JPH09271397A - 動物細胞数を迅速に測定する方法 - Google Patents

動物細胞数を迅速に測定する方法

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JPH09271397A
JPH09271397A JP8102068A JP10206896A JPH09271397A JP H09271397 A JPH09271397 A JP H09271397A JP 8102068 A JP8102068 A JP 8102068A JP 10206896 A JP10206896 A JP 10206896A JP H09271397 A JPH09271397 A JP H09271397A
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animal cells
cells
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filter
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JP8102068A
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English (en)
Inventor
Mikio Sato
幹夫 佐藤
Asami Ito
朝美 伊藤
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 染色用色素の退色や不充分な染色といった問
題点を解消し、使用する希釈染色液の調製後の経過時間
に関係なく、しかも高度な技術や専門的な知識を必要と
することなく、1段階の濾過操作で試料中の動物細胞数
を迅速、かつ、簡便に測定しうる方法を提供することを
目的とする。 【解決手段】 試料中の動物細胞数を測定する方法にお
いて、動物細胞をpHが2.5〜4.5であるメチルグ
リーンの希薄染色液で染色し、吸引濾過又は加圧濾過に
より、疎水性フィルターに染色された動物細胞を捕集し
て、動物細胞の着色度から試料中の動物細胞数を測定す
ることを特徴とする動物細胞数の迅速測定方法を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用する希釈染色
液の調製後の経過時間に関係なく、長期間にわたり充分
な染色を行なうことができ、しかも高度な技術や専門的
な知識を必要とすることなく、1段階の濾過操作で試料
中の動物細胞数を迅速、かつ、簡便に測定しうる方法に
関する。本発明は、乳房炎診断分野、畜産分野、ハイブ
リドーマ培養関連分野(モノクローナル抗体製造関連分
野)をはじめ、広汎な分野において有効に利用すること
ができる。
【0002】
【従来の技術】従来より、試料中の動物細胞を測定する
キット(PLテスター)が市販されている。これは、p
Hと動物細胞の凝集から判定する方法であるが、精度が
悪いという欠点がある。
【0003】また、試料中の動物細胞を測定する機器
(ホソマチック=蛍光光学法によるもの)が市販されて
いるが、機器が高価であり、しかも現場での使用が不可
能であるという問題がある。
【0004】本出願人は先に、このような従来の欠点を
解消し、特別な設備や専門的な知識を必要とせず、しか
も迅速(30秒以内に)、かつ、簡便に、試料中の動物
細胞数を測定する方法及びその測定キットを提供してい
る(特開平6−253893号公報)。この方法は、試
料中の動物細胞数を測定するにあたり、動物細胞を吸引
ろ過により疎水性フィルターに捕集して染色し、又は動
物細胞を染色したのち吸引ろ過により疎水性フィルター
に捕集し、次いで過剰の色素を洗浄により除去し、動物
細胞の着色度から試料中の動物細胞数を測定することを
特徴とするものである。
【0005】この方法によれば、高度な技術や専門的な
知識を必要とすることなく、試料中の動物細胞数を迅
速、かつ、簡便に測定することが可能となった。しかし
ながら、この方法では、通常濃度の染色液を用いていた
ため、疎水性フィルターに捕集した後、過剰の色素を洗
浄により除去しなければならず、このため2段階の操作
を必要とするものであり、実際使用してみると、操作が
煩雑であるという問題があった。
【0006】そこで本出願人は、上記の操作をさらに簡
便にするために鋭意検討した結果、動物細胞の染色に際
し、希薄染色液を用いた動物細胞数の測定方法及びその
測定キットを提供している(特願平6−332199
号)。
【0007】この方法によれば、充分な染色を可能にし
つつ、濾過後の洗浄工程を省くことが可能となった。し
かしながら、この方法では、使用する染色用色素や希薄
染色液の状態によって、染色用色素が退色したり、充分
な染色がされなかったりして、測定結果にズレが生じる
おそれがあるため、一定時間内に処理し、測定する必要
があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点、すなわち染色用色素の退色や不充分な染色とい
った問題点を解消し、使用する希釈染色液の調製後の経
過時間に関係なく、長期間にわたり(少なくとも3ヶ月
程度)充分な染色を行なうことができ、しかも高度な技
術や専門的な知識を必要とすることなく、1段階の濾過
操作で試料中の動物細胞数を迅速、かつ、簡便に測定し
うる方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1記載
の本発明は、試料中の動物細胞数を測定する方法におい
て、動物細胞をpHが2.5〜4.5であるメチルグリ
ーンの希薄染色液で染色し、吸引濾過又は加圧濾過によ
り、疎水性フィルターに染色された動物細胞を捕集し
て、動物細胞の着色度から試料中の動物細胞数を測定す
ることを特徴とする動物細胞数を迅速に測定する方法を
提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の方法は、疎水性フィルター,前記疎水性フィル
ターを装着しうる濾過具,メチルグリーン希薄染色液及
び色対照表よりなる動物細胞数の測定キットを用いるこ
とにより、容易に実施することができる。
【0011】本発明を適用することができる試料は、そ
の中に動物細胞を含んでいるものであれば特に制限はな
い。具体的には動物の体液(血液,リンパ液など),排
泄物(尿など),生乳等を典型的なものとして挙げるこ
とができる。
【0012】また、本発明の対象とする動物細胞は特に
制限はない。例えば、尿中の白血球や血液中の白血球,
赤血球等が対象とされる。さらに、細胞融合によって形
成される、培養液中のハイブリドーマなども、本発明の
対象とすることができる。例えば、乳牛の生乳を試料と
する場合、動物細胞としては、その生乳中に存在する乳
牛の体細胞が挙げられる。
【0013】本発明の方法によれば、例えば、このよう
な乳牛の生乳中における乳牛の体細胞数を、使用する希
釈染色液の調製後の経過時間に関係なく充分な染色を行
なうことができ、しかも迅速、かつ簡便に測定すること
ができ、乳牛の乳房炎の診断に有効に利用することがで
きる。なお、対象とする動物細胞の大きさに合わせて疎
水性フィルターの孔径を選択すればよいので、これらの
動物細胞の大きさは特に限定はないが、本発明は、特に
直径が5〜15μm程度の動物細胞の判定に有効に用い
ることができる。
【0014】本発明では、まず試料中の動物細胞をpH
が2.5〜4.5であるメチルグリーンの希薄染色液で
染色し、次いで吸引濾過又は加圧濾過により、疎水性フ
ィルターに染色された動物細胞を捕集する。
【0015】具体的には、疎水性フィルターを備えた濾
過具を装着した濾過容器に、希薄染色液と試料とを入れ
(両者の接触と同時に試料中の動物細胞が染色され
る)、次いで吸引濾過又は加圧濾過により、疎水性フィ
ルターに染色された動物細胞を捕集する。染色法として
は、希薄染色液の中に試料を入れる方法と、試料の中に
希薄染色液を入れる方法があり、どちらでも使用できる
が、本発明における実施例では、希薄染色液の中に試料
を入れる方法により行なった。
【0016】本発明の方法においては、動物細胞の染色
に使用可能な各種色素、例えば、メチルブルー,メチル
グリーン,フクシンなどの中から、特にメチルグリーン
を選択し、このメチルグリーンの希薄染色液を用いるこ
とが必要である。ここで、他の色素からなるものを用い
たのでは、色素の安定性に欠けたものとなってしまい、
本発明の目的を達成することができない。
【0017】本発明の方法においては、上記メチルグリ
ーンを水又は各種緩衝液を用いて色素液(染色液)とし
たものが用いられる。染色液のpHは、2.5〜4.5
の範囲であることが必要であり、好ましくはpH2.7
〜4.3の範囲である。染色液のpHが2.5〜4.5
の範囲外であると、染色及び色素が不安定となり、濾過
操作後の経過時間により正確な測定結果が得られなくな
る。
【0018】また、染色液には、必要に応じて、エタノ
ール等の防腐剤や界面活性剤等を添加することもでき
る。上記の染色液に防腐剤としてエタノールを添加する
場合には、1〜20%(v/v)添加すればよく、ま
た、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤を0.
0001〜1.0%(w/v)の割合で添加すればよ
い。
【0019】ここで使用する染色液の濃度は、一般に染
色に用いられる濃度よりも希薄であり、通常、0.00
04〜0.003%、好ましくは0.0005〜0.0
02%とする。ここで染色液の濃度が、0.0004%
未満であると、色素濃度が薄すぎて、染色が不充分とな
る。一方、染色液の濃度が0.003%を超えると、過
剰な色素の除去に1回の洗浄操作では不充分となり、数
回の洗浄操作が必要となるため、好ましくない。
【0020】また、試料液量当たりの色素液量比は1以
上、好ましくは2以上とする。ここで試料液量当たりの
色素液量比が1未満であると、着色が不充分となってし
まい好ましくない。なお、本発明における実施例では、
試料液量当たりの色素液量比は、2にて実施した。
【0021】上記のようにして、試料中の動物細胞をp
Hが2.5〜4.5であるメチルグリーンの希薄染色液
で染色した後、吸引濾過又は加圧濾過により、疎水性フ
ィルターに染色された動物細胞を捕集する。具体的に
は、疎水性フィルターを備えた濾過具を装着した濾過容
器に、希薄染色液と試料とを入れて試料中の動物細胞を
染色した後、吸引濾過又は加圧濾過により、疎水性フィ
ルターに染色された動物細胞を捕集する。
【0022】本発明では動物細胞捕集用のフィルターと
して、疎水性フィルターを用いる。疎水性フィルターと
しては、例えばナイロン系、ポリテトラフルオロエチレ
ン(四フッ化エチレン樹脂)等のフッ素系、ポリプロピ
レンなどのポリオレフィン系などの疎水性フィルターが
挙げられる。これらのフィルターの中でも特にポリテト
ラフルオロエチレンやポリプロピレンを材料とする疎水
性フィルターが、検体中の細菌や蛋白質等を通過させる
ため好ましい。親水性フィルターは、細菌や蛋白質が吸
着されるので好ましくない。但し、親水性の材料、例え
ばニトロセルロース系フィルターを表面処理により疎水
性にすれば、疎水性フィルターとして使用することがで
きる。ここで表面処理としてはコーティングなどであ
り、コーティングに用いる材料として、前記ナイロン
系,フッ素系,ポリオレフィン系の材料などを用いるこ
とができる。
【0023】この疎水性フィルターの濾過孔径は、対象
とする動物細胞の種類に応じて適宜選定すればよいが、
通常、3〜20μm、好ましくは5〜15μmである。
例えば、乳牛の生乳中の体細胞(5〜20μm程度)を
前記疎水性材料で捕集する場合には、5〜15μmの濾
過孔径のものを用いることが好ましい。
【0024】また、疎水性フィルターの吸引又は加圧濾
過面積(着色域の面積)の大きさは、見やすければ特に
制限はない。吸引又は加圧濾過される部分の形は特に問
わないが、見やすさの点で円形が望ましく、その口径
(直径)が2〜7mm程度の円形のものが好ましい。こ
の疎水性フィルター全体の大きさは特に制限はない。ま
た、この疎水性フィルター全体の形状は見やすさの点で
円形が好ましく、その口径(直径)は任意に選択するこ
とができるが、13〜25mm程度のものが特に好まし
い。
【0025】この疎水性フィルターの色としては、用い
る色素(メチルグリーン)の色を考慮し、判定容易な色
を定めればよい。着色の程度を容易に判定するために
は、白色の疎水性フィルターが好ましい。また、透明,
半透明の疎水性フィルターも用いることができ、白色用
紙の上に疎水性フィルターを載せて判定すると、判定が
容易となる。
【0026】通常、上記の如き疎水性フィルターを備え
た濾過具を装着した濾過容器に、希薄染色液と試料とを
入れて試料中の動物細胞を染色する。濾過具としては、
疎水性フィルターを装着しうる構造を持ってれば良く、
特に制限はないが、例えば図1に示す如き形状を有する
ものが用いられる。図1は、本発明の方法に用いられる
濾過具の一態様を示す正面図であり、図2はその平面図
である。
【0027】図中、符合1が濾過具であり、符号1Aが
濾過具の上面側であって、符号1Bが濾過具の下面側で
ある。符号2は、濾過具の上面側1Aに設けられている
装着部であり、別途、この装着部に濾過容器(例えば、
加圧濾過しうる注射器や吸引濾過しうる吸引濾過具な
ど)の先端が装着される。このようにして濾過容器(図
では注射器)Aを装着した状態が図3に示されている。
【0028】なお、濾過具1は、通常、プラスチックや
ガラスなどで作製されており、その形状には特に制限は
なく、図示したような四角形状(平面からみたときの形
状)をはじめ、円形状のものなど各種形状のものを用い
ることができる。濾過具の上面側1Aと下面側1Bと
は、通常、図示したように略同様の形状を有している。
濾過具の上面側1Aには、装着部2を通して貫通孔3が
設けられている。
【0029】また、符号4は、濾過具の下面側1Bに設
けられている排出又は吸引部であって、加圧濾過の場合
には排出部となり、吸引濾過の場合には吸引部となる。
濾過具1の下面側にも、排出又は吸引部4を通して貫通
孔5が設けられている。さらに、符号6はシート(シリ
コンシート又はポリエチレンシート)であり、符号7は
疎水性フィルターであって、濾過具1の上面側1Aと下
面側1Bとの間に、シート6に開けられた孔8を塞ぐよ
うに入れられており、ダブルクリップ等で留めて使用さ
れる。この結果、濾過具の上面側1Aの装着部2にある
貫通孔3から、濾過具の下面側1Bの排出又は吸引部4
にある貫通孔5までにわたって、染色液や試料の通り道
が形成される。
【0030】本発明の方法においては、上記したように
希薄染色液を用いているため、色素が過剰とならず、通
常行なわれる洗浄操作を行なわなくとも、試料中の動物
細胞を効果的に染色し、試料中の動物細胞数を測定する
ことが可能である。吸引濾過又は加圧濾過にあたって
は、希薄染色液と動物細胞試料との混合液を攪拌した後
に行なうと良い。なお、濾過方式は、加圧濾過であって
も良いし、或いは吸引濾過であっても良い。注射器によ
れば、加圧濾過と吸引濾過のいずれを行なうことも可能
である。
【0031】加圧濾過の場合は、例えば図3に示すよう
に、疎水性フィルターを備えた濾過具1を装着した濾過
容器(例えば、注射器)に、希薄染色液と試料とを入
れ、試料中の動物細胞を染色した後、洗浄操作を行なう
ことなく、加圧濾過する。これにより、疎水性フィルタ
ーに染色された動物細胞が捕集されることになる。
【0032】一方、吸引濾過の場合、試料と希薄染色液
を入れた容器を、疎水性フィルター7を備えた濾過具1
の上面側1Aに装着し、濾過具1の下面側1Bに、濾過
容器(例えば、注射器)を装着して吸引濾過を行ない、
疎水性フィルターへの染色された動物細胞の捕集を行な
う。
【0033】ここで注射器により吸引濾過を行なう場
合、注射器として、ピストン逆行阻止機構を有する注射
器を用いれば、操作性においてさらに簡便に行なうこと
ができる。
【0034】ここでピストン逆行阻止機構を有する注射
器とは、特願平7−248341号明細書に記載されて
いるように、ピストンを引いて吸引濾過を行なう際、そ
の一端を押さえながら、吸引濾過を行なうことにより、
ピストンの他端を注射器の内径以上に自動的に外側に開
くようにしたピストン逆行阻止機構を有する注射器を指
し、このピストン逆行阻止具が注射器のピストンをロッ
クし、ピストンの逆行を阻止することができる。
【0035】このようなピストン逆行阻止機構を有する
注射器を用いることにより、注射筒内の減圧状態を維持
するために、ピストンを引いたまま保持しておく必要が
なく、力の弱い女性などでも容易に吸引濾過操作を行う
なうことができる。
【0036】また、吸引濾過具としては、上記した如き
注射器の他に、動物細胞捕集用の疎水性フィルターを装
着して主に濾過を受け持つ濾過具と、主に吸引を受け持
つ吸引具とからなるものがあり、例えば動物細胞捕集用
の疎水性フィルターを装着しうるロート型濾過器など
と、吸引ポンプとを組み合わせたものを用いることがで
きる。また、吸引ポンプの代わりに真空ラインを使用し
てもよい。
【0037】このようにして疎水性フィルターに捕集さ
れ、かつ染色された試料中の動物細胞の着色度から、試
料中の動物細胞数を測定する。この動物細胞数の測定
は、(1)色の対照表を用いて、目視により比較するの
が一番簡便であるが、(2)光学密度(O.D.)測定
による比色定量法により行なうこともできる。目視判定
の場合には、疎水性フィルターの表側の面のみならず、
裏側の面の着色度より、測定することもできる。これら
の場合には、それぞれ用の色対照表や、吸光度と動物細
胞数の検量線を作成すればよい。
【0038】上記(1)の目視による動物細胞数の測定
は、具体的には疎水性フィルター上に存在する動物細胞
の着色度、すなわち色の強度を、既知量の動物細胞数の
試料を用いて予め作成しておいた色の対照表と比較する
ことにより行なえばよい。色の対照表は、動物細胞数が
既知の試料を用い、本発明の方法で染色した疎水性フィ
ルターをカラー写真に撮ることにより、又は、この染色
された疎水性フィルターと同程度に濾紙等を着色した
り、或いは同程度の色を紙に印刷することにより、作成
することができる。色の対照表は、動物細胞数によっ
て、色の強度が異なるようにしたものである。例えば、
生乳中の動物細胞を測定する場合には、次のようにして
色の対照表を作成する。
【0039】すなわち、例えば乳房炎乳牛の生乳をホソ
マチックを用いて測定し、これを正常乳牛の生乳で希釈
して、それぞれ細胞数が、10万個/ml程度、3
0万個/ml程度、50万個/ml程度、75万個
/ml程度及び100万個/ml程度となるように調
製し、例えば5種類の標準試料を調製すればよい。
【0040】この他、例えばハイブリドーマのフラスコ
培養液(GIT培地で3日間培養)の細胞数を血球計数
板法(「組織培養の技術」第2版、第25頁、朝倉書
店、1988年発行)により算出し、遠心分離後、10
mlの牛乳を加えたときに、それぞれ細胞数が10万
個/ml程度、30万個/ml程度、50万個/m
l程度、75万個/ml程度及び100万個/ml
程度となるように培養液を遠心管に分注し、1500r
pm、5分間遠心分離を行ない、次いで上澄を捨てて、
遠心管を振って細胞をほぐした後、それぞれの遠心管に
牛乳10mlを加えて、例えば3種類の標準試料を調製
してもよい。
【0041】このように色の対照表を用いる場合には、
これに前記した疎水性フィルター、前記疎水性フィルタ
ーを装着しうる濾過具、メチルグリーンの希薄染色液、
色対照表、必要に応じてさらに試料採取ピペットを組み
合わせて、試料中の動物細胞数を迅速、かつ、簡便に測
定しうる測定キットとすることができる。なお、濾過具
は、疎水性フィルターと組み合わせて濾過できるもので
あればよく、特に制限はない。また、その材質は、ガラ
ス製,プラスチック製のいずれも使用することができ
る。さらに、疎水性フィルターと、この濾過具とを一体
化することもできる。
【0042】また、上記(2)の光学密度(O.D.)
測定による比色定量は、疎水性フィルター上に存在する
動物細胞を着色した色素を、有機溶剤を用いて溶出さ
せ、溶出液の着色度を吸光度により測定し、予め作成し
た光学密度(O.D.)と動物細胞数との検量線に当て
はめて定量すればよい。ここで有機溶剤としては、各種
アルコール類を使用することができるが、特にエタノー
ルが好ましい。
【0043】なお、検量線の作成は、例えば次のように
して行なえばよい。即ち、メチルグリーンを各種の濃度
に希釈した試料の着色度を、マイクロプレートリーダー
を用いて、着色度を632nmの光学密度(O.D.)
により測定しておき、一方、各種の濃度に希釈した試料
と同一試料の試料溶液中の動物細胞数を、前述のホソマ
チックを用いて測定したり、或いは血球計数板法により
算出しておき、両者の結果から動物細胞数と光学密度の
検量線を作成すればよい。
【0044】叙上の如く、本発明の方法は簡単なもので
あるので、測定を自動化することも容易である。具体的
には例えば、放射性同位元素で標識した細胞を濾紙に集
めるセルハーベスターを使用することができ、放射性同
位元素で標識する代わりに色素で染色すること以外は、
ほぼ同様な操作で濾紙に着色された細胞を集めることが
できる。96穴プレートを使用すれば、1度に96個の
検体の処理も可能である。
【0045】また、光学密度で測定する場合も自動化は
可能である。すなわち、マイクロプレートリーダー等で
光学密度の測定,記録を自動化すれば、個人差による誤
差が少なくなり、管理にも便利である。さらに、多数の
サンプルについて測定しようとする場合には、従来ある
ドットブロッターを用い、親水性フィルターを疎水性フ
ィルターに変えることにより、測定が可能となる。
【0046】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。
【0047】実施例1 (1)色の対照表の作成 250万個/mlの体細胞を含む乳房炎乳牛の生乳を、
体細胞が1万個/ml以下の正常乳牛の生乳で希釈し
て、それぞれ細胞数が、10万個/ml程度、30
万個/ml程度、50万個/ml程度、75万個/
ml程度、及び100万個/ml程度になるように調
製し、5種類の標準試料を調製した。なお、細胞数の測
定はホソマチックを用いて行なった。
【0048】図1〜3に示す濾過具と疎水性フィルター
7とを用いて、体細胞の染色と、捕集を行なった。すな
わち、プラスチック製濾過器(濾過具1)に、直径3m
mの円形の孔8を開けた1辺2cmの正方形のシリコン
製ゴムシート(シート6)を図に示すように上下に張
り、その間に直径13mmのポリプロピレン製フィルタ
ー(濾過孔径7μm)(疎水性フィルター7)を前記孔
8を塞ぐように入れ、ダブルクリップで留めた。
【0049】注射器装着部分(装着部2)に、注射器
(濾過容器A)を取付けた後、色素濃度0.001%の
メチルグリーン染色液1mlと、前記標準試料0.5m
lとを注射器(濾過容器A)に入れ、軽く攪拌した後、
注射器(濾過容器A)のシリンジを押し(加圧し)、水
溶液を試料排出部分(排出又は吸引部3)より押し出
し、染色された体細胞を疎水性フィルター7へ捕集し
た。疎水性フィルター7をプラスチック製濾過器(濾過
具1)から取り出し、着色度を目視によって観察した結
果、次の第1表の通りであった。
【0050】なお、予め試験管に色素濃度0.001%
のメチルグリーン1mlと標準試料0.5mlとを入
れ、攪拌した後、試料吸引部分(排出又は吸引部3)か
ら注射器で吸引して行なっても(加圧濾過の代わりに吸
引濾過しても)、結果は全く同じであった。
【0051】
【表1】
【0052】これらのフィルターを、標準サンプルとし
てカラー写真にとり、色の対照表とした。
【0053】(2)生乳中の動物細胞数の判定 生乳10検体について、上記(1)と同様の操作を行な
い、疎水性フィルター7上に存在する動物細胞(乳牛の
体細胞)の着色度を目視によって観察し、上記(1)で
作成した色の対照表と比較して目視による判定を行なっ
た。なお、測定時間は30秒以内であった。ホソマチッ
クにより測定した動物細胞数と共に、結果を第2表に示
す。
【0054】
【表2】
【0055】第2表の結果によれば、本発明の方法によ
る判定は、ホソマチックによる正確な測定結果と比べ
て、傾向として良く似た結果を示すことが分かる。従っ
て、本発明の方法は、測定時間の短さを考慮すると、簡
便な測定方法として充分に利用価値があるものと認めら
れる。
【0056】実施例2(色素の安定性試験) 0.001%のメチルグリーン溶液を、酸或いはアルカ
リでpHを2〜8の範囲に調整して保存安定性試験を実
施した。保存温度は室温であり、吸光度は、波長632
μmで、分光光度計を用いて測定した。結果を第3表に
示す。
【0057】
【表3】
【0058】第3表の結果によれば、メチルグリーンの
pHが2.5〜4.5の範囲において、1ヶ月間程度安
定して保存できることが分かる。さらに、メチルグリー
ンのpHが3.0〜4.0の範囲において、3ヶ月間程
度安定して保存できることが分かる。従って、3ヶ月程
度の長期保存を考えた場合、メチルグリーンの好適なp
Hは、2.7〜4.3の範囲と考えられる。
【0059】実施例3(色素の安定性試験) pH3.0とpH4.0とpH5.0の0.001%メ
チルグリーン溶液と、pH4.0とpH5.0の0.0
005%メチレンブルー溶液の長期保存安定性試験をそ
れぞれ実施した。保存温度は室温である。吸光度は波長
632μmで、分光光度計を用いて測定した。その結果
を第4表に示す。
【0060】
【表4】
【0061】第4表の結果によれば、pHが3.0と
4.0と本発明の規定する範囲内のメチルグリーン溶液
を用いた場合には3ヶ月間程度も安定して保存できるこ
とが分かる。一方、メチルグリーン溶液を用いたとして
も、pHが5.0と本発明の範囲外の場合には、色素の
安定性に劣るものとなることが分かる。さらに、pHが
3.0と4.0と本発明の規定する範囲内のものであっ
たとしても、メチルグリーン溶液ではなく、メチレンブ
ルー溶液を用いた場合には、色素の安定性に劣るものと
なることが分かる。勿論、pHが5.0であり、しかも
メチレンブルー溶液を用いた場合には、色素の安定性に
劣るものとなることが分かる。従って、色素の安定性に
優れたものとするには、pHが3.0や4.0など、本
発明の規定する範囲内であって、しかもメチルグリーン
溶液を用いることが必要であると考えられる。
【0062】実施例4(色素の安定性試験) 新たに調製したpH3.0の0.01%メチルグリーン
溶液と、3ヶ月前に調製したpH3.0の0.01%メ
チルグリーン溶液とを用い、実施例1と同様に、調製し
た体細胞を含む生乳の標準試料を染色し、着色の程度を
比較した。結果を第5表に示す。
【0063】
【表5】
【0064】第5表の結果によれば、新たに調製したp
H3.0の0.01%メチルグリーン溶液を用いた場合
と、3ヶ月前に調製したpH3.0の0.01%メチル
グリーン溶液を用いた場合とで、着色の程度に差は認め
られなかった。従って、本発明の方法によれば、使用す
る希釈染色液を調製してから3ヶ月程度経過した場合で
あっても、充分な染色を行なうことができることが分か
る。
【0065】
【発明の効果】本発明の方法においては、pHが2.5
〜4.5であるメチルグリーンの希薄染色液を用いてい
るため、染色用色素の退色や不充分な染色が解消されて
いる。従って、本発明の方法によれば、メチルグリーン
溶液調製後、3ヶ月程度経過した後であっても、測定結
果にズレが生じるおそれがなく、試料中の動物細胞数を
何らの問題なく測定することができる。このように本発
明の方法によれば、使用する希釈染色液の調製後の経過
時間に関係なく、長期間にわたり(少なくとも3ヶ月程
度)充分な染色を行なうことができ、試料中の動物細胞
数を測定することができる。
【0066】また、本発明の方法によれば、1段階の濾
過操作で試料中の動物細胞の染色と捕集を行なうことが
でき、試料中の動物細胞数を迅速、かつ、簡便に測定す
ることができる。本発明の方法によれば、通常、30秒
以内に判定可能である。
【0067】しかも本発明の方法によれば、専門的な技
術や知識を必要とせずに、試料中の動物細胞数を測定す
ることができる。また、本発明の方法は、疎水性フィル
ターの濾過孔径を選択することにより、全ての動物細胞
に適用できるので、応用範囲も極めて広い。さらに、本
発明の方法においては、特別な機器を必要としないの
で、小規模な病院や診療所、或いは一般の人でも測定す
ることができ、またどのような現場においても使用する
ことができるという利点がある。
【0068】本発明の方法によれば、例えば生乳中に存
在する動物細胞を迅速、かつ簡便に測定することができ
るため、乳牛の乳房炎の診断に有効に利用することがで
き、畜産分野において有用である。
【0069】従って、本発明は、乳房炎診断分野、畜産
分野、尿検査分野(診断分野)をはじめ、各種治療に利
用されるモノクローナル抗体を製造するのに有効なハイ
ブリドーマの培養状況の判定などに、広く利用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、濾過具の一態様を示す正面図である。
【図2】図2は、濾過具の一態様を示す平面図である。
【図3】図3は、疎水性フィルターを備えた濾過具を装
着した濾過容器の一態様を示す説明図である。
【符号の説明】
1 濾過具 1A 濾過具の上面側 1B 濾過具の下面側 2 装着部 3 貫通孔 4 排出又は吸引部 5 貫通孔 6 シート 7 疎水性フィルター 8 シートに開けられた孔 A 濾過容器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料中の動物細胞数を測定する方法にお
    いて、動物細胞をpHが2.5〜4.5であるメチルグ
    リーンの希薄染色液で染色し、吸引濾過又は加圧濾過に
    より、疎水性フィルターに染色された動物細胞を捕集し
    て、動物細胞の着色度から試料中の動物細胞数を測定す
    ることを特徴とする動物細胞数を迅速に測定する方法。
  2. 【請求項2】 希薄染色液中における染色用色素の濃度
    が、0.0004〜0.003%である請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 試料が生乳であり、かつ動物細胞が乳牛
    の体細胞である請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 疎水性フィルター,前記疎水性フィルタ
    ーを装着しうる濾過具,メチルグリーン希薄染色液及び
    色対照表よりなる動物細胞数の測定キットを使用する請
    求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 測定キットに加えて、濾過容器としてピ
    ストン逆行阻止機構を有する注射器を使用する請求項4
    記載の方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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