm 5 8 銅 0.5mm 4.9mm 1 9 ステンレス 0.9mm 2.5mm 1 10 錫メッキ鉄 0.3mm 1.8mm 2 ────────────────────────────────
【0035】これらの導電性コイル10を2種類のマイ
クロストリップ線路を用いて、アンリツ株式会社製36
0B型ネットワークアナライザで電磁波の伝送係数S21
(透過量)を測定することにより共振周波数を測定し
た。2種類のマイクロストリップ線路は、(a)幅10
cm、長さ22cm、高さ2.5cm及び(b)幅1c
m、長さ6cm、高さ0.3mmである。当該測定結果
を図7に示す。
【0036】図7から明らかなように、10個のピーク
共振周波数P1乃至P10があり、各共振周波数で電磁
波を吸収することができることがわかる。
【0037】<実施例5>共振周波数の異なる種々の導
電性コイルを作成し、それを導電性基板の上に並置して
電磁波吸収装置を作成した。すなわち、外径5mmの金
属棒に、太さ0.5ないし0.6mmのエナメル被覆銅
線を巻回して、必要ターン数になるように切断した後、
導電性コイル10から金属棒を抜き取り、空心の導電性
コイル10を作製した。5ターンの導電性コイル10を
17個、6ターンの導電性コイル10を17個、7ター
ンの導電性コイル10を17個、8ターンの導電性コイ
ル10を17個、9ターンの導電性コイル10を16個
および10ターンの導電性コイル10を16個作製し、
10×10cmの大きさを有するアルミニウムにてなる
導電性基板1上に、導電性コイル10の巻き軸方向が導
電性基板1に対して垂直となる方向にすべての導電性コ
イル10を配置した。このときの電磁波吸収装置に対し
て、TMモードの電磁波を45°の入射角度で入射した
ときの、電磁波吸収装置からの反射量を上記アンテナ近
傍界測定システムにて測定した。その結果を次の図7に
示す。
【0038】図7から明らかなように、当該電磁波吸収
装置は、約1GHzにおいて共振周波数を有し、上述の
反射量の周波数特性に比較して広帯域な吸収特性を発現
させることができることがわかる。
【0039】以上説明したように本発明の実施形態によ
れば、導電性基板上に電気的に絶縁されるように設けら
れ、それぞれの所定の共振周波数を有する複数の導電性
コイルとを備えて電磁波吸収装置を構成することによ
り、特定の周波数の電磁波を吸収して電磁遮蔽すること
ができ、しかも小型・軽量化することができるという利
点を有する。
【0040】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る請求項
1記載の電磁波吸収装置によれば、導電性基板と、上記
導電性基板上に電気的に絶縁されるように設けられ、そ
れぞれの所定の共振周波数を有する複数の導電性コイル
とを備える。従って、特定の周波数の電磁波を吸収して
電磁遮蔽することができ、しかも小型・軽量化すること
ができる。
【0041】また、請求項2記載の電磁波吸収装置によ
れば、請求項1記載の電磁波吸収装置において、上記導
電性基板上に形成された、誘電体層又は磁性体層をさら
に備え、上記複数の導電性コイルは上記誘電体層又は磁
性体層上に設けられる。従って、特定の周波数の電磁波
を吸収して電磁遮蔽することができ、しかも小型・軽量
化することができる。また、製造方法が容易であるとい
う利点を有する。
【0042】さらに、請求項3記載の電磁波吸収装置に
よれば、請求項1記載の電磁波吸収装置において、上記
複数の導電性コイルを上記導電性基板から離れるように
支持する支持手段をさらに備える。従って、特定の周波
数の電磁波を吸収して電磁遮蔽することができ、しかも
小型・軽量化することができる。また、製造方法が容易
であるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施形態である電磁波吸
収装置の斜視図である。
【図2】 本発明に係る第2の実施形態である電磁波吸
収装置の斜視図であり、(a)は複数の導電性コイルを
導電性基板に対して垂直に設けたときの斜視図であり、
(b)は複数の導電性コイルを導電性基板に対して平行
に設けたときの斜視図であり、(c)は複数の導電性コ
イルを互いにかつ導電性基板に対して平行に設けたとき
の斜視図である。
【図3】 図2の(a)のときに電磁波吸収装置に対し
て電磁波を入射したときの複数の導電性コイルの反射量
の周波数特性を示すグラフである。
【図4】 図2の(b)のときに電磁波吸収装置に対し
て電磁波を入射したときの複数の導電性コイルの反射量
の周波数特性を示すグラフである。
【図5】 図2の(c)のときに電磁波吸収装置に対し
て電磁波を入射したときの複数の導電性コイルの反射量
の周波数特性を示すグラフである。
【図6】 実施形態で用いるコイルの伝送係数S21の周
波数特性を示すグラフである。
【図7】 図2の(a)のときに電磁波吸収装置に対し
て電磁波を入射したときの複数の導電性コイルの反射量
の周波数特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…導電性基板、 2…誘電体層、 3…両面接着テープ、 10…導電性コイル、 11,12…導電性コイルの端子。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基板と、 上記導電性基板上に電気的に絶縁されるように設けら
    れ、それぞれの所定の共振周波数を有する複数の導電性
    コイルとを備えたことを特徴とする電磁波吸収装置。
  2. 【請求項2】 上記導電性基板上に形成された、誘電体
    層又は磁性体層をさらに備え、 上記複数の導電性コイルは上記誘電体層又は磁性体層上
    に設けられたことを特徴とする請求項1記載の電磁波吸
    収装置。
  3. 【請求項3】 上記複数の導電性コイルを上記導電性基
    板から離れるように支持する支持手段をさらに備えたこ
    とを特徴とする請求項1記載の電磁波吸収装置。
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