JPH09239366A - 複極固定床式水処理電解槽及びその運転方法 - Google Patents

複極固定床式水処理電解槽及びその運転方法

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JPH09239366A
JPH09239366A JP8210396A JP8210396A JPH09239366A JP H09239366 A JPH09239366 A JP H09239366A JP 8210396 A JP8210396 A JP 8210396A JP 8210396 A JP8210396 A JP 8210396A JP H09239366 A JPH09239366 A JP H09239366A
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JP
Japan
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porous carbon
treated
treated water
electrolyzer
electrodes
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JP8210396A
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English (en)
Inventor
Hisaaki Arita
寿明 有田
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SHIKISHIMA KIKI KK
Original Assignee
SHIKISHIMA KIKI KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数の多孔質炭素電極を収容してなる複極固
定床式水処理電解槽を安定した電解条件で運転し、高効
率で被処理水を電解処理して微生物や不純物を含まない
処理済水を得る。 【構成】 複数の多孔質炭素電極5をスペーサー6をは
さんで積層してなる電解槽本体1の前記スペーサーを硬
質樹脂で構成し、あるいは最下段の多孔質炭素電極と給
電用陽極2間に弾性体7を設置する。このように構成す
ると、前記複数の多孔質炭素電極が初期の位置に維持さ
れ、該多孔質炭素電極が損傷しないとともに安定した条
件で運転できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被処理水中に生息する
微生物の殺菌及び該被処理水中の不純物の回収や除去等
の電解処理を効率良く行なうための複極固定床式水処理
電解槽及びその運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、純水、水道水、工業用水、井戸
水、風呂水、プ−ル水、洗浄水、生活排水、工場排水等
の水には程度の差こそあれ各種微生物が棲息している。
これらの水質の改良には水中に棲息する各種微生物を殺
菌する必要がある。又各種の工場排水には各種の不純物
が含まれており、公害発生防止や資源回収を目的とし
て、水中の各種不純物が回収又は除去されている。
【0003】このように、水の種類によって異なるが、
水中には各種無機物、各種有機物、各種微生物等多くの
不純物が含まれている。水中に含まれているこれらの不
純物を効率的に回収又は除去したり、水中の微生物を殺
菌したりすることは、殆ど総ての産業分野のみならず日
常生活でも必要とされている。
【0004】水中の不純物を除去する方法にはイオン交
換樹脂法、活性炭吸着法、沈殿法、濾過法、電解浮上法
等多くの方法があり、各種装置が使われている。又微生
物を殺菌する方法としては、オゾン殺菌法、紫外線殺菌
法、煮沸殺菌法、薬剤殺菌法があり、各種装置が使われ
ている。又殺菌、金属除去や回収、不純物分解能力のあ
る新しい方法や装置として、複極固定床式水処電解槽が
発表され、特開平2-306242号、特開平3-224684号、特開
平 4-18980号、特開平 4-108592 号、特開平 4-114785
号、特開平 4-114787 号等で公開されている。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】これらの複極固定床式
水処電解槽では、複数の多孔質炭素電極の短絡防止のた
めドーナツ状のより正確にはOリングに近い形状を有す
る軟質ゴム等から成るスペーサーが隣接する多孔質炭素
電極間に配置されている。しかし前記電解槽を使用する
水処理では供給される被処理水の水圧が比較的高く、こ
の水圧が前記多孔質炭素電極に印加される際に、前記軟
質ゴム等から成るスペーサーが変形したり位置がずれた
りすることがあり、更に前記多孔質炭素電極が上下動を
繰り返すことがある。前記スペーサーの変形や位置ずれ
は前記隣接多孔質炭素電極間に電気的短絡を生じさせ、
該多孔質炭素電極の分極を不十分にし、更に前記多孔質
炭素電極の上下動は両電極の機械的接触を誘起し該多孔
質炭素電極の酸化崩落を招くことがあり、いずれにして
も電解処理の効率が大きく低下することがある。
【0006】又前記多孔質炭素電極には該多孔質炭素電
極表面において電解反応が起こり、該反応により該電極
の炭素材料が消耗することを防止するために、金網状の
補助電極を密着させて設置し、該補助電極上で反応が生
ずるようにして前記多孔質炭素電極を保護しながら電解
処理を行なうことがある。しかし前述した通り該電極の
上下動が激しいと前記補助電極と多孔質炭素電極との密
着力が弱くなり、該補助電極が正常に機能せず、前記多
孔質炭素電極の消耗が速くなるという欠点がある。これ
らの運転の不安定性は上記欠点の他に電解槽内部の槽電
圧や電流分布の不均一性を招き、殺菌あるいは金属等の
回収効率を低下を生じさせることが予測される。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の構成は、被処理水導入口から被処理水を供給し、処
理済水取出口から処理済水を取出すようにした電解槽本
体内に、該被処理水導入口側と該処理済水取出口側に1
対のメッシュ状金属電極を離間して配置すると共に、1
対のメッシュ状金属電極間に2以上の多孔質炭素電極を
隣接する多孔質炭素電極同士の接触を防止するためのス
ペーサーを介在させて配置し、前記1対のメッシュ状電
極に直流電圧を印加して、前記多孔質炭素電極を分極さ
せ該多孔質炭素電極の多孔中に被処理水を通して水処理
を行なう複極固定床式水処理電解槽において、前記スペ
ーサーを硬質樹脂としたことを特徴とする複極固定床式
水処理電解槽であり、同様の電解槽において前記2以上
の多孔質炭素電極の導入口側端部に弾性体を配置するよ
う構成しても良い。更に電解条件を最適にするために多
孔板からなるスペーサーを使用して運転することもでき
る。以下本発明を詳細に説明する。
【0008】
【作用】従来の電解法による被処理水処理では、比較的
高圧で供給される被処理水を、スペーサーで離間させた
複数の多孔質炭素電極を電解槽本体内に特別の固定手段
を設けずに単に設置して成る電解槽に供給して、前記複
数の多孔質炭素電極の外側の1対のメッシュ状金属電極
間に通電することにより、前記多孔質炭素電極で微生物
の殺菌や被処理水中の金属等の回収を行なっている。こ
の処理方法に使用する電解槽では、前述した通り高圧の
被処理水により隣接する多孔質炭素電極間の短絡や該多
孔質炭素電極同士又は該多孔質炭素電極と電解槽本体の
部品との接触により、前記多孔質炭素電極が損傷するこ
とがある。
【0009】本発明により前記複数の多孔質炭素電極を
硬質のスペーサーで離間させると、該スペーサーが殆ど
変形せずその変形量は無視できるため、隣接する多孔質
炭素電極が接触して電気的に短絡することがなくなる。
つまり万一前記被処理水の高水圧により複数の多孔質炭
素電極が全体に上方向に移動しかつ重力により元の位置
に復帰するとしても、前記スペーサーには多孔質炭素電
極に掛かる重量により該スペーサーは変形することがな
く、隣接する多孔質炭素電極間の距離が常にほぼ一定に
維持される。又複数の多孔質炭素電極全体が静止してい
る場合に高水圧の被処理水が供給されても、隣接する多
孔質炭素電極間の距離はスペーサーが変性しないためほ
ぼ一定に維持される。この硬質スペーサーとして使用可
能な材料としては、ポリテトラフルオロエチレン〔デュ
ポン社のテフロン(登録商標)〕等の硬質のフッ素樹脂
や硬質塩化ビニル樹脂等がある。被処理水の給水圧力は
通常3kgf/cm2 であり、この範囲では硬質樹脂の変形量
は無視できる。
【0010】電解槽を使用する被処理水の電解処理にお
ける電解条件、例えば印加電圧や電流は、被処理水の殺
菌あるいは該被処理水の成分回収等の電解処理の目的に
より異なり、好ましい直流電圧値は多孔質炭素電極1枚
当たり約3〜9V、直流電流値は電解槽本体の断面積当
たり約15〜350 mA/dm2である。これらの値は幾つかの手
段により調節でき、その1つがスペーサーの厚さ、換言
すると隣接する多孔質炭素電極間の距離である。前述し
た硬質スペーサーを使用すると隣接する多孔質炭素電極
の距離が常に一定して上記電解条件が安定する。
【0011】このスペーサー厚を加減することによる電
解条件の設定は理論的には問題はないが、実際の運転に
これを適用すると、スペーサー厚に応じて複数の多孔質
炭素電極の全体の高さが変化し、これに応じて高さの異
なる複数の電解槽を準備することが望ましくなる。勿論
同一高さの電解槽を使用することも可能であるが、電極
の上方に空間が生じ、被処理水の水圧による多孔質炭素
電極全体の上下動が激しくなってしまう。この欠点を解
消するためにはスペーサーをリング状ではなく、複数の
貫通口を有する多孔板とすれば良い。この貫通口の数や
その開口率を増減することにより電圧や電流の調節が可
能になり、多孔質炭素電極全体の高さは一定に維持され
るため、複数の電解槽を準備する必要がなくなり、スペ
ーサーの交換のみで最適電解条件を設定できる。
【0012】前述した複数の多孔質炭素電極が全体に上
方向に移動しかつ重力により元の位置に復帰する際に、
最下段の多孔質炭素電極の下端周縁部は電解槽本体と衝
突し、機械的な破損が生ずることがある。これを防止す
るためには前記下端周縁部が接する電解槽本体の対応部
分を該本体の材料より軟質な材料つまり弾性体で形成し
ておけば良く、衝突による衝撃が該弾性体により緩衝さ
れる。又上下動が生じないように電解槽を構成する場合
でも最下段の多孔質炭素電極は最も被処理水による水圧
の影響を受け易く給電用電極との接触等による損傷も生
じ易い。前記弾性体が存在するとこの損傷の危険が回避
され、安定した運転が可能になる。この弾性体は変形量
が比較的小さく衝撃を吸収しかつ被処理水を流通できれ
ば、その材質や形状は限定されず、軟質材料と硬質材料
との複合体を使用することもできる。前記複数の多孔質
炭素電極の上端を例えば電解槽上蓋により軽く圧着し固
定しておくと、前記弾性体はその変形応力により、前記
多孔質炭素電極を常に初期位置に維持することができ
る。
【0013】多孔質炭素電極を使用する電解槽では、該
炭素電極表面で電解が進行すると炭素が二酸化炭素等に
変換されて消耗するため、該炭素電極表面にメッシュ状
の金属製補助電極を密着して存在させ、反応を該補助電
極上で生じさせて前記炭素電極を保持する手法が使用さ
れる。この補助電極は前記炭素電極に密着しないと十分
に機能を果たせず、該炭素電極の酸化崩落現象を防止で
きず、電解条件の不安定化、ひいては殺菌あるいは回収
効率の低下を招来する。本発明ではスペーサーを硬質材
料で形成することにより、前述した通り複数の多孔質炭
素電極の上下動を抑制でき、従って前記補助電極を使用
する場合でも該補助電極と前記多孔質炭素電極が常に密
着するため、該補助電極の機能が十分に発揮され、各多
孔質炭素電極が確実に保護される。
【0014】複極固定床式水処理電解槽では殺菌効率又
は回収効率を高めるために電解槽内の被処理水の線速度
を1cm/秒前後の低い値に抑えている。電解槽内の被処
理水の流通断面積が被処理水の導入管の断面積より遙か
に大きいため、被処理水が電解槽内へその導入口から流
入すると急速に線速度が落ち、電解槽の内壁特に下部内
面に微生物が蓄積されかつ繁殖して塊状のスライムを生
成することがある。この塊状スライムはときとして被処
理水の流れにのって電解槽内壁から剥離し前記多孔質炭
素電極に達し該電極を閉塞することがある。この閉塞現
象は被処理水中の微生物数が多い場合、特に微生物数が
103 個/cm3 以上の場合に発生し易い。この現象の解決
方法としては、電解槽内壁に防菌塗料を塗布する方法、
被処理水の導入口を電解槽の側面や円筒形電解槽の接線
方向に設置し該導入口から被処理水を供給する方法があ
る。防菌塗料を塗布する方法は電解槽内壁での微生物の
生育を阻害する方法であり、電解槽の側面や接線方向か
ら被処理水を供給する方法は電解槽内の被処理水に渦流
や対流を生じさせて微生物が静止して繁殖することを阻
害する方法である。
【0015】使用する多孔質炭素電極自体は従来技術と
同じ電極を使用すれば良く、その形状は電解槽の構造に
応じて円板状、方形状等の適宜形状に成形され使用され
る。これは電解槽の内壁と三次元電極間にかなり隙間が
存在すると該電解槽に供給される被処理水は三次元電極
内を流通するよりも三次元電極と内壁間を流通する方が
抵抗が少ないため、大部分の被処理水が十分に三次元電
極に接触することなく、つまり未処理のまま電解槽から
取り出されることになるからである。従って前記電極は
被処理水の流通方向と直角方向の電解槽の断面より僅か
に小さく整形して該電極を電解槽内に設置した際に電解
槽内壁との間に最小限の間隙が生ずる形状とすることが
望ましい。
【0016】更に耐閉塞性を向上させるためには多孔質
炭素電極の厚さを薄くして被処理水が透過する電極内の
距離を小さくすることが望ましく、前記スペーサーは多
孔質炭素電極上に載せて別個に取り外せるようにしても
良いが、スペーサーと多孔質炭素電極を接着等により一
体化させることも可能である。又多孔質炭素電極は流通
する被処理水が接触する多孔質炭素電極の縁部、つまり
被処理水の導入口に近い側の縁部で崩落が生じやすい。
従ってその部分にゴムバンドやO−リングを装着して強
度を向上させておくと、電極の耐崩落性を向上させるこ
とができる。
【0017】前記多孔質炭素電極の閉塞を防止する他の
手段として電解槽の上流側にフィルターすることがあ
る。フィルターの設置は従来も行なわれているが、従来
のフィルターは電解槽とは別に電解槽への被処理水供給
ライン又は取出ラインに設置され、フィルターを別個に
設置することに手間が掛かっている。前記フィルターを
電解槽内に組み込むと全体としてコンパクトになり、電
解槽の運搬等の際にもフィルターを分解しかつ再組み立
てしたりする手間がなくなり効率的である。このフィル
ターは電解槽から取出される処理済水中の微量の不純物
除去のために電解槽内の下流側に設置しても、電解槽の
上流及び下流の両側に設置しても良い。いずれにしても
該フィルターの設置の際には給電用電極への端子が邪魔
にあることがあるため、該端子は側面から接続すること
が望ましい。
【0018】次に本発明に係わる複極固定床式水処理電
解槽の例を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明
の固定床型三次元電極式電解槽を例示する縦断面図、図
2は図1の弾性体の詳細断面図である。図1に示すよう
に、電気絶縁性材料(合成樹脂)で形成された円筒状の
電解槽本体1内部には、下方側にメッシュ状の給電用陽
極2が、上方側にメッシュ状の給電用陰極3がそれぞれ
設置されている。更に、給電用陽極2と給電用陰極3と
の間には、図示の例では計5個の上下両面にメッシュ状
の金属製補助電極4が密着した円板状の多孔質炭素電極
5が各電極5を絶縁する計5個のリング状のスペーサー
6をはさんで積層されている。これらのスペーサー6は
全てフッ素樹脂等の硬質材料で形成され、最下段の多孔
質炭素電極5と前記給電用陽極2間には前記スペーサー
と同一形状でゴム等から成る弾性体7が配設されてい
る。
【0019】両給電用電極2及び3にはそれぞれ陽極端
子8及び陰極端子9が接続され、前記電解槽本体1の下
部にはフランジを介して被処理水導入口10を有する下蓋
11が、又上部には同じくフランジを介して処理済水取出
口12を有する上蓋13がそれぞれ設置されている。図示の
構造では、電解槽本体1の下端に内向きに突出部14を又
上蓋13の下端に内向きに突出部15を設置している。前記
弾性体7は図2に示す通り、リング状の軟質ゴム例えば
クロロプレンゴムから成る基体16の上下両面に塩化ビニ
ル樹脂製の硬質リング17を接着して成り、上下からの圧
力を前記基体16の弾性により吸収するようにしている。
【0020】このような構造となっている複極固定床式
水処理電解槽の給電用陽極2に陽極端子8を介して正電
圧を印加しかつ給電用陰極3に陰極端子9を介して負電
圧を印加すると、前記多孔質炭素電極5の下面側が負に
又上面側が正に分極する。下方の被処理水導入口10から
矢印で示すように被処理水を通すと、被処理水に含まれ
る微生物は多孔質炭素電極5の陽分極部分で微生物と該
電極壁面との衝突によって生起する酸化還元反応によっ
て殺菌され、処理済水が取出口12から取り出される。こ
の被処理水の電解処理操作では、前記スペーサー6が殆
ど変形しない硬質樹脂製であり、かつ複数の多孔質炭素
電極5の上下端が前記突出部15及び14の間に収容され、
かつ上方の突出部15で給電用陰極3を介して複数の多孔
質炭素電極5を軽く下方に圧着しているため、前記被処
理水の水圧を高くしても各多孔質炭素電極5の位置がず
れて、隣接する電極5が接触して短絡したり相互に損傷
したりすることがない。更に最下段の多孔質炭素電極5
とそれに隣接する給電用陽極2間に弾性体7を配設して
いるため、最も高圧の被処理水による負荷が掛かり易い
前記最下段の多孔質炭素電極5が保護される。
【0021】本発明の電解槽では、図示のように上下に
突出部を形成する必要はなく、この場合には前記複数の
多孔質炭素電極5は全体として被処理水により上向きの
力を受けて上下動を繰り返すことになる。この場合には
前記弾性体7の存在により更に有効に最下段の多孔質炭
素電極5が保護される。図3は本発明に係わる複極固定
床式水処理電解槽で使用可能なスペーサー21を示し、図
1のリング形状ではなく、複数の円形の貫通口22を有す
る円板状に成形されている。なおこの貫通口は円形に限
定されず、多角形や楕円形としても良い。このスペーサ
ー21を使用すると、隣接する多孔質炭素電極間の電気抵
抗値をこの貫通口22の数やその開口径により調節するこ
とができ、つまり複数の多孔質炭素電極の全体の高さを
一定に維持したままスペーサーを交換するのみで前記電
気抵抗を調節でき、単一の電解槽を目的等に応じた最適
の電解槽にすることができる。
【0022】電気伝導度の高い水、例えば電気伝導度が
2000μs/cm以上の水では、電解槽に最適な電圧、電流
値の範囲とするためにはスペーサーの厚さを20mm以上と
することが必要であり、このような厚いスペーサーを使
用することは電解槽のコンパクト性を損なうことになる
が、前記した貫通口を有するスペーサーを使用すると開
口度の調節のみで電気抵抗を増減させることができる。
図4は、電解槽内の上流側にフィルターを設置した電解
槽を例示する断面図である。電気絶縁性材料で形成され
た円筒状の電解槽本体31内部には、下方側にメッシュ状
の給電用陽極32が、上方側にメッシュ状の給電用陰極33
がそれぞれ設置されている。更に、給電用陽極32と給電
用陰極33との間には、上下両面にメッシュ状の金属製補
助電極34が密着した形6個の円板状の多孔質炭素電極35
が各電極35を絶縁する計5個のリング状のスペーサー36
をはさんで積層されている。両給電用電極32及び33には
それぞれ陽極端子37及び陰極端子38が側面から電解槽側
壁を通して接続されている。導入口39を有する下蓋40内
にはフィルター41が設置され該導入口39から供給される
被処理水は矢印の通り周壁から該フィルター41に入り不
純物を濾過された後、前記多孔質炭素電極35で処理され
る。
【0023】
【実施例】本発明に係わる複極固定床式水処理電解槽の
実施例を記載する前に、殺菌効率、閉塞性の評価方法及
び試験装置について説明する。殺菌効率の評価方法総生
菌数は、日本ミリポア株式会社から市販されている「SP
C Total-Count サンプラー赤」を使用し、35℃で24時間
培養後、2倍拡大鏡で測定した。殺菌効率は、電解槽へ
の被処理水に含まれる総生菌数(単位は個/ml)から電
解槽で処理した処理済水中に含まれる総生菌数(単位は
個/ml)を差し引いた値を前記電解槽への被処理水に含
まれる総生菌数(単位は個/ml)で除した値の百分率で
評価した。
【0024】閉塞性の評価方法 電解槽への被処理水の給水量を3トン/時に調節し、電
解槽内部での圧力損失が大きくなり電解槽前の給水圧力
が試験開始時の1.5 倍になるまでの時間を測定し、この
時間が長いほど閉塞性が良好であると評価した。試験装置 被処理水の種類 屋外貯水(総生菌数は105 個/ml) 処理水量 3トン/時 電解槽 内径200 mm、高さ100 mmの円筒形 多孔質炭素電極 直径198 mm、厚さ9mm、段数5 スペーサー 外径198 mm、内径184 mm、厚さ2mmの塩化ビニル樹 脂 弾性体 外径198 mm、内径184 mm、厚さ5mmのリング状軟質 クロロプレンゴムの上下両面に外径198 mm、内径184 mm、厚さ2mmのリング状塩 化ビニル樹脂を接着 直流電圧電源 電圧30V、電流2A(最大)
【0025】続いて実施例及び比較例に関し説明する。
【実施例1】図1に示した弾性体を有する複極固定床式
水処理電解槽及び電解条件(上述の試験装置)で使用し
て被処理水(前述の屋外貯水)の電解処理を行ない、
1、5、10、15、20、25、30及び35日経過時のそれぞれ
の殺菌効率を測定した。
【0026】
【比較例1】実施例1のスペーサーの材質を軟質クロロ
プレンゴムとし、実施例1の弾性体に対応する位置に同
一形状ののクロロプレムゴム製のスペーサーを設置した
こと以外は実施例1と同一条件で被処理水の電解処理を
行ない同様に殺菌効率を測定した。実施例1及び比較例
1の結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【実施例2】電解槽内面全体に防菌塗料(株式会社ウォ
ールグレーズ・ジャパン製ウォールグレーズ)を塗布し
たこと以外は実施例1と同じ電解槽を使用し、実施例1
と同一条件で屋外貯水である被処理水を電解処理した。
【0029】
【実施例3】図1の電解槽に代えて、被処理水導入口が
電解槽本体の接線方向に形成されている電解槽を使用
し、実施例1と同一条件で被処理水の電解処理を行なっ
た。
【0030】
【実施例4】図1の電解槽を使用し、処理済水取出口か
ら取り出される処理済水の10%を被処理水導入口へ供給
される被処理水に循環混入した被処理水を、実施例1と
同一条件で被処理水の電解処理を行なった。
【0031】
【実施例5】実施例3の電解槽を使用し、かつ該電解槽
の内面に実施例2のように防菌塗料を塗布し、かつ実施
例4のように電解槽の処理済水取出口から取り出される
処理済水の10%を被処理水導入口へ供給される被処理水
に循環混入した被処理水を、実施例1と同一条件で被処
理水の電解処理を行なった。比較例、実施例2、3、4
及び5において、電解槽への給水圧力が試験開始前の給
水圧力の1.5 倍になるまでの時間を測定し、表2に示す
結果が得られた。
【0032】
【表2】
【0033】
【実施例6】被処理水として総生菌数が105 個/mlで電
気伝導度が2300μs/cmであるクーリングタワー水を使
用し、スペーサーを、外径が198 mmで直径5mmの貫通口
を有する厚さ2mmの塩化ビニル樹脂製多孔板としたこと
以外は実施例1と同一条件で行ない、更に前記貫通口の
開口率を20〜90%の範囲で変動させた際の殺菌率を測定
した。実施例1と同一条件で電解処理を行ないかつ殺菌
効率を測定し、その平均殺菌率を算出したところ、99.9
%であった。なお従来におけるスペーサー厚(mm)と電
気伝導度(μs/秒)の関係を図5に示し、本実施例に
おける前記貫通口の開口率を20〜90%の範囲で変動させ
た際の開口率(%)と電気伝導度の関係を図6に示し
た。
【0034】
【比較例2】スペーサーの厚さを20mmとし、電解槽の高
さを200 mmとしたこと以外は比較例1と同じ条件で電解
処理を行ないかつ殺菌効率を測定し、その平均殺菌率を
算出したところ、84.1%であった。
【0035】
【発明の効果】本発明は、被処理水導入口から被処理水
を供給し、処理済水取出口から処理済水を取出すように
した電解槽本体内に、該被処理水導入口側と該処理済水
取出口側に1対のメッシュ状金属電極を離間して配置す
ると共に、1対のメッシュ状金属電極間に2以上の多孔
質炭素電極を隣接する多孔質炭素電極同士の接触を防止
するためのスペーサーを介在させて配置し、前記1対の
メッシュ状電極に直流電圧を印加して、前記多孔質炭素
電極を分極させ該多孔質炭素電極の多孔中に被処理水を
通して水処理を行なう複極固定床式水処理電解槽におい
て、前記スペーサーを硬質樹脂としたことを特徴とする
複極固定床式水処理電解槽(請求項1)である。
【0036】スペーサーの材質を圧縮率の小さい硬質テ
フロン、硬質塩化ビニル等の硬質樹脂とすると、スペー
サーの圧縮による隣接する多孔質炭素電極の電気的短
絡、多孔質炭素電極の位置の変化による電流や電圧の変
化による電解条件の不安定性等が解消され、換言すると
被処理水の給水圧が変動しても各電極が常に初期の一定
位置に保持されて、隣接する多孔質炭素電極の電気的短
絡が防止され、かつ多孔質炭素電極の位置変化がなく電
流や電圧が一定し常に安定した電解条件で電解槽を運転
することが可能になる。このスペーサーはリング状(請
求項2)や多孔板(請求項3)等種々の形状を取ること
ができる。従来の複極固定床式水処理電解槽では電圧値
や電流値を目的とする運転における最適値とするため
に、スペーサーの厚さを増減して複数の多孔質炭素電極
間の抵抗値を調節することが行なわれている。しかしス
ペーサーの厚さを変えると前記複数の多孔質炭素電極全
体の高さも変動し、これを収容する電解槽の内部の形状
も当然に変化する。従って各種用途に応じた複数の電解
槽を準備することが必要になる。
【0037】これを解消するために本発明では、前記多
孔板からなるスペーサーを隣接する多孔質炭素電極間に
配設し、該多孔板の貫通口の断面積比を調節することに
より電気抵抗値を所望値に設置して運転する(請求項
6)。この方法によるとスペーサーの厚さは常に一定に
することができ、従って電解槽の形状を変更することな
くスペーサーの交換のみで最適の運転条件を設定でき、
経済性及び作業効率が向上する。
【0038】又2以上の多孔質炭素電極の被処理水導入
口側端部の電解槽本体の対応箇所に弾性体を配置すると
(請求項5)、被処理水の給水圧力が変動しても該弾性
体の変形応力により前記多孔質炭素電極を常に初期位置
に維持することができ、これにより殺菌効率の向上と安
定化を達成できる。この際に前記複数の多孔質炭素電極
の上縁を電解槽の上蓋等で軽く圧着しておくと、多孔質
炭素電極と金属性補助電極の密着性が向上して前記多孔
質炭素電極の酸化崩落が防止され、電解電圧や電流等が
安定し、更に殺菌効率の向上と安定化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固定床型三次元電極式電解槽を例示す
る縦断面図。
【図2】図1の弾性体の詳細断面図。
【図3】本発明に係わる複極固定床式水処理電解槽で使
用可能な多孔板から成るスペーサーを示す平面図。
【図4】電解槽内の上流側にフィルターを設置した電解
槽を例示する断面図。
【図5】従来技術によるスペーサー厚と電気伝導度の関
係を示すグラフ。
【図6】実施例6における貫通口の開口率を20〜90%の
範囲で変動させた際の開口率と電気伝導度の関係を示す
グラフ。
【符号の説明】
1・・・電解槽本体 2・・・給電用陽極 3・・・給
電用陰極 4・・・金属製補助電極 5・・・多孔質炭
素電極 6・・・スペーサー 7・・・弾性体8・・・
陽極端子 9・・・陰極端子 10・・・被処理水導入口
11・・・下蓋 12・・・処理済水取出口 13・・・上
蓋 14、15・・・突出部 16・・・基体 17・・・硬質
リング 21・・・スペーサー 22・・・貫通孔 31・・
・電解槽本体 32・・・給電用陽極 33・・・給電用陰
極 34・・・金属製補助電極35・・・多孔質炭素電極
36・・・スペーサー 37・・・陽極端子 38・・・陰極
端子 39・・・導入口 40・・・下蓋 41・・・フィル
ター

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理水導入口から被処理水を供給し、
    処理済水取出口から処理済水を取出すようにした電解槽
    本体内に、該被処理水導入口側と該処理済水取出口側に
    1対のメッシュ状金属電極を離間して配置すると共に、
    1対のメッシュ状金属電極間に2以上の多孔質炭素電極
    を隣接する多孔質炭素電極同士の接触を防止するための
    スペーサーを介在させて配置し、前記1対のメッシュ状
    電極に直流電圧を印加して、前記多孔質炭素電極を分極
    させ該多孔質炭素電極の多孔中に被処理水を通して水処
    理を行なう複極固定床式水処理電解槽において、前記ス
    ペーサーを硬質樹脂としたことを特徴とする複極固定床
    式水処理電解槽。
  2. 【請求項2】 スペーサーがリング状である請求項1に
    記載の複極固定床式水処理電解槽。
  3. 【請求項3】 スペーサーが多孔板である請求項1に記
    載の複極固定床式水処理電解槽。
  4. 【請求項4】 電解槽本体内壁に防菌塗料を塗布した請
    求項1に記載の複極固定床式水処理電解槽。
  5. 【請求項5】 被処理水導入口から被処理水を供給し、
    処理済水取出口から処理済水を取出すようにした電解槽
    本体内に、該被処理水導入口側と該処理済水取出口側に
    1対のメッシュ状金属電極を離間して配置すると共に、
    1対のメッシュ状金属電極間に2以上の多孔質炭素電極
    を隣接する多孔質炭素電極同士の接触を防止するための
    スペーサーを介在させて配置し、前記1対のメッシュ状
    電極に直流電圧を印加して、前記多孔質炭素電極を分極
    させ該多孔質炭素電極の多孔中に被処理水を通して水処
    理を行なう複極固定床式水処理電解槽において、前記2
    以上の多孔質炭素電極の前記被処理水導入口側端部の電
    解槽本体の対応箇所に弾性体を配置した複極固定床式水
    処理電解槽。
  6. 【請求項6】 被処理水導入口から被処理水を供給し、
    処理済水取出口から処理済水を取出すようにした電解槽
    本体内に、該被処理水導入口側と該処理済水取出口側に
    1対のメッシュ状金属電極を離間して配置すると共に、
    1対のメッシュ状金属電極間に2以上の多孔質炭素電極
    を隣接する多孔質炭素電極同士の接触を防止するための
    スペーサーを介在させて配置し、前記1対のメッシュ状
    電極に直流電圧を印加して、前記多孔質炭素電極を分極
    させ該多孔質炭素電極の多孔中に被処理水を通して水処
    理を行なう複極固定床式水処理電解槽の運転方法におい
    て、前記スペーサーを多孔板とし該多孔板の貫通口の断
    面積比を調節することにより電気抵抗値を所望値に設置
    して運転することを特徴とする複極固定床式水処理電解
    槽の運転方法。
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