JPH09235378A - 吸水剤及びその製造方法並びにその製造装置 - Google Patents

吸水剤及びその製造方法並びにその製造装置

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頼道 大六
Toshimasa Kitayama
敏匡 北山
Kinya Nagasuna
欣也 長砂
Takanori Murakami
貴則 村上
Akito Yano
昭人 矢野
Kunihiko Ishizaki
邦彦 石▲崎▼
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加圧下において高い吸収倍率を示し、最終製
品中において、常に優れた特性を発揮することのできる
吸水剤の製造装置等を提供する。 【解決手段】 カルボキシル基を有する吸水性樹脂とこ
のカルボキシル基と反応し得る架橋剤等を含む水性液と
を混合反応すべく、固定のケーシング2の内部における
回転軸6の周りに複数の攪拌翼7…を設けた高速攪拌型
の連続押出式混合機1を有する。連続押出式混合機1の
攪拌翼7…は、例えば、形状の異なる2種類以上のもの
からなり、上記ケーシング2内に供給された吸水性樹脂
を分散させる第一領域における押し出し推力よりも押し
出し推力が小さい第二領域を排出側に形成するように設
けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、紙オムツ
(使い捨てオムツ)や生理用ナプキン、いわゆる失禁パ
ット等の衛生材料に好適に用いられる、カルボキシル基
を有する吸水性樹脂とこのカルボキシル基と反応し得る
架橋剤等を含む水性液とを混合させてなる吸水剤及びそ
の製造方法並びにその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、紙オムツや生理用ナプキン、いわ
ゆる失禁パット等の衛生材料には、その構成材として、
体液を吸収させることを目的とする吸水性樹脂を含有す
る吸水剤が幅広く利用されている。
【0003】上記の吸水性樹脂としては、例えば、ポリ
アクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリル酸グラフ
ト重合体の加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステ
ル共重合体のケン化物、アクリロニトリル共重合体若し
くはアクリルアミド共重合体の加水分解物又はこれらの
架橋体、及びカチオン性モノマーの架橋体等が知られて
いる。
【0004】上記の吸水性樹脂が備えるべき特性として
は、体液等の水性液体に接した際の優れた吸水量や吸収
速度、通液性、膨潤ゲルのゲル強度、水性液体を含んだ
基材から水を吸い上げる吸引力等が挙げられる。しかし
ながら、これらの諸特性間の関係は必ずしも正の相関関
係を示さず、例えば、吸収倍率の高いものほど通液性、
ゲル強度及び吸収速度等の物性は低下してしまう。
【0005】このような、吸水性樹脂の吸水諸特性をバ
ランス良く改良する方法として吸水性樹脂の表面近傍を
架橋する技術が知られており、これまでに様々な方法が
開示されている。
【0006】例えば、架橋剤として、多価アルコールを
用いる方法(特開昭58−180233号公報、特開昭
61−16903号公報)、多価グリシジル化合物、多
価アジリジン化合物、多価アミン化合物、多価イソシア
ネート化合物を用いる方法(特開昭59−189103
号公報)、グリオキシサールを用いる方法(特開昭52
−117393号公報)、多価金属を用いる方法(特開
昭51−136588号公報、特開昭61−25723
5号公報、特開昭62−7745号公報)、シランカッ
プリング剤を用いる方法(特開昭61−211305号
公報、特開昭61−252212号公報、特開昭61−
264006号公報)、アルキレンカーボネートを用い
る方法(独国特許第4020780号公報)等が知られ
ている。また、架橋反応時に、不活性無機粉末を存在さ
せる方法(特開昭60−163956号公報、特開昭6
0−255814号公報)、二価アルコールを存在させ
る方法(特開平1−292004号公報)、水とエーテ
ル化合物とを存在させる方法(特開平2−153903
号公報)、一価アルコールのアルキレンオキサイド付加
物、有機酸塩、ラクタム等を存在させる方法(欧州特許
第555692号公報)も知られている。
【0007】また、一般的に、吸水性樹脂は、150μ
m以下の粒径を有する粉末(微粉末)の含有量が少ない
程好ましい。かかる微粉末は、おむつ等の吸収物品中で
目詰まりし、通液性が低下する要因となる。また、取り
扱い時の粉塵としてのロスや塵肺の問題に加え、表面架
橋を施したとしても、加圧下での吸収倍率等の諸物性が
向上し難いという問題点を有している。このため、微粉
末の少ない吸水性樹脂が切望されている。
【0008】従来、微粉末の少ない吸水性樹脂の製造方
法としては、重合や粉砕の度合いを調節することによ
り粒度を調節する方法、および、発生した微粉末を、
篩や気流等により分級、除去する方法(米国特許第49
73632号公報)が知られている。
【0009】しかしながら、上記の方法でも、製造工
程中に、十数%〜数十%といった多量の微粉末が発生す
る。従って、の方法で、発生した微粉末を更に廃棄す
ることは、収率を大きく低下させることになると共に、
廃棄コストの面からも不利となる。
【0010】そこで、吸水性樹脂の製造工程で必然的に
発生してしまう微粉末を造粒ないし再生することで上記
の問題を解決しようとする提案、さらには、造粒によっ
て一次粒子に比べて表面積を相対的に大きくすることで
高吸収速度を達成しようとする提案が種々なされてい
る。
【0011】例えば、造粒以外の手法として、欧州特許
第0463388A号、米国特許第4950692号公
報、米国特許第4970267号公報、欧州特許第04
17761A号、欧州特許第0496594A号では、
微粉末に水や含水ゲルを混合することにより上記微粉末
をゲル化した後、得られたゲル化物を粉砕後、乾燥させ
ることで大きな粒子に再生する方法が提案されている。
また、欧州特許第0644224号公報では、不溶性無
機微粉末の存在下、吸水性樹脂に水溶性ないし水分散性
高分子化合物を含む水性液を造粒物の含水率が30重量
%〜70重量%となるように添加することで造粒する方
法が提案されている。さらに、米国特許第500298
6号公報、欧州特許第0318989B号、米国特許第
5248709号公報、米国特許第4123397号公
報、米国特許第4734478号公報、欧州特許第06
29411号公報、米国特許第5369148号公報で
は、約150μm〜数十μmの微粉末を、単独ないし大
きな粒子との混合物として用いると共に、これら粉末に
対して数%〜二十数%程度の水性液等をバインダとして
用いて粉末造粒することにより、上記微粉末の平均粒径
を、数百μmにまで大きくする方法が提案されている。
【0012】一般的に、吸水性樹脂のバインダとして
は、効率や安全性、製造コスト等の面から、水ないし水
性液が好適である。そこで、上述した各方法において
も、微粉末に、バインダ的役割を果たす水性液を添加す
る方法が殆どである。
【0013】しかしながら、吸水性樹脂、特に、微粉末
状の吸水性樹脂は、その表面積が大きいため、吸収速度
が速く、水性液を均一に添加することは困難である。ま
た、水性液の混合助剤としての不溶性無機微粉末等の使
用は、一般に、コストの問題のみならず、粉塵の発生、
造粒強度や諸物性を低下させるという問題点を有してい
る。
【0014】そこで、微粉末を造粒する場合に、水を均
一に添加することができる混合機として、例えば、低速
パドル型混合機(欧州特許第0644224号公報)、
高速攪拌型ミキサ(米国特許第5002986号公報、
米国特許第4734478号公報)、特定の噴霧連続造
粒機(米国特許第5360148号公報)、流動床(欧
州特許第05342899号公報)等が提案されてい
る。さらに、造粒以外の手法には、微粉末の再循環用の
混合機として、ナウタ(Nauta)混合機(米国特許第49
50692号公報)や特定の剪断混合機(欧州特許第0
417761号公報)等が提案されている。そして、こ
れら混合機のなかでも、上記高速攪拌型ミキサは、生産
性が高い等の理由から、吸水性樹脂の製造方法におい
て、造粒以外にも、前記した表面近傍の架橋(米国特許
第5140076号公報)等にも広く使用されている。
【0015】例えば、本願発明者等は、前記架橋剤や架
橋剤を含む処理液等の水性液を吸水性樹脂の表面に効率
良く混合することにより吸水剤を製造する方法として、
既に、米国特許第5140076号公報(特開平4−2
14734号公報)において、特定基材からなる内面を
有する高速攪拌型ミキサを用いて、吸水性樹脂と架橋剤
との混合を行い、次いで、この混合物を加熱することに
より表面架橋剤を反応させる方法を提案した。さらに、
本願発明者等は、このような方法によって、吸水諸性能
のバランス、特に加圧下での吸収倍率を改良した吸水性
樹脂を得ている。
【0016】上記米国特許第5140076号公報(特
開平4−214734号公報)に開示された従来の混合
機は、図21に示すように、特定基材からなる内面を有
する固定円筒101中の回転軸102の周りに複数の攪
拌翼103…を備えた連続押出式混合機100である。
該連続押出式混合機100は、吸水性樹脂粒子を樹脂供
給口104から供給すると共に、液体注入口105から
架橋剤を供給し、攪拌翼103の回転による押し出し流
れによって、排出口106から混合物を取り出すように
なっている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の連続押出式混合機を使用して、吸水性樹脂粒子の表
面架橋を行っても、吸水性樹脂の搬送工程や、ユーザ側
での、例えばおむつ等の最終製品への加工工程等で、表
面架橋部分あるいは造粒部分が欠損または破壊されてし
まうためか、最終製品中において期待通りの優れた吸水
特性を維持できていないという問題点が見出された。ま
た、この問題点は、高加圧下での吸収倍率が高い値を示
す吸水性樹脂程、顕著に現れることも見出された。
【0018】さらに、微粉末の造粒や再生によって、吸
収速度の低下や、不純物である水可溶成分の増加や、高
加圧下での吸収倍率の低下等の物性低下が見られる場合
があることも見い出された。また、上記造粒による物性
低下の問題は、前記した造粒破壊を避けるため、バイン
ダである水性液を増加させることで造粒強度を向上させ
る際に、特に顕著であることも見い出された。
【0019】そして、上記各問題の要因としては、従来
の混合機では、吸水性樹脂と架橋剤や水性液との混合が
未だ満足いくものではなかったということが挙げられ
る。
【0020】例えば、従来造粒に用いられてきた流動床
(欧州特許第05342899号公報)や高速攪拌型ミ
キサ(米国特許第5140076号公報)では水性液の
添加量が数%からせいぜい30%と少量であり、60%
を越えると、連続的で安定な混合が極めて困難であっ
た。
【0021】さらに、本願発明者等の検討によれば、従
来の混合機は、水性液の添加量が10%を越えると、吸
水性樹脂と水性液との混合が極端に不均一になり、その
結果、造粒強度向上のための水性液の添加量に限界があ
るばかりか、不均一な水性液の添加によって、物性低下
や造粒破壊が起こっていたことが見い出された。特に、
吸水性樹脂の製造に従来使用されてきた高速攪拌型ミキ
サでは、少量の水性液では高い生産性を示すが、多量の
水性液の添加は殆ど不可能であった。
【0022】また、本願発明者等の検討によれば、造粒
以外に用いられていた剪断混合機(欧州特許第0417
761号公報)やナウタ混合機等、大きな混練力を有す
る混合機では、水性液の添加は比較的行い易いものの、
水性液添加後の混合物は粒子状の造粒物にはならず、一
体化した巨大なゲルの塊が得られるだけであり、しか
も、その剪断力のため、吸水性樹脂自体が劣化すること
が見い出された。さらに、吸水性樹脂の含水ゲルをあま
り大きな力で混練ないし粉砕すると、該含水ゲルは、凝
集体ではなく、練りつぶされたような表面積の小さなゲ
ルとなるため、表面積の大きな微粉末を原料としても、
かえって吸収速度が低下する場合があることが見い出さ
れた。また、造粒以外の手法での一体化した巨大なゲル
の塊を粉砕する工程(米国特許第4950692号公
報)も吸水性樹脂自身の劣化を引き起こし易いことも見
い出された。
【0023】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであって、その目的は、加圧下において高い吸収
倍率を示し、かつ製造プラントにおける搬送やユーザに
おける最終製品の加工等を行った後にもその優れた吸水
性能を維持し、最終製品中において、その使用方法を選
ばず、常に優れた特性を発揮することのできる吸水剤及
びその製造方法並びにその製造装置を提供することにあ
る。
【0024】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記目
的を達成すべく、吸水剤及びその製造方法並びにその製
造装置について鋭意検討した。その結果、本願発明者等
は、カルボキシル基を有する吸水性樹脂と、このカルボ
キシル基に反応する架橋剤とを混合、反応させて得られ
る吸水剤が以下の構成を満たすように製造することで、
常に優れた特性を発揮することのできる吸水剤を提供す
ることができることを見い出して本発明を完成させるに
至った。
【0025】即ち、請求項1記載の発明の吸水剤は、上
記の課題を解決するために、カルボキシル基を有する吸
水性樹脂と、このカルボキシル基に反応する架橋剤とを
混合、反応させて得られる吸水剤であって、上記吸水剤
に所定の荷重を加えることにより衝撃力(A)を与えた
とき、その衝撃後の吸水剤における圧力50g/cm2
での吸収倍率をQ、衝撃前の吸水剤における同一圧力で
の吸収倍率をPとすると、 P≧20(g/g) であり、かつ、 Q/P≧0.85 であることを特徴としている。
【0026】請求項2記載の発明の吸水剤は、上記の課
題を解決するために、カルボキシル基を有する吸水性樹
脂と、このカルボキシル基に反応する架橋剤とを混合、
反応させて得られる吸水剤であって、上記吸水剤に所定
の振動を与えることにより衝撃力(B)を与えたとき、
その衝撃後の吸水剤における圧力50g/cm2 での吸
収倍率をX、衝撃前の吸水剤における同一圧力での吸収
倍率をYとすると、 X≧20(g/g) であり、かつ、 Y/X≧0.90 であることを特徴としている。
【0027】上記の構成によれば、本発明の吸水剤は、
優れた吸収性能を持ち、かつ機械的ストレスに強いもの
である。従って、製造プラントにおける搬送や、ユーザ
における加工等で加わる機械的ストレスを受けてもその
吸水特性を殆ど低下させず、最終製品中においてその優
れた吸収性能を維持する吸水剤を提供することができ
る。上記各吸水剤は、これらをユーザにおいて最終製品
の吸収性物品に加工した後も、その優れた吸収特性を維
持できるので、各種の吸収性物品、特に、加圧下におけ
る吸収特性を重視される紙オムツや生理用ナプキン、失
禁パット等の吸収体を含む衛生材料等の吸収性物品に好
適である。
【0028】請求項3記載の発明の吸水剤の製造方法
は、上記の課題を解決するために、カルボキシル基を有
する吸水性樹脂を、固定円筒の内部における回転軸の周
りに、上記吸水性樹脂に押し出し推力を与える少なくと
も一種の攪拌部材を設けた攪拌型の連続押出式混合機に
おける第一領域に供給し、上記吸水性樹脂を、上記第一
領域で分散させた後、該第一領域における押し出し推力
よりも押し出し推力が小さい第二領域に押し出し、該第
二領域で上記吸水性樹脂と水性液とを混合させることを
特徴としている。
【0029】請求項4記載の発明の吸水剤の製造方法
は、上記の課題を解決するために、請求項3記載の吸水
剤の製造方法において、上記第二領域に上記水性液を供
給することを特徴としている。
【0030】請求項5記載の発明の吸水剤の製造方法
は、上記の課題を解決するために、請求項3または4記
載の吸水剤の製造方法において、上記水性液がカルボキ
シル基と反応し得る架橋剤を含むことを特徴としてい
る。
【0031】上記の構成によれば、カルボキシル基を有
する吸水性樹脂とこのカルボキシル基と反応し得る架橋
剤等を含む水性液との混合、反応が効率よく行われ、し
かも均一混合を確保することができる。従って、上記の
構成によれば、加圧下において高い吸収倍率を示し、か
つ製造プラントにおける搬送やユーザにおける最終製品
の加工等を行った後にもその優れた吸水性能を維持し、
最終製品中において、その使用方法を選ばず、常に優れ
た特性を発揮することのできる吸水剤を製造することが
できる吸水剤の製造方法を提供することができる。
【0032】請求項6記載の発明の吸水剤の製造装置
は、上記の課題を解決するために、カルボキシル基を有
する吸水性樹脂と水性液とを混合するための攪拌型の連
続押出式混合機を有する吸水剤の製造装置であって、上
記連続押出式混合機は、内部に回転軸を有する固定円筒
を備え、上記回転軸の周りには、少なくとも一種の攪拌
部材が、上記固定円筒内に供給された吸水性樹脂を分散
させる第一領域における押し出し推力よりも押し出し推
力が小さい第二領域を排出側に形成するように設けられ
ていることを特徴としている。
【0033】請求項7記載の発明の吸水剤の製造装置
は、上記の課題を解決するために、請求項6記載の吸水
剤の製造装置において、上記連続押出式混合機の固定円
筒は、上記吸水性樹脂を供給するための第一供給口と、
上記第一供給口よりも排出側に設けられ、上記水性液を
供給するための第二供給口とを備え、上記第二供給口
は、上記第二領域に設けられていることを特徴としてい
る。
【0034】請求項8記載の発明の吸水剤の製造装置
は、上記の課題を解決するために、請求項6記載の吸水
剤の製造装置において、上記連続押出式混合機の固定円
筒は、上記吸水性樹脂を供給するための第一供給口と、
上記第一供給口よりも排出側に設けられ、上記水性液を
供給するための第二供給口とを備え、上記第二供給口
は、上記第一領域と第二領域との境界域に設けられてい
ることを特徴としている。
【0035】請求項9記載の発明の吸水剤の製造装置
は、上記の課題を解決するために、請求項6〜8の何れ
か1項に記載の吸水剤の製造装置において、上記回転軸
の周りには、上記吸水性樹脂供給側に設けられて押し出
し推力を生じる形状に形成された複数の第一の攪拌部材
と、これら第一の攪拌部材の排出側に設けられ、かつ、
第一の攪拌部材の配設領域における押し出し推力よりも
押し出し推力が小さくなる領域を形成する複数の第二の
攪拌部材とが順次配されていることを特徴としている。
【0036】請求項10記載の発明の吸水剤の製造装置
は、上記の課題を解決するために、請求項9記載の吸水
剤の製造装置において、上記第一の攪拌部材は、板状に
形成されていることを特徴としている。
【0037】請求項11記載の発明の吸水剤の製造装置
は、上記の課題を解決するために、請求項9または10
記載の吸水剤の製造装置において、上記第二の攪拌部材
は、円柱状に形成されていることを特徴としている。
【0038】請求項12記載の発明の吸水剤の製造装置
は、上記の課題を解決するために、請求項6〜11の何
れか1項に記載の吸水剤の製造装置において、上記固定
円筒の内径に対する回転軸の直径の比が0.4〜0.6
の範囲内であることを特徴としている。
【0039】請求項13記載の発明の吸水剤の製造装置
は、上記の課題を解決するために、請求項6〜12の何
れか1項に記載の吸水剤の製造装置において、上記連続
押出式混合機における固定円筒の内面が、実質的に、水
に対する接触角が約60°以上で約70℃以上の熱変形
温度を有する基材から形成されていることを特徴として
いる。
【0040】上記の構成によれば、連続押出式混合機に
おける攪拌部材の諸構成により、カルボキシル基を有す
る吸水性樹脂とこのカルボキシル基と反応し得る架橋剤
等を含む水性液との混合、反応が効率よく行われ、しか
も均一混合を確保することができる。従って、上記の構
成によれば、加圧下において高い吸収倍率を示し、かつ
製造プラントにおける搬送やユーザにおける最終製品の
加工等を行った後にもその優れた吸水性能を維持し、最
終製品中において、その使用方法を選ばず、常に優れた
特性を発揮することのできる吸水剤を製造することがで
きる吸水剤の製造装置を提供することができる。
【0041】以下に本発明について詳細に説明する。本
願発明者等は、各種の表面架橋した吸水剤の物性値Q/
Pあるいは物性値Y/Xを測定することにより、加圧下
において特定値以上の吸収倍率を有する多種の吸水剤に
おいても該物性値Q/Pや物性値Y/Xが異なることを
発見した。
【0042】そして、鋭意検討の結果、本願発明者等
は、表面架橋された吸水剤においての物性値Q/Pおよ
び物性値Y/Xは、加圧下での吸収倍率の値によらず、
表面架橋の深さ、架橋の密度、架橋の均一性、表面の壊
れ易さ等によって変化することを見出した。そして、そ
の結果、本願発明者等は、吸水性樹脂の表面近傍を架橋
する工程において、該物性値Q/Pあるいは物性値Y/
Xが下記に示した特定の数値以上となるように製造する
ことで、優れた吸収性能を持ち、かつ機械的ストレスに
強い吸水剤が得られることを見出した。
【0043】即ち、本発明の吸水剤は、カルボキシル基
を有する吸水性樹脂と、このカルボキシル基に反応する
架橋剤とを混合、反応させて得られる吸水剤であって、
上記吸水剤に所定の荷重を加えることにより衝撃力
(A)を与えたとき、その衝撃後の吸水剤における圧力
50g/cm2 での吸収倍率をQ、衝撃前の吸水剤にお
ける同一圧力での吸収倍率をPとするとき、 P≧20(g/g) であり、かつ、 Q/P≧0.85 である。
【0044】また、本発明の吸水剤は、カルボキシル基
を有する吸水性樹脂と、このカルボキシル基に反応する
架橋剤とを混合、反応させて得られる吸水剤であって、
上記吸水剤に、所定の振動を与えることにより衝撃力
(B)を与えたとき、その衝撃後の吸水剤における圧力
50g/cm2 での吸収倍率をX、衝撃前の吸水剤にお
ける同一圧力での吸収倍率をYとするとき、 X≧20(g/g) であり、かつ、 Y/X≧0.90 である。
【0045】ここで、本発明における衝撃力(A)を与
えた前後の、加圧下での吸収倍率の商Q/Pは、吸水
剤、つまり、表面架橋が施された吸水性樹脂の架橋表面
の機械的ストレスに対する強さを表す物性値である。同
様に、本発明における衝撃力(B)を与えた前後の、加
圧下での吸収倍率の商Y/Xもまた、吸水剤である表面
架橋後の吸水性樹脂の架橋表面の機械的ストレスに対す
る強さを表す物性値である。
【0046】但し、上記衝撃力(A)を与えたときの吸
水剤の表面架橋にかかる機械的ストレスと、衝撃力
(B)を与えたときの吸水剤の表面架橋にかかる機械的
ストレスとでは、そのストレスの程度に差がある。つま
り、衝撃力(A)を与えたときの吸水剤の表面架橋にか
かる機械的ストレスの方が、衝撃力(B)を与えたとき
の吸水剤の表面架橋にかかる機械的ストレスよりも強
い。
【0047】本発明において、吸水剤に加えられる衝撃
力(A)は、反応物である吸水剤5gを70mm×10
0mmの袋に密封し、その上から重量4kgのローラに
て10往復させたものであることが好ましい。
【0048】上記衝撃力(A)の与え方について、以下
に具体的に説明する。まず、図11に示すように、吸水
剤(図示せず)5.0gを70mm×100mm、厚み
0.04mmのチャック付きポリ袋35に入れ、該チャ
ック付きポリ袋35の内部空気を抜いた後、チャックす
る。その後、上記吸水剤を上記チャック付きポリ袋35
全体に均一に広げ、その上から直径85mm、長さ20
0mm、重量4kgのローラ36を20回(10往復)
転がすことにより、チャック付きポリ袋35内の吸水剤
に衝撃力を与える。以上のように、上記吸水剤に所定の
荷重を加えることにより、上記吸水剤に加えられた衝撃
力を、衝撃力(A)とする。チャック付きポリ袋35と
しては、例えば株式会社生産日本社製「ユニパック(登
録商標)C−4」が好ましく用いられる。
【0049】また、本発明において、吸水剤に加えられ
る衝撃力(B)は、反応物である吸水剤30.0gを、
玉径約6mmのガラスビーズ10.0gと共に内容積2
25gの容器41(図12および図13参照)に入れ、
図13(a)に示すように、上記容器41の縦中心線と
鉛直線とのなす角度が、鉛直線の左右各々に12.5°
であり、図13(b)に示すように、上記容器41の水
平方向への移動が、上記容器41の静止位置を基準とし
て前後に各々8mmであり、振動速度回転数が750c.
p.m となるように、楕円状の振動を一定時間与えたもの
であることが好ましい。
【0050】上記衝撃力(B)の与え方について、以下
に具体的に説明する。上記吸水剤に衝撃力(B)を与え
る際に用いられる上記容器41としては、図12に示す
ように、高さ約10.8cm、直径約6.2cm、内容
積225gの透明なガラス製の容器本体41cに、内蓋
41bおよび外蓋41aが設けられた容器が用いられ
る。このような容器としては、例えば、山村硝子株式会
社製の所謂マヨネーズ瓶(商品名:A−29)が好適に
用いられる。
【0051】また、上記ガラスビーズとしては、約5.
9mm〜6.4mmの玉径に揃えられた玉径約6mmの
精密分留充填用ソーダ石灰ガラス製のガラスビースが好
適である。上記ガラスビーズ10.0gは、該ガラスビ
ーズ31個〜33個に相当する。
【0052】上記吸水剤に衝撃力(B)を与える際に
は、上記吸水剤30.0gを上記ガラスビーズ10.0
gと共に上記容器41の容器本体41cに入れて内蓋4
1bおよび外蓋41aを閉める。そして、この容器41
を、図14に示す分散機(株式会社東洋精機製作所製、
No488試験用分散機)42に、該分散機42に備え
られた上クランプ43および下クランプ44で挟んで固
定し、100V/60Hzで振動速度回転数750c.p.
m の振動を30分間与える。これにより、上記分散機4
2に固定された容器41は、上記分散機42における上
クランプ43および下クランプ44の取付け面45に対
して左右に各々12.5°(合計25°)傾斜運動する
と同時に、前後に各々8mm(合計16mm)振動する
ことにより、容器41内部の吸水剤に衝撃力を与える。
【0053】この場合の上記容器41の振動の様子を図
15を用いて以下に説明する。上記容器41の振動によ
る容器41の軌跡は、クランプ46(上クランプ43、
下クランプ44)に、重力に対して垂直となるように固
定された棒47の任意の位置における鉛直線の軌跡によ
って容易に確認することができる。上記クランプ46に
固定された棒47の任意の位置における鉛直線は、棒4
7が、その静止状態から、左右に各々12.5°傾斜す
ると同時に、前後に各々8mm移動することにより、本
図に示すような楕円状の軌跡を描く。つまり、容器41
は、図15に示すような楕円状の振動を受ける。これに
より、容器41内の吸水剤は、該吸水剤と共に容器41
内に封入されたガラスビーズによって攪拌されると共
に、上記吸水剤同士、或いは上記吸水剤とガラスビー
ズ、或いは上記吸水剤と容器41内壁とが、上記振動に
即した強さで衝突することにより、衝撃を受ける。以上
のように、上記吸水剤に所定の振動を与えることによ
り、上記吸水剤に加えられた衝撃力を、衝撃力(B)と
する。
【0054】上記衝撃力(A)・(B)は、製造工程中
に吸水性樹脂が受ける衝撃力を代表するものとして、経
験的に定められた力である。尚、加圧下での吸収倍率の
測定方法については後述の実施例において詳述する。
【0055】表面処理された吸水剤の評価としては加圧
下での吸収倍率の評価が一般的である。しかし、加圧下
での吸収倍率だけの評価では、加圧下における吸水剤の
吸水特性は評価できるが、表面架橋の深さ、架橋の均一
さ及び表面の壊れ易さ等は評価できない。このため、上
記加圧下での吸収倍率だけの評価では、表面架橋された
吸水剤を製造したり、該吸水剤を用いて吸収性物品を生
産する際に、表面処理後の各工程で発生する機械的スト
レスによって低下する吸水特性を予測することができな
い。この結果、従来は、最終製品中において、期待され
た特性が得られないことがあった。
【0056】しかし、本発明では、吸水性樹脂粒子の耐
衝撃試験として、上記の物性値Q/Pあるいは物性値Y
/Xを測定することにより、表面架橋された吸水剤の機
械的ストレスに対する強さを評価、予測することができ
るようになった。上記物性値Q/Pおよび物性値Y/X
は、サンプル量等に応じて、何れか一方のみを測定して
もよいし、両方共に測定してもよい。
【0057】そして、本願発明者等は、物性値Q/Pが
下記の条件を満たすように形成した吸水剤が製造プラン
トにおける搬送や、ユーザにおける加工等で加わる機械
的ストレスを受けてもその吸水特性を殆ど低下させず、
最終製品中においてその優れた吸収性能を維持する吸水
剤であることを見出した。
【0058】即ち、本発明の吸水剤においては、物性値
Q/Pが0.85以上になることが好ましく、0.90
以上がさらに好ましく、0.95以上が吸収性物品中で
該吸水剤の優れた吸収性能を維持するのに最も好まし
い。
【0059】また、本発明の吸水剤においては、物性値
Y/Xが0.90以上になることが好ましく、0.92
以上がさらに好ましく、0.95以上が吸収性物品中で
該吸水剤の優れた吸収性能を維持するのに最も好まし
い。
【0060】本発明においては、衝撃力(A)あるいは
衝撃力(B)を与える前の吸収剤の50g/cm2 にお
ける加圧下吸収倍率Pは、20g/g以上であることが
必要であり、25g/g以上であることが好ましく、3
0g/g以上であることが最も好ましい。
【0061】また、上記表面架橋前の吸水性樹脂の生理
食塩水に対する吸収倍率は、40g/g以上であること
が好ましく、45g/g以上であることがさらに好まし
い。
【0062】次に、上記吸水剤の製造方法及びその製造
装置について説明する。
【0063】本発明の吸水剤の製造に際して使用される
吸水性樹脂は、カルボキシル基を有するものであれば特
に制限はしないが、典型的にはアクリル酸及び/又はそ
の塩(中和物)を主成分とする親水性単量体を重合・架
橋することにより得られ、イオン交換水中において50
倍から1000倍という多量の水を吸収し、ヒドロゲル
を形成する従来公知の樹脂である。また、上記吸水性樹
脂としては、該吸水性樹脂中の未架橋の水可溶成分が2
5重量%以下、好ましくは15重量%以下、さらに好ま
しくは10重量%以下のものが用いられる。
【0064】上記アクリル酸塩としては、アクリル酸の
アルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアミン塩等を例示
することができる。上記吸水性樹脂は、その構成単位と
してアクリル酸10モル%〜40モル%およびアクリル
酸塩90モル%〜60モル%(但し、両者の合計量は1
00モル%とする)の範囲にあるものが好ましい。
【0065】アクリル酸及び/又はその塩を主成分とす
る親水性単量体を重合して吸水性樹脂を得るに際して
は、必要に応じて、これらアクリル酸又はその塩に併用
して、アクリル酸以外の単量体を含有していてもよい。
【0066】アクリル酸以外の単量体としては、特に限
定されるものではないが、具体的には、例えば、メタク
リル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスル
ホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスル
ホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸
等のアニオン性不飽和単量体及びその塩;アクリルアミ
ド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリル
アミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N
−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメ
チル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピ
ロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロ
イルピロリジン等のノニオン性の親水基含有不飽和単量
体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリ
ルアミド、及びこれらの四級塩等のカチオン性不飽和単
量体等が挙げられる。これら単量体は、単独で用いても
よく、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。
【0067】本発明において、アクリル酸以外の単量体
を用いる場合には、該アクリル酸以外の単量体は、主成
分として用いるアクリル酸及びその塩との合計量に対し
て、30モル%以下、好ましくは10モル%以下の割合
で用いることが好ましい。上記アクリル酸以外の単量体
を上記の割合で用いることにより、得られる吸水性樹脂
の吸水特性がより一層向上すると共に、吸水性樹脂をよ
り一層安価に得ることができる。
【0068】本発明に用いられる吸水性樹脂を得るため
に上述のアクリル酸又はその塩を主成分とする親水性単
量体を重合するに際しては、バルク重合や沈殿重合を行
うことが可能であるが、性能面や重合の制御の容易さか
ら、上記親水性単量体を水溶液とすることによる水溶液
重合又は逆相懸濁重合を行うことが好ましい。
【0069】尚、上記親水性単量体を水溶液とする場合
の該水溶液(以下、単量体水溶液と称する)中の単量体
の濃度は、特に限定されるものではないが、10重量%
〜70重量%の範囲内が好ましく、20重量%〜40重
量%の範囲内がさらに好ましい。また、上記水溶液重合
又は逆相懸濁重合を行う際には、水以外の溶媒を必要に
応じて併用してもよく、併用して用いられる溶媒の種類
は、特に限定されるものではない。
【0070】上記の重合を開始させる際には、例えば過
硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウ
ム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、
2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩
等のラジカル重合開始剤を用いることができる。
【0071】さらに、これら重合開始剤の分解を促進す
る還元剤を併用し、両者を組み合わせることによりレド
ックス系開始剤とすることもできる。上記の還元剤とし
ては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウ
ム等の(重)亜硫酸(塩)、L−アスコルビン酸
(塩)、第一鉄塩等の還元性金属(塩)、アミン類等が
挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0072】これら重合開始剤の使用量は、通常0.0
01モル%〜2モル%、好ましくは0.01モル%〜
0.05モル%である。これら重合開始剤の使用量が
0.001モル%未満の場合には、未反応の単量体が多
くなり、従って、得られる吸水性樹脂中の残存単量体量
が増加するので好ましくない。一方、これら重合開始剤
の使用量が2モル%を超える場合には、得られる吸水性
樹脂中の水可溶成分量が増加するので好ましくない。
【0073】また、重合開始剤を用いる代わりに、反応
系に放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照
射することにより重合反応の開始を行ってもよい。尚、
上記重合反応における反応温度は、特に限定されるもの
ではないが、20℃〜90℃の範囲内が好ましい。ま
た、反応時間も特に限定されるものではなく、親水性単
量体や重合開始剤の種類、反応温度等に応じて適宜設定
すればよい。
【0074】本発明において用いられる吸水性樹脂とし
ては、架橋剤を使用しない自己架橋型のものであっても
よいが、一分子中に、2個以上の重合性不飽和基や、2
個以上の反応性基を有する内部架橋剤を共重合又は反応
させたものがさらに好ましい。
【0075】これら内部架橋剤の具体例としては、例え
ば、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、
(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、
(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチルロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリン
アクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ
アリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ト
リアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メ
タ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコール
ジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエー
テル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、
プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリト
ール、エチレンジアミン、エチレンカーボネート、プロ
ピレンカーボネート、ポリエチレンイミン、グリシジル
(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0076】これら内部架橋剤は、単独で用いてもよ
く、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。また、こ
れら内部架橋剤は、反応系に一括添加してもよく、分割
添加してもよい。2種類以上の内部架橋剤を使用する場
合には、得られる吸水性樹脂の吸水特性等を考慮して、
2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を必須に用い
ることが好ましい。これら内部架橋剤の使用量は、前記
親水性単量体に対して、0.005モル%〜2モル%の
範囲内であることが好ましく、0.01モル%〜1モル
%の範囲内とすることがさらに好ましい。上記内部架橋
剤の使用量が0.005モル%よりも少ない場合、並び
に、2モル%よりも多い場合には、所望の吸水特性を備
えた吸水性樹脂が得られない虞れがある。
【0077】上記内部架橋剤を用いて架橋構造を吸水性
樹脂内部に導入する場合には、上記内部架橋剤を、上記
親水性単量体の重合時あるいは重合後、または重合、中
和後に反応系に添加するようにすればよい。
【0078】尚、上記重合に際しては、反応系に、炭酸
(水素)塩、二酸化炭素、アゾ化合物、不活性有機溶媒
等の各種発泡剤;澱粉・セルロース、澱粉・セルロース
の誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸
(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分
子;各種界面活性剤;次亜燐酸(塩)等の連鎖移動剤を
添加してもよい。
【0079】上記重合反応により得られた重合体がゲル
状である場合には、該ゲル状重合体は、乾燥され、必要
により粉砕することで、平均粒径が10μm〜1000
μm、好ましくは50μm〜800μmであり、水性液
がカルボキシル基と反応し得る架橋剤を含む場合には、
好ましくは75μmを越えて600μm以下、特に好ま
しくは150μmを越えて500μm以下に調整され
る。このようにして得られた上記吸水性樹脂の粒子形状
は、特に限定されるものではないが、粉砕工程を経て得
られた不定形破砕状である方が、本発明の効果が特に顕
著になり、好ましい。
【0080】上記の方法により得られた吸水性樹脂は、
生理食塩水に対する吸収倍率が40g/g以上、さらに
は45g/g以上という高い値を示すものを用いること
が、水性液を混合する上で、本発明の効果を顕著に表す
ので好ましいが、勿論、上記吸収倍率は目的に応じて適
宜調整される。本発明は、従来、水性液の均一な添加が
困難であった45g/g以上の高吸収倍率を示す吸水性
樹脂に対して好適に用いることができる。
【0081】本発明では、上記の重合で得られたカルボ
キシル基を有する吸水性樹脂と水性液とを特定の連続押
出式混合機で混合する。上記水性液としては、水;若し
くは、塩類、界面活性剤、消臭剤、抗菌剤、水溶性高分
子等の水溶性化合物を溶解した水または親水性有機溶媒
等でもよいが、本発明の吸水剤を得るためには、カルボ
キシル基と反応し得る架橋剤又は該架橋剤を含む処理液
であることが必要となる。つまり、本発明にかかる吸水
剤は、カルボキシル基を有する吸水性樹脂と、このカル
ボキシル基に反応する架橋剤とを混合、反応させること
によって得ることができる。
【0082】このような架橋剤としては、カルボキシル
基と反応し得る、通常、該用途に用いられている公知の
表面架橋剤が好適である。上記の表面架橋剤としては、
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,
3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,
2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリ
プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、
2−ブテン−1,4−ジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−
シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロ
ピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共
重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価
アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、グリセロ
ールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリ
シジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエー
テル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポ
リプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシ
ドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチ
レンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチ
レンイミン等の多価アミン化合物や、それらの無機塩な
いし有機塩(例えば、アジチニウム塩等);2,4−ト
リレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレン
ビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;1,3
−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオ
キソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオ
キソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオ
キソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラ
ン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキ
ソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4
−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジ
メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオ
キソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合
物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メ
チルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物、およ
び、その多価アミン付加物(例えばハーキュレス製カイ
メン;登録商標);亜鉛、カルシウム、マグネシウム、
アルミニウム、鉄、ジルコニウム等の水酸化物又は塩化
物等の多価金属化合物等が挙げられる。これら表面架橋
剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を適宜混
合して用いてもよい。これら表面架橋剤のなかでも、多
価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合
物やそれらの塩、アルキレンカーボネート化合物からな
る群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好適であ
る。
【0083】また、上記吸水剤の製造方法において、本
願発明者等が以前に特開平6−184320号公報(米
国特許第5422405号公報)にて提案したように、
カルボキシル基と反応し得る架橋剤が、溶解度パラメー
タ(SP値)の互いに異なる第一表面架橋剤及び第二表
面架橋剤を組み合わせてなる場合には、加圧下吸収倍率
がさらに一層優れた吸収剤を得ることができる。尚、上
記の溶解度パラメータとは、化合物の極性を表すファク
ターとして一般に用いられる値である。本発明において
は、上記の溶解度パラメータに対して、ポリマーハンド
ブック第3版(WILEY INTERSCIENCE社発行)527頁〜
539頁に記載されている溶媒の溶解度パラメータδ(c
al/cm3)1/2の値を適用することとする。また、上記の頁
に記載されていない溶媒の溶解度パラメータに関して
は、該ポリマーハンドブックの524頁に記載されてい
るSmallの式に、同525頁に記載されているHo
yの凝集エネルギー定数を代入して導かれる値を適用す
ることとする。
【0084】上記の第一表面架橋剤は、カルボキシル基
と反応可能な、溶解度パラメータが12.5(cal/cm3)
1/2以上の化合物が好ましく、13.0(cal/cm3)1/2
上の化合物がより好ましい。
【0085】また、上記の第二表面架橋剤は、カルボキ
シル基と反応可能な、溶解度パラメータが12.5(cal
/cm3)1/2未満の化合物が好ましく、9.5(cal/cm3)1/2
〜12.0(cal/cm3)1/2の範囲内の化合物がより好まし
い。
【0086】これら架橋剤の使用量は、用いる化合物や
それらの組み合わせ等にもよるが、吸水性樹脂の固形分
100重量部に対して、0.001重量部〜10重量部
の範囲内が好ましく、0.01重量部〜5重量部の範囲
内がより好ましい。
【0087】上記の架橋剤を用いることにより、吸水性
樹脂の表面近傍の架橋密度を内部よりも高くすることが
できる。また、架橋剤の使用量が10重量部を越える場
合には、不経済となるばかりか、吸水剤における最適な
架橋構造を形成する上で、架橋剤の量が過剰となるた
め、好ましくない。さらに、架橋剤の使用量が0.00
1重量部未満の場合には、吸水剤における加圧下吸収倍
率等の性能を向上させる上で、その改良効果が得られ難
いため、好ましくない。
【0088】本発明において、吸水性樹脂と架橋剤とを
混合する際には、溶媒として水を用いることが好まし
い。水の使用量は、吸水性樹脂の種類や粒径、含水率等
にもよるが、吸水性樹脂の固形分100重量部に対し
て、0を越え、20重量部以下が好ましく、0.5重量
部〜10重量部の範囲内がより好ましい。また、表面架
橋以外の目的で水性液を添加する場合には、その水の量
は通常400重量部以下程度であれば十分均一な混合が
可能である。
【0089】従来、70重量部〜400重量部程度の多
量の水を混合するには、造粒以外の手法では、剪断力
を伴う強力な混合機を用いるか、混合後、得られた一
体化したゲルの塊を粉砕する必要があり、また、造粒に
は、混合助剤としての不溶性無機微粉末や水溶性高分
子、親水性有機溶媒、界面活性剤等を必要とし、これら
の方法は、造粒強度や物性の低下を伴う上、コスト的に
も好ましくないものであった。これに対し、本発明は、
これらの問題が生じないばかりか、従来とは異なり、吸
水性樹脂粒子が水性液との混合で直接含水ゲル状造粒物
に造粒されるので、物性低下を伴う混合助剤の添加やゲ
ルの粉砕工程等を必要としない。
【0090】また、吸水性樹脂と架橋剤とを混合する際
には、必要に応じて、溶媒として親水性有機溶媒(水性
液)を用いてもよい。上記の親水性有機溶媒としては、
例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プ
ロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチ
ルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアル
コール等の低級アルコール類;アセトン等のケトン類;
ジオキサン、テトラヒドロフラン、メトキシ(ポリ)エ
チレングリコール等のエーテル類;ε−カプロラクタ
ム、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメ
チルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。
親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂の種類や粒径、
含水率等にもよるが、吸水性樹脂の固形分100重量部
に対して、20重量部以下が好ましく、0.1重量部〜
10重量部の範囲内がより好ましい。また、欧州特許第
0668080号公報に示された無機酸、有機酸、ポリ
アミノ酸を存在させてもよい。
【0091】本発明において、上記の吸水性樹脂と架橋
剤との混合は、吸水剤の製造装置を構成し、吸水剤の製
造に供せられる特定の高速攪拌型の連続押出式混合機に
て行われる。尚、上記高速攪拌型の連続押出式混合機の
構成および該連続押出式混合機を用いた吸水性樹脂と架
橋剤との混合については、後に詳述する。
【0092】そして、上記高速攪拌型の連続押出式混合
機にて架橋剤と混合された吸水性樹脂は、さらに、必要
に応じて加熱処理が施されることによって、その表面近
傍が架橋され、この結果、吸水剤が得られる。この場
合、上記吸水性樹脂の表面近傍で架橋剤を反応させるに
は、架橋剤の反応性、製造装置の簡易性、および生産性
を考慮すると、加熱処理を行うことが好ましい。
【0093】上記吸水性樹脂と架橋剤との混合物を加熱
処理する際の処理温度は、用いる架橋剤の種類や目的と
する架橋密度等に応じて適宜決定され、特に限定される
ものではないが、好ましくは80℃以上であり、さらに
好ましくは100℃〜250℃の範囲内であり、特に好
ましくは120℃〜210℃の範囲内である。処理温度
が80℃未満の場合には、加熱処理に時間がかかるの
で、生産性の低下を引き起こすのみならず、均一な表面
架橋が達成されず、得られる吸水剤の加圧下の吸収特性
の低下および架橋剤の残存を招き易い。
【0094】上記の加熱処理は、通常の乾燥機又は加熱
炉を用いて行うことができる。該乾燥機としては、例え
ば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、デスク乾燥
機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、及び赤外線乾燥機等
が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0095】次に、本発明において用いられる高速攪拌
型の連続押出式混合機の構成を、該連続押出式混合機を
用いた吸水性樹脂と架橋剤との混合方法と合わせて、以
下に説明する。
【0096】本発明に係る上記連続押出式混合機は、カ
ルボキシル基を有する吸水性樹脂と、このカルボキシル
基と反応し得る架橋剤等を含む水性液とを混合すべく、
固定円筒の内部における回転軸の周りに、上記吸水性樹
脂に押し出し推力を与える少なくとも一種の攪拌部材が
設けられた構成を有している。上記連続押出式混合機に
おいて、上記攪拌部材は、上記固定円筒内に供給された
吸水性樹脂を分散させる分散領域としての第一領域と、
上記第一領域よりも排出側に設けられ、かつ、上記分散
領域において分散された吸水性樹脂と上記水性液とを混
合する混合領域としての第二領域とを形成するように設
けられている。
【0097】そして、本発明において、上記攪拌部材
は、上記分散領域と混合領域とを形成すべく、上記固定
円筒内に供給された吸水性樹脂を分散させる第一領域に
おける押し出し推力よりも押し出し推力が小さい第二領
域を排出側に形成するように設けられている。
【0098】つまり、上記攪拌部材は、その形状や配設
密度、配置の仕方、吸水性樹脂押出面と回転軸に垂直な
平面とのなす角度(或いは吸水性樹脂押出面と吸水性樹
脂押し出し方向である回転軸の軸方向に平行な平面との
なす角度)等を調整することにより、上記固定円筒内部
に、吸水性樹脂に対する押し出し推力が異なる領域を形
成するようになっている。尚、上記攪拌翼における吸水
性樹脂押出面とは、吸水性樹脂に回転軸と平行な押し出
し推力を与える面を示す。
【0099】上記連続押出式混合機において、上記第一
領域では、固定円筒内に供給された吸水性樹脂に、連続
押出式混合機の内部へと十分な押し出し推力を与え、分
散させるようになっている。そして、上記第二領域で
は、上記第一領域における押し出し推力よりも押し出し
推力を小さくすることで、吸水性樹脂の平均速度を低下
させ、上記吸水性樹脂と水性液との混合攪拌時間を十分
に確保すると共に、上記第一領域にて分散された吸水性
樹脂と、水性液とを素早く均一に混合するようになって
いる。
【0100】一方、吸水性樹脂と架橋剤や架橋剤を含む
処理液等の水性液との混合に用いられる従来の高速攪拌
型の連続押出式混合機は、同一形状の複数の攪拌翼が、
等間隔かつその翼面の向きが同一となるように、回転軸
の周りに複数配設されたものである。つまり、上記従来
の連続押出式混合機(米国特許5140076号公報)
は、その内部における押し出し推力が一定であり、吸水
性樹脂に水性液を均一に付着、混合させることはできな
かった。このため、この従来の連続押出式混合機にて混
合して得られる吸水剤は、処理剤による表面架橋が不均
一となり、その吸水特性を最終製品中まで保持するとい
う面からは未だ十分なものではなかった。
【0101】しかし、本発明の連続押出式混合機では、
攪拌部材(例えば攪拌翼)が、上記分散領域の排出側に
混合領域を有するように設けられているため、吸水性樹
脂と水性液との混合が2種以上の攪拌状態を有するよう
に行われる。この結果、カルボキシル基を有する吸水性
樹脂とこのカルボキシル基と反応し得る架橋剤等を含む
水性液との混合が効率よく行われ、均一な混合を行うこ
とができる。尚、以下、特に断りのない限り、単に連続
押出式混合機と記する場合には、本発明の連続押出式混
合機を示す。
【0102】本発明において、上記押し出し推力の測定
方法は特に限定されず、種々の方法を用いることができ
る。上記押し出し推力の測定方法としては、例えば、
上記各領域における攪拌部材によって生じる風速や流速
等を測定する方法、上記固定円筒断面にかかる圧力を
測定する方法、上記各領域における攪拌部材の吸水性
樹脂押出面と回転軸に垂直な平面とのなす角度等から計
算によって測定する方法等が挙げられる。
【0103】上記攪拌部材は、吸水性樹脂の供給側より
も排出側に、吸水性樹脂の供給側よりも押し出し推力が
小さくなる領域を有するように設けられてさえいれば、
その形状や配置の仕方等は、特に限定されるものではな
い。
【0104】上記攪拌部材は、例えばスクリューコンベ
ヤに見られるような、連続した1枚のねじ翼状の攪拌部
材(攪拌翼)でもよいし、それぞれ独立して設けられた
複数の例えば翼状等の攪拌部材(攪拌翼)でもよい。
【0105】また、上記複数の攪拌部材は、形状の異な
る2種類以上のものであってもよいし、同一形状のもの
であってもよい。
【0106】このような連続押出式混合機の構成として
は、例えば、前記回転軸の周りに、吸水性樹脂に押し出
し推力を与える複数の第一の攪拌部材と、これら第一の
攪拌部材の排出側にこれら第一の攪拌部材の配設領域に
おける押し出し推力よりも押し出し推力が小さくなる領
域を形成する複数の第二の攪拌部材とが配されている構
成が挙げられる。
【0107】この場合、上記の第一の攪拌部材は板状に
形成されていることが、吸水性樹脂に押し出し推力を与
える形状として好ましい。さらに、第二の攪拌部材は例
えば円柱状に形成されていることが、その配設領域にお
ける押し出し推力を上記第一の攪拌部材の配設領域にお
ける押し出し推力よりも小さくし、混合攪拌を十分に確
保する形状として好ましい。
【0108】このように、上記第二の攪拌部材が円柱状
に形成されている場合には、一般的に押し出し推力は生
じない。このため、上記第二の攪拌部材の配設領域にお
いて吸水性樹脂が受ける押し出し推力は、上記第一の攪
拌部材によって生じた押し出し推力である(但し、この
場合は、押し出し推力は次第に小さくなる)。この結
果、上記第二の攪拌部材の配設領域では、上記第一の攪
拌部材の配設領域における押し出し推力よりも押し出し
推力が小さくなり、吸水性樹脂の平均速度が低下するの
で、上記第二の攪拌部材によって効率的に水性液と混合
される。
【0109】但し、上記第二の攪拌部材が円柱状に形成
されている場合、単独では押し出し推力は生じないが、
複数配設され、かつ、その配設間隔が十分に狭ければ、
その配列の仕方によっては吸水性樹脂排出方向への推力
が逆向きの推力よりも大きくなる場合があり、この場合
には、吸水性樹脂排出方向への押し出し推力が生じる。
【0110】つまり、上記第二の攪拌部材は、その配設
領域において、上記第一の攪拌部材の配設領域よりも押
し出し推力が小さくなるように形成されていればよく、
上記連続押出式混合機の構成としては、例えば、回転軸
の周りに、吸水性樹脂供給側に設けられて押し出し推力
を生じる形状に形成された複数の第一の攪拌部材と、こ
れら第一の攪拌部材よりも排出側に設けられ、かつ、第
一の攪拌部材よりも小さい押し出し推力を生じる形状に
形成された複数の第二の攪拌部材とが順次配されている
構成であってもよい。
【0111】この場合、上記の第一の攪拌部材および第
二の攪拌部材は板状に形成されていることが押し出し推
力を生じる形状として好ましい。但し、上記第二の攪拌
部材は、第一の攪拌部材よりも押し出し推力が小さくな
るように、第一の攪拌部材の面積よりも小さな面積を有
する形状に形成されていることが好ましい。
【0112】また、上記各領域に設けられる攪拌部材の
種類は、一種類に限定されない。例えば、上記第二領域
に上記第一の攪拌部材と第二の攪拌部材とを混合して設
けることにより、その押し出し推力を調整してもよい。
具体的には、上記第二領域に、円柱状の攪拌部材と板状
の攪拌部材とを混在させることにより、上記第二領域で
は、該第二領域に配設された板状の攪拌部材の配設数や
配設の仕方等に応じた押し出し推力が得られる。
【0113】さらに、上記連続押出式混合機における複
数の攪拌部材は、順次、螺旋状に並び配されていること
が好ましい。これによって、押し出し推力を十分に確保
することができると共に、吸水性樹脂等を円滑に押し出
すことができる。
【0114】一方、上記攪拌部材として、一枚のねじ翼
状の攪拌部材を用いる場合には、上記攪拌部材が、例え
ば第二領域となるべき部分に、切り込みや開口部を有し
ている構成あるいは、第二領域となるべき部分の翼幅が
しだいに狭くなるような構成とすることで、上記固定円
筒内に押し出し推力が異なる領域を形成することができ
る。
【0115】さらに、上記連続押出式混合機の構成とし
ては、例えば、吸水性樹脂に対する押し出し推力が異な
る領域を形成すべく、少なくとも一種の攪拌部材が、そ
の吸水性樹脂押出面と回転軸に垂直な平面とのなす角度
(以下、単に角度あるいは吸水性樹脂押出面の角度と称
することもある)を上記第一領域と第二領域とで異にし
て設けられている構成としてもよい。
【0116】具体的には、例えば攪拌部材として攪拌
翼を用いる場合に、攪拌翼の翼面の向きを第一領域と第
二領域とで変えたり、上記攪拌翼を螺旋状に配置する
際に、第一領域と第二領域とで螺旋の傾きを変えたり、
回転軸に対する攪拌部材の取付け角度を第一領域と第
二領域とで変えることにより、攪拌部材における吸水性
樹脂押出面と回転軸に垂直な面とのなす角度を第一領域
と第二領域とで変えることができる。
【0117】この場合、上記攪拌部材が押し出し推力を
生じるためには、上記吸水性樹脂押出面が回転軸に垂直
な平面に対して傾斜するように(言い換えれば、吸水性
樹脂押出面が吸水性樹脂排出方向である回転軸の軸方向
に平行な平面に対して傾斜するように)攪拌部材を配す
ればよい。
【0118】但し、本発明において、上記攪拌部材は、
それ単独、或いは、複数個配設されることによって攪拌
機能を有するものであればよく、上記第一領域において
押し出し推力を生じるような形状および角度を有してさ
えいれば、固定円筒内に配設される全ての攪拌翼が押し
出し推力を生じる形状、さらには、上述した角度を有し
ている必要はない。
【0119】また、上記第二領域では、上記第二領域全
体における吸水性樹脂排出方向への押し出し推力が、上
記第一領域におけるそれよりも小さければよく、吸水性
樹脂を排出側に押し出すことができさえすれば、第一領
域における押し出し推力の大きさにもよるが、例えば、
上記第二領域では、攪拌部材の上記角度を、押し出し推
力を生じない角度或いは吸水性樹脂排出方向とは逆向き
の推力を生じる角度に設定してもよい。
【0120】さらに、上記連続押出式混合機の構成とし
ては、例えば、吸水性樹脂に対する押し出し推力が異な
る領域を形成すべく、少なくとも一種の攪拌部材が、そ
の配設密度を、上記第一領域と第二領域とで異にして設
けられている構成としてもよい。
【0121】この場合、例えば、上記第二領域における
攪拌部材の配設間隔を第一領域における攪拌部材の配設
間隔よりも広くしたり、上記第二領域における攪拌部材
の配設数を、第一領域における攪拌部材の配設数よりも
少なくすることで、上記第二領域における押し出し推力
を、第一領域における押し出し推力よりも小さくするこ
とができる。
【0122】尚、上記第一領域と第二領域とで攪拌部材
の吸水性樹脂押出面と回転軸に垂直な平面とのなす角度
や配設密度を変えることにより押し出し推力を変える方
法は、例えば第一領域と第二領域とで形状の同じ攪拌部
材を用いる場合に、特に有効である。
【0123】また、上記攪拌部材として1枚のねじ翼状
の攪拌翼を用いる場合には、ピッチを決めることによっ
て、自動的に、その取付け角度(吸水性樹脂押出面と回
転軸に垂直な平面とのなす角度)や配設密度が決まる。
【0124】本発明において、上記第一領域と第二領域
における押し出し推力は、上記した各構成を組み合わせ
ることによって、種々調整が可能である。
【0125】さらに、本発明においては、上記連続押出
式混合機における固定円筒の内面が、実質的に、水に対
する接触角が約60°以上で約70℃以上の熱変形温度
を有する基材から形成されていることが好ましい。
【0126】上記水に対する基材の接触角が約60°未
満であれば、含水した吸水性樹脂が固定円筒内面に付着
する量が多くなり、この結果、吸水性樹脂と水性液との
混合が不均一になる場合がある。一方、上記基材の熱変
形温度が約70℃未満であれば、該基材は、混合期間中
に発生する熱に十分耐えることができず、そのため安定
した混合を継続することができない場合があるので注意
を要する。
【0127】また、本発明においては、上記連続押出式
混合機における固定円筒の内径に対する回転軸の直径の
比が0.4〜0.6の範囲内であることが好ましい。
【0128】上記の比が0.4未満であれば、第二領域
において、吸水性樹脂と水性液とを混合する際に、攪拌
翼による十分な混合を受けることができなくなる虞れが
ある。一方、上記の比が0.6を越えると、固定円筒か
ら吸水性樹脂を良好に押し出すことが困難となり、安定
した混合を継続することができない場合があるので注意
を要する。
【0129】また、本発明において、上記連続押出式混
合機は、上記カルボキシル基を有する吸水性樹脂の粉末
が上記第一領域に供給投入され、水性液が、上記第二領
域、好ましくは、上記第一領域と第二領域との境界域に
供給投入されるように形成されていることが好ましい。
【0130】即ち、吸水性樹脂と水性液とを混合させる
際には、できるだけ瞬時に両者が全体的に接触する必要
がある。従って、この接触が不十分であると、凝集塊、
所謂「ダマ」が生じて混合の均一性が損なわれる。その
点、本発明に係る上記連続押出式混合機は、第一領域に
配設された攪拌部材によって吸水性樹脂の連続押出式混
合機の内部への送り込みを行い、次いで、上記第二領
域、好ましくは、上記第一領域と第二領域との境界域に
水性液を供給投入することで、第二領域に配設された攪
拌部材により瞬時に吸水性樹脂と水性液との高速攪拌混
合を行う。従って、吸水性樹脂と水性液とを十分均一
に、「ダマ」を形成させることなく混合させることがで
きる。
【0131】また、本発明において、上記吸水性樹脂が
受ける押し出し推力は、第一領域から第二領域に移行す
る際に、吸水性樹脂供給口からの距離に応じてなだらか
に変化するよりも、できるだけ大きく変化する方が好ま
しい。
【0132】つまり、上記固定円筒内に水性液が供給投
入されると、第一領域において分散された吸水性樹脂の
表面に、上記水性液が付着する。しかしながら、水性液
付着後も押し出し推力が高いままであれば、吸水性樹脂
が、攪拌部材により十分に混合されないまま押し出され
てしまう虞れがある。
【0133】このため、より均一な混合を行うために
は、上記吸水性樹脂表面に付着した水性液が該吸水性
樹脂に吸収される前に素早く混合を行うことが好ましい
と共に、上記吸水性樹脂の平均速度を低下させ、好ま
しくは、固定円筒内部の底壁に滞留させることにより、
攪拌部材と円筒内壁による機械的な混合を効率的に行わ
せ、かつ、上記吸水性樹脂と水性液との十分な混合攪拌
時間を確保することが好ましい。
【0134】従って、本発明において、上記攪拌部材
は、用いる吸水性樹脂の種類や量等に応じて上記した各
構成を組み合わせることにより、上記第一領域と第二領
域とで押し出し推力の変化ができるだけ大きくなるよう
に設けられていることが好ましい。
【0135】また、本発明では、前記した第二の攪拌部
材の排出側に、複数の第一の攪拌部材をさらに設けるこ
とによっても、排出時の押し出し推力を十分に確保で
き、排出が好適に行われることがある。
【0136】つまり、分散領域としての第一領域および
混合領域としての第二領域のさらに排出側には、上記第
二領域で混合攪拌されてなる吸水性樹脂と水性液との混
合物に、該混合物を上記連続押出式混合機の外に押し出
すための押し出し推力を与える混合物押し出し領域とし
ての第三領域が設けられていてもよい。
【0137】上記第三領域では、上記混合物を連続押出
式混合機の外に効率良く押し出すために、排出口の位置
に応じて、吸水性樹脂の排出方向に押し出し推力が生じ
るように攪拌部材が設けられている。
【0138】さらに、上記連続押出式混合機は、用いる
吸水性樹脂の種類やその他の条件等によっては、上記第
一領域および第二領領域が交互に設けられている構成を
有していてもよい。
【0139】本発明において、上記回転軸の回転数、つ
まり、上記攪拌部材の回転数は、用いる吸水性樹脂およ
び水性液の種類や量、得られる混合物の粘度等にもよる
が、10rpm〜5000rpmの範囲内に設定するこ
とが好ましく、200rpm〜4000rpmの範囲内
に設定することがさらに好ましく、500rpm〜30
00rpmの範囲内に設定することが特に好ましい。
【0140】上記回転数が小さすぎると、吸水性樹脂の
搬送速度が遅くなりすぎ、固定円筒内に滞留している吸
水性樹脂の量が多くなりすぎるので、吸水性樹脂と水性
液とを十分均一に混合することができなくなる虞があ
る。一方、上記回転数が大きすぎると、吸水性樹脂と水
性液との十分な混合攪拌時間を確保することが困難とな
り、吸水性樹脂と水性液とが十分に混合しきれないうち
に排出されてしまう虞れがある。
【0141】このように、本発明によれば、カルボキシ
ル基を有する吸水性樹脂と、このカルボキシル基と反応
し得る架橋剤等を含む水性液とを均一に混合することが
できるので、上記吸水性樹脂の表面近傍を適度な深さで
均一に架橋させることができる。
【0142】このため、以上の製造方法により得られた
吸水剤は、従来の混合機により得られる吸水剤と比べ
て、吸水特性、特に、加圧下での吸収倍率等の特性に優
れている。
【0143】また、上述のように、本発明の吸水剤は、
該吸水剤の圧力50g/cm2 での吸収倍率をPとし、
上記吸水剤に所定の荷重を加えることにより衝撃力
(A)を与え、その衝撃後の吸水剤における同一圧力
(50g/cm2 )での吸収倍率をQとした時、 P≧20(g/g) であり、かつ、 Q/P≧0.85 となる。
【0144】さらに、本発明の吸水剤は、該吸水剤の圧
力50g/cm2 での吸収倍率をYとし、上記吸水剤に
所定の振動を与えることにより衝撃力(B)を与え、そ
の衝撃後の吸水剤における同一圧力(50g/cm2
での吸収倍率をXとした時、 X≧20(g/g) であり、かつ、 Y/X≧0.90 となる。
【0145】従って、本発明によれば、製造プラントに
おける搬送やユーザにおける最終製品の加工等を行った
後にもその優れた吸水性能を維持し、最終製品中におい
て、その使用方法を選ばず常に優れた特性を維持する吸
水剤を得ることができる。
【0146】また、本発明では、上述したように、上記
吸水剤の製造を、優れた混合性を有する特定の連続押出
式混合機を用いて行っている。
【0147】このため、従来の混合機を用いた吸水剤の
製造方法では、吸水性樹脂と水性液との混合をより均一
にするため、吸水性樹脂の粒径分布を狭くしたり、15
0μm以下の粒径を有する粉末、つまり、吸水性樹脂微
粉末(以下、単に微粉末と記す場合もある)の量を特定
範囲内に制御する必要があったが、本発明によれば、こ
のような粒径の制御を厳密に行わなくても、常に優れた
混合性を実現することができる。従って、本発明によれ
ば、粒径150μm以下の微粉末の含有量が多くても、
加圧下での吸収倍率等の諸特性を向上させることができ
る。
【0148】本発明では、このように、厳密な粒径の制
御を必ずしも必要としない。しかしながら、取り扱い性
の向上やさらなる物性の向上を目的として、上記吸水性
樹脂の製造工程で得られた微粉末、具体的には、粒径1
50μm以下、特に75μm以下の微粉末を分級して除
去することで、微粉末を低減した、粒度分布の狭い吸水
性樹脂を吸水剤の原料として用いてもよい。
【0149】本発明において除去された微粉末は、廃棄
することなく、上記連続押出式混合機を用いて造粒する
ことにより、回収し、再び吸水剤の原料として用いるこ
とができる。つまり、上記連続押出式混合機は、吸収剤
の製造において、表面架橋のみならず、吸水性樹脂の造
粒にも用いることができる。
【0150】上記吸水剤の原料として、造粒によって得
られた表面積の大きな吸水性樹脂(吸水性樹脂造粒物)
を用いることで、該吸水性樹脂造粒物を架橋してなる表
面積の大きな造粒物(架橋造粒物)を含む吸水剤を得る
ことができる。本発明において、上記造粒に用いられる
微粉末は、吸水剤の製造工程によって除去されたもので
あってもよいが、吸収速度の向上を目的として、粉砕な
いし重合条件を調整して意図的に製造したものであって
もよい。さらに、本発明では、微粉末を除去せず、微粉
末を含む吸水性樹脂をそのまま表面架橋した後、得られ
た微粉末を含む吸水剤をさらに造粒してもよい。
【0151】つまり、本発明において用いられる吸水剤
が、表面積の大きな架橋造粒物を含むことで、さらに高
吸収速度の吸水剤を得ることができる。
【0152】以下に、吸水性樹脂の造粒方法並びに該造
粒方法を用いた吸水剤の製造方法について説明する。本
発明において、吸水剤の原料として造粒に用いられる吸
水性樹脂は、微粉末(例えば粒径150μm以下)のみ
でもよいし、このような微粉末を含む吸水性樹脂でもよ
い。また、微粉末を含む吸水剤をそのまま造粒してもよ
い。さらに、上記微粉末としては、上述したように、吸
水剤の製造工程で上記微粉末と微粉末よりも粒径の大き
な吸水性樹脂との混合物(つまり、重合後の吸水性樹
脂)から分級されたものであってもよいし、吸収速度の
向上を目的として粉砕ないし重合条件を調整して意図的
に製造されたものであってもよい。また、造粒に用いら
れる吸水性樹脂は表面架橋が施されていてもよいし、施
されていなくてもよい。
【0153】上記吸水性樹脂ないしその微粉末を造粒す
る際には、バインダーとして、水性液、特に水を用いる
ことが好ましい。上記吸水性樹脂を造粒する際には、上
記バインダーとしての水性液の使用量は、吸水性樹脂の
種類や粒径、含水率等にもよるが、吸水性樹脂100重
量部に対して、0を越え、400重量部以下の範囲内と
すればよい。吸水剤の原料として吸水性樹脂造粒物或い
は吸水性樹脂造粒物を含む吸水性樹脂を用いることで、
吸収速度の速い吸水剤を得ることができる。
【0154】そして、本願発明者等の検討によれば、最
終製品中において、高物性で且つその使用方法を選ば
ず、常に優れた特性を発揮することができるように造粒
強度に優れた吸水剤を得るためには、上記バインダーと
しての水性液の使用量は、吸水性樹脂100重量部に対
して、70重量部以上、つまり、70重量部〜400重
量部の範囲内であることが好ましく、80重量部〜20
0重量部の範囲内であることが特に好ましく、100重
量部〜180重量部の範囲内であることが、物性面、造
粒強度、混合性等から最も好ましいことが判った。
【0155】上記水性液の使用量が400重量部を越え
ると、水性液の添加量の増加に見合った造粒強度の向上
効果が得られず、乾燥コスト等の面で不利益である。ま
た、上記水性液の使用量が400重量部を越えると、本
発明の連続押出式混合機を用いても、物性低下や、吸水
性樹脂と水性液(バインダ)とを十分均一に混合するこ
とができなくなる虞れがある。尚、上記水性液として
は、物性や造粒強度の面から、その90重量%以上、好
ましくは99重量%以上、より好ましくは99重量%〜
100重量%の範囲内が水であることが好ましく、水の
みからなることが特に好ましい。
【0156】一方、上記水性液の使用量が70重量部よ
りも少ない場合、造粒強度が不十分となり、最終製品中
において、その使用方法を選ばず、常に優れた特性を発
揮することができなくなる虞れがある。特に、水性液の
使用量が少なすぎる場合、造粒強度が不十分となり易い
ばかりか、得られる含水ゲル状造粒物の粘着力が強くな
り、例えば、水の添加量が30重量部〜65重量部の範
囲内では、上記含水ゲル状造粒物が混合機の固定円筒内
面等に付着したり、互いに凝集し易いという問題が生じ
る。この結果、水性液の使用量を減らしたにも拘らず乾
燥に不利となることがあるので、注意を要する。
【0157】つまり、造粒強度を向上させるためには、
吸水性樹脂に対して所定量以上の水性液を添加する必要
がある。
【0158】しかしながら、従来は、その混合機の問題
から、造粒のための水性液の混合機として、前記した高
速攪拌型ミキサ(米国特許第5002986号公報、米
国特許第4734478号公報)や、特定の噴霧連続造
粒機(米国特許第5360148号公報)、流動床(欧
州特許第05342899号公報)等を用いても、吸水
性樹脂100重量部に対して均一かつ安定に添加できる
水性液の量は、約30重量部が限界であった。
【0159】また、造粒以外の手法として、上記微粉末
と水性液との混合に剪断混合機(欧州特許第04177
61号公報)やナウタ混合機(米国特許第495069
2号公報)を用いる場合には、その強い剪断力のため、
100重量部を越える水性液の添加、混合も可能である
が、得られる混合物は一体化してしまい、造粒物とはな
らない上、あまり大きな力で混練すると、その剪断力で
吸水性樹脂が劣化するという問題点を有している。
【0160】一般的に、上記吸水性樹脂に対する水性液
の添加量が60重量部を越えると、上記吸水性樹脂はゲ
ル化して含水ゲルとなる。この場合、上記剪断混合機
は、その剪断力により吸水性樹脂と水性液とを混練する
ので、得られる含水ゲルは粒子状の造粒物(凝集体)と
はならず、連続的かつ一体化した巨大なゲル状物とな
る。このため、上記含水ゲルは表面積が小さくなり、そ
のままでは乾燥が行えず、別途、剪断によるゲルの粉砕
(米国特許第4950692号公報)を一般に必要とす
る。このため、吸水速度の低下や、上記粉砕工程によっ
ても、吸水性樹脂造粒物が劣化するという問題点もまた
有している。
【0161】また、水の混合性の改良にために不溶性無
機粉末や水溶性高分子等の混合助剤を用いる方法(欧州
特許第0644224号公報)では、未だ混合が不均一
である上、かえって造粒強度や諸物性の低下を引き起こ
す。
【0162】従って、造粒強度や諸物性を向上させるた
めには、吸水性樹脂に対する水性液の添加量を所定範囲
内に設定すると共に、上記吸水性樹脂と水性液とを混練
(剪断)することなく均一混合させ、造粒物(凝集体)
を直接得ることが重要である。本発明によれば、特定の
連続押出式混合機を用いることで、従来、造粒に用いら
れた混合助剤や、造粒以外に用いられたゲルの粉砕を行
うことなく、初めて、実質、水と微粉末とから含水ゲル
状造粒物が得られるようになった。
【0163】本発明では、前述の連続押出式混合機を用
いることにより、上記の条件をクリアした。つまり、本
発明では、上記連続押出式混合機を用いることにより、
水性液の量が多い場合でも、吸水性樹脂と水性液とを混
練することなく、しかも、物性の低下を引き起こす混合
助剤を用いずとも均一に混合することが可能である。し
かも、上記連続押出式混合機を用いて得られた含水ゲル
は粒子状であり、通常は、個々の含水ゲルが凝集した不
連続な粒子状造粒物としてそのまま乾燥させることがで
きる。尚、個々の含水ゲルが不連続な粒子状造粒物(凝
集体)となっていることは、光学顕微鏡写真によって、
個々の粒子がその形状を保ったまま複数個集まり凝集し
ている事実や、吸水時の不連続粒子として膨潤する事実
で確認できる。従って、水と微粉末とから直接、含水ゲ
ル状造粒物を得る本発明では、従来のように、混合助剤
や剪断によるゲルの粉砕を必要としないので、吸水性樹
脂造粒物の劣化を防止することができる。
【0164】本発明において、上記造粒に用いられる水
性液としては、例えば、水や、前述した親水性有機溶媒
等が挙げられる。そのなかでも、上記水性液として好ま
しくは、水単独ないし少量の架橋剤を含む水である。こ
の場合、上記架橋剤としては、例えば前述した種類や使
用量の表面架橋剤を用いることができる。このように、
上記水性液に架橋剤を併用することで、水可溶成分の低
減や、造粒強度のさらなる向上を図ることができる。
【0165】また、上述したように、本発明の連続押出
式混合機は、混合性に極めて優れている。これにより、
多量の水性液を安定的に混合することができると共に、
連続造粒能や生産性を向上させることができる。尚、上
記連続押出式混合機における上記吸水性樹脂および水性
液の混合方法は、前記吸水剤の製造方法において説明し
た通りである。
【0166】本発明において、上記吸水性樹脂として微
粉末のみを造粒する場合、上記微粉末の平均粒径は15
0μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、実質
150μm以下の粒径を有する粒子を、70重量%以
上、さらには、90重量%以上含んでいることが好まし
い。また、微粉末の形状としては、造粒強度の面から、
逆相懸濁重合で得られた球形よりも、水溶液重合で得ら
れた不定形のものが好ましい。さらに、上記微粉末とし
ては、表面架橋が施される前の微粉末がより好ましい。
【0167】また、本発明において、得られる含水ゲル
状造粒物の平均粒径は、0.3mm〜10mmの範囲内
であることが好ましく、0.5mm〜8mmの範囲内で
あることがさらに好ましく、1mm〜5mmの範囲内で
あることが特に好ましい。上記含水ゲル状造粒物の粒径
が0.3mmよりも小さければ、造粒される割合が低い
上、上記含水ゲル状造粒物を乾燥してなる乾燥造粒物の
造粒強度が不十分となる虞れがある。また、上記含水ゲ
ル状造粒物の粒径が10mmを越える場合には、物性が
低下したり、微粉末が増加する場合がある。
【0168】つまり、より一層造粒強度に優れ、かつ、
加圧下での吸収倍率や吸収速度等の特性に優れる吸水剤
を得るためには、適度な粒径を有する粒子状の含水ゲル
状造粒物を得た後、該含水ゲル状造粒物を乾燥させ、収
縮させることが好ましい。
【0169】このように、本発明の造粒方法では、水性
液、特に水を添加後、好ましくは乾燥することで更に造
粒強度を向上させることができる。
【0170】上記水性液の添加量が10重量未満の場合
には、特に乾燥は行わなくてもよいが、水性液を70重
量部以上加える場合には、乾燥により、得られる含水ゲ
ル状造粒物を収縮させることが必要である。
【0171】上記吸水性樹脂は、多量の水性液を添加し
た後、乾燥することで強固に一体化され、図19の電子
顕微鏡写真に示すように、ほぼ凝似一次粒子の造粒物
(微粉末の凝集体)となる。このように、吸水性樹脂微
粉末が造粒によりほぼ凝似一次粒子の造粒物(微粉末の
凝集体)になっていることは、20倍〜100倍、好ま
しくは30倍〜50倍に拡大した電子顕微鏡写真で造粒
前の粒子と造粒後の粒子とを比較すれば容易に判断する
ことができる。また、この粒子が造粒物(微粉末の凝集
体)であることは、含水ゲル状造粒物の光学顕微鏡写真
ないし含水ゲル状造粒物の乾燥物を粉砕せずに撮影した
電子顕微鏡写真によって、個々の粒子の凝集を確認でき
る事実や、大過剰の水の中では、該粒子が、造粒前の複
数の粒子に分かれて不連続に膨潤する事実で判る。
【0172】本発明において、上記含水ゲル状造粒物を
乾燥させる際には、上記含水ゲル状造粒物を実質粉砕や
混練せず、そのまま乾燥させることが望ましい。つまり
上記含水ゲル状造粒物の乾燥は、吸水性樹脂の粉末(微
粉末)から直接得られた含水ゲル状造粒物を粉砕や混練
しない条件下において行われる。
【0173】本発明において、上記乾燥方法は特に限定
されず、例えば、前述の乾燥機または加熱炉が好適に用
いられる。また、乾燥温度は、特に限定されるものでは
ないが、比較的高温で乾燥させることが造粒強度の点か
ら好ましい。上記乾燥温度としては、具体的には、11
0℃〜300℃の範囲内、好ましくは120℃〜200
℃の範囲内、さらに好ましくは150℃〜180℃の範
囲である。上記含水ゲル状造粒物を上記の乾燥温度にて
乾燥させると、粒子状の含水ゲル状造粒物が乾燥時によ
り収縮し、その結果、強固な吸水性樹脂造粒物を得るこ
とができるので好ましい。尚、上記含水ゲル状造粒物を
乾燥させる際には、該含水ゲル状造粒物を単独で乾燥さ
せてもよいし、前述の水溶液重合ないし逆相懸濁重合で
得られた乾燥前のゲル状重合体と混合して一緒に乾燥さ
せてもよい。この場合、乾燥には、前述した通常の乾燥
機や加熱炉が用いられる。
【0174】このようにして得られた粒子状の乾燥造粒
物は、乾燥によって収縮して強固な乾燥造粒物となって
いるが、必要に応じてさらに粉砕して粒度調整してもよ
い。上記乾燥造粒物の粉砕方法としては、特に限定され
るものではないが、例えば、振動ミルやロールグラニュ
レター型粉砕機等が好適に用いられる。
【0175】以上のように、本発明の吸水性樹脂造粒物
は、吸水性樹脂100重量部に対して70重量部〜40
0重量部の水性液を特定の連続押出式混合機にて混合
後、得られた粒子状の含水ゲル状造粒物を、該含水ゲル
状造粒物を粉砕しない条件下で乾燥させることによって
容易に得ることができる。
【0176】本発明において、上記の方法により得られ
た吸水性樹脂造粒物の平均粒径は、200μm〜800
μmの範囲内であることが好ましく、200μm〜50
0μmの範囲内であることがさらに好ましい。即ち、本
発明では、150μm以下(平均粒径としては例えば1
00μm以下)の粒子を平均粒径で200μm〜800
μmに造粒することが好ましい。
【0177】上記吸水性樹脂造粒物は、従来の吸水性樹
脂造粒物と異なり、はるかに優れた造粒強度を有する
上、物性低下もない。しかも、上記吸水性樹脂造粒物
は、図19で示す電子顕微鏡写真に示すように、驚くべ
きことに多孔質の凝似一次粒子に造粒されており、高吸
収速度を示す。
【0178】従って、上述したように上記造粒工程を経
て得られた吸水性樹脂造粒物にさらに前述の表面架橋を
施すことにより、優れた高加圧下吸収倍率や造粒強度、
高吸収速度を示す吸水剤を得ることができる。尚、該吸
水剤の無加圧下での吸収倍率は20g/g以上、好まし
くは25g/g以上、さらに好ましくは30g/g以上
である。
【0179】即ち、本発明における吸水剤の製造方法と
しては、平均粒径10μm〜150μmの吸水性樹脂1
00重量部に水性液70重量部〜400重量部を混合し
て平均粒径0.3mm〜10mmの粒子状の含水ゲル状
造粒物を得た後、粉砕しない条件下、110℃〜300
℃で収縮乾燥し、次いで、得られた平均粒径200μm
〜800μmの吸水性樹脂造粒物をさらに表面架橋する
方法が最も好ましい。
【0180】上記の製造方法を用いれば、高加圧下の吸
収倍率が20g/g以上、好ましくは25g/g以上で
あり、吸収速度が25秒以下、好ましくは20秒以下で
あり、かつ、造粒破壊率が10重量%以下、好ましくは
5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下、特に好
ましくは1重量%以下という優れた性能を有する吸水剤
が得られる。
【0181】このように、本発明によれば、従来の造粒
方法ではそれぞれ相反する特性であり、同時には満足し
得ない物性であった高加圧下での吸収倍率、造粒強度、
吸収速度の3つの物性を、初めて同時に満足することが
できる吸水剤を得ることができる。
【0182】つまり、従来の造粒方法では、表面架橋後
に造粒する場合、造粒後に表面架橋を施す場合、造粒と
同時に表面架橋する場合の何れの場合であっても、前述
したように、造粒による表面破壊や物性の低下が生じ易
く、高加圧下での吸収倍率、吸収速度、造粒強度の3つ
の物性を同時に満足することができる吸水剤を得ること
はできなかった。特に、混合助剤の使用は、得られる吸
水性樹脂造粒物の物性や造粒強度の低下を引き起こし易
いという問題がある。これに対し、本発明によれば、粒
子状の含水ゲル状造粒物を経て、凝似一次粒子に造粒さ
れた多孔質造粒粒子(凝集体)の表面を架橋することで
上記物性を全て同時に満足させることができる吸水剤を
得ることができる。本発明では、上記造粒には混合助剤
を用いず、実質、水単独ないし少量の架橋剤を含む水が
好適に用いられる。
【0183】また、本発明において、上記造粒方法は、
表面架橋された吸水剤中に含まれる比較的少量の微粉末
を造粒する場合や、他の水溶性化合物との複合化にも適
用することができる。但し、この場合には、上記バイン
ダーや溶液としての水性液の使用量は、吸収剤100重
量部に対して、0.1重量部〜30重量部の範囲内とす
ることが好ましく、0.5重量部〜10重量部の範囲内
とすることがさらに好ましく、1重量部〜5重量部の範
囲内とすることが特に好ましい。
【0184】上記水性液の量が多すぎると、本発明に係
る連続押出式混合機を用いたとしても表面架橋が破壊さ
れる虞れがある。一方、上記水性液の量が少なすぎる
と、十分な造粒強度が得られないので好ましくない。
【0185】本発明では、上記のように吸水剤中に含ま
れる既に表面架橋された微粉末を造粒する場合であって
も、上記吸水性樹脂造粒物を製造する場合と同様、その
造粒工程において、得られる架橋造粒物が劣化すること
がなく、造粒強度に優れた吸水剤を得ることができる。
また、該吸水剤(架橋造粒物)は、造粒によって、一次
粒子と比べて大きな表面積を有しているので、加圧下で
の吸収倍率や吸収速度等の特性に特に優れている。
【0186】また、本願によれば、上記架橋造粒物の造
粒強度として、架橋造粒物に所定の振動を与えることに
より衝撃力(B)を与え、その衝撃後の架橋造粒物の破
壊率を測定することで、該架橋造粒物の機械的ストレス
に対する強さを評価、予測することができる。このた
め、本願によれば、上記架橋造粒物の破壊率を測定する
ことで、製造プラントにおける搬送やユーザにおける最
終製品の加工等を行った後にもその優れた吸水性能を維
持し、最終製品中において、その使用方法を選ばず常に
優れた特性を維持する吸水剤を得ることができる。
【0187】本発明において、吸水剤に加えられる衝撃
力(B)は、前述した通りである。そして、上記架橋造
粒物の破壊率(以下、造粒破壊率と記す)は、上記架橋
造粒物に前述の衝撃力(B)を30分間与えた後、ガラ
スビーズと共に振動することで破壊された前記容器41
内の架橋造粒粒子の重量を測定し、この振動後の架橋造
粒粒子の重量を振動前の造粒粒子の重量で除した値であ
る。
【0188】上記架橋造粒物の造粒破壊率を測定する際
には、造粒物として、架橋造粒物30.00gが用いら
れる。つまり、上記造粒破壊率は、一定粒度の粒子を造
粒した場合、造粒前の粒度以上の粒度を有する架橋造粒
物30.00gに対して衝撃力(B)を与え、破壊さ
れ、発生した一定粒度の粒子の重量を、JIS標準篩を
用いたロータップ分級により測定することによって測定
することができる。
【0189】尚、上記の測定において、架橋造粒物に代
えて吸水性樹脂造粒物や吸水性樹脂を用いることによ
り、表面架橋前の造粒物の造粒破壊率を測定することが
できると共に、吸水性樹脂粒子の耐衝撃試験方法の一つ
として、架橋や造粒がなされていない吸水性樹脂の破壊
率の測定をも行うことができる。
【0190】このように、本発明では、上記造粒破壊率
や前記物性値Q/P、物性値Y/Xを測定することによ
り、吸水剤が造粒物(架橋造粒物)を含む場合の該吸水
剤の機械的ストレスに対する強さを評価、予測すること
ができる。つまり、これまで、吸水剤が造粒物(架橋造
粒物)を含む場合、最終製品における造粒破壊を評価し
ようとした製造プラントにおける搬送やユーザにおける
最終製品の加工等を実際に多量の吸水剤を使用して行わ
なければ、物性低下や造粒破壊率を評価することができ
なかった。しかしながら、上記の方法によれば、製造プ
ラントにおける搬送やユーザにおける最終製品の加工等
に対応した、実験室レベルでの吸水剤の簡易的な耐衝撃
試験方法を提供することができる。
【0191】従って、本発明によれば、吸水剤の機械的
ストレスに対する強さを、簡便な方法により予め評価す
ることができるので、製造プラントにおける搬送やユー
ザにおける最終製品の加工等を行った後にもその優れた
吸水性能を維持し、最終製品中において、その使用方法
を選ばず常に優れた特性を維持する吸水剤を得ることが
できる。
【0192】また、本発明では、上記した各吸水剤にさ
らに消毒剤、消臭剤、抗菌剤、香料、各種の無機粉末、
発泡剤、顔料、染料、親水性短繊維、肥料、酸化剤、還
元剤、水、塩類等を添加し、これにより、吸水剤に種々
の機能を付与させることもできる。勿論、斯かる化合物
の添加にも本発明の混合機は好適に使用できる。
【0193】さらに、上述したように、上記各吸水剤
は、これらをユーザにおいて最終製品の吸収性物品に加
工した後も、その優れた吸収特性を維持できるので、各
種の吸収性物品、特に、加圧下における吸収特性を重視
される紙オムツや生理用ナプキン、失禁パット等の吸収
体を含む衛生材料等の吸収性物品に好適である。
【0194】尚、特開平8−84927号公報、カナダ
特許公開公報第2154425号には、非反応性の水可
溶性フィルム形成ポリマーで吸水性ポリマーを被覆させ
ることにより機械的負荷によって磨耗された微粉含有量
を低減させることが記載されている。しかしながら、本
願によれば、特定の連続押出式混合機を用いることで、
上記公報のように樹脂粒子の表面部分を非反応性の水可
溶性フィルム形成ポリマー等で被覆する等の工程を必要
とせず、フィルム被覆による物性低下もない上、通常の
工程によって、機械的ストレスに強く、優れた吸収性能
を有する吸水剤を提供することができる。
【0195】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕本発明の実施の一形態について図1〜
図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0196】本実施の形態の吸水剤の製造装置の一部を
構成する高速攪拌型の連続押出式混合機1は、図1に示
すように、例えば水平に固定された固定円筒としてのケ
ーシング2を有している。
【0197】ケーシング2には、同図において右側に示
すように、粉末の吸水性樹脂を投入供給するための材料
供給口(第一供給口)3が形成されており、この材料供
給口3よりも排出側の位置には架橋剤等の水性液を投入
する液供給口(第二供給口)4が設けられている。ま
た、同図において左端側には、排出口5が形成されてい
る。
【0198】尚、このケーシング2の内面には、前記特
開平4−214734号公報に開示されているように、
水に対する接触角が60°で熱変形温度が70℃以上の
基材が内管として設けられていることが好ましい。
【0199】即ち、水に対する上記基材の接触角が約6
0°未満であれば、吸水性樹脂と水性液との混合が不均
一になる場合がある。また、熱変形温度が約70℃未満
であれば、上記基材は、混合期間中に発生する熱に十分
耐えることができない。このため、上記基材が、上記条
件を満たしていない場合、安定した混合を継続すること
ができない場合があるので注意を要する。
【0200】このようなケーシング2の内面の基材を例
示すれば、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リエステル、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂等の合成樹脂、或
いはこの合成樹脂を、ガラス、グラファイト、ブロンズ
及びモリブデンジサルファイド等の無機充填剤、又はポ
リイミド等の有機充填剤で増強してなる前記合成樹脂の
複合体が挙げられる。
【0201】また、上記物質の中でも、ポリエチレンテ
トラフルオライド、ポリエチレントリフルオライド、ポ
リエチレントリフルオロクロライド、エチレンテトラフ
ルオライド−エチレンコポリマー、エチレントリフルオ
ロクロライド−エチレンコポリマー、プロピレンペンタ
フルオライド−エチレンテトラフルオライドコポリマ
ー、パーフルオロアルキルビニルエーテル−エチレンテ
トラフルオライドコポリマー及びポリフッ化ビニル等の
フッ素樹脂が、特に望ましいものである。
【0202】一方、上記ケーシング2の内部には、駆動
モータ8によって回転駆動する回転軸6が設けられてお
り、この回転軸6の周りには、攪拌部材として、複数の
攪拌翼7…が設けられている。
【0203】上記複数の攪拌翼7…は、上記ケーシング
2内に供給された吸水性樹脂を分散させる分散領域とし
ての第一領域と、上記第一領域よりも排出口5側に設け
られ、かつ、上記分散領域において分散された吸水性樹
脂と上記水性液とを混合する混合領域としての第二領域
とを形成すべく、上記第一領域における押し出し推力よ
りも押し出し推力が小さい第二領域を排出口5側に有す
るように設けられている。
【0204】本実施の形態において、上記の複数の攪拌
翼7…は、それぞれが順次、回転軸6の周りに螺旋状に
並び配されていると共に、形状の異なる第一の攪拌翼7
a…と第二の攪拌翼7b…とからなっている。本実施の
形態において、上記第一領域には第一の攪拌翼7a…が
配されている。また、上記第二領域には、第二の攪拌翼
7b…が配されると共に、部分的に第一の攪拌翼7a…
が配されている。
【0205】上記第一の攪拌翼7aの形状は、例えば長
方形等の板状となっており、これによって、押し出し推
力を生じるようになっている。尚、上記第一の攪拌翼7
aは、必ずしも長方形等の板状に限らず、例えば、あし
ひれや蝶等のパドル状の板状とすることが可能であると
共に、平板ではなく湾曲面を有する板状であっても良
い。さらに、第一の攪拌翼7aは、図1に示すように、
その先端縁が直線的である必要はなく、例えば円弧状に
形成されていても良く、また、例えばノミ状等の刃先を
有したものであっても良い。
【0206】その他、上記第一の攪拌翼7a…の形状と
しては、円形や楕円形、三角形の板状、角柱等、押し出
し推力を生じる形状であれば、種々変更が可能である。
【0207】つまり、上記第一の攪拌翼7a…の形状や
大きさ、配設密度、配設の仕方、吸水性樹脂押出面7a
1 と回転軸6に垂直な平面とのなす角度等は、第一領域
において、ケーシング2内に供給された吸水性樹脂に、
連続押出式混合機1の内部へと十分な押し出し推力を与
え、分散させることができるように設定されてさえいれ
ば、特に限定されるものではない。
【0208】本実施の形態において、上記連続押出式混
合機1は、他の条件との兼合いもあるが、例えば、上記
第一の攪拌翼7a…の大きさを部分的に変えることによ
って、押し出し推力の調整を図っている。また、上記第
一の攪拌翼7a…は、回転軸6に対して垂直、かつ、吸
水性樹脂押出面7a1 が回転軸6に垂直な平面に対して
傾斜するように回転軸6の周りに配されている。
【0209】一方、上記第二の攪拌翼7bの形状は、例
えば円柱状となっている。また、該第二の攪拌翼7b
は、回転軸6に対して垂直となるように固定されてい
る。この場合、上記第二領域では、第二の攪拌翼7b…
によって押し出し推力は生じず、第一の攪拌翼7a…に
よってのみ押し出し推力が生じるようになっている。ま
た、僅かではあるが、上記第二の攪拌翼7b…によっ
て、抵抗を受けて押し出し推力が低下する。
【0210】従って、上記第二領域では、第一領域に比
べて吸水性樹脂の押し出し推力が小さくなり、吸水性樹
脂の平均速度が低下する。この結果、上記連続押出式混
合機1では、図2(a)・(b)に示すように、2種類
の攪拌状態によって攪拌が行われる。図2(a)に示す
ように、上記第一領域では、吸水性樹脂37は、第一の
攪拌翼7a…によって排出口5方向への押し出し推力と
受けると共に、第一の攪拌翼7a…の回転によって遠心
力を受ける。このため、上記吸水性樹脂37は、上記第
一領域では、第一の攪拌翼7a…による混合を受けず、
分散された状態でケージング2の外壁に沿って回転しな
がら第二領域に押し出される。
【0211】一方、図2(b)に示すように、上記第二
領域では、押し出し推力が第一領域よりも小さくなり、
吸水性樹脂37の平均速度が低下する。このため、吸水
性樹脂37は、ケーシング2の底壁に滞留し、第一の攪
拌翼7a…および第二の攪拌翼7b…によって、液供給
口4から供給され吸水性樹脂37表面に付着した図示し
ない水性液と混合されながら、上記第一領域から伝えら
れた押し出し推力および該第二領域に配設された第一の
攪拌翼7a…によって生じる押し出し推力によって、排
出口5側へと押し出される。
【0212】本実施の形態において、上記連続押出式混
合機1では、上記第二の攪拌翼7bの形状を円柱状とし
たが、上記第二の攪拌翼7bの形状は、これに限定され
るものではない。上記第二の攪拌翼7bの形状は、その
配設領域において、上記第一の攪拌翼7a…の配設領域
よりも押し出し推力が小さくなるように形成されてさえ
いればよい。
【0213】従って、上記第二の攪拌翼7bの形状とし
ては、例えば、押し出し推力を生じない形状であっても
よく、第一の攪拌翼7aよりも小さい押し出し推力を生
じる形状であってもよい。
【0214】ここで、押し出し推力を生じない形状とし
ては、具体的には、例えば、円柱状や、円柱状よりも細
い棒状、またはピン状等が挙げられる。また、第一の攪
拌翼7aよりも小さい押し出し推力を生じる形状として
は、第一の攪拌翼7aの形状にもよるが、押し出し推力
を生じる形状であって、かつ、第一の攪拌翼7aの面積
(吸水性樹脂押出面7a1 の面積)よりも面積が小さく
なる形状であればよい。従って、上記第二の攪拌翼7b
の形状としては、例えば、第一の攪拌翼7aよりも幅の
狭い或いは大きさが小さい板状等であってもよく、第一
の攪拌翼7aにスリットや開口部が設けられた形状であ
ってもよい。
【0215】また、上記第二の攪拌翼7bの先端形状
は、図1に示すように必ずしも平面である必要はなく、
半球面等の球面状であっても良い。
【0216】さらに、第一の攪拌翼7a…及び第二の攪
拌翼7b…は、下部に取り付けナット等が設けられてい
ても良い。また、攪拌翼7…や回転軸6に混合物が付着
するのを防止するために、攪拌翼7…や回転軸6の表面
にテフロン樹脂等による皮膜形成、メッキ処理又はテフ
ロン樹脂チューブ等による被覆を施してあることが好ま
しい。
【0217】上記連続押出式混合機1においては、円柱
状の第二の攪拌翼7b…の配設領域(第二領域)に、部
分的に第一の攪拌翼7a…が混在している。これによっ
て、上記連続押出式混合機1は、第二の攪拌翼7b…の
配設領域における押し出し推力の調整を図り得るものと
なっている。
【0218】つまり、上記押し出し推力は、例えば、攪
拌翼7の形状や、各領域における攪拌翼7…の配設密
度、或いは、攪拌翼7…の配置の仕方、吸水性樹脂押出
面7a1 と回転軸6に垂直な平行な面とのなす角度等を
調整することによって、調整することができる。
【0219】尚、上記の回転軸6の外周とケーシング2
の内壁との距離は、攪拌効率を考慮して設定するのが好
ましい。
【0220】上記板状の第一の攪拌翼7a…は、図1に
示すように、ケーシング2内に存在する回転軸6の全長
を100%とした場合、回転軸6における上記材料供給
口3の端から約35%の長さの部分に設けられている一
方、円柱状の第二の攪拌翼7b…は、上記排出口5側の
端から約65%の長さの部分に設けられている。
【0221】これにより、上記第一の攪拌翼7a…は、
カルボキシル基を有する吸水性樹脂とこのカルボキシル
基と反応し得る架橋剤等を含む水性液とに対して、連続
押出式混合機1の内部へと十分な押し出し推力を与え
る。そして、第二の攪拌翼7b…によって、第一の攪拌
翼7a…の配設領域における押し出し推力よりも押し出
し推力を小さくすることによって、混合攪拌時間を十分
に確保し、十分に混合させることができる。
【0222】尚、上記各攪拌翼7…の取り付けピッチ
は、目的とする均一混合状態に合わせて、設定すること
が好ましい。
【0223】上記連続押出式混合機1において、粉末の
吸水性樹脂を投入するための材料供給口3は、第一領域
である第一の攪拌翼7a…の配設領域に形成され、架橋
剤を含む水性液を投入するための液供給口4は、第二領
域である第二の攪拌翼7b…の配設領域における、第一
領域との境界付近に形成されている。
【0224】即ち、吸水性樹脂と水性液との混合に際し
ては、できるだけ瞬時に両者が全体的に接触する必要が
あり、これが不十分であると、いわゆる「ダマ」が生じ
て混合の均一性が損なわれる。その点、上記連続押出式
混合機1は、第一の攪拌翼7a…によって吸水性樹脂の
連続押出式混合機1の内部への送り込みを行い、第二の
攪拌翼7b…によって瞬時に吸水性樹脂と水性液との高
速攪拌混合を行うので、吸水性樹脂と水性液とを十分均
一に混合させることができる。
【0225】上記の構成を有する連続押出式混合機1に
て、カルボキシル基を有する吸水性樹脂とこのカルボキ
シル基と反応し得る架橋剤等を含む水性液とを混合する
場合には、駆動モータ8により、回転軸6を例えば約5
00〜3000rpmの高速で回転させる。
【0226】そして、この状態で、材料供給口3からカ
ルボキシル基を有する吸水性樹脂を供給する。すると、
螺旋状に形成された板状の第一の攪拌翼7a…の押し出
し推力にて吸水性樹脂が連続押出式混合機1の内部に移
送される。
【0227】次いで、液供給口4から架橋剤を含有する
水性液を注入することにより、押し出し推力の小さい第
二の攪拌翼7b…の配設領域にて吸水性樹脂と架橋剤等
を含む水性液との混合が十分に行われる。この結果、上
記吸水性樹脂と架橋剤等を含む水性液とが均一混合さ
れ、やがて排出口5から混合物が自動的に排出される。
【0228】次いで、この混合物は、例えば、吸水剤の
製造装置における図示しない加熱装置より、表面がさら
に架橋されて優れた強度特性を有する吸水剤となる。
【0229】このように、本実施の形態における連続押
出式混合機1は、カルボキシル基を有する吸水性樹脂と
このカルボキシル基と反応し得る架橋剤等を含む水性液
とを均一に混合すべく、固定のケーシング2の内部にお
ける回転軸6の周りに複数の攪拌翼7…を設けた構造を
有しており、これら攪拌翼7…は、形状の異なる2種類
以上のものからなっている。
【0230】即ち、従来の連続押出式混合機の攪拌翼
は、同一形状の複数の攪拌翼が、等間隔かつその翼面の
向きが同一となるように、回転軸の周りに複数配設され
たものからなっており、攪拌が不均一で混合が十分では
なかった。
【0231】しかし、本実施の形態においては、攪拌翼
7…は、形状の異なる2種類以上のものからなっている
ので、混合が2種以上の攪拌状態によって行われる。こ
の結果、カルボキシル基を有する吸水性樹脂とこのカル
ボキシル基と反応し得る架橋剤等を含む水性液との混合
が効率よく行われ、「ダマ」を生成することなく、均一
な混合を行うことができる。このため、最終製品中にお
いて、その使用方法を選ばず、常に優れた特性を発揮す
ることのできる吸水剤及びその製造装置を提供すること
ができる。
【0232】また、複数の攪拌翼7…は、順次、螺旋状
に並び配されているので、押し出し推力が十分に確保で
きると共に、吸水性樹脂等を円滑に押し出すことができ
る。
【0233】さらに、本実施の形態における連続押出式
混合機1における回転軸6の周りには、吸水性樹脂に押
し出し推力を与える複数の第一の攪拌翼7a…と、これ
ら第一の攪拌翼7a…の排出側に、これら第一の攪拌翼
7a…の配設領域における押し出し推力よりも押し出し
推力が小さくなる領域を形成する第二の攪拌翼7b…と
が配されている。
【0234】従って、上記連続押出式混合機1は、第一
の攪拌翼7a…により、カルボキシル基を有する吸水性
樹脂とこのカルボキシル基と反応し得る架橋剤等を含む
水性液とに対して、連続押出式混合機1の内部へと十分
な押し出し推力を与え、次いで、第二の攪拌翼7b…に
よって、第一の攪拌翼7a…の配設領域における押し出
し推力よりもよりも押し出し推力を小さくすることによ
って、混合攪拌時間を十分に確保し、十分に混合させる
ことができる。したがって、吸水性樹脂と水性液とが十
分均一に混合した状態で反応させることができる。
【0235】また、上記の第一の攪拌翼7a…は板状に
形成されているので、押し出し推力を生じる形状として
好ましい。さらに、第二の攪拌翼7b…は円柱状に形成
されているので、第二の攪拌翼7b…の配設領域である
第二領域における押し出し推力を第一の攪拌翼7a…の
配設領域である第一領域における押し出し推力よりも小
さくし、混合攪拌を十分に確保する形状として好まし
い。
【0236】さらに、上記連続押出式混合機1における
ケーシング2の内面は、実質的に、水に対する接触角が
約60°以上で約70℃以上の熱変形温度を有する基材
から形成されている。
【0237】即ち、水に対する基材の接触角が約60°
未満であれば、吸水性樹脂と水性液との混合が不均一に
なる場合があり、熱変形温度が約70℃未満であれば、
基材は、混合期間中に発生する熱に十分耐えることがで
きず、そのため安定した混合を継続することができない
場合があるが、本実施の形態ではそれを回避することが
できる。
【0238】また、連続押出式混合機1は、カルボキシ
ル基を有する吸水性樹脂の粉末が第一の攪拌翼7a…の
配設領域に供給投入され、このカルボキシル基と反応し
得る架橋剤を含む水性液が第二の攪拌翼7b…の配設領
域に供給投入されるように形成されている。
【0239】従って、上記連続押出式混合機1は、第一
の攪拌翼7a…によって吸水性樹脂の連続押出式混合機
1の内部への送り込みを行い、次いで、第二の攪拌翼7
b…の配設領域に水性液を供給投入することによって、
第二の攪拌翼7b…にて瞬時に吸水性樹脂と水性液との
高速攪拌混合を行う。これにより、上記連続押出式混合
機1は、吸水性樹脂と水性液とを十分均一に混合させる
ことができる。
【0240】尚、本実施の形態における攪拌翼7…は、
2種類の形状の第一の攪拌翼7a…及び第二の攪拌翼7
b…となっているが、必ずしもこれに限らず、例えば、
さらに異なる種類の形状の攪拌翼7…を設けることが可
能であり、これよって、攪拌効率をさらに向上させるこ
とができる。
【0241】また、上記連続押出式混合機1では、カル
ボキシル基と反応し得る架橋剤を含む水性液が第二の攪
拌翼7b…の配設領域に供給投入されるように形成され
ている構成としたが、上記水性液の供給投入は、第一領
域と第二領域との境界において行われることがより好ま
しい。このためには、上記液供給口4は、図3の連続押
出式混合機51に示すように、第一の攪拌翼7a…の配
設領域と第二の攪拌翼7b…の配設領域との境界域に設
けられている構成とすればよい。
【0242】上記液供給口4が第一の攪拌翼7a…の配
設領域と第二の攪拌翼7b…の配設領域との境界域に設
けられていることで、上記第一の攪拌翼7a…にて分散
された吸水性樹脂に水性液を均一に付着させ、この吸水
性樹脂に付着した水性液が吸水性樹脂に吸収される前
に、吸水性樹脂と水性液とをより素早く均一に混合する
ことができる。従って、カルボキシル基を有する吸水性
樹脂とこのカルボキシル基と反応し得る架橋剤等を含む
水性液との混合がさらに効率よく行われ、「ダマ」を生
成することなく、均一な混合が行える。このため、上記
液供給口4が第一の攪拌翼7a…の配設領域と第二の攪
拌翼7b…の配設領域との境界域に設けられていること
で、最終製品中において、その使用方法を選ばず、常に
優れた特性を発揮することのできる吸水剤をより安定し
て製造することができる。
【0243】また、前記連続押出式混合機1では排出口
5がケーシング2の底壁に形成されている構成とした
が、上記排出口5の形成位置は、必ずしもケーシング2
の底壁に限定されるものではなく、例えば、図3の連続
押出式混合機51に示すように、ケーシング2における
吸水性樹脂排出方向端面としてもよい。
【0244】さらに、上記ケーシング2の形状、つま
り、連続押出式混合機の形状も、特に限定されるもので
はなく、図4および図5に示すように、種々の形状とす
ることができる。例えば、図4に示す連続押出式混合機
52は、傾斜して設けられたケーシング2の天壁に材料
供給口3が設けられ、底壁に排出口5が設けられた構成
である。従って、上記連続押出式混合機52では、押し
出し推力に重力が加わるような構成となっている。逆
に、図5に示す連続押出式混合機53は、図中、右側に
示す材料供給口3から供給された吸水性樹脂を、重力に
逆らって押し上げながら押し出す構成となっている。ま
た、上記連続押出式混合機52および連続押出式混合機
53は、何れも、ケーシング2が傾斜して設けられてい
ることから、狭いスペースで、攪拌路の長さ(ケーシン
グ2の長さ)を確保することができる。或いは、同一の
スペースにおいて、攪拌路をより長く設定することがで
きる。このように、本発明において、上記連続押出式混
合機の形状は特に限定されない。上記連続押出式混合機
としては、例えば、用いる吸水性樹脂の種類や使用量、
用途等に応じて、最適な形状のものを選択すればよい。
【0245】以上のように、本発明によれば、カルボキ
シル基を有する吸水性樹脂と、このカルボキシル基と反
応し得る架橋剤等を含む水性液とを均一に混合すること
ができる。従って、本発明によれば、上記吸水性樹脂の
表面近傍を適度な深さで均一に架橋させることができ、
優れた吸収性能を持ち、かつ機械的ストレスに強い吸水
剤を得ることができる。
【0246】さらに、発明によれば、製造プラントにお
ける搬送や、ユーザにおける加工等で加わる機械的スト
レスを受けてもその吸水特性を殆ど低下させず、最終製
品中においてその優れた吸収性能を維持する吸水剤を提
供することができるという効果を奏する。
【0247】また、本発明の吸水剤の製造方法及び吸水
剤の製造装置を用いれば、連続押出式混合機における複
数の攪拌翼の諸構成により、カルボキシル基を有する吸
水性樹脂とこのカルボキシル基と反応し得る架橋剤等を
含む水性液との混合反応が効率よく行われ、均一混合を
確保することができるという効果を奏する。
【0248】〔実施の形態2〕本発明の実施の一形態に
ついて図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施の形態では、主に、上記実施の形態1との相違点
について説明する。尚、説明の便宜上、上記実施の形態
1と同一の機能を有する構成要素には同一の番号を付
し、その説明を省略する。
【0249】本実施の形態の吸水剤の製造装置の一部を
構成する高速攪拌型の連続押出式混合機54は、図6に
示すように、例えば水平に固定された固定円筒としての
ケーシング2を有している。
【0250】ケーシング2には、同図において右側に示
すように、粉末の吸水性樹脂を投入供給するための材料
供給口3が形成されており、この材料供給口3よりも排
出側の位置には架橋剤等の水性液を投入する液供給口4
が設けられている。また、同図において左端側には、排
出口5が形成されている。
【0251】そして、本実施の形態における連続押出式
混合機54は、カルボキシル基を有する吸水性樹脂とこ
のカルボキシル基と反応し得る架橋剤等を含む水性液と
を均一に混合すべく、ケーシング2の内部における回転
軸6の周りに、攪拌部材として複数の攪拌翼7…を設け
た構造を有しており、これら攪拌翼7…は、形状の異な
る2種類以上のものからなっている。
【0252】本実施の形態において、上記連続押出式混
合機54には、ケーシング2内に存在する回転軸6の全
長を100%とした場合、回転軸6の上記材料供給口3
の端から約25%の長さの部分と排出口5側の端から約
25%の長さの部分とにパドル状の第一の攪拌翼7a…
が設けられていると共に、上記以外の中央部に、先端が
半球の円柱状の第二の攪拌翼7b…が設けられている。
【0253】そして、上記連続押出式混合機54は、こ
のように、材料供給口3側から順に、第一の攪拌翼7a
…、第二の攪拌翼7b…、第一の攪拌翼7a…が、回転
軸6の周りに螺旋状に並び配されることによって、材料
供給口3側から順に、第一領域、第二領域、および混合
物押し出し領域としての第三領域を形成している。
【0254】また、上記連続押出式混合機54におい
て、排出口5は、ケーシング2における上記材料供給口
3形成側とは反対側の底壁に設けられている。
【0255】また、上記連続押出式混合機54におい
て、上記第一の攪拌翼7a…及び第二の攪拌翼7b…
は、下部に取り付けナットが設けられ、この取り付けナ
ットにより、回転軸6に固定されている。
【0256】そして、上記第一の攪拌翼7a…は、回転
軸6に対して垂直、かつ、吸水性樹脂押出面7a1 が回
転軸6に垂直な平面に対して傾斜するように回転軸6の
周りに固定され、これにより、吸水性樹脂に押し出し推
力を与えている。
【0257】上記連続押出式混合機51では、他の条件
との兼合いもあるが、例えば、上記第一の攪拌翼7a…
の吸水性樹脂押出面7a1 と回転軸6に垂直な面とのな
す角度や、その配設密度を部分的に変えることによっ
て、押し出し推力の調整を図っている。
【0258】また、上記連続押出式混合機54では、上
記第二の攪拌翼7b…の形状が円柱状に形成されている
と共に、該第二の攪拌翼7bが、回転軸6に対して垂直
となるように固定されている。従って、上記第二領域で
は、第二の攪拌翼7b…によって押し出し推力が生じて
いないことから、第一領域に配設された第一の攪拌翼7
a…の押し出し推力のみで吸水性樹脂が押し出される。
また、僅かではあるが、上記第二の攪拌翼7b…によっ
て抵抗を受けて押し出し推力が低下する。このため、上
記第二領域において、押し出し推力は、排出口5側ほど
小さくなる。
【0259】このように、上記第二の攪拌翼7b…は、
上記第一の攪拌翼7a…の排出側に、上記第一の攪拌翼
7a…の配設領域である第一領域における押し出し推力
よりも押し出し推力が小さくなる第二領域を形成してい
る。
【0260】従って、上記連続押出式混合機51でも、
上記第二の攪拌翼7b…の配設領域(第二領域)では、
上記第一の攪拌翼7b…の配設領域(第一領域)におけ
る押し出し推力よりも押し出し推力が小さくなり、吸水
性樹脂の平均速度が低下する。この結果、上記第二の攪
拌翼7b…の配設領域において吸水性樹脂が滞留し、上
記第二の攪拌翼7b…によって上記吸水性樹脂と水性液
とが均一に混合される。
【0261】また、上記連続押出式混合機54でも、粉
末の吸水性樹脂を投入するための材料供給口3は、第一
領域である第一の攪拌翼7a…の配設領域に形成され、
架橋剤を含む水性液を投入するための液供給口4は、第
二領域である第二の攪拌翼7b…の配設領域に形成され
ている。これにより、上記連続押出式混合機54におい
ても、吸水性樹脂と水性液とが瞬時に全体的に接触し、
「ダマ」のない混合物を得ることができる。
【0262】そして、上記連続押出式混合機54には、
混合物押し出し領域(第三領域)として、上記第二の攪
拌翼7b…の排出側に、さらに複数の第一の攪拌翼7a
…が設けられている。これにより、上記連続押出式混合
機54は、水性液と均一混合された吸水性樹脂(混合
物)を、該連続押出式混合機54の外に効率良く押し出
すようになっている。
【0263】上記連続押出式混合機54において、第一
領域と第三領域とでは、同一形状の第一の攪拌翼7a…
を用いている。しかしながら、上記第三領域では、第一
の攪拌翼7aを、その翼面の向きが第一領域に配設され
た第一の攪拌翼7aの翼面の向きとは異なるように配置
している。つまり、上記各領域に配設された第一の攪拌
翼7a…は、各々、排出口5の位置に応じて、その押し
出し推力の向きを調整している。
【0264】従って、上記連続押出式混合機54では、
排出口5がケーシング2の底壁に設けられている構成と
したため、上記第一領域と第三領域とで第一の攪拌翼7
aの翼面の向きを変えたが、例えば、排出口5がケーシ
ング2における吸水性樹脂排出方向端面に設けられてい
る場合には、上記第一領域と第三領域とで押し出し推力
の向きが同一となるように設定すればよい。
【0265】このように、上記連続押出式混合機54で
は、上記第二の攪拌翼7b…の排出側にパドル状の第一
の攪拌翼7a…を設けることによって、排出口5付近に
おける押し出し推力が大きくなり、混合の排出が好適に
行われる。
【0266】〔実施の形態3〕本発明の実施の一形態に
ついて図7および図8に基づいて説明すれば、以下の通
りである。本実施の形態では、主に、前記実施の形態1
および2との相違点について説明する。尚、説明の便宜
上、上記実施の形態1と同一の機能を有する構成要素に
は同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0267】本実施の形態の吸水剤の製造装置の一部を
構成する高速攪拌型の連続押出式混合機55は、図7に
示すように、例えば水平に固定された固定円筒としての
ケーシング2を有している。
【0268】ケーシング2には、同図において右側に示
すように、粉末の吸水性樹脂を投入供給するための材料
供給口3が形成されており、この材料供給口3よりも排
出側の位置には架橋剤等の水性液を投入する液供給口4
が設けられている。また、同図において左端側には、排
出口5が形成されている。
【0269】そして、本実施の形態における連続押出式
混合機55は、カルボキシル基を有する吸水性樹脂とこ
のカルボキシル基と反応し得る架橋剤等を含む水性液と
を均一に混合すべく、ケーシング2の内部における回転
軸6の周りに、攪拌部材として複数の攪拌翼7…を設け
た構造を有しており、これら攪拌翼7…は、同一の形状
を有する1種類のものからなっている。
【0270】本実施の形態において、上記連続押出式混
合機55には、ケーシング2内に設けられた回転軸6の
周りに、パドル状の第一の攪拌翼7a…が、部分的に配
設密度を異にして設けられている。
【0271】つまり、上記連続押出式混合機55におい
て、第一の攪拌翼7a…は、ケーシング2内に存在する
回転軸6の全長を100%とした場合、例えば回転軸6
の上記材料供給口3の端から約25%の長さの部分と排
出口5側の端から約25%の長さの部分とでは配設密度
が高く、上記以外の中央部で配設密度が低くなるように
設けられている。
【0272】そして、上記連続押出式混合機55は、こ
のように、材料供給口3側から順に、第一の攪拌翼7a
…が、その配設密度が密、粗、密となるように回転軸6
の周りに螺旋状に並び配されることによって、材料供給
口3側から順に、第一領域、第二領域、および混合物押
し出し領域としての第三領域を形成している。
【0273】また、上記連続押出式混合機55におい
て、排出口5は、ケーシング2における上記材料供給口
3形成側とは反対側の底壁に設けられている。
【0274】また、上記連続押出式混合機55におい
て、上記第一の攪拌翼7a…は、下部に取り付けナット
が設けられ、この取り付けナットにより、回転軸6に固
定されている。
【0275】そして、上記第一領域および第二領域に配
設された第一の攪拌翼7a…は、回転軸6に対して垂
直、かつ、吸水性樹脂押出面7a1 が回転軸6に垂直な
平面に対して傾斜するように回転軸6の周りに固定さ
れ、これにより、吸水性樹脂に押し出し推力を与えてい
る。
【0276】本実施の形態において、上記連続押出式混
合機55は、上記第一領域と第二領域とで同一形状の攪
拌翼7を用いていると共に、その翼面の向き(例えば吸
水性樹脂押出面7a1 の向き)も同じである。本実施の
形態にかかる上記連続押出式混合機55において、上記
第一領域および第二領域に配された各第一の攪拌翼7a
の吸水性樹脂押出面7a1 と回転軸6に垂直な平面との
なす角度は、各々等しく45°に設定されている。
【0277】しかしながら、上記連続押出式混合機55
では、上記第二領域(前記中央部)における第一の攪拌
翼7a…の配設密度が、上記第一領域(前記回転軸6に
おける上記材料供給口3の端から約25%の長さの部
分)における配設密度よりも低いことから、上記第二領
域における押し出し推力は、上記第一領域における押し
出し推力よりも小さくなる。
【0278】従って、本実施の形態でも、上記第二領域
における吸水性樹脂の平均速度は上記第一領域における
吸水性樹脂の平均速度よりも低下し、この結果、上記第
二領域において、吸水性樹脂と水性液との混合がなされ
る。
【0279】但し、本実施の形態において、上記連続押
出式混合機55では、上記第一領域および第二領域にお
ける押し出し推力を、上記第一の攪拌翼7a…の配設密
度のみにて調整している。このため、上記第一領域から
第二領域に移行する際の押し出し推力の変化並びに第一
領域と第二領域との押し出し推力の大きさの差は、前記
実施の形態1および実施の形態2と比べて小さくなる。
【0280】本発明において、より均一な混合を行うた
めには、第一領域から第二領域に移行する際に、押し出
し推力がなだらかに変化するよりも、できるだけ大きく
変化する方が好ましい。
【0281】従って、より均一な混合を行うためには、
例えば、上記第一領域と第二領域とで、第一の攪拌翼7
aの吸水性樹脂押出面7a1 と回転軸6に垂直な平面と
のなす角度等を変えることにより、上記押し出し推力の
差をさらに大きくすることが好ましい。
【0282】この場合、例えば、図8の連続押出式混合
機55’に示すように、第二領域において、攪拌翼7
を、その翼面が回転軸6の軸方向に平行となるように配
設したり、例えば吸水性樹脂押出面7a1 が第一領域と
反対方向を向くように配設することで、上記押し出し推
力の差をさらに大きくすることができる。
【0283】つまり、上記攪拌翼7が、その翼面が回転
軸6の軸方向に平行となるように配設されている場合、
該攪拌翼7(第一の攪拌翼7a)による押し出し推力は
生じない。また、上記攪拌翼7が、例えば吸水性樹脂押
出面7a1 が第一領域と反対方向を向くように配設され
ている場合、該攪拌翼7(第一の攪拌翼7a)によっ
て、第一領域とは逆向きに推力が生じることになる。
【0284】尚、上記各領域における攪拌翼7の翼面の
向き、特に上記第二領域における翼面の向きは、必ずし
も同一である必要はない。例えば、上記第二領域におけ
る攪拌翼7…の翼面の向き(吸水性樹脂押出面7a1
と回転軸6に垂直な平面とのなす角度)は、図8の連続
押出式混合機55’に示すように、第一領域における推
力の大きさに応じて、上記第一領域よりも押し出し推力
が小さくなると共に、吸水性樹脂が排出口5方向に排出
されるように押し出し推力が働く範囲内において、各々
別個に設定することができる。
【0285】また、上記連続押出式混合機55・55’
においても、上記図7および図8に示すように、上記第
二領域の排出側に、第一の攪拌翼7a…の配設密度が高
い領域である第三領域(混合物押し出し領域)を形成す
ることによって、排出口5付近の押し出し推力が大きく
なり、混合物の排出が好適に行われる。
【0286】〔実施の形態4〕本発明の実施の一形態に
ついて図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施の形態では、主に、前記実施の形態1との相違点
について説明する。尚、説明の便宜上、上記実施の形態
1と同一の機能を有する構成要素には同一の番号を付
し、その説明を省略する。
【0287】本実施の形態の吸水剤の製造装置の一部を
構成する高速攪拌型の連続押出式混合機56は、図9に
示すように、例えば水平に固定された固定円筒としての
ケーシング2を有している。
【0288】ケーシング2には、同図において右側に示
すように、粉末の吸水性樹脂を投入供給するための材料
供給口3が形成されており、この材料供給口3よりも排
出側の位置には架橋剤等の水性液を投入する液供給口4
が設けられている。また、同図において左端側には、排
出口5が形成されている。
【0289】そして、本実施の形態における連続押出式
混合機56は、カルボキシル基を有する吸水性樹脂とこ
のカルボキシル基と反応し得る架橋剤等を含む水性液と
を均一に混合すべく、ケーシング2の内部における回転
軸6の周りに、攪拌翼として、複数の攪拌翼7…を設け
た構造を有しており、これら攪拌翼7…は、形状の異な
る2種類以上のものからなっている。
【0290】本実施の形態において、上記連続押出式混
合機56には、ケーシング2内に設けられた回転軸6の
周りに、長方形の板状の第一の攪拌翼7a…が、部分的
に配設密度を異にすると共に、その形状(大きさ)を異
にして二重螺旋状に並び配されている。
【0291】上記連続押出式混合機56において、例え
ば、回転軸6における材料供給口3の端から約35%の
長さの部分(第一領域)には、実施の形態1と同様の第
一の攪拌翼7a…が、二条ねじのように、リードがピッ
チの2倍になると共に、配設密度が高い状態で配設され
ている。一方、回転軸6における排出口5側の端から約
65%の長さの部分(第二領域)には、長方形の細い板
状に形成された第一の攪拌翼7a…が、上記第一領域よ
りもその配設密度が低くなるように配設されている。
【0292】上記連続押出式混合機56において、上記
第一領域における第一の攪拌翼7a…の平均速度は、前
記連続押出式混合機1の第一領域における第一の攪拌翼
7a…の平均速度よりも速くなるように設定されてい
る。つまり、上記連続押出式混合機56では、上記第一
の攪拌翼7a…が、リードがピッチの2倍になるように
配置されているため、例えば、図9において、A地点の
吸水性樹脂は、回転軸6が一回転すると、B地点に移動
する。
【0293】そして、上記第一領域および第二領域に配
された第一の攪拌翼7a…は、回転軸6に対して垂直、
かつ、吸水性樹脂押出面7a1 が回転軸6に垂直な平面
に対して傾斜するように回転軸6の周りに固定され、こ
れにより、吸水性樹脂に押し出し推力を与えている。但
し、上記第一領域および第二領域に配された各第一の攪
拌翼7aの吸水性樹脂押出面7a1 と回転軸に垂直な平
面とのなす角度は各々等しい。
【0294】本実施の形態では、上記実施の形態3同
様、第一領域においても第二領域においても押し出し推
力が生じている。しかしながら、上記連続押出式混合機
56では、上記第一領域と第二領域とにおける第一の攪
拌翼7a…の配設密度や形状の違いから、上記第一領域
と第二領域との押し出し推力の差は、実施の形態3にお
ける連続押出式混合機55よりも大きくなる。
【0295】そして、本実施の形態においても、上記第
二領域では、上記第一領域における押し出し推力よりも
押し出し推力が小さくなり、吸水性樹脂の平均速度が低
下する。この結果、上記第二領域において吸水性樹脂が
滞留し、上記第二領域に配設された第一の攪拌翼7a…
によって、上記吸水性樹脂と水性液とが均一に混合され
る。
【0296】〔実施の形態5〕本発明の実施の一形態に
ついて図10に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。本実施の形態では、主に、前記実施の形態1および
実施の形態2との相違点について説明する。尚、説明の
便宜上、上記実施の形態1と同一の機能を有する構成要
素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0297】本実施の形態の吸水剤の製造装置の一部を
構成する高速攪拌型の連続押出式混合機57は、図10
に示すように、例えば水平に固定された固定円筒として
のケーシング2を有している。
【0298】ケーシング2には、同図において右側に示
すように、粉末の吸水性樹脂を投入供給するための材料
供給口3が形成されており、この材料供給口3よりも排
出側の位置には架橋剤等の水性液を投入する液供給口4
が設けられている。また、同図において左端側には、排
出口5が形成されている。
【0299】そして、本実施の形態における連続押出式
混合機57は、カルボキシル基を有する吸水性樹脂とこ
のカルボキシル基と反応し得る架橋剤等を含む水性液と
を均一に混合すべく、ケーシング2の内部における回転
軸6の周りに、攪拌部材として、1枚のねじ翼状の攪拌
翼7が設けられた構造を有している。
【0300】本実施の形態において、上記攪拌翼7にお
ける、第二領域となる部分の翼面には、開口部9…が設
けられている。本実施の形態では、例えば、ケーシング
2内に存在する回転軸6の全長を100%とした場合、
回転軸6の上記材料供給口3の端から約25%の長さの
部分を第一領域とし、回転軸6の上記排出口5側の端か
ら約25%の長さの部分を第三領域とし、上記第一領域
と第二領域との間の中央部を第二領域とする。
【0301】上記連続押出式混合機57では、他の条件
との兼合いもあるが、例えば、上記攪拌翼7に開口部9
…を設けることによって押し出し推力の調整を図ってい
る。つまり、上記連続押出式混合機57では、上記攪拌
翼7は、上記第二領域において、第一領域において生じ
る押し出し推力よりも小さな押し出し推力を生じる形状
に形成されている。
【0302】従って、上記連続押出式混合機57でも、
上記第二領域では、上記第一領域における押し出し推力
よりも押し出し推力が小さくなり、吸水性樹脂の平均速
度が低下する。この結果、上記第二領域において吸水性
樹脂が滞留し、上記第二領域における攪拌翼7によって
吸水性樹脂と水性液とが均一に混合される。
【0303】そして、上記攪拌翼7には、混合物押し出
し領域(第三領域)として、上記第二領域の排出側に、
開口部のない部分が設けられている。これにより、上記
連続押出式混合機57では、排出口5付近の押し出し推
力が大きくなり、混合物の排出が好適に行われる。
【0304】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。尚、吸水剤の諸性能は、以下の
方法で測定した。
【0305】(a)無加圧下吸収倍率 吸水剤0.2gを不織布製の袋(60mm×60mm)
に均一に入れ、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液(生
理食塩水)中に浸漬した。60分後に袋を引上げ、遠心
分離機を用いて250Gにて3分間水切りを行った後、
袋の重量W1 (g)を測定した。また、同様の操作を吸
水剤を用いないで行い、その時の重量W0 (g)を測定
した。そして、これらW1 ・W0 から、次式、 無加圧下吸収倍率(g/g)=(重量W1 (g)−重量
0 (g))/吸水剤の重量(g) に従って、無加圧下での吸収倍率(g/g)を算出し
た。
【0306】尚、吸水性樹脂、吸水性樹脂混合物、吸水
性樹脂造粒物についても、吸水剤を用いた場合と同様の
方法により無加圧下での吸収倍率(g/g)を算出し
た。
【0307】(b)高加圧下吸収倍率 まず、加圧下の吸収倍率の測定に用いる測定装置につい
て、図15に基づいて説明する。
【0308】図15に示すように、測定装置は、天秤2
1と、この天秤21上に載置された所定容量の容器22
と、外気吸入パイプシート23と、導管24と、ガラス
フィルタ26と、このガラスフィルタ26上に載置され
た測定部25とからなってる。
【0309】上記の容器22は、その頂部に開口部22
aを、その側面部に開口部22bをそれぞれ有してい
る。容器22の開口部22aには外気吸入パイプ23が
嵌入される一方、開口部22bには導管24が取り付け
られている。
【0310】また、容器22には、所定量の生理食塩水
32が入っている。外気吸入パイプ23の下端部は、生
理食塩水32中に没している。外気吸入パイプ23は、
容器22内の圧力をほぼ大気圧に保つために設けられて
いる。上記のガラスフィルタ26は、直径55mmに形
成されている。そして、容器22及びガラスフィルタ2
6は、シリコーン樹脂からなる導管24によって互いに
連通している。また、ガラスフィルタ26は、容器22
に対する位置及び高さが固定されている。
【0311】上記の測定部25は、濾紙27と、支持円
筒28と、この支持円筒28の底部に貼着された金網2
9と、おもり30とを有している。そして、測定部25
は、ガラスフィルタ26上に濾紙27、底部に金網29
を有する支持円筒28がこの順に載置されると共に、支
持円筒9内部、つまり金網10上におもり30が載置さ
れてなっている。金網29は、ステンレスからなり、4
00メッシュ(目開き38μm)に形成されている。ま
た、金網29の上面、つまり金網29と吸水剤31との
接触面の高さは、外気吸入パイプ23の下端面23aの
高さと等しくなるように設定されている。そして、金網
29上に、所定量及び所定粒径の吸水剤が均一に散布さ
れるようになっている。おもり30は、金網29上の吸
水剤31に対して、50g/cm2 の荷重を均一に加え
ることができるように、その重量が調整されている。
【0312】上記構成の測定装置を用いて、吸水剤31
の高加圧下での吸収倍率を測定した。測定方法について
以下に説明する。
【0313】まず、容器22に所定量の生理食塩水32
を入れ、外気吸入パイプ23を嵌入する等の所定の準備
動作を行う。次に、ガラスフィルタ26上に濾紙27を
載置すると共に、この載置動作に平行して、支持円筒2
8内部、つまり金網29上に、吸水剤0.9gを均一に
散布し、この吸水剤31上におもり30を載置する。
【0314】次いで、濾紙27上に、吸水剤31及びお
もり30を載置した上記支持円筒28の金網29を、そ
の中心部がガラスフィルタ26の中心部に一致するよう
に載置する。
【0315】そして、濾紙27上に支持円筒28を載置
した時点から、60分にわたって経時的に、該吸水剤3
1が吸水した生理食塩水32の重量を天秤21の測定値
から求める。
【0316】また、同様の操作を吸水剤31を用いない
で行い、ブランク重量、すなわち、吸水剤31以外の例
えば濾紙27等が吸水した生理食塩水32の重量を、天
秤21の測定値から求め、ブランク値とした。次いで、
ブランク値を差し引く補正を行って、吸水剤31が実際
に吸水した生理食塩水32の重量を、吸水剤31の重量
(0.9g)で除して、高加圧下での吸収倍率(g/
g)を算出した。
【0317】(c)吸収速度 内径約60mmのガラス製シャーレに、吸水剤1.00
0gを散布した。次いで、上記シャーレに、中央部よ
り、温度25℃に設定された20.00gの0.4重量
%食塩水を一気に静注し、上記吸水剤が上記食塩水を全
て吸収する(目視)までの秒数を測定した。尚、この時
間が短い程、高吸収速度であることを示す。
【0318】〔実施例1〕カルボキシル基を有する吸水
性樹脂の製造に際して、単量体成分としてのアクリル酸
ナトリウム(中和率75モル%)の33重量%水溶液5
500部に、内部架橋剤としてのポリエチレングリコー
ルジアクリレート(n=8)2.9部を溶解させて反応
液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で、3
0分間脱気した。
【0319】次いで、シグマ型羽根を2本有するジャケ
ット付きステンレス製双碗型ニーダーに蓋を付けた反応
器に上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら
上記反応器内を窒素ガス置換した。続いて、反応液を攪
拌しながら、重合開始剤としての過硫酸アンモニウム
2.4部、及び重合開始剤の分解を促進する還元剤とし
てのL−アスコルビン酸0.12部を添加したところ、
凡そ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜80℃
で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重
合体を取り出した。
【0320】得られた含水ゲル状重合体を50メッシュ
(目開き300μm)の金網上に広げ、150℃で90
分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物を振動ミルを用いて
粉砕し、さらに20メッシュの金網(目開き850μ
m)で分級することにより平均粒径が400μmで、粒
径が150μm未満の粒子の割合が12重量%の不定型
破砕状の吸水性樹脂を得た。
【0321】次いで、上記の吸水性樹脂100重量部に
対し、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.1
重量部、水4重量部と、イソプロピルアルコール1重量
部とからなる着色した表面架橋剤を、図1に示す連続押
出式混合機1、即ち、ケーシング2内に存在する回転軸
6の全長を100%とした場合、回転軸6における上記
材料供給口3の端から約35%の長さの部分に設けられ
た板状の第一の攪拌翼7a…と、排出口5側の端から約
65%の長さの部分に設けられた円柱状の第二の攪拌翼
7b…を有する高速攪拌混合機に投入し、連続的に混合
反応させた。
【0322】得られた混合物の着色は均一であり、ま
た、この混合物を20メッシュ金網に通過させたとこ
ろ、通過しない塊は0.2%であった。
【0323】その後、上記の混合物を195℃で40分
間加熱処理することにより、NO.1吸水剤を得た。上
記NO.1吸水剤の無加圧下および高加圧下での吸収倍
率を測定した。上記測定結果を表1に示す。
【0324】〔実施例2〕上記実施例1と同じ吸水性樹
脂100重量部に対し、第一表面架橋部としてのグリセ
リン0.5重量部、第二表面架橋部としてのエチレング
リコールジグリシジルエーテル0.1重量部、水3重量
部と、エチルアルコール1重量部とからなる着色した表
面架橋剤を、上記実施例1で用いたものと同じ連続押出
式混合機1を用いて、連続的に混合した。
【0325】得られた混合物の着色は均一であり、ま
た、この混合物を20メッシュ金網に通過させたとこ
ろ、通過しない塊は0%であった。
【0326】その後、上記の混合物を195℃で40分
間加熱処理することにより、NO.2吸水剤を得た。上
記NO.2吸水剤の無加圧下および高加圧下での吸収倍
率を測定した。上記測定結果を表1に示す。
【0327】〔実施例3〕上記実施例1及び実施例2と
同じ吸水性樹脂100重量部に対し、第一表面架橋部と
してのグリセリン0.5重量部、第二表面架橋部として
のエチレングリコールジグリシジルエーテル0.1重量
部、水3重量部と、エチルアルコール1重量部とからな
る着色した表面架橋剤を、図6に示す連続押出式混合機
54、即ち、回転軸6の全長を100%とした場合、回
転軸6における、材料供給口3の端から約25%の長さ
の部分と、排出口5側の端から約25%の長さの部分に
パドル状の第一の攪拌翼7a…を有し、上記以外の中央
部には、先端が半球の円柱状の第二の攪拌翼7b…を有
する高速攪拌混合機を用いて連続的に混合した。
【0328】得られた混合物の着色は均一であり、ま
た、この混合物を20メッシュ金網に通過させたとこ
ろ、通過しない塊は0.5%であった。
【0329】その後、上記の混合物を195℃で40分
間加熱処理することにより、NO.3吸水剤を得た。上
記NO.3吸水剤の無加圧下および高加圧下での吸収倍
率を測定した。上記測定結果を表1に示す。
【0330】〔実施例4〕上記実施例1〜実施例3と同
じ吸水性樹脂100重量部に対し、エチレングリコール
ジグリシジルエーテル0.1重量部、水4重量部と、イ
ソプロピルアルコール1重量部とからなる着色した表面
架橋剤を、図7に示す連続押出式混合機55を用いて連
続的に高速攪拌混合した。
【0331】得られた混合物の着色は不均一であり、着
色度合いの高い「ダマ」が目視で観察された。また、こ
の混合物を20メッシュ金網に通過させたところ、通過
しない塊が7.3%存在した。
【0332】その後、上記の混合物を、実施例1〜実施
例3と同様に、195℃で40分間加熱処理することに
より、NO.4吸水剤を得た。上記NO.4吸水剤の無
加圧下および高加圧下での吸収倍率を測定した。上記測
定結果を表1に示す。
【0333】〔実施例5〕上記実施例1〜実施例3と同
じ吸水性樹脂100重量部に対し、第一表面架橋部とし
てのグリセリン0.5重量部、第二表面架橋部としての
エチレングリコールジグリシジルエーテル0.1重量
部、水3重量部と、エチルアルコール1重量部とからな
る着色した表面架橋剤を、図7に示す連続押出式混合機
55を用いて連続的に混合した。
【0334】得られた混合物の着色は不均一であり、着
色度合いの高い「ダマ」が目視で観察された。また、こ
の混合物を20メッシュ金網に通過させたところ、通過
しない塊が5.4%存在した。
【0335】その後、上記の混合物を195℃で40分
間加熱処理することにより、NO.5吸水剤を得た。上
記NO.5吸水剤の無加圧下および高加圧下での吸収倍
率を測定した。上記測定結果を表1に示す。
【0336】
【表1】 表1の結果から、実施例1〜実施例3に示すように、2
種類以上の形状の攪拌翼7…を備えた連続押出式混合機
1・54にて吸水性樹脂と架橋剤とを混合、反応させた
場合には、実施例4及び実施例5に示すように、1種類
(同一形状)の攪拌翼7…を備え、その配設密度を変更
することで押し出し推力を調整する連続押出式混合機5
5にて混合、反応させた場合と比べて、高加圧下におけ
る吸収倍率により優れた吸水剤を得ることができること
が判る。従って、連続押出式混合機1・54にて混合攪
拌することにより、高加圧下においてさらに高い吸収倍
率を示す吸水剤が得られることが判明した。
【0337】〔実施例6〕実施例1で得られたNO.1
吸水剤に対して、前述の方法により衝撃力(A)を与え
てNO.6吸水剤を得た。また、このNO.6吸水剤に
対して、衝撃付与前後の高加圧下の吸収倍率の測定を前
記方法にて行った。上記測定結果を表2に示す。
【0338】〔実施例7〕実施例2で得られたNO.2
吸水剤に対して、前述の方法により衝撃力(A)を与え
てNO.7吸水剤を得た。また、このNO.7吸水剤に
対して、衝撃付与前後の高加圧下の吸収倍率の測定を前
記方法にて行った。上記測定結果を表2に示す。
【0339】〔実施例8〕実施例3で得られたNO.3
吸水剤に対して、前述の方法により衝撃力(A)与えて
NO.8吸水剤を得た。また、このNO.8吸水剤に対
して、衝撃付与前後の高加圧下の吸収倍率の測定を前記
方法にて行った。上記測定結果を表2に示す。
【0340】
【表2】 表2の結果から、前記実施例1〜実施例3に示す吸水剤
に衝撃力(A)を与えた場合には、実施例6〜実施例8
に示すように、物性値Q/Pが0.93〜1.00とな
り、衝撃による高加圧下吸収倍率があまり変化しないこ
と、即ち、衝撃前の高加圧下吸収倍率を維持できること
が判明した。
【0341】〔実施例9〕実施例1で得られたNO.1
吸水剤に対して前述の方法により衝撃力(B)を与えて
NO.9吸水剤を得た。また、このNO.9吸水剤に対
して、衝撃付与前後の高加圧下の吸収倍率の測定を前記
方法にて行った。上記測定結果を表3に示す。
【0342】〔実施例10〕実施例2で得られたNO.
2吸水剤に対して前述の方法により衝撃力(B)を与え
てNO.10吸水剤を得た。また、このNO.10吸水
剤に対して、衝撃付与前後の高加圧下の吸収倍率の測定
を前記方法にて行った。上記測定結果を表3に示す。
【0343】〔実施例11〕実施例3で得られたNO.
3吸水剤に対して前述の方法により衝撃力(B)を与え
てNO.11吸水剤を得た。また、このNO.11吸水
剤に対して、衝撃付与前後の高加圧下の吸収倍率の測定
を前記方法にて行った。上記測定結果を表3に示す。
【0344】〔実施例12〕実施例5で得られたNO.
5吸水剤に対して前述の方法により衝撃力(B)を与え
てNO.12吸水剤を得た。また、このNO.12吸水
剤に対して、衝撃付与前後の高加圧下の吸収倍率の測定
を前記方法にて行った。上記測定結果を表3に示す。
【0345】
【表3】 表3の結果から、前記実施例1〜実施例3および実施例
5に示す吸水剤に衝撃力(B)を与えた場合には、実施
例9〜実施例12に示すように、物性値Y/Xが0.8
6〜1.00となり、衝撃による高加圧下吸収倍率があ
まり変化しないこと、即ち、衝撃前の高加圧下吸収倍率
を維持できることが判明した。
【0346】〔実施例13〕カルボキシル基を有する吸
水性樹脂の製造に際して、単量体成分としてのアクリル
酸ナトリウム(中和率75モル%)の38重量%水溶液
5500部に、内部架橋剤としてのトリメチロールプロ
パントリアクリレート2.7部を溶解させて反応液とし
た。単量体成分に対するトリメチロールプロパントリア
クリレートの使用量は、0.04モル%である。次に、
この反応液を窒素ガス雰囲気下で、30分間脱気した。
【0347】次いで、シグマ型羽根を2本有するジャケ
ット付きステンレス製双碗型ニーダーに蓋を付けた反応
器に上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちなが
ら、上記反応器内を窒素ガス置換した。続いて、反応液
を攪拌しながら、重合開始剤としての過硫酸アンモニウ
ム2.8部及び還元剤としてのL−アスコルビン酸0.
02部を添加し、実施例1と同様の重合操作を行った。
この結果、約0.1mm〜3mmに細分化された含水ゲ
ル状重合体を得た。
【0348】次いで、上記含水ゲル状重合体を、実施例
1と同様に乾燥した後、粉砕に用いられるロール同士が
所定の間隔(ロールギャップ約1.63mm、約0.4
3mm、約0.15mm)を有するように3段に形成さ
れたロールグラニュレター型粉砕機を用いて粉砕し、次
いで、目開き850μmのJIS標準篩で分級すること
により、平均粒径が300μmの不定型破砕状の吸水性
樹脂(A)を得た。さらに、この吸水性樹脂(A)を、
目開き150μmのJIS標準篩で分級することによ
り、粒径850μm〜150μmの吸水性樹脂(A1)8
6.3重量%および粒径150μm未満の吸水性樹脂微
粉末(A2)13.7重量%を得た。
【0349】次いで、上記の吸水性樹脂微粉末(A2)
を、図1に示す連続押出式混合機1に2kg/分の割合
で投入すると共に、上記連続押出式混合機1に設けられ
た口径5mmの液供給口4から、イオン交換水を、吸水
性樹脂微粉末(A2)100重量部に対してイオン交換水
130重量部の割合で投入することによって、上記吸水
性樹脂微粉末(A2)とイオン交換水とを連続的に混合し
た。この結果、排出口5から、粒子状の均一な含水ゲル
状造粒物が連続的に排出された。得られた粒子状の含水
ゲル状造粒物は、個々の粒子の凝集体であり、その大部
分が、粒径約1mm〜5mmの均一な含水ゲル状造粒物
であった。また、上記含水ゲル状造粒物の固形分は、4
3.6重量%であった。尚、含水ゲル状造粒物の固形分
とは、含水ゲル状造粒物中の吸水性樹脂の量(含有量)
を示す。
【0350】次に、この含水ゲル状造粒物を、目開き3
00μmのJIS標準金網上に、約5cmの厚みになる
ように広げ、160℃の熱風循環式乾燥機で乾燥させ
た。この結果、上記含水ゲル状造粒物は均一かつ固形分
90重量%以上に十分に乾燥され、造粒粒子同士を手で
も容易に解砕することが可能な粉体状の乾燥造粒物が得
られた。該乾燥造粒物中の10mmを越える塊は5%に
過ぎなかった。
【0351】次いで、この乾燥造粒物を、前記ロールグ
ラニュレター型粉砕機を用いると共に、ロールギャップ
を広げて粉砕(最終ロールギャップ約0.27mm)
し、目開き850μmのJIS標準篩で分級することに
より、吸水性樹脂造粒物(1)を得た。
【0352】このようにして得られた上記吸水性樹脂造
粒物(1)、吸水性樹脂(A)、吸水性樹脂(A1)、お
よび吸水性樹脂微粉末(A2)の粒度分布、無加圧下での
吸収倍率および造粒破壊率を測定した。上記粒度分布を
表4に示すと共に、吸収倍率および造粒破壊率の測定結
果を合わせて表5に示す。また、上記吸水性樹脂微粉末
(A2)の電子顕微鏡写真(50倍)を図18に示す。
【0353】さらに、上記吸水性樹脂造粒物(1)10
0重量部に対し、エチレングリコールジグリシジルエー
テル0.05重量部、グリセリン0.75重量部、水3
重量部、イソプロピルアルコール0.75重量部、およ
び乳酸0.5重量部からなる表面架橋剤を混合し、20
0℃で40分間加熱することにより、No.13吸水剤
を得た。上記測定上記NO.13吸水剤の無加圧下およ
び高加圧下の吸収倍率、吸収速度、および造粒破壊率を
測定した。上記測定結果を表6に示す。
【0354】また、上記吸水性樹脂造粒物(1)の電子
顕微鏡写真(50倍)を図19に示す。上記吸水性樹脂
造粒物(1)は、原料として図18に示した粒径150
μm未満の吸水性樹脂微粉末(A2)を用いているにも拘
らず、300μm〜850μmの粒径を有する粒子が約
8割を占める凝似一次粒子の造粒物(凝集体)となり、
結果的に、衝撃力(B)によって規定される造粒破壊率
が2.4重量%という造粒強度の強い造粒物(凝集体)
となっていた。
【0355】尚、図示はしないが、本実施例にて得られ
た乾燥前の含水ゲル状造粒物の光学顕微鏡写真では、該
含水ゲル状造粒物が個々の一粒一粒の含水ゲルの凝集体
である事実や、架橋剤を含まない水で造粒した場合、吸
水膨潤後は造粒前の複数の粒子に分かれて膨潤する事実
も別途確認されている。
【0356】〔実施例14〕実施例13において、連続
押出式混合機1で含水ゲル状造粒物を得るに際して、吸
水性樹脂微粉末(A2)100重量部に対して添加するイ
オン交換水の量を、130重量部から163重量部に変
更する以外は、実施例13と同様の反応・操作を行っ
て、固形分38.0重量%の含水ゲル状造粒物を得た。
【0357】その後、上記含水ゲル状造粒物を実施例1
3と同様の方法により乾燥した。この結果、上記含水ゲ
ル状造粒物は均一かつ十分に乾燥され、造粒粒子同士を
手でも容易に解砕することが可能な粉体状の乾燥造粒物
が得られた。該乾燥造粒物中の10mmを越える塊は5
%に過ぎなかった。
【0358】次いで、この乾燥造粒物を、実施例13と
同様に粉砕、分級することにより、吸水性樹脂造粒物
(2)を得た。該吸水性樹脂造粒物(2)の粒度分布、
無加圧下での吸収倍率および造粒破壊率を測定した。上
記粒度分布を表4に示すと共に、吸収倍率および造粒破
壊率の測定結果を合わせて表5に示す。
【0359】さらに、上記吸水性樹脂造粒物(2)を用
いて、実施例13と同様の混合・加熱処理を行ってN
o.14吸水剤を得た。上記NO.14吸水剤の無加圧
下および高加圧下の吸収倍率、吸収速度、および造粒破
壊率を測定した。上記測定結果を表6に示す。
【0360】〔実施例15〕実施例13において、連続
押出式混合機1で含水ゲル状造粒物を得るに際して、吸
水性樹脂微粉末(A2)100重量部に対して添加するイ
オン交換水の量を、230重量部から74重量部に変更
する以外は、実施例13と同様の反応・操作を行って、
固形分57.6重量%の含水ゲル状造粒物を得た。尚、
混合は均一であったが、実施例13・14と比較する
と、その混合の均一性は、若干劣るものであった。
【0361】その後、上記含水ゲル状造粒物を実施例1
3と同様の方法により乾燥した。この結果、上記含水ゲ
ル状造粒物は均一かつ十分に乾燥され、造粒粒子同士を
手でも容易に解砕することが可能な粉体状の乾燥造粒物
が得られた。該乾燥造粒物中の10mmを越える塊は5
%に過ぎなかった。
【0362】次いで、この乾燥造粒物を、実施例13と
同様に粉砕、分級することにより、吸水性樹脂造粒物
(3)を得た。該吸水性樹脂造粒物(3)の粒度分布、
無加圧下での吸収倍率および造粒破壊率を測定した。上
記粒度分布を表4に示すと共に、吸収倍率および造粒破
壊率の測定結果を合わせて表5に示す。
【0363】さらに、上記吸水性樹脂造粒物(3)を用
いて、実施例13と同様の混合・加熱処理を行ってN
o.15吸水剤を得た。このNO.15吸水剤の無加圧
下および高加圧下の吸収倍率、吸収速度、および造粒破
壊率を測定した。上記測定結果を表6に示す。
【0364】〔実施例16〕実施例13において、連続
押出式混合機1で含水ゲル状造粒物を得るに際して、吸
水性樹脂微粉末(A2)100重量部に対して添加するイ
オン交換水の量を、230重量部から41重量部に変更
する以外は、実施例13と同様の反応・操作を行って、
固形分70.9重量%の含水ゲル状造粒物を得た。尚、
混合は均一であったが、実施例15よりはやや劣るもの
であり、また、得られた含水ゲル状造粒物は、連続押出
式混合機1のケーシング2の内面への付着や、凝集が起
こりやすいものであった。
【0365】その後、上記含水ゲル状造粒物を実施例1
3と同様の方法により乾燥した。この結果、上記含水ゲ
ル状造粒物は均一かつ十分に乾燥され、造粒粒子同士を
手でも容易に解砕することが可能な粉体状の乾燥造粒物
が得られた。該乾燥造粒物中の10mmを越える塊は5
%に過ぎなかった。
【0366】次いで、この乾燥造粒物を、実施例13と
同様に粉砕、分級することにより、吸水性樹脂造粒物
(4)を得た。該吸水性樹脂造粒物(4)の粒度分布、
無加圧下での吸収倍率および造粒破壊率を測定した。上
記粒度分布を表4に示すと共に、吸収倍率および造粒破
壊率の測定結果を合わせて表5に示す。
【0367】さらに、上記吸水性樹脂造粒物(4)を用
いて、実施例13と同様の混合・加熱処理を行ってN
o.16吸水剤を得た。このNO.16吸水剤の無加圧
下および高加圧下の吸収倍率、吸収速度、および造粒破
壊率を測定した。上記測定結果を表6に示す。
【0368】〔比較例1〕実施例13において、吸水性
樹脂微粉末(A2)とイオン交換水とを混合する際に、連
続押出式混合機1に代えて、図21に示す従来の連続押
出式混合機100を用いた以外は、実施例13と同様の
反応・操作を行った。しかしながら、上記従来の連続押
出式混合機100によって得られた混合物は、造粒物で
はなく、主に1cm〜5cmのゲル状の塊であり、この
結果、上記連続押出式混合機100の排出口106から
連続的に排出することはできなかった。次に、上記ゲル
状の塊に対し、実施例1と同様の方法により乾燥を試み
たが、乾燥しなかった。しかも、水可溶成分の増加等、
物性低下が見られた。
【0369】〔比較例2〕比較例1において、図17に
示す従来の連続押出式混合機100で吸水性樹脂微粉末
(A2)とイオン交換水とを混合する際に、吸水性樹脂微
粉末(A2)100重量部に対して添加するイオン交換水
の量を、130重量部から10重量部に変更する以外
は、比較例1と同様の反応・操作を行った。しかしなが
ら、上記吸水性樹脂微粉末(A2)は吸収速度が速く、上
記従来の連続押出式混合機100によって得られた混合
物は、含水ゲル状造粒物ではなく、ダマ状の粉末状造粒
物を多く含むと共に、水性液が全く行き渡らず、未造粒
のままの吸水性樹脂微粉末(A2)を半分以上含むもので
あった。
【0370】次に、上記ダマ状の粉末状造粒物を、実施
例13と同様に乾燥、粉砕、分級することにより、比較
吸水性樹脂造粒物(1)を得た。該比較吸水性樹脂造粒
物(1)の粒度分布、無加圧下での吸収倍率および造粒
破壊率を測定した。上記粒度分布を表4に示すと共に、
吸収倍率および造粒破壊率の測定結果を合わせて表5に
示す。
【0371】また、上記比較吸水性樹脂造粒物(1)の
電子顕微鏡写真(50倍)を図20に示す。上記比較吸
水性樹脂造粒物(1)は、原料として図18に示した粒
径150μm未満の吸水性樹脂微粉末(A2)を用いてい
るが、150μm以上の造粒物が約24重量%しかな
く、かつ、その造粒も個々の微粉末の点接触であり、結
果的に、衝撃力(B)によって規定される造粒破壊率1
00重量%という、弱い造粒物(凝集体)となってい
た。
【0372】さらに、上記比較吸水性樹脂造粒物(1)
を用いて、実施例13と同様の混合・加熱処理を行って
No.1比較用吸水剤を得た。上記No.1比較用吸水
剤の無加圧下および高加圧下の吸収倍率、吸収速度、お
よび造粒破壊率を測定した。上記測定結果を表6に示
す。
【0373】〔比較例3〕実施例13において、吸水性
樹脂造粒物(1)に代えて、吸水性樹脂(A1)を86.
3重量%、吸水性樹脂微粉末(A2)を13.7重量%の
割合で含む吸水性樹脂(A)を用いた以外は、実施例1
3と同様の反応・操作を行って、No.2比較用吸水剤
を得た。また、このNO.2比較用吸水剤の無加圧下お
よび高加圧下の吸収倍率、吸収速度、および造粒破壊率
を測定した。上記測定結果を表6に示す。
【0374】〔実施例17〕実施例1において、内部架
橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレート
(n=8)の使用量を、2.9部から3.9部に変更し
た以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って、含水
ゲル状重合体を得た。
【0375】次いで、上記含水ゲル状重合体を、実施例
1と同様に乾燥した後、実施例13よりもロールギャッ
プが狭くなるように設定(最終ロールギャップ約0.1
5mm)されたロールグラニュレター型粉砕機を用いて
粉砕し、目開き850μmのJIS標準篩で分級するこ
とにより、平均粒径が260μmの不定型破砕状の吸水
性樹脂(B)を得た。さらに、この吸水性樹脂(B)
を、目開き150μmのJIS標準篩で分級することに
より、粒径850μm〜150μmの吸水性樹脂(B1)
82.0重量%および粒径150μm未満の吸水性樹脂
微粉末(B2)18.0重量%を得た。
【0376】次いで、上記の吸水性樹脂微粉末(B2)
を、図1に示す連続押出式混合機1に2kg/分の割合
で投入すると共に、上記連続押出式混合機1に設けられ
た口径5mmの液供給口4から、グリセリン0.1重量
部を溶解させたイオン交換水を、吸水性樹脂微粉末(B
2)100重量部に対して163重量部の割合で投入する
ことによって、上記吸水性樹脂微粉末(B2)と、グリセ
リンを含むイオン交換水とを連続的に混合した。この結
果、排出口5から、粒子状の均一な含水ゲル状造粒物が
連続的に排出された。得られた粒子状の含水ゲル状造粒
物は、個々の粒子の凝集体であり、その大部分が、粒径
約1mm〜5mmの均一な含水ゲル状造粒物であった。
また、得られた上記含水ゲル状造粒物の固形分は、3
8.0重量%であった。
【0377】次に、この含水ゲル状造粒物を、目開き3
00μmのJIS標準金網上に、約5cmの厚みになる
ように広げ、160℃の熱風循環式乾燥機で乾燥させ
た。この結果、上記含水ゲル状造粒物は均一かつ十分に
乾燥され、手でも容易に解砕可能な粉体状の乾燥造粒物
が得られた。該乾燥造粒物中の10mmを越える塊は5
%に過ぎなかった。
【0378】次いで、この乾燥造粒物を、実施例13に
おける乾燥造粒物粉砕時と同じロールギャップ(最終ロ
ールギャップ約0.27mm)に設定されたロールグラ
ニュレター型粉砕機を用いて粉砕し、その後、目開き8
50μmのJIS標準篩で分級することにより、吸水性
樹脂造粒物(5)を得た。
【0379】このようにして得られた上記吸水性樹脂造
粒物(5)、吸水性樹脂(B)、吸水性樹脂(B1)、お
よび吸水性樹脂微粉末(B2)の粒度分布、無加圧下での
吸収倍率および造粒破壊率を測定した。上記粒度分布を
表4に示すと共に、吸収倍率および造粒破壊率の測定結
果を合わせて表5に示す。
【0380】さらに、上記吸水性樹脂造粒物(5)を用
いて、実施例13と同様の混合・加熱処理を行ってN
o.17吸水剤を得た。また、このNo.17吸水剤の
無加圧下および高加圧下の吸収倍率、吸収速度、および
造粒破壊率を測定した。上記測定結果を表6に示す。
【0381】
【表4】
【0382】
【表5】
【0383】
【表6】 上記実施例13〜17および比較例1〜3の結果から、
2種類以上の攪拌翼7…を有し、これによって、押し出
し推力が異なる領域を有する本願の連続押出式混合機1
を用いて造粒することにより、造粒強度に優れた吸水性
樹脂造粒物が得られることが判る。また、このように造
粒強度に優れた吸水性樹脂造粒物を吸水剤の原料として
用いることで、機械的ストレスに強く、しかも、吸水速
度の速い吸水剤を得ることができることが判る。これに
対し、押し出し推力が一定である従来の連続押出式混合
器100を用いた場合には、吸水性樹脂微粉末に添加す
る水分量が多ければ造粒物とはならず、逆に水分量が少
なければ造粒強度に優れた吸水性樹脂造粒物を得ること
ができないことが判る。
【0384】〔実施例18〕実施例5において、図7に
示す連続押出式混合機55に設けられた攪拌翼7(第一
の攪拌翼7a)の吸水性樹脂押出面7a1 と回転軸6に
垂直な平面とのなす角度(以下、単に吸水性樹脂押出面
の角度と記す)を、回転軸の全長を100%としたとき
の攪拌翼7…の配設域に応じて種々変更することで、実
施例5とは混合条件を変えて吸水性樹脂と表面架橋剤と
を混合した。そして、得られた混合物における「ダマ」
の割合を測定した。
【0385】次いで、上記混合物を20メッシュ金網に
通過させた後、該混合物を195℃で40分間加熱処理
することにより、吸水剤を得た。上記吸水剤の無加圧下
および高加圧下での吸収倍率を測定した。上記測定結果
を、上記連続押出式混合機55における混合条件と合わ
せて表7に示す。
【0386】
【表7】 上記表7において、「送り」、「戻り」とは、吸水性樹
脂の押し出し方向に対する押し出し推力の向きを示す。
例えば、図17に示すように、吸水性樹脂排出方向(つ
まり、連続押出式混合機55における材料供給口3側か
ら排出口5側への吸水性樹脂の進行方向)である矢印A
方向に対して矢印B方向に回転軸6が回転したときに、
吸水性樹脂の進行方向であるA方向と同方向に押し出し
推力が生じる場合を「送り」、A方向とは逆方向である
C方向に押し出し推力が生じる場合を「戻り」と記す。
【0387】従って、「送り45°」とは、攪拌翼7の
吸水性樹脂押出面7a1 と回転軸6に垂直な平面とのな
す角度が45°であり、吸水性樹脂進行方向に押し出し
推力が生じていることを示す。また、「戻り45°」と
は、攪拌翼7の吸水性樹脂押出面7a1 と回転軸6に垂
直な平面とのなす角度が45°であり、吸水性樹脂進行
方向とは逆向きに押し出し推力が生じていることを示
す。
【0388】また、吸水性樹脂押出面の角度が水平と
は、攪拌翼7の翼面が回転軸6の軸方向と平行な状態に
あることを示し、上記吸水性樹脂押出面の角度が水平に
設定されている場合には、攪拌翼7による押し出し推力
は新たには生じない。
【0389】上記表7の結果から、攪拌翼7の吸水性樹
脂押出面の角度(攪拌翼7の翼面の向き)を種々変更す
ることにより押し出し推力が小さくなる領域を排出側に
設けることで、吸水性樹脂と表面架橋剤等を含む水性液
とをより均一に混合することができることが判る。
【0390】
【発明の効果】請求項1記載の発明の吸水剤は、以上の
ように、カルボキシル基を有する吸水性樹脂と、このカ
ルボキシル基に反応する架橋剤とを混合、反応させて得
られる吸水剤であって、上記吸水剤に所定の荷重を加え
ることにより衝撃力(A)を与えたとき、その衝撃後の
吸水剤における圧力50g/cm2 での吸収倍率をQ、
衝撃前の吸水剤における同一圧力での吸収倍率をPとす
ると、 P≧20(g/g) であり、かつ、 Q/P≧0.85 である構成である。
【0391】請求項2記載の発明の吸水剤は、以上のよ
うに、カルボキシル基を有する吸水性樹脂と、このカル
ボキシル基に反応する架橋剤とを混合、反応させて得ら
れる吸水剤であって、上記吸水剤に所定の振動を与える
ことにより衝撃力(B)を与えたとき、その衝撃後の吸
水剤における圧力50g/cm2 での吸収倍率をX、衝
撃前の吸水剤における同一圧力での吸収倍率をYとする
と、 X≧20(g/g) であり、かつ、 Y/X≧0.90 である構成である。
【0392】上記の構成によれば、本発明の吸水剤は、
優れた吸収性能を持ち、かつ機械的ストレスに強いもの
である。従って、製造プラントにおける搬送や、ユーザ
における加工等で加わる機械的ストレスを受けてもその
吸水特性を殆ど低下させず、最終製品中においてその優
れた吸収性能を維持する吸水剤を提供することができ
る。上記各吸水剤は、これらをユーザにおいて最終製品
の吸収性物品に加工した後も、その優れた吸収特性を維
持できるので、各種の吸収性物品、特に、加圧下におけ
る吸収特性を重視される紙オムツや生理用ナプキン、失
禁パット等の吸収体を含む衛生材料等の吸収性物品に好
適であるという効果を奏する。
【0393】請求項3記載の発明の吸水剤の製造方法
は、以上のように、カルボキシル基を有する吸水性樹脂
を、固定円筒の内部における回転軸の周りに、上記吸水
性樹脂に押し出し推力を与える少なくとも一種の攪拌部
材を設けた攪拌型の連続押出式混合機における第一領域
に供給し、上記吸水性樹脂を、上記第一領域で分散させ
た後、該第一領域における押し出し推力よりも押し出し
推力が小さい第二領域に押し出し、該第二領域で上記吸
水性樹脂と水性液とを混合させる構成である。
【0394】請求項4記載の発明の吸水剤の製造方法
は、以上のように、請求項3記載の吸水剤の製造方法に
おいて、上記第二領域に上記水性液を供給する構成であ
る。
【0395】請求項5記載の発明の吸水剤の製造方法
は、以上のように、請求項3または4記載の吸水剤の製
造方法において、上記水性液がカルボキシル基と反応し
得る架橋剤を含む構成である。
【0396】上記の構成によれば、吸水性樹脂を上記第
一領域で分散させた後、該第一領域における押し出し推
力よりも押し出し推力が小さい第二領域に押し出し、該
第二領域で上記吸水性樹脂と水性液とを混合させること
で、第二領域では、第一領域にて分散された吸水性樹脂
の平均速度を低下させ、上記吸水性樹脂と水性液との混
合攪拌時間を十分に確保すると共に、上記第一領域にて
分散された吸水性樹脂と、水性液とを素早く均一に混合
させることができる。この結果、カルボキシル基を有す
る吸水性樹脂とこのカルボキシル基と反応し得る架橋剤
等を含む水性液との混合、反応が効率よく行われ、しか
も均一混合を確保することができる。従って、上記の構
成によれば、加圧下において高い吸収倍率を示し、かつ
製造プラントにおける搬送やユーザにおける最終製品の
加工等を行った後にもその優れた吸水性能を維持し、最
終製品中において、その使用方法を選ばず、常に優れた
特性を発揮することのできる吸水剤を製造することがで
きる吸水剤の製造方法を提供することができるという効
果を奏する。
【0397】請求項6記載の発明の吸水剤の製造装置
は、以上のように、カルボキシル基を有する吸水性樹脂
と水性液とを混合するための攪拌型の連続押出式混合機
を有する吸水剤の製造装置であって、上記連続押出式混
合機は、内部に回転軸を有する固定円筒を備え、上記回
転軸の周りには、少なくとも一種の攪拌部材が、上記固
定円筒内に供給された吸水性樹脂を分散させる第一領域
における押し出し推力よりも押し出し推力が小さい第二
領域を排出側に形成するように設けられている構成であ
る。
【0398】請求項7記載の発明の吸水剤の製造装置
は、以上のように、請求項6記載の吸水剤の製造装置に
おいて、上記連続押出式混合機の固定円筒は、上記吸水
性樹脂を供給するための第一供給口と、上記第一供給口
よりも排出側に設けられ、上記水性液を供給するための
第二供給口とを備え、上記第二供給口は、上記第二領域
に設けられている構成である。
【0399】請求項8記載の発明の吸水剤の製造装置
は、以上のように、請求項6記載の吸水剤の製造装置に
おいて、上記連続押出式混合機の固定円筒は、上記吸水
性樹脂を供給するための第一供給口と、上記第一供給口
よりも排出側に設けられ、上記水性液を供給するための
第二供給口とを備え、上記第二供給口は、上記第一領域
と第二領域との境界域に設けられている構成である。
【0400】請求項9記載の発明の吸水剤の製造装置
は、以上のように、請求項6〜8の何れか1項に記載の
吸水剤の製造装置において、上記回転軸の周りには、上
記吸水性樹脂供給側に設けられて押し出し推力を生じる
形状に形成された複数の第一の攪拌部材と、これら第一
の攪拌部材の排出側に設けられ、かつ、第一の攪拌部材
の配設領域における押し出し推力よりも押し出し推力が
小さくなる領域を形成する複数の第二の攪拌部材とが順
次配されている構成である。
【0401】請求項10記載の発明の吸水剤の製造装置
は、以上のように、請求項9記載の吸水剤の製造装置に
おいて、上記第一の攪拌部材は、板状に形成されている
構成である。
【0402】請求項11記載の発明の吸水剤の製造装置
は、以上のように、請求項9または10記載の吸水剤の
製造装置において、上記第二の攪拌部材は、円柱状に形
成されている構成である。
【0403】請求項12記載の発明の吸水剤の製造装置
は、以上のように、請求項6〜11の何れか1項に記載
の吸水剤の製造装置において、上記固定円筒の内径に対
する回転軸の直径の比が0.4〜0.6の範囲内である
構成である。
【0404】請求項13記載の発明の吸水剤の製造装置
は、以上のように、請求項6〜12の何れか1項に記載
の吸水剤の製造装置において、上記連続押出式混合機に
おける固定円筒の内面が、実質的に、水に対する接触角
が約60°以上で約70℃以上の熱変形温度を有する基
材から形成されている構成である。
【0405】上記の構成によれば、上記第一領域では、
固定円筒内に供給された吸水性樹脂に、連続押出式混合
機の内部へと十分な押し出し推力を与えて分散させ、上
記第二領域では、上記第一領域における押し出し推力よ
りも押し出し推力を小さくすることで、吸水性樹脂の平
均速度を低下させ、上記吸水性樹脂と水性液との混合攪
拌時間を十分に確保すると共に、上記第一領域にて分散
された吸水性樹脂と、水性液とを素早く均一に混合する
ことができる。
【0406】また、上記固定円筒の内面が、実質的に、
水に対する接触角が約60°以上で約70℃以上の熱変
形温度を有する基材から形成されていることで、含水し
た吸水性樹脂が固定円筒内面に付着することを防止する
ことができると共に、混合期間中に発生する熱に十分耐
えることができ、安定した混合を継続することができ
る。
【0407】さらに、上記固定円筒の内径に対する回転
軸の直径の比が0.4〜0.6の範囲内であることで、
上記吸水性樹脂と水性液との十分な混合を安定的かつ連
続的に行うことができる。
【0408】また、本発明において、上記吸水性樹脂と
水性液とを混合させる際には、できるだけ瞬時に両者が
全体的に接触する必要がある。このため、上記水性液を
供給するための第二供給口が、上記第二領域、より好ま
しくは第一領域と第二領域との境界域に設けられている
ことで、上記吸水性樹脂と水性液とを瞬時に接触させ、
これにより吸水性樹脂と水性液とを十分均一に、「ダ
マ」を形成させることなく混合させることができる。
【0409】従って、上記の構成によれば、連続押出式
混合機における攪拌部材の諸構成により、カルボキシル
基を有する吸水性樹脂とこのカルボキシル基と反応し得
る架橋剤等を含む水性液との混合、反応が効率よく行わ
れ、しかも均一混合を確保することができる。そして、
上記の構成によれば、加圧下において高い吸収倍率を示
し、かつ製造プラントにおける搬送やユーザにおける最
終製品の加工等を行った後にもその優れた吸水性能を維
持し、最終製品中において、その使用方法を選ばず、常
に優れた特性を発揮することのできる吸水剤を製造する
ことができる吸水剤の製造装置を提供することができる
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る吸水剤の製造装置
における連続押出式混合機の概略の断面図である。
【図2】図1に示す連続押出式混合機における攪拌状態
を示す説明図であり、(a)は、上記連続押出式混合機
における第一領域での攪拌状態を示す説明図であり、
(b)は、上記連続押出式混合機における第二領域での
攪拌状態を示す説明図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る吸水剤の製造装
置における連続押出式混合機の概略の断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施の形態に係る吸水剤の
製造装置における連続押出式混合機の概略の断面図であ
る。
【図5】本発明のさらに他の実施の形態に係る吸水剤の
製造装置における連続押出式混合機の概略の断面図であ
る。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態に係る吸水剤の
製造装置における連続押出式混合機の概略の断面図であ
る。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態に係る吸水剤の
製造装置における連続押出式混合機の概略の断面図であ
る。
【図8】本発明のさらに他の実施の形態に係る吸水剤の
製造装置における連続押出式混合機の概略の断面図であ
る。
【図9】本発明のさらに他の実施の形態に係る吸水剤の
製造装置における連続押出式混合機の概略の断面図であ
る。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態に係る吸水剤
の製造装置における連続押出式混合機の概略の断面図で
ある。
【図11】上記吸水剤に衝撃力(A)を与えるための装
置を示す斜視図である。
【図12】上記吸水剤に衝撃力(B)を与えるために用
いられる容器の概略構成図である。
【図13】(a)は、上記吸水剤に衝撃力(B)を与え
る場合の上記容器に対する振動の与え方を説明する説明
図であり、(b)は、上記吸水剤に衝撃力(B)を与え
る場合の上記容器に対する振動の与え方を(a)とは別
の角度から説明する説明図である。
【図14】上記吸水剤に衝撃力(B)を与えるための装
置の概略構成図である。
【図15】上記吸水剤に衝撃力(B)を与える場合の容
器の振動の様子を説明する説明図である。
【図16】上記吸水剤の加圧下での吸収倍率を測定する
ための装置を示す断面図である。
【図17】上記連続押出式混合機における攪拌部材の吸
水性樹脂押出面の角度と押し出し推力の生じる方向との
関係について説明する説明図である。
【図18】実施例13で得られた粒径150μm未満の
吸水性樹脂微粉末(A2)の構造を電子顕微鏡写真(50
倍)によって示す図面代用写真である。
【図19】実施例13で得られた吸水性樹脂造粒物
(1)の構造を電子顕微鏡写真(50倍)によって示す
図面代用写真である。
【図20】比較例2で得られた比較吸水性樹脂造粒物
(1)の構造を電子顕微鏡写真(50倍)によって示す
図面代用写真である。
【図21】従来の吸水剤の製造装置における連続押出式
混合機を示す断面図である。
【符号の説明】 1 連続押出式混合機 2 ケーシング(固定円筒) 3 材料供給口(第一供給口) 4 液供給口(第二供給口) 5 排出口 6 回転軸 7 攪拌翼(攪拌部材) 7a 第一の攪拌翼(第一の攪拌部材) 7a1 吸水性樹脂押出面 7b 第二の攪拌翼(第一の攪拌部材) 51 連続押出式混合機 52 連続押出式混合機 53 連続押出式混合機 54 連続押出式混合機 55 連続押出式混合機 55’ 連続押出式混合機 56 連続押出式混合機 57 連続押出式混合機
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年2月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】請求項2記載の発明の吸水剤は、上記の課
題を解決するために、カルボキシル基を有する吸水性樹
脂と、このカルボキシル基に反応する架橋剤とを混合、
反応させて得られる吸水剤であって、上記吸水剤に所定
の振動を与えることにより衝撃力(B)を与えたとき、
その衝撃後の吸水剤における圧力50g/cm2 での吸
収倍率を、衝撃前の吸水剤における同一圧力での吸収
倍率をとすると、 X≧20(g/g) であり、かつ、 Y/X≧0.90 であることを特徴としている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】また、本発明の吸水剤は、カルボキシル基
を有する吸水性樹脂と、このカルボキシル基に反応する
架橋剤とを混合、反応させて得られる吸水剤であって、
上記吸水剤に、所定の振動を与えることにより衝撃力
(B)を与えたとき、その衝撃後の吸水剤における圧力
50g/cm2 での吸収倍率を、衝撃前の吸水剤にお
ける同一圧力での吸収倍率をとするとき、 X≧20(g/g) であり、かつ、 Y/X≧0.90 である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0144
【補正方法】変更
【補正内容】
【0144】さらに、本発明の吸水剤は、該吸水剤の圧
力50g/cm2 での吸収倍率をとし、上記吸水剤に
所定の振動を与えることにより衝撃力(B)を与え、そ
の衝撃後の吸水剤における同一圧力(50g/cm2
での吸収倍率をとした時、 X≧20(g/g) であり、かつ、 Y/X≧0.90 となる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0391
【補正方法】変更
【補正内容】
【0391】請求項2記載の発明の吸水剤は、以上のよ
うに、カルボキシル基を有する吸水性樹脂と、このカル
ボキシル基に反応する架橋剤とを混合、反応させて得ら
れる吸水剤であって、上記吸水剤に所定の振動を与える
ことにより衝撃力(B)を与えたとき、その衝撃後の吸
水剤における圧力50g/cm2 での吸収倍率を、衝
撃前の吸水剤における同一圧力での吸収倍率をとする
と、 X≧20(g/g) であり、かつ、 Y/X≧0.90 である構成である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 貴則 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 矢野 昭人 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 石▲崎▼ 邦彦 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボキシル基を有する吸水性樹脂と、こ
    のカルボキシル基に反応する架橋剤とを混合、反応させ
    て得られる吸水剤であって、 上記吸水剤に所定の荷重を加えることにより衝撃力
    (A)を与えたとき、その衝撃後の吸水剤における圧力
    50g/cm2 での吸収倍率をQ、衝撃前の吸水剤にお
    ける同一圧力での吸収倍率をPとすると、 P≧20(g/g) であり、かつ、 Q/P≧0.85 であることを特徴とする吸水剤。
  2. 【請求項2】カルボキシル基を有する吸水性樹脂と、こ
    のカルボキシル基に反応する架橋剤とを混合、反応させ
    て得られる吸水剤であって、 上記吸水剤に、上記吸水剤同士を所定の強さで衝突させ
    ることにより衝撃力(B)を与えたとき、その衝撃後の
    吸水剤における圧力50g/cm2 での吸収倍率をX、
    衝撃前の吸水剤における同一圧力での吸収倍率をYとす
    ると、 X≧20(g/g) であり、かつ、 Y/X≧0.90 であることを特徴とする吸水剤。
  3. 【請求項3】カルボキシル基を有する吸水性樹脂を、固
    定円筒の内部における回転軸の周りに、上記吸水性樹脂
    に押し出し推力を与える少なくとも一種の攪拌部材を設
    けた攪拌型の連続押出式混合機における第一領域に供給
    し、上記吸水性樹脂を、上記第一領域で分散させた後、
    該第一領域における押し出し推力よりも押し出し推力が
    小さい第二領域に押し出し、該第二領域で上記吸水性樹
    脂と水性液とを混合させることを特徴とする吸水剤の製
    造方法。
  4. 【請求項4】上記第二領域に上記水性液を供給すること
    を特徴とする請求項3記載の吸水剤の製造方法。
  5. 【請求項5】上記水性液がカルボキシル基と反応し得る
    架橋剤を含むことを特徴とする請求項3または4記載の
    吸水剤の製造方法。
  6. 【請求項6】カルボキシル基を有する吸水性樹脂と水性
    液とを混合するための攪拌型の連続押出式混合機を有す
    る吸水剤の製造装置であって、 上記連続押出式混合機は、内部に回転軸を有する固定円
    筒を備え、上記回転軸の周りには、少なくとも一種の攪
    拌部材が、上記固定円筒内に供給された吸水性樹脂を分
    散させる第一領域における押し出し推力よりも押し出し
    推力が小さい第二領域を排出側に形成するように設けら
    れていることを特徴とする吸水剤の製造装置。
  7. 【請求項7】上記連続押出式混合機の固定円筒は、上記
    吸水性樹脂を供給するための第一供給口と、上記第一供
    給口よりも排出側に設けられ、上記水性液を供給するた
    めの第二供給口とを備え、 上記第二供給口は、上記第二領域に設けられていること
    を特徴とする請求項6記載の吸水剤の製造装置。
  8. 【請求項8】上記連続押出式混合機の固定円筒は、上記
    吸水性樹脂を供給するための第一供給口と、上記第一供
    給口よりも排出側に設けられ、上記水性液を供給するた
    めの第二供給口とを備え、 上記第二供給口は、上記第一領域と第二領域との境界域
    に設けられていることを特徴とする請求項6記載の吸水
    剤の製造装置。
  9. 【請求項9】上記回転軸の周りには、上記吸水性樹脂供
    給側に設けられて押し出し推力を生じる形状に形成され
    た複数の第一の攪拌部材と、これら第一の攪拌部材の排
    出側に設けられ、かつ、第一の攪拌部材の配設領域にお
    ける押し出し推力よりも押し出し推力が小さくなる領域
    を形成する複数の第二の攪拌部材とが順次配されている
    ことを特徴とする請求項6〜8の何れか1項に記載の吸
    水剤の製造装置。
  10. 【請求項10】上記第一の攪拌部材は、板状に形成され
    ていることを特徴とする請求項9記載の吸水剤の製造装
    置。
  11. 【請求項11】上記第二の攪拌部材は、円柱状に形成さ
    れていることを特徴とする請求項9または10記載の吸
    水剤の製造装置。
  12. 【請求項12】上記固定円筒の内径に対する回転軸の直
    径の比が0.4〜0.6の範囲内であることを特徴とす
    る請求項6〜11の何れか1項に記載の吸水剤の製造装
    置。
  13. 【請求項13】上記連続押出式混合機における固定円筒
    の内面が、実質的に、水に対する接触角が約60°以上
    で約70℃以上の熱変形温度を有する基材から形成され
    ていることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項
    に記載の吸水剤の製造装置。
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