JPH0927295A - イオンの飛行時間測定方法及びアトムプローブ電界イオン顕微鏡 - Google Patents

イオンの飛行時間測定方法及びアトムプローブ電界イオン顕微鏡

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JPH0927295A
JPH0927295A JP7176379A JP17637995A JPH0927295A JP H0927295 A JPH0927295 A JP H0927295A JP 7176379 A JP7176379 A JP 7176379A JP 17637995 A JP17637995 A JP 17637995A JP H0927295 A JPH0927295 A JP H0927295A
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JP
Japan
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ion
time
ions
signal
high voltage
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JP7176379A
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Naoyuki Sano
直幸 佐野
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノイズの影響を受けず高精度に試料から放出
されるイオンの飛行時間を測定する方法、及びアトムプ
ローブ電界イオン顕微鏡の提供。 【解決手段】 試料9から放出されるイオンの飛行時間
の測定開始コマンドを出力するパーソナルコンピュータ
1と、測定開始コマンドを入力すべきインターフェイス
2と、インターフェイス2が出力する測定開始信号S
START を入力すべきゲートアンドディレイ発生器3と、
ゲートアンドディレイ発生器3が出力する測定開始信号
S′START を入力すべきタイマー4とを備え、インター
フェイス2から出力される測定開始信号SSTART に基づ
いてイオンの飛行時間の測定を開始させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオンの飛行時間
測定方法及びアトムプローブ電界イオン顕微鏡に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】極微細領域分析器としてアトムプローブ
電界イオン顕微鏡が知られている。このアトムプローブ
電界イオン顕微鏡は、実空間において個々の原子を観察
できる電界イオン顕微鏡に、飛行時間型の質量分析器を
備えて構成されている。このアトムプローブ電界イオン
顕微鏡の原理は、高電圧パルスを用いて試料表面の原子
を、十分に制御された状況で真空中に正のイオンとして
放出させ、所謂、電界蒸発させて、そのイオンがイオン
検出器に到達するまでの時間、つまり、イオンの飛行時
間を測定し、エネルギー保存則から個々のイオン、即ち
試料表面の原子の質量数を求めるものである。
【0003】このようなイオンの飛行時間の測定は、市
販の高精度のタイマーを用いれば5nsec以下の精度で測
定することが可能であり、各元素について自然に存在す
る同位体をも分離、識別することができる。したがっ
て、アトムプローブ電界イオン顕微鏡を用いれば、原子
番号の隣り合った元素からなる合金であっても、極めて
高い質量分解能で極微細領域の分析が可能である。
【0004】しかし乍ら、イオンの飛行時間を高精度に
測定するためには、測定の開始時点と終了時点とを明確
にし、しかもそれらを厳密に測定する必要がある。この
イオンの飛行時間は、質量数及びイオン化する際の電圧
により異なるが、イオンの飛行距離が2〜3mである通
常のアトムプローブ電界イオン顕微鏡では凡そ数μsec
から30μsec の時間範囲であり、これを数nsecの精度で
測定するので、イオンの飛行時間の測定開始時点及び測
定終了時点を、厳密に指令しなければならない。
【0005】ところで、イオンの飛行時間の測定終了時
点はイオンがイオン検出器に到達したときに出力される
検出信号をタイマーに入力すればよく、イオン検出器か
らタイマーまでの信号伝送路による信号の遅れ時間は、
アトムプローブ電界イオン顕微鏡の装置定数として比較
的容易に決定できるので測定終了時点の検出は比較的容
易である。一方、イオンの飛行時間の測定開始時点は高
電圧パルスの印加時点で決定される。この高電圧パルス
はパルス幅がたかだか10数nsecであり、その振幅は1〜
4kVに達するため、高精度のタイマー及びディスクリミ
ネータ等から構成される飛行時間測定系に対しては、極
めて有害なノイズ発生源になっている。
【0006】そのため、従来の高電圧パルスの印加時点
の検出は、高電圧パルスの発生部分にピックオフコイル
を配置することにより行っており、そのようなアトムプ
ローブ電界イオン顕微鏡は“M.K. Miller and G.D.W. S
mith, ATOM PROBE MICRO ANALYSIS (1989), Materials
Research Society, Pittsburgh, P138−139 ”及び“K.
Hono, T. Hashizume and T. Sakurai, Surf. Sci., 26
6(1992)506. ”に示されている。
【0007】図5は“K. Hono, T. Hashizume and T. S
akurai, Surf. Sci., 266(1922)506. ”に示されている
アトムプローブ電界イオン顕微鏡の構成を示すブロック
図である。パーソナルコンピュータ1から高電圧発生コ
マンドが出力されると、それがCAMAC 規格により制御さ
れるインターフェイス2を介してコントローラ13へ入力
される。コマンドに応じてコントローラ13から出力され
る制御信号によりトリガーモジュール5、ゲートアンド
ディレイ発生器3、タイマー4及びディスクリミネータ
12が制御される。トリガーモジュール5から出力される
トリガー信号S TRG は高電圧パルサー6へ入力され、図
示しない水銀リードリレーが閉路して高電圧パルサー6
が起動され図6(a) に示すように高電圧パルスを発生さ
せる。
【0008】この高電圧パルスによりピックオフコイル
20が励起されて、ピックオフコイル20から図6(b) に示
すように信号を出力して波形整形器21へ入力し、その信
号を波形整形器21が図6(c) に示すように波形整形し
て、イオンの飛行時間を測定する測定開始信号SSTART
を出力し、ゲートアンドディレイ発生器3へ入力する。
ゲートアンドディレイ発生器3は測定開始信号SSTART
を所定時間遅延させて測定開始信号S′START を出力し
てタイマー4へ入力する。それによりタイマー4が始動
する。
【0009】一方、試料9には直流保持電源7により直
流高電圧が与えられている状態で、高電圧パルサー6が
発生させた高電圧パルスが与えられて、試料9から表面
原子がイオンIとして放出される。このイオンIがイオ
ン検出器10に到達すると、イオン検出器10から検出信号
がプリアンプ11へ入力されて増幅される。そして増幅さ
れた検出信号がディスクリミネータ12へ入力され、所定
のしきい値電圧以下の検出信号によりイオン検出信号S
DET を出力し、タイマー4へ入力する。そこでタイマー
4が計時動作を停止し、イオンIの飛行時間を測定す
る。
【0010】なお、高電圧パルスが発生した直後、即ち
図6(a) に示すように例えば約1.8msec 後に水銀リード
リレーが開路したときにも高電圧パルスが発生する。ま
た高電圧パルスが発生した直後に図6(a) に示すように
高電圧パルスの振動に起因するノイズNが発生すると、
それによっても、ピックオフコイル20が励起されて図6
(b) に示すようにピックオフコイル20からノイズによる
出力が生じる。
【0011】そして、そのノイズが波形整形器21へ入力
されると、波形整形器21の出力が図6(c) に破線で示す
ように発生し、誤った測定開始信号S′START をタイマ
ー4へ入力することになる。図7は波形整形器21から出
力される測定開始信号SSTAR T の波形をオシロスコープ
により観測したものであって、縦軸が電圧レベルVL
横軸が時間Tとなっている。この波形から明らかなよう
に水銀リードリレーの閉路により発生した高電圧パルス
に応じた測定開始信号に続いて、ノイズの影響により生
じた矢符で示す誤った測定開始信号が発生する。
【0012】ところで、高電圧パルスの波形がノイズの
ない単発の矩形波に近いものであれば、ノイズが発生せ
ず、ピックオフコイル20は正確に高電圧パルスの印加時
点に対応した信号を出力し、それをタイマーへ入力する
から、信号伝送路による遅れを検出終了時点の場合と同
様に、個々のアトムプローブ電界イオン顕微鏡の装置定
数としている遅れ時間を考慮して比較的容易に決定でき
る。
【0013】しかし、ナノ秒オーダーで数kVのパルス
を、ノイズのない単発の矩形波に近い波形で発生させる
ことは困難であり、通常は主パルスの後に、副パルスの
発生が避けられない。そうすると、この副パルスによっ
てもピックオフコイルが励起されて、誤った測定開始信
号が発生し、イオンの飛行時間の測定開始時点が一義的
に決まらないという障害が生じることがある。またアト
ムプローブ電界イオン顕微鏡の稼動環境によっては、ピ
ックオフコイルが様々な外来ノイズによって不必要に励
起され、イオンの飛行時間の測定開始信号が無作為に発
生するのと同様な状態が起こり得て、イオンの飛行時間
の測定開始時点を明確に規定できない状態が生じること
がある。そこで、波形整形器21において、ノイズを感知
しないようにして、ノイズに基づく測定開始信号を出力
しないようにすることが行われている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、アト
ムプローブ電界イオン顕微鏡におけるイオンの飛行時間
の測定に際して、イオンの飛行時間の測定開始信号を、
高電圧パルスの発生位置の近くに配設したピックオフコ
イルの出力に基づいて発生させてタイマーへ入力する場
合は、高電圧パルスの発生により生じるノイズの影響を
うけ易く、イオンの飛行時間の測定開始信号を一義的
に、しかも正確に規定することが難しく、イオンの飛行
時間を高精度に測定できない。また波形整形器において
ノイズを感知しないようにする場合は、複雑な回路及び
制御が必要になり、コストアップが避けられないという
問題がある。
【0015】本発明は斯かる問題に鑑み、イオンの飛行
時間を測定するタイマーを、コンピュータが出力する測
定開始コマンドに基づいて始動させることによって、ノ
イズの影響をうけずにイオンの飛行時間を測定するイオ
ンの飛行時間測定方法及びアトムプローブ電界イオン顕
微鏡を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】第1発明に係るイオンの
飛行時間測定方法は、コンピュータの制御により発生さ
せた高電圧パルスを試料に与え、試料の表面原子をイオ
ンとして放出させた時点から該イオンがイオン検出器に
到達するまでのイオンの飛行時間を測定する方法におい
て、前記イオン飛行時間の測定開始時点を、前記高電圧
パルスの発生を指令する前記コンピュータの信号に基づ
いて定めてイオンの飛行時間を測定することを特徴とす
る。
【0017】第2発明に係るアトムプローブ電界イオン
顕微鏡は、コンピュータの制御により発生させた高電圧
パルスを試料に与えて、試料の表面原子をイオンとして
放出させ、該イオンの飛行時間に基づいて試料の表面原
子の質量を測定するアトムプローブ電界イオン顕微鏡に
おいて、前記高電圧パルスを発生すべくコンピュータか
ら出力される信号が入力され、該信号より所定時間遅延
した信号を出力する信号出力手段と、該信号出力手段か
ら出力される信号を入力すべきタイマーとを備え、該タ
イマーが計時した時間に基づいてイオンの飛行時間を測
定すべく構成してあることを特徴とする。
【0018】本発明によるイオンの飛行時間の測定は、
コンピュータから出力され、イオンの飛行時間の測定開
始時点を指令する信号に基づいて高電圧パルスを発生さ
せ、信号出力手段を制御する。発生した高電圧パルスを
試料に与えてイオンを放出させる。信号出力手段から出
力される信号によりタイマーを始動し、放出されたイオ
ンの飛行時間を測定する。これにより、高電圧パルスの
発生に起因するノイズによってタイマーが誤動作せず、
イオンの飛行時間を容易に、正確に測定できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下本発明をその実施の形態を示
す図面により詳述する。図1は本発明に係るイオンの飛
行時間測定方法を実施するアトムプローブ電界イオン顕
微鏡の要部構成を示すブロック図である。パーソナルコ
ンピュータ1においてソースコード (プログラム) 上に
記述されたコマンドは、米国の物理規格であるCAMAC 規
格により制御されるインターフェイス2へ入力される。
インターフェイス2から出力される信号はコントローラ
13へ入力され、コントローラ13へ入力された信号に応じ
てトリガーモジュール5、ゲートアンドディレイ発生器
3、タイマー4及びディスクリミネータ12へ入力され
る。
【0020】トリガーモジュール5は、後述する高電圧
パルサー6に設けられ、それを起動させる図示しない水
銀リードリレーを駆動するためのトリガー信号を発生さ
せるようになっており、発生したトリガー信号S
TRG は、数kVの高電圧を発生させる高電圧パルサー6へ
入力される。ゲートアンドディレイ発生器3はイオンの
飛行時間の測定開始及び測定終了時点を一義的に定義す
るための時間ウインドウを定義する信号を、コントロー
ラ13から与えられる測定開始信号に基づいて発生させる
ようになっている。
【0021】そのため、ゲートアンドディレイ発生器3
は2つのゲートを備え、ゲートGAは測定開始信号から
ゲート時間TA だけ遅延した時点で測定開始信号S′
STARTを出力し、ゲートGB は測定開始信号SSTART
時点からゲート時間TA より長いゲート時間TB だけ遅
延した時点で測定終了信号SSTOPを出力するようになっ
ている。ゲートアンドディレイ発生器3から出力される
測定開始信号S′START及び測定終了信号SSTOPは、タ
イマー4へ入力される。
【0022】高電圧パルサー6が出力する高電圧パルス
P及び直流保持電源7が出力する直流高電圧Eはアトム
プローブ電界イオン顕微鏡の真空槽8内に配置されてい
るイオンを放出させる試料9に与えられる。真空槽8内
には、試料9と所定距離離反しており、試料9と対向し
ていて、放出されたイオンIの到達を検出するイオン検
出器10が配置される。イオン検出器10がイオンの到達を
検出した検出信号はプリアンプ11へ入力される。プリア
ンプ11は入力された検出信号を増幅するようになってお
り、増幅した検出信号はディスクリミネータ12へ入力さ
れる。ディスクリミネータ12は、それに入力された検出
信号のうち、所定のしきい値電圧を超えた、イオンを検
出した真の信号のみを取り出して矩形波に整形してイオ
ン検出信号SDET を出力するようになっており、イオン
を検出した信号とノイズとを区別するようになってい
る。ディスクリミネータ12から出力されるイオン検出信
号S DET はタイマー4へ入力される。タイマー4はイオ
ン検出信号SDET が入力された時点までの時間を計時
し、イオン検出信号SDET が入力された時点で計時を中
止し、試料9から放出されたイオンの飛行時間が測定さ
れるようになっている。
【0023】そして、タイマー4は放出されたイオンの
十分な質量範囲を十分な質量分解能で測定するために、
測定時間範囲は少なくとも100 μsec 以上、時間分解能
は5nsec以下が望ましい。また、一つの高電圧パルスで
複数個のイオンが放出される場合があるため、タイマー
4は複数のイオン検出信号SDET を各別に入力できる、
所謂マルチチャンネルタイマーで構成されており、その
チャンネル数は8以上に選定してある。
【0024】次にこのアトムプローブ電界イオン顕微鏡
の動作を各信号のタイミングチャートを示す図2、ディ
スクリミネータの動作を説明するための図3及び測定開
始信号の波形を示す図4とともに説明する。図2、図3
及び図4はいずれも縦軸を電圧レベルVL とし、横軸を
時間Tとしている。
【0025】さて、直流保持電源7により試料9に直流
高電圧を与えている状態で、パーソナルコンピュータ1
からソースコードに記述されたコマンドが出力されイン
ターフェイス2へ入力されると、CAMAC 規格により制御
されてインターフェイス2から測定開始信号SSTART
コントローラ13へ入力され、コントローラ13からゲート
アンドディレイ発生器3へ測定開始信号SSTART が入力
される。またコントローラ13によりトリガーモジュール
5、ゲートアンドディレイ発生器3、タイマー4及びデ
ィスクリミネータ12が制御される。
【0026】そして、トリガーモジュール5からトリガ
ー信号STRG が出力されて図示していない水銀リードリ
レーが閉路して高電圧パルサー6が起動し、高電圧パル
サー6から図2(a) に示す高電圧パルスPが発生する。
この高電圧パルスPは試料9に与えられて、試料9の表
面原子がイオンとして放出される。ところで、測定開始
信号SSTART がゲートアンドディレイ発生器3へ入力さ
れたことにより、ゲートアンドディレイ発生器3から図
2(b) に示すようにゲート時間TA が遅延した時点、即
ち高電圧パルスPの振動により発生する後続のパルスが
消滅した時点、即ちゲート時間TA が経過した時点で、
測定開始信号S′START が図2(e) に示す如く出力され
てタイマー4へ入力される。
【0027】そうすると、タイマー4は図2(d) に示す
ように計時動作を禁止する禁止信号を解除し、解除時点
から各チャンネルのタイマが夫々計時を開始する。そし
て、試料9から放出されたイオンがイオン検出器10に到
達すると、イオン検出器10から検出信号を出力し、プリ
アンプ11へ入力して増幅される。増幅された検出信号は
ディスクリミネータ12へ入力される。ディスクリミネー
タ12は、それに入力された検出信号が図3(a) に示すよ
うな波形であると、しきい値電圧Vth以下になった時点
で図3(b) に示すように負のパルスであるイオン検出信
号SDET を出力する。
【0028】そして、このイオン検出信号SDET が多チ
ャンネルタイマーからなるタイマー4へ入力され、例え
ば第1チャンネルのタイマーに入力されると、そのタイ
マーは計時を中止し、一つ目のイオンの飛行時間を測定
したことになる。また、続いて、イオン検出器10に別の
イオンが到達すると、イオン検出器10の検出信号がプリ
アンプ11で増幅されて、ディスクリミネータ12へ入力さ
れ、前述したと同様にディスクリミネータ12からイオン
検出信号SDET が出力されタイマー4へ入力される。こ
のイオン検出信号SDET が第2チャンネルのタイマーに
入力されると、そのタイマーにより二つ目のイオンの飛
行時間を測定したことになる。同様にして、続いて別の
イオンがイオン検出器10に到達すると、第3チャンネル
のタイマーにより、そのイオンの飛行時間を計時する。
このようにして図2(f) に示すようにイオン検出器10へ
の到達時間が異なるイオンの飛行時間を各別に測定す
る。
【0029】その後、ゲートアンドディレイ発生器3か
ら、ゲート時間TB を経過したとき、即ち図2(g) に示
す測定終了信号SSTOPが出力されると、すべてのチャン
ネルのタイマー即ちタイマー4が計時を中止し、一つの
高電圧パルスPによるイオンの飛行時間の測定動作を終
了する。なお、トリガーモジュール5を始動してから試
料9に高電圧パルスが与えられるまで、またイオン検出
器10からの検出信号がディスクリミネータ12を経てタイ
マー4に入力されるまでに、アトムプローブ電界イオン
顕微鏡による特有のケーブルの長さ等に起因して時間遅
れが生じるが、これらの遅延時間は予めオシロスコープ
等により測定し、質量数が既知の適宜の純金属を標準試
料として分析しておくことにより、タイマー4により測
定した時間から、予め測定しておいた遅延時間及び第1
ゲート時間TA を減算することによって、イオンの実際
の飛行時間を正確に測定できる。そして、測定したイオ
ンの実飛行時間に基づいて試料の表面原子の質量数を求
めることができる。
【0030】このようにパーソナルコンピュータ1から
出力する測定開始のコマンドをインターフェイス2へ入
力して、インターフェイス2から出力される測定開始信
号S START の波形をオシロスコープにより観測すると図
4に示すように単一の矩形波パルスの波形が得られてお
り、これに基づいてタイマー4が始動するのでイオンの
飛行時間測定の時間ウインドウは一義的に規定できる。
また、従来のようなピックオフコイルによる信号のよう
に、測定開始信号S′START は、高電圧パルスの振幅に
依存しないから高電圧パルスの発生によるノイズの影響
を全くうけることがない。
【0031】したがって、本発明はタイマー4に入力す
るイオンの飛行時間の測定開始信号S′START を発生す
るゲートアンドディレイ発生器3に、高電圧パルサー6
で発生した高電圧パルスの影響を与えず、その結果、単
一の測定開始信号が高電圧パルスの振幅に依存せずに得
られて、試料から放出されるイオンの飛行時間を高精度
に測定できる。また、アトムプローブ電界イオン顕微鏡
の精度向上に大きく寄与する。
【0032】なお、本発明の実施の形態では、ソースコ
ード上にコマンドを記述したが、遅れ時間を消費するよ
うなダミーループ等をソースコード上に記述してもよい
が、ソースコードに記述されたコマンドの実行時間のず
れから発生する誤差を避けるために、ゲートアンドディ
レイ発生器を始動させるコマンドは、トリガーモジュー
ルを始動させるコマンドの直後に記述し、遅れ時間分の
調整はゲートアンドディレイ発生器の物理的な設定を変
更して行うのが良い。更に使用するコンピュータのCPU
も可及的に高速度のものが望ましく、66MHz 以上のもの
を使用するのがよい。
【0033】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、試
料に与える高電圧パルスの発生によって生じるノイズの
影響を受けてタイマーが誤始動しないから、飛行時間の
測定開始時点を一義的に決定でき、試料から放出される
イオンがイオン検出器に到達するまでのイオンの飛行時
間をタイマーによって高精度に測定できる。また、イオ
ンの飛行時間の測定精度が高く試料の表面の原子の質量
数を高精度に測定できるアトムプローブ電界イオン顕微
鏡を提供することができる等、本発明は優れた効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアトムプローブ電界イオン顕微鏡
の要部構成を示すブロック図である。
【図2】各部信号のタイミングチャートである。
【図3】ディスクリミネータの動作説明図である。
【図4】測定開始信号の波形図である。
【図5】従来のアトムプローブ電界イオン顕微鏡の要部
構成を示すブロック図である。
【図6】各部信号のタイミングチャートである。
【図7】測定開始信号の波形図である。
【符号の説明】
1 パーソナルコンピュータ 2 インターフェイス 3 ゲートアンドディレイ発生器 4 タイマー 6 高電圧パルサー 9 試料 10 イオン検出器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンピュータの制御により発生させた高
    電圧パルスを試料に与え、試料の表面原子をイオンとし
    て放出させた時点から該イオンがイオン検出器に到達す
    るまでのイオンの飛行時間を測定する方法において、 前記イオン飛行時間の測定開始時点を、前記高電圧パル
    スの発生を指令する前記コンピュータの信号に基づいて
    定めてイオンの飛行時間を測定することを特徴とするイ
    オンの飛行時間測定方法。
  2. 【請求項2】 コンピュータの制御により発生させた高
    電圧パルスを試料に与えて、試料の表面原子をイオンと
    して放出させ、該イオンの飛行時間に基づいて試料の表
    面原子の質量を測定するアトムプローブ電界イオン顕微
    鏡において、前記高電圧パルスを発生すべくコンピュー
    タから出力される信号が入力され、該信号より所定時間
    遅延した信号を出力する信号出力手段と、該信号出力手
    段から出力される信号を入力すべきタイマーとを備え、
    該タイマーが計時した時間に基づいてイオンの飛行時間
    を測定すべく構成してあることを特徴とするアトムプロ
    ーブ電界イオン顕微鏡。
JP7176379A 1995-07-12 1995-07-12 イオンの飛行時間測定方法及びアトムプローブ電界イオン顕微鏡 Pending JPH0927295A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012099226A (ja) * 2010-10-29 2012-05-24 Ayabo:Kk Tof質量分析によるhipimsスパッタ源のプラズマ解析方法及びその装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012099226A (ja) * 2010-10-29 2012-05-24 Ayabo:Kk Tof質量分析によるhipimsスパッタ源のプラズマ解析方法及びその装置

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