JPH09286794A - タキソイド誘導体およびその製造法 - Google Patents
タキソイド誘導体およびその製造法Info
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- JPH09286794A JPH09286794A JP9035691A JP3569197A JPH09286794A JP H09286794 A JPH09286794 A JP H09286794A JP 9035691 A JP9035691 A JP 9035691A JP 3569197 A JP3569197 A JP 3569197A JP H09286794 A JPH09286794 A JP H09286794A
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Abstract
セル等の糖誘導体を開発し、患者の負担を軽減し、かつ
効果的な癌治療薬を提供すること。 【解決手段】 パクリタクセル、ドセタクセルおよび1
0−デアセチル−バッカチン IIIのいずれかにスペーサ
ーを介して糖を結合してなるタキソイド誘導体並びにパ
クリタクセルまたはドセタクセルを下記の式で表される
テトラベンジル酢酸オキシグリコシドと反応させ、次い
で脱ベンジル反応を行うことを特徴とするタキソイド誘
導体の製造法。 【化1】
Description
よびその製造法に関し、詳しくはパクリタクセル,ドセ
タクセルおよび10−デアセチル−バッカチンIII のい
ずれかにスペーサーを介して糖を結合して、生理活性,
水に対する溶解性を改善したタキソイド誘導体およびそ
の製造法に関するものである。
名:タキソール(Taxol)〕は、北米産イチイ(Taxus br
evifolia) の樹皮から単離されたジテルペン化合物 [M.
C.Wani et al.: J.Am.Chem.Soc.,93,2325(1971)]で、従
来の化学療法では治癒しない癌に対しても改善効果を持
つ強力な抗癌剤として知られている。このパクリタクセ
ルが癌を抑制するメカニズムは特異的であり、他の多く
の抗癌剤が有糸分裂装置である紡錘体の主成分の微小管
の形成を抑えるのに対し、パクリタクセルは微小管の過
剰形成を引き起こして有糸分裂を抑制するものである。
水に対する溶解性が低いため、実際の治療薬としての利
用が限られる。そのため、可溶化剤の使用や誘導体とし
て溶解性を高めるための研究開発等が活発に行われてる
が、未だ十分な解決策は見出されていない。例えば、現
在パクリタクセルは可溶化剤「クレモフォア」を用いて
患者に投与されているが、2週間毎に6時間かけて1L
投与し、これを4クール実施するという、患者に大きな
負担を与えるもの〔Eric K.Rowinsky et al.:CANCER RE
SEARCH 49, 4640 (1989) 〕である上に、可溶化剤の副
作用が問題となっている。また、溶解性が改善されたパ
クリタクセルの誘導体としてドセタクセル(Dosetaxel)
〔商品名:タキソテア(Taxotere) 〕が開発されたが、
ドセタクセルの水に対する溶解度はパクリタクセルの
1.3倍にすぎず〔I.Ringel et al.: J.Natl.Cancer I
nst.,83, 288 (1991) 〕、さほど改善されてはいない。
に、パクリタクセルの側鎖や母核に様々な官能基を導入
しているが、それらの誘導体のうち、いくつかの化合物
には溶解性の改善が認められるものの、生理活性が増強
されたものは未だ報告されていない。また、パクリタク
セルの糖誘導体に関する報告はなく、天然にキシロース
がエーテル結合している化合物が存在することが報告さ
れているだけである〔H.Lataste et al.: Proc.Natl.Ac
ad.Sci. USA,81, 4090 (1984) 〕。化学的なグリコシル
化には、例えば「日本化学会編 第4版 実験化学講座
26 有機合成VIII 第3章」に記載されているよう
に、多くの方法が知られているが、いずれの方法も重金
属塩もしくは強力なルイス酸を用いる必要がある。しか
し、パクリタクセルおよびドセタクセルは、酸に不安定
なオキセタン骨格、立体障害の大きい基本骨格を有して
いるため、従来の化学的グリコシル化法は効率的に進行
しない。一方、酵素によるグリコシル化は、パクリタク
セルおよびドセタクセルが極めて水溶性が低いため、目
的物が得られない。さらに、パクリタクセルと同じく北
米産イチイから抽出される10−デアセチル−バッカチ
ンIII はドセタクセルの前駆体であり、本物質を用いて
親水性タキソイド誘導体を製造する方法の開発が期待さ
れる。
に鑑み、溶解性と生理活性を共に向上したパクリタクセ
ル等の糖誘導体を開発し、患者の負担を軽減し、かつ効
果的な癌治療薬を提供することを目的とする。
クセルの誘導体を開発すべく鋭意検討した結果、パクリ
タクセルにスペーサーを介してエステル結合により糖を
結合したパクリタクセル誘導体が得られること、該誘導
体は水に対する溶解性および生理活性の向上が認められ
ることを知見し、本発明を完成させたのである。また、
上述のドセタクセルおよび10−デアセチル−バッカチ
ンIII についても、同様にしてエステル結合にて糖を結
合したタキソイド誘導体を得る方法を確立した。
タクセルおよび10−デアセチル−バッカチンIII のい
ずれかにスペーサーを介して糖を結合してなるタキソイ
ド誘導体とその製造法に関する。
に示す。下記の式で表されるグルコシルオキシアセチル
−7−パクリタクセル(以下、7−S−パクリタクセル
と略す)、
チル−2’−パクリタクセル(以下、2’−S−パクリ
タクセルと略す)、
セチル−2’,7−パクリタクセル(以下、2’,7−
S−パクリタクセルと略す)、
チル−10−パクリタクセル(以下、10−S−パクリ
タクセルと略す)、
シアセチル)−N−デベンゾイルパクリタクセル、(以
下、3’−S−パクリタクセルと略す)、
シアセチル)−N−デブトキシカルボニルドセタクセ
ル、(以下、3’−S−ドセタクセルと略す)、
チル−2’−ドセタクセル(以下、2’−S−ドセタク
セルと略す)、
セチル−2’,7−ドセタクセル(以下、2’,7−S
−ドセタクセルと略す)、
アセチル−2’,7,10−ドセタクセル(以下、
2’,7,10−S−ドセタクセルと略す)、
チル−7−ドセタクセル(以下、7−S−ドセタクセル
と略す)、
セチル−7,10−ドセタクセル(以下、7,10−S
−ドセタクセルと略す)、
チル−10−ドセタクセル(以下、10−S−ドセタク
セルと略す)、
チル−10−バッカチンIII (以下、10−S−バッカ
チンIII と略す)、
本発明のタキソイド誘導体は、上記したように、パクリ
タクセル,ドセタクセルおよび10−デアセチル−バッ
カチンIII のいずれかにスペーサーを介して糖を結合し
てなるものである。パクリタクセルは、Kingston, D.G.
I.: Pharmacol. Ther., 52, 1 (1992)に記載された方法
により、北米産イチイ(Taxus brevifolia) の樹皮から
単離することにより得られる他、化学合成されたもの
(R.A.Holton : Europian Patent-A 400971, 1990)など
も用いられる。また、ドセタクセルは、Greene, A.E. e
t al.:J. Org. Chem., 59, 1238 (1994) に記載されて
いる方法により、パクリタクセルから誘導される。10
−デアセチル−バッカチンIII は、前記したように、北
米産イチイから抽出される天然物である。
−デアセチル−バッカチンIII のいずれかにスペーサー
を介して糖を結合する反応は、テトラベンジル酢酸オキ
シグルコシドを用いて行われる。このテトラベンジル酢
酸オキシグルコシドは、グルコースを出発物質として常
法により得られるテトラベンジルグルコースにスペーサ
ーとしてエチルグリコレートなどのグリコレートを結合
させてエステル化合物とした後、脱エチル化してカルボ
ン酸化合物としたもので、下記の式で表される。
1例を以下に示す。
ース(1)にエチルグリコレートをp−トルエンスルホ
ン酸と共にベンゼン中で0〜150℃、好ましくは11
0℃にて0.5〜50時間、好ましくは8時間反応させ
てエチルグリコレートを1位に結合させ、エチルエステ
ル(化合物(2)、分子量626.76)を得る。この
後、該化合物(2)をアルカリ(例えば6N NaO
H)メタノール−ジオキサン溶液中で室温〜100℃に
て0.5〜50時間、好ましくは3時間処理した後、塩
酸(例えば1N HCl)酸性に移して脱エチル化する
ことにより、対応するカルボン酸化合物(3)を得る。
この物質が、テトラベンジル酢酸オキシグルコシドであ
る。なお、グルコースの代わりに他の糖類を用いた場合
も同様の反応によって、糖の種類が異なった、対応する
糖修飾体を得ることができる。この場合に使用される糖
類としては、例えばグルコースの他に、マンノース,ア
ロース,アルトロース,グロース,イドース,ガラクト
ース,タロース,リボース,アラビノース,キシロー
ス,リキソース,プシコース,フルクトース,ソルボー
ス,タガトース,フコース,マルトースなどがある。
エチルグリコレートなどのグリコレートを用いている
が、この物質のアルキル鎖長を変えることでスペーサー
の長さを容易に調節することができる。例えば、3−ヒ
ドロキシ酪酸等をスペーサーとして用いることも可能で
ある。
リタクセル,ドセタクセルおよび10−デアセチル−バ
ッカチンIII のいずれかとテトラベンジル酢酸オキシグ
ルコシドを反応させて製造することができる。タキソイ
ド誘導体の製造法の具体例としては、下記の反応工程
(I),(II) に示した方法がある。
クセル(4)とテトラベンジル酢酸オキシグルコシド
(3)を反応させた後、脱ベンジル化するもので、この
方法により前記の式で表される2’−S−パクリタクセ
ル(7)と2’,7−S−パクリタクセル(8)が得ら
れる。すなわち、パクリタクセル(4)とテトラベンジ
ル酢酸オキシグルコシド(3)を、4-ジメチルアミノピ
リジン(DMAP)等の塩基、ジシクロヘキシルカーボ
ジイミド(DCC)等の縮合剤および塩化メチレン等の
溶剤をアルゴン下、室温で0.5〜100時間、好まし
くは16.5時間反応させ、配糖体化した化合物(5)
または(6)を得る。次に、この化合物(5)または
(6)をパラジウムブラック等の触媒および酢酸等の酸
と共に水素下、室温で激しく攪拌しながら0.5〜50
時間,好ましくは5時間反応し、脱ベンジル化を行っ
て、2’−S−パクリタクセル(7)と2’,7−S−
パクリタクセル(8)を得る。
セル(9)を用いた場合は、反応工程(II) に従い、配
糖体化した化合物(10),(11)または(12)を
経て、前記の式で表される2’−S−ドセタクセル(1
3)、2’,7−S−ドセタクセル(14)および
2’,7,10−S−ドセタクセル(15)を得ること
ができる。
は、パクリタクセルの2’位をクロロトリエチルシリル
基を用いて保護した後にテトラベンジル酢酸オキシグル
コシドと反応させ、その後、脱ベンジル化および脱トリ
エチルシリル化してパクリタクセル誘導体を製造するも
のである。
エチルシラン(TESCl)等の保護剤、イミダゾール
等の塩基、ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶剤を
アルゴン下、室温で0.5〜50時間、好ましくは1
9.5時間反応してパクリタクセルの2’位をトリエチ
ルシランで保護し、化合物(16)を得る。
酸オキシグルコシド(3)、DMAP等の塩基、DCC
等の縮合剤、塩化メチレン等の溶剤をアルゴン下、室温
で0.5〜100時間、好ましくは5時間反応し、配糖
体化した化合物(17)を得る。その後、化合物(1
7)を、パラジウムブラック等の触媒、酢酸等の酸と共
に水素下、室温で激しく攪拌しながら0.5〜50時
間、好ましくは5時間反応させ、さらにテトラヒドロフ
ラン(THF)等の溶剤と水を加え、室温で0.5〜5
0時間、好ましくは15時間反応させて目的とする化合
物(18)を得る。この化合物(18)が前記式で表さ
れる7−S−パクリタクセルである。なお、パクリタク
セルの代わりにドセタクセル(9)を用いることによっ
て、下記の式で表される7−S−ドセタクセル(1
9)、7,10−S−ドセタクセル(20)および10
−S−ドセタクセル(21)を得ることができる。
アセチル−パクリタクセル(22)を用いることによっ
て、下記の式で表される10−S−パクリタクセル(2
3)を得ることができる。パクリタクセルの代わりにN
−デベンゾイルパクリタクセル(24)を用いることに
よって、下記の式で表される3’−S−パクリタクセル
(25)が得られる。同様にして、ドセタクセル型の配
糖体であるN−(グルコキシオキシアセチル)−N−デ
ブトキシカルボニルドセタクセルを得ることができる。
さらに、パクリタクセルの代わりに10−デアセチル−
バッカチンIII(26)を用いることによって、下記の
式で表される10−S−バッカチンIII(27)を得る
ことができる。
のシリカゲルを母体とする担体を用いた液体クロマトグ
ラフィーを適用することにより、容易にアノマーを分離
することができ、医薬品としても利用できる精製標品が
得られる。これらのタキソイド誘導体はいずれも水に対
する溶解度が向上しており、パクリタクセルの溶解度が
0.4μg/mlであるのに対し、例えば7−S−パク
リタクセルは14.7μg/ml(36.8倍)、2’
−S−パクリタクセルは30.6μg/ml(76.5
倍)、2’,7−S−パクリタクセルは48.4μg/
ml(121倍)である。また、これらのパクリタクセ
ル誘導体は、アルコールに対する溶解性も改善されてい
る。
理活性を、パクリタクセルの微小管脱重合阻害活性を1
00として相対評価すると、7−S−パクリタクセルは
225、2’−S−パクリタクセルは100、2’,7
−S−パクリタクセルは77.7である。このように、
各パクリタクセル誘導体の生理活性は十分保持されてお
り、本発明のタキソイド誘導体を抗癌剤として用いるこ
とが可能である。また、糖としてガラクトースやマンノ
ースを用いると、これらは肝細胞と親和性があるため、
肝臓癌の治療に有効である。
る。 製造例1 常法により得られたテトラベンジルグルコース(1)
1.62g、エチルグリコレート1.56g、p−トル
エンスルホン酸0.10g、ベンゼン80mlを110
℃でリフラックスさせながら8時間反応させ、化合物
(2)(C38H42O8,分子量626.74)を得た。次い
で、この化合物1.88gを6N NaOH 10m
l、メタノール10ml、ジオキサン15mlと共に室
温〜100℃で3時間反応させた後、1NHCl 80
ml中に移して脱エチル化することにより、化合物
(3)、すなわちカルボン酸化合物(C36H38O8, 分子量
598.69)を得た。上記の化合物(3)を重クロロ
ホルムに溶解し、1H-NMRで解析し、それぞれのピークを
帰属して構造を決定し、前記の構造式で表されるもので
あることを確認した。
2)256mg、製造例1で得たテトラベンジル酢酸オ
キシグルコシド(3)539mg、4−ジメチルアミノ
ピリジン(DMAP)110mg、ジシクロヘキシルカ
ーボジイミド(DCC)186mgおよび塩化メチレン
8mlをアルゴン下、室温で16.5時間反応し、2’
位に配糖体化した化合物(5)(C83H87NO21,分子量14
34.59)および2’,7位に配糖体化した化合物
(6)(C119H123NO28,分子量2015.27)を得た。
ック50mgおよび酢酸3mlを水素下、室温で激しく
攪拌しながら5時間反応して脱ベンジル化を行い、2’
−S−パクリタクセル(7)(C55H63NO21,分子量107
4.10)を101mg得た。収率は73%であった。
また、化合物(6)983mg、パラジウムブラック2
00mgおよび酢酸3mlを水素下、室温で激しく攪拌
しながら5時間反応して脱ベンジル化を行い、2’,7
−S−パクリタクセル(8) (C63H75NO28, 分子量12
94.28)を259mg得た。収率は41%であっ
た。次に、シリカゲル(商品名:キーゼルゲル、メルク
社製) を充填したカラム(φ20mm, 容積40ml)
を用い、クロロホルムを移動相として2’−S−パクリ
タクセルおよび2’,7−S−パクリタクセルをそれぞ
れ精製した。
ラン(TESCl)0.1mg、イミダゾール102m
gおよびDMF5mlをアルゴン下、室温で19.5時
間反応し、パクリタクセルの2’位をトリエチルシリル
基で保護した化合物(16)(C53H65NO14Si, 分子量9
68.18)を得た。この化合物(16)392mg、
製造例1で得たテトラベンジル酢酸オキシグルコシド
(3)479mg, DMAP98mg、DCC165m
gおよび塩化メチレン8mlをアルゴン下、室温で5時
間反応し、配糖体化した化合物(17)(C89H101NO21S
i,分子量1548.86)を得た。次いで、得られた化
合物(17)513mg、パラジウムブラック100m
gおよび酢酸3mlを水素下、室温で激しく攪拌しなが
ら5時間反応した。さらに、テトラヒドロフラン(TH
F)1mlと水1mlを加え、室温で15時間反応して
7−S−パクリタクセル(18) (C55H63NO21, 分子量
1074.10)を350mg得た。
エムシィ社製) を充填したカラム(φ20mm×250
mm) を用い、メタノールを移動相として、7−S−パ
クリタクセルをアノマー毎に精製した。また、7−S−
パクリタクセルを重クロロホルムに溶解し、1H-NMRで解
析し、それぞれのピークを帰属し構造を決定した。結果
を以下に示す。
の1H-NMR(500MHz,CDCl3) 1.12 (S,3H,CH3) 1.18 (S,3H,CH3) 1.77 (S,3H,CH3) 1.83 (S,3H,CH3) 2.15 (S,3H,CH3) 2.35 (S,3H,CH3) 1.6-2.55 (m,5H) 3.4-3.9 (m,7H) 4.0-4.4 (m,4H) 4.75-5.1 (m,3H) 5.5-5.8 (m,3H) 6.05-6.2 (m,1H) 7.2-7.6 (m,11H,Ar,NH) 7.6-7.7 (m,1H,Ar) 7.7-7.9 (m,2H,Ar) 8.1-8.2 (m,2H,Ar)
の1H-NMR(500MHz,CDCl3) 1.14 (S,3H,17-CH3) 1.20 (S,3H,CH3) 1.81 (S,3H,CH3) 1.84 (S,3H,CH3) 2.17 (S,3H,CH3CO) 2.38 (S,3H,CH3CO) 2.25-2.35 (m,2H) 2.5-2.7 (m,2H) 3.3-3.9 (m,5H) 4.1-4.5 (m,4H) 4.85 (br,1H,H2') 4.95 (brd,J=9.1,1H,H5) 5.5-5.8 (m,3H) 6.1-6.2 (m,2H) 7.3-7.6 (m,11H,Ar,NH) 7.6-7.7 (m,1H,Ar) 7.7-7.8 (m,2H,Ar) 8.1-8.2 (m,2H,Ar)
パクリタクセルおよび2’,7−S−パクリタクセルを
それぞれ10mg秤取し、水5mlを加えて18時間攪
拌した。攪拌終了後、上清をメンブランフィルター
(0.45μm) にて濾過し、濾液をHPLCにて分析
した。その結果、各化合物の水に対する溶解度は第1表
に示す通りであった。なお、HPLCの分析条件は下記
のとおりである。 カラム:MetaChem製 Taxil 5μ(4.6×250m
m) 溶 媒:MeOH/H2O(80/20) 流 速:0.5ml/min 検出器:フォトダイオードアレイ検出器(230nm) 注入量:20μl
比較して、パクリタクセル誘導体の溶解度は飛躍的に向
上している。しかし、2’−S−パクリタクセルと
2’,7−S−パクリタクセルは水溶液中でパクリタク
セルに分解され、水溶液中では不安定であることが認め
られた。
パクリタクセルおよび2’,7−S−パクリタクセルを
それぞれジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、
ジメチル−β−サイクロデキストリン(DM−β−C
D、塩水港精糖株式会社製)とパクリタクセルの包接複
合体(塩水港精糖株式会社製)は水に溶解し、反応液中
の濃度がそれぞれ5μMになるように調製した。次に、
上記の各サンプルをチューブリン(微小管の主要構成タ
ンパク質)と混合し、37℃で15分間反応した。反応
後2分、5分、10分および15分に反応溶液の350
nmの吸光度を測定した。また、反応終了後に塩化カル
シウムを添加し、その5分後に再度350nmの吸光度
を測定した。各測定値から、パクリタクセルの重合促進
活性および脱重合阻害活性を100とした場合の各サン
プルの相対活性を求め、結果を第2表に示した。
クセルは脱重合阻害活性がパクリタクセルの2倍以上あ
り、非常に有効な抗癌剤であることが確認された。ま
た、パクリタクセルをDM−β−CDと包接させて複合
物とすることによって、重合促進活性を高めることがで
きることも認められた。
g、製造例1で得たテトラベンジル酢酸オキシグルコシ
ド540mg、DMAP 110mg、DCC190m
gおよび塩化メチレン8mlをアルゴン下、室温で1
6.5時間反応し、2’位に配糖体化した化合物(1
0)と2’,7位に配糖体化した化合物(11)および
2’,7,10位に配糖体化した化合物(12)を得
た。次いで、実施例1と同様に各配糖体化合物を脱ベン
ジル化し、それぞれ2’−S−ドセタクセル(13)、
2’,7−S−ドセタクセル(14)、2’,7,10
−S−ドセタクセル(15)を得た。これらの化合物
は、前記反応工程(II) により製造される。
て、前記実施例2と同様にしてドセタクセルの2’位を
トリエチルシリル基(TES)で保護した化合物(2
8)を得た後、製造例1で得たテトラベンジル酢酸オキ
シグルコシド(3)と反応させて化合物(29)および
(30)を得た。その後、これらの化合物(29)およ
び(30)からベンジル基とTESをはずして7−S−
ドセタクセル(19)と7,10−S−ドセタクセル
(20)を得た。これらは反応式(IV)により製造され
る。
て、前記実施例2と同様にしてドセタクセルの2’位と
7位をTESで保護した化合物(31)を得た後、製造
例1で得たテトラベンジル酢酸オキシグルコシド(3)
と反応させて化合物(32)を得た。その後、この化合
物(32)からベンジル基とTESをはずして10−S
−ドセタクセル(21)(C51H65NO21,分子量102
8.07)を得た。この化合物は、反応工程(V)により
製造される。
クセル(C45H49NO13,分子量811.88)(22)を
用いて、前記実施例2と同様にして、10−デアセチル
−パクリタクセルの2’位と7位をTESで保護した化
合物(33)を得た後、製造例1で得たテトラベンジル
酢酸オキシグルコシド(3)と反応させて化合物(3
4)を得た。その後、ベンジル基とTESをはずして1
0−S−パクリタクセル(C53H61NO20,分子量103
2.06)(23)を得た。この化合物は、反応工程
(VI)により製造される。
セル(C40H47NO13,分子量749.81)(24)を用
いて、前記実施例2と同様にして、製造例1で得たテト
ラベンジル酢酸オキシグルコシド(3)と反応させて化
合物(35)を得た。その後、ベンジル基をはずして
3’−S−パクリタクセル(C48H59NO20,分子量96
9.99)(25)を得た。この化合物は、反応工程
(VII)により製造される。また、N−デブトキシカルボ
ニルドセタクセルを原料として、上記と同様に行うこと
により、3’−S−パクリタクセルのドセタクセル型の
配糖体であるN−(グルコシルオキシアセチル)−N−
デブトキシカルボニルドセクタルを合成することも可能
である。
ンIII (C29H36O10 ,分子量544.60)(26)を
用いて、前記実施例2と同様にして、10−デアセチル
−バッカチンIII の7位をTESで保護した化合物(3
6)を得た後、製造例1で得たテトラベンジル酢酸オキ
シグルコシド(3)と反応させて化合物(37)を得
た。その後、ベンジル基とTESをはずして10−S−
バッカチンIII (C37H48O17 ,分子量764.78)
(27)を得た。この化合物は、反応工程(VIII) によ
り製造される。このものは、親水性タキソイド合成の中
間体として有効である。
し、かつ生理活性も改善されたタキソイド誘導体とその
製造法が提供される。このタキソイド誘導体は、患者の
負担を軽減し、かつ効果的な癌治療薬としての利用が期
待できる。
Claims (20)
- 【請求項1】 パクリタクセル、ドセタクセルおよび1
0−デアセチル−バッカチンIII のいずれかにスペーサ
ーを介して糖を結合してなるタキソイド誘導体。 - 【請求項2】 糖が、グルコース,マンノース,アロー
ス,アルトロース,グロース,イドース,ガラクトー
ス,タロース,リボース,アラビノース,キシロース,
リキソース,プシコース,フルクトース,ソルボース,
タガトース,フコースおよびマルトースのいずれかであ
る請求項1記載のタキソイド誘導体。 - 【請求項3】 スペーサーがグリコレートである請求項
1記載のタキソイド誘導体。 - 【請求項4】 下記の式で表されるグルコシルオキシア
セチル−7−パクリタクセル。 【化1】 - 【請求項5】 下記の式で表されるグルコシルオキシア
セチル−2’−パクリタクセル。 【化2】 - 【請求項6】 下記の式で表されるジグルコシルオキシ
アセチル−2’,7−パクリタクセル。 【化3】 - 【請求項7】 下記の式で表されるグルコシルオキシア
セチル−10−パクリタクセル。 【化4】 - 【請求項8】 下記の式で表されるN−(グルコシルオ
キシアセチル)−N−デベンゾイルパクリタクセル。 【化5】 - 【請求項9】 下記の式で表されるN−(グルコシルオ
キシアセチル)−N−デブトキシカルボニルドセタクセ
ル。 【化6】 - 【請求項10】 下記の式で表されるグルコシルオキシ
アセチル−2’−ドセタクセル。 【化7】 - 【請求項11】 下記の式で表されるジグルコシルオキ
シアセチル−2’,7−ドセタクセル。 【化8】 - 【請求項12】 下記の式で表されるトリグルコシルオ
キシアセチル−2’,7,10−ドセタクセル。 【化9】 - 【請求項13】 下記の式で表されるグルコシルオキシ
アセチル−7−ドセタクセル。 【化10】 - 【請求項14】 下記の式で表されるジグルコシルオキ
シアセチル−7,10−ドセタクセル。 【化11】 - 【請求項15】 下記の式で表されるグルコシルオキシ
アセチル−10−ドセタクセル。 【化12】 - 【請求項16】 下記の式で表されるグルコシルオキシ
アセチル−10−バッカチンIII 。 【化13】 - 【請求項17】 パクリタクセルまたはドセタクセルの
2’位の水酸基をクロロトリエチルシランで保護した
後、下記の式で表されるテトラベンジル酢酸オキシグル
コシドと反応させ、次いで脱ベンジルおよび脱トリエチ
ルシリル反応を行うことを特徴とする請求項4または1
3または14記載のタキソイド誘導体の製造法。 【化14】 - 【請求項18】 パクリタクセルまたはドセタクセルを
下記の式で表されるテトラベンジル酢酸オキシグルコシ
ドと反応させ、次いで脱ベンジル反応を行うことを特徴
とする請求項5〜6および10〜12のいずれかに記載
のタキソイド誘導体の製造法。 【化15】 - 【請求項19】 ドセタクセルの2’位と7位の水酸基
をトリエチルシリル基で保護した後、下記の式で表され
るテトラベンジル酢酸オキシグルコシドと反応させ、次
いで脱ベンジルおよび脱トリエチルシリル反応を行うこ
とを特徴とする請求項15に記載のタキソイド誘導体の
製造法。 【化16】 - 【請求項20】 10−デアセチル−パクリタクセルの
2’位および7位の水酸基または10−デアセチル−バ
ッカチンIII の7位の水酸基をトリエチルシリル基で保
護した後、下記の式で表されるテトラベンジル酢酸オキ
シグルコシドと反応させ、次いで脱ベンジルおよび脱ト
リエチルシリル反応を行うことを特徴とする請求項7ま
たは16に記載のタキソイド誘導体の製造法。 【化17】
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