JPH09271904A - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents

連続鋳造用鋳型

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JPH09271904A
JPH09271904A JP11110696A JP11110696A JPH09271904A JP H09271904 A JPH09271904 A JP H09271904A JP 11110696 A JP11110696 A JP 11110696A JP 11110696 A JP11110696 A JP 11110696A JP H09271904 A JPH09271904 A JP H09271904A
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layer
mold
thermal
copper
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JP11110696A
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Hitoshi Tanno
仁 丹野
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メニスカス近傍で溶鋼を緩冷却でき、下部近
傍の磨耗を防止できる鋳型は存在しなかった。 【解決手段】 銅又は銅合金製の鋳型1の内表面に金属
メッキあるいは金属系溶射によるボンドコートとしての
第一被膜層3aを形成し、この第一被膜層3aの上面に
熱伝導率が15〜25kcal/mhr℃の金属系合金
の溶射層からなる第二被膜層3bを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅又は銅合金製の
連続鋳造用鋳型に係り、特に鋳型内壁面の構造を改良し
た連続鋳造用鋳型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属の連続鋳造に用いる鋳型とし
ては、銅又は銅合金製の鋳型、内表面にNiメッキを施
した銅又は銅合金製鋳型、あるいは内表面にNi−Fe
又はNiメッキを施しその上面にCrメッキを施した銅
又は銅合金製鋳型が知られている。
【0003】これらの鋳型を用いて鋳片を連続鋳造する
際には、鋳型の内壁面と鋳片との摩擦により、特に溶鋼
静圧の大きい鋳型内壁面の下部に磨耗が生じ易く、これ
が鋳型の寿命律束要因となっている。したがって、鋳型
寿命を長期化する対策として、溶鋼と接する表面積の少
ない鋳型短辺においては、その下部内表面にボンドコー
トとしてNiメッキ層を形成し、このメッキ層の上面に
これより硬度の高い溶射被膜を形成している。そして、
バーナ等で溶射被膜を熱処理して溶融させることによ
り、溶射被膜と銅又は銅合金との密着性を確保してその
剥離を防止している。この熱処理により、銅又は銅合金
の内表面に積層したNiメッキ層と溶射被膜との間に
は、拡散層が形成される。
【0004】例えば、特公昭61−15782号公報に
おいては、銅合金製鋳型の内表面にNi、Ni−Fe、
Ni−CoあるいはNi−Mnのメッキ層を形成し、そ
の脱水素を主たる目的として300〜400℃で熱処理
した後、Ni系あるいはNi−Cr系自溶性合金を溶射
し、次いで930〜950℃に加熱して溶体化処理した
後急冷し、時効処理を行うことが開示されている。
【0005】しかし、溶鋼と接する表面積の大きい鋳型
長辺については、溶射被膜を溶融する際の熱処理によっ
て銅又は銅合金製鋳型が変形するため、その内表面に溶
射被膜を形成することは行われていない。
【0006】また、鋳片を連続鋳造する際には、一般的
に鋳型内溶鋼上面にパウダーを供給して、鋳型内壁面に
沿って流入させ、鋳型内壁面と溶鋼間の潤滑剤として機
能させることが行われている。この際、パウダー流入量
の不均一のために、凝固シェル厚みが不均一となり、鋳
片に割れが発生して品質が悪化する場合がある。このよ
うな不都合な現象の発生を防止するためには、凝固シェ
ルを均一に生成させる必要がある。そのため、鋳型内で
溶鋼を凝固させるに際して、溶鋼を緩冷却したり、幅方
向の冷却むらを防止することが提案されている。
【0007】例えば、特開平01−224142号公報
においては、銅製鋳型本体の溶鋼メニスカス相当部及び
その近傍に耐熱材料製内筒を内挿するとともに、この内
筒と銅製鋳型本体との間に粉粒状物質または液状物質の
充填層を設けることが開示されており、また、特願平0
5−107259号公報においては、銅製鋳型内面に特
定の厚さ及び熱伝導率を有するセラミックス板を密着し
て貼り付ける等の提案がなされている。
【0008】これらにおいては、凝固シェル厚さの均一
化や緩冷却化のため、鋳型内のメニスカス近傍に、熱抵
抗材料として耐熱材料製内筒(ステンレス鋼、アルミナ
グラファイト、フューズドシリカ)を挿入することやセ
ラミックス板を貼り付けることが提案されているが、例
えば大型のスラブ鋳片を鋳造する場合には、鋳型の長辺
側が大面積になるため、セラミックスによる一枚施工は
困難であることから、タイル状に形成した複数枚のセラ
ミックス板を接着剤等で貼り付けることが必要であり、
施工の作業負担が大きくなる。
【0009】また、セラミックスを貼り付けた目地部に
おいて、鋳片冷却能が変化して凝固シェルを均一生成す
ることが難しくなる。さらに、セラミックスは熱伝導率
が小さいため、急激に溶鋼に浸漬した場合、表裏面での
温度差が大きくなり、大きな熱応力が生じて割れが発生
することは避けられない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、連続
鋳造用鋳型のメニスカス近傍は溶鋼が最初に凝固すると
ころであるので、凝固シェルを均一に成長させて表面性
状の良好な鋳片を得るためには、メニスカス近傍におい
て溶鋼を緩冷却する必要がある。また、連続鋳造用鋳型
の寿命律束要因は鋳型内壁面の下部近傍が磨耗し易いこ
とにあるので、下部近傍の磨耗対策を行う必要がある。
【0011】しかし、既存の連続鋳造用鋳型には、メニ
スカス近傍と下部近傍とにおける異なる要求を簡単な構
造で満足する鋳型は存在しなかった。
【0012】本発明の第1の目的は、上記課題に鑑み、
銅又は銅合金製鋳型のメニスカス近傍の内表面に緩冷却
機能に優れる溶射被膜を形成し、鋳片を連続鋳造する際
に溶融パウダーの均一流入を促し、凝固シェルを均一に
成長させて表面性状の良好な鋳片を得ることができる連
続鋳造用鋳型を提供することにある。また、本発明の第
2の目的は、銅又は銅合金製鋳型の下部近傍の内表面に
高硬度な溶射被膜を形成し、寿命律束要因である下部近
傍の磨耗を防止し、長寿命な連続鋳造用鋳型を提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明に係る連続鋳造用鋳型は、銅又は銅合金製の鋳型
の内表面に金属メッキあるいは金属系溶射によるボンド
コートとしての第一被膜層を形成し、この第一被膜層の
上面に熱伝導率が15〜25kcal/mhr℃の金属
系合金の溶射層からなる第二被膜層を形成したものであ
る。
【0014】上記第二被膜層を形成したときの硬度は、
ビッカース硬度で600Hv以上を示すものである。
【0015】好ましくは、上記第二被膜層が、Co系合
金または自溶性Ni−Cr系合金の溶射層により形成さ
れているものである。
【0016】また、好ましくは、上記第二被膜層は、そ
のメニスカス近傍領域の熱抵抗Rが5.9≦R≦33.
3を満足すると共に、その下部近傍領域の熱抵抗Rが1
1.8≦R≦66.7を満足し、かつメニスカス近傍と
下部近傍の間に位置する中央領域の熱抵抗Rがこれらの
中間値を示すものである。ただし、R=δ/λであり、
λは熱伝導率(kcal/mhr℃)、δは被膜厚み
(μm)である。
【0017】さらに、好ましくは、上記第二被膜層は、
そのメニスカス近傍領域の厚みが100〜500μmの
範囲で形成され、その下部領域の厚みが200〜100
0μmの範囲で形成されるものである。
【0018】本発明によれば、銅又は銅合金製鋳型の内
表面にボンドコートとしての第一被膜層を形成し、この
第一被膜層の上面に金属系合金の溶射層からなる第二被
膜層を形成している。この第二被膜層は、例えばCo系
合金または自溶性Ni−Cr系合金の溶射層により形成
され、その熱伝導率は15〜25kcal/mhr℃の
範囲にある。
【0019】第二被膜層の熱伝導率が上記範囲にあるこ
とにより、連続鋳造時にメニスカス近傍において溶鋼が
緩冷却されるので、凝固シェルの均一な生成が促進さ
れ、表面性状の良好な鋳片が得られる。特に、第二被膜
層のメニスカス近傍の熱抵抗Rが5.9≦R≦33.3
を満足する場合に、均一な凝固シェルが生成されるもの
である。
【0020】また、第二被膜層を形成したときの硬度
は、ビッカース硬度で600Hv以上を示すので、鋳型
内表面の下部近傍の磨耗が防止されるものである。特
に、第二被膜層の下部近傍の熱抵抗Rが11.8≦R≦
66.7を満足する場合に、鋳型寿命の長期化が達成さ
れるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明
に係る連続鋳造用鋳型の一実施形態を示す斜視図であ
り、図2は、本実施形態の連続鋳造用鋳型の一部を示す
断面図である。図1において、1は銅板又は銅合金板か
らなる鋳型(以下、単に「銅製鋳型」と称するが、銅合
金製鋳型を含むものである。)で、この銅製鋳型1の背
面には、これを補強すると共に冷却するための冷却箱2
が配設されている。したがって、冷却箱2は、冷却水を
供給・排出する構造を有している。
【0022】4は溶鋼であり、取鍋からタンディシュ及
びノズルを経て銅製鋳型1内に注入される。銅製鋳型1
内に注入された溶鋼4の湯面上には、パウダーが投入さ
れ、このパウダーは溶鋼4の熱により溶融してパウダー
層5を形成し、銅製鋳型1の内壁面と銅製鋳型1により
冷却されて形成される凝固シェル6間に流入して潤滑剤
として機能することになる。
【0023】本発明においては、メニスカス近傍領域7
における銅製鋳型1の内壁面と凝固シェル6間へのパウ
ダーの流入を均一化して、溶鋼の緩冷却化を図り、鋳片
の表面欠陥の発生を防止すると共に、下部近傍領域8に
おける銅製鋳型1の磨耗を防止すべく、銅製鋳型1の内
壁面に2層からなる被膜層3が形成されている。
【0024】被膜層3は、図2に示すように、銅製鋳型
1を形成する銅板の内表面に均一に形成されている。こ
の被膜層3は、金属メッキまたは金属系溶射層からなる
第一被膜層3aと、溶鋼を緩冷却するための断熱性およ
び熱抵抗性を有する金属系溶射層からなる第2被膜層3
bとから形成されている。
【0025】第一被膜層3aは、銅製鋳型1を構成する
銅板と金属系溶射層からなる第二被膜層3bとの密着力
を確保するボンドコート層として機能させるもので、N
iメッキ、Ni−Pメッキ、Ni−Bメッキ等のメッキ
層、あるいは80Ni20Cr、NiCrAlY、Co
CrAlY、NiCoCrAlY等の金属系溶射層のよ
うに、銅板と第2被膜層との密着力に優れたメッキ層、
溶射層で形成することが望ましい。
【0026】また、第一被膜層3aの被膜厚みは約20
0μm程度に形成することが好ましく、メッキ法には電
気メッキを採用し、溶射法にはガス溶射を採用している
が、これに限るものではない。
【0027】第二被膜層3bは、断熱層および熱抵抗層
として機能させるもので、後述する理由からCo系合
金、あるいはNi−Cr系自溶性合金の溶射層で形成す
ることが好ましい。なお、溶射法にはガス溶射を採用し
ているが、これに限るものではない。
【0028】また、第二被膜層3bの被膜厚みは約20
0〜500μm程度に形成することが好ましく、その熱
伝導率は15〜25kcal/mhr℃の範囲にあるこ
とが好ましい。第二被膜層3bの熱伝導率は、図3に示
す被膜の熱伝導率と衝撃試験によるクラックの発生の関
係、及び後述する表1及び表2によって、15〜25k
cal/mhr℃の範囲に設定される。このように第二
被膜層3bの熱伝導率を15〜25kcal/mhr℃
の範囲に設定するのは、図3に示すように被膜材質の熱
伝導率が15未満であると第二被膜層3bに割れが生
じ、表1及び表2に示すように熱伝導率が25を超える
と純金属に近づくので、所望の硬度が得られないからで
ある。したがって、第二被膜層3bは、CoCrAl
Y、CoCrAlY−Y2 3−CrB、10Ni−5
5Co−23Cr等のCo系合金、あるいはNi−Cr
系自溶性合金の溶射層で形成することが好ましい。
【0029】さらに、図4に示す被膜の硬度と比磨耗量
の関係によって、第二被膜層3bを形成したときの硬度
は、ビッカース硬度で600Hv以上を示すことが好ま
しい。600Hv以上を要求するのは、銅製鋳型1の下
部近傍領域8における耐磨耗性を確保するためである。
上記CoCrAlY、CoCrAlY−Y2 3 −Cr
B、10Ni−55Co−23Cr等のCo系合金、あ
るいはNi−Cr系自溶性合金の溶射層は、いずれもビ
ッカース硬度で600Hv以上を示している。
【0030】また、適度に緩冷却して均一な凝固シェル
の生成を確保するためには、第二被膜層3bのメニスカ
ス近傍領域7における熱抵抗Rは、5.9≦R≦33.
3を満足することが好ましい。ただし、R=δ/λであ
り、λは熱伝導率(kcal/mhr℃)、δは被膜厚
み(μm)である。メニスカス近傍領域7の熱抵抗Rを
5.9≦R≦33.3に設定するのは、熱抵抗Rが5.
9未満では緩冷却効果が小さく均一な凝固シェルが生成
されず、熱抵抗Rが33.3を超えると冷却が不十分で
凝固シェルが生成されないからである。
【0031】さらに、銅製鋳型1の寿命の長期化を確保
するためには、第二被膜層3bの下部近傍領域8におけ
る熱抵抗Rは、11.8≦R≦66.7を満足すること
が好ましい。同様に、R=δ/λであり、λは熱伝導率
(kcal/mhr℃)、δは被膜厚み(μm)であ
る。下部近傍領域8の熱抵抗Rを11.8≦R≦66.
7に設定するのは、熱抵抗Rが11.8未満では第二被
膜層3bが磨耗・剥離して寿命が短く、熱抵抗R=6
6.7程度に溶射の積層限界があるからである。
【0032】そして、メニスカス近傍と下部近傍の間に
位置する中央領域9の熱抵抗Rは、メニスカス近傍領域
7と下部近傍領域8の中間値を示すものである。
【0033】
【実施例】
〔実施例1〕下記表1に示す試料1〜30を対象とし
て、被膜層3の特性を確認すべく、種々の評価試験を行
った。
【0034】
【表1】
【0035】表1において、試料1〜7は、ボンドコー
ト(第一被膜層)としてNiメッキ層を200μm形成
し、トップコート(第二被膜層)としてCoCrAlY
の溶射層を夫々50,100,200,300,50
0,750,1000μm形成したものである。
【0036】試料8〜14は、ボンドコートとして80
Ni−20Crの溶射層を200μm形成し、トップコ
ートとしてNi−CrSFA/RT(SFA:自溶性合
金、RT:非熱処理)の溶射層を夫々50,100,2
00,300,500,750,1000μm形成した
ものである。
【0037】試料15〜21は、ボンドコートとしてN
iメッキ層を200μm形成し、トップコートとしてN
i−CrSFA/RT(SFA:自溶性合金、RT:非
熱処理)の溶射層を夫々50,100,200,30
0,500,750,1000μm形成したものであ
る。
【0038】試料16〜28は、ボンドコートとしてN
iメッキ層を200μm形成し、トップコートとしてN
iの溶射層を夫々50,100,200,300,50
0,750,1000μm形成したものである。なお、
試料30は、Niメッキ層のみを形成した比較材であ
る。
【0039】上記試料1〜30を対象として、溶鋼浸漬
試験による被膜密着性、熱伝導率測定による熱抵抗特性
の評価試験を行った。溶鋼浸漬試験では、10kg誘導
溶解炉中の溶鋼(1555℃、中炭素鋼)に上記試料1
〜30の態様で被膜を表面に形成した銅板(100mm
長さ×100mm幅×10mm厚み)を、パウダーを投
入した溶鋼中に2秒間浸漬した後、被膜表面を観察し
た。被膜の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法にて測定
した。
【0040】凝固シェル均一度は、浸漬試験後の銅板に
付着生成した凝固シェルの厚みを測定することにより、
凝固シェル均一度=(最薄凝固シェル厚/平均凝固シェ
ル厚)で評価した。銅板表面にNiメッキ層のみを形成
した場合の凝固シェルの均一度は、0.7であった。上
記の評価試験結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】この評価試験結果において、被膜のクラッ
ク発生や剥離がなく、凝固シェル均一度が比較材の0.
7よりも向上している被膜材質は、Niメッキ層上にC
oCrAlY溶射層を積層した被膜層(No.2〜
5)、80Ni−20Cr溶射層上にNi−CrSFA
/RT溶射層を積層した被膜層(No.9〜12)、N
iメッキ層上にNi−CrSFA/HT溶射層を積層し
た被膜層(No.16〜19)であり、いずれもトップ
コートの被膜厚みは100〜500μmであった。
【0043】これに対し、Niメッキ層上にNi溶射層
を積層した被膜層(No.22〜28)は、被膜のクラ
ック発生や剥離がなく、凝固シェル均一度が比較材より
も向上しているものも存在するが、硬度がビッカース硬
度で300Hvと低い値を示した。これより、図4との
関連で説明したトップコートの熱伝導率15〜25kc
al/mhr℃の上限が規制されることになる。
【0044】〔実施例2〕次に、この溶鋼浸漬試験を踏
まえて、被膜密着性、熱伝導率、熱抵抗特性について良
い結果が得られると想定される被膜材質の組合せを選択
し、下記表3に示す試料101〜137を対象として被
膜特性について評価試験を行った。
【0045】
【表3】
【0046】表3において、試料101〜107は、ボ
ンドコート(第一被膜層)としてNiメッキ層を200
μm形成し、トップコート(第二被膜層)としてNi−
CrSFA/RT(SFA:自溶性合金、RT:非熱処
理)の溶射層を夫々50,100,200,300,5
00,750,1000μm形成したものである。
【0047】試料108〜114は、ボンドコートとし
て80Ni−20Crの溶射層を200μm形成し、ト
ップコートとしてNi−CrSFA/RTの溶射層を夫
々50,100,200,300,500,750,1
000μm形成したものである。
【0048】試料115〜121は、ボンドコートとし
てNiメッキ層を200μm形成し、トップコートとし
てCoCrAlYの溶射層を夫々50,100,20
0,300,500,750,1000μm形成したも
のである。
【0049】試料122〜128は、ボンドコートとし
てNiメッキ層を200μm形成し、トップコートとし
てCoCrAlY−Y2 3 −CrBの溶射層を夫々5
0,100,200,300,500,750,100
0μm形成したものである。
【0050】試料130〜136は、ボンドコートとし
てNiメッキ層を200μm形成し、トップコートとし
て10Ni−55Co−23Crの溶射層を夫々50,
100,200,300,500,750,1000μ
m形成したものである。
【0051】なお、試料137は、Niメッキ層のみを
形成し、鋳型上端厚みを200μm、鋳型下端厚みを1
000μmとして、これらの間をテーパ状厚みにした比
較材である。
【0052】この評価試験を行う連続鋳造では、鋳型は
銅製で250mm(厚)×1200mm(幅)のものを
用い、鋳造速度2.5m/minで中炭素鋼を鋳造し
た。被膜層は、銅製鋳型1の内表面におけるメニスカス
近傍領域7、下部領域8及びこれらの間に位置する中央
部領域9の全ての領域に形成した。すなわち、図2に示
したように、銅製鋳型1の銅板の内表面にボンドコート
としてNiメッキまたは80Ni−20Cr溶射によっ
て厚さ200μmの第1被膜層3aを形成し、この第1
被膜層3aの上面に、緩冷却のための断熱層および熱抵
抗層としてCo系合金またはNi−Cr系合金の溶射に
よる厚さ50,100,200,300,500,75
0,1000μmの第2被膜層3bを形成した。
【0053】この評価試験結果において、メニスカス近
傍領域7については被膜のクラック発生や剥離がなく、
鋳片品質が比較材よりも良好な試料は、Niメッキ層上
にNi−CrSFA/RT溶射層を積層した被膜層では
No.102〜105、80Ni−20Cr溶射層上に
Ni−CrSFA/RT溶射層を積層した被膜層ではN
o.109〜112、Niメッキ層上にCoCrAlY
溶射層を積層した被膜層ではNo.116〜119、N
iメッキ層上にCoCrAlY−Y2 3 −CrB溶射
層を積層した被膜層ではNo.123〜126、Niメ
ッキ層上に10Ni−55Co−23Cr溶射層を積層
した被膜層ではNo.131〜134であり、いずれも
トップコートの被膜厚みは100〜500μmであっ
た。
【0054】したがって、メニスカス近傍領域7に要求
される熱抵抗Rは、5.9≦R≦33.3の範囲にある
ことが判る。ただし、R=δ/λであり、λは熱伝導率
(kcal/mhr℃)、δは被膜厚み(μm)であ
る。
【0055】次に、下部領域8については磨耗状況が浅
い擦り傷程度であり、比較材よりも良好な試料は、Ni
メッキ層上にNi−CrSFA/RT溶射層を積層した
被膜層ではNo.103〜107、80Ni−20Cr
溶射層上にNi−CrSFA/RT溶射層を積層した被
膜層ではNo.110〜114、Niメッキ層上にCo
CrAlY溶射層を積層した被膜層ではNo.117〜
121、Niメッキ層上にCoCrAlY−Y2 3
CrB溶射層を積層した被膜層ではNo.124〜12
8、Niメッキ層上に10Ni−55Co−23Cr溶
射層を積層した被膜層ではNo.132〜136であ
り、いずれもトップコートの被膜厚みは200〜100
0μmであった。
【0056】したがって、下部領域8に要求される熱抵
抗Rは、11.8≦R≦66.7の範囲にあることが判
る。ただし、R=δ/λであり、λは熱伝導率(kca
l/mhr℃)、δは被膜厚み(μm)である。
【0057】なお、本発明は、この実施例に限定される
ものではなく、請求項1乃至4を満足する範囲で、被膜
の形状、配置、形成条件等については、公知の手段で代
替することが可能ある。
【0058】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る連続鋳
造用鋳型によれば、銅又は銅合金製鋳型のメニスカス近
傍の内表面に緩冷却機能に優れる溶射被膜を形成するこ
とにより、溶融パウダーの均一流入を促し、凝固シェル
を均一に成長させて表面性状の良好な鋳片を得ることが
でき、かつ下部近傍の内表面にも高硬度な溶射被膜を形
成することにより、寿命律束要因である下部近傍の磨耗
を防止することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る連続鋳造用鋳型の一実施形態を示
す斜視図である。
【図2】本実施形態の連続鋳造用鋳型の一部の拡大断面
を示す概略図である。
【図3】本発明に係る連続鋳造用鋳型において、被膜の
熱伝導率と衝撃試験によるクラックの発生の関係を示す
図である。
【図4】本発明に係る連続鋳造用鋳型において、被膜の
硬度と比磨耗量の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 鋳型 2 冷却箱 3 被膜層 3a 第一被膜層 3b 第二被膜層 4 溶鋼 5 パウダー層 6 凝固シェル 7 メニスカス近傍領域 8 下部近傍領域 9 中央部領域
【表4】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅又は銅合金製の鋳型の内表面に金属メ
    ッキあるいは金属系溶射によるボンドコートとしての第
    一被膜層を形成し、この第一被膜層の上面に熱伝導率が
    15〜25kcal/mhr℃の金属系合金の溶射層か
    らなる第二被膜層を形成したことを特徴とする連続鋳造
    用鋳型。
  2. 【請求項2】 前記第二被膜層を形成したときの硬度
    が、ビッカース硬度で600Hv以上を示すことを特徴
    とする請求項1に記載の連続鋳造用鋳型。
  3. 【請求項3】 前記第二被膜層が、Co系合金またはN
    i−Cr系自溶性合金の溶射層で形成されていることを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載の連続鋳造用
    鋳型。
  4. 【請求項4】 前記第二被膜層は、そのメニスカス近傍
    領域の熱抵抗Rが5.9≦R≦33.3を満足すると共
    に、その下部近傍領域の熱抵抗Rが11.8≦R≦6
    6.7を満足し、かつメニスカス近傍と下部近傍の間に
    位置する中央領域の熱抵抗Rがこれらの中間値を示すこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    の連続鋳造用鋳型。ただし、R=δ/λであり、λは熱
    伝導率(kcal/mhr℃)、δは被膜厚み(μm)
    である。
  5. 【請求項5】 前記第二被膜層は、そのメニスカス近傍
    領域の厚みが100〜500μmの範囲で形成され、そ
    の下部領域の厚みが200〜1000μmの範囲で形成
    されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれ
    かに記載の連続鋳造用鋳型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108852225A (zh) * 2018-06-29 2018-11-23 九阳股份有限公司 一种多功能洗碗机

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