JPH09276291A - 内視鏡用洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は簡単な構成からなる簡易な装置で、か
つ簡便な作業により内視鏡の洗浄を確実に行うことがで
きる内視鏡用洗浄装置を提供することにある。 【解決手段】本発明は、内視鏡２を洗浄する装置におい
て、洗浄用液体を入れる洗浄槽１１と、この洗浄槽１１
内に入れた洗浄用液体中に内視鏡２の本体を浸漬させた
状態で内視鏡２の挿入部４の先端を下側へ向けて前記内
視鏡２を吊持する掛止具１３を具備し、液中で発泡作用
を奏する洗浄薬剤２１を前記洗浄槽１１内の液体に投与
し、その薬剤２１の溶解による発泡作用にて前記内視鏡
２を洗浄する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内視鏡を洗浄する
内視鏡用洗浄装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】特開平６−６３０１２号公報には内視鏡
を洗浄する内視鏡用洗浄装置が示されている。従来の内
視鏡用洗浄装置にあっては、超音波洗浄機構と気抱を発
生させる機構を備えて、それらを交互に作用させること
によって、内視鏡本体を洗浄するものとなっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来の内視鏡専用の洗浄装置は複雑で大がかりな構造で
あり、かつ高額な装置となるものであった。一方、ここ
で挙げたような内視鏡専用の洗浄装置を使用しないで、
検査に使用した後の内視鏡を洗浄するとした場合には多
数かつ複雑な作業工程が必要となり、その内視鏡の洗浄
を行う作業者の手間が煩雑で多大な労力を費やさなけれ
ばならないという問題があった。

【０００４】本発明は前記課題に着目してなされたもの
で、その目的とするところは簡単な構成からなる簡易な
装置で、かつ簡便な作業により内視鏡の洗浄を確実に行
うことができる内視鏡用洗浄装置を提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、内視鏡を洗浄
する装置において、洗浄用液体を入れる洗浄槽と、この
洗浄槽内に入れた洗浄用液体中に内視鏡本体を浸漬させ
た状態で内視鏡の先端を下側へ向けて前記内視鏡を設置
する内視鏡設置手段を具備し、液中で発泡作用を呈する
洗浄薬剤を前記洗浄槽内の液体に投与し、その薬剤の溶
解による発泡作用にて前記内視鏡を洗浄することを特徴
とするようにしたものである。洗浄薬剤の発泡によって
の直接的な内視鏡本体の洗浄作用と、洗浄薬剤により、
洗浄槽内の洗浄液を循環させる作用を奏する。

【０００６】

【発明の実施の形態】

＜第１実施形態＞図１ないし図４を参照して、本発明の
第１実施形態を説明する。 （構成）図１は内視鏡用洗浄装置１の全体を概略的に示
す斜視図であり、この洗浄装置１には洗浄対象の内視鏡
２を収容した状態を示している。内視鏡２の本体は操作
部３、長尺な挿入部４及びユニバーサルコード（光源装
置との接続管）５を備える。また、内視鏡２の本体には
図示しないが、送気、送水、吸引や処置具挿通を行う等
の各種のチャンネル（管路）が設けられている。また、
操作部３には吸引ボタン６、送気送水ボタン７、及び鉗
子栓８が取り付けられているが、図３に示すように、そ
れらを取り外すと、そこでのチャンネル端を開放させる
ことができる。また、ユニバーサルコード５のコネクタ
ー９にはこれに装着する防水キャップ１０が用意されて
いる。

【０００７】前記内視鏡洗浄装置１は内視鏡２の本体を
収容する容積を有した縦長の洗浄槽１１を形成した洗浄
容器１２を備える。洗浄槽１１内には洗浄用液体中に内
視鏡２の本体を浸漬させた状態で内視鏡２を設置する内
視鏡設置手段が設けられている。内視鏡設置手段として
この実施形態では次のように構成されている。

【０００８】つまり、洗浄槽１１内の比較的上部位置に
は前記内視鏡２の本体を吊持するための掛止具１３が設
けられている。この掛止具１３は洗浄槽１１内を横切っ
て水平に架設された棒状のハンガー部材からなり、これ
にユニバーサルコード５の根元の部分を掛けさせるよう
になっている。そして、内視鏡２の本体の挿入部４及び
ユニバーサルコード５を鉛直な状態にて吊るすように保
持する内視鏡係止手段を構成している。

【０００９】また、洗浄槽１１はその槽内に洗浄用液体
の水を供給する給水管１５を接続する給水口１６と、洗
浄槽１１内の洗浄用液体を排水するための排水管１７を
接続する排水口１８を備える。そして、洗浄槽１１の上
部から給水し、洗浄槽１１の底部から排水できるように
なっている。給水管１５と排水管１７にはそれぞれの給
水と排水の操作を行うコック１９，２０が設けられてい
る。

【００１０】一方、洗浄槽１１の底部には内視鏡２の本
体を洗浄するときに使用する洗浄薬剤２１が洗浄槽１１
内に投与することにより設置される。洗浄槽１１の底部
は洗浄薬剤２１を配設する薬剤設置部分を形成してい
る。洗浄薬剤２１は図３（ａ）に示すような錠剤の形態
からなるものであり、この洗浄薬剤は炭酸水素塩、例え
ば炭酸水素カルシウム．炭酸水素ナトリウムから成る成
分を含んで成るものであり、水中で溶解して発泡作用を
呈する。また、洗浄薬剤２１にタンパク質を分解する酵
素を含ませてもよい。

【００１１】なお、前記洗浄薬剤２１は図２（ｂ）に示
すようような顆粒状の粉体であってよい。また、洗浄槽
１１の内壁には内視鏡２から取り外した吸引ボタン６、
送気送水ボタン７及び鉗子栓８等を設置するポケットを
設けてもよい。

【００１２】（作用）検査を終了し、患者の体腔内から
抜去した内視鏡２の本体を、図示しない光源装置と、ビ
デオプロセッサーから取り外し、また図３に示すよう
に、内視鏡２の本体に装着される吸引ボタン６、送気送
水ボタン７、及び鉗子栓８、さらには先端フードを取り
外す。また、コネクター９には防水キャップ１０を取り
付け、内視鏡２の本体の内部が気密状態になるようにす
る。

【００１３】そして、この内視鏡本体２を、前記洗浄槽
１１内に備わる係止具１３に、内視鏡２のユニバーサル
コード５の手元部分の接続部分が引っ掛かるよう設置
し、内視鏡２の挿入部４とユニバーサルコード５が洗浄
槽１１内に鉛直な状態で吊る。

【００１４】その後、洗浄槽１１内に給水管１５から清
浄水あるいは水道水を、内視鏡２の本体の全体が浸漬さ
れる状態になるまで注水する。また、予め洗浄槽１１内
に清浄水あるいは水道水を蓄えておいてから内視鏡２を
設置してもよい。

【００１５】内視鏡２の本体全体を水に浸潰させた後、
洗浄薬剤２１を水中に投入する。投入された洗浄薬剤２
１は、洗浄槽１１内の底部に沈み落ち、また同時に炭酸
水素塩成分と水との化学反応によって二酸化炭素ガスを
発生し、発泡を始める。さらに、洗浄薬剤２１に含まれ
るタンパク質分解酵素は水中に溶出していき、また、洗
浄槽１１内での発泡作用により水と共に洗浄槽１１内を
循環する。

【００１６】この発泡による直接的な洗浄作用に加え
て、その発泡による水の循環作用と、タンパク質分解酵
素の化学的作用により、内視鏡２の本体の外表面に付着
する汚物等が除去されていく。また、内視鏡２の挿入部
４とユニバーサルコード５が洗浄槽１１内に鉛直な状態
でつるされる図１に示す状態で洗浄されるから特に内視
鏡２の挿入部４の先端２５に備わる対物レンズ２６、照
明レンズ２７あるいはノズル２８の周辺の微少な凹凸
や、湾曲部に被覆される湾曲部被覆ゴム２９を固定する
湾曲部被覆ゴム接着部３０の周辺の微細な凹凸部に付着
する汚物は洗浄薬剤２１の作用により確実に除去され
る。

【００１７】また、図示されないが、洗浄液中に浸漬さ
れる、例えば内視鏡２の操作部３にある様々な凹凸部に
おいても、前記タンパク質分解酵素と二酸化炭素ガスの
発泡作用によって洗浄できる作用効果もある。さらに、
本実施形態では図４に示す内視鏡２の先端２５における
チャンネル開口部３１あるいはノズル２８の開口部から
洗浄液が循環していき、チャンネル等の管路内の洗浄作
用も有する。

【００１８】この状態にて所定の時間で洗浄を行った
後、排水口１８のコック２０を開き、排水管１７を通じ
て洗浄槽１１内の洗浄液を排出する。なお、これで内視
鏡２の本体の洗浄作業は終了するが、この後に内視鏡２
の本体が設置される、この洗浄槽１１を用いて、洗浄槽
１１内に消毒液を注入し、前記内視鏡２の本体の消毒作
業をも行うことが考えられる。また、この消毒作業を行
った後には、再度、清浄水、あるいは水道水を洗浄槽１
１内に注入し、消毒液のすすぎを行うことになる。

【００１９】（効果）以上説明した本実施形態の構成に
より、煩わしい作業工程を有さず、また、簡単な装置を
用いることによって、内視鏡２の本体の洗浄作業が確実
に行うことができる。

【００２０】＜第２実施形態＞図５を参照して、本発明
の第２実施形態を説明する。 （構成）この第２実施形態のものは、前述の第１実施形
態にて説明した内視鏡用洗浄装置１に加え、管路内送液
チューブ４１を設けたものである。管路内送液チューブ
４１の−端側は複数に分岐し、分岐管４１ａのそれぞれ
が内視鏡２の本体に備わる各管路に連通するように接続
されている。管路内送液チューブ４１の他端には洗浄液
吸入部４２が設けられ、この洗浄液吸入部４２は洗浄槽
１１内の洗浄液中に浸漬させて配置されるように設けら
れる。

【００２１】前記管路内送液チューブ４１の中間部には
洗浄槽１１の外部に設けられるローラーポンプ４３につ
なげられ、前記管路内送液チューブ４１内の液体を送液
できるように構成されている。

【００２２】（作用）前述の第１の実施形態と同様に、
検査を終了した内視鏡２の本体を洗浄槽１１内に設置
し、その後、管路内送液チューブ４１を内視鏡２の本体
に接続する。その後、清浄水または水道水を洗浄槽１１
内に満たすと共に、洗浄槽１１内に洗浄薬剤２１を投入
する。

【００２３】この内視鏡２の本体を洗浄している間に、
ローラーポンプ４３を駆動させ、洗浄槽１１内の洗浄液
を、内視鏡２の本体内の管路に送液還流する。このこと
によりタンパク質分解酵素、及び二酸化炭素ガスを含ん
だ洗浄液が内視鏡２の本体内の管路内に強制的に送液さ
れ、内視鏡２の管路内を洗浄することができる。

【００２４】（効果）以上の第２実施形態の構成によ
り、前述した第１実施形態で説明した効果に加えて、内
視鏡２の本体に備わる管路内の洗浄も確実に行うことが
できる。また、ここで説明した管路内送液チューブ４１
において、洗浄液吸入部４２の内部に、洗浄薬剤２１を
予め収容できる収容部を設け、前記洗浄時の内視鏡２の
本体の管路に、洗浄液吸入部４２内で発泡された洗浄液
が送られるようにしてもよい。

【００２５】なお、ここではローラーポンプ４３を用い
ることによつて、内視鏡２に備わる管路内ヘの洗浄液の
送液を説明したが、これに限らず、管路送液チューブ４
１の中間部に、シリンジの取付口金と、これによる洗浄
液の吸入及び送液ができるように逆止弁を設け、内視鏡
２の本体の管路内への送液を、シリンジ操作によるもの
とすることも考えられる。

【００２６】さらに、ローラーポンプ等のように液体を
送液駆動させる手段を用いて、洗浄槽内の洗浄液を強制
的に対流させたり攪拌させて、発泡、及び酵素によるタ
ンパク質の分解除去をより有効に作用させること等も考
えられる。

【００２７】（変形例）図６に示すように、洗浄槽１１
内の底部がテーパー状に形成され、そのテーパー部の凹
部の最も深い位置のところを前記洗浄薬剤２１を配設す
る薬剤設置部分４５とする。薬剤設置部分４５の位置は
鉛直に吊るされる内視鏡２の本体の挿入部４の先端面に
対向し、そして、洗浄時に投入された薬剤２１が前記凹
部の薬剤設置部分４５に位置して発泡するようにする。
この構成によれば、内視鏡２の挿入部４の先端面を中心
に有効的に洗浄させることができる。

【００２８】また、図７に示すように、内視鏡２の本体
の細長い長尺な挿入部４及びユニバーサルコード５を丸
めて、これらを掛止し、少なくとも挿入部３の先端面部
分が洗浄槽１１の底部に向けられるよう設置できる別の
掛止手段４４を設ける構成とした洗浄槽１１の形態も考
えられ、この場合には図８に示すように、内視鏡２の本
体を洗浄槽１１の前面から設置できるようにするために
洗浄槽１１の洗浄容器１２の前面壁に、水密的に開閉す
る扉４６を設けることや、薬剤投入のための投入口４７
を洗浄槽１１の上面に設けることなどが考えられ、この
ことによって、コンパクトな洗浄装置を構成することが
可能となる。

【００２９】［付記］ １．内視鏡を洗浄する装置において、洗浄用液体を入れ
る洗浄槽と、この洗浄槽内に入れた洗浄用液体中に内視
鏡本体を浸漬させた状態で内視鏡を設置する内視鏡設置
手段を具備し、液中で発泡作用を呈する洗浄薬剤を前記
洗浄槽内の液体に添加してその薬剤の溶解による発泡作
用にて前記内視鏡を洗浄することを特徴とする内視鏡用
洗浄装置。 ２．前記発泡用洗浄薬剤は、炭酸水素塩を含むことを特
徴とする第１項に記載の内視鏡用洗浄装置。 ３．前記発泡用洗浄薬剤は、タンパク質分解作用を有す
る酵素を含むことを特徴とする第１，２項に記載の内視
鏡用洗浄装置。 ４．前記内視鏡設置手段は、内視鏡本体の挿入部の先端
を下側へ向けて内視鏡を吊持し、洗浄槽内に入れた洗浄
用液体中に、内視鏡本体の挿入部全体を略鉛直な状態で
浸漬させることを特徴とする第１項に記載の内視鏡用洗
浄装置。 ５．前記内視鏡設置手段は、内視鏡本体の操作部を掛止
する掛止手段を有し、内視鏡本体の挿入部及びユニバー
サルコードを垂下して略鉛直な状態で、洗浄用液体に浸
漬させて設置することを特徴とする第４項に記載の内視
鏡用洗浄装置。 ６．前記洗浄槽は、内視鏡の内視鏡本体に備わる挿入部
及び光源装置との接続管とを直線状態にて収容すること
ができる細長い槽であることを特徴とする第１項に記載
の内視鏡用洗浄装置。 ７．前記洗浄槽の底部に、前記発泡用洗浄用薬剤を配設
する薬剤設置部分が形成されることを特徴とする第１項
に記載の内視鏡用洗浄装置。 ８．前記洗浄薬剤を配設する薬剤設置部分は前記洗浄槽
に鉛直に設置される内視鏡本体の挿入部の先端面に対向
する位置に設けたことを特徴とする第７項に記載の内視
鏡用洗浄装置。 ９．前記洗浄槽の底部は、前記洗浄薬剤を配設する薬剤
設置部分の底部周辺がテーパー形状に広がり、前記薬剤
設置部分を底部としたテーパー形状に形成したことを特
徴とする第７，８項に記載の内視鏡用洗浄装置。 １０．前記洗浄槽内の洗浄用液体に強制対流を発生させ
る対流手段を設けたことを特徴とする第１項に記載の内
視鏡用洗浄装置。 １１．前記対流手段は内視鏡の備わる管路内に送液する
手段を備えることを特徴とする第１項に記載の内視鏡用
洗浄装置。 １２．前記内視鏡の内視鏡本体に備わる管路内に送液す
る手段の液体吸入部に前記発泡用薬剤を収容する手段を
設けたことを特徴とする第１項に記載の内視鏡用洗浄装
置。 １３．前記対流手段は洗浄槽内の液体を循環させるポン
プであることを特徴とする第１項に記載の内視鏡用洗浄
装置。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、内
視鏡の本体を液体に浸漬させ、発泡作用を有した洗浄薬
剤の作用により、内視鏡を洗浄するものとすることで、
簡単な作業で、内視鏡の微小な部分に至るまで確実な洗
浄が行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施形態に係る内視鏡用洗浄装置の全体を
概略的に示す斜視図。

【図２】（ａ）（ｂ）はそれぞれ洗浄薬剤の説明図。

【図３】内視鏡の斜視図。

【図４】前記内視鏡の先端部の斜視図。

【図５】第２実施形態に係る内視鏡用洗浄装置を概略的
に示す正面図。

【図６】変形例の内視鏡用洗浄装置を概略的に示す正面
図。

【図７】他の変形例の内視鏡用洗浄装置を概略的に示す
正面図。

【図８】その他の変形例の内視鏡用洗浄装置の斜視図。

【符号の説明】

１…内視鏡用洗浄装置、２…内視鏡、３…操作部、４…
挿入部、５…ユニバーサルコード、１１…洗浄槽、１２
…洗浄容器、１３…掛止具、１５…給水管、１７…排水
管、２１…洗浄薬剤。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内視鏡を洗浄する装置において、洗浄用液
   体を入れる洗浄槽と、この洗浄槽内に入れた洗浄用液体
   中に内視鏡本体を浸漬させた状態で内視鏡の先端を下側
   へ向けて前記内視鏡を設置する内視鏡設置手段を具備
   し、液中で発泡作用を呈する洗浄薬剤を前記洗浄槽内の
   液体に投与し、その薬剤の溶解による発泡作用にて前記
   内視鏡を洗浄することを特徴とする内視鏡用洗浄装置。