JPH09272819A - 熱交換器用フィン材親水化処理用組成物 - Google Patents

熱交換器用フィン材親水化処理用組成物

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JPH09272819A
JPH09272819A JP10453996A JP10453996A JPH09272819A JP H09272819 A JPH09272819 A JP H09272819A JP 10453996 A JP10453996 A JP 10453996A JP 10453996 A JP10453996 A JP 10453996A JP H09272819 A JPH09272819 A JP H09272819A
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water
composition
group
heat exchanger
fin material
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JP10453996A
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Mitsuru Nakamura
充 中村
Kazunari Hamamura
一成 浜村
Kazuya Tanaka
和也 田中
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Nihon Parkerizing Co Ltd
Original Assignee
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱交換器用フィン材に、優れた親水性、耐食
性を有し、かつ臭気発生の問題がなく、さらに成形加工
性に優れた皮膜を形成させるための親水化処理剤を提供
する。 【解決手段】 分子中にカルボキシル基、スルホ基また
はホスホノ基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体
の塩(P1)、P1と共重合可能で、かつカルボキシル
基または水酸基を有する重合性単量体(P2)、および
必要に応じP1およびP2と共重合可能で非イオン性の
エチレン性不飽和結合含有単量体(P3)を、特定比率
で共重合することによって得られる水溶性重合体
(A)、水溶性エポキシ化合物(B)、および必要に応
じポリビニルアルコールまたはその水溶性誘導体
(C)、および必要に応じ特定界面活性剤(D)、およ
び必要に応じさらなる水よりなり、各成分(A)、
(B)、(C)および(D)を特定比率で含有してなる
熱交換器用フィン材親水化処理用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱交換器用フィン
材親水化処理用組成物に関する。さらに詳しくは、本発
明は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等
を素材とする熱交換器用フィン材に、優れた親水性、耐
食性および成形加工性を付与し、かつ臭気発生の問題の
ない、熱交換器用フィン材親水化処理用組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、熱交換器のフィン材表面に施され
ている親水化処理剤は、大別して無機化合物、特にアル
カリ珪酸塩に有機高分子を付加または添加したものと、
有機高分子単独から構成されるものの2種に分けられ
る。前者は後者に比べ、優れた親水性、親水持続性を有
するため、現在市場で多く使用されている。しかし、近
年エアコンから発生する異臭の問題がクローズアップさ
れてきており、その原因は無機化合物の飛散によるもの
と推定されている。また、熱交換器の製造は、使用する
フィン材を所定の形状にプレス成形後、親水化処理を行
う方法(以下、ポストコート方式という)と、予めフィ
ン材に親水化処理を行い、その後所定の形状にプレス成
形する方法(以下、プレコート方式という)に大別され
る。ここで後者のプレコート方式により熱交換器を製造
する場合、成形加工時の加工工具の磨耗が問題となる。
特に無機化合物を含有する親水化処理剤で処理したフィ
ン材では、成形時、皮膜に強いせん断力がかかることに
より無機化合物粉末(硬度が高いSiO2が主成分)が
皮膜から離脱し、加工工具に付着し、そのため加工工具
の磨耗が早期に起こり、工具の頻繁な交換が必要となっ
てくる。
【0003】エアコン運転時に発生する異臭の制御方法
については、例えば特開平6−80852号公報に『水
分散性シリカを反応させた特定有機無機複合体、硬化
剤、水酸基含有ポリエステル、防菌防カビ剤及びエマル
ジョンを含むことを特徴とする熱交換器用親水性処理組
成物』が開示されている。また、成形加工時の加工工具
の磨耗を制御する方法については、例えば特開平4−2
78190号公報に『SiO2を含有するシリカ系親水
性表面処理を実施したフィン材において、更にその表面
に親水性高分子を設けることを特徴とするアルミニウム
フィン材』が開示されている。しかし、前者では異臭に
ついては改善されているが、水分散性シリカによる成形
加工時の工具磨耗の問題が残り、後者ではエアコンの長
期運転後、第二層の親水性高分子層が流去し、水ガラス
皮膜特有の異臭が生ずるという問題がある。このよう
に、フィン材の親水化処理に無機化合物を使用する場
合、種々の問題が生じ、たとえ前記の対策を併用し改善
を図ったとしても、完全ではなく、かつコストが上がる
という欠点がある。そこで、有機高分子のみで形成され
る親水性皮膜の開発が急務となっている。
【0004】有機高分子のみで形成される親水性皮膜の
例としては、特開平2−219876号公報に『スルホ
ン酸基を有するα,β不飽和単量体、ヒドロキシ基を有
するα,β不飽和単量体、カルボキシル基を有するα,
β不飽和単量体、アミド基を有するα,β不飽和単量体
及び含窒素不飽和単量体を重合させることを特徴とする
親水性被覆剤』が開示されている。また、特開平5−3
02042号公報に『特定のPVA、特定のポリビニル
ピロリドン混合物、水可溶性ナイロン、水可溶性フェノ
ール樹脂、非イオン性界面活性剤及び特定の抗菌剤を含
有することを特徴とする親水化表面処理剤』が開示され
ている。しかし、これらの親水化処理剤では、初期親水
性は得られるものの、親水性持続の面で無機化合物含有
親水性皮膜に及ばず、代替剤として実用化するには不十
分である。さらに、特開平1−270977号公報に
『アルミニウム親水化処理方法』が開示されている。該
方法は、特殊なポリアクリルアミドを使用することによ
り、優れた親水持続性を維持させるものだが、形成され
た皮膜は硬度が高く、プレコート方式で使用した場合、
成形性の面で不十分である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱交換器用
フィン材に、優れた親水性、耐食性を有し、かつ臭気発
生の問題がなく、さらに成形加工性に優れた皮膜を形成
させるための親水化処理剤を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を重ねた結果、特定の別々の官能基を有する単量体をい
くつか共重合させて重合体とし、これに水溶性エポキシ
化合物を配合すれば、上記課題を解決できることを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
分子中にカルボキシル基、スルホ基またはホスホノ基の
塩を有するエチレン性不飽和結合含有単量体(P1)、
P1と共重合可能で、かつカルボキシル基または水酸基
を有する重合性単量体(P2)、および必要に応じP1
およびP2と共重合可能で非イオン性のエチレン性不飽
和結合含有単量体(P3)を、P1とP2との使用比率
P1/P2=90/10〜10/90(モル比)でかつ
P3のP1+P2+P3に対する使用比率40モル%以
下で共重合することによって得られる水溶性重合体
(A)、水溶性エポキシ化合物(B)、および必要に応
じさらなる水よりなり、AとBの固形分換算重量比A/
Bが6/4〜2/8である熱交換器用フィン材親水化処
理用組成物に関する。
【0007】この親水化処理用組成物は、さらに、ポリ
ビニルアルコールまたはその水溶性誘導体(C)を固形
分換算重量比C/(A+B)=1/9〜5/5で含有す
るするのが、耐摩耗性、耐屈曲性、耐寒耐熱性、耐久性
等の皮膜性能の向上の観点から好ましい。また、上記成
分AおよびBまたは成分A、BおよびCからなる親水化
処理用組成物は、さらに、アニオン性界面活性剤および
両性界面活性剤から選ばれた少なくとも1種(D)をA
+B+C+D(固形分換算)に対して2〜30重量%含
有するのが、皮膜表面の摩擦係数を下げ、加工性を良好
にする観点から好ましい。本発明の親水化処理用組成物
は、その使用段階で、成分AおよびB、および存在させ
る場合の成分Cおよび/または成分Dが組成物中に溶解
していればよく、すなわち組成物が水溶液の状態で使用
される。かくのごとく、本発明における成分A、Bおよ
びCについて「水溶液」は組成物が水溶液の状態で使用
し得ることを意味するものとする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明の構成を詳述する。
本発明の親水化処理用組成物の必須成分である水溶性重
合体Aを構成する、分子中にカルボキシル基、スルホ基
またはホスホノ基を有するエチレン性不飽和結合含有単
量体の塩P1の該単量体としては、例えば、アクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマル酸、ビニルスルホン酸、スルホエチルアクリ
レート、スルホエチルメタクリレート、N−メチレンス
ルホン酸アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニル
ホスホン酸、ホスホノキシエチルメタクリレート等を用
いることができ、またその塩としては、例えば、ナトリ
ウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カ
ルシウム等のアルカリ土類金属塩を用いることができ
る。
【0009】水溶性重合体Aを構成するカルボキシル
基、水酸基、第1〜3級のアミド基、グリシジル基、第
1〜3級のアミノ基または第4級アンモニウム基を有す
る重合性単量体P2としては、例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フ
マル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)
アクリル酸3−ヒドロキシプロピル等のエチレン性不飽
和結合含有単量体を用いることができる。
【0010】水溶性重合体Aを構成する、任意構成成分
としての、P1およびP2と共重合可能で非イオン性の
エチレン性不飽和結合含有単量体P3としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸
2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸と炭素数1
〜12、好ましくは1〜8のアルカノールとのエステ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、酢酸ビニル、
スチレン等を用いることができる。
【0011】水溶性重合体Aを構成する成分間の使用比
率に関しては、P1とP2は、使用比率P1/P2=9
0/10〜10/90(モル比)の範囲で用いる。90
/10を超えてP1を用いると吸水性が過剰となり、皮
膜の膨潤が生じ、また、10/90を超えてP2を用い
ると親水性が発現しない。かかる観点から、P1/P2
は好ましくは80/20〜20/80(モル比)の範囲
で用いる。また、P3は使用しなくても良いが、分子量
調整の観点から使用するのが好ましい。P3の使用量は
P1+P2+P3に対し、0〜40モル%とする。40
モル%を超えると、親水性に悪影響を与える。かかる観
点から、使用する場合のP3の使用量はP1+P2+P
3に対し、0〜30モル%であることが好ましい。
【0012】本発明にいう水溶性重合体Aは、当業界で
の慣例に従い、固形分としての水溶性重合体そのものと
水溶液としての水溶性重合体の両方を包含するものと
し、両者を別個に論ずる場合には、「固形分」または
「水溶液」の語を付すものとする。 上記から明らかな
ごとく、本発明にいう水溶性重合体Aは、成分P1およ
び成分P、および必要に応じ成分P3を共重合させて得
た水溶性重合体水溶液そのものであってもよく、そこか
ら単に分離するかまたは精製単離した水溶性重合体固形
分であってもよい。すなわち、本発明の組成物中には、
水溶性重合体Aの製造に際し用いられる重合開始剤その
他の、重合に際し通常用いられる添加剤が含有されてい
ても、本発明の目的を達成するのに差支えない。
【0013】本発明にいう水溶性重合体Aの重合方法
は、特に限定されないが、通常、例えば、P1、P2お
よび必要に応じP3を水に溶解もしくは懸濁し、重合開
始剤として過硫酸カリウム等、重合促進剤としてチオ硫
酸ソーダを用いて、反応温度は50〜100℃で行う。
重合度の調整には、連鎖移動剤として第二級アルコー
ル、メルカプトコハク酸等を用いる。
【0014】かくして得られる水溶性重合体Aの分子量
については、特に制限はないが、例えば、ポリスチレン
またはポリアクリル酸エステルを標準物質として用いる
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
より、1,000〜200,000、好ましくは3,0
00〜100,000の重量平均分子量を与えるものが
適当である。
【0015】次に、水溶性エポキシ化合物Bについて説
明する。水溶性エポキシ化合物Bとしては種々のもの、
例えば必ずしもそれぞれを正確に分ける用語ではない
が、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、グリシジ
ルエステル化合物等のいずれも用いることができる。ポ
リエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリ
グリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジル
エーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテ
ル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリ
シジルトリスイソシアネート、グリセロールポリグリシ
ジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジル
エーテル等を用いることができる。ジエポキシ化合物と
しては、例えば、レゾルシンジグリシジルエーテル、ネ
オペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−
ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノー
ルSジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコー
ルジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコー
ルジグリシジルエーテル等を用いることができる。グリ
シジルエステル化合物としては、例えば、アジピン酸ジ
グリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステ
ル等を用いることができる。
【0016】本発明の熱交換器用フィン材親水化処理用
組成物中の水溶性重合体Aと水溶性エポキシ化合物Bの
固形分換算重量比A/Bは6/4〜2/8である必要が
ある。6/4を超えてAを用いると、皮膜の硬化が不十
分となり、皮膜の剥離、流去等が生じ、また2/8を超
えてBを用いると、親水性および親水性持続性が不十分
となる。かかる観点から上記比A/Bは6/4〜3/7
であることが好ましい。
【0017】本発明組成物については、上記成分A、B
および必要に応じさらなる水からなっていれば、本発明
の目的は一応達せられるが、第三成分としてポリビニル
アルコール(PVA)またはその水溶性誘導体Cが所定
量含有されている場合には、耐磨耗性、屈曲性、耐寒耐
熱性、耐久性等の皮膜性能を向上させることができる。
これらの性能の向上は、親水性皮膜形成後にフィン材の
成形加工を行うプレコート方式で熱交換器を製造する場
合に、特に望ましいことである。ポリビニルアルコール
は、式
【0018】
【化1】
【0019】で示される重合体で、その加水分解の程度
により、完全けん化物、準完全けん化物、部分けん化物
等と呼ばれているが、そのいずれも本発明で使用可能で
ある。すなわち、けん化の程度は、特に限定されない
が、約90%〜100%、特に約95%〜100%が好
ましい。
【0020】ポリビニルアルコールの誘導体としては、
一般に、アニオン変性PVA、活性メチレン変性PVA
等が知られているが、水溶性のものであればいずれも使
用可能である。すなわち、アニオン変性PVAとして
は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン
酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエ
チルホスホン酸、(メタ)アクリル酸エステル等の顕在
的または潜在的にカルボキシル基、スルホ基またはホス
ホノ基を有する重合性単量体と酢酸ビニルの共重合体を
加水分解することによって得られる、カルボキシル基、
スルホ基またはホスホノ基を有するPVAが挙げられ
る。アニオン変性PVAとしては、また、PVAのスル
ホン酸エステル、リン酸エステル等も用いることができ
る。活性メチレン変性PVAとしては、PVAとジケテ
ンとの反応物等を用いることができる。また、上記重合
性単量体の他に、スチレン、アクリロニトリル、ビニル
エーテルその他の非イオン性の重合性単量体も水溶性を
害さない程度に、酢酸ビニルと共重合させることも可能
であり、さらに、上述の種々の重合性単量体の2種以上
と酢酸ビニルとの共重合体の使用も可能である。上記に
おける変性の程度は、成分Cの水溶性が損なわれず、上
述した成分Cの添加目的に寄与し、かつ皮膜の他の求め
られる性質を害さない限り、制限はない。
【0021】ポリビニルアルコールまたはその水溶性誘
導体Cの分子量については、特に限定されないが、標準
物質としてポリエチレングリコールを用いるゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(GPC)により、5,
000〜200,000、好ましくは10,000〜1
00,000の重量平均分子量を与えるものが適当であ
る。ポリビニルアルコールまたはその水溶性誘導体Cを
用いる場合、その配合量は、固形分換算重量比C/(A
+B)として1/9〜5/5であることが好ましい。成
分Cの配合量が1/9より少ない場合には、その添加効
果が生ぜず、5/5より多い場合には、形成皮膜の親水
性および親水性持続性が不十分となる。
【0022】本発明組成物については、前述のごとく、
上記成分A、Bおよび必要に応じさらなる水からなって
いれば、本発明の目的は一応達せられるが、第三成分と
して、または第三成分としてのポリビニルアルコールま
たはその水溶性誘導体Cに追加する第四成分として、ア
ニオン性界面活性剤および両性界面活性剤から選ばれた
少なくとも1種Dが所定量含有されている場合には、皮
膜表面の摩擦係数を下げ、潤滑性を向上させることがで
きる。かかる性能の向上は、親水性皮膜形成後にフィン
材の成形加工を行うプレコート方式で熱交換器を製造す
る場合に、特に望ましいことである。
【0023】アニオン性界面活性剤は、親水基がカルボ
ン酸塩部分、硫酸エステル部分、スルホン酸塩部分、リ
ン酸エステル塩部分等であれば良く、例えば、セッケ
ン、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエー
テル硫酸エステル塩、アルキルアリルスルホこはく酸
塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホ
ン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等を用いるこ
とができる。両性界面活性剤は、疎水基にカチオンとア
ニオンの両方が結合しているものであれば良く、例え
ば、ラウリルアミノプロピオン酸メチル、ラウリルアミ
ノプロピオン酸ナトリウム等のアミノ酸型両性界面活性
剤、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベ
タイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等のベタ
イン型両性界面活性剤等を用いることができる。
【0024】アニオン性界面活性剤および両性界面活性
剤から選ばれた少なくとも1種Dを用いる場合、その配
合量は、A+B+C+D(固形分換算)に対して2〜3
0重量%であることが好ましい。この配合量が2重量%
未満では、潤滑性の向上効果が十分発現されず、30重
量%を越えると、熱交換器のフィン材表面に泡が生じ飛
散するため、環境上好ましくない。かかる観点から、成
分Dの配合量は、A+B+C+D(固形分換算)に対し
て5〜20重量%であることがさらに好ましい。
【0025】本発明の熱交換器用フィン材親水化処理用
組成物中の溶媒としては、水を使用するが、塗布後の焼
き付け速度の調節や、塗装状態の改善のために、メタノ
ール、エタノール等の水溶性アルコール、アセトン等の
水溶性ケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等
のセロソルブ等の水溶性溶剤を本組成物に対し、5重量
%以下の範囲で併用してもよい。
【0026】本発明組成物の粘度および固形分濃度は、
該組成物を熱交換器用フィン材表面に塗布し、焼き付け
した後の皮膜量が0.05〜2g/m2の範囲となるよ
うにすることができ、かつ親水性皮膜を均一に形成し得
るような粘度および固形分濃度であればよい。皮膜量が
0.05g/m2未満では、フィン材表面を均一に被覆
することが困難であり、親水性が十分発現しない。ま
た、2g/m2より大であると、組成物コストが高くつ
き好ましくない。
【0027】本発明組成物はポストコート方式のフィン
材(熱交換器の、例えば、エバポレーターの形状に組み
立てられている)およびプレコート方式のフィン材のい
ずれにも適用できる。本発明組成物を適用し得る熱交換
器用フィン材の材質は、特に限定されるものではなく、
例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金
等のいずれであってもよい。また、これらのフィン材
は、塗布型クロメート処理、リン酸クロメート処理、ジ
ルコニウム系化成処理、チタニウム系化成処理等を予め
施したものであっもよい。 なお、本発明組成物の適用
に際しては、通常それに先立って、常法により脱脂、水
洗、乾燥を行う。本発明組成物は、通常の塗布方法、例
えば浸漬、噴霧、ロールコート、フローコート等によ
り、熱交換器用フィン材に塗布することができる。本発
明組成物の塗布後、焼き付けを行う。この焼き付けは、
水溶性エポキシ化合物Bのグリシジル基が開環し、重合
性単量体P2の官能基と化学結合する温度以上で行えば
よく、通常熱風により100〜300℃で5秒〜20分
行うのが適当である。
【0028】
【作用】本発明の親水化処理用組成物の必須成分である
水溶性重合体A中のカルボキシル基または水酸基と水溶
性エポキシ化合物Bのグリシジル基とが加熱により化学
結合して三次元網目構造を生じ、皮膜の耐水性が向上す
ると考えられる。また、加熱によるグリシジル基が開環
し、一方の水酸基は他の官能基と反応し、他方の水酸基
はフィン材と結合し、これにより皮膜とフィン材との間
の強固な密着性が付与され、その結果、例えば、過酷な
成形を受けた場合においても、成形不良の問題を生じな
くなるものと考えられる。更に、カルボキシル基、スル
ホ基またはホスホノ基を有する単量体の塩P1が存在す
ることにより、皮膜に優れた親水性が付与される。
【0029】本発明の親水化処理用組成物に、任意成分
としての、ポリビニルアルコールまたはその水溶性誘導
体Cを配合する場合には、これが親水性皮膜中に存在す
ることにより、ソフトで伸縮性に富んだ弾力性のある皮
膜が得られ、耐磨耗性、耐屈曲性、耐寒耐熱性、耐久性
等の皮膜性能を向上させることができる。本発明の親水
化処理用組成物に、任意成分としての、アニオン性界面
活性剤および両性界面活性剤から選ばれた少なくとも1
種Dを配合する場合には、Dは皮膜形成時に親水性皮膜
表面に速やかにブリードし、皮膜表面の摩擦係数を下げ
る効果がある。そのため、成形加工時の加工工具の焼き
付けが抑制され、より円滑な成形加工が可能となる。成
分CやDの配合は、プレコート、ポストコートいずれの
場合に行うこともできるが、その効果から、プレコート
の場合に特に好ましい。
【0030】
【実施例】以下、実施例を比較例と共に示し、本発明の
内容をより具体的に説明する。実施例、比較例における
親水化処理用組成物の調製、供試材の親水化処理方法お
よび性能試験方法は、次の通りである。 1.親水化処理用組成物の調製 実施例および比較例に用いた親水化処理用組成物の組成
を表1に示す。親水化処理用組成物中の水溶性重合体A
は、下記の重合方法により得た。すなわち、P1、P2
およびP3を予め規定量精秤し、脱塩水に溶解し、重合
開始剤として過硫酸カリウム、重合促進剤としてチオ硫
酸ソーダを用い、反応温度60〜70℃で6時間重合を
行った。なお、重合度は連鎖移動剤として第二級アルコ
ールを用いて調整した。このようにして得られた重合物
を脱塩水により20重量%に調整して、水溶性重合体A
を作成した。この水溶性重合体A、水溶性エポキシ化合
物(B)、必要に応じポリビニルアルコールまたはその
水溶性誘導体(C)、および必要に応じ界面活性剤
(D)を表1に記載した組成で配合し、親水化処理用組
成物を作成した。
【0031】2.供試材の親水化処理方法 供試材としては、アルミニウム製熱交換器用エバポレー
ターとJIS−A1200のアルミニウム製フィン材
(厚さ0.1mm、幅200mm、長さ250mm)を
使用した。供試材の処理方法および処理条件を表2およ
び表3に示す。
【0032】3.試験方法 (1)接触角 親水性皮膜形成後の供試材表面に5μlの純水を滴下
し、この小水滴の接触角をFACE接触角計CA−P型
(協和界面科学(株)製)を用いて測定した。形成直後
の(=焼き付け直後の)親水性皮膜、および流水浸漬8
時間、80℃乾燥16時間を1サイクルとして5サイク
ル後の皮膜について、それぞれ測定した。
【0033】(2)耐水性 流水浸漬24時間後の皮膜減少量を重量法により算出し
た。
【0034】(3)摩擦係数 成形加工に際しての潤滑性を評価するために、親水性皮
膜形成後の供試材表面の摩擦係数をバウデン式摩擦係数
測定機EFM−4(東洋ボールドウイン(株)製)を用
いて測定した。 <試験条件> 荷重:100g、3mmφ鋼球、無塗油、ストローク:10mm しゅう動速度:1mm/sec <評価基準> ◎…摩擦係数0.2未満 ○…0.2以上0.3未満 △…0.3以上0.5未満 ×…0.5以上
【0035】(4)臭気試験 皮膜の臭気について5人のパネラーによる官能試験を実
施した。形成直後の親水性皮膜および流水浸漬24時間
後の親水性皮膜について、それぞれ実施した。
【0036】(5)加工性 20万ショットの成形加工後、フィンカラー部の状態に
より、下記に示す評価を行った。
【0037】以上の試験手順で評価を行った結果を表4
に示す。表4には、ポストコート処理とプレコート処理
の2種の処理方法により親水性皮膜を形成し、性能評価
を行った結果が示されている。本発明の親水化処理用組
成物により処理された供試材(実施例1〜12)は、親
水性、耐水性が良好で、臭気がなかった。また、実施例
3〜12に示すようにプレコート処理の場合に、摩擦係
数が低く、加工性が良好であった。他方、比較例に関し
ては、ポストコート処理の場合、比較例1に示した従来
の無機系親水化処理剤では、親水性、親水持続性は良好
であったが、無機系皮膜特有のセメント臭が感じられ、
特に流水浸漬後に強く感じられた。また、プレコート処
理の場合、比較例2に示す通り、従来の有機系親水化処
理剤では、親水性が初期は良好であったが、乾湿サイク
ル後に接触角の大幅な上昇(=親水性の大幅な低下)が
見られた。また、皮膜の摩擦係数が高く、加工性が劣っ
ていた。比較例3および5は、水溶性重合体A中にP2
成分が含まれない場合であるが、皮膜の硬化が不十分で
あるため、流水浸漬により皮膜が流去した。比較例4
は、水溶性重合体A中にP1成分が含まれない場合であ
るが、初期および乾湿サイクル後の親水性が劣ってい
た。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】上述のように、本発明の熱交換器用フィ
ン材親水化処理用組成物を用いて形成された親水性皮膜
は、乾湿サイクル後においても優れた親水性を有してお
り、無機化合物含有親水性皮膜と同等の親水性を示し、
かつ臭気がなかった。また、プレコート処理の場合に
は、さらに、成分Dを含有する上記組成物を用いて形成
された親水性皮膜については、皮膜の摩擦係数が低いた
め、円滑な成形加工が可能であった。上記のごとく、本
発明の親水化処理用組成物は、実用的価値が極めて高い
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 163/00 PKD C09D 163/00 PKD

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中にカルボキシル基、スルホ基また
    はホスホノ基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体
    の塩(P1)、P1と共重合可能で、かつカルボキシル
    基または水酸基を有する重合性単量体(P2)、および
    必要に応じP1およびP2と共重合可能で非イオン性の
    エチレン性不飽和結合含有単量体(P3)を、P1とP
    2との使用比率P1/P2=90/10〜10/90
    (モル比)でかつP3のP1+P2+P3に対する使用
    比率40モル%以下で共重合することによって得られる
    水溶性重合体(A)、水溶性エポキシ化合物(B)、お
    よび必要に応じさらなる水よりなり、AとBの固形分換
    算重量比A/Bが6/4〜2/8である熱交換器用フィ
    ン材親水化処理用組成物。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコールまたはその水溶
    性誘導体(C)を固形分換算重量比C/(A+B)=1
    /9〜5/5で含有する請求項1記載の熱交換器用フィ
    ン材親水化処理用組成物。
  3. 【請求項3】 アニオン性界面活性剤および両性界面
    活性剤から選ばれた少なくとも1種(D)をA+B+C
    +D(固形分換算)に対して2〜30重量%含有する請
    求項1または2記載の熱交換器用フィン材親水化処理用
    組成物。
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