JPH09236721A - 単一モード光ファイバ及び単一モード光ファイバのコア拡大方法 - Google Patents

単一モード光ファイバ及び単一モード光ファイバのコア拡大方法

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JPH09236721A
JPH09236721A JP8041695A JP4169596A JPH09236721A JP H09236721 A JPH09236721 A JP H09236721A JP 8041695 A JP8041695 A JP 8041695A JP 4169596 A JP4169596 A JP 4169596A JP H09236721 A JPH09236721 A JP H09236721A
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善明 竹内
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守 平山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外形を変形させることなく安定してコアを拡
大することが可能でしかも安価な単一モード光ファイバ
及びそのコア拡大方法を提供すること。 【解決手段】 単一モード光ファイバのクラッド2をコ
ア1近傍の内側クラッド2a及び該内側クラッド2aを
覆う外側クラッド2bよりなる構造とし、内側クラッド
2aにコア1の半分程度の濃度の屈折率調整剤を添加
し、内側クラッド2aでの屈折率調整剤の拡散係数を外
側クラッド2bでの屈折率調整剤の拡散係数より大きく
したことにより、コアを拡大しようとする部分でのドー
パントの拡散速度を増加させ、これによってコア拡大処
理に必要な温度を低下させるとともに処理時間を短縮さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信、光計測、
CATVシステム等の分野において光信号の伝送に用い
られる単一モード光ファイバ、特に接続性に優れた単一
モード光ファイバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、単一モード光ファイバはその
コア径が約10μm以下と非常に小さいため、接続時の
コアの微小なずれにより光信号の接続損失を生じ易く、
サブμmオーダの精度での接合が必要になるという問題
があった。また、異種ファイバ間の接続には、それらの
光ファイバを伝搬する光信号のモードフィールド形状の
相違により、接続損失が発生するという欠点があった。
また、光ファイバの一部に縦に溝を形成し、フィルタや
波長板等を挿入して種々の機能を導入する場合、コア間
のギャップが大きくなるにつれて光の伝搬損失が急激に
増加するため、そのギャップ幅が大幅に制限され、機能
が限定されるという欠点があった。
【0003】これらの欠点を補う方法として、光ファイ
バの接続部を加熱処理することにより、光ファイバ端部
のコアを拡大したコア拡大ファイバが提案されている。
【0004】通常の単一モード光ファイバは、その低伝
送損失特性の確保等の理由により、合成石英系ガラスで
製造されており、純石英ガラスのクラッドと純石英ガラ
スにGeを添加したコアとにより構成されているのが最
も一般的で、実用に供されている単一モード光ファイバ
の大部分がこの構成からなっている。
【0005】他の単一モード光ファイバの構成として
は、比較的低温処理に適した、クラッドにFを添加し、
コアを純合成石英とした構成の単一モード光ファイバや
多成分ガラス系の単一モード光ファイバも存在するが、
これらは前述した標準的な単一モード光ファイバとコア
の屈折率が異なるため、接続時の光信号の反射減衰量が
充分にとれないという欠点があり、実用に供されていな
い。また、これらの単一モード光ファイバは標準的な単
一モード光ファイバと融点が異なるため、標準的な単一
モード光ファイバとの低損失融着接続が困難という欠点
もあり、融着接続時もコア拡大による低損失接続効果は
期待できなかった。
【0006】また、石英ガラス系の単一モード光ファイ
バの中にはW型と呼ばれ、コア付近のクラッドにFをド
ープしてGe添加コアとの比屈折率差を大きくした単一
モード光ファイバもあるが、高価なため、現在は殆ど市
販されておらず、また、クラッドの屈折率が径方向に一
定でないため、コア拡大処理によりカットオフ波長が大
幅に変化してしまい、コア拡大に適していなかった。
【0007】これらの理由により、実用的なコア拡大フ
ァイバの検討は、専らコア付近にGeを添加した標準的
な石英ガラス系単一モード光ファイバにより行われてき
た。従って、単一モード光ファイバのコア拡大処理に
は、純合成石英ガラスよりなるクラッドにGeを拡散さ
せるため、1200℃以上の高温での処理が必要であ
り、さらに短時間で処理するには1500℃以上での高
温処理が必要であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】光ファイバの基本的な
コア拡大方法は、光ファイバの一部を軟化点付近の温度
に加熱することにより、コア添加材をクラッドヘ拡敢さ
せるものである。
【0009】光ファイバの加熱手段としては、電気炉、
マイクロバーナ、放電加工等があるが、いずれの手段で
も拡散を早めるためにはクラッド材料である石英ガラス
を軟化させる必要があり、そのために拡散処理中に光フ
ァイバの外形が変化し易いという欠点があった。
【0010】マイクロバーナを用いた場合、拡大コア径
を制御するのが技術的に難しく、低損失接続には歩留ま
りが悪いという欠点があった。また、拡大コア径をある
程度以上大きくするには、このマイクロバーナを光ファ
イバの長さ方向に繰り返し掃引させながら加熱しなけれ
ばならず、歩留まりがさらに低下するという欠点があっ
た。
【0011】電気炉を用いた場合には外形変動をある程
度抑えるため、加熱温度を抑えた処理が可能であり、拡
大コア径の制御性はマイクロバーナより優れるが、加熱
処理時間が大輻に増加するという欠点があった。また、
加熱温度を抑えてもクラッドの粘性低下は不可避である
ため、長時間の熱処理の間のμmオーダの外形変動を抑
えることはできなかった。さらにまた、電気炉による加
熱処理では一括処理が可能であるが、炉内に入れる光フ
ァイバを切断し、被覆を全部除去する必要があり、実使
用時には再被覆や短尺化した光ファイバの融着接続等が
必要となるので、実用性に乏しいという欠点があった。
【0012】また、放電加工を用いた場合、加熱処理時
間は短時間で済むが、光ファイバが局所的にかなりの高
温になるため、外形の変動が避けられず、拡大範囲が限
定される等の欠点があり、適用範囲が限定されていた
(Electronics Letters, Volume 27, Number 17, Page1
597-1599, 'Simple fusion splicing technique for re
ducing splicing loss between standard singlemode f
ibres and erbium-dopedfibre' by H.Y.TAM参照)。
【0013】もう1つのコア拡大方法として、S.Ishika
wa et al., OFC'93, TuB4 にあるように、光ファイバ製
造時に残留させた応力歪みを熱処理によって解放させる
方法が提案されてるが、コアに応力を残留させるために
はコアの軟化温度がクラッドの軟化温度より高い必要が
あり、純石英コア/F添加クラッドのファイバを使用す
るため、前記と同様の問題があった。また、この場合、
拡大するモードフィールド径が約2倍程度に制限される
という欠点があった。さらにまた、応力が残留している
部分ではV値が変化しているため、光ファイバとしての
伝送特性に問題を残す恐れがあり、応力歪みの残留その
ものも損失増加や偏波特性の悪化の原因になる恐れがあ
った。このような理由により、この方法は提案のみに留
まり、広く普及する技術にはなっていなかった。
【0014】また、コア拡大技術の適用例として、SC
形光コネクタへの応用が提案されているが、従来のコア
拡大方法では電気炉等を用いて加熱温度を抑えてもクラ
ッドの粘性低下は不可避であるため、μmオーダの外形
変動を抑えることはできなかった。従って、光コネクタ
フェルールのような光ファイバ挿入穴の内径が光ファイ
バの外径と1〜2μm程度しか違わないものに安定に挿
入できるように光ファイバのコアを拡大処理することが
できなかった。そのため、このようなコア拡大光ファイ
バを用いた光コネクタは提案のみに留まっており、実用
に供される技術とはなっていなかった。
【0015】本発明の目的は、外形を変形させることな
く安定してコアを拡大することが可能でしかも安価な単
一モード光ファイバ及び単一モード光ファイバのコア拡
大方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明では、単一モード光ファイバのクラッドをコ
ア近傍の内側クラッド及び該内側クラッドを覆う外側ク
ラッドよりなる構造とし、コアまたはクラッドの少なく
とも一方に屈折率調整剤を添加し、内側クラッドでの屈
折率調整剤の拡散係数を外側クラッドでの屈折率調整剤
の拡散係数より大きく、もしくは内側クラッドの軟化点
を外側クラッドの軟化点より低くしたことにより、コア
を拡大しようとする部分でのドーパントの拡散速度の増
加を実現し、これによってコア拡大処理に必要な温度を
低下させるとともに処理時間を短縮させ、コア拡大処理
を容易にするとともに、コア拡大処理時に生じるクラッ
ド外形の変形をなくし、拡大したコアの断面形状の制御
性を従来より大幅に向上させたことを最大の特徴とす
る。また、従来より低い加熱温度でコア拡大処理が可能
となるので、加熱手段の選択の幅が広がる特徴を有す
る。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、図面を用いて本発明を具体
的に説明するが、以下に開示する実施の形態は単なる例
示に過ぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではな
い。
【0018】図1は本発明の単一モード光ファイバの実
施の形態の一例を示すもので、光ファイバの断面とその
屈折率分布を示す。図中、1は光を導波伝搬するコア、
2はコア1近傍の内側クラッド2a及び該内側クラッド
2aを覆う外側クラッド2bよりなるクラッドである。
【0019】コア1にはクラッド2に対して屈折率差を
付与するため、GeO2 をドーピングしてある。また、
コア径は約8μmとし、コア1とクラッド2との比屈折
率差は0.3%とした。遮断波長は1.12μmであっ
た。
【0020】内側クラッド2aにはコア1の半分程度の
濃度のGeO2 をドーピングするとともに、その際、生
じる屈折率の増加を相殺する量のFをドーピングして屈
折率の増加を抑えた。内側クラッド2aの外径は約24
μmとした。外側クラッド2bは純石英ガラスで構成
し、外径は標準的な光ファイバと同様な125μmとし
た。
【0021】前述した光ファイバを特開平5−2734
29号公報に開示されたマイクロヒータを用いて加熱
し、コア拡大処理を行った。
【0022】図2は1150℃で加熱した場合の加熱中
心におけるモードフィールド径の時間変化を波長1.3
μmで測定した結果である。処理前の約10μmからモ
ードフィールド径はほぼ直線的に増加し、約20分で約
31μmに達し、その後はほぼ一定で安定した。これは
Geが内側クラッド2a全体にほぼ均一に拡散し、外側
クラッド2bは純石英ガラスであるので1150℃では
Geの拡散が殆ど生じないためと考えられる。
【0023】このファイバでは31μm程度のモードフ
ィールド径を得るための加熱時間の許容範囲が充分に広
いことが分かる。
【0024】図3は1150℃で20分加熱処理した光
ファイバの拡大したモードフィールド径の分布を示すも
のである。この図から拡大したモードフィールド径の再
現性が非常に良いことが分かる。
【0025】このように、1150℃でGeが内側クラ
ッド2aに拡散するのは、Fを添加したことにより、内
側クラッド2の融点が低下するとともに、Geの拡散係
数が増加したことが原因と考えられる。また、この温度
での熱処理によっても外側クラッド2bの変形は全く生
じなかった。
【0026】図4は1150℃で20分加熱処理し、そ
の加熱中心で切断した2本の光ファイバを互いに平行に
突き合わせ、コア同士の相対位置を横方向にオフセット
させた時の接続損失の変化をコア拡大処理前の試料と比
較した結果を示すものである。この図から過剰損失が
0.5dB以内となる範囲は3倍以上に拡大されている
ことが分かる。
【0027】前述したコア拡大光ファイバを20個作製
し、コネクタフェルールに挿入し、SC形光コネクタを
組み立てたが、全て問題なく挿入可能であった。これら
のコネクタの接続損失は平均で0.05dBと非常に小
さく、反射減衰量は50dB以上と安定していた。従来
の一般的な光ファイバを用いた場合、実用的なコア拡大
処理をするには1400℃以上の温度が必要となり、外
形の変化が不可避であるため、フェルールに挿入可能な
光ファイバの製造歩留まりが非常に悪く、実用性に乏し
かった。
【0028】このように本光ファイバのコア拡大端を光
コネクタ等に適用した場合、接続の際のコアの位置ずれ
の許容範囲が大幅に広がり、位置精度が大幅に緩和され
るため、フェルール等の光コネクタ部品の加工精度を大
幅に低減できる。さらに安定した低損失接続が可能とな
り、接続の信頼性が大幅に向上し、低価格化にも大きく
貢献する。また、モードフィールド径の異なる光ファイ
バ同士の接続に応用すれば、それらの低損失接続も可能
となる。
【0029】図5は1150℃で20分加熱処理し、そ
の加熱中心で切断した2本の光ファイバを互いに平行に
突き合わせ、コアの軸を一致させたままコア(ファイ
バ)間距離を変化させた時の接続損失の変化を測定した
結果を示すものである。この図から損失が0.5dB以
内となる範囲が5倍以上に拡大されていることが分か
る。これはコア拡大に伴って、NAが急激に減少するた
めである。これにより、光ファイバの一部に溝を形成
し、光素子を挿入する場合、光素子の厚さの制限が大幅
に緩和され、低損失で挿入が可能となる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
単一モード光ファイバのクラッドをコア近傍の内側クラ
ッド及び該内側クラッドを覆う外側クラッドよりなる構
造とし、コアまたはクラッドの少なくとも一方に屈折率
調整剤を添加し、内側クラッドでの屈折率調整剤の拡散
係数を外側クラッドでの屈折率調整剤の拡散係数より小
さく、もしくは内側クラッドの軟化点を外側クラッドの
軟化点より低くしたことにより、コア拡大処理に必要な
温度を低下させるとともに処理時間を短縮させることが
できるため、特性及びその再現性に優れ、加熱手段に大
きく依存しないコア拡大ファイバを安価に提供できる。
【0031】また、コア拡大処理時に生じる外形の変形
がないため、コネクタフェルールへの挿入が安定して可
能となり、光コネクタへの応用が実用的になる。また、
モードフィールド径の異なる光ファイバ同士を接続する
場合にも、予め光ファイバの構造により定められたモー
ドフィールド径が安定して得られるため、再現性良く低
損失な接続が可能となる。さらにまた、外形の変形がな
く、拡大コア径が安定している点を利用すれば、その応
用範囲は従来技術に比して格段に拡がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単一モード光ファイバの実施の形態の
一例を示す図
【図2】1150℃で加熱した場合の加熱中心における
モードフィールド径の時間変化を波長1.3μmで測定
した結果を示す図
【図3】1150℃で20分加熱処理した光ファイバの
拡大したモードフィールド径の分布を示す図
【図4】本発明による光ファイバ同士を平行に突き合わ
せ、コアの相対位置を横方向にオフセットさせた時の接
続損失の変化を示す図
【図5】本発明による光ファイバ同士を平行に突き合わ
せ、ファイバ間距離を変化させた時の接続損失の変化を
示す図
【符号の説明】
1…コア、2…クラッド、2a…内側クラッド、2b…
外側クラッド。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光を導波伝搬するコア及び該コアを覆い
    かつ該コアよりも屈折率がわずかに低いクラッドよりな
    る単一モード光ファイバにおいて、 クラッドをコア近傍の内側クラッド及び該内側クラッド
    を覆う外側クラッドよりなる構造とし、 コアまたはクラッドの少なくとも一方に屈折率調整剤を
    添加し、 内側クラッドでの屈折率調整剤の拡散係数を外側クラッ
    ドでの屈折率調整剤の拡散係数より大きくしたことを特
    徴とする単一モード光ファイバ。
  2. 【請求項2】 光を導波伝搬するコア及び該コアを覆い
    かつ該コアよりも屈折率がわずかに低いクラッドよりな
    る単一モード光ファイバにおいて、 クラッドをコア近傍の内側クラッド及び該内側クラッド
    を覆う外側クラッドよりなる構造とし、 内側クラッドの軟化点を外側クラッドの軟化点より低く
    したことを特徴とする単一モード光ファイバ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の単一モード光フ
    ァイバの端部を局所加熱して、該光ファイバの端部のみ
    コア径を拡大することを特徴とする単一モード光ファイ
    バのコア拡大方法。
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