JPH09234353A - 油濁汚染水の浄化方法 - Google Patents

油濁汚染水の浄化方法

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JPH09234353A
JPH09234353A JP4249996A JP4249996A JPH09234353A JP H09234353 A JPH09234353 A JP H09234353A JP 4249996 A JP4249996 A JP 4249996A JP 4249996 A JP4249996 A JP 4249996A JP H09234353 A JPH09234353 A JP H09234353A
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JP
Japan
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oil
membrane
water
porous membrane
contaminated water
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JP4249996A
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English (en)
Inventor
Kosei Chiyou
滬生 張
Takanori Anazawa
孝典 穴沢
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Kawamura Institute of Chemical Research
DIC Corp
Original Assignee
Kawamura Institute of Chemical Research
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 油濁汚染水を、分画分子量7万以上、孔
径0.1μm以下の多孔質膜、好ましくは油濁汚染水と
接触する側の表面の水との接触角が0〜60゜の多孔質
膜を用いて濾過する。 【効果】 水に懸濁した油を微細な粒滴を除去しても油
による多孔質膜のファウリングが生じにくいため、ファ
ウリングに基づくフラックスが低下しにくく、多孔質膜
の洗浄頻度を大幅に少なくできる。しかも、設置面積当
りの処理量が格段に大きいという膜濾過の特長は損なわ
れない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油濁汚染水、例え
ば微粒子状の油が分散している水から濾過によって油を
除去または油を濃縮する、油濁汚染水の浄化方法に関
し、排水処理、上水や中水の造水、有価物の回収などの
分野で使用される。
【0002】
【従来の技術】上水や中水の造水、即ち浄水や廃水処理
に於て、原水に混入した油を除去するには通常砂濾過法
が使用される。しかしながら、油は分解に対する生物的
負荷が大きいため、油の量が多い場合にはこの砂濾過法
は実質的に使用不可能であった。また、この砂濾過法に
よっては、小径の油滴は除去されず、しかも原水中の油
濃度が高い場合には、処理水中の油濃度を1重量ppm
以下にすることは困難であった。
【0003】一方、膜濾過法は、砂濾過法に比べて設置
面積当りの処理量が格段に大きくなり、しかも細孔径を
小さくできることにより油の高い除去率を実現できるた
め、限外濾過膜や逆浸透膜を使用した濾過法が検討され
てきた。しかし、膜濾過法は、甚だしい膜のファウリン
グ(汚れによる目詰まり)が生じ易く、フラックス(透
過流束)が短時間の内に低下してしまうために、これも
また実用上使用不能であった。
【0004】更に、水中に懸濁している水と非混和性の
液体のみを多孔質膜を通して分離する膜濾過法も実用化
されているが、この膜濾過法では水と非混和性の液体が
有機溶剤のような低粘度液体の場合に限られ、粘稠液体
や半固体状の場合には適用できなかった。このように、
油濁汚染水の浄化方法として適当な方法が無かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、膜濾
過法は、設置面積当りの処理量が砂濾過法に比べて格段
に大きいといった特長があるため、油濁汚染水の浄化に
膜濾過法が使用できれば大きなメリットがある。しか
し、膜濾過法を油濁汚染水の浄化に適用するためには、
膜のファウリングに基づくフラックスの低下を抑制する
ことが必須であり、懸濁油等によるファウリングが生じ
にくい膜の開発が必要となる。
【0006】本発明が解決しようとする課題は、設置面
積当りの処理量が格段に大きいという膜濾過の特長を生
かし、油による膜のファウリングが生じにくく、ファウ
リングに基づくフラックスの低下の抑制された膜濾過法
による油濁汚染水の浄化方法を開発することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、膜を使用
した油濁汚染水の浄化方法について鋭意検討した結果、
ファウリング抑制には膜の孔径が重要であり、特定の孔
径の細孔を有する膜、好ましくは更に特定の水接触角を
示す膜を油濁汚染水の浄化使用すること等によって、水
に懸濁した油の微細な粒滴を除去しても油による膜のフ
ァウリングが生じにくくなって、ファウリングに基づく
フラックスが低下しにくくなること、このため膜の洗浄
頻度を大幅に少なくできること、しかも設置面積当りの
処理量が格段に大きいという膜濾過の特長は損なわれな
いこと等を見い出し、本発明に到達した。
【0008】即ち、本発明は、(1)油濁汚染水を分画
分子量7万以上、孔径0.1μm以下の多孔質膜を用い
て濾過することを特徴とする油濁汚染水の浄化方法、
(2)多孔質膜が、分画分子量10万以上、孔径0.0
5μm以下の多孔質膜である上記(1)記載の油濁汚染
水の浄化方法、(3)多孔質膜が、油濁汚染水と接触す
る側の表面の水との接触角が0〜60゜の多孔質膜であ
る上記(1)または(2)記載の油濁汚染水の浄化方
法、(4)多孔質膜が、油濁汚染水と接触する側の表面
の水との接触角が0〜55゜の多孔質膜である(1)ま
たは(2)記載の油濁汚染水の浄化方法、
【0009】(5)多孔質膜が、セルロース系ポリマ
ー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミ
ド、ポリイミドまたはアクリル系ポリマーを主成分とし
て構成されたものである上記(1)〜(4)のいずれか
1つに記載の油濁汚染水の浄化方法、(6)多孔質膜
が、ポリスルホンまたはポリエーテルスルホンを主成分
として構成されたものである上記(5)記載の油濁汚染
水の浄化方法、(7)多孔質膜が、ノニオン系親水基及
び/またはアニオン系親水基を有する素材で構成された
ものである上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の
油濁汚染水の浄化方法、(8)油濁汚染水が、油を0.
5〜10000重量ppm含有する汚染水である上記
(1)〜(7)のいずれか1つに記載の油濁汚染水の浄
化方法、及び(9)油濁汚染水が、石油由来の炭化水素
を含有する海水である請求項8記載の油濁汚染水の浄化
方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の浄水方法に使用する多孔
質膜(以下、単に「膜」と称する場合もある)は、分画
分子量が7万以上、好ましくは10万以上、更に好まし
くは20万以上であり、かつ孔径が0.1μm以下、好
ましくは0.05μm以下、更に好ましくは0.03μ
m以下の多孔質膜である。膜の分画分子量が7万より小
さいと、油によるフラックスの低下が大きくなり、また
孔径が0.1μmより大きいと、油の漏洩が生じる場合
があるので、それぞれ好ましくない。
【0011】一般に、限外濾過膜における細孔径は分画
分子量で表示され、精密濾過膜は孔径で表示されるが、
本発明で使用する膜は限外濾過膜と精密濾過膜の中間の
領域に属するものである。
【0012】分画分子量とは、膜による阻止率が90%
である溶質の分子量を言い、また孔径とは、膜による阻
止率が90%である粒子の直径を言う。膜による阻止率
は、分子量が判明している合成高分子、蛋白質、多糖類
などの分子の水溶液、または粒径が判明している粒子の
水分散液を濾過し、阻止率={1−(濾液中の該分子ま
たは粒子の濃度/原液中の該分子または粒子の濃度)}
×100(%)の式により求めることが出来る。膜によ
る阻止率は、膜上面の液を攪拌出来るタイプの濾過試験
装置、例えばザルトリウス社製SM−165−26型限
外濾過試験装置により測定出来る。測定時の膜両面の差
圧は、通常0.5〜1kg/cm2 とする。膜による阻
止率が90%となる分子量あるいは粒径は、いくつかの
分子量あるいは粒径について阻止率を測定し、グラフ上
でなめらかに結んだ線が阻止率90%となる分子量ある
いは粒径から求められる。
【0013】膜の分画分子量を孔径に換算することは困
難であるが、概略値は分子量と分子寸法の関係から推定
できる。例えば、分子量67000のアルブミンの分子
寸法は0.0038μmφ×0.004μm、分子量1
69000のγ−グロブリンは0.0044μmφ×
0.0235μmと言われている。
【0014】本発明の浄化方法に使用する膜のなかで
も、膜の油によるファウリングが増加しにくく、フラッ
クスの低下の抑制効果が大きいことから、処理すべき油
濁汚染水と接触する側の表面の水との接触角が60°以
下のものが好ましく、55°以下のものが特に好まし
い。水との接触角は低い方が好ましく、水との接触角が
低いことによるファウリングの増加は認められないた
め、その下限は0°であってよい。ここで言う「水との
接触角」とは、膜の油濁汚染水と接触する側の表面の水
との接触角であり、他の側の水との接触角は任意であ
る。また、膜が内側に油濁汚染水を流して使用される中
空糸膜である場合のように水との接触角の測定が困難な
場合には、同一素材にてフィルム状のモデルを作成して
測定すれば良い。
【0015】本発明に使用される膜の素材は、特に限定
する必要は無く、合成高分子、天然高分子、無機物であ
って良いが、製造の容易さ、耐久性、表面特性や親水化
のし易さなどの面から、セルロース系ポリマー、ポリス
ルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミ
ド、エチレン−ビニルアルコール共重合体またはアクリ
ル系ポリマーを主成分として構成された物であることが
好ましい。セルロース系ポリマーとしては、酢酸セルロ
ース、ニトロセルロース、再生セルロース、メチルセル
ロース、エチルセルロース等を例示できる。アクリル系
ポリマーとしては、ポリアクリル酸エステル、ポリアク
リルアミド(N置換アクリルアミドを含む)、ポリアク
リロニトリル等を例示できる。ポリアミドは芳香族ポリ
アミドを含む。もちろん、これらは共重合体やブレンド
であってよい。また、主成分とするとは、膜を構成する
素材のうちで存在割合が最大であることを言う。
【0016】これら素材の中で、ポリスルホンまたはポ
リエーテルスルホンが本発明に好適な孔径の膜を製造し
やすく、耐久性や耐薬品性も良好なことから好ましい。
【0017】膜素材の水との接触角が60°より大きい
場合や、膜の水との接触角を更に下げたい場合には、膜
の親水化処理を行っても良い。親水化処理の方法は任意
であり、例えば化学修飾による膜表面への親水基の導
入、親水基を有するポリマーのグラフト、または膜を構
成する素材として親水基を有するポリマーの併用などの
方法を採用できる。無論、膜素材として親水基を有する
ポリマーを用いても良い。
【0018】上記化学修飾により導入される親水基や親
水基を有するポリマーが含有する親水基の種類は任意で
あるが、ノニオン系の親水基またはアニオン系の親水
基、またはこれらの混合であることが好ましい。アニオ
ン系親水基とカチオン系親水基の両方を含有する場合に
は、アニオン系親水基の存在割合が少なくともカチオン
系親水基と同じであることが好ましい。
【0019】ノニオン系親水基としては、例えばポリエ
チレングリコール鎖、水酸基等を例示でき、アニオン系
親水基としては、例えばカルボキシル基、スルホン基、
燐酸基、フェノール基等を例示できる。また、カチオン
系親水基としては、アミノ基、アミド基、アンモニウム
基及びこれらのN置換体等を例示できる。
【0020】これら本発明に使用される膜の中でも、水
との接触角が60゜より大きい素材を主たる構成要素と
した膜を親水化して水との接触角を60゜以下、好まし
くは55゜以下とした膜は、耐圧性、耐久性等の面で優
れており、好ましい。
【0021】本発明の浄化方法に用いる膜の形状は任意
である。膜は、非対象膜、例えば内表面緻密層、外表面
緻密層であっても、等方性膜であっても、複合膜であっ
てもよく、これらの中では、非対象膜または複合膜が好
ましく、この場合には緻密層側に原水を接触させる方法
で使用する。更に、膜は、平膜、中空糸膜、管状膜(キ
ャピラリーを含む)、モノリス膜(複数の芯孔を有する
管状膜)などであってもよく、油濁汚染水の油濃度が低
い場合には中空糸膜が好ましく、油濃度が高い場合には
管状膜や平膜が好ましい。
【0022】本発明の浄化方法に用いる膜モジュールの
形態も任意であり、膜形状に応じたモジュールを使用す
ることができる。即ち、中空糸膜、管状膜またはモノリ
ス膜の場合は、内部潅流型、外部潅流型が共に使用可能
である。平膜においては、例えばスパイラル型、積層型
が共に使用可能である。油濁汚染水の油濃度などにより
適当なモジュール形態を選定できる。
【0023】本発明で用いる油濁汚染水としては、油が
微細な粒滴として、水中に分散している水が挙げられ、
油は油以外の成分との混合物や複合物であっても良い。
もちろん、その他に相分離した形や大固形物として存在
してもよいが、この場合には前濾過などによりこれらを
除去することが好ましい。本発明の浄化方法は、油を
0.5〜10000重量ppm含有する油濁汚染水の浄
化に特に有効である。
【0024】本発明に於いて、油とは、水と混和しない
高沸点の液体や半固形物を言い、原油、重油、軽油、灯
油、ピッチなどの炭化水素、脂肪酸、脂肪酸エステル、
蝋などの油脂類、シリコンオイル、フッ素含有オイル、
ナフタレン誘導体などの合成有機物などが含まれる。ま
た、日光や酸素などによるこれら油の変成物であってよ
い。また、水は第3成分を含有してよく、例えば海水の
様に無機塩等の溶液であって良いし、また分散液であっ
てよい。本発明の浄化方法は、原油、重油などの石油由
来の炭化水素により汚染された海水の浄化、特に逆浸透
膜による造水の前処理としてに特に有効である。
【0025】本発明の油濁汚染水の浄化方法における濾
過方法としては、通常の限外濾過法または精密濾過法を
適用することができる。即ち、循環式濾過法、例えば、
JIS−K3831に記載の方法、全濾過法、例えばJ
IS−K3824に記載の方法が共に適用可能である。
本発明においては、水分のみが膜を透過し、油は膜を透
過せずに油濁汚染水側に濃縮される。
【0026】一般に、これらのいずれの濾過法において
も、油濁汚染水の膜表面流速が遅いとファウリングが生
じやすいことが知られている。そのため、膜面付近を攪
拌したり、循環式濾過法においては油濁汚染水の流入量
を高くする方法や回収率(濾液流量/原水流入量)を下
げるなどの方法が採られてきた。本発明の方法において
は、油濁汚染水が油以外の膜非透過物質を実質的に含有
しない場合には、膜表面流速がゼロであってもファウリ
ングは生じにくく、ゼロから高い膜表面流速までの広い
範囲で運転可能である。しかしながら、なかでもファウ
リングは生じにくいことから、膜表面流速が低い条件と
高い条件、即ち、膜表面流速が3cm/s以下または1
5cm/s以上が好ましい。
【0027】膜表裏の差圧についても、通常の限外濾過
法または精密濾過法に従えばよいが、通常は2kgf/
cm2 以下が好ましく、ファウリングの抑制に効果的な
ことから、1.5kgf/cm2 以下が更に好ましく、
1kgf/cm2 以下が最も好ましい。一方、処理量は
差圧を大きくするほど増すため、差圧は0.2kgf/
cm2 以上が好ましく、0.5kgf/cm2 以上が更
に好ましい。最適差圧は油の性質や膜の特性によって異
なるが、実験により求めることができる。
【0028】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示して本発明を更
に具体的に説明するが、もとより、これらにより本発明
が限定されるわけではない。尚、例中の部は重量部であ
り、また例中で用いた膜の分画分子量と孔径は、以下の
方法で測定したものである。
【0029】(膜の分画分子量及び孔径の測定)膜の分
画分子量の測定は以下の方法によった。濾過原液とし
て、リゾチーム(分子量14800)、牛血清アルブミ
ン(分子量67000)及び、牛γ−グロブリン(分子
量169000)の0.1重量%生理食塩水溶液をそれ
ぞれ作成し、分画分子量測定用の膜を取り付けたザルト
リウス社製SM−165−26型限外濾過試験器を用
い、1次側圧力0.5kgf/cm2 、二次側大気解
放、攪拌子の回転数200rpmの条件で、上記3種の
蛋白の生理食塩水溶液の濾過試験を行って、それぞれ濾
過10分後の濾液を採取し、277nmにおける吸光度
の測定により濾液中の蛋白濃度を求め、阻止率={1−
(濾液中の蛋白濃度/濾過原液中の蛋白濃度)}×10
0(%)の式によりそれぞれの阻止率を算出し、これら
を「log(分子量)対阻止率」のグラフにプロットし
た。
【0030】次いで、上記3種の蛋白の代わりに種々の
分子量の単分散ポリエチレングリコールを用いた以外は
上記と同様にして求めた阻止率を「log(分子量)対
阻止率」のグラフにプロットして結んだS字曲線を、上
記3種の蛋白の阻止率のプロットが乗るように並行移動
させ、平行移動されたS字曲線が阻止率90%を横切る
分子量を求め、この分子量を「分画分子量」とした。
【0031】また、孔径の測定は以下の方法によった。
上記3種の蛋白の代わりに粒径分布既知の酸化チタン粉
末の0.1重量%水分散液を用いた以外は上記と同様に
して濾過し、濾液を分画分子量5万の限外濾過膜で再度
濾過した残さを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し
て、粒子数が原液中での粒子数の10%となる粒径を求
め、この粒径を「孔径」とした。
【0032】実施例1 千寿製薬株式会社製人工海水の素を蒸留水にて規定の倍
率に希釈して得られた人工海水に、濃度がおよそ300
重量ppmとなるようにA重油をに加え、ポンプにて循
環させながら超音波工業株式会社製UH−9−7A型超
音波分散装置に15分間通すことによりA重油を分散さ
せてA重油分散液を得、得られたA重油分散液に分散し
ているA重油の濃度を測定し、次いでA重油濃度が50
重量ppmとなるように蒸留水で希釈して、濾過試験用
の油濁汚染水を得た。
【0033】分画分子量20万、膜の水との接触角が6
9°のポリスルホン製の膜(東洋濾紙株式会社製UK−
200)を取り付けた多摩製器株式会社製循環式濾過器
(攪拌型、膜直径60mmφ)を使用し、得られた濾過
試験用の油濁汚染水40L(リットル)を0.15L/
分で循環させながら、膜上面の攪拌子を400rpm
(平均膜表面流速12cm/s)で回転させると共に、
出口側流路に設けられたバルブにて1次側に1.0kg
/cm2 の圧力を加え、二次側は大気圧解放として油濁
汚染水を濾過して透過液量を1分毎に測定し、得られた
透過液量に基づいて透過流束を算出したところ、透過流
束は、測定開始時に1000[L・m-2・h-1・kgf
-1・cm2 ]であったものが、時間経過と共に低下し、
2時間経過以後に55[L・m-2・h-1・kgf-1・c
2 ]で安定した。
【0034】次いで、この時に濾液を採取し、濾液に分
散しているA重油の濃度を測定して、膜によるA重油の
阻止率={1−(濾液中のA重油濃度/濾過試験用の油
濁汚染水中のA重油油濃度)}×100(%)の式によ
り阻止率を算出したところ、膜によるA重油の阻止率は
100%であった。
【0035】尚、A重油分散液及び濾液に分散している
A重油の濃度は、イソオクタンにて抽出した液を分光螢
光光度計を用いて螢光強度を測定し、検量線と比較する
ことによって求めた。
【0036】実施例2 ポリエーテルスルホンのN,N−ジメチルアセトアミド
溶液をガラス板上に流延し、表面を一部乾燥させた後、
水中に浸漬する方法により作製した、孔径0.05μ
m、水との接触角67°の膜を用いた以外は実施例1と
同様に濾過試験を行ったところ、透過流束は、測定開始
時に1410[L・m-2・h-1・kgf-1・cm2 ]で
あり、7時間経過後に68[L・m-2・h-1・kgf-1
・cm2]で安定した。この時、膜によるA重油の阻止
率は100%であった。
【0037】実施例3 3官能ウレタンアクリレート(大日本インキ化学工業株
式会社製ユニディックV−4263)68部、ジシクロ
ペンタニルジアクリレート17部、メトキシノナエチレ
ングリコールアクリレート15部、光重合開始剤(チバ
ガイギー社製イルガキュアー184)2部、及びイソプ
ロパノールの30重量%水溶液145部を混合した均一
溶液を、ガラス板上に流延し、窒素気流中に30秒置い
た後に紫外線を照射して硬化させ、次いで水及びエタノ
ールで洗浄することにより、孔径0.04μm、水との
接触角53゜の、ポリエチレングリコール鎖含有ポリア
クリル酸エステルからなる膜を得、この膜を使用した以
外は実施例1と同様に濾過試験を行ったところ、透過流
束は、測定開始時に1640[L・m-2・h-1・kgf
-1・cm2 ]であり、2時間経過後に70[L・m-2
-1・kgf-1・cm2 ]で安定した。この時、膜によ
るA重油の阻止率は100%であった。
【0038】実施例4 3官能ウレタンアクリレート(大日本インキ化学工業株
式会社製の試作品)87部、メトキシノナエチレングリ
コールアクリレート10部、スルホン酸ソーダエトキシ
メタクリレート3部、光重合開始剤(チバガイギー社製
イルガキュアー184)2部、及びイソプロパノールの
30重量%水溶液143部を混合した均一溶液を、ガラ
ス板上に流延し、窒素気流中に30秒間置いた後に紫外
線を照射して硬化させ、次いで水及びエタノールで洗浄
することにより、孔径0.03μm、水との接触角48
゜の、スルホン基含有ポリアクリル酸エステルからなる
膜を得、この膜を使用した以外は実施例1と同様に濾過
試験を行ったところ、透過流束は、測定開始時に121
0[L・m-2・h-1・kgf-1・cm2 ]であり、3時
間経過後に90[L・m-2・h-1・kgf-1・cm2
で安定した。この時、膜によるA重油の阻止率は100
%であった。
【0039】実施例5 ポリスルホン、ポリエチレングリコール鎖含有の2官能
アクリレート及びN,N−ジメチルアセトアミド混合溶
液を、ガラス板上に流延し、窒素気流中に30秒置いた
後に紫外線を照射して硬化させ、次いで水に浸漬するこ
とにより、分画分子量20万、水との接触角56゜の、
ポリスルホンを主要構成要素とする膜を得、この膜を使
用した以外は実施例1と同様に濾過試験を行ったとこ
ろ、透過流束は、測定開始時に935[L・m-2・h-1
・kgf-1・cm2 ]であり、2時間経過後に80[L
・m-2・h-1・kgf-1・cm2 ]で安定した。この
時、膜によるA重油の阻止率は100%であった。
【0040】実施例6 ポリスルホンの代わりに酢酸セルロースを用いた以外は
実施例5と同様にして、分画分子量30万、水との接触
角55゜の、ポリエチレングリコール鎖含有ポリアクリ
ル酸エステルにて親水化した酢酸セルロースからなる膜
を得、この膜を使用した以外は実施例1と同様に濾過試
験を行ったところ、透過流束は、測定開始時に1200
[L・m-2・h-1・kgf-1・cm2 ]であり、2時間
経過後に105[L・m-2・h-1・kgf-1・cm2
で安定した。この時、膜によるA重油の阻止率は100
%であった。
【0041】実施例7 3官能ウレタンアクリレート(ユニディックV−426
3)72部、ジシクロペンタニルジアクリレート18
部、N,N−ジメチルアクリルアミド10部、光重合開
始剤(チバガイギー社製イルガキュアー184)2部、
及びイソプロパノールの30重量%水溶液142部を混
合した均一溶液を、ガラス板上に流延し、窒素気流中に
30秒間置いた後に紫外線を照射して硬化させ、次いで
水およびエタノールで洗浄することにより、分画分子量
約30万、水との接触角49゜の、N,N−ジメチルア
クリルアミド基含有ポリアクリル酸エステルからなる膜
を得、この膜を使用した以外は実施例1と同様に濾過試
験を行ったところ、透過流束は、測定開始時に930
[L・m-2・h-1・kgf-1・cm2 ]であり、4時間
経過後に33[L・m-2・h-1・kgf-1・cm2 ]で
安定した。この時、膜によるA重油の阻止率は100%
であった。
【0042】実施例8 実施例7と同様にして得た分画分子量約30万、水との
接触角49゜の、N,N−ジメチルアクリルアミド基含
有ポリアクリル酸エステルからなる膜を用い、膜上面の
攪拌子の回転数を800rpm(平均膜表面流速24c
m/s)で回転させた以外は実施例1と同様に濾過試験
を行ったところ、透過流束は、測定開始時に実施例7と
同じであり、1時間経過後に62[L・m-2・h-1・k
gf-1・cm2 ]で安定した。この時、膜によるA重油
の阻止率は100%であった。
【0043】実施例9 実施例7と同様にして得た分画分子量約30万、水との
接触角49゜の、N,N−ジメチルアクリルアミド基含
有ポリアクリル酸エステルからなる膜を用い、膜上面の
攪拌子の回転を止めた(平均膜表面流速0.4cm/
s)以外は実施例1と同様に濾過試験を行ったところ、
透過流束は、測定開始時に実施例7と同じであり、1時
間経過後に60[L・m-2・h-1・kgf-1・cm2
で安定した。この時、膜によるA重油の阻止率は100
%であった。
【0044】比較例1 孔径0.3μm、水との接触角0゜の、親水化ポリオレ
フィン製の膜(日東電工株式会社製NTM−2104)
を使用した以外は実施例1と同様に濾過試験を行ったと
ころ、透過流束は、測定開始時に4000[L・m-2
-1・kgf-1・cm2 ]であり、8時間経過後に60
0[L・m-2・h-1・kgf-1・cm2]で安定した。
しかし、この時、膜によるA重油の阻止率は75%に過
ぎなかった。
【0045】比較例2 分画分子量5万、水との接触角69°のポリスルホン製
の膜(東洋濾紙株式会社製UK−50)を使用した以外
は実施例1と同様に濾過試験を行ったところ、透過流束
は、測定開始時に120[L・m-2・h-1・kgf-1
cm2 ]であり、7時間経過後も安定しなかった。7時
間経過後の透過流束は9[L・m-2・h -1・kgf-1
cm2 ]であり、この時の膜によるA重油の阻止率は1
00%であった。
【0046】比較例3 カプロラクトン変性トリス(アクリロイルオキシエチ
ル)イソシアネート67.5部、ヘキサンジオールジア
クリレート22.5部、メトキシノナエチレングリコー
ルアクリレート10部、ポリエチレングリコール(n=
10)モノアクリレート140部、アセトン20部、及
び光重合開始剤(チバガイギー社製イルガキュアー18
4)を混合した均一溶液を、ガラス板上に流延し、窒素
気流中に30秒置いた後に紫外線を照射して硬化させ、
次いで水及びエタノールで洗浄することにより、分画分
子量5万、水との接触角57゜の、ポリエチレングリコ
ール鎖含有ウレタンアクリレートからなる膜を得、この
膜を使用した以外は実施例1と同様に濾過試験を行った
ところ、透過流束は、測定開始時に1230[L・m -2
・h-1・kgf-1・cm2 ]であり、7時間経過後に1
0[L・m-2・h-1・kgf-1・cm2 ]で安定した。
この時、膜によるA重油の阻止率は100%であった。
【0047】比較例4 孔径0.45μm、水との接触角0゜の、セルロースア
セテート製の膜(東洋濾紙株式会社製C045A142
C)を使用した以外は実施例1と同様に濾過試験を行っ
たところ、透過流束は、測定開始時に1800[L・m
-2・h-1・kgf-1・cm2 ]であり、8時間経過後も
安定しなかった、8時間経過時の透過流束は20[L・
-2・h-1・kgf-1・cm2 ]であり、この時の膜に
よるA重油の阻止率は75%であった。
【0048】
【発明の効果】本発明の油濁汚染水の浄化方法は、水に
懸濁した油を微細な粒滴を除去しても油による膜のファ
ウリングが生じにくいため、ファウリングに基づくフラ
ックスが低下しにくく、膜の洗浄頻度を大幅に少なくで
きる。しかも、設置面積当りの処理量が格段に大きいと
いう膜濾過の特長は損なわれない。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 1/40 C02F 1/40 E

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油濁汚染水を分画分子量7万以上、孔径
    0.1μm以下の多孔質膜を用いて濾過することを特徴
    とする油濁汚染水の浄化方法。
  2. 【請求項2】 多孔質膜が、分画分子量10万以上、孔
    径0.05μm以下の多孔質膜である請求項1記載の油
    濁汚染水の浄化方法。
  3. 【請求項3】 多孔質膜が、油濁汚染水と接触する側の
    表面の水との接触角が0〜60゜の多孔質膜である請求
    項1または2記載の油濁汚染水の浄化方法。
  4. 【請求項4】 多孔質膜が、油濁汚染水と接触する側の
    表面の水との接触角が0〜55゜の多孔質膜である請求
    項1または2記載の油濁汚染水の浄化方法。
  5. 【請求項5】 多孔質膜が、セルロース系ポリマー、ポ
    リスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリ
    イミドまたはアクリル系ポリマーを主成分として構成さ
    れたものである請求項1〜4のいずれか1つに記載の油
    濁汚染水の浄化方法。
  6. 【請求項6】 多孔質膜が、ポリスルホンまたはポリエ
    ーテルスルホンを主成分として構成されたものである請
    求項5記載の油濁汚染水の浄化方法。
  7. 【請求項7】 多孔質膜が、ノニオン系親水基及び/ま
    たはアニオン系親水基を有する素材で構成されたもので
    ある請求項1〜6のいずれか1つに記載の油濁汚染水の
    浄化方法。
  8. 【請求項8】 油濁汚染水が、油を0.5〜10000
    重量ppm含有する汚染水である請求項1〜7のいずれ
    か1つに記載の油濁汚染水の浄化方法。
  9. 【請求項9】 油濁汚染水が、石油由来の炭化水素を含
    有する海水である請求項8記載の油濁汚染水の浄化方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004358372A (ja) * 2003-06-05 2004-12-24 Kuniyoshi Higuchi グリストラップ廃液の処理方法
KR101281790B1 (ko) * 2011-12-22 2013-07-03 유지수 소수성 필름을 이용한 다층구조의 유흡착재
JP2015039677A (ja) * 2013-08-23 2015-03-02 日立造船株式会社 海水淡水化システムおよび海水淡水化方法
JP2017202467A (ja) * 2016-05-12 2017-11-16 オルガノ株式会社 膜ろ過システムおよび膜ろ過方法

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