JPH09268943A - データ記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】安価でしかも必要なデータを効率良く取得でき
るデータ記録装置を提供する。 【解決手段】車両の電子制御装置と通信を行うデータ記
録装置１であり、電子制御装置から車両データを読み出
す双方向通信手段１０と、車両データの記録を開始する
ため信号を送出するスタートスイッチ８と、スタートス
イッチからの信号を受けて車両データを記憶するデータ
記憶手段４と、本体プログラムが格納されたメモリ手段
３と、メモリ手段に格納されたプログラムを実行し車両
データの入出力処理を行う演算処理手段２と、内部状態
を表示するためのＬＥＤ表示器７と、外部機器と車両デ
ータ及び本体プログラムの入出力を行う入出力回路９と
を備える。他の外部機器から計測対象の車両に適合した
コマンドリストを含むフォーマットデータを受け取り、
当該フォーマットデータにしたがって通信を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両の電子制御装
置等に接続され、センサ類、アクチュエータ類の動作状
態などの車両状態に関する車両データを記録するための
データ記録装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】エンジンや自動変速装置などを制御した
り自己診断するために、車両には電子制御装置が搭載さ
れているが、かかる車載用電子制御装置とシリアル通信
を行って車両状態に関するデータを取得し、表示や記録
を行う自動車用故障診断機が、日常の故障診断に有効な
ツールとして、ディーラやサービス工場などにおいて広
く用いられている。

【０００３】例えば、不具合車両がディーラに入庫した
場合、その不具合が容易に再現可能なものであれば、デ
ィーラにてその不具合を再現して車両データを記録する
ことは容易であり、大型の据付型診断機などでも十分に
診断することができる。

【０００４】しかしながら、再現性が低い不具合の場合
には、ディーラでのこうした診断機を使った不具合発生
時のデータ取得は困難であり、通常は、携帯型データ記
録装置を取付けたまま、ユーザに、数日から数週間、不
具合が発生するまで走行してもらい、不具合が再現した
時点でのデータを取得し記録しておいて、再入庫時にそ
の記録データを基に故障診断を行うなどの方法が行われ
ている。

【０００５】このような車両の診断用通信線に接続さ
れ、不具合発生時のデータ取得を行う装置として、入力
項目の設定などが行えるキーボードやディスプレイなど
の入出力手段と数十秒から数時間のデータを記憶するこ
とができる大型メモリ手段とを備える高価なドライブレ
コーダや診断テスタと、通信インターフェースとスター
トスイッチやＬＥＤ等だけの簡単な入出力手段と数秒間
から数分程度のデータを記憶するだけの小型メモリ手段
を備える安価なフライトレコーダとが知られている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ドライブレコーダは、
プログラムに登録されている全項目の中から診断対象車
両に実装されているもので、かつ診断に必要なものだけ
の選択及び取得ができ、診断に必要な情報のみに限定し
た効率の良いデータ取得が可能である。しかしながら、
大型かつ高価であり、不具合が再現するまで車両に装着
してユーザ等に貸し出しておく方法には適していない。

【０００７】一方、フライトレコーダは小型で安価であ
るが、それ自体にキーボードやディスプレイなどの入出
力手段を備えていないため、診断に必要な入出力などの
選択はできず、車載用電子制御装置から全項目のデータ
を取得したのちに、キーボードやディスプレイを備える
別の診断機にデータを転送して必要な情報を選択する必
要があった。

【０００８】またこの場合、取得した車両データの中に
は、対象とする診断には必ずしも必要とされない車両デ
ータが含まれているため、フライトレコーダの限られた
メモリに記憶される全データに占める必要なデータの割
合が低くなり、データの取得効率が低いという問題があ
る。例えば、車載システムによってはプログラムに登録
されている全項目数が数百個、そのうちある車両に実装
されている項目数は５０〜１００個にも達するが、実際
の不具合現象に関連し、診断作業にとって重要な項目は
通常５〜１０個程であることが多い。フライトレコーダ
は安価ではあるが、データ取得用の記憶容量がきわめて
小さく、しかも診断に必要な項目を選択するためのキー
ボードやディスプレイなどは備えていない。したがっ
て、通常はそのまま全項目のデータを取得して、その中
から診断に必要なデータを選び出す必要があるが、この
場合、診断に必要なデータのみに対するフライトレコー
ダの記憶領域の有効使用率は低くなってしまうのであ
る。

【０００９】尤も、フライトレコーダ本体のプログラム
を書換え、診断対象車両及び必要データに最適化させる
ことも考えられるが、このためには熟練者が診断開始毎
にフライトレコーダのプログラムを更新する必要が生
じ、作業時間がかかるという問題がある。

【００１０】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、故障診断に大型で高価なド
ライブレコーダを使用することなく、安価に、しかも診
断に必要なデータを効率良く取得することができるデー
タ記録装置を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１記載の本発明のデータ記録装置は、車両の
電子制御装置と通信を行い、車両状態に関する車両デー
タを記録するデータ記録装置において、前記電子制御装
置から前記車両データを読み出す双方向通信手段と、前
記車両データの記録を開始するため信号を送出するスタ
ートスイッチと、前記スタートスイッチからの信号を受
けて前記車両データを記憶するデータ記憶手段と、本体
プログラムが格納されたメモリ手段と、前記メモリ手段
に格納されたプログラムを実行し、前記車両データの入
出力処理を行う演算処理手段と、内部状態を表示するた
めの表示手段と、外部機器と前記車両データ及び前記本
体プログラムの入出力を行う入出力手段とを備えたこと
を特徴とする。

【００１２】この請求項１記載のデータ記録装置では、
車両データの記録を開始する信号を送出するスタートス
イッチや、内部状態を表示するための表示手段を有して
いるので、必要な情報の選択と同時に内部容量の残量な
どを簡単に知ることができる。これにより、不具合発生
時の車両データが、データ記憶手段に効率よく記憶さ
れ、データの記録完了後に、記憶データを外部の故障診
断機に転送することにより、故障の解析を行うことがで
きる。

【００１３】また、請求項２記載のデータ記録装置は、
他の外部機器から計測対象の車両に適合したコマンドリ
ストを含むフォーマットデータを受け取り、当該フォー
マットデータにしたがって通信を行うことを特徴とす
る。こうすることにより、本体プログラムを書き換える
ことなく、また取得データを選択するための入力作業を
行うことなく、診断に必要な車両データを効率的に取得
することができる。

【００１４】本発明のデータ記録装置において、車両デ
ータの記録開始はスタートスイッチが押されたときでも
良いし、車両電子制御装置の自己診断機能により不具合
が検出された時でも良い。また、本発明のデータ記録装
置において、記録されたある時間の車両データの中で、
記録開始時の車両データがどこにあるかを判別できれ
ば、車両データは記録データの先頭になくても良い。

【００１５】

【発明の効果】請求項１記載の本発明のデータ記録装置
によれば、従来高価なドライブレコーダや診断テスタを
用いてデータを取得していた再現性の低い不具合発生時
の車両データを、安価で、しかも効率的にデータを取得
でき、診断作業をより簡便にすることができる。

【００１６】また、請求項２記載のデータ記録装置によ
れば、請求項１記載の発明に係る効果に加え、本体プロ
グラムを書き換えることなく、また取得データを選択す
るための入力作業を行うことなく、診断に必要な車両デ
ータを効率的に取得することができる。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図１は本発明のデータ記録装置の実
施形態を示すブロック図、図２は本発明のデータ記録装
置の使用状態を説明する外観図、図３は本発明のデータ
記録装置の動作手順を示すフローチャート、図４（ａ）
はデータ記録装置に送られるデータフォーマット、図４
（ｂ）はデータ記録装置より送られるデータフォーマッ
トである。

【００１８】本実施形態のデータ記録装置１は、ＣＰＵ
からなる演算処理手段２を有しており、この演算処理手
段２は、ＲＯＭからなるメモリ手段３に記憶されている
基本プログラムを実行することで、双方向通信手段１０
を介し、診断用通信コネクタ１２を経由して、車両に接
続されて通信を行い、車両データを取得する。この車両
データは、ＲＡＭからなるデータ記憶手段４に一時的に
記憶される。

【００１９】この際、取得すべき車両データは、予め外
部機器１４等の診断テスタを車両に接続し、実装されて
いるコマンドを確認し、診断対象車両用に最適化された
コマンドリストとして入出力回路９を介して外部機器１
４により定められたフォーマットで転送される。このデ
ータフォーマットで指定される内容は、図４（ａ）に示
されるように、例えばシステム名称、システムの識別記
号、診断対象の車両に実装されているセンサ類などを示
す通信結果、使用するトリガ形式、使用する記録速度、
取得すべきデータの項目一覧、内蔵時計の初期化用デー
タからなる。

【００２０】データ記録装置１は、このコマンドリスト
にしたがって車両データを取得することで、診断に必要
なデータのみを取得することができる。

【００２１】車両データの取得を開始するためのトリガ
は、スタートスイッチ８又は並行して接続された外部ス
タートスイッチ１３を押すことによって発生する。或い
は、車両制御装置から自己診断コード等が発生したこと
を検出して、それをトリガとすることも可能である。

【００２２】取得された車両データは、定められたフォ
ーマットに従い、ＲＡＭからなるデータ記憶手段４に記
憶される。繰り返し発生する車両不具合に対応するため
に、データ記憶手段４は車両データを複数回記録するこ
とができる。ただし、車両データが一つ以上記録された
場合、記録データの存在を操作者に知らせるために、Ｌ
ＥＤ表示器７の”ＲＥＣ”が点灯し、記録可能な最大数
のデータが取得された場合、以後のデータ更新は行われ
ず、ＬＥＤ表示器７の”ＦＵＬＬ”が点灯し、操作者に
それ以上のデータ取得が不可能であることを知らせる。

【００２３】取得された車両データは、入出力回路９を
介して診断機などの外部機器に定められたフォーマット
で送信され、診断作業に供される。このデータフォーマ
ットで指定される内容は、図４（ｂ）に示されるよう
に、例えば記録データの通し番号、システム名称、シス
テムの識別記号、診断対象の車両に実装されているセン
サ類などを示す通信結果、使用されたトリガ形式、使用
した記録速度、取得されたデータの項目一覧、計測され
た日時、記録された車両データからなる。なお、計時手
段５は車両データの取得時間を計測するためのタイマで
ある。

【００２４】次に動作を説明する。まず、ステップ１０
１で車両との通信状態が初期化される。ステップ１０２
でこの初期化プロセス中に問題が確認された場合、ステ
ップ１０５を実行し、ＬＥＤ表示器７の”ＩＮＩＴ”を
点灯させ、初期化プロセスに問題が生じたことを操作者
に喚起する。

【００２５】初期化が問題なく完了した場合は、ステッ
プ１０３，１０４で示されるトリガ待ち状態となる。こ
こで、ステップ１０３にて、車載システムの制御装置よ
り自己診断コードが発せられたことが確認された場合
は、ステップ１０６で車両データの記録を開始する。ス
テップ１０４にて、スタートスイッチ８又は外部スター
トスイッチ１３による手動トリガが確認された場合も、
同様にステップ１０６で車両データの記録を開始する。

【００２６】車両データが定められた時間だけ記録され
た後、ステップ１０７で車両データの記録を一旦終了
し、ステップ１０８でＬＥＤ表示器７の”ＲＥＣ”を点
灯して、操作者に車両データの記録完了を知らせる。

【００２７】次に、ステップ１０９で記録データの個数
をカウントし、データ記憶手段４における記録可能最大
数（図示する実施形態では１０）以下であれば、ステッ
プ１０３，１０４で示されるトリガ待ち状態に移行し、
次のデータ取得に備える。また、ステップ１０９で、記
録可能最大数のデータが取得された場合、ステップ１１
０でＬＥＤ表示器７の”ＦＵＬＬ”を点灯し、操作者に
全記録完了の通知を出し、以後のデータの更新を停止す
る。

【００２８】このように、本実施形態のデータ記録装置
１によれば、高価で大型なドライブレコーダや診断テス
タを使用しなくても、車両データを効率よく取得するこ
とができる。

【００２９】なお、以上説明した実施形態は、本発明の
理解を容易にするために記載されたものであって、本発
明を限定するために記載されたものではない。したがっ
て、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技
術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のデータ記録装置の実施形態を示すブロ
ック図である。

【図２】本発明のデータ記録装置の使用状態を説明する
外観図である。

【図３】本発明のデータ記録装置の動作手順を示すフロ
ーチャートである。

【図４】（ａ）はデータ記録装置に送られるデータフォ
ーマット、（ｂ）はデータ記録装置より送られるデータ
フォーマットである。

【符号の説明】

１…データ記録装置 ２…演算処理手段 ３…メモリ手段 ４…データ記憶手段 ５…計時手段 ７…ＬＥＤ表示器（表示手段） ８…スタートスイッチ ９…入出力回路（入出力手段） １０…双方向通信手段 １１…車載電子制御装置 １２…診断用通信コネクタ １３…外部スタートスイッチ １４…外部機器（診断テスタ）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両の電子制御装置と通信を行い、車両状
   態に関する車両データを記録するデータ記録装置におい
   て、 前記電子制御装置から前記車両データを読み出す双方向
   通信手段と、前記車両データの記録を開始するため信号
   を送出するスタートスイッチと、前記スタートスイッチ
   からの信号を受けて前記車両データを記憶するデータ記
   憶手段と、本体プログラムが格納されたメモリ手段と、
   前記メモリ手段に格納されたプログラムを実行し、前記
   車両データの入出力処理を行う演算処理手段と、内部状
   態を表示するための表示手段と、外部機器と前記車両デ
   ータ及び前記本体プログラムの入出力を行う入出力手段
   とを備えたことを特徴とするデータ記録装置。
2. 【請求項２】他の外部機器から計測対象の車両に適合し
   たコマンドリストを含むフォーマットデータを受け取
   り、当該フォーマットデータにしたがって通信を行うこ
   とを特徴とする請求項１記載のデータ記録装置。