JPH09278521A - セラミックス複合体 - Google Patents

セラミックス複合体

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JPH09278521A
JPH09278521A JP8085202A JP8520296A JPH09278521A JP H09278521 A JPH09278521 A JP H09278521A JP 8085202 A JP8085202 A JP 8085202A JP 8520296 A JP8520296 A JP 8520296A JP H09278521 A JPH09278521 A JP H09278521A
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JP
Japan
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rebo
oxide
ceramic composite
rebo4
rare earth
Prior art date
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Pending
Application number
JP8085202A
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English (en)
Inventor
Toru Nagai
井 徹 永
Hiroshi Kubo
保 紘 久
Koichi Niihara
原 晧 一 新
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 破壊靭性が高く構造部材としての用途に適
し、機械的振動や音の吸収特性に優れた防振・防音材料
を提供する。 【解決手段】 一般式ReBO4 (ReはSc,Yまた
はランタノイド系列の希土類元素、BはNbまたはT
a)で表されるゴム状弾性を示す酸化物を、Al23
およびZrO2 の一種以上のセラミックスと複合させた
バルク状セラミックス複合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼結体組織にRe
BO4 系酸化物相(ReはSc,Y,またはランタノイ
ド系列の希土類元素、BはNbまたはTa)を含む、セ
ラミックス複合材料に関するものである。本発明のセラ
ミックス複合材料は、破壊靭性が高く、構造部材として
の用途に好適である他、機械的振動や音の吸収特性に優
れ、防振、防音材料などとしても適用可能である。
【0002】
【従来の技術】一般式ReBO4 (ReはSc,Y,ま
たはランタノイド系列の希土類元素、BはNbまたはT
a)で表される酸化物は、室温付近で双晶構造を伴うマ
ルテンサイト相になっていることが知られている。この
マルテンサイト相への相転移温度は、Reで表される3
価の希土類イオンの組み合わせ、およびBで表される5
価のイオンの組み合わせで変化させることが出来る。
【0003】またこのReBO4 で表される酸化物のう
ち、LaNbO4 、NdNbO4 については、単結晶を
用いた研究により、これらのマルテンサイト相は、外部
からの応力負荷により双晶壁を移動して最大5%もの変
形をすると共に、応力を外すと元の形状に戻る、いわゆ
るゴム状弾性(Rubber-like Behaviour )の特性を示す
ことおよびその応力−歪み曲線が大きなヒステリシスを
描くことが知られている(S.Tsunekawa ; Sci.Rep.Rese
arch Institutes Tohoku Univ., A30 [1] 1 (1981))。
前記ReBO4 酸化物については、以上で述べたような
学問的研究が、主に単結晶を用いて行われてきただけ
で、これまで実用に供された例はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
ようなゴム状弾性を有する材料は、材料の破壊に際して
進展するクラック先端付近の応力を、結晶の変形によっ
て緩和可能であり、これを構造材料として用いたなら
ば、高い破壊靭性を示すのではないかと考えた。また、
本発明者らは、ゴム状弾性に伴う応力−歪み曲線のヒス
テリシス挙動によって、機械的振動を熱に変換して吸収
してしまう、いわゆる防振特性の大きな材料としても利
用できることに着目した。
【0005】しかし、ReBO4 酸化物を構造材料など
として用いるには、従来の学問的研究で用いられてきた
単結晶ではなく、安価に大型のバルク体が得られるセラ
ミックスにすることが不可欠である。そこで本発明者ら
は、まずReBO4 酸化物の単体で、バルク焼結体を得
ることを試みた。その結果、ReBO4 酸化物を単体で
焼結しても、実用的な強度を有するセラミックスを作成
することが難しいという技術的困難に直面した。
【0006】すなわち、例えばLaNbO4 の仮焼粉を
合成し、これを常圧法で焼成しても、緻密な焼結体を得
ることは出来なかった。またホットプレス法で焼成を行
うと、密度97%以上の緻密な焼結体が得られるが、こ
の焼結体は強度が大変低く、強度測定用の試料を作成す
るための加工を行うことすら困難であり、実用に供する
事は出来なかった。
【0007】以上述べたように、これまで緻密で良好な
機械的特性を有するReBO4 (ReはSc,Y,また
はランタノイド系列の希土類元素、BはNbまたはT
a)で表される酸化物の焼結体を作成することが困難で
あり、ReBO4 系酸化物の有するゴム状弾性を、構造
用セラミックス材料の分野で利用するという着想は、実
施不可能であった。
【0008】本発明の目的は、一般式ReBO4 で表さ
れる酸化物相を含有する緻密で機械的特性に優れる材料
を提供し、ReBO4 系酸化物のゴム状弾性を利用可能
にすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ReBO
4 系酸化物(ReはSc,Y,またはランタノイド系列
の希土類元素、BはNbまたはTa)を単体で焼結して
利用する以外に、この材料を含む複合体を合成すること
ができたならば、ReBO4 系酸化物のゴム状弾性が利
用可能になる事に気が付いた。
【0010】ReBO4 系酸化物が分散された複合材料
は、分散粒子のゴム状弾性を利用する、全く新しい強靭
化機構が施されることとなる。また、防振特性のよう
に、より大きなゴム状弾性を必要とする場合において
も、ReBO4 を他のセラミックス相との複合体にして
強化することにより、緻密で、良好な機械的強度を有す
る材料ができる。
【0011】この材料設計を実現するためには、焼結
過程でReBO4 と反応しない、機械的特性に優れて
いる、ReBO4 との界面(結晶粒界)が、ReBO
4 とセラミックス相の熱膨張差に起因する熱応力に耐え
るだけ強固である、という3つの条件を満たす、複合化
するための相手材料を見い出すことが不可欠であった。
【0012】この着想に基づき鋭意研究を進めた結果、
本発明者らは、実際に上記〜のセラミックス相の条
件を満たす材料として、α−Al2 3 とZrO2 を見
い出した。これらのセラミックス相との複合化により、
ReBO4 を含んでおり、かつ曲げ強度が80MPa以
上であり、実用材料として利用可能な複合体を作成する
ことが可能となった。さらにReBO4 の割合と特性の
関係や、複合体を製造するプロセスについても検討を加
え、本発明を完成させるに至った。
【0013】本発明は、下記の通りものである。 (1) 一般式ReBO4 (ReはSc,Y,またはラ
ンタノイド系列の希土類元素、BはNbまたはTa)で
表される酸化物と、残部がα−Al2 3 またはZrO
2 のどちらか一方又は両方とからなることを特徴とす
る、セラミック複合体。 (2) 前記ReBO4 で表される酸化物を、体積%
で、50.0%以上、50.0%以下含み、応力拡大係
数が3.5以上であることを特徴とする、前項(1)に
記載のセラミック複合体。 (3) 前記ReBO4 で表される酸化物を、体積%
で、50.0%以上、90.0%以下含み、機械的振動
の吸収に優れた、前項(1)に記載のセラミック複合
体。
【0014】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
のセラミック複合体は、マルテンサイト相のゴム状弾性
を利用する、全く新しいメカニズムによって優れた機械
的特性が付与されている事が特徴である。複合材料にお
ける、第2相分散による力学的特性の改善については、
従来、例えば正方晶ジルコニアを分散させて変態強化す
る方法が知られている。この従来方法と比較しても、マ
ルテンサイト相のゴム状弾性を利用する方法は、従来法
で問題となってきたジルコニア正方晶の相安定性の制御
が不要という利点を有する。さらにジルコニアでは正方
晶が環境要因などによって単斜晶に変態してしまう、い
わゆる材料劣化の問題があるが、本発明はマルテンサイ
ト相そのものの特性を利用することから、このような問
題は生じず、より容易に利用できる優れた材料強化手法
である。
【0015】
【発明の実施の形態】一般式ReBO4 においてRe
は、Sc,Y,またはランタノイド系列の希土類元素の
1種または複数種を組み合わせて用いることが出来る。
より大きな靭性向上の効果と機械的振動の減衰効果を得
るためには、Reの50%以上がLa、NdまたはYで
あることが望ましい。またBは、NbおよびTaをそれ
ぞれ単独、または任意の割合で組み合わせて用いること
が出来る。
【0016】一般式ReBO4 で表わされる酸化物とし
て具体的には、La(Nb,Ta)O4 、Nd(Nb,
Ta)O4 、Y(Nb,Ta)O4 、(La,Re)N
bO4 、(Nd,Re)NbO4 、(Y,Re)NbO
4 などの酸化物を用いることができる。
【0017】本発明のセラミック複合体の製造方法につ
いて以下に述べる。まず、ReBO4 の出発原料として
Sc,Y,またはランタノイド系列の希土類酸化物やア
ルコキシドまたは硝酸塩と、NbまたはTaの酸化物ま
たはアルコキシドなどを用いることが出来る。これらの
原料を混合した後、ReBO4 を合成するために熱処理
を行う。
【0018】原料の混合方法については特に限定しない
が、粉体を原料に用いる場合、ポールミルや振動ミルな
どのセラミックスの混合に用いられる通常の方法が利用
できる。ReBO4 の合成温度は600℃以上1500
℃以下の温度が望ましい。600℃以下の温度では反応
の進行が不十分であり、1500℃以上の温度ではRe
BO4 以外の相が生成してしまうためである。また熱処
理時間は、ReBO4の生成反応を十分進行させるため
に、30分以上行うことが望ましい。
【0019】本発明で用いるReBO4 を得る手段は、
上述の方法に限定されない。例えば、共沈法やアルコキ
シド法などによって得られたReBO4 の前駆体も、本
発明で用いることができる。
【0020】以上のようにして得られたReBO4 を、
α−Al2 3 またはZrO2 の原料と混合し、成形、
焼成して複合体を作製する。α−Al2 3 の原料とし
ては、アルミニウムのアルコキシド、水酸化物、または
酸化物などが利用可能である。またZrO2 の原料とし
ては、ジルコニウムのアルコキシドや酸化物を用いるこ
とが出来る。
【0021】特に構造用材料として強靭性が求められる
用途には、ReBO4 で表される酸化物は体積%で、
5.0%以上50.0%以下である事が望ましい。また
ゴム状弾性の特徴、例えば機械的振動の減衰特性を利用
したい場合には、ReBO4 で表される酸化物は体積%
で、50.0%以上90.0%以下であることが望まし
い。ReBO4 で表される酸化物が5.0体積%未満で
あると、ReBO4 を複合化する事による機械的特性の
向上効果が得られ難くなり、また90.0体積%を超え
ると複合体の強度の低下が著しくなるからである。
【0022】成形は、一軸プレス成形などを用いればよ
いが、冷間静水圧プレス(CIP)成形を用いると、よ
り均一な成形体を得ることが出来る。
【0023】焼成は、常圧法で行っても良いし、より短
時間で緻密焼結体が得られるホットプレス法などの加圧
焼成法を用いても良い。本発明で望ましい焼成温度は、
1000℃以上1600℃以下の範囲である。これより
低温で焼成を行っても、十分緻密な焼結体が得られな
い。またこれよりも高温で焼成を行うと、焼結体の組織
にReBO4 酸化物とα−Al2 3 またはZrO2
外の相が生成してしまう。また緻密な焼結体を得るため
には、焼成時間を10分以上にすることが望ましい。
【0024】
【実施例】以下に、本発明を試験1と試験2によりさら
に説明する。試験1 試験1ではReBO4 がLaNbO4 であり、表1に示
す試料番号1〜8および26〜33の試料について試験
を行った。まず、原料として高純度のLa2 3 とNb
2 5 を用い、これらが等モルになるように秤量してメ
タノール中でボールミルにて16時間湿式混合した。こ
れをロータリーエバポレーターによって乾燥し、大気中
で1000℃にて4時間熱処理してLaNbO4 仮焼粉
を得た。次にLaNbO4 仮焼粉をメタノール中で振動
ミルにて粉砕、乾燥した。このLaNbO4 の粉砕粉が
所定の体積%になるように、Al2 3 、ZrO2 また
はSi3 4 の粉と秤量し、メタノール中でボールミル
混合し、乾燥した。得られた混合粉を所定の焼成温度、
時間でそれぞれ400kgf/cm2 の加圧を行いなが
ら、窒素雰囲気中にてホットプレス焼成した。
【0025】表1に示す各種の合成条件により得られた
焼結体について、相対密度を測定し、また、焼成による
LaNbO4 とセラミックス相の反応の有無を、焼結体
のX線回折測定により調べた。また、焼結体の応力拡大
係数K1cをビッカース圧子法により、下記の式を用い
て計算した。その結果を、表1に示す。 K1c=0.203×Hv×a0.5 ×(c/a)-1.5 ここで、Hvはビッカース硬度、aは圧痕の対角線の半
分の長さ、cはクラックの半径である。
【0026】さらに、複合体の機械的振動の吸収を超音
波パルスエコー法で調べた。超音波パルスのエコーがほ
とんど観測されないもの、即ち機械的振動の吸収能が大
きい材料をA、超音波パルスのエコーが容易に観測され
たものをBとして、表1に併記する。以上述べた指標を
総合的に評価した結果を、表1に併記する。評価が良で
あるものを○、否であるものを×として示した。評価が
良で本発明例のものは試料番号1〜8、評価が否で比較
例のものは試料番号26〜33である。
【0027】試験2 試験2ではReBO4 がNdNbO4 、NdTaO4
YNbO4 およびYTaO4 であり、表1に示す試料番
号9〜25および34〜37の試料について試験を行っ
た。まず、原料として高純度のNd2 3 、Y2 3
Nb2 5 、Ta2 5 を用い、それぞれ所定量を秤量
してメタノール中でボールミルにて16時間湿式混合し
た。これをロータリーエバポレータによって乾燥し、大
気中で所定条件で熱処理した。次に粉砕した仮焼粉が所
定の体積%になるように高純度のAl2 3またはZr
2 の粉と秤量し、混合、乾燥、粉砕した。得られた各
種混合粉を所定の焼成温度、時間で、それぞれ400k
gf/cm2 の加圧を行いながら、窒素雰囲気中にてホ
ットプレス焼成した。
【0028】各種の合成条件により得られた焼結体につ
いて、試験1と同様、相対密度、セラミックス相との反
応の有無、応力拡大係数Klc、機械的振動の吸収能を
それぞれ測定した。その結果を、表1に併記する。評価
が良である本発明例のものは試料番号9〜25、評価が
否である比較例のものは試料番号34〜37である。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】本発明によって、ReBO4 系酸化物
(ReはSc,Y,またはランタノイド系列の希土類元
素、BはNbまたはTa)を含有する緻密で機械的特性
に優れる材料が安価に製造可能となった。本発明によっ
て、ReBO4 系酸化物のゴム状弾性を利用することが
初めて可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新 原 晧 一 大阪府吹田市山田東3丁目18番1−608

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式ReBO4 で表される酸化物を含
    み、残部がα−Al2 3 およびZrO2 のうち1種以
    上であることを特徴とする、セラミック複合体。ただ
    し、ReはSc,Y,またはランタノイド系列の希土類
    元素、BはNbまたはTa。
  2. 【請求項2】一般式ReBO4 で表される酸化物を、体
    積%で、5.0%以上50.0%以下含み、応力拡大係
    数が3.5以上であることを特徴とする、請求項1に記
    載のセラミック複合体。
  3. 【請求項3】一般式ReBO4 で表される酸化物を、体
    積%で、50.0%以上90.0%以下含むことを特徴
    とする機械的振動の吸収に優れた、請求項1に記載のセ
    ラミック複合体。
JP8085202A 1996-04-08 1996-04-08 セラミックス複合体 Pending JPH09278521A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007223828A (ja) * 2006-02-22 2007-09-06 Toshiba Ceramics Co Ltd イットリアセラミックス焼結体およびその製造方法
US8426077B2 (en) 2004-12-23 2013-04-23 Universitetet I Oslo Proton conductors
JP2022531868A (ja) * 2019-06-18 2022-07-12 昆明理工大学 ハイエントロピー希土類高靭性タンタル酸塩セラミックス及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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