JPH09278797A - サソリ毒素関連ペプチド - Google Patents

サソリ毒素関連ペプチド

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JPH09278797A
JPH09278797A JP8118129A JP11812996A JPH09278797A JP H09278797 A JPH09278797 A JP H09278797A JP 8118129 A JP8118129 A JP 8118129A JP 11812996 A JP11812996 A JP 11812996A JP H09278797 A JPH09278797 A JP H09278797A
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peptide
amino acid
acid sequence
fraction
seq
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JP8118129A
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Romi Rejinu
ロミ レジヌ
Hiroyuki Namikata
宏之 南方
Terumi Nakajima
暉躬 中嶋
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Suntory Ltd
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Suntory Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新たなサソリ毒素関連ペプチドを提供し、サ
ソリ毒素の医薬等に対する応用に寄与する。 【解決手段】 中国産サソリ(Buthus mart
ensi)の毒腺からAla−Thr−Cys−Glu
−Asp−Cys−Pro−Glu−His−Cys−
Ala−Thr−Gln−Asn−Ala−Arg−A
la−Lys−Cys−Asp−Asn−Asp−Ly
s−Cys−Val−Cys−Glu−Pro−Lys
で示され、分子内に3個のジスルフィド結合を有するペ
プチド他、計8種類のペプチドを単離した。 【効果】 本発明のペプチドは、Kチャンネルに対す
る活性を、致死毒性から分離する可能性を示唆するもの
であり、サソリ毒素の医薬等に対する応用に寄与すると
考えられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なペプチド性毒
素に関し、さらに詳細には、中国産サソリ(Buthu
s martensi)の毒腺から得られるサソリ毒素
関連ペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】サソリは蛛形綱サソリ目に属する節足動
物の総称であり、全世界に約600種が生息する。サソ
リは一般に猛毒の動物であると考えられているが、実際
には致命的な毒素を持つサソリは種類が限られており、
例えば、アフリカの砂漠に生息するButhus us
tralis,メキシコ産のCentruroides
exilicaudaや,南ヨーロッパ産のB.occ
itauda等、数種にすぎない。また、現在までに、
種々のサソリ毒素が単離されており(Dreyer.
F. Rev.Physiol.Biochem.Ph
armacol.,15巻 94−128頁 1990
年)、それらは神経毒であると考えられている。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】現在までに、単離構造決定されたサソリ毒
素の例としては、Charybdotoxinl(Ch
TX,Miller,C.ら Nature,313巻
316−318頁,1985年),Iberioto
xin(IbTX,Galvez.A.ら,J.Bio
l.Chem.,265巻 19号 11083−11
090頁, 1990年),Kaliotoxin(K
TX,Romi.R.ら,J.Biol.Chem.,
268巻 35号 26302−26309頁, 19
93年)およびMargatoxin(MgTX,Be
ndnarrek.M.ら,BBRC,198巻 61
9頁 1994年)等が知られており、これらの毒素の
生理作用として、特にKチャンネルに対する作用が注
目されている。
【0004】これらのペプチド毒素は、一次構造に高い
相同性を示すにも係わらず、Kチャンネルに対して全
く異なった作用を示すものもあり、これらのペプチド毒
素を医薬等に応用するには、より多くのペプチド毒素を
単離し、構造活性相関を研究する必要があった。このよ
うな現状に鑑み、新たなサソリ毒素関連ペプチドを提供
し、サソリ毒素の医薬等に対する応用に寄与すること
が、本発明が解決すべき課題である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、中国産サ
ソリ(B.martensi)の毒腺から、新たなサソ
リ毒素関連ペプチドを単離すべく鋭意研究を行い、BM
P(Buthus martensi peptid
e)1〜8と命名した、配列番号1〜7で表されるペプ
チドを単離・精製し、その構造を決定して本発明を完成
した。すなわち、本発明によれば、配列番号1〜7で表
されるペプチドをサソリ毒素関連ペプチドとして提供す
ることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のペプチドは、例えば、中
国産サソリ(B.martensi)をはじめ、本発明
のペプチドを含有するサソリから毒腺を摘出し、これを
例えば0.5M程度の酢酸でペプチドを抽出して粗抽出
物を得る。この粗抽出物から、通常、ペプチド精製に用
いられるイオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマト
グラフィー等を用いて分離・精製することにより得るこ
とができる。
【0007】本発明のペプチドには、(1)アミノ酸配
列から、分子内に6個のCys残基が存在すること。
(2)質量分析のデータから、ペプチドが単量体で存在
すること。(3)得られた分子量のデータが、分子内に
3個のジスルフィド結合が存在するとして計算した分子
量のデータと一致すること。以上の3点から、分子内に
3個のジスルフィド結合が存在することが明らかであ
る。
【0008】本発明のペプチドにおける3個のジスルフ
ィド結合の存在箇所は、未だ同定されていない。しか
し、本発明のペプチドは、ジスルフィド結合を含まない
ペプチドを合成した後、酸化反応により無作為に3個の
ジスルフィド結合を導入し、これらのペプチドから、天
然体と一致するペプチドを精製することにより得ること
ができる。
【0009】ジスルフィド結合を含まないペプチドの合
成には、通常のペプチド合成機(例えばパーキン・エル
マー社製ペプチド合成機431A型)を用いる固相法に
よるのが簡便であり、ジスルフィド結合の導入には、空
気酸化、フェリシアン化カリウムによる酸化(Hope
ら J.Biol.Chem.237巻 1563−1
566頁 1962年)等の酸化反応を用いることがで
きる。また、ジスルフィド結合を導入したペプチドか
ら、天然体と一致するペプチドを精製するには、例えば
C−18逆相高速液体クロマトグラフィー(C−18H
PLC)で、保持時間が天然体と一致する画分を単離す
る方法を用いることができる。
【0010】上記の合成法によれば、一次構造が同一で
ありながら、ジスルフィド結合の数および様式が、天然
体とは異なるペプチドも得ることができる。しかし、こ
れらのペプチドも、本発明のペプチドと同様の生理活性
を有する限りにおいて、本発明に使用することができ
る。
【0011】
【作用】本発明のペプチドの内、BMP1〜4は、Le
iI(Augusteら J.Biol.Chem.2
65巻 4753−4759頁 1990年)との相同
性から、アパミン感受性の低コンダクタンス性カルシウ
ム活性化Kチャンネルに作用するものと考えられる。
また、BMP5〜7は、ChTXおよびIbTX(文献
既出)との関連性から、高コンダクタンス性カルシウム
活性化Kチャンネルまたは、電圧開閉性Kチャンネ
ルに作用するものと考えられる。
【0012】本発明のペプチドの毒性は意外に低く、後
記評価例に示すように、1μg/マウスの大脳脳室内投
与で、BMP1,BMP2およびBMP3は、何ら毒性
を示さなかった。またBMP5は、この投与量で僅かな
毒性しか示さなかった。さらにBMP6およびBMP8
は、250ng/マウスの投与量で、何ら毒性を示さな
かった。これに対して、BMP4およびBMP7は、3
0ng/マウスの投与量で、神経興奮症状と致死活性を
示し、これらのペプチドの毒性は、先に本発明者らによ
って報告されたKTX(R.Romiら,J.Bio
l.Chem.文献前出)の毒性とほぼ同様であった。
【0013】これらのデータは、本発明のサソリ毒素関
連ペプチドが、Kチャンネルに対する活性と、致死毒
性とを分離できる可能性を示唆するものであり、サソリ
毒素関連ペプチドの神経生理学における生化学試薬とし
ての用途のみならず、医薬、動物薬への応用も示唆する
ものと考えられる。
【0014】
【実施例】次に実施例によって本発明をさらに説明する
が、本発明の範囲はこれらのみに限定されるものではな
い。
【0015】実施例1.BMP1の精製 a.粗抽出 中国産サソリの毒腺の凍結乾燥物300mgを約15m
1の0.5M酢酸でホモジナイズし、3,000×gで
20分間遠心分離した。沈殿は同様にホモジナイズ後遠
心分離する操作を3回繰り返し、得られた上清を孔径
0.45μmのフィルターで濾過して、粗抽出液を得
た。
【0016】b.逆相カラムクロマトグラフィー(1) a.で得られた粗抽出液の原料換算60mg分を1バッ
チとして、Capce11 pak C18 SG−1
20(資生堂,φ10×250mm)を用いるC−18
HPLCに付し、流速3ml/minで、0.1%TF
A(pH2.2)中、102分間で0%から45%のア
セトニトリルの直線濃度勾配で溶出した。230nmの
UV吸収でモニターしながら、ピークを示す画分を36
フラクションを分画した。
【0017】c.陽イオン交換カラムクロマトグラフィ
b.で得られた保持時間37分の画分を、をTSK−g
el SP−5PW(東ソー,φ7.5×75mm)を
用いる陽イオン交換カラムクロマトグラフィーに付し、
流速0.5ml/minで、10mMリン酸ナトリウム
緩衝液(pH6.8)中、20分間で0Mから0.65
MのNaClの直線濃度勾配で溶出した。230nmの
UV吸収でモニターしながら分画し、NaCl濃度16
2mMで溶出される画分を得た。
【0018】d.逆相カラムクロマトグラフィー(2) c.で得られた画分を、100A C18逆相HPLC
カラム(メルク,φ4×125mm)を用いるC−18
HPLCに付し、流速1.0ml/minで、0.1%
TFA(pH2.2)中、20分間で0%から40%の
アセトニトリルの直線濃度勾配で、230nmのUV吸
収でモニターしながら溶出した。BMP1はアセトニト
リル30%の箇所にシングルピークとして溶出された。
この分画を集めて凍結乾燥し、0.8mgのBMP1を
得た。
【0019】実施例2.BMP2の精製 実施例1のステップb.で得られた保持時間39.6分
の画分を、実施例1のcと同様にTSK−gel SP
−5PWを用いる陽イオン交換カラムクロマトグラフィ
ーに付し、流速0.5ml/minで、10mMリン酸
ナトリウム緩衝液(pH6.8)中、80分間で0Mか
ら0.80MのNaClの直線濃度勾配で溶出した。2
30nmのUV吸収でモニターしながら分画し、NaC
l濃度45mMで溶出される画分を得た。
【0020】この画分を、実施例1のステップd.と同
様に、100A C18逆相HPLCカラムを用いるC
−18HPLCに付し、流速1.0ml/minで、
0.1%TFA(pH2.2)中、40分間で10%か
ら20%のアセトニトリルの直線濃度勾配で、230n
mのUV吸収でモニターしながら溶出した。BMP2は
アセトニトリル15%の箇所にシングルピークとして溶
出された。この分画を集めて凍結乾燥し、0.3mgの
BMP2を得た。
【0021】実施例3.BMP3の精製 実施例1のステップb.で得られた保持時間41.6分
の画分を、実施例1のcと同様にTSK−gel SP
−5PWを用いる陽イオン交換カラムクロマトグラフィ
ーに付し、流速0.5ml/minで、10mMリン酸
ナトリウム緩衝液(pH6.8)中、80分間で0Mか
ら0.80MのNaClの直線濃度勾配で溶出した。2
30nmのUV吸収でモニターしながら分画し、NaC
l濃度180mMで溶出される画分を得た。
【0022】この画分を、実施例1のステップd.と同
様に、100A C18逆相HPLCカラムを用いるC
−18HPLCに付し、流速1.0ml/minで、
0.1%TFA(pH2.2)中、20分間で5%から
40%のアセトニトリルの直線濃度勾配で、230nm
のUV吸収でモニターしながら溶出した。BMP3はア
セトニトリル24.5%の箇所にシングルピークとして
溶出された。この分画を集めて凍結乾燥し、0.27m
gのBMP3を得た。
【0023】実施例4.BMP4の精製 実施例1のステップb.で得られた保持時間44.6〜
46分の画分を、実施例1のcと同様にTSK−gel
SP−5PWを用いる陽イオン交換カラムクロマトグ
ラフィーに付し、流速0.5ml/minで、10mM
リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)中、80分間で
0Mから0.64M(7)NaClの直線濃度勾配で溶
出した。230nmnのUV吸収でモニターしながら分
画し、NaCl濃度510mMで溶出される画分を得
た。
【0024】この画分を、実施例1のステップd.と同
様に、100A C18逆相HPLCカラムを用いるC
−18HPLCに付し、流速1.0ml/minで、
0.1%TFA(pH2.2)中、20分間で5%から
40%のアセトニトリルの直線濃度勾配で、230nm
のUV吸収でモニターしながら溶出した。BMP4はア
セトニトリル23%の箇所にシングルピークとして溶出
された。この分画を集めて凍結乾燥し、30μgのBM
P4を得た。
【0025】実施例5.BMP5の精製 実施例1のステップb.で得られた保持時間46〜48
分の画分を、実施例1のcと同様にTSK−gel S
P−5PWを用いる陽イオン交換カラムクロマトグラフ
ィーに付し、流速0.5ml/minで、10mMリン
酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)中、80分間で0M
から0.80MのNaClの直線濃度勾配で溶出した。
230nmのUV吸収でモニターしながら分画し、Na
Cl濃度180mMで溶出される画分を得た。
【0026】この画分を、実施例1のステップd.と同
様に、100A C18逆相HPLCカラムを用いるC
−18HPLCに付し、流速1.0ml/minで、
0.1%TFA(pH2.2)中、35分間で5%から
40%のアセトニトリルの直線濃度勾配で、230nm
のUV吸収でモニターしながら溶出した。BMP5はア
セトニトリル25.2%の箇所にシングルピークとして
溶出された。この分画を集めて凍結乾燥し、0.16m
gのBMP5を得た。
【0027】実施例6.BMP6の精製 実施例1のステップb.で得られた保持時間48〜5
0.5分の画分を、実施例1のcと同様にTSK−ge
l SP−5PWを用いる陽イオン交換カラムクロマト
グラフィーに付し、流速0.5ml/minで、10m
Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)中、80分間
で0Mから0.80MのNaClの直線濃度勾配で溶出
した。230nmnのUV吸収でモニターしながら分画
し、NaCl濃度490mMで溶出される画分を得た。
【0028】この画分を、実施例1のステップd.と同
様に、100A C18逆相HPLCカラムを用いるC
−18HPLCに付し、流速1.0ml/minで、
0.1%TFA(pH2.2)中、20分間で5%から
40%のアセトニトリルの直線濃度勾配で、230nm
のUV吸収でモニターしながら溶出した。BMP6はア
セトニトリル31.3%の箇所にシングルピークとして
溶出された。この分画を集めて凍結乾燥し、0.16m
gのBMP6を得た。
【0029】実施例7.BMP7の精製 実施例1のステップb.で得られた保持時間42〜4
4.6分の画分を、実施例1のcと同様にTSK−ge
l SP−5PWを用いる陽イオン交換カラムクロマト
グラフィーに付し、流速0.5ml/minで、10m
Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)中、80分間
で0Mから0.80MのNaClの直線濃度勾配で溶出
した。230nmのUV吸収でモニターしながら分画
し、NaCl濃度570mMで溶出される画分を得た。
【0030】この画分を、実施例1のステップd.と同
様に、100A C18逆相HPLCカラムを用いるC
−18HPLCに付し、流速1.0ml/minで、
0.1%TFA(pH2.2)中、20分間で5%から
40%のアセトニトリルの直線濃度勾配で、230nm
のUV吸収でモニターしながら溶出した。BMP7はア
セトニトリル25.2%の箇所にシングルピークとして
溶出された。この分画を集めて凍結乾燥し、60μgの
BMP7を得た。
【0031】実施例8.BMP8の精製 実施例1のステップb.で得られた保持時間48〜5
0.5分の画分を、実施例1のcと同様にTSK−ge
l SP−5PWを用いる陽イオン交換カラムクロマト
グラフィーに付し、流速0.5ml/minで、10m
Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)中、80分間
で0Mから0.80MのNaClの直線濃度勾配で溶出
した。230nmのUV吸収でモニターしながら分画
し、NaCl濃度60mMで溶出される画分を得た。
【0032】この画分を、実施例1のステップd.と同
様に、100A C18逆相HPLCカラムを用いるC
−18HPLCに付し、流速1.0ml/minで、
0.1%TFA(pH2.2)中、20分間で5%から
40%のアセトニトリルの直線濃度勾配で、230nm
のUV吸収でモニターしながら溶出した。BMP8はア
セトニトリル25.5%の箇所にシングルピークとして
溶出された。この分画を集めて凍結乾燥し、80μgの
BMP8を得た。
【0033】実施例9.アミノ酸組成の決定 得られたBMP1〜8をそれぞれ、減圧下封管中に定沸
点6N−HClを用いて110℃,20時間処理して加
水分解し、アミノ酸分析器を用いてアミノ酸組成を測定
した。得られたCys残基を除くアミノ酸組成を、〔表
1〕および〔表2〕に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】実施例10.アミノ酸配列の決定 a.ジスルフィド結合の還元と修飾 BMP1〜5およびBMP7は、20%のn−プロパノ
ールを含む0.5M重炭酸バッファー(pH8.3)
中、ジスルフィド結合に対して5当量のトリブチルホス
フィンと、トリブチルホスフィンに対して2当量の4−
ビニルピリジンを用いて、窒素気流中、37℃で遮光下
に2時間反応させて、Cys残基をS−ピリジルエチル
化(PE化と略記する)した。得られたPE化ペプチド
は、C−18HPLCで精製した。
【0037】BMP6および8は、5M塩酸グアニジン
を含む250mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.6)
中、スルフィド結合に対して60当量のジチオスレイト
ールで窒素気流下に37℃で16時間還元した後、ジチ
オスレイトールに対して1.5当量のヨード酢酸ナトリ
ウムと、室温で20分反応させて、Cys残基をS−カ
ルボキシメチル化(CM化と略記する)した。得られた
CM化ペプチドは、同様にC−18HPLCで精製し
た。
【0038】b.アミノ酸配列の決定 ステップa.で得られたPE化ペプチドおよびCM化ペ
プチドは、島津PSQ10型アミノ酸シーケンサー(島
津製作所)を用いてアミノ酸配列を決定した。その結
果、BMP1は配列番号1のアミノ酸配列で示されるペ
プチド、BMP2は配列番号2のアミノ酸配列におい
て、XaaがLys残基であるペプチド、BMP3は配
列番号2のアミノ酸配列において、XaaがAsn残基
であるペプチド、BMP4は配列番号3のアミノ酸配列
で示されるペプチド、BMP5は配列番号4のアミノ酸
配列で示されるペプチド、BMP7は配列番号6のアミ
ノ酸配列で示されるペプチド、BMP8は配列番号7の
アミノ酸配列で示されるペプチドであることが判明し
た。
【0039】c.ピログルタミン酸アミノペプチダーゼ
処理 しかし、CM化BMP6は通常のエドマン分解に抵抗性
であった。未処理のBMP6の質量値は、MS−MAL
DI−TOFによれば、3750.01Daであり、こ
のデータは、表2に示すアミノ酸組成に6個のCys残
基と3個のジスルフィド結合を仮定して計算した質量
値、3768.3Daより、18Da少なかった。これ
らのデータから、BMP6のN末端はピログルタミル化
されていると想定されたので、ギムネ・ガレゴら(Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 85巻
3329−3333頁,1988年)の方法に従って、
ピログルタミン酸アミノペプチダーゼ処理を行った。
【0040】d.アミノ酸配列の決定 ステップc.で得られた処理ペプチドを、ステップbと
同様に分析し、配列番号5のアミノ酸配列の2番目のア
ミノ酸以下の配列が決定された。これらのことから、B
MP6は配列番号5のアミノ酸配列で示されるペプチド
であることが判明した。
【0041】e.分子量の測定 未処理BMPの分子量は、MS−MALDI−TOFに
より測定した。結果を〔表3〕に示すが、これらの分子
量は、上記で決定されたアミノ酸配列から計算された分
子量と良く一致した。これらのデータは、配列番号1〜
7の配列を支持するものである。
【0042】
【表3】
【0043】実施例11.固相法によるペプチドの合成 BMP4およびBMP7の合成は、それぞれ配列番号3
および配列番号6のアミノ酸配列に従って、パーキン・
エルマー社の全自動ペプチド合成機433A型を用い
て、FastMocTMの固相法により合成した。ペプ
チド樹脂からのペプチドの切り放しと粗ペプチドの脱保
護は、TFA/チオアニソール/1,2−エタンジオー
ル(90/5/5,v/v)混合液を、ペプチド樹脂1
mg当たり10ml加えた後、室温で2.5時間処理す
ることにより行った。反応液を濾過し、濾液にエーテル
を加えてペプチドを沈澱させた後、沈澱をエーテルで3
回洗浄した。次いで得られた沈殿をTFAに再溶解し、
再びエーテルで沈澱させて粗ペプチドを得た。
【0044】得られた粗ペプチドは、蒸留水に1.7m
Mの濃度に溶解し、室温で48時間空気酸化して、分子
内にジスルフィド結合を導入した後、C18−HPLC
で精製した。このステップにおける収率は、BMP4で
12.3%,BMP7で11.4%であった。また、合
成ペプチドは、上記C−18HPLCで、天然品と同一
の保持時間を示し、天然品と同一のアミノ酸組成および
分子量を示した。さらに、合成ペプチドは、天然品と同
一の生理活性を示した。
【0045】評価例1.ネズミに対する毒性試験 本発明のペプチドのネズミに対する毒性は、Marti
nら(J.Biol.Chem.262巻 4452−
4459頁 1987年)の方法に準じて実施した。す
なわち、体重20±3gのC57/B16雄性マウスを
用い、0.1%のウシ血清アルブミン(BSA)を含
む、種々の濃度の試料溶液を5μl/マウスを大脳脳室
内に投与し、神経興奮により惹起される神経毒の症状を
観察した。
【0046】その結果、BMP1,BMP2およびBM
P3は、1μg/マウスの投与量で何ら毒性を示さなか
った。またBMP5は、この投与量で僅かな毒性しか示
さなかった。さらにBMP6およびBMP8は、250
ng/マウスの投与量で何ら毒性を示さなかった。これ
に対して、BMP4およびBMP7は、30ng/マウ
スの投与量で、神経興奮症状と致死活性を示し、これら
のペプチドの毒性は、先に本発明者らによって報告され
たKTX(R.Romiら,J.Biol.Chem.
文献前出)の毒性とほぼ同様であった。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、配列番号1〜7で示さ
れるペプチドを、サソリ毒素関連ペプチドとして提供す
ることができる。これらのペプチドは、既知サソリ毒素
ペプチドとの相同性から、種々のKチャンネルに作用
するものと考えられる。また、本発明のペプチドには、
毒性を殆ど示さないものもあり、このことは、Kチャ
ンネルに対する活性と、致死毒性とを分離できる可能性
を示唆するものである。即ち、本発明は、サソリ毒素関
連ペプチドの神経生理学領域における生化学試薬として
の用途に加えて、医薬、動物薬としての用途を強く示唆
するものであり、サソリ毒素関連ペプチドの応用の糸口
となるものである。
【配列表】
【0048】配列番号:1 配列の長さ:29 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 起源: 生物名:中国産サソリ(Buthus martens
i) 配列:
【0049】配列番号:2 配列の長さ:28 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 起源: 生物名:中国産サソリ(Buthus martens
i) 配列の特徴: 他の特徴:XaaはLysまたはAsnを示す 存在位置:16 特徴を決定した方法:E 配列:
【0050】配列番号:3 配列の長さ:31 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 起源: 生物名:中国産サソリ(Buthus martens
i) 配列:
【0051】配列番号:4 配列の長さ:31 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 起源: 生物名:中国産サソリ(Buthus martens
i) 配列:
【0052】配列番号:5 配列の長さ:37 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 起源: 生物名:中国産サソリ(Buthus martens
i) 配列の特徴: 他の特徴:N末端のピログルタミル化 存在位置:1 特徴を決定した方法:E 配列:
【0053】配列番号:6 配列の長さ:37 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 起源: 生物名:中国産サソリ(Buthus martens
i) 配列:
【0054】配列番号:7 配列の長さ:38 配列の型:アミノ酸 配列の種類:ペプチド 起源: 生物名:中国産サソリ(Buthus martens
i) 配列:
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中嶋 暉躬 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 財団法人サントリー生物有機科学研究所 内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号1のアミノ酸配列で示され、分子
    内に3個以内のジスルフィド結合を有するペプチド
  2. 【請求項2】配列番号2のアミノ酸配列で示され、分子
    内に3個以内のジスルフィド結合を有するペプチド
  3. 【請求項3】配列番号3のアミノ酸配列で示され、分子
    内に3個以内のジスルフィド結合を有するペプチド
  4. 【請求項4】配列番号4のアミノ酸配列で示され、分子
    内に3個以内のジスルフィド結合を有するペプチド
  5. 【請求項5】配列番号5のアミノ酸配列で示され、分子
    内に3個以内のジスルフィド結合を有するペプチド
  6. 【請求項6】配列番号6のアミノ酸配列で示され、分子
    内に3個以内のジスルフィド結合を有するペプチド
  7. 【請求項7】配列番号7のアミノ酸配列で示され、分子
    内に3個以内のジスルフィド結合を有するペプチド
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2769226A1 (fr) * 1997-10-06 1999-04-09 Centre Nat Rech Scient Utilisation des bloqueurs des canaux potassium dans le traitement des maladies neurologiques
CN107501403A (zh) * 2017-10-09 2017-12-22 南京图艾生物医药科技有限公司 一种蝎毒素的提取和纯化工艺
CN108552118A (zh) * 2018-03-26 2018-09-21 商丘豫商智能机器人科技有限公司 一种蝎子提毒机

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CN108552118A (zh) * 2018-03-26 2018-09-21 商丘豫商智能机器人科技有限公司 一种蝎子提毒机
CN108552118B (zh) * 2018-03-26 2021-09-14 商丘豫商智能机器人科技有限公司 一种蝎子提毒机

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