JPH09287042A - 衝撃特性に優れたアルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents
衝撃特性に優れたアルミニウム合金板及びその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 本発明は、自動車の衝突安全性に対する材料
面からの寄与を可能とするために、衝撃特性に優れたア
ルミニウム合金板及びその製造方法を提供することを目
的とする。 【解決手段】 重量%で、Mg:2〜8%を含み、残部
はAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金板
において、前記合金板中に晶出した晶出物の圧延方向断
面における平均サイズが(1)及び(2)式を満足させ
る。これにより衝撃特性の優れたアルミニウム合金板が
得られる。
面からの寄与を可能とするために、衝撃特性に優れたア
ルミニウム合金板及びその製造方法を提供することを目
的とする。 【解決手段】 重量%で、Mg:2〜8%を含み、残部
はAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金板
において、前記合金板中に晶出した晶出物の圧延方向断
面における平均サイズが(1)及び(2)式を満足させ
る。これにより衝撃特性の優れたアルミニウム合金板が
得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用材料の用
途に好適な衝撃特性の優れたアルミニウム合金板及びそ
の製造方法に関するものである。
途に好適な衝撃特性の優れたアルミニウム合金板及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金は鉄に比べて衝撃特性
が劣ることが知られている(例えば、自動車技術、30
(No.2)(1976)、p.117)。すなわち、
ひずみ速度が100/s以上に大きくても、その強度は
ほとんど変化しないとされてきた。ところで、最近で
は、アルミニウム合金板の自動車用材料としての適用が
拡大しつつある。このアルミニウム合金板を適用する目
的は、自動車の車体軽量化にあるが、自動車を取り巻く
環境も厳しくなり、特に衝突時の乗員の安定性を確保す
るために種々の対策が講じられている。そのため、自動
車の部品を構成するアルミニウム合金板においても、衝
突安全性の観点から衝突特性の向上が求められる。アル
ミニウム合金の押出形材では、衝撃吸収性を向上させる
方法として、特開平7−54090号公報記載のよう
に、粒界析出物の大きさを所定の大きさに制御する方法
が明示されている。これは、液体化処理を施してから押
出成形を行った後の冷却速度を規定し、特に粒界析出物
の大きさを制御するものである。
が劣ることが知られている(例えば、自動車技術、30
(No.2)(1976)、p.117)。すなわち、
ひずみ速度が100/s以上に大きくても、その強度は
ほとんど変化しないとされてきた。ところで、最近で
は、アルミニウム合金板の自動車用材料としての適用が
拡大しつつある。このアルミニウム合金板を適用する目
的は、自動車の車体軽量化にあるが、自動車を取り巻く
環境も厳しくなり、特に衝突時の乗員の安定性を確保す
るために種々の対策が講じられている。そのため、自動
車の部品を構成するアルミニウム合金板においても、衝
突安全性の観点から衝突特性の向上が求められる。アル
ミニウム合金の押出形材では、衝撃吸収性を向上させる
方法として、特開平7−54090号公報記載のよう
に、粒界析出物の大きさを所定の大きさに制御する方法
が明示されている。これは、液体化処理を施してから押
出成形を行った後の冷却速度を規定し、特に粒界析出物
の大きさを制御するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、自動車の衝
突安全性に対する材料面からの寄与を可能とするため
に、衝撃特性に優れたアルミニウム合金板及びその製造
方法を提供することを目的とする。
突安全性に対する材料面からの寄与を可能とするため
に、衝撃特性に優れたアルミニウム合金板及びその製造
方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、アルミニ
ウム合金における晶出物の形態が衝撃特性に及ぼす影響
について検討した結果、(1)上記晶出物の形態は、衝
撃特性に影響を与え、できるだけ等方的な形態であるほ
ど、衝撃特性が向上すること、及び、(2)晶出物を等
方的な形態とするためには、アルミニウム合金を凝固さ
せるときの凝固時の冷却速度を速くすることが効果的で
あること、を知見した。本発明は、上記知見に基づくも
のであって、重量%で、Mg:2〜8%を含み、残部は
Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金板に
おいて、前記合金板中に晶出した晶出物の圧延方向断面
における平均サイズが(1)及び(2)式を満足するこ
とを特徴とする衝撃特性の優れたアルミニウム合金板。 (Dl+Dc)/2≦5μm ・・・・・・・・・(1) Dl/Dc≦1.25 ・・・・・・・・・・(2) (ここで、Dl:晶出物の圧延方向の長さ、Dc:晶出
物の板厚方向の長さ)
ウム合金における晶出物の形態が衝撃特性に及ぼす影響
について検討した結果、(1)上記晶出物の形態は、衝
撃特性に影響を与え、できるだけ等方的な形態であるほ
ど、衝撃特性が向上すること、及び、(2)晶出物を等
方的な形態とするためには、アルミニウム合金を凝固さ
せるときの凝固時の冷却速度を速くすることが効果的で
あること、を知見した。本発明は、上記知見に基づくも
のであって、重量%で、Mg:2〜8%を含み、残部は
Al及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金板に
おいて、前記合金板中に晶出した晶出物の圧延方向断面
における平均サイズが(1)及び(2)式を満足するこ
とを特徴とする衝撃特性の優れたアルミニウム合金板。 (Dl+Dc)/2≦5μm ・・・・・・・・・(1) Dl/Dc≦1.25 ・・・・・・・・・・(2) (ここで、Dl:晶出物の圧延方向の長さ、Dc:晶出
物の板厚方向の長さ)
【0005】上記アルミニウム合金板には、必要に応じ
てCu:1%以下、Si:0.5%以下、Fe:0.5
%以下のうち1種以上、または/及びTi:0.2%以
下、B:0.01%以下、Be:0.005%以下のう
ち1種以上を含有させることが好適である。また、本発
明は、上記アルミニウム合金板の製造方法において、凝
固時の冷却速度を5℃/s以上として鋳造し、再加熱
後、所定の熱間圧延及び冷間圧延を実施し、再結晶焼鈍
を施すことを特徴とする衝撃特性に優れたアルミニウム
合金板の製造方法である。
てCu:1%以下、Si:0.5%以下、Fe:0.5
%以下のうち1種以上、または/及びTi:0.2%以
下、B:0.01%以下、Be:0.005%以下のう
ち1種以上を含有させることが好適である。また、本発
明は、上記アルミニウム合金板の製造方法において、凝
固時の冷却速度を5℃/s以上として鋳造し、再加熱
後、所定の熱間圧延及び冷間圧延を実施し、再結晶焼鈍
を施すことを特徴とする衝撃特性に優れたアルミニウム
合金板の製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】まず、本発明における成分組成の
限定理由について述べる。Mgは、主として強度と延性
を高めるために必要不可欠な合金元素である。そのた
め、必要な含有量は2%以上とする。2%未満では強度
及び延性が不十分である。また、上限を8%とするが、
これを超えて添加されると熱間加工性が劣化し、熱間圧
延ができない。上記のようにMgの含有量を規定した本
発明鋼の基本成分系には、必要によりCu、Si及びF
eの1種以上を添加する。
限定理由について述べる。Mgは、主として強度と延性
を高めるために必要不可欠な合金元素である。そのた
め、必要な含有量は2%以上とする。2%未満では強度
及び延性が不十分である。また、上限を8%とするが、
これを超えて添加されると熱間加工性が劣化し、熱間圧
延ができない。上記のようにMgの含有量を規定した本
発明鋼の基本成分系には、必要によりCu、Si及びF
eの1種以上を添加する。
【0007】Cuは、主として析出硬化により、塗装焼
付硬化によって強度を上げることを目的に添加される元
素である。添加量が0.1%未満では、その効果がな
く、また、1%を超えて添加されると、極端に耐食性が
悪くなるばかりでなく、析出が促進され、室温放置中の
経時変化が大きく、成形性が劣化する。そのためCuの
添加量は0.1〜1%とする。
付硬化によって強度を上げることを目的に添加される元
素である。添加量が0.1%未満では、その効果がな
く、また、1%を超えて添加されると、極端に耐食性が
悪くなるばかりでなく、析出が促進され、室温放置中の
経時変化が大きく、成形性が劣化する。そのためCuの
添加量は0.1〜1%とする。
【0008】Si及びFeは、アルミニウム合金におい
ては本来不可避的不純物元素であり、凝固時に晶出物を
形成し、成形加工性を低下させる。したがって、極力そ
の含有量は低い方が良いため、0.5%以下とする。一
方、0.05%より低くするには、製造コストを増加さ
せるため、好ましくは0.05%を下限とする。本発明
におけるアルミニウム合金板には、必要に応じて、さら
にTi、B及びBeのうち1種以上を添加する。
ては本来不可避的不純物元素であり、凝固時に晶出物を
形成し、成形加工性を低下させる。したがって、極力そ
の含有量は低い方が良いため、0.5%以下とする。一
方、0.05%より低くするには、製造コストを増加さ
せるため、好ましくは0.05%を下限とする。本発明
におけるアルミニウム合金板には、必要に応じて、さら
にTi、B及びBeのうち1種以上を添加する。
【0009】熱間加工性をより良好とするためには、T
iまたはBの添加が有効である。Ti、Bは、鋳塊にお
ける結晶粒を微細化し、熱間加工性を改善する。ただ
し、初晶Al3 Ti粒子の晶出は、成形加工性を大きく
劣化させるため、その晶出を防止しなくてはならない。
そのため、Ti量は0.2%を上限とする。また、Bも
過度に添加されるとTiとの化合物TiB2 を形成し、
加工性を劣化させるため、0.01%を上限とする。
iまたはBの添加が有効である。Ti、Bは、鋳塊にお
ける結晶粒を微細化し、熱間加工性を改善する。ただ
し、初晶Al3 Ti粒子の晶出は、成形加工性を大きく
劣化させるため、その晶出を防止しなくてはならない。
そのため、Ti量は0.2%を上限とする。また、Bも
過度に添加されるとTiとの化合物TiB2 を形成し、
加工性を劣化させるため、0.01%を上限とする。
【0010】また、Beについては、特にMgが1.5
%を超えるような合金成分の時に、溶湯の酸化防止のた
めに添加される。そのため、過度の添加はその効果が飽
和するため、0.005%を上限とする。本発明のアル
ミニウム合金板は、上記の成分からなることを特徴とす
るが、それ以外の成分についても通常のアルミニウム合
金板に含まれる成分を含有しても何らかまわない。特
に、CrやZnについては、成形加工性や耐食性を劣化
させる元素であるため、その添加は極力少ない方が良
く、合計で0.1%以下とする。
%を超えるような合金成分の時に、溶湯の酸化防止のた
めに添加される。そのため、過度の添加はその効果が飽
和するため、0.005%を上限とする。本発明のアル
ミニウム合金板は、上記の成分からなることを特徴とす
るが、それ以外の成分についても通常のアルミニウム合
金板に含まれる成分を含有しても何らかまわない。特
に、CrやZnについては、成形加工性や耐食性を劣化
させる元素であるため、その添加は極力少ない方が良
く、合計で0.1%以下とする。
【0011】次に、本発明において最も重要な晶出物の
形態について述べる。本発明者らは、アルミニウム合金
板の衝撃特性を向上させるために晶出物の形態について
検討した結果、平均サイズで晶出物の圧延方向断面の大
きさが下記の2式を満たすと、衝撃特性が飛躍的に向上
することが見いだされた。 (Dl+Dc)/2≦5μm Dl/Dc≦1.25 (ここで、Dl:晶出物の圧延方向の長さ、Dc:晶出
物の板厚方向の長さ)
形態について述べる。本発明者らは、アルミニウム合金
板の衝撃特性を向上させるために晶出物の形態について
検討した結果、平均サイズで晶出物の圧延方向断面の大
きさが下記の2式を満たすと、衝撃特性が飛躍的に向上
することが見いだされた。 (Dl+Dc)/2≦5μm Dl/Dc≦1.25 (ここで、Dl:晶出物の圧延方向の長さ、Dc:晶出
物の板厚方向の長さ)
【0012】上記知見を得た実験結果を図1に示す。実
験は、Al−5.5%Mgの5000系合金において、
凝固時における冷却速度を変化させ、晶出物の大きさ及
び形状を変えた材料を準備し、ひずみ速度が10-3s-1
と10s-1の引張試験における引張強度の上昇量を調査
した。図1の結果より、(Dl+Dc)/2≦5μmか
つDl/Dc≦1.25の条件下において、高ひずみ速
度による引張強度の上昇が認められ、衝撃特性の向上効
果が得られた。
験は、Al−5.5%Mgの5000系合金において、
凝固時における冷却速度を変化させ、晶出物の大きさ及
び形状を変えた材料を準備し、ひずみ速度が10-3s-1
と10s-1の引張試験における引張強度の上昇量を調査
した。図1の結果より、(Dl+Dc)/2≦5μmか
つDl/Dc≦1.25の条件下において、高ひずみ速
度による引張強度の上昇が認められ、衝撃特性の向上効
果が得られた。
【0013】次に、本発明におけるアルミニウム合金板
の製造方法について説明する。本発明の成分組成の合金
は、DC鋳造法その他の鋳造法で鋳造する。また、薄ス
ラブ連鋳法や双ロール鋳造法を用いてもかまわない。本
発明においては、凝固時の冷却速度が最も重要な因子で
ある。図2及び3は、図1の実験における凝固時の冷却
速度と晶出物の形態(等方性)との関係を示した結果で
ある。ここで、晶出物のサイズの測定は、任意のL断面
(圧延方向と平行な断面)において実施し、500倍の
光学顕微鏡組織で1000個分の晶出物の圧延方向及び
板厚方向のサイズの平均値より求めた。晶出物の形態が
上記の2式を満たすようにするには、凝固時の冷却速度
を5℃/s以上にすればよいことが判明した。そこで、
凝固時の冷却速度が5℃/s以上とする。凝固時の冷却
速度は、速ければ速いほど晶出物の大きさが小さく、等
方的になるため好ましいが、500℃/sを超えると、
固溶元素が多量に残存することになり、硬質化すると同
時に延性が低下する。そのため、好ましくは5000℃
/s以下の冷却速度で冷却するのがよい。
の製造方法について説明する。本発明の成分組成の合金
は、DC鋳造法その他の鋳造法で鋳造する。また、薄ス
ラブ連鋳法や双ロール鋳造法を用いてもかまわない。本
発明においては、凝固時の冷却速度が最も重要な因子で
ある。図2及び3は、図1の実験における凝固時の冷却
速度と晶出物の形態(等方性)との関係を示した結果で
ある。ここで、晶出物のサイズの測定は、任意のL断面
(圧延方向と平行な断面)において実施し、500倍の
光学顕微鏡組織で1000個分の晶出物の圧延方向及び
板厚方向のサイズの平均値より求めた。晶出物の形態が
上記の2式を満たすようにするには、凝固時の冷却速度
を5℃/s以上にすればよいことが判明した。そこで、
凝固時の冷却速度が5℃/s以上とする。凝固時の冷却
速度は、速ければ速いほど晶出物の大きさが小さく、等
方的になるため好ましいが、500℃/sを超えると、
固溶元素が多量に残存することになり、硬質化すると同
時に延性が低下する。そのため、好ましくは5000℃
/s以下の冷却速度で冷却するのがよい。
【0014】あとに続く熱間圧延は通常の方法でよく、
特に規定されるものではない。すなわち、450〜58
0℃の範囲内で均質化処理を施した後、熱間圧延を行
う。この時、薄スラブ連鋳法や双ロール鋳造法を用いた
場合には、室温まで冷却することなく熱間圧延を実施す
ることができる。次に、冷間圧延を行った後、溶体化再
結晶処理を実施する。その際の熱処理条件についても特
に規定されるものではなく、通常の連続焼鈍あるいは箱
焼鈍で実施すれば良い。さらに、続いて調質圧延を実施
することも本発明の効果を損なうものではない。
特に規定されるものではない。すなわち、450〜58
0℃の範囲内で均質化処理を施した後、熱間圧延を行
う。この時、薄スラブ連鋳法や双ロール鋳造法を用いた
場合には、室温まで冷却することなく熱間圧延を実施す
ることができる。次に、冷間圧延を行った後、溶体化再
結晶処理を実施する。その際の熱処理条件についても特
に規定されるものではなく、通常の連続焼鈍あるいは箱
焼鈍で実施すれば良い。さらに、続いて調質圧延を実施
することも本発明の効果を損なうものではない。
【0015】
(実施例1)Mg:5.5%を含む5000系アルミニ
ウム合金を溶製し、表1に示すような種々の冷却速度で
凝固させ、鋳造材とした。その後、通常の方法に従って
熱間圧延、冷間圧延を実施し、板厚1mmの冷延板とし
た。この冷延板を連続焼鈍にて520℃×10秒の溶体
化処理後、室温まで冷却した。材質評価について、ま
ず、引張試験は供試材をJIS Z 2201に従い5
号試験片に加工し、JIS Z 2241の試験方法に
したがって実施した。さらに、衝撃特性を評価するため
に、引張速度をひずみ速度100/sとして引張試験を
行った。表1に示すように、本発明例のNo.3,4,
5では、晶出物の形態が微細均一化(等方化)したこと
に起因して、ひずみ速度100/sでの引張試験におい
て強度が増加している。また、局部伸び(1−El)も
改善されている。一方、比較例のNo.1及び2では、
凝固時の冷却速度が本発明の規定範囲から低くはずれた
ため、晶出物の大きさが大きくなりすぎたことにより、
ひずみ速度で100/sでの引張試験において強度が増
加しない。
ウム合金を溶製し、表1に示すような種々の冷却速度で
凝固させ、鋳造材とした。その後、通常の方法に従って
熱間圧延、冷間圧延を実施し、板厚1mmの冷延板とし
た。この冷延板を連続焼鈍にて520℃×10秒の溶体
化処理後、室温まで冷却した。材質評価について、ま
ず、引張試験は供試材をJIS Z 2201に従い5
号試験片に加工し、JIS Z 2241の試験方法に
したがって実施した。さらに、衝撃特性を評価するため
に、引張速度をひずみ速度100/sとして引張試験を
行った。表1に示すように、本発明例のNo.3,4,
5では、晶出物の形態が微細均一化(等方化)したこと
に起因して、ひずみ速度100/sでの引張試験におい
て強度が増加している。また、局部伸び(1−El)も
改善されている。一方、比較例のNo.1及び2では、
凝固時の冷却速度が本発明の規定範囲から低くはずれた
ため、晶出物の大きさが大きくなりすぎたことにより、
ひずみ速度で100/sでの引張試験において強度が増
加しない。
【0016】
【表1】
【0017】(実施例2)表2に示すような種々のアル
ミニウム合金を溶製し、本発明の範囲内における冷却速
度で凝固させ、鋳片を作製した。その後、通常の方法で
熱間圧延、冷間圧延を行い、1mmの冷延板とした。な
お、薄スラブ連鋳法で鋳造したものは直送で熱間圧延を
行った後、冷間圧延を実施した。また、双ロール法では
3mmに鋳造し、熱間圧延を実施することなく冷間圧延
を行った。こうして得られた冷延板を、連続焼鈍あるい
は箱焼鈍によって再結晶処理を行った後、実施例1と同
様の方法で材質評価した。さらには耐食性の評価試験も
行った。その評価は、りん酸亜鉛処理を施した各合金
に、市販の電着塗装と中塗り、上塗りを行い、塗装面に
L方向とC方向にカッターで切れ目を入れ、ASTM
D2083法に準拠して行った。膨れ幅が2mm以下を
〇、2mmを超える場合を×とした。
ミニウム合金を溶製し、本発明の範囲内における冷却速
度で凝固させ、鋳片を作製した。その後、通常の方法で
熱間圧延、冷間圧延を行い、1mmの冷延板とした。な
お、薄スラブ連鋳法で鋳造したものは直送で熱間圧延を
行った後、冷間圧延を実施した。また、双ロール法では
3mmに鋳造し、熱間圧延を実施することなく冷間圧延
を行った。こうして得られた冷延板を、連続焼鈍あるい
は箱焼鈍によって再結晶処理を行った後、実施例1と同
様の方法で材質評価した。さらには耐食性の評価試験も
行った。その評価は、りん酸亜鉛処理を施した各合金
に、市販の電着塗装と中塗り、上塗りを行い、塗装面に
L方向とC方向にカッターで切れ目を入れ、ASTM
D2083法に準拠して行った。膨れ幅が2mm以下を
〇、2mmを超える場合を×とした。
【0018】
【表2】
【0019】結果を表3に示す。本発明例(No.6〜
12)では、100/sのひずみ速度の速い領域で強度
の上昇が認められ、衝撃特性に優れる。一方、本発明の
範囲からMgが高くはずれたNo.13では、熱間加工
性が著しく劣化するため、熱間圧延時に割れが生じる。
そのため最終製品を製造するには至っていない。Cuが
本発明の範囲を超えて添加されると、No.14のよう
に耐食性が悪い。さらに、SiあるいはFeが高くはず
れたNo.15及び16では、形成される晶出物の量が
多くなり、延性が低下する。その結果、ひずみ速度=1
00/sで強度が高くならず、衝撃特性が悪い。
12)では、100/sのひずみ速度の速い領域で強度
の上昇が認められ、衝撃特性に優れる。一方、本発明の
範囲からMgが高くはずれたNo.13では、熱間加工
性が著しく劣化するため、熱間圧延時に割れが生じる。
そのため最終製品を製造するには至っていない。Cuが
本発明の範囲を超えて添加されると、No.14のよう
に耐食性が悪い。さらに、SiあるいはFeが高くはず
れたNo.15及び16では、形成される晶出物の量が
多くなり、延性が低下する。その結果、ひずみ速度=1
00/sで強度が高くならず、衝撃特性が悪い。
【0020】
【表3】
【0021】
【発明の効果】本発明のアルミニウム合金板は、晶出物
の形態を等方的に調整するので、従来のアルミニウム合
金に比べて衝撃特性が優れ、自動車ボディ用等として好
適なアルミニウム合金板の提供が可能となる。
の形態を等方的に調整するので、従来のアルミニウム合
金に比べて衝撃特性が優れ、自動車ボディ用等として好
適なアルミニウム合金板の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】晶出物の形態とひずみ速度の変化による引張強
度の上昇量との関係を示す図、
度の上昇量との関係を示す図、
【図2】凝固時冷却速度と(Dl+Dc)/2の関係を
示す図、
示す図、
【図3】凝固時冷却速度とDl/Dcの関係を示す図で
ある。
ある。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、Mg:2〜8%を含み、残部
はAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金板
において、前記合金板中に晶出した晶出物の圧延方向断
面における平均サイズが(1)及び(2)式を満足する
ことを特徴とする衝撃特性の優れたアルミニウム合金
板。 (Dl+Dc)/2≦5μm ・・・・・・・・・(1) Dl/Dc≦1.25 ・・・・・・・・・・(2) (ここで、Dl:晶出物の圧延方向の長さ、Dc:晶出
物の板厚方向の長さ) - 【請求項2】 さらに、重量%で、Cu:1%以下、S
i:0.5%以下、Fe:0.5%以下のうち1種以上
含むことを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金
板。 - 【請求項3】 さらに、重量%で、Ti:0.2%以
下、B:0.01%以下、Be:0.005%以下のう
ち1種以上含むことを特徴とする請求項1または2のい
ずれか1項に記載のアルミニウム合金板。 - 【請求項4】 請求項1、2または3記載のアルミニウ
ム合金板の製造方法において、凝固時の冷却速度を5℃
/s以上として鋳造し、再加熱後、所定の熱間圧延及び
冷間圧延を実施し、再結晶焼鈍を施すことを特徴とする
衝撃特性に優れたアルミニウム合金板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9798296A JPH09287042A (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | 衝撃特性に優れたアルミニウム合金板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9798296A JPH09287042A (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | 衝撃特性に優れたアルミニウム合金板及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09287042A true JPH09287042A (ja) | 1997-11-04 |
Family
ID=14206882
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9798296A Withdrawn JPH09287042A (ja) | 1996-04-19 | 1996-04-19 | 衝撃特性に優れたアルミニウム合金板及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09287042A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016098412A (ja) * | 2014-11-21 | 2016-05-30 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金板の製造方法 |
-
1996
- 1996-04-19 JP JP9798296A patent/JPH09287042A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016098412A (ja) * | 2014-11-21 | 2016-05-30 | 株式会社Uacj | アルミニウム合金板の製造方法 |
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