JPH09243533A - ガス塵埃捕集システム - Google Patents

ガス塵埃捕集システム

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JPH09243533A
JPH09243533A JP8051712A JP5171296A JPH09243533A JP H09243533 A JPH09243533 A JP H09243533A JP 8051712 A JP8051712 A JP 8051712A JP 5171296 A JP5171296 A JP 5171296A JP H09243533 A JPH09243533 A JP H09243533A
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JP
Japan
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liquid
gas
pure water
amount
condenser
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Application number
JP8051712A
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English (en)
Inventor
Masahiro Maki
正博 槙
Toshio Nakano
寿夫 中野
Shozo Sakai
正三 酒井
Koichi Mayama
晃一 真山
Shuichi Ishiwari
修一 石割
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Hitachi Ltd
Hitachi Consumer Electronics Co Ltd
Japan Display Inc
Original Assignee
Hitachi Device Engineering Co Ltd
Hitachi Ltd
Hitachi Consumer Electronics Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で軽量、かつ安定した高濃度捕集液生成
作業を行い得る。 【解決手段】 気体吸引量と純水蒸気の混合量とをそれ
ぞれ特定値にして処理を開始し、その結果得られる捕集
液の実際の生成速度と所望速度とを比較する手段と、実
際の生成速度が所望の生成速度より大きい場合、純水蒸
気供給量の順次低減および気体混合量の所定最大値まで
の順次増大のうち少なくとも一方の処理を前記捕集液生
成速度が所望速度となるまで行う手段と、実際の生成速
度が所望の生成速度より小さい場合、純水蒸気混合量の
所定最大値までの順次増大および気体吸引量の所定最小
値までの順次低減のうち少なくとも一方の処理を前記捕
集液生成速度が所望速度となるまで行う手段と、を備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガス塵埃捕集システ
ムに係り、特に、水に溶解または分散されたガスと微小
塵埃(水に可溶)を含む気体を吸引し、必要ならば吸引
気体に純水蒸気を混合した後、凝縮器内で適当な温度に
冷却して、前記ガス、微小塵埃を所望の高濃度で含有す
る分析用試料を得るガス塵埃捕集システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大気中の汚染ガスや微小な浮遊塵
埃を、環境測定の対象して分析することが多く行われて
いる。また、特殊な環境であるクリーンルーム内の半導
体部品の生産ラインや、その他の雰囲気を問題とする生
産ラインにおける室内雰囲気の環境測定管理が重要とな
っている。さらに、煙突やその他の排ガス中の有害ガス
の分析管理も重要となっている。
【0003】その中で、イオン性ガスや有機性のガスあ
るいは極微小浮遊塵埃の分析は重要となり大きな割合を
占めるに至っている。ここで、微小浮遊塵埃は一般に水
に可溶で、実際上、ガスと識別困難である。
【0004】大気中の混入ガス分析装置は既に種々提案
され、かつ実用化されている。最近では、たとえば特開
平6−129961号公報に記載された改良型が開示さ
れている。
【0005】すなわち、図7に示すように、吸排気系1
と純水蒸気供給系2と気水分離器3と捕集液送液系4と
が連結管15はまたは送液パイプ20によって連結され
ており、さらに、これらの系を制御する制御系10が設
置されている。
【0006】気水分離器3は、凝縮器8とこの凝縮器の
直下に取り付けられた回収溜11とから構成され、凝縮
器8はその凝縮管9が冷却循環液10により冷却される
ようになっている。
【0007】吸引口5から吸引された気体中のガス塵埃
成分は、途中、純水蒸気供給系2から供給される純水蒸
気と混合され、次いで冷却凝縮される過程で、凝縮液中
に凝縮される形で取り込まれ、回収溜11へ流下して貯
溜されるようになっている。
【0008】回収溜11に流入される未凝縮気体成分
は、排気管(連結管)15を経て吸引ポンプ7によって
排出されるようになっている。回収溜11には一本の送
液パイプ20が枝管系として取り付けられており、回収
された凝縮液(捕集液)は送液ポンプ12により成分分
析系13へ送液され、分析されるようになっている。
【0009】分析はインライン的に行われるようになっ
ており、イオンクロマトグラフ等の分析器が成分分析系
13に直結されている。
【0010】吸排気系1には流量計6が取り付けられ、
大気はこの流量計6を介して吸い込まれるようになって
おり、気水分離器3を経て吸引ポンプ7により一定の速
度で吸引、排出されるようになっている。
【0011】純水蒸気供給系2は、純水タンク17と純
水供給ポンプ15、蒸気発生器14、およびこれらをつ
なぐ給水管18とから構成されている。純水供給ポンプ
によって一定量の純水を蒸気発生器14へ送り、一定量
の水蒸気を発生させ、この蒸気を連結管15によって吸
引気体とともに凝縮器8へ送り込むようになっている。
【0012】捕集対象のガス状汚染物を濃度Xng/l
で含む気体速度Vl/分で吸引し、途中で純水蒸気をW
g/分の割合で混合し、凝縮器8で冷却して捕集液をS
g/分の割合(捕集液の凝縮生成速度)で回収し、分析
して捕集液中の汚染物濃度Cppbが得られるとする
と、気体中の濃度Xと捕集液中の濃度Cとの間には下記
の式(1)に示す関係を有するようになる。
【0013】
【数1】 X=C×S÷V÷k ………(1) ここで、kは捕獲係数で、捕集対象の分子種によって異
なる値をとる。純水蒸気供給量Wが大きいときは、上記
(1)式は近似的に下記の式(2)に示されるようにな
る。
【0014】
【数2】 X=C×W÷V÷k ………(2) 逆に、分析する立場から感度を考えた場合、捕集液中の
汚染物質濃度がどの程度になるかが重要となる。ここ
で、上式を変形して捕集液の濃度を表す下式(3)が得
られる。
【0015】
【数3】 C=X×(V÷S)×k ………(3) ここで、(3)式の吸引流量Vと捕集液生成速度Sある
いは純水蒸気供給量Wとの比V/SまたはV/Wを凝縮
率と定義する。気体中の汚染物濃度Xを何倍に濃縮して
捕集液を生成しているかを表す値が濃縮率で、この濃縮
率が高いほど高濃度の捕集液を生成でき、高感度の分析
が可能となる。吸引能力が固定すなわち吸引流量Vが一
定下で、濃縮率の高い捕集液を生成するには、捕集液の
生成速度を小さく設定する必要がある。また、吸引量が
一定下で、一定かつ所望の濃縮率の捕集を行うには、捕
集液の生成速度を狙いの値に設定し、それを維持する必
要がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の技術で
は、その濃縮率の上限は20l/g程度とされ、この限
界以上では捕集作業が不安定になっていた。濃縮率を高
く設定するためには、純水蒸気供給量Wを相対的に絞っ
て小さくする方法により行うことになる。捕集液生成速
度Sと純水蒸気供給量Wをほぼ等しくおける範囲では比
較的安定な捕集作業を行えるが、純水蒸気供給量Wを小
さくして行くと著しく捕集作業が不安定になり、そのた
めに濃縮率の高い捕集ができず、ひいては高感度の分析
ができなくなることがあるという問題が指摘されるに至
った。
【0017】また、他の問題として、凝縮器とその冷却
を受け持つ冷却液生成器が装置全体を占める割合が大き
く過大で、装置全体を大きくかつ重くしている点であ
る。ガス捕集し、環境分析しようとすると、捕集測定機
を対象とする場所まで移動設置する必要がある。捕集測
定機が過大では、移動設置が困難となり、実用性を失っ
てしまう。また、冷却液生成器を搭載することで、装置
の消費電力が過大となることや、部品点数の増大で故障
しやすくなり、メンテナンスの機会が多くなっていた。
【0018】この前者の問題の原因の一つは、吸引する
気体中に元来含まれている水分の影響が決して無視でき
ないためであることが発見され、場合によっては、実際
に吸引大気中に含有されている水分量が、所望の凝縮液
生成速度を得るのに適した値を既に上回っていることも
あるのが判った。かかる場合には、純水蒸気供給系2で
供給する純水蒸気を零に絞っても、凝縮器に送り込まれ
る気体中の水分量が、目標とする捕集液の所望凝縮生成
速度に対応する値を上回っていることになる。この場合
は、凝縮器の冷却温度を上昇させて凝縮する捕集液量の
低下を図るよりほか仕方なくなる。
【0019】本発明はこのような事情に基づいてなされ
たものであり、その目的は、小型で軽量、かつ安定した
高濃度捕集液生成作業が行いえるガス塵埃捕集システム
を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】従来の場合、ガス、塵埃
を高濃度に含有した捕集液を得るために、凝縮器の入口
側における原料供給条件を極力厳密にして、所望の生成
速度を得ることを狙っていたが、実際に分析試料が得ら
れるのは凝縮器の出口側であるから、出口側で測定した
捕集液(凝縮液)の生成速度に基づいて、各処理操作の
条件を制御するフィードバック制御機構を第1の課題の
解決策として取り入れることにした。
【0021】第2の解決策としては、凝縮器の温度制御
点を室温あるいは装置内温度より高温の側へシフトさせ
自然空冷もしくは強制空冷を取り入れることとした。す
なわち、凝縮器を構成している凝縮管をヒートシンクに
取付け、このヒートシンクによる冷却を行う凝縮器とし
た。
【0022】すなわち、第1の課題を達成するために
は、水に溶解または分散するガスと微小塵埃を含む気体
を吸引し、吸引気体に純水の水蒸気を適量混合して、吸
引した気体が元来保有する水分とともに凝縮器内で冷却
し、前記ガス、塵埃を比較的高濃度に含む凝縮液すなわ
ち捕集液を生成させ、生成した捕集液は回収溜に流下さ
せ一旦貯溜して分析試料用とし、気体の未凝縮分は放散
させる処理操作を、それぞれ連続して行うガス塵埃捕集
システムにおいて、当初、特定の条件下、すなわち、気
体吸引量と、純水上記の混合量と、凝縮器の冷却温度と
を、それぞれ、特定値にして処理を開始し、捕集液の実
際の生成速度と所望生成速度とを比較して、実際の生成
速度が所望の生成速度より大きいときは、純水蒸気混合
量の順次低減、気体吸引量の所定最大値までの順次増大
の要素処理操作をそれぞれ単独あるいは組み合わせて行
い、捕集液生成速度が所定速度となるまで上昇させ、ま
た、逆に、実際速度が所望速度より小さいときは、純水
蒸気供給量の所定最大値までの順次増大、気体吸引量の
所定最小値までの順次低減の要素処理操作をそれぞれ単
独あるいは組み合わせて行い、蒸気連続処理操作により
実際の捕集液生成速度が所望値に漸次収斂するように帰
還制御系により調節制御するようにしたものである。
【0023】また、第2の課題として採用したヒートシ
ンクタイプの凝縮器では、最初の立ち上げ時、冷却温度
は室温あるいは装置内温度となっている。ヒートシンク
冷却採用では、蒸気の流入凝縮によって冷却温度は高温
側へとシフトする。凝縮液すなわち捕集液に見合って放
出される液化潜熱が主としてヒートシンクを温めるが、
捕集液の生成速度が所望値となるように帰還制御する過
程で、液化の潜熱量は捕集液の所望生成速度に見合った
所定の値に漸次収斂し、ひいては凝縮器の温度も所望値
に見合った温度へと漸次収斂する。凝縮器の動作点を高
温側へシフトしたことで、凝縮器の凝縮能力が大幅に低
下する。そこで、このような能力低下を補うよう純水蒸
気供給量を能力低下に見合って増量させることとした。
すなわち、純水蒸気供給の制御中心を多めにシフトさせ
るようにした。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるガス塵埃捕集
システムの各実施例を説明する。
【0025】実施例1.図1において、図7同一符号が
付されるものは同一の部材を示している。
【0026】同図に示すシステムは、その原則的な動作
として、吸引気体中に元来含まれている水分と純水蒸気
供給系2で供給される水分との和、すなわち総水分量
を、捕集液の所望の凝縮量に応じて調節するように構成
されている。
【0027】すなわち、吸引気体中に含まれている水分
が多ければ給水供給量を少なくし、逆に、吸引気体中に
含まれている水分が少なければ給水供給量を多くするよ
うに構成されている。このため、本実施例では、純水タ
ンク17からの純水供給のための手段として、電圧制御
可能な純水供給ポンプ16を用いている。
【0028】一方、回収溜11には、捕集液の生成速度
をモニタする捕集液液面検知器11aが取り付けられ、
この捕集液液面検知器11aによって、回収溜11の液
面位置が検知されるようになっている。この場合におけ
る捕集液の生成速度は、前記捕集液液面検知器11aま
での回収溜11の容積と、この回収溜11が空の状態か
ら前記捕集液液面検知器11aの液面検知までの時間と
の比として演算するようになっている。
【0029】そして、凝縮器8は、凝縮管9とヒートシ
ンク8aとから構成され、これによりヒートシンク冷却
器8が取り付けられた構造となっている。凝縮管9は直
管タイプのもので、この凝縮管9を熱伝導性の良好なか
つ軽量のたとえばAlからなる冷却ブロック8bに埋設
することによって、ブロックごとヒートシンクに接合さ
れる構成となっている。ここで、このヒートシンクは、
装置外から空気が流入されるようにすることによって自
然空冷されるようになっている。
【0030】このように構成されたシステムは、捕集液
生成速度のモニタ情報から、その生成速度が所定値より
小さいときには純水供給量を増やし、逆に、生成速度が
所定値より大きいときには純水供給量を減らすようにフ
ィードバック制御されるようになっている。この場合、
回収溜11の液溜部の容積を小さく構成することによっ
て、フィードバック間隔を短くし、迅速な修正制御がで
きるように構成されている。
【0031】なお、回収溜11から分取器13への捕集
液の送出は、捕集液液面検知器11aの液面の検知毎に
必要回数繰り返して行うことによって、分析に必要な捕
集液の液量確保を行うようになっている。
【0032】そして、このようなシステムは、捕集によ
って信頼できる分析結果が得られるまでは、系内の洗浄
操作を連続して行うように構成されている。この洗浄操
作は、捕集と同様の条件によって液を生成し、捕集液液
面検知器11aの位置を超えて回収溜11に一杯になる
まで満たした後に、その液を廃棄するようになってい
る。
【0033】さらに、この場合の洗浄操作時におけるフ
ィードバック制御において、回収溜11での捕集液生成
速度を通常の捕集時と同様にモニタし、生成速度が予定
値より小さければ純水供給量を増やし、生成速度が予定
値よりも大きければ純水供給量を減らすようになってい
る。
【0034】液生成速度が予定値と異なってしまう理由
は、洗浄時に取り込んでいる気体中の水分量が変動した
り、あるいは、純水供給ポンプの流量/印加電圧の特性
がシフトしてしまう場合があるからである。
【0035】ここで、供給水量に対する捕集液の生成速
度の関係を図2(a)を用いて説明する。同図は、冷却
器を使って5℃にまで冷却した場合の関係を示してい
る。
【0036】同図から明らかなように、捕集液の生成速
度は、凝縮器8に蒸気として供給される全水分量(以
下、総給水量と称す)に比例し、このことから、純水蒸
気供給量Wを小さくして濃縮率を大幅に上昇させようと
する場合、大気あるいは吸引気体に由来する水蒸気成分
を無視することができないことが判る。吸引気体中の水
蒸気を無視すると、捕集液生成速度が吸引気体中の水分
の増減にともなって変動し、意図しない捕集がなされる
ことになる。
【0037】たとえば、捕集環境として一般大気を想定
し、比較的環境の整った温度20〜28℃、湿度20〜
60%の大気を捕集するとして、大気由来の水分量は、
吸引量Vが40l/分の場合で、0.1から0.6g/
分まで変動することになる。凝縮率400l/g等の高
濃縮からなる捕集を行おうとした場合には、蒸気吸引条
件では捕集液の生成速度は0.1g/分となり、捕集液
生成速度に比べて大気由来の水分量の変動が大きく、捕
集液の生成を不安定にする。
【0038】本実施例では、捕集液の生成速度を頻繁に
計測し、所望の生成速度となるように吸引気体中の水分
変動に応じて生じる捕集機の生成速度の変動を補う純水
蒸気の供給料のコントロールを頻繁に行っている。
【0039】すなわち、一回目の捕集に先だって予め所
望の捕集液生成速度が収斂して得られるまでフィードバ
ック制御を働かせ、所望の誤差内に収斂した捕集が確認
された時点から捕集液を送出させ、これを必要回数繰り
返して、試験管に取り分けるようにしている。
【0040】そして、回収溜11の液溜部に取り付けた
捕集液液面検知器11aの位置を容量2.5mlとする
ことによって、濃縮率400l/gのとき吸引量40l
/分で捕集液生成速度が0.1g/分となるので、捕集
液液面検知器11aが検知する時間間隔は約25分とし
ている。このようにすることによって、フィードバック
制御間隔が約25分と短くでき、この間の環境変動(吸
引大気中の水分量の変動)の影響は無視できる程に小さ
くできる。
【0041】したがって、各フィードバック制御期間毎
の捕集液生成速度の制御誤差は小さくなり、良好に制御
された捕集液が得られるようになる。また、実際に得ら
れた捕集液生成速度と所望の生成速度との小さい速度差
をフィードバック情報とし、次の制御期間の純水蒸気の
供給量を補正することによって、継続した穏やかな通常
の環境変化に追随できる構成とすることもできる。
【0042】実施例2.上述した実施例の場合、所望の
捕集液生成速度、すなわち所望の濃縮率の捕集液を生成
するために総給水量を制御しようとしても、過剰な水分
が吸引大気自体から供給されてしまい、所望の総給水量
が設定できない場合が生じることが判明した。
【0043】すなわち、大気からの過剰な水分供給(た
とえば、0.6g/分)があり、純水供給を0g/分に
絞ったとしても、所望の量の捕集液を生成するには過剰
な水分供給状態となっている場合がある。
【0044】このため、本実施例では、装置の濃縮率設
定上限と対応可能な大気水分量(室温、湿度により決定
される)の上限を設定し、大気水分量の上限の供給とな
った際には、純水蒸気供給量を”0”に絞って濃縮率の
設定上限を実現できるようになっている。逆に、対応可
能な大気水分量の上限よりも少ない雰囲気を吸引した場
合には、不足分を補うようにした給水制御を行うように
している。
【0045】図2(b)は凝縮器8の特性を示す図であ
る。この図から明らかなように、捕集液の生成速度を
0.1g/分に設定しようとしても、大気から供給され
る水分量が0.6g/分の場合に純水の供給量を”0”
に設定しても、図中矢印に示すように0.46g/分と
なってしまい、制御不可能となってしまう。このこと
は、凝縮器8の特性が過剰能力の状態になっていること
を意味する。
【0046】本実施例では、このような場合に備えて、
凝縮器8の能力を環境変化の範囲にカバーできる値に落
すように構成している。すなわち、凝縮器8の能力を低
下させることによって、総給水量の不足分状態が定常と
なるが、その不足分として純水供給量を補うようにして
いる。図2(b)から明らかとなるように、凝縮器8の
能力は、冷却温度の設定毎に連続的に変化することか
ら、逆に、設定温度を変化させることによって凝縮能力
を調整できるようになる。
【0047】この場合、凝縮器8に上述した特性を運用
させるためには、凝縮器8を室温以下の温度へと制御す
る冷却液生成器(コンプレッサ、冷却液循環器等)の取
付けが必要となり、装置全体の大型化を免れ得ない。さ
らに、消費電力の増大から、運転コストの増大をもたら
すこととなる。
【0048】それ故、凝縮器8を構成している凝縮管を
ヒートシンクによって冷却する構成としている。このヒ
ートシンク8aは蛇管式とは異なり直管式のもの用い、
かつ長さも1/3程度に短縮させたものを用いている。
【0049】ヒートシンク冷却の場合、冷却温度は任意
の設定できず、ヒートシンク冷却が置かれた周囲温度や
流入する熱量(たとえば蒸気量)によって冷却温度が変
化するため、凝縮器8の凝縮能力は図2(a)、(b)
に示すようには一義的に定まらないことから、ここでの
凝縮器8の凝縮能力を、図2の表記にならった図3
(a)において観念的に示している。同図において、総
給水量Qの増大とともに、凝縮液(捕集液)が増加し、
液化の潜熱ヒートシンクへと放出されるため、ヒートシ
ンクが昇温し凝縮器8の温度は一定に定まらない。この
ため、総給水量の増加の割には捕集液の生成の増加の割
合が小さくなる。総給水量のうちその一部が低温の大気
由来の水蒸気であるが、大気由来の水蒸気の割合が多く
なると、ヒートシンクへの熱の供給が相対的に小さくな
って、同一の総給水量でも捕集液生成量が若干多くな
る。しかし、ヒートシンクへ流入する熱の大部分は水蒸
気の液化潜熱であるので、上記の捕集液の若干の増減は
無視可能である。
【0050】また、ヒートシンクの置かれた周囲温度の
影響は、ヒートシンクの能力が温度差のみによって一義
的に決定される性格のものであり、周囲温度の変化分だ
け並行シフトした凝縮能力特性を概ね与えるようにな
る。すなわち、高温側へ周囲温度が変化すると、図3
(a)の点線に示すような、逆に低温側に周囲温度が変
化すると一点破線に示す凝縮能力特性へと代わる。
【0051】本実施例では、先に説明したヒートシンク
を用いた凝縮器8を製作し、装置に組み込み、凝縮特性
を予め評価して使用するようになっている。代表的なあ
る温度、通常は約25℃の室温で、オフライン的に、吸
引大気中の水分量と供給水の蒸気量を測定し、総給水量
Qをこれらの和として求め、同時にこの時の捕集液生成
速度Sを測定する。同時に、供給純水の蒸気量を純水ポ
ンプを制御して変え、変える都度に捕集液生成速度を測
定し、総給水量Qと捕集液生成速度Sの図3(b)に示
す関係を求め、各の式(4)である近似式を求めて、帰
還制御プログラムに組み込んでいる。
【0052】
【数4】 Q=f(S) ……………(4) 次に、帰還制御では、当初、捕集液が生成されるある条
件でスタートさせ、捕集液生成速度を求める。求められ
た生成速度S1を式(4)に記入し、生成速度S1に対応
する総給水量Q1を求める。所望の生成速度Skに対応
した必要な総給水量Qkは同様に計算して求められるの
で、生成速度S1をSkへ修正するための総給水量の過
不足分ΔQは上記総給水量Q1とQkとの差として求め
られる。したがって、上記計算で求められた過不足分Δ
Qだけ純水蒸気供給量を純水ポンプにて調節する制御方
式となっている。
【0053】装置周囲の温度環境の違い、すなわちヒー
トシンクの周囲温度の違いは、先に述べたようにヒート
シンクの性格から、上式の定数項の変化とおけることか
ら、過不足分ΔQの計算時に消去される。このことか
ら、周囲温度の影響は上述した制御にほぼ無関係となっ
ている。
【0054】このように、本実施例では、捕集システム
の出口側の捕集液生成速度を調べて、凝縮器8の一義的
に定められた凝縮能力特性式を使って、総給水量を計算
し、所望の捕集液生成速度を与える総給水量との差をと
って総給水量の過不足分とし、その過不足分を純水蒸気
の供給量を制御する純水ポンプの流量の電圧依存性を予
め制御系に記憶させておき、帰還制御の直前の流量に先
に求めた過不足分を加えて得た新たな供給流量を制御電
圧に変換して純水ポンプを操作するようになっている。
【0055】実施例3.図4は、凝縮器8と回収溜11
およびこれらを連結している凝縮器の下端にあたる連結
管15の構成を示している。
【0056】フランジ部11fに差し込まれた凝縮器の
下端にあたる連結管15の端部は、図に示すように斜め
に切られて、極めて鋭い剣先部11bを形成している。
液溜部の捕集液液面検知器11aの取付部は枝管11c
になっている。剣先部11bの先端は、捕集液貯溜部1
1dの上端すなわちネック位置より約30mm上に位置
するようにセットされている。
【0057】凝縮器8を構成する凝縮管9はたとえば内
径φ4.35からなる細い細管となっている。吸気速度
を40l/分で運転すると、フランジ部に差し込まれた
凝縮管から捕集液を含んだ気流が約45m/秒の速度に
吹き出され、捕集液が回収溜め内に飛散されたり、一旦
貯溜部に貯蔵された捕集液が吹き上げられる現象や、回
収溜の内壁面に付着した捕集液が吹き上げられる現象が
見られる。系内洗浄では、良好な洗浄効果を得るには、
かかる捕集液の飛散吹き上げ部まで洗浄液を満たして廃
棄する操作を繰り返して行う必要がある。飛散吹き上げ
た前回捕集の液が、新たな洗浄液の吹き上げによって次
第に重量が大きくなり自然落下して貯溜部を汚染するた
め、貯溜部の洗浄液の洗浄度がなかなか収斂しない状態
となる。
【0058】本実施例では、洗浄が行い易いように、貯
溜部の容量を先に記したようにたとえば約2.5mlと
極めて小さくしている。
【0059】さらに、捕集液の吹き上げ防止策として、
太い上部気液分離空間部11eと細い貯溜部11dとを
つなぐ液溜絞り部11hの形状を絞り角60°以下とし
ている。このように絞り角を60°以下と深くしたこと
によって、飛散した捕集液は吹き上げられることなく自
重によって速やかに自然落下し貯溜部に収まることにな
る。飛散は絞り部の下部の狭い比較的限られた部分に集
中的に起こるが、その部分まで洗浄液を満たしても、絞
り角を60°以下と深くしたことで、小量で済まされる
ことになる。洗浄は、貯溜部に洗浄液を満たし次いで排
出する操作を数回繰り返して行うようになっている。既
述のように洗浄が短時間すなわち少量でできるように、
液溜部の容量は小さくなっている。
【0060】洗浄液の注入を監視する手段として捕集液
の生成速度を測定するために取り付けた捕集液液面検知
器を利用する。捕集液液面検知器が取り付けられている
位置までの容量M’と飛散によって汚染される絞り部の
位置すなわち洗浄が必要な部分までの容量M”とは、予
め測定しておけば既知で、液溜部が空の状態から洗浄液
を注入して捕集液液面検知器が液面を感知する時間tを
測定することにより、貯溜部全体を洗浄液で満たすに要
する時間をt×M”÷M’と予測できるので、洗浄操作
の制御情報として利用している。
【0061】この場合の洗浄操作は、次に捕集を予定し
ているガスまたは雰囲気大気を吸引させながら行うよう
になっている。また、洗浄では凝縮器中の前回分析試料
捕集時の汚染も対象となるので、捕集時と同様に純水蒸
気発生器を動作させ、純水蒸気を系内に送り込み、捕集
時と同じように凝縮器で凝縮され捕集液が生成される状
態とし、生成された液を貯溜部に洗浄液として貯溜する
ようになっている。
【0062】凝縮器の内部は蒸気が凝縮し液化し壁面を
流下して液溜部にいたる過程で、壁面に付着している汚
れを洗浄液に取り込んで洗浄するようになっている。洗
浄液を多く供給する、すなわち純水供給することによっ
て速く洗浄ができるようになる。
【0063】本実施例では、洗浄液供給量の制御に、捕
集時に使っている純水供給系およびその制御系を兼用す
ることとし、純水供給量を洗浄開始時に多めに設定でき
るようにしている。しかし、洗浄終了間際の純水供給量
は、次に予定している捕集時とほぼ同量となるように設
定されている。
【0064】また、他の条件、たとえば蒸気発生器の設
定温度も洗浄終了間際は、捕集時と同じ条件として、次
の捕集にただちに移行できる状態で洗浄を行うようにな
っている。
【0065】そして、上述したガス塵埃捕集システムに
は、成分分析系へ捕集液を分析試料として供給するため
の分取器が備えられている。この分取器は回転台に試験
管ラックを載せて構成され、図5において、その実施例
を示している。試験管13bを円形ラック13eの円周
に沿って配置し、一定方向の回転操作13c(間欠回
転)を制御系19の指令により行わせ、捕集液注入ノズ
ル13aの真下の位置に試験管13bを位置させてい
る。
【0066】回収溜11に捕集液が溜った信号がくるこ
とによって、制御系は総液ポンプ12を動作させ、該捕
集液を試験管13bに取り分けるようになっている。
【0067】また、洗浄液の処理のために分取器にはド
レインラインが設けられており、捕集と同様に洗浄液が
溜まった信号を受けると、所定のタイムラグ(捕集液液
面検知器が液面を感知してから洗浄必要部分が一杯にな
るまでの時間)において送液ポンプを動作させて洗浄液
をドレインラインへ排出させるようになっている。洗浄
液はドレイン管13dを通り、捕集液注入ノズル13a
直下に配置されたドレイン受け口(漏斗状)13fを通
って廃液タンク13gへ送られるようになっている。そ
して、系内洗浄や共洗いを行う操作は分取器の回転を進
めて捕集液注入ノズル直下にドレイン管13dを保持し
て行うようになっている。
【0068】分析用試料の捕集に先だって捕集系内を洗
浄する操作は全体の操作フローの中に組み込まれてお
り、さらに、洗浄度(清浄度)を高めるために液溜部に
洗浄液を蓄溜し排出する操作を繰り返すフローが組み込
まれている。
【0069】洗浄液の生成は、次に予定している捕集位
置(場所を変えて捕集する位置)の大気または捕集ガス
を吸引しながら行うようになっており、洗浄中に段階的
に純水供給量を変えて最終段階では捕集予定時の純水供
給量にされている。
【0070】このような洗浄を行わない場合、前回の捕
集時の捕集液が捕集システム内に残留し、正確な結果が
得られないからである。特に、ガス塵埃成分が比較的濃
く含む環境下で分析試料を捕集した後において、ガス塵
埃成分を殆ど含まないような環境で分析試料を捕集する
ような場合には、間違った結果を与えてしまう分析試料
が捕集される恐れがあるから、入念な洗浄が必要になっ
てくる。
【0071】したがって、洗浄を試料捕集の前段階とし
て行ない、洗浄液で系内を洗浄し、前回分の系内捕集液
を除去置換するようにしている。
【0072】この場合、純水などの洗浄液が残って新た
に捕集された液に混入して捕集液内の試料濃度を薄めて
しもう負の影響も重大である。
【0073】本発明システムでは、純水供給量を多めに
設定した洗浄操作を、その後に新しい分析試料を採る前
に、新しい環境または捕集気体でのでの捕集操作を一定
時間行って、系内をその時点の状況に馴染ませ、更に生
成した捕集液を分取ラインへ一度通すなどの洗浄操作す
なわち共洗いが大変有効である。
【0074】そして、試料分析結果が次第に設定値(本
当の値)に収斂してくることは明らかであることから、
分析結果が実際上特定値に収斂したと認められるように
なるまで捕集操作を繰り返すことが望ましい。
【0075】以上、洗浄操作を捕集前に行うことについ
て説明したが、捕集毎に、その後の洗浄を実行して準備
完了状態にするようにしても有効となる。
【0076】一回の洗浄で、通常、汚染量が1/5〜1
/100になるが、装置毎に汚染の低減率が異なること
から、装置毎に洗浄回数を決めておくことがよい。高感
度の分析を行うには汚染量を特に低く設定する必要があ
る。汚染が大きいと分析値が汚染によって変動すること
から、分析者が希望する感度限界に合わせて装置の清浄
度、すなわち洗浄の繰返し回数(連続洗浄時間)を決め
ることになる。洗浄量は前回の捕集液の濃度に依存し、
極めて異常なガスを吸引捕集した場合には、系内汚染が
著しく高くなり、通常の洗浄回数では所望の清浄度に至
らない場合がある。このような場合には洗浄を特別に多
く行う必要がある。通常は、測定対象のガス濃度の最大
値が吸引された場合でも次の捕集に影響が生じないよう
に洗浄の繰返し回数の決めておき、制御系で自動的に洗
浄を行うように設定することがなされる。
【0077】高感度の分析に供する分析液を捕集するに
は、系内汚染たとえば前回捕集時に系内に付着して残る
汚染等を洗浄する必要があることを説明したが、制御動
作点を高温度側へシフトする本実施例では、他に致命的
な汚染が、分析者に気がつかれない形で影響されること
がある。捕集液を採取するとき通常高純度の純水である
超純水を用いるが、分析者は、この超純水の汚染レベル
を分析可能限界を決定づけるベースの汚染と考えがちに
なる。
【0078】本実施例の捕集では、供給純水量と得られ
た捕集液量とは異なった値となっている。特に、ヒート
シンク冷却を採用することによって、先に説明したよう
に、凝縮能力が大幅に低下し、多量の純水供給が必要と
なる。すなわち、得られる捕集液に対してかなり多量の
純水を供給する必要が生じるが、純水多量供給によって
純水から供給される不純物も大気の汚染物同様に捕集液
に捕獲され、凝縮されて分析液を汚染させてしまう。ヒ
ートシンク等で構成する凝縮器を約30℃で運転し、捕
集液生成速度0.1g/分を得るには約2g/分の供給
水量(内純水供給約1.7g/分)が必要で、純水の不
純物の濃縮は約17倍にものぼる。
【0079】本実施例では、このような動作点の高温シ
フトの弊害を回避するために、純水の高純度化を図るよ
うになっている。
【0080】本実施例での大きな課題は小型軽量化であ
るため、超純水生成器のような過大なものを本装置に組
み込むことはできず、超小型のイオン交換カラムを純水
供給ラインへ組み込むこととして前記課題の達成を図ら
んとしている。すなわち、静的イオン交換容量約2m当
量相当の超小型の陰イオン用カラム10aと陽イオン用
カラム10b(重さはそれぞれ約10g)を用意し、そ
れらを接続するように構成している。
【0081】そして、最終段のカラムの出口には粒子除
去フィルタを取り付け純水系からの粒子性汚物の影響も
除去するようになっている。上記約2m当量のイオン交
換カラムの装着で純水ラインからのイオン汚染量の改善
率は約8割であることから、改善不足となるような純水
を使用せざるを得ない場合には、本カラムを2組以上重
ねることで必要とされる汚染レベルへと改善できるよう
になっている。なお、カラムにはイオン交換能力上の寿
命があるので時々カラム交換できるようになっている。
【0082】また、本実施例では、捕集液の生成速度を
モニタするため、液面位置を感知するセンサを回収溜の
枝管部11cに取り付けている。本センサは、液溜部1
1dへの捕集液の流入によって、その表面が次第に上昇
してセンサ取付位置まで到達すると信号を発するように
なっている。
【0083】このセンサは、液適がなんらかの原因でセ
ンサ取付位置に当たる部分に付着あるいは流れ落ちると
誤信号を発することがある。このセンサを取り付けて運
用したところ、頻繁な誤信号が見られた。そこで、誤信
号の発生の原因を追及した結果、誤信号の発生の主な原
因は捕集液が液溜絞り部の表面を流下し貯溜部へと収ま
る過程で貯溜部内壁面を伝わって枝管11cに上部から
流入することが判った。 このため、本実施例では、枝
管11cの上部取付けの角度を図4に示すように上向き
とすることによって、上記弊害を防止する構成となって
いる。
【0084】実施例4.本実施例は、本実施例1と比較
して制御方法が異なっており、このことから特に制御方
法について以下説明する。
【0085】まず、凝縮器の凝縮能力の特性式は、冷却
温度をある固定温度に設定して凝縮器を運転する状態で
は、図2(a、b)に示すように総給水量Qと捕集液生
成速度Sに所定の比例関係すなわち下式(5)のような
簡単な関係がある。
【0086】
【数5】 S=aQ+b …………(5) ここで、bは凝縮器の冷却設定温度に関係した項で、高
温ほど小さな値となる。aは凝縮器の形状に関わる項
で、形状が製作等で確定されればある固定値に定まる。
たとえば図2の特性の凝縮器に用いた凝縮管の管長を1
/3に短くすると、上式のaの値(傾き)はほぼ1/3
になる。
【0087】ヒートシンク冷却では、冷却温度を一定値
に外部から任意には設定できないが、ある所望の捕集液
生成に対して速度Skとなる定常状態が想起でき、生成
速度に見合った一定量の液化の潜熱がヒートシンクへ放
出され、その時のヒートシンクの温度は所望値Tkに固
定された状態になっているとされる。すなわち、図2
(a、b)に示す特性式で傾きがほぼ1/3となったよ
うな図6に示すグラフが想定される。その際の凝縮特性
式は式(6)のようになる。
【0088】
【数6】 Sk=a’Qk+bk …………(6) 制御開始当初に、捕集液生成速度が所望値より大きくな
るように概算多めに蒸気供給量を設定して制御を開始す
る。開始当初の捕集液生成速度を測定して初回生成速度
1を得る。この時も上記と同様生成速度に見合った液
化の潜熱が放出され、ヒートシンクは放出に見合った温
度T1へと高温側へ固定化され、図6に併記するグラフ
の凝縮特性を示す。その際の凝縮特性式は同様に式
(7)のようになる。
【0089】
【数7】 S1=a’Q1+b1 …………(7) ここで、両式の差をとって生成速度過剰量ひいては総給
水量ΔQを求める。
【0090】すなわち次式(8)に示されるようにな
る。
【0091】
【数8】 ΔQ=Q1−Qk =(S1−Sk)÷a’+(bk−b1)÷a’……(8) 過剰の捕集液生成速度を設定しているので、ヒートシン
クの温度が高温側へシフトしており特性グラフは図中右
にシフトする。したがってbk>b1であるので、右辺第
2項(bk−b1)は正の値をもっている。
【0092】総給水量を補正する制御量として、本実施
例では、特に、右辺第1項のみを与えることにしてい
る。
【0093】
【数9】 ΔQ=(S1−Sk)÷a’……(9) 上式(9)で求められる補正制御量は、最終的に求めた
い前出の補正量に比較して第2項を省略したので小さ
く、したがって制御に当たって内輪の補正となってい
る。このため、本補正制御によって直ちに所望する純水
供給状態とはならないが、本補正制御を繰り返すこと
で、次第に所望値へと確実に移行させることができるよ
うになる。
【0094】制御中に、大気水分量が少なくなり、供給
水量Qが小さくなることが当然起こる。その時、捕集液
生成速度が低下しS2となり、新たな定常状態すなわち
低温側へと移行する。特性式は下式(10)とおける。
【0095】
【数10】 S2=a’Q2+b2……(10) 所望状態との差をとって、供給水量の不足分を求めると
下式(11)が得られる。
【0096】
【数11】 ΔQ=Qk−Q2……(11) =(Sk−S2)÷a’+(b2−bk)÷a’……(8) ここで、右辺第2項の(b2−bk)÷a’は、ヒートシ
ンクの凝縮の液化熱が減少するため特性線が図中左にシ
フトし、b2>bkとなり、したがって正の値となってい
る。ここで、補正制限量ΔQとして、先と同様右辺第1
項のみを使用する。すなわち下式(12)を与えること
とした。
【0097】
【数12】 ΔQ=(Sk−S2)÷a’……(12) 上式で求められる補正制限量は、最終的に求めたい前出
の補正量に比較して小さく、したがって制御に当たって
内輪の補正となっている。したがって、本補正制御によ
って直ちに所望する純水供給状態とはならないが、本補
正制御を繰り返すことで、次第に所望値へと確実に移行
させることが蒸気供給量が過剰の場合と同様に蒸気供給
量が不足の状態から出発してもできる。
【0098】本実施例では、凝縮器を製作し、予めその
凝縮特性を、特定の固定温度にコントロールして、測定
し、上記特定式のa’値を求め、制御プログラム中に組
み込んだ。したがって、捕集液の生成速度の所望値の入
力と、制御情報として捕集液生成監視センサが感知する
度に限られる捕集液生成速度Sから補正制御量を生成
し、純水ポンプの電圧を制御して、捕集液生成速度が所
望値となるよう帰還制御することとした。
【0099】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるガス
塵埃捕集システムによれば、極めて微量に環境気体中に
含まれる汚染成分(ガス状または塵埃状)を数百倍たと
えば400倍の高い濃度で含む液状分析用試料を自動的
に生成させることができ、したがって、上記のような汚
染物質の分析が容易にかつ確実に行うことができるよう
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガス塵埃捕集システムの一実施例
を示す構成図である。
【図2】本発明によるガス塵埃捕集システムの動作を説
明するための特性図である。
【図3】本発明によるガス塵埃捕集システムの動作を説
明するための特性図である。
【図4】本発明によるガス塵埃捕集システムの一実施例
を示す部分詳細構成図である。
【図5】本発明によるガス塵埃捕集システムの一実施例
を示す部分詳細構成図である。
【図6】本発明によるガス塵埃捕集システムの動作を説
明するための特性図である。
【図7】従来のガス塵埃捕集システムの一例を示す構成
図である。
【符号の説明】
1……吸排気系、2……蒸気供給系、3……気水分離
器、4……捕集液送液系、8……凝縮器、9……凝縮
管、10……冷却循環液、11……回収溜、13……成
分分析系、14……蒸気発生器、19……制御系、21
a……陰イオン除去カラム。
フロントページの続き (72)発明者 酒井 正三 千葉県茂原市早野3681番地 日立デバイス エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 真山 晃一 千葉県茂原市早野3681番地 日立デバイス エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 石割 修一 東京都小平市上水本町5丁目20番1号 株 式会社日立製作所半導体事業部内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水に溶解または分散されたガスと微小塵
    埃を含む気体とを吸引する手段と、吸引された気体に純
    水の水蒸気を混合する手段と、吸引された気体が元来保
    有する水分とともに凝縮器内で冷却して前記ガスおよび
    塵埃を比較的高濃度に含む捕集液を生成させる手段と、
    を備えるガス塵埃捕集システムにおいて、 気体吸引量と純水蒸気の混合量とをそれぞれ特定値にし
    て処理を開始し、その結果得られる捕集液の実際の生成
    速度と所望速度とを比較する手段と、 実際の生成速度が所望の生成速度より大きい場合、純水
    蒸気供給量の順次低減および気体混合量の所定最大値ま
    での順次増大のうち少なくとも一方の処理を前記捕集液
    生成速度が所望速度となるまで行う手段と、 実際の生成速度が所望の生成速度より小さい場合、純水
    蒸気混合量の所定最大値までの順次増大および気体吸引
    量の所定最小値までの順次低減のうち少なくとも一方の
    処理を前記捕集液生成速度が所望速度となるまで行う手
    段と、を備えることを特徴とするガス塵埃捕集システ
    ム。
  2. 【請求項2】 凝縮器は回収溜を備え、その回収溜の液
    溜部に設けられた捕集液液面検知器と、この捕集液液面
    検知器によって液面の検知がされるまでの時間に基づい
    て捕集液生成速度データを得る手段と、が備えられてい
    ることを特徴とする請求項1記載のガス塵埃捕集システ
    ム。
  3. 【請求項3】 システム設置位置を移動して、または新
    しい環境下で、システム各部の内壁面に純水蒸気を接触
    させ、あるいは該内壁面を凝縮した捕集液で濡らし、該
    内壁面を新しい環境になじませる洗浄処理を、捕集液に
    対して分析を繰り返して得られる結果が事実上設定値に
    収斂するまで、連続して行うようにすることを特徴とす
    る請求項1記載のガス塵埃捕集システムの使用方法。
  4. 【請求項4】 洗浄操作処理中に得られる洗浄液兼捕集
    液の生成速度のデータから、新しい環境下で所望の捕集
    液生成速度が漸次なされるよう、気体吸引量、純水蒸気
    供給量を、帰還制御系によって調節制御する手段が設け
    られていることを特徴とする請求項1記載のガス塵埃捕
    集システム。
  5. 【請求項5】 凝縮器は、凝縮管とヒートシンクとから
    構成され、かつ、その動作は室温以上の温度でなされる
    ことを特徴とする請求項1記載のガス塵埃捕集システ
    ム。
  6. 【請求項6】 凝縮器は回収溜を備え、その回収溜は放
    散される未凝縮気体を分離する気液分離空間部を備える
    とともに、この気液分離空間部とその下部の液溜部とを
    接続する絞り部は、その絞り角が60°以下となってい
    ることを特徴とする請求項1記載のガス塵埃捕集システ
    ム。
  7. 【請求項7】 純水を蒸気発生器へ送る純水供給ライン
    にイオン交換カラムが介在されているとともに、このイ
    オン交換カラムは静的イオン交換容量が1000m当量
    以下となっていることを特徴とする請求項1記載のガス
    塵埃捕集システム。
JP8051712A 1996-03-08 1996-03-08 ガス塵埃捕集システム Pending JPH09243533A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102589936A (zh) * 2012-01-12 2012-07-18 中国科学院地理科学与资源研究所 一种同步采集大气co2及水汽样品的装置和方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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