JPH09287243A

JPH09287243A - Ｐｃ部材

Info

Publication number: JPH09287243A
Application number: JP12229296A
Authority: JP
Inventors: Asuo Yonekura; 亜州夫米倉
Original assignee: Kyokuto Kogyo KK
Current assignee: Kyokuto Kogyo KK
Priority date: 1996-04-19
Filing date: 1996-04-19
Publication date: 1997-11-04

Abstract

(57)【要約】【課題】引張力に対する許容荷重を大きく改善し、形
状及び重量が小さくなるＰＣ構造部材を提供する。【解決手段】長尺管状の拘束体１１の内部にコンクリ
ート５０を打設し、打設したコンクリート５０の管軸方
向にプレストレスを導入した３軸拘束を受けるＰＣによ
りＰＣ部材１、２を構成する。また、弧状に形成された
コンクリートの複数箇のセグメントブロック１５、１６
を輪状に組合せ、輪の外周から内周方向へ荷重を掛ける
と共に輪の軸芯方向にプレストレスを導入した多軸拘束
を受けるＰＣによりＰＣ部材３を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、橋梁、橋脚、海洋
構造物あるいは地下構造物等に使用されるコンクリート
部材に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】橋梁、橋脚、地下構造物あるいは海洋構
造物等の強度を受持つ多くの構造部材が鉄筋コンクリー
トで構成されている。コンクリートは、引張力に対する
強度が極端に低く、容易にひび割れ等の損傷が発生す
る。そのため、引張応力を受ける部分には鉄筋等を配置
し、圧縮部は主としてコンクリートで受けもたせる鉄筋
コンクリートとしている。また、鉄筋コンクリートはひ
び割れが発生するため、コンクリートの見掛け上の引張
強度を改善するために部材の長尺方向に予め圧縮力（プ
レストレス）が導入された、プレストレストコンクリー
ト（以下ＰＣと記述する）の構造部材が使用されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の鉄筋コンクリー
トの構造部材は以上のように構成されていることによ
り、つぎのような課題が存在している。すなわち、鉄筋
コンクリートのみの構造部材では、形状及び重量が大き
くなり、構造部材の自重を支持するために必要な部材断
面が大きくなり、大スパンの大形構造部材を得ることは
非常に困難である。また、各構造部材の重量が大きいこ
とにより慣性力も大きくなり、耐震性が低くなる。他
方、従来のＰＣの構造部材では、コンクリートに導入さ
れるプレストレスはコンクリートの圧縮強度の精々３分
の１であり、大きな改善効果を期待することはできな
い。

【０００４】本発明は以上のような課題を解決するため
になされたものであり、引張力に対する許容荷重を大き
く改善し、形状及び重量が小さくなるＰＣ部材を提供す
ることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本件の発明者はＰＣにつ
いて鋭意研究を行い、従来の１軸すなわち部材の長尺方
向にプレストレスを導入することに加えて、長尺方向に
直交する方向（２軸または３軸すなわち多軸）にもプレ
ストレスを導入し、多軸拘束することにより、引張力に
対する許容荷重を大きく改善する成果を得た。すなわ
ち、両端支持の梁の場合、多軸拘束されたＰＣの梁に掛
る荷重に対し、破壊するまでに、支持点間距離の１０分
の１にも達する撓みが可能であり、この撓み量は従来の
ＰＣの１０倍にも相当するものである。また、多軸プレ
ストレスを導入する場合、コンクリートの圧縮強度の
１．５倍程度までのプレストレスを導入することが可能
であり、引張力に対する許容荷重の改善に大きく貢献す
ると共に、引張部材として使用可能な部材となる。

【０００６】上記目的を達成するために、本発明による
ＰＣ部材は以下のように構成されている。すなわち、長
尺管状の拘束体の内部にコンクリートを打設し、打設さ
れたコンクリートの管軸方向にプレストレスを導入した
３軸拘束を受けるＰＣによりＰＣ部材を構成する。ま
た、弧状に形成されたコンクリートの複数箇のセグメン
トブロックを輪状に組合せ、輪の外周から内周方向へ荷
重を掛けると共に輪の軸芯方向にプレストレスを導入し
た多軸拘束を受けるＰＣによりＰＣ部材を構成する。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明によるＰ
Ｃ部材の好適な実施の形態について詳細に説明する。図
１に示すものは本発明による３軸拘束を受けたＰＣ部材
であり、軸芯方向断面図で示している。図１において、
符号１で示すものは長尺柱状ＰＣ部材であり、長尺柱状
ＰＣ部材１は長尺管状の拘束体１１、拘束体１１の内部
に貫通して配置されるプレストレス緊張材１２、拘束体
１１の内孔両端に配置され拘束体１１の開口を塞ぐと共
にプレストレス緊張材１２を貫通させている定着板１３
及び拘束体１１内に打設されたコンクリート５０により
構成されている。なお、前記プレストレス緊張材１２は
１本に限定されるものではなく、拘束体１１の内径の大
きさあるいは要求強度に応じて２本以上を適宜配置して
もよい。該プレストレス緊張材１２の両端部にはネジ部
が形成され、それぞれナット１４が螺合される等の定着
具が設けられている。

【０００８】このように構成される長尺柱状ＰＣ部材１
において、拘束体１１内に打設されたコンクリート５０
は、プレストレス緊張材１２、定着板１３及びナット１
４により軸芯方向にプレストレスを導入されると、軸直
角方向に広がろうとする。しかし、コンクリート５０
は、拘束体１１により広がりを阻止され、結果的に軸直
角方向にもプレストレスが導入されたことになる。すな
わち、コンクリート５０は、軸芯方向をプレストレス緊
張材１２、定着板１３及びナット１４により、軸直角方
向を拘束体１１により拘束される、すなわち、３軸拘束
を受けるＰＣとなる。なお、コンクリート５０にプレス
トレスを導入するプレストレス緊張材１２は、コンクリ
ート５０の打設以前に拘束体１１内に配置され、コンク
リート５０と一体に構成されてもよく、また、コンクリ
ート５０に形成された貫通穴にコンクリート５０の固化
後挿入されてもよい。

【０００９】図２に示すものは本発明による３軸拘束を
受けた他のＰＣ部材であり、軸方向断面図で示してい
る。図２に示すＰＣ部材は直径の大きな場合に中空筒形
状に構成するものである。図２において、符号２で示す
ものは長尺筒状ＰＣ部材であり、長尺筒状ＰＣ部材２は
長尺管状の大径拘束体１１ａ、大径拘束体１１ａ内に同
芯状に挿入される長尺管状の小径拘束体１１ｂ、大径拘
束体１１ａ及び小径拘束体１１ｂ間の輪状空間の長尺方
向に貫通して適宜配置される複数本のプレストレス緊張
材１２、大径拘束体１１ａ及び小径拘束体１１ｂ間の輪
状空間の両端に配置され輪状空間の開口を塞ぐと共に複
数本のプレストレス緊張材１２を貫通させている輪状定
着板１３ａ及び大径拘束体１１ａ及び小径拘束体１１ｂ
間の輪状空間内に打設されたコンクリート５０により構
成されている。前記プレストレス緊張材１２の両端部に
はネジ部が形成され、それぞれナット１４が螺合される
等の定着具が設けられている。

【００１０】このように構成される長尺筒状ＰＣ部材２
において、大径拘束体１１ａ及び小径拘束体１１ｂ間の
輪状空間内に打設されたコンクリート５０は、プレスト
レス緊張材１２、輪状定着板１３ａ及びナット１４によ
り軸芯方向にプレストレスを導入されると、軸直角方向
に広がろうとするが、大径拘束体１１ａ及び小径拘束体
１１ｂにより広がりを阻止され、結果的に軸直角方向に
もプレストレスが導入されたことになる。すなわち、コ
ンクリート５０は、軸芯方向をプレストレス緊張材１
２、輪状定着板１３ａ及びナット１４により、軸直角方
向を大径拘束体１１ａ及び小径拘束体１１ｂにより拘束
される、すなわち、３軸拘束を受けるＰＣとなる。な
お、コンクリート５０にプレストレスを導入するプレス
トレス緊張材１２は、コンクリート５０の打設以前に大
径拘束体１１ａ及び小径拘束体１１ｂ内に配置され、コ
ンクリート５０と一体に構成されてもよく、また、コン
クリート５０に形成された貫通穴にコンクリート５０の
固化後挿入されてもよい。

【００１１】前記拘束体１１、１１ａ、１１ｂは、鋼
管、あるいは、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、
合成樹脂繊維等の任意の１種類あるいは複数種類の繊維
を混入された繊維強化プラスチックパイプ（以下ＦＲＰ
パイプと記述する）により構成されている。なお、該拘
束体１１、１１ａ、１１ｂすなわち鋼管あるいはＦＲＰ
パイプの軸直角断面外形は円形に限定されるものではな
く、楕円形、矩形、多角形でもよい。また、該拘束体１
１、１１ａ、１１ｂが鋼管の場合、屋外における長期間
の使用による腐食の可能性に対し、外面をＦＲＰシート
により覆う、あるいは防食塗装を施工し、防食処理を施
工する。さらに、小径拘束体１１ｂは管状部材に限定さ
れるものではなく、発泡スチロール、廃紙あるいは小片
木廃材等を撥水性剤により柱状に形成した内挿部剤でも
よい。前記プレストレス緊張材１２は、高張力鋼を材料
とするＰＣ鋼線、ＰＣ鋼撚線、ＰＣ鋼棒の何れかのＰＣ
鋼材、あるいは、前記拘束体１１、１１ａ、１１ｂと同
様の繊維により強化された繊維強化プラスチックロッド
（ＦＲＰロッド）により構成されている。前記コンクリ
ート５０は、コンクリートあるいは鉄筋コンクリートが
用いられる。

【００１２】図１１に示すものは本発明による多軸拘束
を受けたＰＣ部材であり、ＰＣ部材の斜視図（Ａ）、緊
結用セグメントブロックの斜視図（Ｂ）及び膨張材用セ
グメントブロックの斜視図（Ｃ）で示している。図１１
において、符号３で示すものは筒状ＰＣ部材であり、筒
状ＰＣ部材３は筒状に構成される複数箇の弧状の緊結用
セグメントブロック１５または膨張材用セグメントブロ
ック１６（図１１（Ａ）では、緊結用セグメントブロッ
ク１５の場合を示している）、緊結用セグメントブロッ
ク１５の外周を緊結する図示しない緊結材（拘束材）ま
たは膨張材用セグメントブロック１６の外周で膨張した
図示しない膨張材、及び、緊結用セグメントブロック１
５または膨張材用セグメントブロック１６の外周を覆う
被覆材（膨張材用セグメントブロック１６の場合は拘束
体）１７により構成されている。

【００１３】前記緊結用セグメントブロック１５は、コ
ンクリートあるいは鉄筋コンクリートのブロックであ
り、弧状厚み部の軸芯方向に貫通する前記プレストレス
緊張材１２用貫通孔１５ａ、外周の周方向に複数本の緊
結材用溝１５ｂが設けられている。前記膨張材用セグメ
ントブロック１６も同様に、コンクリートあるいは鉄筋
コンクリートのブロックであり、弧状厚み部の軸芯方向
に貫通する前記プレストレス緊張材１２用貫通孔１６
ａ、外周の周方向に複数本の膨張材用溝１６ｂが設けら
れている。なお、膨張材用溝１６ｂ間を連結する溝を設
けてもよい。該膨張材用セグメントブロック１６には、
さらに、内周から該膨張材用溝１６ｂへ連通する膨張材
注入孔１６ｃが設けられている。図１１（Ａ）に示す筒
状ＰＣ部材３は筒状の断面形状が円形であるが、円形に
限定される物ではなく、楕円形、多角形あるいは長円形
でもよい（長円形は膨張材用セグメントブロック１６と
しては不向きである）。従って、緊結用セグメントブロ
ック１５及び膨張材用セグメントブロック１６は、断面
形状が円形、楕円形、多角形あるいは長円形を適宜分割
（多角形の場合は、辺部で分割する）した弧状に構成さ
れている。

【００１４】前記緊結材（拘束材）は、前記ＰＣ鋼材、
ベルトあるいはＦＲＰロープにより構成される。前記膨
張材は膨張剤を混入されたセメントペースト、モルタル
あるいはコンクリートである。前記被覆材１７は、筒状
ＰＣ部材３が緊結用セグメントブロック１５により構成
される場合は、モルタル、鋼板あるいはＦＲＰシートで
あり、前記緊結材を防食する。また、筒状ＰＣ部材３が
膨張材用セグメントブロック１６により構成される場
合、前記被覆材１７は、拘束体であり、ＦＲＰシートで
構成される。

【００１５】このように構成される筒状ＰＣ部材３にお
いて、緊結用セグメントブロック１５により構成される
場合、緊結材用溝１５ｂに緊結材を巻き付け、緊結す
る。その結果、緊結用セグメントブロック１５は外周か
ら内周方向へ荷重が掛けられ、周方向にプレストレスを
導入された状態となる。また、膨張材用セグメントブロ
ック１６により構成される場合、外周に拘束体であるＦ
ＲＰシートを巻き付けて膨張材用溝１６ｂを密閉空間と
し、膨張材注入孔１６ｃの内周側から膨張材を注入して
密封する。その結果、膨張材用溝１６ｂ内の膨張材の膨
張圧力により、膨張材用セグメントブロック１６は外周
から内周方向へ荷重が掛けられ、周方向にプレストレス
を導入された状態となる。すなわち、筒状ＰＣ部材３
は、周方向拘束を受けるＰＣとなる。

【００１６】このようにして周方向拘束を受けた筒状Ｐ
Ｃ部材３は、プレストレス緊張材用貫通孔１５ａ、１６
ａにプレストレス緊張材１２を挿入しプレストレスを導
入されることにより、軸芯方向に拘束を受け、合せて多
軸拘束を受けたＰＣとなる。筒状ＰＣ部材３は、ＰＣ構
造物の必要長を構成する箇数を軸芯方向一直線状に積重
ねられ、プレストレス緊張材用貫通孔１５ａ、１６ａに
プレストレス緊張材１２を通し、必要に応じて定着板１
３、ナット１４を使用し、複数箇一緒にプレストレスを
導入する。その結果、多軸拘束を受けた筒状のＰＣ長尺
構造物３４が得られる。なお、複数箇の筒状ＰＣ部材３
が軸芯方向一直線状に積重ねられた筒状（中空柱状）構
造物は、全長にわたり同一外径でも、一端から他端へ徐
々に外径を変化させて構成されてもよい。ただし、外径
を変化させる場合は、箇々の筒状ＰＣ部材３すなわち緊
結用セグメントブロック１５あるいは膨張材用セグメン
トブロック１６の軸芯方向における外径あるいは弧径を
徐々に変化させると共に、筒状ＰＣ部材３相互間で関連
付けて変化させることが必要である。

【００１７】

【実施例】図３に示すものは、本発明による３軸拘束を
受けたＰＣ部材を梁として使用した床版橋であり、断面
図（Ａ）及び側面図（Ｂ）で示している。図３におい
て、複数本（本実施例では４本）の長尺柱状ＰＣ部材１
が水平方向に接して並べられ、適宜間隔を置いてＦＲＰ
シート１８により束ねられて梁１９を構成している。該
梁１９は橋脚（支持構造物の１種）２０間に配置され、
上部にスラブ２１を載せられ、床版橋が構成されてい
る。

【００１８】このように構成された床版橋は、梁１９の
小型化及び軽量化がはかられ、逆に、強度の大きい、あ
るいは、スパンの大きい床版橋の架橋が可能になる。な
お、長尺柱状ＰＣ部材１を束ねることにより梁１９の安
定性を確保し、ＦＲＰシート１８を使用することによ
り、腐食の懸念がなくなる。

【００１９】図４に示すものは、本発明による３軸拘束
を受けたＰＣ部材を主桁として使用した道路橋（合成構
造物の１種）を示す断面図である。図４において、複数
本（本実施例では４本）の長尺柱状ＰＣ部材１が水平方
向に離間して並べられ、主桁２２を構成している。該主
桁２２は図示しない橋脚２０間に配置され、上部にジベ
ル２２ａを介して合成されたスラブ２１を載せられ、道
路橋が構成されている。

【００２０】このように構成された道路橋は、主桁２２
の小型化及び軽量化がはかられ、逆に、強度の大きい、
あるいは、スパンの大きい道路橋の架橋が可能になる。
なお、主桁２２すなわち箇々の長尺柱状ＰＣ部材１とス
ラブ２１とはジベル２２ａを介して合成され、箇々の長
尺柱状ＰＣ部材１が確実に荷重を受持っている。

【００２１】図５に示すものは、本発明による３軸拘束
を受けたＰＣ部材を主桁として使用した他の構造の道路
橋を示す断面図である。図５において、１本の長尺柱状
ＰＣ部材１が主桁２２を構成している。該主桁２２は図
示しない橋脚２０間に配置され、上部にトラス２３を介
して連結されたスラブ２１を載せられ、道路橋が構成さ
れている。

【００２２】図６に示すものは、本発明による３軸拘束
を受けたＰＣ部材によりトラスを構成するトラス橋（ト
ラス構造物の１種）を示す側面図である。図６におい
て、複数本の長尺柱状ＰＣ部材１がトラス２４を連続し
て必要長に構成し、橋脚２０間に配置されてトラス橋を
構成している。

【００２３】図７に示すものは、本発明による３軸拘束
を受けたＰＣ部材により腹部を構成する橋梁（構造物の
１種）を示す側面図である。図７において、複数本の長
尺柱状ＰＣ部材１は、橋脚２０間に張り渡された主桁２
２の上に腹部２５を構成して配置され、その上にスラブ
２１を載せて支持している。

【００２４】このように構成された図５に示す道路橋、
図６に示すトラス橋及び図７に示す橋梁は、主桁２２、
トラス２４あるいはウエブ２５の小型化及び軽量化、従
って、橋自体の軽量化がはかられ、逆に、強度の大き
い、あるいは、スパンの大きい橋の架橋が可能になる。

【００２５】図８に示すものは、本発明による３軸拘束
を受けたＰＣ部材を消波体として使用された状態を示す
構成図である。図８において、複数本の長尺柱状ＰＣ部
材１は、岸壁２６の沖合の海底に設けられた床盤２７に
林立するように直立し、海面に突出して消波体２８を構
成している。

【００２６】図９に示すものは、本発明による３軸拘束
を受けたＰＣ部材を消波体として遊水室を有する直立消
波堤に使用された状態を示す構成図である。図９におい
て、複数本の長尺柱状ＰＣ部材１は、遊水室を有する直
立消波堤２９に沿い、直立して配置され、消波体２８ａ
を構成している。

【００２７】このように構成された図８及び図９に示す
消波体２８、２８ａは、長尺柱状ＰＣ部材１の曲げ変形
性能と復元力とにより、波のエネルギーを効果的に吸収
することが可能である。

【００２８】図１０に示すものは、本発明による３軸拘
束を受けたＰＣ部材をブレスとして構成する構造物を示
す構成図である。図１０において、複数本の長尺柱状Ｐ
Ｃ部材１は、柱３１及び梁３２で構成される構造物３０
のブレス３３として使用されている。このように構成さ
れた構造物３０は、ブレス３３の小型化及び軽量化がは
かられ、耐震性に富んだ強度の高い、軽量化されものに
なる。

【００２９】図１２に示すものは、本発明による多軸拘
束を受けたＰＣ部材を長尺構造物として構成した一部を
部分断面図で示している。図１２において、複数箇の筒
状ＰＣ部材３が軸芯方向一直線状に積重ねられると共に
相互に連結されて長尺構造物３４を構成している。すな
わち、筒状ＰＣ部材３は長尺構造物３４の所要長に必要
な箇数の筒状ＰＣ部材３が軸芯方向一直線状に積重ねら
れ、プレストレス引張材用貫通孔１５ａ、１６ａにプレ
ストレス緊張材１２を挿入され、プレストレスを導入さ
れる。このプレストレスの導入により長尺構造物３４は
軸芯方向に拘束を受け、筒状ＰＣ部材３が周方向に受け
ていた拘束と合せて多軸拘束を受けたＰＣ部材となる。
なお、図１２に示す長尺構造物３４は、外周の継ぎ目を
化粧により消されている。

【００３０】図１３に示すものは、本発明による多軸拘
束を受けたＰＣ部材を橋脚として使用した構造物を示す
正面図である。図１３において、多軸拘束を受けたＰＣ
部材で構成される２本の前記長尺構造物３４が基礎３５
に直立し、上部に構造物のスラブ２１を支持している。
なお、長尺構造物３４は端部あるいは中間部を相互に連
結して剛性を向上させることができる。

【００３１】図１４に示すものは、本発明による多軸拘
束を受けたＰＣ部材を脚部材として使用した海洋構造物
を示す正面図である。図１４において、多軸拘束を受け
たＰＣ部材で構成される複数本の前記長尺構造物３４が
海底に建設された基礎３５に直立し、海面上に突出した
長尺構造物３４の上部にプラットホーム３６を支持して
いる。なお、長尺構造物３４は端部あるいは中間部を相
互に連結して剛性を向上させることができる。また、必
要に応じて、長尺構造物３４の外周には防食処置が施工
されている。

【００３２】このように構成された図１３及び図１４に
示す長尺構造物３４は、高さが１００メートルにも達す
る高速道路等の橋脚あるいはプラットホーム３６を支持
する海洋構造物の脚部材として、高強度のＰＣ部材を容
易に提供できる。また、本発明の長尺構造物３４は、工
事現場におけるコンクリート打設作業を必要としない。
また、軽量であることにより慣性力が小さく、耐震性が
大きく向上する。

【００３３】前記長尺構造物３４は、さらに、地下構造
物として縦抗、斜抗あるいは横抗のトンネルあるいは大
口径上下水道管として構成することが可能である。

【００３４】

【発明の効果】本発明によるＰＣ構造部材は以上のよう
に構成されていることにより、以下のような効果を得る
ことができる。すなわち、長尺管状の拘束体の内部にコ
ンクリートを打設し、打設したコンクリートの管軸方向
にプレストレスを導入した３軸拘束を受けるＰＣによ
り、また、弧状に形成されたコンクリートの複数箇のセ
グメントブロックを輪状に組合せ、輪の外周から内周方
向へ荷重を掛けると共に輪の軸芯方向にプレストレスを
導入した多軸拘束を受けるＰＣにより、ＰＣ部材を構成
することにより、引張力に対する許容荷重を大きく改善
し、相対的に形状及び重量が小さくなると共に、耐力及
び変形能力が大きくなる。従って、靱性が著しく改善さ
れる。

【００３５】その結果、構造物の部材が軽量化され、慣
性力が小さくなり、耐震性が大きく向上する。また、長
大スパンの大型構造部材が容易に得られる。さらには、
ＰＣ部材は工場で製造され、現場に運搬されて合成さ
れ、工事現場においてコンクリート打設による製造作業
がなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による３軸拘束を受けたＰＣ部材を示す
断面図である。

【図２】本発明による３軸拘束を受けた他のＰＣ部材を
示す断面図である。

【図３】本発明による３軸拘束を受けたＰＣ部材を梁と
して使用した床版橋を示す断面図（Ａ）及び側面図
（Ｂ）である。

【図４】本発明による３軸拘束を受けたＰＣ部材を主桁
として使用した道路橋を示す断面図である。

【図５】本発明による３軸拘束を受けたＰＣ部材を主桁
として使用した他の構造の道路橋を示す断面図である。

【図６】本発明による３軸拘束を受けたＰＣ部材により
トラスを構成するトラス橋を示す側面図である。

【図７】本発明による３軸拘束を受けたＰＣ部材により
ウエブを構成する橋梁を示す側面図である。

【図８】本発明による３軸拘束を受けたＰＣ部材を消波
体として使用された状態を示す構成図である。

【図９】本発明による３軸拘束を受けたＰＣ部材を消波
体として遊水室を有する直立消波堤に使用された状態を
示す構成図である。

【図１０】本発明による３軸拘束を受けたＰＣ部材をブ
レスとして構成する建築構造物を示す構成図である。

【図１１】本発明による２軸拘束を受けたＰＣ部材を示
すＰＣ部材の斜視図（Ａ）、緊結用セグメントブロック
の斜視図（Ｂ）及び膨張材用セグメントブロックの斜視
図（Ｃ）である。

【図１２】本発明による２軸拘束を受けたＰＣ部材によ
り構成する長尺構造物の一部を示す部分断面図である。

【図１３】本発明による２軸拘束を受けたＰＣ部材を橋
脚として使用した道路橋を示す構成図である。

【図１４】本発明による２軸拘束を受けたＰＣ部材を脚
部材として使用した海洋構造物を示す構成図である。

【符号の説明】

１長尺柱状ＰＣ部材２長尺筒状ＰＣ部材３筒状ＰＣ部材１１拘束体１２プレストレス緊張材１５緊結用セグメントブロック１６膨張材用セグメントブロック１７被覆材１８ＦＲＰシート１９梁２１スラブ２２主桁２３トラス２４トラス２５腹部２８消波体３０構造物３３ブレス３４長尺構造物３６プラットホーム５０コンクリート

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】長尺管状の拘束体（１１）の内部にコン
クリート（５０）を打設し、打設した該コンクリート
（５０）の管軸方向にプレストレスを導入した３軸拘束
を受けるＰＣにより構成されていることを特徴とするＰ
Ｃ部材。
【請求項２】腐食性材料で構成される前記拘束体（１
１）が防食処理されていることを特徴とする請求項１記
載のＰＣ部材。
【請求項３】前記拘束体（１１）が外周の管状部材及
び内挿部材で構成され、該拘束体間に前記コンクリート
（５０）を打設していることを特徴とする請求項１記載
のＰＣ部材。
【請求項４】支持構造物（２０）間に請求項１記載の
複数本のＰＣ部材（１、２）を水平方向に接して並べる
と共に束ねて梁（１９）として配置し、該ＰＣ部材の上
部にスラブ（２１）を載せて構成されていることを特徴
とする床版橋。
【請求項５】支持構造物（２０）間に請求項１記載の
複数本のＰＣ部材（１、２）を水平方向に離間して並べ
て主桁（２２）として配置し、該ＰＣ部材の上部にジベ
ル（２２ａ）を介して合成されたスラブ（２１）を載せ
て構成されていることを特徴とする合成構造物。
【請求項６】支持構造物（２０）間に請求項１記載の
１本のＰＣ部材（１、２）を主桁（２２）として配置
し、該ＰＣ部材の上部に腹部（２３）を介して連結され
たスラブ（２１）を載せて構成されていることを特徴と
する合成構造物。
【請求項７】請求項１記載のＰＣ部材（１、２）によ
りトラス（２４）が構成されていることを特徴とするト
ラス構造物。
【請求項８】請求項１記載のＰＣ部材（１、２）によ
りウエブ（２５）が構成されていることを特徴とする構
造物。
【請求項９】請求項１記載のＰＣ部材（１、２）が、
海面に直立して配置されていることを特徴とする消波
体。
【請求項１０】請求項１記載のＰＣ部材（１、２）
が、消波体（２８ａ）として、直立して配置されている
ことを特徴とする遊水室を有する直立消波堤。
【請求項１１】請求項１記載のＰＣ部材（１、２）
が、ブレス（３３）として配置されていることを特徴と
する構造物。
【請求項１２】弧状に形成したコンクリートの複数箇
のセグメントブロック（１５、１６）を輪状に組合せ、
輪の外周から内周方向へ荷重を掛けると共に輪の軸芯方
向にプレストレスを導入し、多軸拘束を受けるＰＣによ
り構成されていることを特徴とするＰＣ部材。
【請求項１３】輪の外周に緊結材を巻き付け、該緊結
材を緊結することにより輪の外周から内周方向へ荷重を
掛けることを特徴とする請求項１２記載のＰＣ部材。
【請求項１４】腐食性材料で構成される前記緊結材が
防食処理されていることを特徴とする請求項１３記載の
ＰＣ部材。
【請求項１５】輪の外周を隙間を設けて拘束体（１
７）で覆い、該隙間に膨張材を充填し、該膨張材の膨張
圧により輪の外周から内周方向へ荷重を掛けることを特
徴とする請求項１２記載のＰＣ部材。
【請求項１６】腐食性材料で構成される前記拘束体
（１７）が防食処理されていることを特徴とする請求項
１５記載のＰＣ部材。
【請求項１７】請求項１２記載の複数箇のＰＣ部材
（３）が軸芯方向一直線状に積重ねられると共に相互に
連結された長尺構造物（３４）により構成されているこ
とを特徴とする構造物。
【請求項１８】請求項１２記載の複数箇のＰＣ部材
（３）が軸芯方向一直線状に積重ねられると共に相互に
連結された長尺構造物（３４）により支持されて構成さ
れていることを特徴とする海洋構造物。
【請求項１９】請求項１２記載の複数箇のＰＣ部材
（３）が軸芯方向一直線状に連結された長尺構造物（３
４）により構成されていることを特徴とする地下構造
物。