JPH0927102A - 磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録装置

Info

Publication number
JPH0927102A
JPH0927102A JP17178695A JP17178695A JPH0927102A JP H0927102 A JPH0927102 A JP H0927102A JP 17178695 A JP17178695 A JP 17178695A JP 17178695 A JP17178695 A JP 17178695A JP H0927102 A JPH0927102 A JP H0927102A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic head
recording medium
sliding surface
magnetic recording
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17178695A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoji Maruyama
洋治 丸山
Makoto Aihara
誠 相原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP17178695A priority Critical patent/JPH0927102A/ja
Priority to US08/650,196 priority patent/US5898540A/en
Priority to TW085106054A priority patent/TW409246B/zh
Priority to DE19620673A priority patent/DE19620673A1/de
Priority to KR1019960017341A priority patent/KR960042689A/ko
Priority to CN96107885A priority patent/CN1158471A/zh
Publication of JPH0927102A publication Critical patent/JPH0927102A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Heads (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大容量かつ、小型の磁気記録装置を提供す
る。 【構成】 磁性体薄膜を有するディスク型記録媒体、該
記録媒体への書き込みおよび読み出し機能を有する磁気
ヘッド、該磁気ヘッドの位置決めを行うロータリアクチ
ュエータを有し、上記磁気ヘッドの読み出し用磁性薄膜
が、対面する書き込み磁極内に設けられており、かつ上
記磁気ヘッドが記録媒体と潤滑層を介して常に接触しな
がら入出力動作を行うことにより、ロータリアクチェー
タの許容回転角の範囲を従来よりも大きくした状態で所
定の書き込みおよび読み出し動作が安定にできるように
した。 【効果】 本発明によれば、磁気ヘッドを記録媒体上の
広い範囲でシークさせることが可能となり、超高密度記
録装置が可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子計算機及び情報処
理装置等に用いられる記憶装置に係り、特に磁気ヘッド
と記録媒体表面が連続的に接触する特徴を有する小型の
大容量磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】情報機器の記録装置には、主に半導体メ
モリと磁性体メモリが用いられている。アクセス時間の
観点から内部記録装置に半導体メモリが用いられ、大容
量かつ不揮発性の観点から外部記録装置に磁性体メモリ
が用いられる。現在、磁性体メモリの主流は、磁気ディ
スクと磁気テープである。これらに用いられる記録媒体
には、Al製の円盤基板ないしは樹脂製のテープ上に成
膜された磁性薄膜が用いられる。この記録媒体に磁気情
報を書き込むため、電磁変換作用を有する機能部が用い
られる。また、磁気情報を再生するため、磁気抵抗現象
ないしは、巨大磁気抵抗現象あるいは電磁誘導現象を利
用した機能部が用いられる。これら機能部は、磁気ヘッ
ドと呼ばれる入出力用部品に設けられている。
【0003】磁気ヘッドは媒体に対し相対的に移動し、
媒体上の任意の位置に磁気情報を書き込み、必要により
磁気情報を電気的に再生する機能を有する。磁気ディス
ク装置を例に述べると、磁気ヘッドは、例えば図2に示
すように磁気情報を書き込む機能部21と再生を行なう
検出部22から構成される。書き込み機能部は、コイル
26とこれを上下に包み、かつ磁気的に結合された磁極
27と28から構成される。検出部22は、磁気抵抗効
果検出部23と、同検出部23に定電流を流し、かつ抵
抗変化を検出するための導体29から構成される。再生
機能部の下層には、磁気的なシールド層25が設けられ
ており、不要な磁束の進入を防いでいる。同様の効果
は、磁極28にもある。この磁極28とシールド層25
との間隔、いわゆるリードギャップの寸法が狭いほど不
要な磁束が磁気抵抗効果検出部に進入することがなくな
る。これにより分解能が向上し、高密度の磁気情報を検
出することができるようになる。これらの機能部は、磁
気ヘッド本体30上に設けた下地層24の上に形成され
る。
【0004】記録装置の性能は、入出力動作時のスピー
ドと記録容量によって決まり、製品競争力を高めるため
にはアクセス時間の短縮化と大容量化が必要である。ま
た、近年、情報機器の軽薄短小化の要求から記録装置の
小型化が重要な課題となってきた。これらの要求を満足
するためには、1枚の記録媒体の中に多くの磁気情報を
書き込み、かつ、再生できる磁気記録装置を開発する必
要がある。
【0005】上記の磁気ヘッドにて高密度記録を実現す
るためには、書き込む磁区の大きさを微細化していく必
要がある。これには、図2に示した書き込み磁極27の
幅wを狭くし、かつコイル26に流す書き込み電流の周
波数(記録媒体の回転する対する周波数)を高めること
により実現できる。しかし、読み出し時の信号強度は、
磁区の大きさに依存するため、磁区を微細化するほど読
み出しが難しくなる。このため、読み出し部の検出感度
を高める工夫がなされている。しかし、この方法での改
善は、検出に用いられる磁性薄膜の磁気抵抗効果の物理
的な制約から限界がある。この限界は、記憶密度で表現
し、数Gb/in2と考えられている。この限界を破る
手段として、磁気ヘッドと記憶媒体を接触させる提案が
なされた。この技術は、例えば特許公開公報の特開平3
−178017号に記載の集積磁気リード/ライトヘッ
ド/撓曲体/導体構造体に開示されている。従来の磁気
ディスク装置では、磁気ヘッドが媒体上で空気浮上して
いるため、磁気ヘッドと媒体間に、非磁性である空気層
が介在していた。これに対し、上記広報に開示されてい
る技術では、図4に示すように磁気ヘッド機能部43を
軽量かつ微細な撓曲体(本明細書では、これを屈曲体と
呼ぶ)45内に作り込み、この磁気ヘッド機能部43を
媒体11に接触させた状態で摺動させている。この技術
によれば、媒体表面と磁気ヘッド機能部(磁極)間に非
磁性層は存在しない。このため、媒体中の磁気情報が磁
気ヘッド機能部に効率良く伝達される。これにより、高
出力の読み出し信号が得られるようになった。この効果
から、磁区を微細化しても高い信号/ノイズ比(S/N)
が得られ、良好な読み出し信号を得ることができた。し
かし、この方式は磁気ヘッド機能部を柔らかい屈曲体で
支持するため、磁気ヘッドの位置決めをロータリアクチ
ュエータで行うと位相遅れや予期しない振動が生じる場
合があった。この問題は、図5に概略を示す特開平6−
60329に記載される前側パッドを浮上させる3パッ
ド型磁気ヘッド2で解決することが分かった。この方式
は、前パッドを空気力により高く浮上させ、素子機能部
46が存在する後進位置の1パッドのみが媒体1と接触
する。前パッドが浮上するため、後進位置の1パッドに
かかる荷重は小さくなる(磁気ヘッドにかかる荷重−浮
上力)となる。このため、後進位置のパッドにかかる荷
重を小さくした状態で、ヘッド全体にかかる荷重を大き
くすることが可能である。ヘッド全体にかかる荷重を大
きくすることは、磁気ヘッドを支持するジンバル部材等
の剛性を高くできることを意味する。このため、屈曲体
で磁気ヘッドを支持する方式に比べ、安定した入出力動
作が可能となった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術を実施す
ることにより、記録媒体に磁気ヘッドを連続摺動させた
状態で高密度の磁気情報を記録し、かつ再生することが
できるようになった。しかし、記録密度が上昇したこと
により新たな問題が生じることが明らかになった。近年
における小型磁気記録装置では、磁気ヘッドをロータリ
アクチェータで移動させる。この機構は単純であるた
め、装置の小型化、装置の低価格化を実現する上で必須
である。しかし、この機構を用いて磁気ヘッドの位置を
変化させると、記憶媒体の円周方向(摺動方向)と入出
力を行う磁極の辺とがなす角度が変化する。このような
角度をヨー角と呼ぶ。
【0007】図2に示した記録部と検出部が幾何学的に
離れる磁気ヘッドを用いる場合、ヨー角が大きくなると
書き込まれる記録情報列と検出部との重なり幅が減少す
る。この様子を図6を用いて説明する。同図は、磁気ヘ
ッドの摺動面側から見た入出力機能部の概念図である。
記憶密度10Gb/in2級の磁気ディスク装置では、
書き込み磁極27の幅は約0.8μm、読み出し用の磁
気抵抗効果検出部23の幅は約0.5μmになる。これ
らの磁性膜は、シールド膜及び絶縁膜を介して配置され
る。このため、従来は、書き込み磁極27と読み出し用
の磁性膜23との距離は約3.0μmになった。この位
置関係で、読み出し用の磁気抵抗効果検出部23の約5
0%(図示する程度)が書き込み情報列と重なるために
は、ヨー角を約±15度以内(範囲で30度以内)に設
定する必要があることが算出できる。この制約からロー
タリアクチュエータの許容回転角が約±15度以内に制
限される。このため、入出力が可能となる記録媒体の領
域が制限されることになる。入出力が可能となる領域の
制限は、一枚の媒体に記憶できる容量が制限されること
を意味する。このため、この制限は製品競争力の面から
好ましくない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、磁気記
録装置で許容されるヨー角を広くすることのできる新規
磁気ヘッド構造ならびに装置構成を明らかにすることに
ある。また、これら技術を用いた大容量かつ、小型の磁
気記録装置を開示することにある。
【0009】上述した制限を取り払い、媒体面を有効に
利用するためには、図6に示した磁気抵抗効果検出部2
3の幅を狭くすれば良い。しかし、磁気抵抗効果検出部
23の幅は、検出できる磁束の量に比例するため、安易
に狭くすると、S/Nが低下し、装置を安定に駆動させ
ることはできなくなる。
【0010】また、他に書き込み磁極と読み出し用の磁
性膜との距離を決めている磁極28の厚さを薄くするこ
とによってもヨー角を広くできると考えられる。しかし
この方法を試みた結果、書き込み用磁極27と対面する
磁極28部分が磁気的に飽和する問題が生じ、結果とし
て高密度の磁気情報を記録することはできなかった。
【0011】以上はヨー角を制限する磁気ヘッド素子部
の磁極形状について述べた。次に、ヨー角を広げる上で
問題となるヘッド摺動面の形状について述べる。磁気ヘ
ッド摺動面の形状としては、例えば、上記特開平6−6
0329公報及び特開平6−150283公報に記載が
ある。これらヘッドを用いると、限られたヨー角の範囲
内で安定な連続摺動が可能となった。しかし、本発明で
請求する範囲のヨー角をつけた状態で摺動実験を行った
結果、以下の問題が生じた。図7はヨー角と磁気ヘッド
出力の関係を従来型ヘッドの各々について測定した結果
である。同図(a)に特開平6−60329公報及び特
開平6−150283公報に記載されるヘッドの結果、
同図(b)に特開平6−150283公報に記載される
ヘッドの結果を示す。図(a)の場合、±10度のヨー
角範囲、図(b)の場合、±15度のヨー角範囲でしか
高い出力(良好な出力)は得られなかった。このため、
本発明で請求する広いヨー各範囲では安定な入出力動作
を実現することはできなかった。 この原因を調査した
結果、ヨー角を±15度以上つけた際に生じる磁気ヘッ
ドの振動現象に問題があることが分かった。この問題
は、上記従来技術では、明らかにされておらず、本発明
により初めて明らかになったものである。磁気記録装置
の大容量化を図るためには、記録媒体面を有効に利用す
る必要があるが、上記のように従来開示された技術のみ
では、本発明が意図する課題を解決することはできなか
った。
【0012】本発明では、下記に述べる手段を用いるこ
とにより上記の問題を解決した。
【0013】単一装置の記録容量を拡大するため、磁気
ヘッドの許容ヨー角範囲を最大45度に広げた。これに
より、記録媒体の内周と外周では周速に大きな差が生じ
た。この周速の変化が磁気ヘッドの連続摺動特性に影響
を与えないようにするため、磁気ヘッド摺動面の形状と
磁気ヘッドの支持方法に改良を加えた。
【0014】まず、ヨー角を広くする観点から、読み出
し用の磁性薄膜を、対面する書き込み磁極内に設けた。
【0015】また、上記磁気ヘッド摺動面に導電性膜を
設け、この導電性膜を介して書き込み磁極と読み出しを
行う磁気抵抗効果を有する磁性薄膜とを電気的に結合し
た。
【0016】また、上記磁気ヘッド摺動面に設けられた
導電性膜の電位を記録媒体の表面電位と等しくした。
【0017】上記ヨー角範囲で磁気ヘッドの連続摺動特
性を安定化する目的で、記録媒体の進入方向に2つのパ
ッドを設け、かつ情報の書き込みと読み出しを行う機能
部を後方位置に設け、特に進入位置のパッド面積の合計
を5.0×10-92以下とした。
【0018】また、磁気ヘッド摺動面を構成する複数の
パッドの全てに記録媒体の進入方向のエッジにテーパを
設けた。
【0019】また、磁気ヘッドにかかる荷重を、10m
gから1gの範囲にした。
【0020】また、媒体進行方向に対する長さが幅方向
の長さに比べ長いパッドに書き込み及び読み出し機能部
を設けた。
【0021】また、媒体進行方向に尖鋭化したパッドを
用いた。
【0022】また、上記磁気ヘッドが支持されるジンバ
ル機能部とアクチュエータに結合されたアームに磁気ヘ
ッド摺動面と記録媒体面との接触状態を調整する機構部
を取り付けた。
【0023】また、上記接触状態の調整機構部に形状記
憶合金を用いた。
【0024】また、上記接触状態の調整機構部に熱軟化
性高分子樹脂を用いた。
【0025】また、上記磁気ヘッドを30度から45度
の開き角を有する2つの部分から成るジンバルにより支
持した。
【0026】
【作用】上記手段を採れば、下記に述べる作用が生じ
る。これにより本発明の目的が達成される。
【0027】ロータリアクチュエータにより位置決めさ
れる磁気ヘッドが許容されるヨー角範囲は、従来装置の
場合、約20度であった。これを最大45度に広げるこ
とにより、記録媒体の広い領域で磁気情報を入出力する
ことができるようになる。これにより、一枚の記録媒体
に記録できる容量を増加させることができる。この場
合、装置単価を変えずに記録容量を増加させることがで
きるため、極めて競争力の高い製品を実現できる。
【0028】この技術を導入するためには、記録媒体の
内周と外周で生じる周速差に影響されない摺動技術が必
要となる。まず、磁気ヘッド摺動面の形状と磁気ヘッド
の支持方法の改良により、この課題が解決される理由を
述べる。
【0029】図10(a)に示すように磁気ヘッド2の
摺動面に前パッド51、52および書き込み及び読み出
し機能部を有する後進位置のパッド54を有し、特に後
進位置のパッド54の形状を媒体進行方向に尖鋭化する
と、記録媒体上に存在する潤滑層を適度に摺動面に噛ま
せながら、余剰の潤滑剤を平面的に排除することができ
た。図7(c)は、ヨー角と出力の関係を尖鋭化パッド
について測定した結果である。結果から、±23の範囲
でほぼ安定な高い出力が得られていることが分かる。こ
の結果を、先に述べた結果(同図(a),(b))と比
較すると許容されるヨー角範囲が広がっているのが分か
る。これは、潤滑剤を平面的に排除することができた効
果といえる 図9に示すような素子が存在するパッド53の形状が矩
形でかつ、摺動方向に短いパッドの場合、同図右側に示
すようにパッド53の流入側エッジに余剰潤滑剤61が
堰き止められ、磁気ヘッドの姿勢を乱す原因になる。こ
れを防ぐためには、摺動面を傾け潤滑剤をパッド下に全
て引き込む必要があった。この姿勢制御は、特開平6−
60329に記載される前側パッドを浮上させる3パッ
ド型磁気ヘッドと等しい。しかし、この場合、前パッド
は空気力により高く浮上(50nm以上)するため、周
速が大きく変化すると、浮上力が変化し安定な摺動特性
(入出力動作)は得られなかった。この影響による問題
は、図7の(a)、(b)の結果と一致する。本発明の
形状では、前パッド51、52を高くすることなく安定
に余剰潤滑剤を排除できる。これにより、広いヨー各範
囲で安定な入出力動作を実現できる。
【0030】なお、摺動面に先鋭化されたパッドを設け
た例には、特開平4−281209、特開平1−298
585、特開平6−52645、特開平2−10168
8公報がある。これらは、浮上型ヘッドであるため、パ
ッドが浮上力を生む必要がある。このため、面積が広
く、媒体とヘッドが接触する本発明の目的には利用でき
ないことは明白である。我々の実験に依れば、パッドの
浮上を防止するためには少なくとも面積を2.5×10
-8以下にする必要があった。従って、本発明を実施する
うえでパッド面積を制限する必要がある。
【0031】尖鋭化パッドと同様の効果は、図10
(b)に示すような摺動方向に長いパッド55を用いて
も得られた。これは、パッドが長いため、僅かに前パッ
ドを浮上(20nm以下)させることで記録媒体上に存
在する潤滑層を効率良く摺動面に噛ませることができる
ためと考えられる。
【0032】また同様の効果は、磁気ヘッド摺動面を構
成する複数のパッドの進入方向にテーパを設けても得ら
れた。図10(c)に示すようにパッド55の潤滑剤の
流入側にテーパを付けると、エッジに潤滑剤が溜るのを
防ぐことができる。この作用は、潤滑剤に流動性がある
ことから容易に理解することができる。この場合、前パ
ッド51、52を浮上(ヘッドを傾ける必要がない)さ
れることはない。これは、従来にない特長で、素子部と
媒体面を接近させる上で都合がよい。
【0033】以上、本発明に述べるパッド形状を用いる
ことにより、ヘッド姿勢を変えずに(前パッドを高く浮
上させることなく)効率良く余剰潤滑剤を排除すること
ができる。このため、広いヨー角範囲で磁気ヘッドを連
続的に摺動させることが可能となる。
【0034】本発明では磁気ヘッド摺動面を記録媒体面
に精度良く当てる必要がある。これには、装置組立て時
に特別な技術が必要となる。この技術については、従来
明らかにはされていない。磁気ヘッドと記録媒体を連続
的に摺動させた状態で装置寿命を長く保つためには、磁
気ヘッドと記録媒体間で起こる摩耗を極力抑える必要が
ある。このため、相互に固いカーボンを主成分とする保
護膜を設けるとともに、潤滑層を介して摺動させる技術
が一般的に用いられている。しかし、このような技術を
用いても摩耗は生じ、この摩耗は荷重に依存することが
知られている。そこで磁気ヘッドの荷重を極端に軽くす
る工夫が種々報告されている。
【0035】ところで、低荷重状態では、磁気ヘッドの
姿勢を調整するジンバルの剛性も弱める必要がある。し
かし、極端にジンバル剛性を下げた場合、既に述べたよ
うに磁気ヘッドをシークさせた際に姿勢が不安定にな
る。この問題を解決するため、従来の磁気ディスク装置
に比べ硬い(対荷重比)ジンバルを用いる必要がある。
しかし、ジンバルが硬いと、所定の荷重状態で磁気ヘッ
ド摺動面を記録媒体面に精度良く当てることが困難にな
る。そこで、本発明では、図15(a)に示すように磁
気ヘッドが支持されるジンバル部材7とアクチュエータ
に結合されたアーム4との間にジンバルと同様の機能を
有する機構部5−3を新たに取り付けた。同機能部は記
録装置の組立て時にネジ5−1、5−2を調整する部分
を含み、作業者が調整を行った後は固定されることで連
続的な接触状態を維持するものである。
【0036】また、同図(b)に示すように調整機構部
5−4に形状記憶合金を用いた場合、強制的に磁気ヘッ
ドを記録媒体に当てた状態で所定の熱処理を施すことに
より、接触状態を維持するために必要となる形状記憶合
金の変形を保存することができる。この効果から強制的
な面当て状態を解除した後も連続的な面当て状態を維持
できるようにジンバル部材7とアーム4との関係を固定
できる。
【0037】また、同図(c)に示すように調整機構部
に熱軟化性高分子樹脂5−5を用い、強制的な面当て手
段と熱処理手段を用いることにより、形状記憶合金を用
いた場合と同様、磁気ヘッド摺動面を記録媒体面に当て
た状態を維持することができる。これは、熱を加えるこ
とで熱軟化性高分子樹脂に必要な変形を与え、その後の
冷却によって、磁気ヘッドの接触状態を維持するのに必
要なジンバル部材7とアーム4との関係が固定させるこ
とによって実現できる。
【0038】上記磁気ヘッドと記録媒体との面当て状態
は、図11に示すように磁気ヘッド2を2つの部分で構
成されたジンバル71、72で支持することで、より効
果的に維持された。この2枚のジンバル部分は開き角が
30度から45度である。これは、従来連続的な板バネ
から構成されていたジンバルを2つの部分で構成するこ
とにより、記録媒体の半径方向の変位を吸収しやすくな
った効果と考える。すなわち、2つの部分で構成された
ジンバルに開き角を設けたことにより、シーク方向の強
度を高めることができ、この効果から、ジンバル剛性を
下げてもシーク時に姿勢が不安定になることはなかっ
た。ジンバル剛性を低くすると、摺動面の変位を吸収し
やすくなる。このため、摺動面を当てる機能が効率良く
働いたと考える。
【0039】図10に示した、記録媒体の進入方向に2
つのパッドを設け、かつ情報の書き込みと読み出しを行
う機能部を後方位置の1パッドに設けた磁気ヘッドにお
いて、進入位置のパッド面積の合計を5.0×10-9
2以下とすると、同パッドで生じる浮上力を無視するこ
とができた。図8に実験結果を示す。結果によれば、ヘ
ッド荷重を本請求範囲(最大1g)内に設定すれば、パ
ッド面積を5.0×10-92以下とすると、一定の高
い出力が得られることが分かる。面積が広い条件では、
出力の低下が見られる。これは、前パッドが浮上したこ
とによりヘッドが図5に示したような姿勢になり、素子
部と媒体間の距離が離れたためと考えられる。このこと
は、前パッドの面積を狭くすることで浮上力が抑えられ
ることを意味する。荷重を1g以下に設定した場合、前
方位置のパッドが浮上する面積は、更に狭くする必要が
ある。しかし、いずれの場合でも本請求範囲内にあるこ
とは容易に理解される。
【0040】上記に述べたように、連続摺動時の摩耗量
を極力少なくするためには磁気ヘッドにかかる荷重を低
くする必要がある。本発明では荷重を10mgから1g
の範囲に設定した。実験によれば、摺動時に生じる摩擦
力(潤滑剤の上を磁気ヘッドが滑るときに生じる抵抗
力)は、荷重に依存し、荷重が軽くなるほど低下した。
しかし、荷重10mg以下では、荷重以上に摩擦力が働
く場合があり、磁気ヘッドの姿勢が不安定になった。こ
れは、摩擦力に占める潤滑剤からの抵抗力が顕著になっ
た影響と考えられる。従って、磁気ヘッドの姿勢を安定
に保つためには、実験で得られた荷重範囲で磁気ヘッド
を記録媒体に押しつける必要があることが明らかとなっ
た。
【0041】上記作用により、広いヨー角範囲で磁気ヘ
ッドを連続的に摺動させることができるようになる。次
に、入出力動作を行う素子の観点からヨー角を広くする
上で必要となる作用について述べる。
【0042】図6に示すように、読み出し用の磁気抵抗
効果検出部23を、対面する書き込み磁極27、28の
内側に設けると、いかなる角度で磁気情報を書いても、
書き込みによって生じた記録媒体上の磁化遷移領域と読
みだし用の磁性薄膜は、常に重なることとなる。このた
め、磁気ヘッドがいかなる記録媒体上の位置に存在する
場合でも常に磁化遷移領域からの漏洩磁界を効率良く磁
性薄膜に導入できる。この効果から、ヨー角を広くした
状態でも安定な入出力動作を実現することができる。
【0043】また、上記構成を具体的に示すと、図3に
なる。磁気抵抗効果検出部23は、磁極27と下部の磁
極28に挟まれるように存在する。さらに、摺動面に導
電性膜41を設け、この導電性膜を介して書き込み磁極
27、28と読み出しを行う磁気抵抗効果を有する磁性
薄膜23を電気的に結合した。この理由を以下に述べ
る。磁性薄膜23は磁気抵抗効果を利用して磁気情報を
検出するものである。このため、磁性薄膜に電流を流す
必要がある。図2に示した従来技術では、導体29を用
いて磁性薄膜23に電流を導入していた。図3に示す本
発明の場合、書き込み磁極27と磁極28が最接近
(0.5μm以下)する部分に磁性薄膜23を存在させ
る必要がある。この部分に導体を設けることは、製造方
法が構造が複雑となるばかりか、導体が作る段差が書き
込み特性にも悪影響を及ぼす。
【0044】図13を用いて上記構成を詳細に述べる。
図は素子部の断面図である。摺動面には、導電性膜41
が設けられており、磁極27、28に挟まれる位置に読
み出し用の磁気抵抗効果検出部23(磁性薄膜23)が
存在する。磁極27、28は、導電性膜41を介して磁
気抵抗効果検出部23に接触されるため、磁極27、2
8を導体として兼用できる。このため、磁気抵抗効果検
出部23の他端部に導体44を接続することで磁気抵抗
効果検出部23に電流を引き込むことができる。この場
合、検出感度にもっとも影響を与えるギャップ部での電
気的な接点は、面積が最小となる。この電気的な接触部
では磁気的な性質が損なわれることが知られている。原
因には加工歪みによる磁歪、電極材料の磁性膜への拡散
等が考えられる。本発明では、接点領域が少なくなるた
め、効率の高い磁界/抵抗検出が可能となる。
【0045】これに近い公知例は、ジャーナルオブマグ
ネチックソサイアティオブジャパン(Jounal of The Mag
netis Society of Japan) 18号、ナンバーS1、34
5頁に記載されている。要点を図12に示す。この例で
はシールド膜42、25内に磁気抵抗効果検出部23が
存在し、磁気抵抗効果検出部23はシールド膜42と電
気的な接点を有する。このため、シールド膜42を導体
と兼用しすることができる。磁気抵抗効果検出部23に
電流を流す向きは摺動面に対し垂直である点はこの例が
先例である。この向きに電流を流した際に磁気抵抗効果
検出部23の磁化方向を制御するため、導体47が用い
られている。本発明の場合にも導体47は必要であり、
これを図13に示すように書き込み磁極の中に設けてい
る。ところで、図12の場合、磁気抵抗効果検出部23
とシールド42との接点は面状になるため、面積が広く
なる。このため、上記に述べる理由から磁界/抵抗変換
効率を高くすることはできなかった。また、この例は、
書き込み磁極内に磁気抵抗効果検出部23が存在しな
い。したがって、ヨー角を広くした場合の問題は、図2
に示した場合と同様に生じた。このため、本発明に適用
することはできなかった。
【0046】また、図13に示した磁気ヘッド摺動面に
設けられた導電性膜41の電位を記録媒体の表面電位
(グランド)と等しくした。磁気ヘッドと記録媒体を摺
動させると、静電気が生じる場合がある。この静電気が
検出部にながれると誤った信号を検出することとなる。
これを防ぐため、記録媒体をグランドに落す手段が講じ
られる。同様に、この効果を引き出すために、本発明で
は、磁気ヘッド摺動面に設けられた導電性膜の電位を記
録媒体の表面電位と等しくした。これにより異常信号に
よる誤動作を解消できた。
【0047】
【実施例】以下第1図に沿って本発明の実施例を述べ
る。
【0048】図1は、本発明の磁気記録装置の概略図で
ある。図の(a)は装置の平面図であり、(b)はA−
A’の断面図を表わす。3つのパッドを有する磁気ヘッ
ド2は、ジンバル部材7に支持され、さらにアーム4に
取り付けられている。このアーム部材とジンバル部材と
の間に摺動面と記録媒体面との面当て調整機構5を設け
た。アームは磁気ヘッド2と記録媒体1との位置決めを
行なうロータリアクチュエータ3に取り付けられてい
る。記録媒体はモータ6に直結されている。これらは、
ケース14に納められている。この装置では、媒体一枚
当たり、約10GBの記憶容量をもたせることができ
た。図に示すように、媒体を重ねることにより、テラバ
イト級からペタバイト級の極めて容量の大きな磁気記憶
装置を実現することができた。
【0049】図15(a)は、摺動面と記録媒体面との
面当て調整機構の一例を示したものである。左右2本の
ねじ5−1、5−2は、磁気ヘッドを支持するジンバル
板7を押す構造となっている。ねじ5−1、5−2を調
整することによりジンバル板7のたわみ量が左右変化す
る。この効果から、磁気ヘッドの姿勢を制御することが
できる。この調整は、所定の信号を記録した後、出力値
が最も高く、かつ安定に得られるようになるようにして
行った。この調整機構は、ステンレス等の金属、ないし
は軽い高分子樹脂ないしはグラファイト等からなる複合
材料などで作ることができた。
【0050】上記は、機械的な調整機構であるが、図1
5(b)に示すように、形状記憶合金5−4をジンバル
7とアーム4の間に設けても本発明を実現できた。形状
記憶合金5−4はNiTi合金からなり所定温度以上で
変形操作を行うと変形された形状が記憶される性質を有
する。この性質を利用するため、本発明では、磁気ヘッ
ドをジンバル7で支持し、次いで強制的に磁気ヘッド摺
動面を記録媒体面に当てるべく磁気ヘッドに外力を与え
た。この状態で形状記憶合金に熱を加えると磁気ヘッド
摺動面を記録媒体面に接触するために必要となる変形量
が形状記憶合金5−4に記憶させる。この後、熱を取り
去っても、変形量が記憶されるため、強制的な面当て状
態を解除した後も連続的な面当て状態を維持することが
できた。
【0051】同様の効果は、図15(c)に示すように
熱軟化性樹脂5−5を調整機構部に用いても得られた。
形状記憶合金を用いた場合と同様、強制的に面を当てた
状態で樹脂5−5に熱を加えると、樹脂が軟化し、アー
ム4とジンバル7間に所定の変形が生じる。この後、熱
のみを取り去ると樹脂が硬化し、面を出すために必要と
なる変形量が保存される。したがって、この後、強制的
な面当て状態を解除しても連続的な面当て状態を維持す
ることができた。
【0052】上記磁気ヘッドと記録媒体との面当て状態
は、図11に示す30度から45度の開き角を有する2
つの部分から成るジンバルを用いることにより、より効
果的に維持された。これは、既に述べたように2つの部
分から成るジンバルは、記録媒体の半径方向の変位を吸
収しやすい。この効果から、摺動面を連続的に記録媒体
面に当てることができた。ジンバル部材は、厚さ25か
ら30μm程度のステンレス板から形成した。同様のバ
ネ剛性が得られれば、他の材料を用いることも可能であ
った。
【0053】磁気ヘッドは、硬いAlTiカーバイド等
の基板から形成した。図10に示すように記録媒体の進
入方向に2つのパッドを設け、かつ情報の書き込みと読
み出しを行う機能部を後方位置に1パッドを設けた。パ
ッドの加工には、イオンミリング等の加工手段を用い
た。この際のエッチング量は、約20μmとした。進入
位置のパッドは、50μm角であり、2つのパッドを合
わせた面積を合計すると5.0×10-92になる。同
パッドで生じる浮上力は、作用の項で述べたように無視
することができた。
【0054】後方位置のパッド形状は、図10(a)に
示すような家型であり、幅150μm、高さ300μm
とした。この形状は、一例であり、尖鋭化の程度を変え
ても本発明を実施する上で大差はなかった。なお、本実
施例のパッドはヘッド中心軸に対し対象形である。この
形状は、磁気ヘッドがシーク範囲の中点にある時、記録
媒体の回転方向と上記中心軸とが一致する場合に好適で
ある。一致しない場合には、シーク範囲の中点で記録媒
体の回転方向を向く直線に対し尖鋭化された部分の形状
が対象形になるようにすることで良好な摺動結果が得ら
れた。
【0055】同様の効果は、図10(b)に示すような
摺動方向に長いパッドを用いても得られた。本実施例の
場合、幅100μmに対し長さを200μmとした。
【0056】また、上記構成を具体的に示すと、図3に
なる。磁気抵抗効果検出部23は、磁極27と下部の磁
極28に挟まれるように存在する。さらに、摺動面に導
電性膜41を設け、この導電性膜を介して書き込み磁極
27、28と読み出しを行う磁気抵抗効果を有する磁性
薄膜23を電気的に結合した。この理由を以下に述べ
る。磁性薄膜23は磁気抵抗効果を利用して磁気情報を
検出するものである。このため、磁性薄膜に電流を流す
必要がある。図2に示した従来技術では、導体29を用
いて磁性薄膜23に電流を導入していた。図3に示す本
発明の場合、書き込み磁極27と磁極28が最接近
(0.5μm以下)する部分に磁性薄膜23を存在させ
る必要がある。この部分に導体を設けることは、製造方
法が構造が複雑となるばかりか、導体が作る段差が書き
込み特性にも悪影響を及ぼす。
【0057】図13を用いて上記構成を詳細に述べる。
図は素子部の断面図である。摺動面には、導電性膜41
が設けられており、磁極27、28に挟まれる位置に読
み出し用の磁気抵抗効果検出部23(磁性薄膜23)が
存在する。磁極27、28は、導電性膜41を介して磁
気抵抗効果検出部23に接触されるため、磁極27、2
8を導体として兼用できる。このため、磁気抵抗効果検
出部23の他端部に導体44を接続することで磁気抵抗
効果検出部23に電流を引き込むことができる。この場
合、検出感度にもっとも影響を与えるギャップ部での電
気的な接点は、面積が最小となる。この電気的な接触部
では磁気的な性質が損なわれることが知られている。原
因には加工歪みによる磁歪、電極材料の磁性膜への拡散
等が考えられる。本発明では、接点領域が少なくなるた
め、効率の高い磁界/抵抗検出が可能となる。
【0058】これに近い公知例は、ジャーナルオブマグ
ネチックソサイアティオブジャパン(Jounal of The Mag
netis Society of Japan) 18号、ナンバーS1、34
5頁に記載されている。要点を図12に示す。この例で
はシールド膜42、25内に磁気抵抗効果検出部23が
存在し、磁気抵抗効果検出部23はシールド膜42と電
気的な接点を有する。このため、シールド膜42を導体
と兼用しすることができる。磁気抵抗効果検出部23に
電流を流す向きは摺動面に対し垂直である点はこの例が
先例である。この向きに電流を流した際に磁気抵抗効果
検出部23の磁化方向を制御するため、導体47が用い
られている。本発明の場合にも導体47は必要であり、
これを図13に示すように書き込み磁極の中に設けてい
る。ところで、図12の場合、磁気抵抗効果検出部23
とシールド42との接点は面状になるため、面積が広く
なる。このため、上記に述べる理由から磁界/抵抗変換
効率を高くすることはできなかった。また、この例は、
書き込み磁極内に磁気抵抗効果検出部23が存在しな
い。したがって、ヨー角を広くした場合の問題は、図2
に示した場合と同様に生じた。このため、本発明に適用
することはできなかった。
【0059】また、図13に示した磁気ヘッド摺動面に
設けられた導電性膜41の電位を記録媒体の表面電位
(グランド)と等しくした。磁気ヘッドと記録媒体を摺
動させると、静電気が生じる場合がある。この静電気が
検出部にながれると誤った信号を検出することとなる。
これを防ぐため、記録媒体をグランドに落す手段が講じ
られる。同様に、この効果を引き出すために、本発明で
は、磁気ヘッド摺動面に設けられた導電性膜の電位を記
録媒体の表面電位と等しくした。これにより異常信号に
よる誤動作を解消できた。
【0060】連続的な摺動を実現するためには、余剰潤
滑剤をパッド下に噛ませる必要がある。これを効果的に
行うため、図10(c)に示すように、磁気ヘッド摺動
面を構成する複数のパッドの進入方向のエッジにテーパ
を設けても効果があった。テーパ角は約1度とした。こ
のテーパは、磁気ヘッドを傾けた状態で支持し、機械研
磨により形成した。このテーパを設けるとパッド形状を
尖鋭化する場合と同様、潤滑剤の流入方向のエッジに潤
滑剤が溜るのを防ぐ効果があり、安定な連続摺動が可能
となった。
【0061】また、本実施例では、磁気ヘッドと記録媒
体を連続的に摺動させた状態で約5年間の装置寿命を達
成するため、磁気ヘッドに厚さ10nm、記録媒体の磁
性膜面に厚さ10nmのカーボン膜を被着した。被着に
はスパッタ法を用いるが、特に磁気ヘッドには硬いカー
ボン膜を被着させる必要から、気相成長法を用いると効
果的であった。記録媒体の保護膜上には、潤滑層を設け
た。潤滑層は高分子の油を基本にした。
【0062】装置寿命に影響する摩耗は、磁気ヘッドに
かかる荷重に大きく依存するため、磁気ヘッドを低荷重
で記録媒体におし当てる必要がある。本発明では荷重を
10mgから100mgの範囲に設定した。荷重をこの
範囲に設定すると、あえて磁気ヘッド全体を1.5mg
以下に軽量化することなく、安定な連続摺動が可能であ
った。
【0063】上記技術を用いれば、ロータリアクチュエ
ータにより位置決めされる磁気ヘッドを最大45度まで
シークすることができた。従来装置の場合、許容シーク
範囲は約20度であった事を考えると、本発明の効果が
理解できる。シーク領域が広がれば、記録媒体の広い領
域で磁気情報を入出力することができるようになる。こ
れにより、単一装置の記録容量は拡大する。この結果、
装置単価を変えずに記録容量のみを増やすことができ
る。このため、極めて商品価値の高い磁気記憶装置を実
現できた。
【0064】この技術を導入するため、本発明では、さ
らに磁気ヘッド側に新たな技術を導入した。以下に実施
例を述べる。
【0065】図3に示すようにAlTiカーバイト基板
上30に絶縁層24を形成した後、下部磁極28を形成
した。本実施例では絶縁層24に酸化珪素を用い、下部
磁極28は、Ni−Fe合金を主成分にする膜を用い
た。他に軟磁性であれば、飽和磁化の高いセンダスト合
金等を用いることも可能であった。この後、再度絶縁膜
を被着した後、読みだし用の磁気抵抗効果検出部23を
積層した。所定の磁気抵抗効果検出器に適する形状に磁
性薄膜を加工するため、膜成膜時にリフトオフ等のしか
るべき加工手段を適用した。磁性薄膜は、磁気抵抗効果
を検出するものであり、これらは、Ni−Fe合金、T
a膜,Cu膜、CoPt合金膜等の金属材料から構成し
た。
【0066】この後、磁性薄膜からの引出電極29及
び、磁気抵抗効果検出部の磁化方向を制御する導体47
と書き込み磁界発生用の導体26を形成した。これら
は、厚さ2μmのCu膜から形成した。次に、導体26
により形成された深い段差を平坦化するため、熱流動性
を有する高分子樹脂を用いた。この高分子樹脂はホトレ
ジ工程で用いられるレジスト樹脂等を用いることができ
た。しかるべきホトレジ工程により、書き込み磁極のギ
ャップを狭める目的で約35度程度のテーパを形成す
る。この上に上部磁極27のパターンを形成し、磁気ヘ
ッドの主要部のプロセスを終了した。
【0067】上記プロセスのみでは、読みだし機能を実
現するため、磁性薄膜に電流を流す上で電気的な接点が
不足する。そこで、従来技術と同様の磁気ヘッドの研磨
工程を経た後(摺動面加工が終了した後)、摺動面側か
ら、導電性膜41を摺動面に被着した。膜厚は5nm程
度とした。これには導電性のカーボン膜、ないしはTi
等の金属膜を用いることができた。再度、摺動面には、
硬いカーボン膜を被着した。被着方法には気相成長法等
を用いた。
【0068】上記の素子作製方法では、下部磁極と上部
磁極の間に読みだし用の磁性薄膜パターンが形成される
点が従来技術と異なる。また、これら構成を作る上で必
要となる材料は、基本的に従来技術と同様である。この
構成を採ることにより、いかなるヨー角でも書き込みト
ラック情報と読みだし部は重なる。このため、広いヨー
角範囲で磁気ヘッドをシークさせることができるように
なった。
【0069】上記磁気ヘッド摺動面に導電性膜を設け、
この導電性膜を介して書き込み磁極と読み出しを行う磁
気抵抗効果を有する磁性薄膜とを電気的に結合する方式
は、本発明の特徴の一つでもある。磁性薄膜は磁気抵抗
効果を利用して磁気情報を検するものである。このた
め、磁性薄膜に電流を流す必要がある。摺動面に設けた
導電性膜介して電流を引き込むと電気的な接触部面積を
最小にできる。この電気的な接触部では磁気的な性質が
損なわれることが知られている。作用の項に述べたよう
に従来公表された方式は図12に示すように、読みだし
用の磁性薄膜の端部を磁気シールド用磁極の一部に結合
するものである。この方式を追試した結果、磁極形成後
に残る加工歪みにより、磁性膜膜に磁歪が生じ磁気抵抗
作用が劣化した。また、電極材料であるCuが磁性薄膜
を構成するNi−Fe膜に拡散しても、特性が劣化する
ことがわかった。このため、このような問題が生じる接
触部では、本来機能すべき磁気抵抗効果が損なわれ、高
密度記録で必要となる高感度の検出ができなかった。図
13に示す本発明では、接点領域が少なく、かつ最も漏
洩磁界の強い摺動面側でも本来の磁気抵抗効果が生じ
る。このため、本発明では高記録密度状態でも効率の良
い読みだし動作を実現することができた。
【0070】また、本発明では、磁気ヘッド摺動面に設
けられた導電性膜の電位を記録媒体の表面電位と等しく
した。これにより、静電気は除去され、安定な読みだし
動作を実現することができた。
【0071】また、本発明は、図14に代表されるスピ
ンバルブ型磁気抵抗効果素子にも適用可能であった。こ
の図は、磁気抵抗効果検出部の断面を示している。これ
までに明らかにされている磁気抵抗効果検出部の断面構
成は、各種あるが基本的に薄膜であるため、何らの問題
もなく本発明に適用可能であった。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、許容ヨー角範囲を45
度に広げることができる。これにより、磁気ヘッドを記
録媒体上の広い範囲でシークさせることが可能となる。
この効果から、従来1.8インチ径の記録媒体当たりG
B級が限界と考えられていた容量を約2倍に高めること
ができた。この結果から、記憶密度10Gb/in2
上の超高密度記録装置が可能となった。
【0073】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示す磁気記録装置の概念図である。
【図2】従来の書き込み部/読みだし部分離型磁気ヘッ
ドの概念図である。
【図3】本発明に用いる新規磁気ヘッド構造の概念図で
ある。
【図4】屈曲部に素子を有する従来型磁気ヘッドの概念
図である。
【図5】先端部を浮上させる従来型磁気ヘッドの概念図
である。
【図6】ヨー角を制限する磁極構成を説明する概念図で
ある。
【図7】各パッドのヨー角と出力値の関係を示す線図で
ある。
【図8】パッド面積と出力値の関係を示す線図である。
【図9】矩形型パッドとその問題点を示す説明図であ
る。
【図10】本発明に用いる新規パッド形状を示す図であ
る。
【図11】本発明に用いる磁気ヘッドと新規ジンバル形
状を示す図である。
【図12】磁気抵抗効果検出部を縦に持つ従来型磁気ヘ
ッドの断面図である。
【図13】本発明に用いる新規ヘッド構造の断面図であ
る。
【図14】スピンバルブ型磁気抵抗効果検出部の断面構
造を示す図である。
【図15】磁気ヘッド摺動面を維持するための新規アー
ム構造を示す図である。
【符号の説明】
1…記録媒体、2…磁気ヘッド、3…ロータリアクチュ
エータ、4…アーム、5…面当て調整機構、6…モー
タ、7…ジンバル、21…書き込み部、22…読みだし
部、23…磁気抵抗効果検出部、29…導体、27…書
き込み磁極、28…下部磁極、25…シールド層、24
…絶縁層、30…基板、41…導電性薄膜、42…磁化
方向制御用導体、43…入出力用素子、45…屈曲体、
51、52…パッド、53…矩形型パッド、54…尖鋭
化パッド、55…テーパ付きパッド、71、72…2枚
ジンバル、5−1、5−2…ネジ、5−4…形状記憶合
金、5−5…熱軟化性高分子樹脂。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁性体薄膜を有するディスク型記録媒体、
    該記録媒体への書き込みおよび読み出し機能を有する磁
    気ヘッド、該磁気ヘッドの位置決めを行うロータリアク
    チュエータを有し、該ロータリアクチェータの許容回転
    角の範囲を30度より大きくした状態でかつ上記磁気ヘ
    ッドが記録媒体と潤滑層を介して常に接触しながら入出
    力動作を行うことを特徴とする磁気記録装置。
  2. 【請求項2】磁性体薄膜を有するディスク型記録媒体、
    該記録媒体への書き込みおよび読み出し機能を有する磁
    気ヘッド、該磁気ヘッドの位置決めを行うロータリアク
    チュエータを有し、上記磁気ヘッドの読み出し用磁性薄
    膜が、対面する書き込み磁極内に設けられており、かつ
    上記磁気ヘッドが記録媒体と潤滑層を介して常に接触し
    ながら入出力動作を行うことを特徴とする磁気記録装
    置。
  3. 【請求項3】上記ロータリアクチェータの許容回転角の
    範囲を30度より大きくした状態で所定の書き込みおよ
    び読み出し動作を行うことを特徴とする請求項2記載の
    磁気記憶装置。
  4. 【請求項4】上記磁気ヘッドが30度より大きくした開
    き角を有するジンバルにより支持されていることを特徴
    とする請求項2または3記載の磁気記録装置。
  5. 【請求項5】上記磁気ヘッドの摺動面が孤立する3つの
    パッドから構成される磁気記録装置において、摺動方向
    に対する長さが幅方向の長さに比べ長いパッドに書き込
    み及び読み出し機能部を設けたことを特徴とする請求項
    2、3または4のいずれかに記載の磁気記録装置。
  6. 【請求項6】磁気ヘッド摺動面を構成する複数のパッド
    の全てに記録媒体の進入方向に対しテーパを設けたこと
    を特徴とする請求項5記載の磁気記録装置。
  7. 【請求項7】導電性膜を少なくとも上記磁気ヘッド摺動
    面に有し、該導電性膜を介して書き込み磁極と読み出し
    を行う磁気抵抗効果を有する磁性薄膜とが電気的に結合
    されていることを特徴とする請求項5記載の磁気記録装
    置。
  8. 【請求項8】上記磁気ヘッド摺動面に設けられた導電性
    膜の電位と記録媒体の表面電位とが等しいことを特徴と
    する請求項7記載の磁気記録装置。
  9. 【請求項9】上記磁気ヘッドの摺動面が孤立する3つの
    パッドから構成される磁気記録装置において、書き込み
    及び読み出し機能部を有するパッドの面積が2.5×1
    -82以内であって、かつ形状が媒体進行方向に尖鋭
    化されていることを特徴とする請求項2、3または4の
    いずれかに記載の磁気記録装置。
  10. 【請求項10】磁気ヘッド摺動面を構成する複数のパッ
    ドの全てに記録媒体の進入方向に対しテーパを設けたこ
    とを特徴とする請求項9記載の磁気記録装置。
  11. 【請求項11】導電性膜を少なくとも上記磁気ヘッド摺
    動面に有し、該導電性膜を介して書き込み磁極と読み出
    しを行う磁気抵抗効果を有する磁性薄膜とが電気的に結
    合されていることを特徴とする請求項9記載の磁気記録
    装置。
  12. 【請求項12】上記磁気ヘッド摺動面に設けられた導電
    性膜の電位と記録媒体の表面電位とが等しいことを特徴
    とする請求項11記載の磁気記録装置。
  13. 【請求項13】上記磁気ヘッドが板バネから構成される
    ジンバル部材で支持され、かつ、該ジンバル部材がアク
    チュエータに結合されたアーム部材によって支持される
    磁気記録装置において、上記アーム部材に磁気ヘッドの
    ロール角及びピッチ角を調整する機能を付加したことを
    特徴とする請求項2、3または4のいずれかに記載の磁
    気記録装置。
  14. 【請求項14】上記接触状態の調整機構部に形状記憶合
    金を用いたことを特徴とする請求項13記載の磁気記録
    装置。
  15. 【請求項15】上記接触状態の調整機構部に熱軟化性高
    分子樹脂を用いたことを特徴とする請求項13記載の磁
    気記録装置。
  16. 【請求項16】上記磁気ヘッドにかかる荷重が、10m
    gから1gの範囲にあることを特徴とする請求項13記
    載の磁気記録装置。
  17. 【請求項17】記録媒体の進入方向に2つのパッドを有
    し、かつ情報の書き込みと読み出しを行う機能部を媒体
    の流出方向に設けた1パッドに有する磁気ヘッドにおい
    て、特に進入位置のパッド面積の合計が5.0×10-9
    2以下であることを特徴とする請求項2、3または4
    のいずれかに記載の磁気記録装置。
  18. 【請求項18】磁気ヘッド摺動面を構成する複数のパッ
    ドの全てに記録媒体の進入方向に対しテーパを設けたこ
    とを特徴とする請求項17記載の磁気記録装置。
  19. 【請求項19】導電性膜を少なくとも上記磁気ヘッド摺
    動面に有し、該導電性膜を介して書き込み磁極と読み出
    しを行う磁気抵抗効果を有する磁性薄膜とが電気的に結
    合されていることを特徴とする請求項17記載の磁気記
    録装置。
  20. 【請求項20】上記磁気ヘッド摺動面に設けられた導電
    性膜の電位と記録媒体の表面電位とが等しいことを特徴
    とする請求項19記載の磁気記録装置。
JP17178695A 1995-05-25 1995-07-07 磁気記録装置 Pending JPH0927102A (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17178695A JPH0927102A (ja) 1995-07-07 1995-07-07 磁気記録装置
US08/650,196 US5898540A (en) 1995-05-25 1996-05-20 Magnetic head and slider configuration for contact recording having a plurality of tapered surfaces
TW085106054A TW409246B (en) 1995-05-25 1996-05-22 Magnetic head and magnetic storage apparatus using the same
DE19620673A DE19620673A1 (de) 1995-05-25 1996-05-22 Magnetkopf und magnetische Speichervorrichtung unter Verwendung desselben
KR1019960017341A KR960042689A (ko) 1995-05-25 1996-05-22 자기헤드 및 그것을 사용한 자기기록장치
CN96107885A CN1158471A (zh) 1995-05-25 1996-05-24 磁头及采用它的磁存贮设备

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17178695A JPH0927102A (ja) 1995-07-07 1995-07-07 磁気記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0927102A true JPH0927102A (ja) 1997-01-28

Family

ID=15929669

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17178695A Pending JPH0927102A (ja) 1995-05-25 1995-07-07 磁気記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0927102A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0915382A2 (en) * 1997-11-04 1999-05-12 Shipley Company LLC Novel polymers and photoresist compositions

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0915382A2 (en) * 1997-11-04 1999-05-12 Shipley Company LLC Novel polymers and photoresist compositions
EP0915382A3 (en) * 1997-11-04 2000-08-09 Shipley Company LLC Novel polymers and photoresist compositions
US6749983B1 (en) 1997-11-04 2004-06-15 Shipley Company, L.L.C. Polymers and photoresist compositions

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4134119B2 (ja) 垂直磁気記録用の薄膜磁気ヘッドを備えた磁気ディスク装置及び該薄膜磁気ヘッドの製造方法
US5898548A (en) Shielded magnetic tunnel junction magnetoresistive read head
US5898542A (en) Magneto-resistive effect type head with step or protrusion for reducing thermal asperity
US7054113B1 (en) Reader/writer for magnetic memory
US7095585B2 (en) Hard disk drive for perpendicular recording with transducer having submicron gap between pole tips
US6507465B1 (en) Magnetoresistive effect head
US6473275B1 (en) Dual hybrid magnetic tunnel junction/giant magnetoresistive sensor
US6650598B2 (en) Magnetic head having magnetoresistance device and recording/reproducing apparatus incorporating the same
TW493169B (en) Magnetic head and magnetic recording and reproducing system
US7193807B1 (en) Method and apparatus for reducing effective track width through highly skewed head angles
US7317596B2 (en) Magnetic recording disk drive having read head with high cross-track resolution and disk with low bit-aspect-ratio
JP4191574B2 (ja) 逆平行結合された導線/センサ重複領域を有する磁気抵抗センサ
KR100259431B1 (ko) 강화된 자기저항 효과를 갖는 자기저항 센서
US7292416B2 (en) CPP magneto resistive head with decreased variation in asymmetry and output
JP3183838B2 (ja) 直列磁束ガイドを備えた高感度磁気抵抗センサ
US6545847B2 (en) Magnetoresistive effect head
JPH0927102A (ja) 磁気記録装置
US20080043376A1 (en) Magnetic resistive head and magnetic recording apparatus
US6798621B2 (en) Shield electrical connections for tunnel valve sensors
JPH11161920A (ja) 記録再生ヘッド及びそれを用いたヘッド・ディスク・アセンブリと磁気ディスク装置
JP2004178792A (ja) 有効トラックの縁部から後退した交換安定化層を有する磁気スピン・バルブ・センサ
JP3313615B2 (ja) 磁気記録再生装置および磁気抵抗素子を用いた再生ヘッド
US7031120B2 (en) Disk drive with magnetic head for perpendicular magnetic recording
JPH10188224A (ja) 磁気抵抗効果ヘッド及びこれを使用した信号再生方法
JPH0887721A (ja) 磁気変換素子及び薄膜磁気ヘッド