JPH09229563A - 鋳造機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ルツボ６及び鋳型７が回転支持体２に支持さ
れて鋳造の際に回転し、そのルツボ６内の溶融金属に遠
心力が与えられて、それが鋳型７の受湯口９に供給され
る鋳造機において、ルツボ６内の溶融金属に充分大きな
遠心力が与えられたとき始めてそれが注湯口８から鋳型
７の受湯口９に供給されるようにして、密度が高くピン
ホールの少ない鋳造品を作ること。 【解決手段】 回転支持体２の回転始動時には角度変更
機構５によりルツボ６の注湯口８が上向きに保持される
とともに、その回転が速くなって安定したとき角度変更
機構５によりルツボ６の注湯口８が鋳型７の受湯口９に
向けられるように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、特に指輪等の貴金
属を真空鋳造により製造するのに適した鋳造機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】指輪等の小物の身装品を鋳造するものと
して、図６に示すような鋳造機が知られていた。これ
は、鋳造機本体１の上端に設けられた真空室10内に回転
軸11ａが突設され、それに回転支持体２が連結される。
さらに、その回転支持体２にルツボ６と鋳型７とを支持
させる。そして、ルツボ６に非溶融金属を入れ、その外
周を図示しない高周波誘導コイルにより加熱し、ルツボ
６内の金属を溶融させる。次いで、回転軸11ａを回転さ
せ、ルツボ６内の溶融金属に遠心力を加えて、ルツボ６
の注湯口８からそれを鋳型７の受湯口９に射出する。そ
して、溶融金属を鋳型７の成形部30に注入し、鋳造品を
製作していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところがこのような鋳
造機は、回転支持体２が回転軸11ａの周りに回転しだす
と、ルツボ６内の溶融金属に直ちに遠心力が加わり、ル
ツボ６内で溶融金属が注湯口８側に移動して壁面を上昇
することになる。このときルツボ６内の溶融金属量が多
ければ多いほど、不十分なる遠心力でその溶融金属は注
湯口８から鋳型７に注入されてしまう。特に溶融金属の
容量が比較的多い業務用鋳造機においては、回転支持体
２の回転が始まった直後に、溶融金属の一部が鋳型７に
射出注入されてしまう。すると、溶融金属が充分に隅々
に行き渡らないうちに鋳型内でそれが固まり始めること
があり、鋳造品にピンホールを生じたり密度が低くなる
欠点があった。そのため、鋳造品の外周を研磨し、ピン
ホールを埋める等の作業が必要になっていた。そこで本
発明は、ピンホールが出来にくく、鋳型の隅々まで瞬時
に溶融金属を満たし得る信頼性の高い鋳造機を提供する
ことを課題とし、その課題解決のために次の構成をと
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の鋳造機は、鋳造
機本体１と、軸線Ｌの周りに回転するようにその鋳造機
本体１に設けられた回転支持体２と、前記軸線Ｌに対し
て半径方向の内側と外側とに順に並列されて、前記支持
体２に取付られたルツボ保持体３および鋳型保持体４
と、前記ルツボ保持体３の傾きを変える角度変更機構５
と、を具備し、前記ルツボ保持体３にルツボ６が取付ら
れると共に、前記鋳型保持体４に鋳型７が取付られ、前
記回転支持体２の回転始動時には前記角度変更機構５に
より前記ルツボ６の注湯口８が上向きに保持されると共
に、その後に前記角度変更機構５によりその注湯口８が
前記鋳型７の受湯口９に向け得られるように構成された
ものである。また、第２の本発明の鋳造機は、上記構成
において、前記本体１に開閉自在な真空室10が設けら
れ、その真空室10内に重力方向に前記軸線Ｌが配置され
た筒状回転軸11を有し、その筒状回転軸11に前記回転支
持体２が連結されると共に、前記筒状回転軸11内に上下
動自在な傾斜駆動軸12が設けられ、その駆動軸12に前記
ルツボ保持体３が連結されて前記角度変更機構５を構成
するものである。

【０００５】

【発明の実施の形態】次に、図面に基づいて本発明の実
施の形態につき説明する。図１は本発明の鋳造機の平面
図であって、図２のＩ−Ｉ矢視方向から見たものであ
る。また、図２は同鋳造機の一部断面立面図であり、図
３は同鋳造機の要部を説明する斜視図、図４は同鋳造機
の角度変更機構５の第１工程を示し、図５は同第２工程
を示す。本発明の鋳造機が図６におけるそれと大きく異
なる点は、ルツボ６を着脱自在に支持するルツボ保持体
３に角度変更機構５が設けられたことである。それによ
り、回転支持体２の始動時にはルツボ６の注湯口８が上
方に向けられそこから溶融金属が流出しないようにし、
次いで回転支持体２の回転数が充分大きくなったとき、
その注湯口８を鋳型７の受湯口９に向けて溶融金属にお
おきな遠心力を作用させると共に、それを鋳型７に射出
するようにしたものである。

【０００６】本鋳造機は、図２に示すごとくフレーム37
上にベースプレート40が設けられ、そのベースプレート
40上に真空室10が形成されて鋳造機本体１を構成する。
この真空室10は、環状壁34ａとその上端にシールパッキ
ン33を介して開閉自在に且つ気密に閉塞される上蓋34と
を有する。そして、ベースプレート40上には図１に示す
ごとく真空引き用ノズル35が突設されて、その真空引き
用ノズル35に連結された図示しない真空ポンプにより真
空室10内が真空引きされるものある。この真空室10の中
心孔内には、ボス部42が気密に装着されて、その上端が
突設されている。そして、そのボス部42の貫通孔に筒状
回転軸11がベアリング32を介して回動自在に軸支されて
いる。なお、筒状回転軸11はＯリング31を介してボス部
42と気密に形成されている。筒状回転軸11の下端部外周
にはベルトプーリ22が固定され、それがベルト23を介し
て図示しない駆動モータにより回転される。また、筒状
回転軸11の上端は一対のバー材15その他よりなる回転支
持体２に固定されている。

【０００７】即ち、図３に示すごとく筒状回転軸11の上
端部にはフランジ13ａが一体的に固定され、そのフラン
ジ13ａにアーム13の中心部がボルト39により固定されて
いる。そして、このアーム13は断面コ字状に形成され、
その両端部が上方に立ち上げられ、その立ち上げ部に主
サイドブロック14が固定されている。この主サイドブロ
ック14には水平な貫通孔を有し、そこにバー材15が挿通
されて両者間がボルトにより締結されて一体化されてい
る。このバー材15は図１に示すごとく互いに平行に一対
設けられ、それらの両端部間が一対の支持プレート28に
より連結されて、回転支持体２を構成する。そして、一
対のバー材15間の中間にはその一方寄りに中間プレート
28ａが架橋され、その中間プレート28ａと支持プレート
28との間にネジシャフト26、ナット27を介してバランス
ウエイト25が支持されている。このバランスウエイト25
は、ネジシャフト26の軸方向に移動自在に形成され、鋳
型７やルツボ６の重量に合わせてその位置が調整され
る。

【０００８】次に、図１において一対のバー材15にはル
ツボ支持ブロック16及び鋳型支持ブロック４ａが夫々一
対ずつ固定され、一対のルツボ支持ブロック16にはルツ
ボ保持体３が支持され、一対の鋳型支持ブロック４ａに
は鋳型保持体４が支持されている。そして図３に示す如
く、ルツボ支持ブロック16に突設されたルツボ回転軸17
によりルツボ保持体３の両側が支持され、そのルツボ保
持体３はルツボ回転軸17の周りに回動自在に形成されて
いる。ルツボ保持体３の中心部には平面Ｃ字状に貫通し
た収納部３ａが設けられ、その収納部３ａの下端縁は内
フランジ状に形成されている。同図において収納部３ａ
の背面側にはピン18が貫通し、そのピン18の両端部が一
対の連結板19ａにより支持されている。すなわち、逆Ｌ
字状に形成された連結板19ａの下端の欠切部にピン18が
嵌入している。

【０００９】一対の連結リンク19（図１参照）の上端間
は連結板19ａにより連結され、この連結板19ａの下面に
傾斜駆動軸12の上端がボルト39を介して固定されてい
る。この傾斜駆動軸12は、筒状回転軸11の内部をＯリン
グを介して気密に貫通し、筒状回転軸11に対し駆動シリ
ンダ21の作用により上下動自在に構成されている。すな
わち、図２において駆動シリンダ21の取付部がブラケッ
ト38に固定され、そのピストンロッドが傾斜駆動軸12を
構成する。そして、駆動シリンダ21に図示しない制御弁
を介して圧縮空気を供給することにより傾斜駆動軸12を
上下動する。傾斜駆動軸12が上下動すると、その上端に
固定された連結板19ａを介し連結リンク19が上下動す
る。そして連結リンク19が下降すると、ピン18を介しル
ツボ保持体３が図４のごとくルツボ回転軸17の周りに右
周りに回動して、図の状態を維持する。その結果、ルツ
ボ保持体３に装着されたルツボ６の注湯口８が上方に向
けられる。次に、傾斜駆動軸12が上昇するとルツボ６は
図５の状態に維持される。なお、ルツボ６は上端の一部
が笠部６ａにより閉塞された壺状を構成し、その上端部
一側面に開口８ａが形成されている。そして、笠部６ａ
の存在しない開口８ａから被溶融金属が収納されるもの
である。

【００１０】

【使用方法】図１及び図２に示す如く、鋳型保持体４に
鋳型７を装着すると共に、ルツボ保持体３にルツボ６を
装着する。ルツボ６には被溶融金属が収納され、その注
湯口８は鋳型７側に向けられる。この例の鋳型７は金属
製の筒部29内に石膏７ａが充填され、その石膏７ａの内
部に成形部30が形成されたものである。この成形部30は
受湯口９に連結され、一例として全体が樹状に形成され
ている。石膏７ａ内に成形部30を形成するには、公知の
ロストワックス法により行うことができる。このように
準備し、環状壁34ａ上に上蓋34を被嵌し、真空室10の内
部を気密に維持する。そして、真空引き用ノズル35で内
部を真空引きし、図示しない公知の高周波誘導コイルに
よりルツボ６内の被溶融金属を加熱する。

【００１１】この高周波誘導コイルは、ルツボ６の外周
部に整合する環状をなし、図示しない可動装置によりベ
ースプレート40上に上下動自在に配置されている。そし
て、ルツボ６の加熱中はコイルが上昇した位置にあり、
ルツボ６内の金属が完全に溶融したとき、そのコイルは
下方に引き下げられる。次いで駆動シリンダ21を駆動
し、傾斜駆動軸12を下降させる。すると、ルツボ６は図
４の如く、その注湯口８が上方に向くように回動され
る。この状態で、回転支持体２が筒状回転軸11により回
動される。すなわち、筒状回転軸11と一体をなすベルト
プーリ22がベルト23を介し図示しない駆動モータにより
回転される。すると、回転支持体２に支持されたルツボ
６及び鋳型７は筒状回転軸11の軸線の周りに真空室10内
で回転する。その回転に伴って図４に示すごとく溶融金
属の表面は、ルツボ６内で水平位置Ａの状態から遠心力
により左側壁に沿ったＢの状態に移動する。しかしなが
ら、ルツボ６の注湯口８は上方に向けられているから、
内部の溶融金属が注湯口８から外部に飛び出すことはな
い。

【００１２】次に、回転支持体２が充分加速され一定回
転に安定すると、駆動シリンダ21のピストンロッドを伸
長して傾斜駆動軸12を上昇させる。すると、傾斜駆動軸
12の上端に固定された連結板19ａ及び連結リンク19が上
昇し、それに伴ってピン18を介しルツボ保持体３が図４
において左回転する。そして、図５の状態に復帰する。
すると、ルツボ６内の溶融金属は大きな遠心力により矢
印のごとく注湯口８から瞬時に放出され、図１における
鋳型７の受湯口９から成形部30に勢い良く射出される。
そして溶融金属が成形部30内で冷却硬化したとき、回転
支持体２の回転を停止すると共に、上蓋34を開放し鋳型
７を鋳型保持体４から取り外す。次いで、鋳型７の石膏
７ａを破壊することにより、内部の鋳造品を得ることが
できる。このような工程において、ルツボ６及び鋳型７
を本鋳造機に収納した後の作業は、制御装置により自動
的に行うことも、或いは各機構のスイッチを順次手動で
ＯＮすることにより行うこともできる。

【００１３】

【変形例】上記の例では、駆動シリンダ21が鋳造機本体
１に設けられ、そのピストンロッドの上下動により角度
変更機構５が駆動されたが、これに代えて回転支持体２
に電磁的駆動手段を設け、それにより角度変更機構５を
駆動してもよい。

【００１４】

【発明の作用・効果】本発明の鋳造機は、回転支持体２
の回転始動時に角度変更機構５によりルツボ６の注湯口
８を上向きに保持できるので、その回転支持体２が充分
な回転に達する前に溶融金属が不用意に注湯口８から飛
び出すことを防ぎ得る。そして溶融金属に充分な遠心力
が働いた時点で、角度変更機構５を介してルツボ６の注
湯口８を鋳型７の受湯口９に向けられるように構成した
ため、溶融金属は大きな遠心力に基づく外力を得て鋳型
７内に射出される。それにより、鋳造品の密度が高く、
ピンホールが少ない製品を作ることが可能となる。すな
わち、充分な遠心力を得た溶融金属は瞬時に鋳型内に注
入され、その鋳型の内部で浴湯の途切れを生じることが
ない。また、溶融金属が充分なる運動エネルギーを有す
るため、鋳型の隅々までそれを進入させると共に、きめ
の細かいプロフィールを再現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の鋳造機の平面図であり図２のＩ−Ｉ断
面図。

【図２】同鋳造機の一部断面立面図。

【図３】同鋳造機の要部を説明する斜視図。

【図４】同鋳造機の角度変更機構５の第１工程を示した
図。

【図５】同第２工程を示した図。

【図６】従来型鋳造機の一例を示す平面図。

【符号の説明】

１ 鋳造機本体 ２ 回転支持体 ３ ルツボ保持体 ３ａ 収納部 ４ 鋳型保持体 ４ａ 鋳型支持ブロック ５ 角度変更機構 ６ ルツボ ６ａ 笠部 ７ 鋳型 ７ａ 石膏 ８ 注湯口 ８ａ 開口 ９ 受湯口 10 真空室 11 筒状回転軸 11ａ 回転軸 12 傾斜駆動軸 13 アーム 13ａ フランジ 14 主サイドブロック 15 バー材 16 ルツボ支持ブロック 17 ルツボ回転軸 18 ピン 19 連結リンク 19ａ 連結板 21 駆動シリンダ 22 ベルトプーリ 23 ベルト 25 バランスウエイト 26 ネジシャフト 27 ナット 28 支持プレート 28ａ 中間プレート 29 筒部 30 成形部 31 Ｏリング 32 ベアリング 33 シールパッキン 34 上蓋 34ａ 環状壁 35 真空引き用ノズル 37 フレーム 38 ブラケット 39 ボルト 40 ベースプレート 41 ガイドピン 42 ボス部

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ２２Ｄ 25/02 Ｂ２２Ｄ 25/02 Ｅ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋳造機本体１と、軸線Ｌの周りに回転す
   るようにその鋳造機本体１に設けられた回転支持体２
   と、 前記軸線Ｌに対して半径方向の内側と外側とに順に並列
   されて、前記支持体２に取付られたルツボ保持体３およ
   び鋳型保持体４と、 前記ルツボ保持体３の傾きを変える角度変更機構５と、 を具備し、 前記ルツボ保持体３にルツボ６が取付られると共に、前
   記鋳型保持体４に鋳型７が取付られ、 前記回転支持体２の回転始動時には前記角度変更機構５
   により前記ルツボ６の注湯口８が上向きに保持されると
   共に、その後に前記角度変更機構５によりその注湯口８
   が前記鋳型７の受湯口９に向け得られるように構成され
   た鋳造機。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記本体１に開閉自
   在な真空室10が設けられ、その真空室10内に重力方向に
   前記軸線Ｌが配置された筒状回転軸11を有し、その筒状
   回転軸11に前記回転支持体２が連結されると共に、前記
   筒状回転軸11内に上下動自在な傾斜駆動軸12が設けら
   れ、その駆動軸12に前記ルツボ保持体３が連結されて前
   記角度変更機構５を構成する鋳造機。