JPH0925430A - アルミペースト組成物とその製造方法及びこれを用いたメタリック塗料組成物 - Google Patents

アルミペースト組成物とその製造方法及びこれを用いたメタリック塗料組成物

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JPH0925430A
JPH0925430A JP17490795A JP17490795A JPH0925430A JP H0925430 A JPH0925430 A JP H0925430A JP 17490795 A JP17490795 A JP 17490795A JP 17490795 A JP17490795 A JP 17490795A JP H0925430 A JPH0925430 A JP H0925430A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗料溶剤の影響を受けず、しかも長時間サー
キュレーションしても変色をしないアルミニウムペース
トを提供すること。 【解決手段】 アルミニウムフレーク顔料100重量部
に対して、その表面保護成分として、下記一般式で示さ
れる化合物を0.05〜4.0重量部を含有することを
特徴とするアルミニウムペースト組成物。 一般式 【化1】 ただし、 R,R’:炭素数6〜21のアルキル基またはアルケニ
ル基 n:12〜22の整数

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はメタリック塗料分野
で問題となるサーキュレーション時の変色の少ない塗料
を与えるアルミニウムペースト組成物及びその製造製
法、そしてこれを用いたメタリック塗料組成物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】現在高級自動車用塗料分野などで用いら
れているアルミニウムペーストを使用したメタリック塗
料においては、顔料の沈降を防止するためにライン塗料
をポンプにより循環させるサーキュレーションが実施さ
れている。しかしこのサーキュレーション過程が長時間
に及ぶと塗料の色調が変化するため、品質の安定性とい
う面から問題となっており、また塗装ラインにおける生
産性を低下させる大きな原因となっている。現在この色
調の変化は主に次の2つの要因により発生すると考えら
れている。1つはサーキュレーション時に、顔料のアル
ミニウム片(以下、アルミ片と記す)にかかる強いシア
ーによりアルミ片が折れ曲がったり破断することが原因
となる機械的な要因である。アルミ片が折れ曲がったり
破断したりすると、塗膜にした時塗膜内でのアルミ片の
配向が変化し、この結果塗膜の色調が変化する。
【0003】もう1つは塗料中の着色顔料の分散状態の
変化が原因となる化学的要因であるが、これは次のよう
なものである。塗料が長時間サーキュレーションにかけ
られると、アルミ片の表面にも長時間シアーがかかるこ
とになるが、これによりアルミ片の表面保護層を形成し
ている成分が剥がされて徐々に脱離していくために、活
性な金属アルミ面が露出することになる。一方で空気と
の接触のため塗料中においては水分量が徐々に増加して
くる。このように水分の存在下アルミ片の活性面が露出
してくると、これが塗料中に含まれる着色顔料に作用し
て分散状態を変化させたり、あるいは化学構造を変化さ
せたりするために、塗膜にしたとき退色などをひきおこ
し色調が変化するというものである。サーキュレーショ
ンによる塗料の変色を防ぐために、例えば特開昭64−
54070号公報においてはアルミ片が厚くなるように
形状係数を規定したアルミフレーク顔料を使用すること
を提案している。これはアルミ片に強度をもたせること
により、シアーがかかった時に割れや変形が起きにくく
なるようにして塗料の変色を防ごうというものである。
しかしこれは主に先に述べた機械的な要因による変色に
対する対策であり、もう1つの化学的要因による変色を
防ぐことはできない。また特開平5−156182号公
報においては、RがCH3(CH2)nでnが11〜20
である一般式R−NH2で示される高級脂肪族アミンに
より吸着された金属箔顔料を用いることにより化学的要
因による変色を防ぐことを提案している。これはアルミ
などの金属箔に高級脂肪族アミンを混合することによっ
て金属箔の表面に高級脂肪族アミンの分子膜を作り、こ
れの保護効果によってサーキュレーション時に活性な金
属面が露出して着色顔料に作用することを防ごうという
ものである。この手法はサーキュレーション時の変色抑
制に期待ができるが、塗料中に含まれるシンナー等の溶
剤は、ここで規定されている高級脂肪族アミンに対して
良溶媒であるために、長時間サーキュレーションにかけ
られた場合にはこの高級脂肪族アミンの一部が塗料溶剤
に溶解してしまうことがあり、その金属箔表面保護効果
ひいては塗料の変色抑制効果が十分でなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、塗料溶剤に
影響を受けず、しかも長時間サーキュレーションによっ
ても変色をしないアルミニウムペースト、その製造方
法、およびそれを用いたメタリック塗料組成物を提供し
ようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはサーキュレ
ーションによる変色の中で化学的要因による塗料の変色
問題を重視し、その解決のため鋭意努力した結果、次の
化学式で示される化合物
【0006】
【化2】
【0007】R,R’:炭素数6〜21のアルキル基ま
たはアルケニル基 n:12〜22の整数 をアルミ片表面の保護成分としたアルミニウムペースト
組成物をメタリック塗料用の顔料として用いることによ
ってこの問題を解決できることを見出し今回の発明に至
った。 このアルミニウムペースト組成物はアルミ粉末を原料と
し、化学式 Cn2n+1−NH2 または Cn2n-1−NH2(n=1
2〜22) で示される高級脂肪族アミンを粉砕助剤として用い、か
つ粉砕時に酸素を供給することを必須の条件としてボー
ルミル、アトライター等の粉砕機で粉砕を行うことによ
り得られる。
【0008】金属粉末を粉砕するための粉砕助剤として
高級脂肪族アミンを用いることは、USP−25225
38、特開昭50−51461、特開昭53−4533
1、特開昭55−99969、特開昭55−16425
3、特開昭55−99970、特開昭56−10086
5、特開昭56−166309、特開昭59−6267
2、特開昭60−120761、特開昭60−1794
66、特開昭63−114901、特開昭63−225
507等で示されているように公知の技術である。これ
らの文献において高級脂肪族アミンは、粉砕をスムーズ
に進行させるための粉砕助剤として使用されることが述
べられている。加えてこのうちの幾つかでは、高級脂肪
族アミンの持つ化学的特性を利用して、粉砕終了後(或
いは粉砕中)の金属粉末に種々の機能をもたせようとし
ている。例えば特開昭52−111458においては、
高級脂肪族アミンが合金鉄に強く吸着する性質を利用し
て、粉砕中金属面が水と反応するのを防ぐことが述べら
れている。また特開昭60−179466においては、
粉砕助剤として使用される高級脂肪族アミンがフレーク
状アルミ合金粉末の表面に強く吸着し、塗膜強度の改善
に役立つとされている。また特開昭63−225507
では、粉砕後脂肪族アミンが窒化アルミニウム粉末の表
面に吸着され、窒化アルミニウム粉末の表面に疎水性皮
膜を形成し、耐湿性が改善されると述べられている。
【0009】一方特開昭55−99969、特開昭55
−99970、特開昭56−166309、特開昭59
−62672においては、高級脂肪族アミンが粉砕後の
組成物中で酸を中和するという機能を果たすことが述べ
られている。一方、本発明においても高級脂肪族アミン
を原料の一つとして使用することは同様であるが、ここ
ではこれに加えてアルミの持つ触媒作用を利用して、粉
砕時に酸素を積極的に供給することにより高級脂肪族ア
ミンに化学反応を起させ、最終的には先に述べた化合物
を生成させてアルミ片表面にこの化合物による保護層を
形成させている。本発明の製造方法においてはこの化合
物を生成する反応以外に、他の化合物を生成する副反応
も同時に起きるが、原料として使用した高級脂肪族アミ
ンはこれらの反応の結果すべて消費されるために、本発
明におけるアルミペースト組成物においてはアルミ片表
面にもペースト溶剤中にも高級脂肪族アミンは全く存在
しない。よって本発明は高級脂肪族アミンを単に粉砕助
剤として用いるもの、或いは粉砕後高級脂肪族アミンに
より組成物に機能を持たせようとしている従来の技術と
は内容が全く異なる。
【0010】本発明における高級脂肪族アミンの反応
は、金属アルミの持つ触媒作用を利用していることが特
徴であるが、ここで用いている手法は次のようなもので
ある。すなわち粉砕前の原料アルミ粉は、その表面が緻
密な酸化層により覆われて不動態化しており化学的には
不活性である。このために通常はこの原料アルミ粉を高
級脂肪族アミンと接触させてもアミンの変質反応はおこ
らない。例えば原料として本発明と同じアルミ粉と高級
脂肪アミンを用いて、かつ同じように酸素を供給して
も、これらを粉砕ではなく例えば混合ミキサー等で混合
したときには、アルミ粉の表面が安定な状態で存在する
ために高級脂肪族アミンは全く反応しない。しかし粉砕
等によりアルミ粉が展延されたときには表面積が増大す
るために表面の酸化アルミ層の下にあった化学的に活性
な金属アルミが表面に露出してくる。通常この金属アル
ミ面は直ちに空気中の酸素と反応して再び酸化量を形成
するか、若しくは粉砕助剤によって表面が被覆されるた
めにアルミ表面は化学的に不活性になる。しかし本発明
においては粉砕が進行してアルミ表面上の活性な金属ア
ルミが露出し、この部分に高級脂肪族アミンが接触する
時に多量の酸素を供給している。このため高級脂肪族ア
ミンは酸素の存在下アルミの触媒作用により酸化され、
またこの酸化反応を引き金にしていくつか化学反応が起
きていると推定される。
【0011】次に本発明におけるアルミ表面の保護層を
形成している化合物の生成反応について、Cn2n+1
NH2で表わされる高級脂肪族アミンを用いた例で述べ
る。まず最初に起きるのは先に述べたアミンの酸化反応
であり、この結果高級脂肪族アミンは高級脂肪族アルデ
ヒドを経て高級脂肪酸へと変質する。この高級脂肪族ア
ミンにおける酸化反応はアミノ基の隣のα炭素が反応部
位となるものが多いが、それ以外の炭素でも起るため
に、酸化物においては炭素数が元の脂肪族アミンの炭素
数と比べて少ないものが同時に形成される。例えば炭素
数18のステアリルアミンを粉砕助剤として用いたとき
には炭素数18のステアリン酸を主として、これよりも
炭素数の1つずつ少ない脂肪酸が同時に生成される。具
体的に列記すると次のようになる。
【0012】C1735−COOH C1633−COOH C1531−COOH C1429−COOH ただし生成するのは炭素数18,17,16脂肪酸の量
が多く、この中でも特に炭素数18のものの量が多い。
これらの酸化物はさらに粉砕溶剤中に含まれる未反応の
高級脂肪族アミンのアミノ基部分と反応し次のような化
合物を形成する。 R−CO−NH−Cn2n+1 R:炭素数6〜21のアルキル基またはアルケニル基 n:12〜22の整数 一部はこれで反応を終了するが、多数はさらに反応して
次のような化合物になりアルミ表面にはこの化合物を主
成分とする保護膜が形成される。
【0013】
【化3】
【0014】R,R’:炭素数6〜21のアルキル基ま
たはアルケニル基 n:12〜22の整数 本発明のアルミペースト組成物において、アルミ片表面
に保護層を形成している化合物は次のような分析法によ
り確認されるものを示している。すなわちアルミペース
トはアルミ粉とペースト化溶剤からなるが、通常このペ
ースト化溶剤中には粉砕助剤、各種添加剤等の成分が含
まれている。そこでまずペーストに対してヘキサンによ
る溶剤洗浄を行いペースト化溶剤およびこれに含まれる
成分を除いた後に乾燥してパウダー化する。このように
して得られるアルミパウダーはアルミ片とその表面に保
護層を形成している有機化合物から成り立っているもの
である。次にこのアルミパウダーを強酸水溶液に加えて
アルミ分を完全に溶解させ、この水溶液から有機分をク
ロロホルムを抽出溶剤として液抽出することにより、ア
ルミ片表面に保護層を形成していた化合物成分が抽出さ
れる。この化合物の構造は液体クロマトグラフィーによ
り分離を行った後にNMR、MASS、IR等により分
析することで求められる。
【0015】この化合物は原料として用いる高級脂肪族
アミンが単一の物質であっても、生成物はある分子量分
布を有したものになるという特徴がある。これは先に述
べたように、最初に高級脂肪族アミンが酸化されてでき
る酸化物が複数であるのに加えて、次にこの酸化物2つ
が高級脂肪族アミン1つと反応するために、この2つの
酸化物の組合せにより分子量の幅が広がることに起因す
る。これらの生成物は分子量が14ずつ異なるが、これ
は炭素鎖の基本構造−CH2−の分子量が14であるこ
とに由来する。本発明の方法によって製造されたアルミ
ペースト化合物は、特開平5−156182のように金
属箔に高級脂肪族アミンを混合し、これを直接箔表面を
覆わせるような従来の方法と比べてもサーキュレーショ
ン時の塗料の変色は更に少ない。この理由は定かではな
いが、この高級脂肪族アミンから生成される化合物は分
子内に複数の極性基を有しているためアルミ片表面の保
護効果が強く、通常塗料に用いられるトルエン、酢酸エ
チルやセロソルブ等の溶剤中にあっても脱離しにくいた
めに、サーキュレーション過程を経てもアルミ片が塗料
中の着色顔料に対して影響を及ぼすことが少なく、結果
として塗料の変色の程度が少なくなると推定される。さ
らにこの技術を用いて製造されたアルミペーストは通常
のアルミペーストよりも、アルミ片表面の酸化層が厚く
なっており、この点も塗料の変色防止に寄与している。
【0016】また本発明におけるアルミニウムペースト
組成物における請求項1の化合物を含む表面保護成分量
はアルミ片100重量部に対して0.05〜4.0重量
部が適当である。好ましくは0.05〜3.0重量部、
さらには0.1〜2.0重量部、0.1〜1.0重量部
がより好ましい。この成分量は先に述べたようにアルミ
ペーストを溶剤洗浄し得られたアルミ片を強酸により溶
解し、そこから抽出される有機分量を測定することによ
って知ることができる。この成分量が0.05重量部よ
り少ないとアルミ片の表面保護効果が不十分になり、そ
の結果サーキュレーション時の塗料の変色防止効果が得
られなくなる。また4.0重量部より多いと塗膜の密着
性に悪影響を与えることがあるので好ましくない。
【0017】本発明で用いられる高級脂肪族アミンとは
一般的には化学式Cn2n+1−NH2あるいはCn2n-1
−NH2で示されるもので、nは通常は12〜22の範
囲が適当であるが、14〜20の範囲のものがより好ま
しい。脂肪鎖部分の構造については、飽和しているもの
も不飽和結合を含むものでも使用でき、また直鎖状のも
のでも分岐を含むものでも構わない。具体的にドデシル
(ラウリル)アミン、テトラデシル(ミリスチル)アミ
ン、ヘキサデシル(パルミチル)アミン、オクタデシル
(ステアリル)アミン、エイコシル(アラキル)アミ
ン、ドコシル(ベヘル)アミン、オレイルアミン等が挙
げられ、これらは単独でも使用でき、また2種類以上混
合した状態での使用も可能である。この脂肪族アミンは
アルミ片100重量部に対して通常0.3〜10重量部
を用いるが、0.5〜8重量部の方が好ましい。
【0018】またこのときに一般に粉砕助剤として知ら
れているものを併用することも可能である。この代表的
な例としてドデシル(ラウリル)酸、テトラデシル(ミ
リスチル)酸、ヘキサデシル(パルミチル)酸、オクタ
デシル(ステアリル)酸、エイコシル(アラキル)酸、
ドコシル(ベヘル)酸、オレイル酸等の高級脂肪酸類、
またステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高
級アルコール類、他にはステアリン酸アミド、オレイン
酸アミド等の高級アミド類などが挙げられる。粉砕はボ
ールミル、アトライター等の通常知られている粉砕機に
よって行うことが可能であるが、この時脂肪族アミンの
酸化反応を促すために、粉砕時酸素を供給することが必
須の条件となる。酸素の供給方法としては、粉砕中のボ
ールミル内に導管を介して酸素あるいは空気を強制的に
送り込む方法が適当であり、アルミ片を含む粉砕溶剤に
直接これを接触させるのが望ましい。供給量は酸素の場
合はアルミ100kgにつき毎時0.2〜5m3、空気
の場合は毎時1〜25m3が適当である。酸素供給量が
これより少ないとアミンの酸化が必要なだけ行われず、
アルミ片表面保護層を形成する化合物の生成が不十分に
なるために、サーキュレーションにおける塗料変色防止
効果が不十分になる。また酸素供給量がこれより多くな
ると、揮発する粉砕溶剤量が増加するために安全性の点
から好ましくない。なお酸素の代わりに空気を使用する
場合は、送風する空気に含まれる酸素量が酸素単独のと
きと同じになるようにする必要がある。具体的には空気
の酸素含有率を21%とすると体積換算で圧縮酸素の時
の4.8倍の量を粉砕機内に送り込む必要があるため、
上記のように酸素と空気では適性供給量の範囲が変わ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】
【0020】
【実施例】次に示す実施例、比較例の各方法でアルミペ
ーストを作製した。そしてこれらのアルミペーストを用
いて塗料化配合したものについて、サーキュレーション
を実施した後に塗板を作製し、アルミペーストの作製条
件による色調の変化の違いを調べる試験を行った。
【0021】実施例1 アルミペーストの作製 平均粒径30ミクロンのアトマイズ粉100g、ステア
リルアミン3g、ミネラルスピリット500ccを原料
として、これを3.2φのベアリングボール5kgと共
に内容積5000ccのボールミル内に仕込み、毎分6
0回転の速度で7時間粉砕を行った。またこの間毎分1
00ccの空気をコンプレッサーによりボールミル内に
送った。粉砕終了後スラリーを37ミクロンの篩にかけ
て粗粒子を取り除いた後、フィルタープレスにより余分
の溶剤を除去して固形分65%のアルミペーストに調整
した。
【0022】塗料化配合 作製したアルミペーストを用いて、下記の処方でメタリ
ック塗料化配合を行った。ここで言う混合シンナーとは
トルエン/酢酸エチル/ブチルセロソルブを7/2/1
の比で配合したものである。アクリル樹脂は大日本イン
キ(株)製のアクリディク47−712(固形分50
%)を、またメラミン樹脂は大日本インキ(株)製のス
ーパーベッカミンJ−820(固形分50%)を使用し
た。ブルー顔料はフタロシアニンブルーを用い、アクリ
ル樹脂に前もって添加して予備分散をおこなってから配
合に供した。単位は全て重量部であり、アルミ濃度は1
5phrとなる。
【0023】メタリック塗料配合処方 アルミペースト 11.5 混合シンナー 171.5 アクリル樹脂 80.0 メラミン樹脂 20.0 ブルー顔料 5.0 サーキュレーション試験 上記配合にて塗料化したメタリック塗料配合物3リット
ルを水分濃度が0.5%になるように調整した後、塗料
配管内を3日間循環させるサーキュレーション試験を行
った。塗料が直接外気と触れないように循環系に栓をし
た後、エアー式のダイヤフラムペイントポンプ(イワタ
塗装機(株)製DPS−90XN)を使用して、毎分1
リットルの速度で塗料を循環させた。
【0024】塗装板の作製 サーキュレーション試験を実施する前と後の塗料につい
て塗装板を作製した。塗装は厚さ0.3ミリのブリキ板
上にエアスプレーにて乾燥膜厚が20ミクロンになるよ
うに吹き付けを行い、20℃で5分間静置後140℃で
30分間焼き付けを行った。 色調の評価 上記の方法により作製した塗装板を用いて、サーキュレ
ーションによる色調の変化を退色度と色差により調べ
た。退色の程度は目視によって評価し、また色差は色差
計(スガ試験機(株)製カラーコンピューターSM−
4)にて測定した。
【0025】アルミ片表面保護成分の分析 アルミ表面を保護している成分の定性及び定量分析を行
った。まずアルミペースト5gをソックスレーの抽出器
を用いてヘキサン200gで1時間洗浄した後に、アル
ミ分に残留しているヘキサンを真空乾燥により完全に除
去し、パウダー化されたアルミの量を測定する。次にこ
のパウダーアルミを5規定の塩酸水溶液100gに完全
に溶解させた後に、クロロホルム50gを加えて激しく
振盪し、分液ロートによりクロロホルムを分離する。そ
してこのクロロホルムを揮発させて残った抽出有機分に
ついてNMR,MASS,IR等により定性定量分析を
行った。
【0026】実施例2 実施例1のステアリルアミン3gの代わりに炭素数14
/16/18の脂肪族アミンが4/30/66の割合で
混合しているアミン〔製品名 硬化牛脂アミン/日本油
脂(株)製〕3gを用いる他は同一の方法でアルミペー
ストを製造した。 実施例3 実施例1のステアリルアミンの量を3gから5gに変更
する他は同一の方法で試験を行った。
【0027】実施例4 実施例2の硬化牛脂アミンの量を3gから1.5gに変
更する他は同一の方法で試験を行った。 実施例5 実施例1のステアリルアミン3gの代わりにパルミチル
アミン3gとオレイン酸0.5gを使用する以外は同一
の方法で試験を行った。 実施例6 実施例1においてボールミル内に毎分100ccの空気
を送り込む代わりに、毎分40ccの酸素を送り込む他
以外は同一の方法で試験を行った。
【0028】比較例1 実施例1におけるステアリルアミン3gの代わりにオレ
イン酸3gを用いる以外は同一の方法で試験を行った。 比較例2 実施例1におけるステアリルアミンの量を3gから0.
2gに変更する以外は同一の方法で粉砕を行ったとこ
ろ、得られたアルミペーストは明らかな凝集傾向を示
し、評価は不可能であった。 比較例3 実施例1におけるアルミペーストの製造において、コン
プレッサーによる空気の供給を行わない以外は同一の方
法で行った。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】注1)退色の評価基準 ○:殆ど退色は認められない △:やや退色が認められる ×:はっきりと退色が認められる 注2)保護成分量 請求項1で規定された化合物の量
【0032】
【発明の効果】上記の実験から粉砕助剤として高級脂肪
族アミンを用い、かつ粉砕時ボールミル内に空気または
酸素を送風して製造したアルミペーストにおいては、長
時間サーキュレーション過程にかけた後も、塗膜の退色
や色差の変化が少なくなることがわかる。このアルミペ
ーストをメタリック塗料に用いることにより今までと比
べて塗料の取扱いが容易になり、また塗装ラインにおけ
る生産性の向上に大きく寄与できる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムフレーク顔料100重量部
    に対して、その表面保護成分として、下記一般式で示さ
    れる化合物を0.05〜4.0重量部を含有することを
    特徴とするアルミニウムペースト組成物。 一般式 【化1】 ただし、 R,R’:炭素数6〜21のアルキル基またはアルケニ
    ル基 n:12〜22の整数
  2. 【請求項2】 原料アルミニウムを粉砕するときに、粉
    砕助剤として下記一般式で示される脂肪族アミンを添加
    し、かつ、酸素を供給しながら粉砕することを特徴とす
    る上記請求項1記載のアルミニウムペースト組成物を製
    造する方法。 一般式 Cn2n+1−NH2 または Cn2n-1−NH2 ただし、 n:12〜22の整数
  3. 【請求項3】 請求項1記載のアルミニウムペースト組
    成物を含有することを特徴とするメタリック塗料組成
    物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP4684429B2 (ja) * 2001-02-02 2011-05-18 旭化成メタルズ株式会社 新規なアルミニウム顔料
JP2014177594A (ja) * 2013-03-15 2014-09-25 Asahi Kasei Chemicals Corp メタリック樹脂組成物及び成形品
CN113004720A (zh) * 2021-03-01 2021-06-22 安徽天易金属新材料有限公司 一种超亮型彩色铝颜料及其制备方法

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