JPH09241292A - タキソイド誘導体包接物の製造法 - Google Patents

タキソイド誘導体包接物の製造法

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JPH09241292A
JPH09241292A JP7812896A JP7812896A JPH09241292A JP H09241292 A JPH09241292 A JP H09241292A JP 7812896 A JP7812896 A JP 7812896A JP 7812896 A JP7812896 A JP 7812896A JP H09241292 A JPH09241292 A JP H09241292A
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浩司 原
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Kozo Hara
耕三 原
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忠勝 萬代
Hiroshi Okumoto
寛 奥本
Hiroki Hamada
博喜 浜田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タキソイド誘導体の溶解性および溶液中での
安定性を高め、効果的な癌治療薬を提供すること。 【解決手段】 タキソイド誘導体をサイクロデキストリ
ン類で包接することを特徴とするタキソイド誘導体包接
物の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はタキソイド誘導体包
接物の製造法に関し、詳しくはサイクロデキストリンを
用いてタキソイド誘導体を包接することにより、該タキ
ソイド誘導体の溶解性を改善する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】パクリタクセル(Paclitaxel)は、北米産
イチイ(Taxus brevifolia) の樹皮から単離されたジテ
ルペン化合物 [M.C.Wani et al.: J.Am.Chem.Soc.,93,2
325(1971)]で、従来の化学療法では治癒しない癌に対し
ても改善効果を持つ強力な抗癌剤として知られている。
このパクリタクセルが癌を抑制するメカニズムは特異的
であり、他の多くの抗癌剤が有糸分裂装置である紡錘体
の主成分の微小管の形成を抑えるのに対し、パクリタク
セルは微小管の過剰形成を引き起こして有糸分裂を抑制
するものである。
【0003】このように、パクリタクセルは有力な抗癌
剤であるが、水に対する溶解性が低いため、実際の治療
薬としての利用が限られる。そのため、従来より可溶化
剤の使用や誘導体として溶解性を高めるための研究開発
等が活発に行われてるが、未だ十分な解決策は見出され
ていない。例えば、現在パクリタクセルは可溶化剤「ク
レモフォア」を用いて患者に投与されているが、2週間
毎に6時間かけて1L投与し、これを4クール実施する
という、患者に大きな負担を与えるもの[EricK.Rowinsk
y et al.: CANCER RESEARCH 49, 4640 (1989)] である
上に、可溶化剤の副作用が問題となっている。また、溶
解性が改善されたパクリタクセルの誘導体としてタキソ
テア(Taxotere) が開発されたが、タキソテアの水に対
する溶解度はパクリタクセルの1.3倍にすぎず[I.Rin
gel et al.: J.Natl.Cancer Inst.,83, 288 (1991)] 、
さほど改善されてはいない。
【0004】パクリタクセルの溶解性を改善する方法と
して、パクリタクセルの側鎖や母核に様々な官能基を導
入する方法があるが、それらの誘導体のうち、いくつか
の化合物には溶解性の改善が認められるものの、実用的
な溶解度には到達しなかったり、生理活性が低減した
り、溶液中で分解する等の安定性の低いものであった
り、安全性が懸念されるなどの問題がある。
【0005】本発明者らは、有効な抗癌剤として実用化
できるパクリタクセルやタキソテアの誘導体(以後、両
誘導体をまとめてタキソイド誘導体と略記することがあ
る。)の開発に携わっており、パクリタクセルやタキソ
テアにスペーサーを介したエステル結合により糖を種々
の部位に結合した各種のタキソイド誘導体を化学合成し
ている(平成8年2月20日付け提出の特許出願、整理
番号P800746Kの明細書参照)。該誘導体の例と
して、グルコシルオキシアセチル−7−パクリタクセ
ル、グルコシルオキシアセチル−2’−パクリタクセ
ル、ジグルコシルオキシアセチル−2’,7−パクリタ
クセル、グルコシルオキシアセチル−2’−タキソテ
ア、ジグルコシルオキシアセチル−2’,7−タキソテ
ア等が挙げられる。これらの誘導体は、水に対する溶解
性が向上しており、生理活性も損なわれていないことを
知見している。しかし、これらの誘導体は、糖の結合数
や糖の結合部位の差異等により性質も異なり、水溶液中
では不安定なもの、溶解性が比較的低いもの等があり、
実用化には未だ改善の余地がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑み、タキソイド誘導体の溶解性および溶液中での安
定性を高め、効果的な癌治療薬を提供することを目的と
する。本発明者らは、タキソイド誘導体の生理活性を低
減させずに溶解性を改善し、かつ溶液中での分解を抑制
する方法について検討したところ、サイクロデキストリ
ン類に包接することが有効であることを知見し、本発明
に到達したのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、タキ
ソイド誘導体をサイクロデキストリン類で包接すること
を特徴とするタキソイド誘導体包接物の製造法に関す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に用いるタキソイド誘導体
としては、パクリタクセルまたはタキソテアにスペーサ
ーを介して糖を結合させたものがあり、その具体例を以
下に示す。下記の式で表されるグルコシルオキシアセチ
ル−7−パクリタクセル(以下、7−S−パクリタクセ
ルと略す)、
【0009】
【化1】
【0010】下記の式で表されるグルコシルオキシアセ
チル−2’−パクリタクセル(以下、2’−S−パクリ
タクセルと略す)、
【0011】
【化2】
【0012】下記の式で表されるジグルコシルオキシア
セチル−2’,7−パクリタクセル(以下、2’,7−
S−パクリタクセルと略す)、
【0013】
【化3】
【0014】下記の式で表されるグルコシルオキシアセ
チル−2’−タキソテア(以下、2’−S−タキソテア
と略す)、
【0015】
【化4】
【0016】下記の式で表されるジグルコシルオキシア
セチル−2’,7−タキソテア(以下、2’,7−S−
タキソテアと略す)、
【0017】
【化5】
【0018】下記の式で表されるトリグルコシルオキシ
アセチル−2’,7,10−タキソテア(以下、2’,
7,10−S−タキソテアと略す)、
【0019】
【化6】
【0020】下記の式で表されるグルコシルオキシアセ
チル−7−タキソテア(以下、7−S−タキソテアと略
す)、
【0021】
【化7】
【0022】下記の式で表されるジグルコシルオキシア
セチル−7,10−タキソテア(以下、7,10−S−
タキソテアと略す)が挙げられる。
【0023】
【化8】
【0024】上記タキソイド誘導体は、パクリタクセル
またはタキソテアにスペーサーを介して糖を結合してな
るものである。パクリタクセルは、Kingston, D.G.I.:
Pharmacol. Ther., 52, 1 (1992)に記載された方法によ
り、北米産イチイ(Taxus brevifolia) の樹皮から単離
することにより得られる他、化学合成されたもの(R.A.
Holton : Europian Patent-A 400971, 1990)なども用い
られる。また、タキソテアは、Greene, A.E. et al.:
J. Org. Chem., 59, 1238 (1994) に記載されている方
法により、パクリタクセルから誘導される。
【0025】パクリタクセルまたはタキソテアにスペー
サーを介して糖を結合する反応は、テトラベンジル酢酸
オキシグルコシドを用いて行われる。このテトラベンジ
ル酢酸オキシグルコシドは、グルコースを出発物質とし
て常法により得られるテトラベンジルグルコースにスペ
ーサーとしてエチルグリコレートなどのグリコレートを
結合させてエステル化合物とした後、脱エチル化してカ
ルボン酸化合物としたもので、下記の式で表される。
【0026】
【化9】
【0027】次に、テトラベンジル酢酸オキシグルコシ
ドの製造法の1例を以下に示す。
【0028】
【数1】
【0029】常法により得られたテトラベンジルグルコ
ース(1)にエチルグリコレートをp−トルエンスルホ
ン酸と共にベンゼン中で0〜150℃、好ましくは11
0℃にて0.5〜50時間、好ましくは8時間反応させ
てエチルグリコレートを1位に結合させ、エチルエステ
ル(化合物(2)、分子量626.76)を得る。この
後、該化合物(2)をアルカリ(例えば6N NaO
H)メタノール−ジオキサン溶液中で室温〜100℃に
て0.5〜50時間、好ましくは3時間処理した後、塩
酸(例えば1N HCl)酸性に移して脱エチル化する
ことにより、対応するカルボン酸化合物(3)を得る。
この物質が、テトラベンジル酢酸オキシグルコシドであ
る。なお、グルコースの代わりに他の糖類を用いた場合
も同様の反応によって、糖の種類の異なった、対応する
糖修飾体を得ることができる。この場合に使用される糖
類としては、グルコースの他に例えば、アロース,アル
トロース,マンノース,グロース,イドース,ガラクト
ース,タロース,リボース,アラビノース,キシロー
ス,リキソース,プシコース,フルクトース,ソルボー
ス,タガトース,フコース,マルトース等がある。
【0030】また、スペーサーとしては、エチルグリコ
レートなどのグリコレートの他に、アルキル鎖長を変え
たものを使用することができ、例えば3−ヒドロキシ酪
酸等が用いられる。本発明に用いるタキソイド誘導体
は、上記のパクリタクセルまたはタキソテアとテトラベ
ンジル酢酸オキシグルコシドを反応させることにより得
られ、その具体例としては、下記の反応工程(I),
(III)に示した方法がある。
【0031】
【数2】
【0032】
【数3】
【0033】反応工程(I)に示した方法は、パクリタ
クセル(4)とテトラベンジル酢酸オキシグルコシド
(3)を反応させた後、脱ベンジル化するもので、この
方法により前記の式で表される2’−S−パクリタクセ
ル(7)と2’,7−S−パクリタクセル(8)が得ら
れる。すなわち、パクリタクセル(4)とテトラベンジ
ル酢酸オキシグルコシド(3)を、4-ジメチルアミノピ
リジン(DMAP)等の塩基、ジシクロヘキシルカーボ
ジイミド(DCC)等の縮合剤および塩化メチレン等の
溶剤をアルゴン下、室温で0.5〜100時間、好まし
くは16.5時間反応させ、配糖体化した化合物(5)
または(6)を得る。次に、この化合物(5)または
(6)をパラジウムブラック等の触媒および酢酸等の酸
と共に水素下、室温で激しく攪拌しながら0.5〜50
時間,好ましくは5時間反応し、脱ベンジル化を行っ
て、2’−S−パクリタクセル(7)と2’,7−S−
パクリタクセル(8)を得る。
【0034】なお、パクリタクセルの代わりにタキソテ
ア(12)を用いた場合は、反応工程(III)に従い、配
糖体化した化合物(13),(14)または(15)を
経て、前記の式で表される2’−S−タキソテア(1
6)、2’,7−S−タキソテア(17)および2’,
7,10−S−タキソテア(18)を得ることができ
る。
【0035】また、下記の反応工程(II) に示した方法
は、パクリタクセルの2’位をクロロトリエチルシリル
基を用いて保護した後にテトラベンジル酢酸オキシグル
コシドと反応させ、その後、脱ベンジル化および脱トリ
エチルシリル化してパクリタクセル誘導体を製造するも
のである。
【0036】
【数4】
【0037】まず、パクリタクセル(4)とクロロトリ
エチルシラン(TESCl)等の保護剤、イミダゾール
等の塩基、ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶剤を
アルゴン下、室温で0.5〜50時間、好ましくは1
9.5時間反応してパクリタクセルの2’位をトリエチ
ルシランで保護し、化合物(9)を得る。次に、得られ
た化合物とテトラベンジル酢酸オキシグルコシド
(3)、DMAP等の塩基、DCC等の縮合剤、塩化メ
チレン等の溶剤をアルゴン下、室温で0.5〜100時
間、好ましくは5時間反応し、配糖体化した化合物(1
0)を得る。その後、化合物(10)を、パラジウムブ
ラック等の触媒、酢酸等の酸と共に水素下、室温で激し
く攪拌しながら0.5〜50時間、好ましくは5時間反
応させ、さらにテトラヒドロフラン(THF)等の溶剤
と水を加え、室温で0.5〜50時間、好ましくは15
時間反応させて目的とする化合物(11)を得る。この
化合物(11)が前記式で表される7−S−パクリタク
セルである。なお、パクリタクセルの代わりにタキソテ
ア(12)を用いることによって、下記の式で表される
7−S−タキソテア(19)および7,10−S−タキ
ソテア(20)を得ることができる。
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】得られたタキソイド誘導体は、ODSなど
のシリカゲルを母体とする担体を用いた液体クロマトグ
ラフィーを適用することにより、容易にアノマーを分離
することができ、精製標品が得られる。
【0041】ところで、本発明に用いる各タキソイド誘
導体の生理活性を、パクリタクセルの微小管脱重合阻害
活性を100として相対評価すると、例えば7−S−パ
クリタクセルは225であり、2’−S−パクリタクセ
ルは100、2’,7−S−パクリタクセルは77.7
を示し、生理活性は十分保持されており、有効な抗癌剤
として用いることが可能である。また、水に対する溶解
度については、2’−S−パクリタクセルは30.6μ
g/ml、2’,7−S−パクリタクセルの溶解度は4
8.4μg/mlであり、パクリタクセルの溶解度0.
4μg/mlと比較して、かなり溶解性が改善されてい
る。しかし、7−S−パクリタクセルは14.7μg/
mlであり、向上してはいるが、実用的なレベルには到
達していない。また、2’−S−パクリタクセルと
2’,7−S−パクリタクセルは水溶液中では不安定
で、パクリタクセルに分解することが観察されている。
【0042】次に、本発明に用いるサイクロデキストリ
ン類としては、α−サイクロデキストリン,β−サイク
ロデキストリン,γ−サイクロデキストリンおよびそれ
らの各種誘導体が挙げられる。ここで、サイクロデキス
トリンの各種誘導体とは、サイクロデキストリンの一つ
以上の水酸基をエーテル結合を介して少なくとも一つ以
上の官能基で置換された化合物を言う。このようなサイ
クロデキストリンとしては、官能基の種類として糖残基
の例ではグルコシル基,マルトシル基,マルトオリゴ糖
残基等、アルキル基の例ではメチル基,エチル基等、ヒ
ドロキシアルキル基の例ではヒドロキシエチル基,ヒド
ロキシプロピル基等で置換されたものが挙げられる。こ
れらのサイクロデキストリン類のうち、好ましいものと
してはβ−サイクロデキストリン,マルトシルβ−サイ
クロデキストリン,ヒドロキシプロピルβ−サイクロデ
キストリンおよびジメチルβ−サイクロデキストリンな
どが挙げられる。また、これらのサイクロデキストリン
類を単独、あるいは複数種を混合して用いることもでき
る。
【0043】本発明では、上記のタキソイド誘導体をサ
イクロデキストリン類で包接することにより、タキソイ
ド誘導体包接物とし、該タキソイド誘導体の溶解性を改
善するものである。また、該タキソイド誘導体の溶液中
での分解を抑制することもでき、安定性の向上を図るこ
ともできる。なお、この反応は、通常溶媒中で行い、用
いる溶媒としては、蒸留水などの水が一般的であるが、
80〜50%エタノール溶液,生理食塩水等を用いるこ
ともできる。
【0044】タキソイド誘導体とサイクロデキストリン
類の添加比率は、1:1〜1億(モル比)、好ましくは
1:3〜5(モル比)である。サイクロデキストリン類
は、水などの溶媒に溶かして用いるが、その濃度は0.
0001〜200重量%、好ましくは1〜50重量%が
適当である。タキソイド誘導体とサイクロデキストリン
類を上記の比率で水などの溶媒に添加した後、0〜60
℃、好ましくは5〜40℃で数分〜数十時間、好ましく
は30分〜24時間攪拌してタキソイド誘導体包接物溶
液を得る。通常は、サイクロデキストリン類の水溶液に
タキソイド誘導体を添加し、上記のように反応させ、タ
キソイド誘導体包接物溶液を得る。
【0045】上記の反応によりタキソイド誘導体がサイ
クロデキストリン類に包接される。得られる包接物は、
サイクロデキストリン類に対するタキソイド誘導体の混
合割合が高いため、反応系に溶解しないタキソイド誘導
体が含まれている場合は、反応液を濾過することにより
未溶解分を除去することができる。
【0046】こうして得られたタキソイド誘導体包接物
は液状であり、そのまま直接抗癌剤として用いることも
できるが、必要に応じて粉末化したり、その粉末を顆
粒、タブレットとしたり、あるいは粉末をカプセルに詰
めるなどの形態を採用することができる。本発明のタキ
ソイド誘導体包接物は、各種の製剤形態において安定で
あり、長期保存が可能である。
【0047】
【実施例】次に、本発明を実施例により詳しく説明す
る。 製造例1 常法により得られたテトラベンジルグルコース(1)
1.62g、エチルグリコレート1.56g、p−トル
エンスルホン酸0.10g、ベンゼン80mlを110
℃でリフラックスさせながら8時間反応させ、化合物
(2)(C38H42O8,分子量626.74)を得た。次い
で、この化合物1.88gを6N NaOH 10m
l、メタノール10ml、ジオキサン15mlと共に室
温〜100℃で3時間反応させた後、1NHCl 80
ml中に移して脱エチル化することにより、化合物
(3)、すなわちカルボン酸化合物(C36H38O8, 分子量
598.69)を得た。上記の化合物(3)を重クロロ
ホルムに溶解し、1H-NMRで解析し、それぞれのピークを
帰属して構造を決定し、前記の構造式で表されるもので
あることを確認した。
【0048】製造例2 パクリタクセル(4)427mg, クロロトリエチルシ
ラン(TESCl)0.1mg、イミダゾール102m
gおよびDMF5mlをアルゴン下、室温で19.5時
間反応し、パクリタクセルの2’位をトリエチルシリル
基で保護した化合物(9)(C53H65NO14Si, 分子量96
8.18)を得た。この化合物(9)392mg、製造
例1で得たテトラベンジル酢酸オキシグルコシド(3)
479mg, DMAP98mg、DCC165mgおよ
び塩化メチレン8mlをアルゴン下、室温で5時間反応
し、配糖体化した化合物(10)(C89H101NO21Si,分子
量1548.86)を得た。次に、得られた化合物(1
0)513mg、パラジウムブラック100mgおよび
酢酸3mlを水素下、室温で激しく攪拌しながら5時間
反応した。さらに、テトラヒドロフラン(THF)1m
lと水1mlを加え、室温で15時間反応して7−S−
パクリタクセル(11) (C55H63NO21, 分子量107
4.10)を350mg得た。
【0049】次に、シリカゲル(商品名:ODS、ワイ
エムシィ社製) を充填したカラム(φ20mm×250
mm) を用い、メタノールを移動相として、7−S−パ
クリタクセルをアノマー毎に精製した。また、7−S−
パクリタクセルを重クロロホルムに溶解し、1H-NMRで解
析し、それぞれのピークを帰属して構造を決定し、前記
の構造式で表されるものであることを確認した。
【0050】製造例3 パクリタクセル(4)(C47H51NO14, 分子量853.9
2)256mg、製造例1で得たテトラベンジル酢酸オ
キシグルコシド(3)539mg、4−ジメチルアミノ
ピリジン(DMAP)110mg、ジシクロヘキシルカ
ーボジイミド(DCC)186mgおよび塩化メチレン
8mlをアルゴン下、室温で16.5時間反応し、2’
位に配糖体化した化合物(5)(C83H87NO21,分子量14
34.59)および2’,7位に配糖体化した化合物
(6)(C119H123NO28,分子量2015.27)を得た。
【0051】化合物(5)187mg、パラジウムブラ
ック50mgおよび酢酸3mlを水素下、室温で激しく
攪拌しながら5時間反応して脱ベンジル化を行い、2’
−S−パクリタクセル(7)(C55H63NO21,分子量107
4.10)を101mg得た。収率は73%であった。
また、化合物(6)983mg、パラジウムブラック2
00mgおよび酢酸3mlを水素下、室温で激しく攪拌
しながら5時間反応して脱ベンジル化を行い、2’,7
−S−パクリタクセル(8) (C63H75NO28, 分子量12
94.28)を259mg得た。収率は41%であっ
た。次に、シリカゲル(商品名:キーゼルゲル、メルク
社製) を充填したカラム(φ20mm, 容積40ml)
を用い、クロロホルムを移動相として2’−S−パクリ
タクセルおよび2’,7−S−パクリタクセルをそれぞ
れ精製した。
【0052】実施例1 パクリタクセル、製造例2,3で調製した7−S−パク
リタクセル、2’−S−パクリタクセルおよび2’,7
−S−パクリタクセルをそれぞれ0.01mmol,ジ
メチルβ−サイクロデキストリン(商品名:DM−β−
CD,塩水港精糖株式会社製、DM−β−CDと略記す
る。)を0.05mmol秤取し、蒸留水5mlを加え
て室温で20時間攪拌(200rpm)した。攪拌終了
後、固液分離して得た上清をメンブランフィルター
(0.45μm)にて濾過し、濾液をHPLCにて分析
した。また、対照としてDM−β−CDを添加せずに調
製したものについても同様に分析した。その結果、各化
合物の水に対する溶解度は第1表に示す通りであった。
なお、HPLCの分析条件は下記のとおりである。
【0053】カラム:MetaChem製 Taxil 5μ(4.6
×250mm) 溶 媒:MeOH/H2O(80/20) 流 速:0.5ml/min 検出器:フォトダイオードアレイ検出器(230nm) 注入量:20μl
【0054】
【表1】
【0055】表から明らかなように、DM−β−CDを
添加することにより、タキソイド誘導体の溶解度は飛躍
的に向上している。また、2’−S−パクリタクセルと
2’,7−S−パクリタクセルは、DM−β−CD無添
加の場合、水溶液中でパクリタクセルに分解され、水溶
液中では不安定であることが認められたが、DM−β−
CDを添加すると、水溶液中での分解が抑制され、安定
性が向上した。このことから、DM−β−CDと共に投
与された2’−S−パクリタクセル02’,7−S−パ
クリタクセルは、生体内でDM−β−CDと解離してパ
クリタクセルとなり、薬効を発現する可能性が示唆され
た。
【0056】実施例2 7−S−パクリタクセル0.01mmolと、マルトシ
ルβ−サイクロデキストリン(商品名:monoG2
β−CD,塩水港精糖株式会社製、G2 −β−CDと略
記する。)、ヒドロキシプロピルβ−サイクロデキスト
リン(商品名:HP−β−CD,塩水港精糖株式会社
製、HP−β−CDと略記する。)、DM−β−CD
(商品名:DM−β−CD,塩水港精糖株式会社製)を
それぞれ0.03mmol秤取し、50%エタノール溶
液1mlを加えて溶解した後、生理食塩水にて100倍
希釈した。次いで、固液分離して得た上清をメンブラン
フィルター(0.45μm) にて濾過し、濾液を実施例
1と同じ条件でHPLCにて分析した。また、対照とし
て、サイクロデキストリン類を添加せずに調製したもの
についても同様に分析した。その結果、各サイクロデキ
ストリン類によるタキソイド誘導体の包接物の溶解度は
第2表に示す通りであった。
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】本発明により、水に対する溶解度が向上
し、かつ安定性も改善されたタキソイド誘導体包接物の
製造法が提供される。このタキソイド誘導体包接物は、
患者の負担を軽減できる上に、安全性にも優れ、効果的
な癌治療薬としての利用が期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 萬代 忠勝 岡山県岡山市北方2−1−19、301号 (72)発明者 奥本 寛 岡山県赤磐郡山陽町桜が丘西10−21−21 (72)発明者 浜田 博喜 岡山県岡山市理大町1−1 岡山理科大学 内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タキソイド誘導体をサイクロデキストリ
    ン類で包接することを特徴とするタキソイド誘導体包接
    物の製造法。
  2. 【請求項2】 タキソイド誘導体が、パクリタクセルま
    たはタキソテアにスペーサーを介して糖を結合させたも
    のである請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 タキソイド誘導体に結合している糖が、
    アロース,アルトロース,グルコース,マンノース,グ
    ロース,イドース,ガラクトース,タロース,リボー
    ス,アラビノース,キシロース,リキソース,プシコー
    ス,フルクトース,ソルボース,タガトース,フコー
    ス,マルトースのいずれかである請求項2記載の製造
    法。
  4. 【請求項4】 タキソイド誘導体が、グルコシルオキシ
    アセチル−2’−パクリタクセル、グルコシルオキシア
    セチル−7−パクリタクセル、ジグルコシルオキシアセ
    チル−2’,7−パクリタクセル、グルコシルオキシア
    セチル−2’−タキソテア、グルコシルオキシアセチル
    −7−タキソテア、ジグルコシルオキシアセチル−
    2’,7−タキソテア、ジグルコシルオキシアセチル−
    7,10−タキソテア、トリグルコシルオキシアセチル
    −2’,7,10−タキソテアから選ばれたものである
    請求項1記載の製造法。
  5. 【請求項5】 サイクロデキストリン類が、α−サイク
    ロデキストリン,β−サイクロデキストリン,γ−サイ
    クロデキストリンおよびそれらのマルトシル修飾体,ヒ
    ドロキシ修飾体,メチル修飾体の中から選ばれたもので
    ある請求項1記載の製造法。
  6. 【請求項6】 タキソイド誘導体をサイクロデキストリ
    ン類で包接することを特徴とするタキソイド誘導体の溶
    解性を改善する方法。
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