JPH09254008A - 固定砥粒ワイヤの製造方法及び螺旋コーティング装置 - Google Patents

固定砥粒ワイヤの製造方法及び螺旋コーティング装置

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JPH09254008A
JPH09254008A JP8093249A JP9324996A JPH09254008A JP H09254008 A JPH09254008 A JP H09254008A JP 8093249 A JP8093249 A JP 8093249A JP 9324996 A JP9324996 A JP 9324996A JP H09254008 A JPH09254008 A JP H09254008A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワイヤの周面に螺旋帯状に砥粒を電着したワ
イヤ工具の製造方法及びワイヤ周面への樹脂の螺旋コー
ティング装置に関し、長尺のワイヤ工具を容易に製造す
ることができ、螺旋のピッチの変更も容易な方法及び装
置を得る。 【解決手段】 母材ワイヤを下地メッキし、下地メッキ
の上に螺旋状に樹脂をコーティングし、樹脂が付着して
いないワイヤ周面(導電部)の下地メッキ層表面を電解
溶融し、処理されたワイヤを砥粒を充填したメッキ液槽
に通して導電部に砥粒を電着する。ワイヤへの樹脂の螺
旋コーティング装置は、同期回転するワイヤ送り出しユ
ニットと巻き取りユニットとを対向させ、その回転中心
軸線上を移動するワイヤの周面に臨む上下方向のピンを
配置し、このピンの表面を伝って溶融樹脂5を流下させ
る溶融樹脂供給手段を設け、その下流側にワイヤに付着
した樹脂を硬化させるヒータを配置したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シリコンや水晶
などの切断に用いられるワイヤソーの固定砥粒ワイヤの
製造装置に関するもので、特にワイヤの周面に螺旋帯状
に砥粒を電着したワイヤ工具の製造方法及び当該製造方
法に使用するワイヤ周面への樹脂の螺旋コーティング装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】工具としてピアノ線などのワイヤ(線
材)を用いるワイヤソーは、LSIの基板であるシリコ
ンウエハーや時計用の水晶発振子の切断、溝入れ加工等
に用いられている。この種のワイヤソーには、砥粒をワ
イヤ周面に固定した工具を用いる固定砥粒方式のもの
と、砥粒を混合した加工液を用いる遊離砥粒方式のもの
とがある。
【0003】この発明の出願人らは、特開平6−638
28号公報および特開平7−96454号公報におい
て、ワイヤ周面に砥粒を螺旋帯状に電着した固定砥粒ワ
イヤを提唱している。このワイヤは、ワイヤ周面に砥粒
を電着メッキする際に螺旋状の遮蔽板を設けるか、ワイ
ヤ全面に樹脂コーティングをしたあとその周面を螺旋状
に研削して樹脂コーティング層を削除した部分に砥粒を
電着メッキすることにより製造される。ワイヤ周面の砥
粒が電着されていない部分は、ワイヤ周面に螺旋状の凹
部を形成し、この凹部が加工液やチップの溜りとなるた
め、砥粒の目詰まりが生じにくく、加工能率が向上する
という特徴がある。
【0004】またこの発明の出願人らは、特開平6−1
55277号公報において、ワイヤの周面に螺旋状に溝
を形成する方法及び装置を提唱している。この装置は、
遊離砥粒方式の螺旋溝付きワイヤの製作や、上記の樹脂
コーティング層を螺旋状に除去するのに用いられる。遊
離砥粒方式の加工に螺旋溝付きワイヤを用いると、螺旋
状の溝部分が砥粒を含んだ加工液の溜りとなるため、加
工面への砥粒の供給が促進され、加工能率を上げること
ができるという特徴がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開平6−63828
号公報で提唱した砥粒を螺旋帯状に電着したワイヤの製
造装置は、ステンレス板を螺旋状に成形した遮蔽板を有
するメッキ装置を用いて、ワイヤの送りと同期して遮蔽
板を回転させることにより、ワイヤ周面に螺旋状にダイ
ヤモンド砥粒を電着するものであるが、メッキ装置の構
造上砥粒の補充が難しいため、ワイヤ工具の長尺化やワ
イヤ周面の螺旋のピッチを変更することが困難であり、
メッキ装置の構造も複雑になるという問題があった。
【0006】また特開平7−96454号公報で提唱し
た方法でワイヤ周面に砥粒を螺旋帯状に電着する方法
は、樹脂コーティング層を研削する加工がデリケートで
生産性を上げるのが困難であり、研削砥石の位置や押接
力を正確に制御しないとワイヤを削ってワイヤの強度を
低下させるという問題や、砥石が目詰まりしやすいとい
う問題があった。
【0007】そこでこの発明では、砥粒を螺旋帯状に電
着したワイヤ工具を、より合理的に製造する方法及び装
置を得ることを課題としており、長尺のワイヤ工具を容
易に製造することができるとともに、周面の螺旋のピッ
チの変更も容易にできる方法及び装置を得ることを課題
としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の固定砥粒ワイ
ヤの製造方法は、芯線1aの周面全体にメッキを施す下
地メッキ工程と、下地メッキ層4の上に螺旋状に溶融樹
脂5を付着して当該付着した樹脂5を加熱硬化する螺旋
コーティング工程と、前記樹脂が付着していないワイヤ
周面である導電部2の下地メッキ層表面を電解溶融する
導電部メッキ除去工程と、前記処理されたワイヤ1を砥
粒を充填したメッキ液槽80に通過して導電部2に砥粒
6が固着されたメッキ層7を形成することを特徴とする
ものである。
【0009】また上記方法の実施に使用されるこの発明
のワイヤ周面への樹脂の螺旋コーティング装置は、ワイ
ヤ送り出しユニットと、加工されたワイヤを巻き取るワ
イヤ巻き取りユニットとが同一の軸線Pまわりに同期回
転可能に対向しており、ワイヤ送り出しユニットにはワ
イヤ1を一定速度で回転軸線P上に送り出す送り出し手
段26a、35aが設けられ、ワイヤ巻き取りユニット
には回転軸線P上からワイヤ1を一定張力で巻き取るワ
イヤ巻き取り手段26b、35bが設けられ、この両ユ
ニットの間に回転軸線P上のワイヤの周面に臨む上下方
向のピン56が配置され、このピンの表面を伝って溶融
樹脂5を流下させる溶融樹脂供給手段54、55が設け
られ、かつピン56のワイヤ送り方向下流側にワイヤ1
に付着した樹脂6を硬化させるヒータ58が配置されて
いることを特徴とするものである。
【0010】
【作用】下地メッキ工程は、後工程である螺旋コーティ
ング時の焼成工程において、ワイヤ1が熱影響を受けて
ワイヤ工具の材料強度が低下するのを防止するために行
われる。下地メッキ層4の上に溶融樹脂5を螺旋状に塗
着して焼成する螺旋コーティング工程は、ワイヤ周面に
螺旋状の導電部2と絶縁部3とを形成する工程であり、
この工程で形成された螺旋状の導電部2に後工程で砥粒
6が電着メッキされる。導電部2の下地メッキ除去工程
は、前工程である螺旋コーティング時の焼成工程におい
て、下地メッキ表面が熱影響を受けるため、砥粒電着工
程においてメッキの付着性が不良となり、メッキ層が剥
離しやすくなるため、熱影響を受けた下地メッキ層の表
面を電解溶融により除去するために行われる。
【0011】このようにして形成された螺旋帯状の導電
部2に、砥粒電着工程において、砥粒6が電着メッキさ
れる。砥粒6はメッキ層7により導電部2の表面に固着
される。樹脂がコーティングされた絶縁部3には、当然
メッキが行われず、砥粒も電着しない。砥粒6及びメッ
キ層7の固定により、導電部2は盛り上がり、絶縁部3
が螺旋状の浅い凹溝となる。この凹溝が加工液やチップ
の溜りとなって、ワイヤ工具の加工能率を向上させる。
【0012】また上記装置において、ワイヤ送り出しユ
ニットとワイヤ巻き取りユニットとを同期回転させるこ
とにより、両ユニットの間に張架されたワイヤ1に回転
軸線Pまわりの回転が与えられる。回転軸線P上へのワ
イヤの送り出し速度と送り出しおよび巻取りユニットの
回転速度の比によって、ワイヤ1に塗着される樹脂の螺
旋のピッチが決定される。従ってその比を変えることに
より、螺旋のビッチを任意に変えることができる。
【0013】回転しながら軸方向に移動するワイヤ1の
周面にピン56の周面に沿って流下する溶融樹脂5が接
触することにより、ワイヤ1の周面に螺旋状に溶融樹脂
5が塗着される。塗着された樹脂5はヒータ58で焼成
されてワイヤ周面に固定され、巻き取りユニットに巻き
取られる。巻き取られたワイヤは、必要に応じてさらに
焼成して樹脂被膜を硬化させることにより、周面に螺旋
状の導電部2と絶縁部3とを備えたワイヤが得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】この発明の固定砥粒ワイヤの製造
方法においては、ワイヤ1の周面に螺旋帯状に樹脂をコ
ーティングした絶縁部3を設ける。コーティング材に
は、絶縁性、メッキ液に対する対薬品性、ワイヤ工具製
作工程における滑車や砥粒に対する対薬品性、購入及び
取り扱いの容易性、焼成温度が低いことなどが要求され
ることから、フッ素樹脂が適している。図1に絶縁被膜
としてフッ素樹脂を用いた場合のワイヤ工具の製作工程
を示す。下地メッキ工程、螺旋コーティング工程、導電
部メッキ除去工程及び砥粒電着工程を経て、螺旋帯状に
砥粒が固着されたワイヤ工具が製作される。螺旋コーテ
ィング工程は、溶融樹脂塗着工程と焼成工程との2工程
を含んでいる。
【0015】下地メッキ工程は、直径0.2mmのワイ
ヤにニッケルメッキを被覆させる工程である。これは、
この後に行う螺旋コーティング工程における焼成時に、
ワイヤが熱影響を受け、ワイヤ工具の材料強度の低下を
防止するためである。下地メッキ処理は、図2に示す下
地メッキ装置Aにより行う。まずワイヤボビン11から
繰り出された芯線1aは、給電部の銅極12を介して通
電される。次にアセトン槽13、10%塩酸槽14によ
り脱脂、活性化され、下地メッキ槽15に導かれる。こ
こで芯線1aは芯線自身を陰極、ニッケル電極を陽極と
して約10μmの厚みでニッケルメッキされる。ニッケ
ルメッキに使用するメッキ浴には、メッキ速度が速くワ
イヤ工具の生産性を向上させるために、高速スルファミ
ン酸ニッケル浴を使用した。また陽極には、純ニッケル
板を用いた場合よりもニッケルの溶解が良好であり、長
時間メッキに適合させるために、硫黄を0.01〜0.
02%含有した硫黄含有陽極をチタン製のバスケットに
入れ使用した。下地メッキ槽15を出たワイヤは、蒸溜
水槽16において洗浄されることにより、ワイヤ表面に
付着したメッキ液が除去され、巻き取り装置17により
巻き取られる。
【0016】図3に下地メッキを施したワイヤに対する
螺旋コーティング工程で用いる螺旋コーティング装置B
の概略図を示す。この装置の機構概略図を図4に示す。
フレーム21は2本のコラム22a、22bを備えてお
り、このコラムの上部に同一の軸線Pまわりに回転可能
な回転枠23a、23bが個別に軸着されている。回転
枠23aと23bとは対面して設けられており、回転枠
23a、23bのそれぞれは、図4に示すように、中空
の軸24でコラム22a、22bに軸支され、軸24に
はコラム22a、22bの外側となる部分(回転枠23
a、23bを固定した側と反対の側)にプーリ25が固
定されている。
【0017】フレーム21には回転枠駆動用モータ31
が搭載されており、このモータ31で駆動される駆動軸
32と前述した回転枠23a、23bのプーリ25とが
タイミングベルト33で連結されて、回転枠23aと2
3bとが同速度で同方向に回転駆動されている。送り出
しボビン35aおよび巻き取りボビン35bの回転中心
軸は、回転枠23a、23bの軸線Pと一致しており、
送り出しボビン35aから引き出されたワイヤ1は、L
字形のブラケット34aに軸支された2個の案内ローラ
を経て送り出しローラ36aから軸線P上に送り出さ
れ、回転枠23b側のブラケット34bに軸着された引
き込みローラ36bから2個の案内ローラ及びトラバー
ス装置37を経て巻き取りボビン15bに巻き取られ
る。
【0018】送り出しモータ26aおよび巻き取りモー
タ26bの回転は、同期ベルト41を介して回転枠23
a、23bの軸24の軸心と同軸のプーリ42に伝達さ
れる。プーリ42は図4に示す差動歯車装置43の入力
軸44に固定されており、送り出しボビン35aおよび
巻き取りボビン35bは、出力軸45に固定されてい
る。入力軸44および出力軸45は軸24の軸心に個別
に相対回転自在に軸着されており、入力軸44には第1
太陽歯車46が、出力軸45には第2太陽歯車47がそ
れぞれ固定されている。また軸24の偏心位置には第1
遊星歯車48と第2遊星歯車49とが各自由回転可能に
軸支されており、第1遊星歯車48と第1太陽歯車46
が噛合し、第2遊星歯車49と第2太陽歯車47とが噛
合している。更に第1遊星歯車48の軸には第1伝達歯
車51が固定され、第2遊星歯車49の軸には第2伝達
歯車52が固定されており、第1伝達歯車51と第2伝
達歯車52とが噛合している。そして第1太陽歯車46
と第2太陽歯車47の歯数は等しく、第1遊星歯車48
と第2遊星歯車49の歯数は等しく、第1伝達歯車51
の歯数は第2伝達歯車52の歯数の半分となっている。
【0019】上記差動歯車43においては、入力軸44
を固定して軸24(すなわち回転枠23a)を回転数α
で回転させると、出力軸45(従って送り出しボビン3
5a)も回転数αで回転駆動される。即ち入力軸44を
停止した状態では回転枠23aと送り出しボビン35a
とが同期回転してワイヤ1は供給されない。また入力軸
44を軸24と反対の方向に回転数βで回転させると、
出力軸45はα+β/2で回転し、回転枠23aに対し
て回転数差β/2で送り出しボビン35aが相対回転し
て、ワイヤ1を走行させることとなる。
【0020】送り出しボビン35aから送り出されたワ
イヤは、巻取り用のトルクモータ26bの回転力が同期
ベルト41を介して巻き取りボビン35bに伝達されて
巻き取られる。これと同時にワイヤ自転用モータ31の
回転力が駆動軸32を介して回転枠23a、23bに伝
達されることにより、コーティング部Cにおけるワイヤ
が回転する。この機構のため、コーティング部Cのワイ
ヤは、自転しながら、送られる。
【0021】上記機構を利用してワイヤ表面に螺旋状に
フッ素樹脂をコーティングする。図5にコーティング部
の概略図を示す。まずフッ素樹脂が供給タンク54から
ホース55により送られ、外径0.8mmのピン56に
均一な状態で流れる。ダイヤル式スライダー57により
ピン56を所定位置に移動し、ピン56の表面に流れて
いるフッ素樹脂をワイヤ表面に付着させる。図6、図7
にフッ素樹脂付着部の拡大図を示す。ここでワイヤ1が
自転しながら送られると同時にワイヤ表面にフッ素樹脂
5が付着し、螺旋状に導電部2と絶縁部3が形成され
る。その後、ワイヤ1は、ヒータ58により焼成温度2
00℃で焼成され、巻き取りボビン35bに巻き取られ
る。螺旋コーティング装置に付設したヒータ58の焼成
のみでは焼成時間が短く、フッ素樹脂を完全に焼結させ
るには不十分であるため螺旋状絶縁処理工程後、ヒータ
により、焼成温度300℃で熱処理のみを2回行う。
【0022】螺旋コーティング工程の焼成の時にワイヤ
表面のニッケルが熱影響を受けるため、ダイヤモンド砥
粒電着工程において、ニッケルメッキの付着性が不良と
なり、そのワイヤ工具を用いると切断加工にニッケルメ
ッキ部が剥離しやすくなるため、熱影響を受けた部分を
除去する必要がある。そこで図8に示すように、2回目
の焼成装置Dにメッキ溶解装置Eを設置した。まず、ワ
イヤ1はヒータDで2回目の焼成をされた後、電極61
により、ワイヤ表面の導電部に通電される。この後ワイ
ヤはメッキ溶解装置Eへと導かれ、電解液槽62に浸漬
されてワイヤ表面の導電部を陽極、銅板を陰極として通
電されることにより、ワイヤ表面の導電部において約5
μmの厚みの下地メッキ層を溶解させる。この後ワイヤ
1は、蒸留水槽63により洗浄され、巻き取り装置64
により巻き取られる。
【0023】導電部メッキ除去工程後のワイヤ表面は、
焼成直後のワイヤ表面に比べてニッケルメッキ層に多数
あるピンホールの部分を中心に表層が除去されるため、
多数の窪みができる。表1に導電部メッキ除去処理の条
件を示す。メッキ浴は、下地メッキ工程と同様に高速ス
ルファミン酸ニッケル浴を使用した。電流密度は、高電
流密度に設定すると導電部のメッキ層が全て除去される
ため、3A/dm2 と低電流密度に設定した。
【0024】
【表1】
【0025】導電部メッキ除去工程後、導電部にダイヤ
モンド砥粒を電着する。図9にダイヤモンド砥粒電着装
置Fの概略図を示す。左側のボビン71には、これまで
の工程が完了したワイヤ1があらかじめ巻かれている。
ダイヤモンド砥粒電着の際は、ワイヤ1は、図の左側の
ボビン71から右のボビン79へと一定速度で巻き取ら
れていく。まず、ワイヤは電極72を介して通電され
る。螺旋コーティングによりワイヤ表面に溝状の導電部
が形成されているため、通常の棒状電極では電流が断絶
してダイヤモンド砥粒の良好な保持性が得られず、粗悪
なワイヤ工具となる可能性がある。そこで、電極72に
は繊維状のスチールウールを使用し、ワイヤ表面に形成
された凹部の導電部にスチールウールが常に接触し、電
流が遮断されることなく、一定の電流密度が保持される
ように工夫されている。この電極72により通電した
後、ワイヤ1はアセトン槽73に導かれ、ワイヤ表面の
導電部を脱脂し、10%塩酸槽74により活性化された
後、メッキ槽75に導かれる。メッキ槽75は、予備メ
ッキ槽76、ダイヤモンド砥粒槽80、後メッキ槽77
の3つに分割されており、その後に蒸留水槽78が設け
られている。
【0026】図10にダイヤモンド砥粒槽の概略図を示
す。砥粒槽80の両側には、電解ニッケルを20〜30
個入れたチタンケース81がニッケル陽極として設置さ
れている。砥粒槽80は、ダイヤモンド砥粒6で満たさ
れており、砥粒槽80の側面には、直径10mmの孔8
2が8個程度、ワイヤ1の移動方向にあけられている。
そして、その部分には、メッキ布83が貼られており、
砥粒6の流出を防止すると共に、メッキ液の進入を可能
にしている。また、砥粒槽80の底面には、直径3mm
の孔84が開けられており、下部のメッキ液を撹拌する
ことにより、ワイヤ1の下からもニッケルイオンの進入
を可能にし、常に砥粒槽内へのメッキ液の進入を促進さ
せている。さらに砥粒槽80は、上部が開口されてお
り、ダイヤモンド砥粒6の補給が容易であるため、長尺
のワイヤの作製が可能である。
【0027】ダイヤモンド砥粒電着工程は、ワイヤ表面
の導電部を陰極、電解ニッケルを陽極とし、これを通電
することにより行われる。まずワイヤ1が予備メッキ槽
76において、導電部メッキ除去工程時に生じた導電部
の凹凸を埋めるために、予備メッキが施される。次にワ
イヤは、ダイヤモンド砥粒電着部に導かれ、予備メッキ
された導電部にダイヤモンド砥粒6を電着し、後メッキ
槽77に導かれる。後メッキ槽77において、着床の浅
いダイヤモンド砥粒を追加メッキされるニッケルで適度
に埋めることにより、ワイヤ表面に螺旋状にダイヤモン
ド砥粒を電着したワイヤ工具が作製される。メッキ浴
は、下地メッキ工程及び導電部メッキ除去工程と同様に
高速スルファミン酸ニッケル浴を使用した。ダイヤモン
ド電着工程において電流密度を22A/dm2 と設定し
た。またワイヤ送り速度は、160mm/minと設定
した。
【0028】図11に試作したワイヤ工具の表面状態の
モデル図(ピッチ20mm)を示す。作製したワイヤ工
具はダイヤモンド砥粒6が着床している導電部2とテフ
ロンが付着している絶縁部3との境が明確になってい
る。また作製されたワイヤ工具の外径は、通常のワイヤ
工具と同様に直径0.27mm程度であった。
【0029】図12に試作したワイヤ工具の垂直方向に
おける断面状態のモデル図を示す。同図より導電部2と
絶縁部3の比が約2:3でダイヤモンド砥粒6が電着さ
れている導電部2におけるニッケルメッキ層7の厚みは
25μmであるのに対し、絶縁部3のニッケルメッキ層
4の厚みは、下地メッキ工程後の状態と変わらず10μ
mである。従って、ワイヤ工具の表面にはニッケルメッ
キ層の厚みの差による螺旋状の凹凸が形成される。
【0030】図13に作製された螺旋状ダイヤモンド電
着ワイヤ工具を用いて切断加工を行った結果を示す。同
図において縦軸は加工時間15分当たりの切断量を加工
時間1分当たりの切断量に換算した切断能率を表し、横
軸は加工回数を表し、図中の◇はピッチ10mm、○は
ピッチ20mm、●はピッチ30mmの螺旋状に砥粒を
電着したワイヤ工具の場合を、△は通常の全面に砥粒を
電着したワイヤ工具の場合を表している。螺旋状にダイ
ヤモンド砥粒を電着したワイヤ工具、通常のワイヤ工具
ともに2回目の切断加工において加工能率は減少し、そ
の後増加する傾向を示している。螺旋状ダイヤモンド電
着ワイヤ工具は通常のワイヤ工具と比較して加工能率が
向上している。特にピッチ10mmに関しては、加工能
率が通常のワイヤ工具の約1.5倍向上している。これ
は、ワイヤ表面に螺旋帯状にダイヤモンド砥粒が電着さ
れているため、ワイヤ表面に凹凸が設けられる。これに
より、加工液の流入が良好に行われ、切り屑の排出も良
好に行われたためであると考えられる。
【0031】ピッチ30mmのワイヤ工具においては、
加工回数が14回目程度から、切断加工能率は、通常の
ワイヤ工具と比較して減少する傾向を示している。これ
は、切断加工の際、螺旋状ピッチが長い程、絶縁部の幅
が長いことから、導電部と絶縁部の境界部分が工作物の
エッジに接触しやすく、ニッケルメッキが剥離して切断
加工能率が減少したものと考えられる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したこの発明の方法および装置
により、周面に固定砥粒を螺旋帯状に固定した切削効率
の良いワイヤ工具を、簡単な装置で能率よく製作するこ
とができ、また長尺のワイヤ工具の製作も容易になると
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法の主要工程図
【図2】予備メッキ装置の側面図
【図3】螺旋コーティング装置の全体斜視図
【図4】螺旋コーティング装置の機構を示す斜視図
【図5】溶融樹脂コーティング部の斜視図
【図6】溶融樹脂コーティング部の拡大斜視図
【図7】溶融樹脂コーティング部の拡大断面図
【図8】導電部メッキ除去装置の側面図
【図9】ダイヤモンド砥粒電着装置の側面図
【図10】砥粒電着メッキ槽の分解斜視図
【図11】螺旋帯状に砥粒を電着したワイヤ工具の拡大
側面図
【図12】螺旋帯状に砥粒を電着したワイヤ工具の拡大
断面図
【図13】ワイヤ工具の切削試験の結果を示す図
【符号の説明】
1 ワイヤ 1a 芯線 2 導電部 4 下地メッキ層 5 溶融樹脂 6 砥粒 7 メッキ層 26a 送り出しモータ 26b 巻き取りモータ 35a 送り出しボビン 35b 巻き取りボビン 56 ピン 58 ヒータ 80 ダイヤモンド砥粒槽

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯線(1a)の周面全体にメッキを施す下地
    メッキ工程と、下地メッキ層(4) の上に螺旋状に溶融樹
    脂(5) を付着して当該付着した樹脂(5) を加熱硬化する
    螺旋コーティング工程と、前記樹脂が付着していないワ
    イヤ周面である導電部(2) の下地メッキ層表面を電解溶
    融する導電部メッキ除去工程と、前記処理されたワイヤ
    (1) を砥粒を充填したメッキ液槽(80)に通過して導電部
    (2) に砥粒(6) が固着されたメッキ層(7) を形成するこ
    とを特徴とする、固定砥粒ワイヤの製造方法。
  2. 【請求項2】 ワイヤ送り出しユニットと、加工された
    ワイヤを巻き取るワイヤ巻き取りユニットとが同一の軸
    線(P) まわりに同期回転可能に対向しており、ワイヤ送
    り出しユニットにはワイヤ(1) を一定速度で回転軸線
    (P) 上に送り出す送り出し手段(26a,35a) が設けられ、
    ワイヤ巻き取りユニットには回転軸線(P) 上からワイヤ
    (1) を一定張力で巻き取るワイヤ巻き取り手段(26b,35
    b) が設けられ、この両ユニットの間に回転軸線(P) 上
    のワイヤの周面に臨む上下方向のピン(56)が配置され、
    このピンの表面を伝って溶融樹脂(5) を流下させる溶融
    樹脂供給手段(54,55) が設けられ、かつピン(56)のワイ
    ヤ送り方向下流側にワイヤ(1) に付着した樹脂(6) を硬
    化させるヒータ(58)が配置されていることを特徴とす
    る、ワイヤ周面への樹脂の螺旋コーティング装置。
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