JPH09275973A - 微生物用培地 - Google Patents

微生物用培地

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JPH09275973A
JPH09275973A JP9067396A JP9067396A JPH09275973A JP H09275973 A JPH09275973 A JP H09275973A JP 9067396 A JP9067396 A JP 9067396A JP 9067396 A JP9067396 A JP 9067396A JP H09275973 A JPH09275973 A JP H09275973A
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agar
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JP9067396A
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Hiroko Iwata
央子 岩田
Noriko Kanehara
則子 金原
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Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Suzuki Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 培地中に多量のリン酸を含有しているにも関
わらず、高圧蒸気滅菌処理をしても、変色することがな
い微生物用培地を作成する。 【解決手段】 ゲランガムを0.3〜0.5%w/wの
濃度で含有し、KH2 PO4 が1.0〜2.0g/lの
濃度のときは、K2 HPO4 を4.0〜7.0g/l、
又は、KH2 PO4 が0.5g/lの濃度のときには、
2 HPO4 を7.0g/lの濃度で含む微生物用培地
を作成する。また、7gのK2 HPO4 、1gのNH4
NO3 、0.1gのMgSO4 ・7H 2 O、0.1gの
NaCl、1mgのZnSO4 ・7H2 O、0.1mg
のCuSO4 ・5H2 O、10mgのFeSO4 ・7H
2 O、2mgのMnSO4 ・nH2 O(ただし、n=4
〜6)の濃度の無機塩類を含み、これらの無機塩類を前
記記載の順に溶解させたゲランガムを含む培地を作成す
る。これらの培地をクリアゾーン法に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リン酸塩を含む微
生物用培地、及び、プラスチックの生分解性を評価する
方法に使用するリン酸塩を含む透明な固形培地の組成に
関する。
【0002】
【従来の技術】微生物培養に用いる培地は、培地の形状
から液体培地と固形培地に分けることができる。液体培
地は、微生物の成育に必要な炭素源、無機塩類等からな
る培養液を試験管、三角フラスコなどの培養用容器に入
れたものである。菌体乾量を測定する目的で、菌糸を培
養するときなどに適している。固形培地は、液体培地に
寒天などの固形剤を添加し、固化させた培地をいう。特
に、シャーレ中で固化させた培地を平板培地という。平
板培地は、表面積が大きいため、コロニーの発育の模様
観察や平板塗抹法による細菌の分離など様々な用途に使
用できる。
【0003】微生物の培養に用いられる培地には、多く
の種類の培地があり、それぞれに特徴がある。培地の成
分は、目的、用途に応じて使い分ける必要がある。一般
的に用いられる培地として、表1にDavis培地、表
2にCzapekの改変培地、表3にトキワ培地、表4
にジャガイモ・ショ糖・寒天培地の組成を示す。Dav
is培地、Czapekの改変培地、トキワ培地のよう
に、微生物の成育に必要な無機成分(必須元素、微量元
素、ビタミン類)のみを含む培地で、一般的に貧栄養培
地と呼ばれている。ジャガイモ・ショ糖・寒天培地のよ
うに、微生物の炭素源である糖などの有機物を無機成分
の他に含む培地は、一般的に、富栄養培地と呼ばれてい
る。
【0004】
【表1】 nは4〜6の整数を示す。
【0005】
【表2】 nは4〜6の整数を示す。
【0006】
【表3】
【0007】
【表4】
【0008】培地の作成時には、一般に培地成分を蒸留
水に溶解し、必要に応じてpHを調整する。液体培地の
作成には、培地成分が溶けた溶液を培養用容器に分注
し、オートクレーブ等によって、例えば121℃で15
分間高圧蒸気滅菌する。固形培地の作成には、培地成分
が溶けた溶液に寒天を添加し、湯せんによって寒天を完
全に溶かした後、液体培地の作成時と同様に高圧蒸気滅
菌する。滅菌後、培養用容器に分注する。固形培地をシ
ャーレに分注したものは、特に、平板培地と呼ばれる。
【0009】微生物のプラスチック分解性、及びプラス
チック分解に有用な微生物の働きを簡単に評価する方法
として、「クリアゾーン法」が知られている。クリアゾ
ーン法とは、プラスチックなど分解対象となる物質を分
散させた固形培地に、微生物を播種して分解性を調べる
ものである。クリアゾーン法による有用微生物のスクリ
ーニングは以下の通りである。評価すべきプラスチック
をクロロホルムなどの溶媒に溶解し、それを寒天を含む
貧栄養培地に乳化させ、溶媒を取り除いた後、培地をシ
ャーレに流し込んで固化させる。固化した培地に、プラ
スチック生分解性の微生物が存在すると考えられる下水
の活性汚泥や土壌などを適当に希釈し、その希釈液をコ
ンラージ棒などで広げて蒔き、30℃で培養する。プラ
スチック分解能を持つ微生物が土壌や汚泥中に存在すれ
ば、その微生物のコロニーの周りはプラスチックが分解
され、その部分の培地は寒天を含む貧栄養培地のみの状
態になり、スポット状の透明部が生じる。したがって、
生じた微生物のコロニーの周りが透明であれば、その微
生物はプラスチック分解能を有すると判断できる。ま
た、早く透明な部分を広げる菌が分解能力の高い菌であ
ると判断できる。
【0010】クリアゾーン法でプラスチック分解能力が
あると判断された菌を単離し、例えば、次のような方法
で、さらに、分解能力を比較したり、分解条件などを測
定する。ねじ口瓶中に上記のように調製した培地を流し
込み、固化させた後、菌を固形培地の上面に播種する。
30℃で培養した後、生育した微生物が固形培地の表面
に見えたころに、固形培地の上部に透明部が生じる。こ
の透明部の大きさは、播種した菌体のプラスチック分解
能力に比例するため、透明部が大きいほど、その菌はプ
ラスチックの分解力が強い菌、又は、その培養条件がプ
ラスチック分解に適していると判断される。
【0011】Joel R.Crabbeら(Inte
rnational Biodeterioratio
n & Biodegradation 33,199
4,103−113)は、炭素源としてコロイド状エス
テル系ポリウレタン3mg/mlとゼラチン4mg/m
lを含む培地に土壌を蒔き、ポリウレタン分解能力のあ
る微生物を検出した。この微生物検出法で用いた培地を
次に示す。
【0012】下記の表5に示す20mlの貯蔵液Aを9
70mlの蒸留水に加え、121℃で20分間高圧蒸気
滅菌を行う。この培地は、平板培地として用いるときに
は、寒天を加える。高圧蒸気滅菌後、約50℃程度まで
冷却してよく攪拌する。この中に、濾過、滅菌処理した
1mlの貯蔵液Cを加え攪拌し、さらに、濾過、滅菌処
理した2mlの貯蔵液Cを加え攪拌する。さらに、コロ
イド状エステル系ポリウレタンを3mg/mlとゼラチ
ンを4mg/mlの濃度で加え、培養容器へ分注する。
培地の調整中にリン酸塩沈殿物が生じるのを防ぐため
に、上記の通り、約50℃の温度と培地成分の混合順序
が規定されている。
【0013】
【表5】
【0014】また、Y.Tokiwaら(J.Ferm
ent.Technol.,Vol52,No.6,p
393〜398,1974)は、糸状菌によるポリエチ
レングリコールアジペートを分解する糸状菌を単離し
た。用いた培地は、上記の表3に示すトキワ培地の19
種の培地成分を表に記載の順に(上から下)、蒸留水1
リットルに溶解した後、pHを7.2に調整し、界面活
性剤Plysurf A 210G(第一工業製薬株式
会社)により分散させたポリエチレングリコールアジペ
ート0.5%を加える。さらに、寒天を加え、滅菌後、
培養用容器に分注する。
【0015】培地の固形剤としてゲランガムを使用する
培地がいくつか知られている。例えば、特開平4−31
1328号公報では、低分子の多価フェノール類と1%
までのゲランガムを組み合わせた支持培地を用いた苗条
の発根方法を開示している。特開平5−236833号
公報には、培養植物の順化において、寒天あるいはゲラ
ンガム等を主成分とするゲル状の培養用の培地で無菌的
に培養した植物を抗菌性物質を含む培地に植え付けて順
化を行うという記載がある。しかし、固形剤としてゲラ
ンガムを用いると、高圧蒸気滅菌処理後も変色を起こさ
ないということを利用するものではない。また、クリア
ゾーン法に適した微生物用培地の固形剤にゲランガムを
応用したものはない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、寒天と大量の
リン酸が培地中に含まれる場合に、高圧蒸気滅菌処理を
行うと、滅菌処理中にリン酸と寒天が反応し、培地が赤
褐色に変色してしまう。このため、従来の寒天を固形剤
として用いた固体培地は、やや黄色を帯びた色であっ
た。赤褐色に変色した培地をクリアゾーン法に適用しよ
うとすると、分解された部分の透明度が下がり、微生物
が培地を分解したか否かの判別が困難になる。また、添
加したリン酸の量は、寒天と反応する分だけ培地中から
減少するので、培地中のリン酸含有量が微生物の要求す
る量以下となると、微生物の成育に悪影響を及ぼす。そ
のうえ、リン酸を大量に含む培地の場合、同じ組成の培
地を固形培地と液体培地に使用することができず、両培
地における細菌の生育等の比較ができない。
【0017】リン酸含有量と培地の変色の関係を下記の
表6に示す。表6は、蒸留水1リットルに規定量のリン
酸と1.3%の寒天を添加し、121℃で15分間高圧
蒸気滅菌した後、培地の変色の有無を示したものであ
る。
【0018】
【表6】 表中の×、△、○は、それぞれ、培地が濃く茶変した、
薄く茶色に変色した、変色なし、を示す。
【0019】K2 HPO4 を加えず、KH2 PO4
0.5g/リットルの濃度で加えた場合は、培地の変色
は見られなかったが、K2 HPO4 は微生物の成育に必
要な成分であり、実際培養に用いる場合には欠くことが
できない。また、K2 HPO4を欠くと、リン酸濃度が
低すぎるため、緩衝液としての効果が低くなってしま
う。このため、微生物の代謝産物によるpHの急激な変
化が起こりやすく、培地として用いるのは不都合であ
る。以上のことから、従来の培地に1.3%の寒天を添
加し、高圧蒸気滅菌すると、培地は変色し、クリアゾー
ン法に用いるのは不適当であることがわかる。
【0020】やむを得ず、大量のリン酸を含む培地を固
体培地として使用するときは、以下の方法で作成するこ
とが従来行われている。すなわち、寒天と寒天以外の成
分をそれぞれ2倍の濃度で調製する。これらを121℃
で15分間程度、高温蒸気滅菌した後、無菌状態で両者
を混合し、培養容器へ分注して、固形培地を得る。しか
し、この方法は、寒天溶液と寒天以外の成分を含む溶液
という2種の溶液を別々に調製し、滅菌処理した後、混
合するという操作が余分であり、手間がかかる。また、
寒天溶液と寒天以外の成分を含む溶液という2種の溶液
を調製するため、三角フラスコ等の実験器具が通常の培
地作成時の2倍必要となり、使用後の器具洗浄が通常の
2倍負担になる。
【0021】通常、培地を作成する場合、培地成分を調
製した後、分注し、滅菌する。滅菌処理後は、コンタミ
ネーションを起こす可能性のある操作はない。しかし、
Joel R.Crabbeら(Internatio
nal Biodeterioration & Bi
ogradation 33,1994,103−11
3)の用いた固形培地を作成するときには、貯蔵液Aと
蒸留水の混合液を滅菌し、滅菌した貯蔵液B、C、Dを
一種ずつ混合させる。この操作の中で、貯蔵液Aと蒸留
水の温度を50℃に保ち、培地を調製しなければなら
ず、面倒である。また、貯蔵液A〜Dをそれぞれ別々に
調製し、貯蔵液B〜Dは濾過滅菌処理をしなければなら
ず、さらに、貯蔵液A〜Dを徐々に混合させていく操作
も面倒である。滅菌後に、貯蔵液A〜Dを徐々に混合
し、分注するので、この操作は、クリーンベンチ内で無
菌的に行う必要がある。しかし、この操作を完全に無菌
的に行うのは難しく、コンタミネーションの可能性が高
い。なお、このようにして作成した培地も、KH2 PO
4 を0.5g/リットル、K2 HPO4を1.0g/リ
ットルの濃度で含むため、薄く茶変し、透明になった培
地部分の判別が困難である。
【0022】通常の培地は、5〜10種の成分を含む。
しかし、J.Ferment.Technol.,Vo
l52,No.6,p393〜398,1974に記載
のポリエチレングリコールアジペートの分解に用いた培
地は、培地成分が19種と多く、培地の調製が大変であ
る。
【0023】従来の培地は、CaCl2 及びNaMoO
4 ・2H2 Oを含有する。表3に記載のCzapekの
改変培地において、寒天の代わりにゲランガムを添加し
たときは、沈殿を起こすことがあるので好ましくない。
【0024】したがって、本発明は、培地中に多量のリ
ン酸を含有しているにも関わらず、高圧蒸気滅菌処理を
しても、変色することがない貧栄養培地を作成すること
を目的とする。また、固形剤を添加した後、高圧蒸気滅
菌をしても変色せず、透明度が高いままなので、クリア
ゾーン培地として用いるのに最適な培地を提供すること
を目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本
発明者らは、ゲランガムを0.3〜0.5%w/wの濃
度で含有し、KH2 PO4 が1.0〜2.0g/lの濃
度のときは、K2 HPO4 を4.0〜7.0g/l、又
は、KH2 PO4 が実質的に0.5g/lの濃度のとき
には、K2 HPO4 を実質的に7.0g/lの濃度で含
む微生物用培地を開発した。
【0026】また、蒸留水1リットル当たり、実質的
に、2gのKH2 PO4 、7gのK2HPO4 、1gの
NH4 NO3 、0.1gのMgSO4 ・7H2 O、0.
1gのNaCl、1mgのZnSO4 ・7H2 O、0.
1mgのCuSO4 ・5H2 O、10mgのFeSO4
・7H2 O、2mgのMnSO4 ・nH2 O(ただし、
n=4〜6)の無機成分を、前記記載の順に溶解した培
地を用いるのがよい。
【0027】これらの培地は、分解対象となる物質を分
散させた固形培地に、微生物を播種して、該物質の分解
性を調べることによって、該微生物の該物質に対する分
解性、該物質の分解に有用な微生物の働き、及び諸物質
の分解に有用な条件などを簡単に評価するクリアゾーン
法に用いるのに適している。
【0028】本発明の培地は、0.3〜0.5%w/w
のゲランガムを使用する。この濃度は、培地が適度に固
化し、また、高圧蒸気滅菌後も高い透明度を保持する濃
度である。固形剤を除いた同組成の培地を液体培地とし
て用いることも可能である。そのような液体培地を用い
て、固形培地と液体培地の両培地における細菌の生育等
が比較できる。
【0029】本発明の培地は、ゲランガムを0.3〜
0.5%w/wの濃度で含有し、KH 2 PO4 が1.0
〜2.0g/lの濃度のときは、K2 HPO4 を4.0
〜7.0g/lを含有する。また、KH2 PO4 が約
0.4〜0.6g/lの濃度のときには、K2 HPO4
を約6.0〜7.5g/lの濃度で含有する。この濃度
範囲の培地は、微生物の生育に適した濃度であり、ゲラ
ンガムがゲル化して、所望の堅さの培地が得られる。K
2 PO4 の濃度が約0.4〜0.6g/lのときに、
2 HPO4 が4.0g/l以下の濃度では培地は固化
しないためよくない。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の微生物用培地は、多量の
リン酸が含まれているにも関わらず、高圧蒸気滅菌処理
によって変色しない。したがって、本発明の微生物用培
地は、液体培地と同じ組成の固形培地として用いること
ができる。微生物用培地としては、次の3つの条件を満
たす必要がある。第一に、微生物の成育に必要な成分を
含んでいること、第二に全培地成分を蒸留水に溶解した
とき、沈殿が生じたり、溶液が濁ったりしないことであ
る。この二つの条件を満たす本発明の培地成分を表7に
示す。培地成分は、表に記載の順に(上から下)蒸留水
に溶解し、完全に溶けきった後、次の成分を加えるのが
望ましい。沈殿が生じたときは、菌の生育に悪影響を及
ぼすので、作り直すのが望ましい。
【0031】
【表7】
【0032】本発明の培地の成分は、従来の培地に含ま
れるNaMoO4 ・H2 O及びCaCl2 を含まず、N
aClを含むという点で独自のものである。NaMoO
4 ・H2 O及びCaCl2 上記の培地に添加すると、沈
殿が生じて好ましくない。
【0033】第三に固形剤を添加した後、高圧蒸気滅菌
しても変色せず、透明度が高いことである。本発明は、
固形剤としてゲランガムを用いているので、高圧蒸気滅
菌処理によっても、変色することはない。
【0034】ゲランガムとは、Pseudomonas
elodeaが生産する多糖類を脱アセチル処理後、
精製したもので、グルコース、ラムノース、ウロン酸が
主成分である。ゲランガムのゲル化には、可溶性の塩類
が必要で、塩類の種類及び添加量とゲランガムの使用量
の組み合わせで、様々な堅さのゲル調整が可能である。
したがって、ゲランガムを固形剤として用いると、所望
の堅さの固形培地が得られる。ゲランガムの最適添加濃
度は、0.3〜0.5%w/wである。ゲランガムを
0.3%未満の濃度とすると、培地のゲル化が起こりに
くくなり、0.5%より大きい濃度で添加すると、クリ
アゾーン法には適用できるが、培地が白濁する。ゲラン
ガムが最も少量ですみ、かつ、培地が適度に固化する濃
度が、コストがかからないという面で最適な濃度である
が、その濃度は、約0.3%w/wである。
【0035】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細
に説明するが、これらにより本発明を制限することを意
図するものではない。実施例1(固形剤としてゲランガムを使用したもの) 2.0gのKH2 PO4 及び7.0gのK2 HPO4
並びに、固形剤として8.0gのゲランガムを1リット
ルの蒸留水に加えて、溶解した。さらに、121℃で1
5分間高圧蒸気滅菌処理を行った。その結果、わずかに
白濁したが、クリアゾーン法に充分適用できる透明度を
もった固形培地が得られた。
【0036】実施例2、比較例(ゲランガムの最適濃
度) 2.0gのKH2 PO4 及び7.0gのK2 HPO4
並びに、固形剤としてゲランガムをそれぞれ、0.3%
w/w、0.5%w/wの濃度(実施例2)、又は、
0.6%w/w、0.7%w/wの濃度(比較例)で1
リットルの蒸留水に加えて、溶解した。さらに121℃
で15分間高圧蒸気滅菌処理を行った。その結果、ゲラ
ンガムを0.3%w/w、0.5%w/wの濃度で加え
た場合は透明な培地が得られた。しかし、ゲランガムを
0.6%w/w、0.7%w/wの濃度で加えた場合
は、わずかに白濁したがクリアゾーン法には適用できる
透明度を持っていた。したがって、クリアゾーン法に用
いるのに最適な透明度をもった培地の得られるゲランガ
ムの最適濃度は、0.3〜0.5%w/wであるとわか
った。
【0037】実施例3(クリアゾーン法への応用) 無機成分として、1リットルの蒸留水当たり、2gのK
2 PO4 、7gのK 2 HPO4 、1gのNH4
3 、0.1gのMgSO4 ・7H2 O、0.1gのN
aCl、1mgのZnSO4 ・7H2 O、0.1mgの
CuSO4 ・5H2O、10mgのFeSO4 ・7H2
O、2mgのMnSO4 ・nH2 O(ただし、n=4〜
6)を前記記載の順に溶解させた。界面活性剤Plys
urf A210G(第一工業製薬株式会社製)によっ
て分散させた分解対象プラスチックを加え、良く混合
し、さらにゲランガムを0.3%w/wの濃度で加え、
湯せんにより完全に溶解した。この培地を培養用容器に
分注し、121℃で20分間高圧蒸気滅菌した。高圧蒸
気滅菌処理後の培地は、クリアゾーン法に適用するのに
適した透明度を保つものであった。
【0038】
【発明の効果】上記したところから明らかなように、本
発明の微生物用培地は、固形剤として、寒天の代わりに
ゲランガムを使用することによって、培地中に多量のリ
ン酸が含まれていても、高圧蒸気滅菌処理によって赤褐
色に変色することはない。したがって、本発明の培地
は、液体培地と同じ成分の固形培地として利用すること
ができる。本発明の培地を液体培地と平板培地の両方に
使用して、そのそれぞれにおける微生物の成育等を比較
することができる。
【0039】本発明の培地は、培地の調製の間、従来の
培地の作成では必要であったクリーンベンチ内の操作、
温度管理が必要ないうえ、コンタミネーションの可能性
も少ない。さらに、従来の培地では必要であった貯蔵液
を別々につくる手間はなく、そのうえ、寒天を別に滅菌
して後で培地成分と混合するといった操作もない。
【0040】本発明によって得られた培地は、固形剤と
して寒天を使用したときと比較して透明度が高く、培地
内部の観察が容易である。特に、クリアゾーン法に適用
した場合、微生物の作用によって、対象となる物質が分
解されたかどうかの判断がしやすい。顕微鏡による観察
でも、対象となる物質が消失したかどうかについて確認
しやすい。
【0041】本発明の培地は、既存の代表的な貧栄養培
地であるDavis培地、Czapekの改変培地の培
地成分には含まれていないNaClを成分として加え、
NaMoO4 ・H2 O及びCaCl2 を含んでいない。
本発明によれば、NaMoO 4 ・H2 O及びCaCl2
と反応して形成される生じる沈殿が生じないので、透明
度の高い培地を得ることができる。
【0042】本発明の培地は、固形剤として用いるゲラ
ンガムの添加量が、寒天を使用するときの添加量と比べ
て少なくてすむ。従来の固形培地は、固形剤として、寒
天を1.2%〜1.8%添加するが、本発明の固形培地
は、ゲランガムを0.3%w/w添加すればよい。この
添加量の減少に伴い、コストの低減がはかれる。例え
ば、培地1リットルあたりのコストとして、寒天(植物
培地用500g、6500円、和光純薬工業製)を用い
た場合は、156〜234円だが、ゲランガム(Gel
lan Gum、500g、10,000円、和光純薬
工業製)を使用した場合は、約60円となり、コスト削
減となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲランガムを0.3〜0.5%w/wの
    濃度で含有し、KH 2 PO4 が1.0〜2.0g/lの
    濃度のときは、K2 HPO4 を4.0〜7.0g/l、
    又は、KH2 PO4 が実質的に0.5g/lの濃度のと
    きには、K2HPO4 を実質的に7.0g/lの濃度で
    含む微生物用培地。
  2. 【請求項2】 蒸留水1リットル当たり、実質的に、2
    gのKH2 PO4 、7gのK2 HPO4 、1gのNH4
    NO3 、0.1gのMgSO4 ・7H2 O、0.1gの
    NaCl、1mgのZnSO4 ・7H2 O、0.1mg
    のCuSO4・5H2 O、10mgのFeSO4 ・7H
    2 O、2mgのMnSO4 ・nH2 O(ただし、n=4
    〜6)の無機成分を含み、前記記載の順に溶解すること
    を特徴とする請求項1に記載の培地。
  3. 【請求項3】 クリアゾーン法に用いることを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載の培地。
JP9067396A 1996-04-12 1996-04-12 微生物用培地 Pending JPH09275973A (ja)

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