JPH09273629A - パッキング調整装置付シリンダ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パッキングの半径方向の寸法を調整可能とす
る。 【解決手段】 少なくとも一方の端部を段状に縮径した
ピストン２と、この段状の縮径部５に嵌合しシリンダチ
ューブ２との間隙をシールするパッキング３と、このパ
ッキング３をピストン中央部側へ押圧し固定するダブル
ナット７とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はピストンとシリンダ
チューブの間隙をシールするパッキングの高さを調整で
きるようにしたシリンダ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】シリンダチューブとピストンを組み合わ
せ、気体や流体によりピストンを移動させる装置として
油圧シリンダやシリンダを用いたポンプなどが使用され
ている。図５は従来の一般的なシリンダ構造を示す。シ
リンダチューブ１内にはピストン２が挿入されピストン
２とシリンダチューブ１の間隙にはパッキング３が設け
られている。ピストン２にはロッド４が結合され、ピス
トン２と一体となって移動する。パッキング３としては
Ｏリング，Ｕシール，Ｄ型断面のパッキングなどゴム製
や合成ゴム製のパッキングが使用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】パッキング３が入る溝
３ａの幅が一定であるため、パッキング３の直径方向に
摩耗が生じた場合、復元エネルギ源はパッキング３の変
形形状復元力のみであり、十分な大きさはなく、少量の
摩耗で復元力が失われ、作動気体や流体の漏れが生じ
る。このため摩耗が激しい用途に用いる場合、頻繁にパ
ッキングを交換しなければならない。また新しいパッキ
ングの寸法、形状、硬さの製作誤差が直ちにシール圧力
のばらつきとなる。このためパッキングの厳密な品質管
理と摩耗した場合交換が必要となる。また、高圧から低
圧までの広範囲なシール圧力の調整ができない。高圧シ
ールに合わせると低圧では摩耗抵抗が過大となり、ステ
ックスリップを生じる。低圧シールに合わせると高圧で
リークが発生する。

【０００４】本発明は上述の問題点に鑑みてなされたも
ので、パッキングの半径方向の寸法を調整可能にしたパ
ッキング調整装置付シリンダ装置を提供することを目的
とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１の発明では、少なくとも一方の端部を段状
に縮径したピストンと、この段状縮径部に嵌合しシリン
ダとの間隙をシールするリング状パッキングと、このパ
ッキングをピストン軸方向でピストン中央部へ押圧する
パッキング押圧手段とを備える。

【０００６】ピストンの少なくとも一方の端部を縮径し
て段付きとし、この縮径部にリング状のパッキングを挿
入する。パッキング押圧手段でピストン軸方向でかつピ
ストン中央部へ押圧することにより、パッキングは圧縮
されパッキングの半径方向に膨張する。これによりパッ
キングが摩耗しても摩耗に応じた量膨張させることによ
りリークを防止することができる。またパッキングの製
作精度が悪くても膨張量を調整することによりリークを
防止できる。また使用する圧力に応じて膨張量を調整す
ることにより高圧から低圧までの広い範囲にわたり使用
することができる。

【０００７】請求項２の発明では、前記パッキングと前
記パッキング押圧手段の接触面にはワッシャーが設けら
れている。これによりパッキングにはワッシャーを介し
て押圧力が伝達される。パッキング押圧手段がネジ機構
を用いている場合、押圧力と共に回転力が発生するが、
ワッシャーとパッキング押圧手段との接触面で回転が行
われパッキングに回転によるねじれが発生するのを少な
くすることができ、ねじれによる損傷を防止することが
できる。

【０００８】請求項３の発明では、前記パッキング押圧
手段は、前記ピストンの縮径部に刻設されたネジ部と螺
合するダブルナットである。パッキングを圧縮し所定量
膨張させた後、ナットの位置をダブルナットにより固定
する。これによりパッキングの形状を調整後の形状に保
持することができる。またダブルナット方式であれば押
圧装置としてピストンのロッド側およびロッドのない側
にも採用できる。

【０００９】請求項４の発明では、前記ピストンのロッ
ドと反対側に設けられた前記パッキング押圧手段は、前
記ピストンの縮径部に刻設されたネジ部と螺合する袋ナ
ットと、この袋ナットの緩み止めネジとを備える。

【００１０】ロッドと反対側のピストンに設けられた縮
径部にパッキングを設け、この縮径部のパッキングを取
り付ける位置の手前までネジ切りしておき、袋ナットを
螺合してパッキングを押圧する。袋ナットの頭部に緩み
止めネジを設け、袋ナットと縮径部の相対移動を防止す
る。

【００１１】請求項５の発明では、前記ピストンのロッ
ドと反対側に設けられた前記パッキング押圧手段は、ピ
ストンの軸心に刻設されたボルト孔に螺合するボルト
と、前記縮径部と嵌合し、前端が前記パッキングと接触
する円筒と、この円筒と前記ボルトを結合する端板と、
この端板の緩み止めネジとを備える。

【００１２】ロッドと反対側のピストンに設けられた縮
径部にパッキングを設け、この縮径部に嵌合する円筒を
設ける。またこの縮径部の軸心にボルト孔を設け、この
ボルト孔に螺合するボルトを設け、このボルトと円筒を
端板で結合し、この端板に緩み止めネジを設け、ボルト
を回転し円筒をピストン中央部側へ移動してパッキング
を押圧し、所定量押圧した位置を緩み止めネジにより固
定する。

【００１３】請求項６の発明では、一方の端面より所定
距離離れた位置から他方の端面まで段状に縮径したピス
トンと、この段状縮径部に嵌合しシリンダチューブとの
間隙をシールするリング状パッキングと、前記ピストン
の他方の端面に一端が固定され他端に刻設されたねじ部
を有するロッドと、前記パッキングをピストン軸方向で
ピストンの前記一方の端面側に押圧するパッキング押圧
手段とを備え、前記パッキング押圧手段は、前記縮径部
と嵌合し、前端が前記パッキングと接触する第１円筒
と、前記ロッドと嵌合し一端が前記第１円筒の後端と結
合し他端がロッドのねじ部まで延在する第２円筒と、前
記ロッドのねじ部と螺合し前記第２円筒を押圧するナッ
トとを有する。

【００１４】ロッドのねじ部にナットを螺合し、ナット
を締めるとピストンに対して第１円筒の前端がパッキン
グを押圧するように移動し、ピストンと第１円筒の前端
に挟まれたパッキングは押圧され半径方向に膨張し適正
なパッキングの寸法に調整することができる。ロッドの
ねじ部はシリンダチューブの外側に設けることができる
ので、シリンダ装置の外側からパッキングの半径方向の
寸法を調整することができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図１は第１実施の形態を示
す断面図である。１はシリンダチューブであり、２はこ
のシリンダチューブ１内に所定の間隙を有して嵌合され
るピストンである。ピストン２の両端には縮径部５が設
けられ、一方の縮径部５にロッド４が接続されている。
縮径部５の付け根側にはパッキング３が挿入され、パッ
キング３の接触位置より外側の縮径部５はネジ切りされ
ており、この範囲をネジ部５ａとする。パッキング３に
外側からワッシャー６を設け、ネジ部５ａに内側のダブ
ルナット７を螺合してパッキング３を締め付け、半径方
向に膨張させてシール圧に応じた調整を可能としてい
る。調整後は外側のダブルナット７により押しつけ位置
を固定することができる。

【００１６】パッキング３はＤ型断面のゴムまたは合成
ゴムのパッキングを用いた場合を示す。使用する流体の
圧力範囲、温度、シリンダチューブの大きさ、シール圧
力等によりパッキングの寸法、形状精度、材質、硬さ、
表面粗さなどを定める。ワッシャー６をパッキング３と
ダブルナット７の間にはさみ込み、ダブルナット７の内
側ナットでパッキング３を締める時、ナットとワッシャ
ー６の接触面で滑らせ、パッキング３に回転が伝わりに
くくし、パッキング３がねじれて損傷しないようにして
いる。パッキング３の締め付けが終わると、外側のダブ
ルナット７を締めて締め付け位置を固定する。なお、本
実施の形態ではピストン２の両端にパッキング３を設け
た例を説明したが、いずれか一方のみの場合も可能であ
る。

【００１７】図２は第２実施の形態を示す断面図であ
る。本実施の形態はパッキングを締め付けるのに袋ナッ
トを用い、この袋ナットの頂部に緩み止めネジを設けた
ものである。シリンダチューブ１内に設けたピストン２
にはロッド４と反対側の端部に段状に縮径部５を設け、
この縮径部５の付け根側にパッキング３を挿入する。パ
ッキング３の接触位置より外側の縮径部５の外面はネジ
切りされており、この範囲をネジ部５ａとする。パッキ
ング３に外側からワッシャー６を設け、ネジ部５ａに袋
ナット８を螺合してパッキング３を締め付け、半径方向
に膨張させてシール圧に応じた調整を可能としている。
ワッシャー６の働きは袋ナット８の回転をできるだけパ
ッキング３に伝達しないようにすることである。袋ナッ
ト８の頂部にネジ切りし、緩み止めネジ９をねじ込み、
縮径部５の端部に先端が十分接触するまでねじ込み袋ナ
ット８の緩み止めを行う。本実施の形態はその構成上ピ
ストン２のロッド４と反対側の端部にのみ適用すること
ができる。なおロッド側には第１実施の形態で用いたダ
ブルナット方式を採用することができる。

【００１８】図３は第３実施の形態を示す断面図であ
る。本実施の形態はパッキングを締め付けるのに縮径部
の軸心に設けたネジ孔にボルトを螺合するようにしたも
のである。シリンダチューブ１内に設けたピストン２の
ロッド４と反対側の端部に段状に縮径部５を設け、この
縮径部５の付け根側にパッキング３を挿入する。パッキ
ング３の外側からワッシャー６を設け、縮径部５の外周
に嵌合する円筒１０を設け、この円筒１０でワッシャー
６を押圧するようにする。縮径部５の軸心にはボルト孔
１１ａが設けられ、ボルト１１が螺合する。ボルト１１
と円筒１０は端板１２で一体に結合され、円筒１０を回
転するとボルト１１がボルト孔１１ａと螺合し、円筒１
０がパッキング３を締め付ける。端板１２にはネジ切り
して緩み止めネジ９をねじ込み、ボルト１１の緩み止め
を行う。本実施の形態はその構成上ピストン２のロッド
４と反対側の端部にのみ適用することができる。なお、
ロッド側には第１実施の形態で用いたダブルナット方式
を採用することができる。

【００１９】図４は第４実施の形態を示す断面図であ
る。本実施の形態はパッキングの調整をシリンダ装置を
分解せず外側から行うようにしたものである。本装置は
低圧のガス源２０より高圧のガス使用装置２１へガスを
供給するシリンダ装置で、弁２３を開、弁２４を閉とし
シリンダ装置にガス源２０よりガスを充填した後、弁２
３を閉、弁２４を開とし空気源２２より切替弁２５を介
して加圧し、ガス使用装置２１に供給するものである。

【００２０】シリンダチューブ１内にはピストン２が設
けられ、ピストン２にはロッド４が接合されている。ピ
ストン２はパッキング押さえ部２ａと縮径部５よりな
り、縮径部５にロッド４が接合され、縮径部５の付け根
側にパッキング３が挿入されている。縮径部５の外周に
極めて緩く嵌合する第１円筒１５ａを設け、この第１円
筒１５ａの先端とパッキング３の間にワッシャー６を設
ける。第１円筒１５ａは接合板１５ｃを介してロッド４
の外周と嵌合する第２円筒１５ｂと接合されている。シ
リンダチューブ１のロッド側の端板１ａを貫通して第２
円筒１５ｂは外側まで延在し、ロッド４の端部はさらに
外側まで延在している。ロッド４の端部はねじ部４ａと
なっており、このねじ部４ａは第２円筒１５ｂの内側ま
で及んでいる。ねじ部４ａにはダブルナット１６が螺合
している。ロッド４の端部には角穴４ｂが設けられ、こ
の角穴４ｂにロッド回り押さえ１７が嵌合している。

【００２１】パッキングを調整する場合、ロッド回り押
さえ１７をレンチなどで押さえ、内側のダブルナット１
６を回転することにより第１円筒１５ａの先端でワッシ
ャー６を介してパッキング３を押圧し、パッキング３の
半径方向の高さを調整する。調整が終わると外側のダブ
ルナット１６で調整位置を固定する。ワッシャー６は第
１円筒１５ａからの回転をパッキング３に伝達しないよ
うに働く。

【００２２】

【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
は、パッキングを幅方向に押圧して半径方向に膨張させ
るようにしたので、パッキングのシール圧力を適切な値
に調節できる。これによりパッキング製作時の寸法，形
状，硬さなどが基準値と異なる場合や、パッキングが使
用により摩耗した場合でもシール圧力を適切な値とする
ように調整することができる。これによりスティックス
リップ，過大摩擦抵抗，シール機能不足などの不具合の
発生を防止することができる。

【００２３】また広範囲の圧力で使用する試験用シリン
ダの場合など、従来は寸法，形状，硬さなどを微妙に変
えたパッキングを多数用意して、使用圧力が変わる都
度、あるいはパッキング摩耗が生じたときパッキングの
交換をしていたが、本発明により交換回数を激減でき
る。これによりパッキングの予備を減らせることがで
き、パッキングの製作精度を緩めることができ、安価に
製作できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施の形態の構成を示す断面図である。

【図２】第２実施の形態の構成を示す断面図である。

【図３】第３実施の形態の構成を示す断面図である。

【図４】第４実施の形態の構成を示す断面図である。

【図５】従来のシリンダの構成を示す断面図である。

【符号の説明】

１ シリンダチューブ １ａ 端板 ２ ピストン ２ａ パッキング押さえ部 ３ パッキング ４ ロッド ４ａ ねじ部 ４ｂ 角穴 ５ 縮径部 ５ａ ネジ部 ６ ワッシャー ７ ダブルナット ８ 袋ナット ９ 緩み止めのネジ １０ 円筒 １１ ボルト １１ａ ボルト孔 １２ 端板 １５ａ 第１円筒 １５ｂ 第２円筒 １５ｃ 接合板 １６ ダブルナット １７ ロッド回り押さえ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも一方の端部を段状に縮径した
   ピストンと、この段状縮径部に嵌合しシリンダチューブ
   との間隙をシールするリング状パッキングと、このパッ
   キングをピストン軸方向でピストン中央部へ押圧するパ
   ッキング押圧手段とを備えたことを特徴とするパッキン
   グ調整装置付シリンダ装置。
2. 【請求項２】 前記パッキングと前記パッキング押圧手
   段の接触面にはワッシャーが設けられていることを特徴
   とする請求項１記載のパッキング調整装置付シリンダ装
   置。
3. 【請求項３】 前記パッキング押圧手段は、前記ピスト
   ンの縮径部に刻設されたネジ部と螺合するダブルナット
   であることを特徴とする請求項１または２記載のパッキ
   ング調整装置付シリンダ装置。
4. 【請求項４】 前記ピストンのロッドと反対側に設けら
   れた前記パッキング押圧手段は、前記ピストンの縮径部
   に刻設されたネジ部と螺合する袋ナットと、この袋ナッ
   トの緩み止めネジとを備えたことを特徴とする請求項１
   または２記載のパッキング調整装置付シリンダ装置。
5. 【請求項５】 前記ピストンのロッドと反対側に設けら
   れた前記パッキング押圧手段は、ピストンの軸心に刻設
   されたボルト孔に螺合するボルトと、前記縮径部と嵌合
   し、前端が前記パッキングと接触する円筒と、この円筒
   と前記ボルトを結合する端板と、この端板の緩み止めネ
   ジとを備えたことを特徴とする請求項１または２記載の
   パッキング調整装置付シリンダ装置。
6. 【請求項６】 一方の端面より所定距離離れた位置から
   他方の端面まで段状に縮径したピストンと、この段状縮
   径部に嵌合しシリンダチューブとの間隙をシールするリ
   ング状パッキングと、前記ピストンの他方の端面に一端
   が固定され他端に刻設されたねじ部を有するロッドと、
   前記パッキングをピストン軸方向でピストンの前記一方
   の端面側に押圧するパッキング押圧手段とを備え、前記
   パッキング押圧手段は、前記縮径部と嵌合し、前端が前
   記パッキングと接触する第１円筒と、前記ロッドと嵌合
   し一端が前記第１円筒の後端と結合し他端がロッドのね
   じ部まで延在する第２円筒と、前記ロッドのねじ部と螺
   合し前記第２円筒を押圧するナットとを有することを特
   徴とするパッキング調整装置付シリンダ装置。