JPH09262053A - 低脂肪チーズの製造方法 - Google Patents

低脂肪チーズの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高水分で軟らかく、離水のほとんど見られな
い低脂肪ナチュラルチーズの製造法。 【解決手段】 脂肪含量を0〜2重量%に調整し、殺菌
冷却した乳に、一価の陽イオンの塩類を 0.1〜3重量%
添加し、スターター、レンネットを添加して凝乳せし
め、カッティングしてホエーを排出し、カードを型に詰
めて圧搾し、さらに3〜8時間塩漬し、熟成を行うこと
よりなる低脂肪ナチュラルチーズの製造法。一価陽イオ
ンの塩類には、食塩、塩化カリウムが用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高水分で軟らか
く、且つ離水がほとんど見られない低脂肪ナチュラルチ
ーズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、健康志向で低カロリーの食品の需
要が伸長している。その結果、低カロリーで栄養バラン
スのとれた食品として、低脂肪チーズの需要が高まって
いる。従来の低脂肪チーズの製法は、低脂肪乳からカー
ドメーキングしナチュラルチーズを作っている。この方
法で得られるチーズの組織は、硬く味が淡白であった。
カードメーキング時の条件をいろいろ変え、例えばカッ
ティング時期やクッキング温度などを変え製造しても、
組織や味の改良は不充分であった。
【0003】R.SCOTT 著:CHEESE MAKINGS PRACTICE(AP
PLIED SCIENCE PUBLISHERS LTD. LONDON, 1981) には、
乳に食塩を直接添加してチーズを製造する方法として、
エジプト地方に伝えられているドミアティ(Domiati)チ
ーズが記載されている。このドミアティチーズの製法
は、二つの方法がある。その一つの方法は、微生物の菌
数を抑えるため、乳に5〜15%の食塩を加える(平均10
%の食塩)。もう一つの方法は、生乳の2/3に食塩を
加え、残りの1/3の乳を76.7℃で加熱処理し、両者を
合わせ、レンネットを添加する方法もある。このレンネ
ット添加温度は35〜46℃で、乳100L当たりレンネット抽
出液を20〜30ml添加し2〜3時間でセッティングする。
ホエーを排除して造られたこのチーズは、独特のフレー
バーを有し、ややソルティーな味を呈するものである。
【0004】又、特開平1-196256号公報には低脂肪チー
ズの製造方法が示されている。この方法は、ナチュラル
チーズより脂肪分を除去することにより、風味の良い低
脂肪チーズを提供できることが示されている。詳しく
は、チーズを裁断し、アルカリ金属塩化物の10〜36重量
%水溶液で処理した後、加熱溶解し、次いで脂肪分を分
離除去することからなる低脂肪チーズの製造方法が開示
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前者のドミアティチー
ズは原料の乳に食塩を直接添加してチーズを製造するも
のであるが、この食塩の添加は、微生物の菌数を抑える
ための目的で乳に高濃度の塩を添加するものである。ま
た後者の低脂肪チーズの製造方法は、通常のナチュラル
チーズを加熱溶融し、脂肪分を除去したものを原料にし
てチーズを製造している。従って、この方法では、低脂
肪チーズの物性改良は充分になされていない。そして、
通常の低脂肪チーズは、硬すぎてゴムの様な食感を有す
るものである。本発明は、このような従来の硬い、ゴム
様の食感を有する低脂肪チーズとは異なる高水分を含有
し、軟らかく、かつ離水の少ない低脂肪チーズを得よう
とするものである。従って、本発明は、従来の低脂肪チ
ーズとは異なった性質を有する低脂肪チーズを製造する
方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな課題を解決し、高水分を含有し軟らかくて、且つ離
水の少ない低脂肪チーズを提供すべく鋭意研究の結果、
低脂肪原料乳に食品衛生上許容される一価の陽イオンの
塩類を 0.1〜3重量%添加し、これを原料として用いて
低脂肪ナチュラルチーズを製造すると上記課題を達成で
きることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0007】特に、本発明では、脂肪含量を0〜2重量
%に調整し、殺菌冷却した低脂肪原料乳に食品衛生上許
容される一価の陽イオンの塩類を 0.1〜3重量%添加
し、これにスターター及びレンネットを添加して凝乳を
生ぜしめ、これをカッティングしてホエーを排出し、得
られたカード粒を型に詰めて圧搾し3〜8時間塩漬し、
熟成を行うことによって高水分を含有し、軟らかくかつ
離水の少ない低脂肪チーズを得ることができることを見
出した。
【0008】すなわち、本発明は低脂肪原料乳に食品衛
生上許容される一価の陽イオンの塩類を 0.1〜3重量%
添加し、これを原料として用いて低脂肪ナチュラルチー
ズを得ることよりなる低脂肪ナチュラルチーズの製造法
に関する。さらに具体的には、脂肪含量を0〜2重量%
に調整し、殺菌冷却した低脂肪原料乳に、食品衛生上許
容される一価の陽イオンの塩類を 0.1〜3重量%添加
し、これに、スターター及びレンネットを添加して凝乳
せしめ、これをカッティングしてホエーを排出し、得ら
れるカード粒を型に詰めて圧搾し、3〜8時間塩漬し、
熟成を行うことよりなる低脂肪ナチュラルチーズの製造
法に関する。
【0009】本発明における食品衛生上許容される一価
の陽イオンの塩としては、カリウムイオン、ナトリウム
イオンあるいはこれらの混合物の塩、具体的には、食
塩、塩化カリウムあるいは両者の混合物が用いられる。
またスターターとレンネットは両者を同時に添加しても
よく、あるいはスターターを添加した後、レンネットを
添加してもよい。通常はスターターを添加してpHを酸性
側に調整した後、レンネットが添加される。
【0010】本発明における乳には、牛乳、山羊乳、水
牛乳等の乳が用いられる。これらの乳の脂肪含有量につ
いては、2%以上の脂肪分を含む原料乳に対して一価の
陽イオンを含む塩類を添加すると、凝固時間の遅延、カ
ードが軟弱になり砕けやすくなると共に、ホエーを排出
させることが困難になり又、チーズの水分値が多くなる
などの製造上の問題が生ずることから、原料乳の脂肪含
量は0〜2重量%が好ましい。本発明により得られる低
脂肪チーズとは、無脂肪物中の水分が49〜63%で、チー
ズ中脂肪が 0〜25%であるナチュラルチーズを指す。
【0011】本発明により得られた低脂肪チーズは、ナ
チュラルチーズとして用いられ、例えば、ピザなどのよ
うに熱に溶融させて用いられる。その他、食品の素材と
してナチュラルゴーダチーズと同様の機能を有している
ため、従来のナチュラルチーズと同様に使用できる。
又、本発明により得られた低脂肪チーズは、低脂肪プロ
セスチーズの原料として使用できる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の方法によると、乳に食塩
等の食品衛生上許容されるアルカリイオンの塩類を添加
してカードメーキングすると保水性が高く軟らかいカー
ドになることが判明した。その作用は、カードメーキン
グ時に凝乳時間が遅延し、ホエーの排出速度が遅くな
り、シネレシスの低下が認められることによるものと考
えられる。その作用が生ずる原因について、乳中のカゼ
イン結合性カルシウムと食塩中のナトリウムがイオン交
換反応を起こし、カゼインミセルに何らかの物性及び構
造変化が生ずるものと推定した。
【0013】そこで、本発明者らは、乳に食塩を添加し
たときの、乳の物性及び構造について次のような検討を
行った。まず食塩添加乳のカゼインの構造について観察
を行った。カゼインの観察結果は、図1に食塩無添加、
図2に食塩1%を添加して30分後のカゼインの構造の顕
微鏡写真を示した。図1から、食塩無添加のカゼインミ
セルの大きさは、直径 140〜200nm であった。カゼイン
サブミセルと思われる、直径15〜30nmの粒子も多数観察
された。食塩を1%乳に添加するとこれが図2のように
変化する。すなわち、大きなカゼインミセルの回りを取
り囲むように15〜30nmの粒子が観察された。この粒子
は、数珠状に連なった部分が観察されたが、これはカゼ
インミセルからカルシウムが解離してサブミセルにほぐ
れたものと考える。このように乳に食塩を添加するとカ
ゼインミセルは、緩やかにほぐれカゼインサブミセルに
なる。しかし、サブミセルは、単独で存在せずにサブミ
セル同志が数珠状につながり、カゼインミセル本体とつ
ながって存在することがわかった。この現象は、カード
メーキングしたときの保水性に影響するものと考える。
つまり、数珠状の部分がシネレシスを阻害する効果また
は数珠状の部分が緻密な網目状態になり毛細管現象で保
水性を高める効果のどちらかの効果に関与しているもの
と推定した。
【0014】次に、このような食塩添加乳を用いてチー
ズカードを作ると、そのカードの構造は次のようにな
る。すなわち、図3に食塩無添加、図4に食塩1%添加
してカードメーキングしたときのチーズカードの構造を
示した。食塩を添加しない乳を用いたチーズカードの構
造は、カゼインが太い紐状に凝集し、さらに紐状凝集物
同志が融合し網目を形成している。一方、食塩を添加し
たもののカゼインの状態は、紐状のカゼイン凝集物質の
他に粒子状のカゼインが存在していた。また、紐状に凝
集したカゼインの太さは、食塩添加の場合が細かった。
【0015】カードの構造とカードシネレシスの関係
は、カゼインの凝集状態が紐状になるとカードシネレシ
スが強く、粒子状ではカードシネレシスが弱くなる。本
発明の方法により、食塩添加乳を用いると、カゼインの
凝集物が一部粒子状になった構造となり、カードシネレ
シスが弱くなることが確認された。したがって、乳に食
塩を添加すると、カゼインミセルは緩やかにほぐれ凝固
能が弱くなり、カードシネレシスが減少し、チーズの保
水性が向上するものと考える。
【0016】次に、食塩添加とカゼインの構造との関係
についてみてみると、通常のナチュラルチーズの製造で
は、原料乳を殺菌し、冷却したものにスターターを添加
し次いでレンネットを添加し、カッテイングしてホエー
を排出しカード粒を型に詰めて圧搾したものに食塩をす
り込むか、又は濃い食塩水に漬けたりする。この通常の
ナチュラルチーズの製造における加塩工程の目的は、チ
ーズに風味を付けるために好ましくない微生物繁殖の抑
制、カードの物理化学的な変化(ホエー分離など)の促
進、乳酸菌その他の細菌の生育遅延などである。いずれ
にしても、食塩はカードになってから初めて加えられて
おり、乳の段階で用いることは前記ドミアティチーズな
どの特殊な製法でのみ行なわれている。エジプトではド
ミアティチーズ用の原料乳に多量の食塩(最大で乳量の
15%)をレンネット添加と同時に加え、変敗微生物の生
育を抑制している。このとき、レンネットの作用が遅
れ、凝固時間は2時間程度要することが知られている。
【0017】本発明における食塩の添加は、ドミアティ
チーズの製法の目的とは異なり、カゼインの構造変化に
伴う凝固時間の遅延及びシネレシスの低下を生みだし、
最終的にはチーズの物性改良、特に柔らかなカードを得
ることを目的としている。本発明における方法では、殺
菌冷却した脱脂乳 200mlを 250mlのビーカーに入れ、恒
温水槽中で温度を高め、脱脂乳が30℃に到達後食塩を添
加し、30分間撹拌した。撹拌終了後の脱脂乳を直ちに採
取し遠心分離した。そして、遠心分離して得られた沈殿
物中の成分(水分、蛋白、ミネラル)を測定した。その
結果、遠心分離沈殿物中のカルシウム量が減少し、ナト
リウム量が増加した。この現象によりカゼイン中のコロ
イド状リン酸カルシウム濃度が低くなり、カゼインサブ
ミセル同志の結合力が弱くなっていることが推定され
る。つまり、ナトリウムが増加することにより、いくつ
かのカゼインは、カルシウムカゼイネートからナトリウ
ムカゼイネートに変化していることが予想され、これに
より親水性の性質が出現することも一因と考える。
【0018】上記の結果を踏まえ、乳に食塩を添加した
ときのカゼインミセルの構造は、図2に示したように、
カゼインミセル本体の回りに数珠状につながったサブミ
セルの状態になっているものと推定される。つまり、コ
ロイド状リン酸カルシウム濃度が低くなりカゼインサブ
ミセル同志の結合力が弱くなった状態では、カゼインサ
ブミセルが単独で切り離されるのではなく、弱くつなが
って存在すると考えられる。この現象を模式的に表現す
ると図5のようになり、カゼインサブミセルが緩やかに
ほぐれるものと考える。この緩やかにほぐれた数珠状の
カゼインミセルの働きは、カードメーキング時にカゼイ
ンミセルの凝集を阻害しシネレシスを弱める。つぎに、
カード形成時に数珠状の部分は紐状に凝集せず粒子状に
なり、緻密な網目を形成し毛細管現象を生みだし、カー
ドの保水性を高めるものと考える。
【0019】本発明に用いる一価の陽イオンの塩類の添
加量は 0.1〜3重量%である。塩類の量が 0.1重量%未
満では、低濃度のため原料乳中のカルシウムとの交換反
応が不十分となる。その結果、低脂肪チーズが高水分化
せず、組織は硬くゴム様となる。また、3重量%より多
い添加量では、レンネット凝固が著しく遅れ、できたカ
ードが極度に軟らかく崩れやすいためカードのカッティ
ングが不可能となり、適当量のホエーを排出させること
が困難になる。この結果、得られたチーズのテクスチャ
ーは、粘弾性に乏しく腰がない状態となり、さらに半硬
質又は硬質チーズとしては好ましく無い。また、チーズ
の味も、過度な塩味、渋みが発現し好ましくない。以上
のことから、一価の陽イオンの塩類の量は、原料乳に対
し0.1〜3重量%が好ましい。
【0020】本発明で用いる原料乳に添加する塩類は、
塩化カリウム、塩化ナトリウム等の塩類が良い。これら
の一価の陽イオンの塩類を原料乳に添加すると、添加し
た一価の陽イオンとカゼイン中のカルシウムイオンの一
部との間で交換反応が起きる。また原料乳のイオン強度
が上昇するためにカゼインミセルの一部が崩壊し、結果
としてカゼインミセル同志の過度の結合が阻害され、得
られたチーズが高水分で軟らかいものとなる。
【0021】一方、カルシウムやマグネシウムなどの二
価の陽イオンの塩類は、原料乳への添加によってチーズ
の硬度を上昇させる働きがあるため、低脂肪チーズを高
水分化して軟らかくするという目的には適さない。ナチ
ュラルチーズの原料乳に対してはチーズの歩留りを向上
させて凝固時間を短縮する目的で通常0.02%以下の塩化
カルシウムを添加することが広く行われているが、本発
明では、このように塩化カルシウムを添加した原料乳に
対して一価の陽イオンの塩類を 0.1〜3重量%添加して
も低脂肪チーズを高水分化して軟らかくする効果があ
る。
【0022】本発明の方法では、一価の陽イオンの塩類
は、カードの凝固が起こる前に、あらかじめ原料乳に対
して添加する。通常のチーズ製造では、ホエー排除の後
やプレス後のチーズカードに対して食塩添加を行う。し
かし、この方法では、カゼインミセルが結合してカード
を形成してから一価の陽イオンの塩類を添加しても、低
脂肪チーズは高水分化せず、軟らかくはならない。
【0023】本発明の方法によるブラインへの塩漬時間
は、3〜8時間が好ましい。その理由として、通常低脂
肪チーズの製造方法では、ブライン浸漬時間が13時間程
度の長時間を要するのに対し、本発明の方法では、乳に
あらかじめ食塩が添加されており、すでにカードに食塩
の移行があるためブライン浸漬による加塩時間は通常よ
り短くすることができる。ブラインによる塩漬時間は、
3時間以下ではカードに食塩の移行が少なすぎるので風
味が良くない。また8時間以上ではカードに食塩の移行
が多すぎるので塩味が強くなってソルティーな味になり
好ましくない。
【0024】本発明の方法によると、低脂肪チーズの欠
点である硬い、ゴム様の食感であるという性質を改善
し、高水分で軟らかく、且つ離水がほとんど見られない
低脂肪チーズを製造することができる。従って、このチ
ーズを真空包装しても離水がほとんどみられず、長期間
保存することができる。
【0025】
【実施例1】 (チーズ製造方法) ────────────────────── 一価の陽イオンの塩類の添加 ────────────────────── 対照品 無し 実施例1 1%の食塩を添加 ────────────────────── 原料乳は、生牛乳を脱脂し、脂肪分を1.5重量%に調整
し、75℃で15秒間プレート殺菌を行った。殺菌後冷却
し、一価陽イオンの塩類として食塩を1重量%添加し
た。食塩添加後30℃で50分間静置した後にスターター
0.7%、レンネットを0.003 %を添加して凝乳せしめ、
カッテイングしてホエーを排出しカード粒を型(フー
プ)に詰めて圧搾し、加塩して熟成させてゴーダチーズ
を製造した。なお、加塩は、食塩濃度20%のブラインに
成型チーズカードを浸漬して行った。浸漬時間は、対照
は13時間、実施例1は5時間とした。また熟成はいずれ
も10℃で3か月間行った。実施例1の製品は、塩分が
1.4%である。
【0026】(結果)得られたチーズの性質を表1に示し
た。
【表1】 ────────────────────────────── 対 照 実施例1 ────────────────────────────── 加塩前カード水分(%) 48.0 50.9 ────────────────────────────── チーズ水分(%) 45.5 48.7 チーズ脂肪分(%) 16.9 15.7 チーズ無脂肪物当りの水分(%) 54.8 57.8 ────────────────────────────── チーズの硬さ(kg) 製造後 10 日目 6.89 3.27 1カ月目 3.95 2.58 3カ月目 3.85 2.50 ──────────────────────────────
【0027】上記のように一価の陽イオンの塩類として
1%の食塩を添加したことにより、チーズ水分値は対照
に比べて 3.2%増加した。3か月間の熟成期間中、対照
に比べ実施例1は、低い硬さを示し、実施例1のチーズ
が軟らかいことが判明した。尚、チーズの硬さは、チー
ズを一辺1cmの立方体に切り出し、それを平板で3mm高
さまで圧縮したときの荷重(kg)を硬さとして測定し
た。圧縮速度は毎秒 0.5mmとした。また、対照品と実施
例1の製品をポリ塩化ビニリデンフイルムを用いて真空
包装し、6ヵ月間冷蔵保存した後開封したところ、対照
品はフイルムとチーズの間に形成されるしわの部分に漿
液が貯留していた。一方、実施例1の製品は、このよう
な現象は認められず、本発明の方法によって得られたチ
ーズは離水しにくいことが確認できた。
【0028】
【発明の効果】本発明の方法による低脂肪チーズは、脂
肪含量を0〜2重量%に調整し、殺菌し、冷却した牛乳
に 0.1〜3重量%の一価陽イオンの塩類を添加し、スタ
ーター及びレンネットを添加して凝乳させ、これをカッ
テイングしてホエーを排出し、得られるカード粒を型
(フープ)に詰めて圧搾し、短時間加塩して熟成させる
ことにより、高水分で軟らかく、且つ離水がほとんど見
られない低脂肪チーズを製造することができる。従っ
て、真空包装しても離水を生ずることがなく長期間保存
することができる。得られた低脂肪チーズは、ナチュラ
ルチーズとしてピザのトッピングなどに用いることがで
きる。又、食品の素材として従来のナチュラルチーズと
同様の機能を有しているため、従来のナチュラルチーズ
と同様に使用できる。さらに、低脂肪プロセスチーズの
原料としても使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】食塩無添加のカゼインミセルの構造を示す顕微
鏡写真。
【図2】食塩を添加したカゼインミセルの構造を示す顕
微鏡写真。
【図3】食塩無添加のチーズカードの構造を示す顕微鏡
写真。
【図4】食塩を添加したチーズカードの構造を示す顕微
鏡写真。
【図5】カゼインミセルに食塩を添加した場合カゼイン
ミセルの構造の変化を示す模式図。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低脂肪原料乳に食品衛生上許容される一
    価の陽イオンの塩類を 0.1〜3重量%添加し、これを原
    料として用いて低脂肪ナチュラルチーズを得ることを特
    徴とする低脂肪ナチュラルチーズの製造法。
  2. 【請求項2】 脂肪含量を0〜2重量%に調整し、殺菌
    冷却した低脂肪原料乳に、食品衛生上許容される一価の
    陽イオンの塩類を 0.1〜3重量%添加し、これに、スタ
    ーター及びレッネットを添加して凝乳せしめ、これをカ
    ッティングしてホエーを排出し、得られるカード粒を型
    に詰めて圧搾し3〜8時間塩漬し、熟成を行うことを特
    徴とする低脂肪ナチュラルチーズの製造法。
  3. 【請求項3】 食品衛生上許容される一価の陽イオンの
    塩類がカリウムイオン、ナトリウムイオンまたはこれら
    の混合物の塩である請求項1または2に記載の低脂肪ナ
    チュラルチーズの製造法。
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