JPH09227977A - 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金クラッド材

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JPH09227977A
JPH09227977A JP8060188A JP6018896A JPH09227977A JP H09227977 A JPH09227977 A JP H09227977A JP 8060188 A JP8060188 A JP 8060188A JP 6018896 A JP6018896 A JP 6018896A JP H09227977 A JPH09227977 A JP H09227977A
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JP
Japan
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brazing
aluminum alloy
sacrificial anode
clad
core material
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JP8060188A
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English (en)
Inventor
Kenji Kato
健志 加藤
Hiroshi Ikeda
洋 池田
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ろう付け後の強度および耐食性に優れ、ラジ
エータやヒータコアの構成部材、とくにチューブ材とし
て好適な熱交換器用アルミニウム合金クラッド材を提供
する。 【解決手段】 芯材の片面に犠牲陽極材、他の面にろう
材をクラッドしてなるアルミニウム合金クラッド材にお
いて、芯材が、Mn:0.3〜2.0 %、Cu:0.25 〜1.5
%、Si:0.2〜1.0 %、Ti:0.1〜0.35%、必要に応じ
てMg:0.2%以下を含有し、残部Alおよび不可避的不
純物からなるアルミニウム合金で構成され、犠牲陽極材
が、Mg:1.0%を越え2.5 %以下、Zn:0.1〜0.6 %、
Si:0.2〜1%を含有し、さらにIn:0.01 〜0.1 %、
Sn:0.01 〜0.1 %のうちの1種または2種を含有し、
残部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合
金で構成される。フッ化物フラックスを使用する不活性
雰囲気ろう付け用として特に好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱交換器用アルミ
ニウム合金クラッド材、詳しくは、フッ化物系フラック
スを用いる不活性ガス雰囲気ろう付けにより、自動車用
のラジエータ、ヒータコアなどのアルミニウム製熱交換
器を製造する場合、その構成部材、とくにチューブ材と
して適用され、ろう付け後、優れた強度、耐食性を有す
る熱交換器用アルミニウム合金クラッド材に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用のラジエータやヒータコアのチ
ューブ材、ヘッダープレート材としては、3003合金など
のAl−Mn系合金からなる芯材の片面にAl−Si系
ろう材をクラッドし、他の面に、犠牲陽極材として、純
Al、Al−Zn系合金、Al−Sn合金、Al−In
合金などをクラッドした一般に板厚0.3 〜0.4mm の3層
のアルミニウム合金クラッド材が使用され、チューブ材
の場合は、ろう材層が外面となるように曲成し、端面を
溶接することにより製造する溶接管として用いられてい
る。
【0003】当該アルミニウム合金クラッド材におい
て、Al−Si系ろう材は、フッ化物系フラックスを用
いる不活性ガス雰囲気ろう付けあるいは真空ろう付けに
より行われるチューブ材とフィン材との接合、チューブ
材とヘッダープレート材との接合のために設けられるも
のであり、犠牲陽極材は、ラジエータやヒータコアなど
のアルミニウム製熱交換器に組立てられた場合、作動流
体に対して犠牲陽極効果を発揮して芯材の孔食、隙間腐
食を防ぐために設けられるものである。
【0004】自動車の軽量化の観点から、アルミニウム
製ラジエータ、ヒータコアにも軽量化の要求が強く、こ
れらの熱交換器のチューブ材についても、0.3mm 未満の
薄肉化が要求され、そのために、ろう付け後の強度を向
上させることが重要視されている。また、自動車の寿命
延長を図るために、アルミニウム製熱交換器用構成部材
の耐食性向上に対する要請もますます強まっている。
【0005】このような要求に対応して、芯材が、M
n:0.3〜2.0 %、Cu:0.25 〜0.8 %、Si:0.2〜1.0
%、Mg:0.5%以下を含有し、またはさらにTi:0.35
%を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなるアル
ミニウム合金で構成され、犠牲陽極材が、Mg:1.2〜2.
5 %、Si:0.2〜0.8 %、Zn:0.5〜2.0 %を含有し、
またはさらにIn:0.2%、Sn:0.2%以下の1種または
2種を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなるア
ルミニウム合金で構成され、当該芯材および犠牲陽極材
の組合わせにより、強度、耐食性を向上させたアルミニ
ウム合金クラッド材が提案されている(特開平4-193925
号公報、特開平4-198447号公報) が、これらのクラッド
材においては、フッ化物系フラックスを使用するろう付
けを行う場合、芯材中のMgがろう付け時に拡散してフ
ッ化物系フラックスと反応し、綿状の化合物が生じた
り、ろう付け不良が生じたりすることが少なくない。
【0006】また、芯材が、Mn:0.3〜1.5 %、Cu:
0.25 〜1.0 %、Mg:0.05 〜1.0 %、Si:1.0%以下
を含有し、またはさらにTi:0.06 〜0.35%を含み、残
部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金
で構成され、犠牲陽極材が、Zn:0.5〜2.0 %、Mg:
0.3〜1.0 %を含有し、さらにIn:0.005〜0.1 %、S
n:0.01 〜0.1 %のうちの1種または2種を含み、残部
Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で
構成されたラジエータのヘッダープレート用アルミニウ
ム合金複合材も提案されている(特開平3-253533号公
報) が、この材料においても、前記芯材中のMgの拡散
に関連する問題点があるとともに、犠牲陽極材として、
Al−Zn系合金を適用した場合には、ろう付け時、Z
nが芯材に拡散して腐食が促進され、芯材の実質的な厚
さが減少するため、チューブ材の薄肉化に限度を生じ
る。ろう付け後の強度についても必ずしも十分ではな
い。
【0007】芯材として、Mn:0.2〜1.5 %、Cu:0.5
%以下、Si:0.3〜1.3 %を含み、残部Alおよび不可
避的不純物からなるアルミニウム合金を用い、Mgを0.
2 %以下の限定して、ろう付け時のMgの拡散に起因す
る前記の問題点をなくし、犠牲陽極材として、Mg:0.3
〜2.5 %、Zn:2%以下を含有し、残部Alおよび不可
避的不純物からなるアルミニウム合金を使用し、フッ化
物系フラックスを使用して不活性ガス雰囲気中でろう付
けを行うノコロックろう付法により組立てられるラジエ
ータのチューブ材として好適なアルミニウム合金複合材
も提案されている(特開平2-175093号公報) が、このア
ルミニウム合金材においては、使用環境が厳しい場合、
とくに薄肉のチューブ材においては、耐食性の点で必ず
しも十分でない。
【0008】上記のアルミニウム合金クラッド材は、い
ずれも犠牲陽極材にMgを添加して、犠牲陽極材自身の
強度を向上させるとともに、Mgの一部を芯材中に拡散
させ、芯材の強度も向上させてクラッド材の強度を高め
るようにした材料である。発明者らは、上記のアルミニ
ウム合金クラッド材をベースとして、高強度およびより
改善された耐食性をそなえたアルミニウム合金クラッド
材を得るために、芯材および犠牲陽極材の合金組成、こ
れらの組合わせについて、多角的に実験、検討を加え
て、芯材の高強度化、耐食性およびろう付け性の確保の
観点から芯材中におけるMn、Cu、Si、Tiの成分
範囲、Mgの許容範囲を見直し、この芯材と組合わせる
犠牲陽極材の組成範囲について検討した結果、犠牲陽極
中のMgの含有量を特定の範囲とし、これに特定量のZ
nおよびIn、Snのうちの1種または2種を組合わせ
て含有させることによって、犠牲陽極効果を劣化させる
ことなしに自己腐食速度およびクラッド材全体の腐食進
行を小さくできることを見出し、本発明に至った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の知見
に基づいてなされたものであり、その目的は、フッ化物
系フラックスを使用する不活性ガス雰囲気ろう付けによ
り接合されるアルミニウム合金クラッド材であって、ろ
う付け後に高強度が得られ、犠牲陽極層の自己腐食速度
が遅く、犠牲陽極効果を長期間維持することができる高
強度、高耐食性をそなえた熱交換器用アルミニウム合金
クラッド材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による熱交換器用アルミニウム合金クラッド
材は、芯材の片面にAl−Si系ろう材をクラッドし、
他の面に犠牲陽極材をクラッドし、真空ろう付けまたは
フッ化物系フラックスを使用して不活性雰囲気中でろう
付けを行うためのアルミニウム合金クラッド材におい
て、芯材が、Mn:0.3〜2.0 %、Cu:0.25 〜1.5 %、
Si:0.2〜1.0 %、Ti:0.1〜0.35%を含有し、残部A
lおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構
成され、犠牲陽極材が、Mg:1.0%を越え2.5 %以下、
Zn:0.1〜0.6 %、Si:0.2〜1.0%を含有し、さらに
In:0.01 〜0.1 %、Sn:0.01 〜0.1 %の1種または
2種を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる
アルミニウム合金で構成されることを構成上の第1の特
徴とする。
【0011】第2の特徴は、芯材が、さらにMg:0.2%
以下を含有すること、第3の特徴は、芯材、犠牲陽極材
およびろう材からなるクラッド材の全体の厚さが0.2mm
以上0.3mm 未満で、犠牲陽極材の厚さが30〜80μm であ
ることにある。
【0012】本発明における合金成分の意義およびその
限定理由について説明すると、芯材中のMnは、芯材の
強度を向上させるとともに、芯材の電位を貴にし、犠牲
陽極材との電位差を大きくして耐食性を高めるよう機能
する。Mnの好ましい含有範囲は0.3 〜2.0 %であり、
0.3 %未満ではその効果が小さく、2.0 %を越えて含有
すると、鋳造時に粗大な化合物が生成し、圧延加工性が
害される結果、健全な板材が得難い。
【0013】Cuは、芯材の強度を向上させるととも
に、芯材の電位を貴にし、犠牲陽極材との電位差、ろう
材との電位差を大きくして、防食効果を向上させるよう
機能する。さらに、芯材中のCuは、加熱ろう付け時
に、犠牲陽極材中およびろう材中に拡散して、なだらか
な濃度勾配を形成させる結果、芯材側の電位は貴とな
り、犠牲陽極材の表面側およびろう材の表面側の電位は
卑となって、犠牲陽極材中およびろう材中になだらかな
電位分布が形成され、腐食形態を全面腐食型にする。C
uの好ましい含有量は0.25〜1.5 %の範囲であり、0.25
%未満ではその効果が小さく、1.5 %を越えると、芯材
の耐食性が低下し、また融点が低下して、ろう付け時に
犠牲陽極材表面までCuが拡散し耐食性が低下する。局
部的な溶融が生じ易くなる。Cuのさらに好ましい含有
範囲は0.25〜1.0 %である。
【0014】Siは、芯材の強度を向上させる機能を有
する。とくに、ろう付け中に犠牲陽極材から拡散してく
るMgと共存することによりMg2 Siを生成し、ろう
付け後、時効硬化を生ぜしめ、強度をさらに高める。好
ましい含有範囲は0.2 〜1.0%であり、0.2 %未満では
その効果が十分でなく、1.0 %を越えて含有すると、耐
食性が低下して犠牲陽極材が消耗すると芯材に粒界腐食
が生じるようになる。さらに、芯材の融点を下げ、ろう
付け時に局部溶融が生じ易くなる。
【0015】Mgは、芯材の強度を向上させる効果を有
するが、ろう付け性低下の観点から、含有量を0.2 %以
下に制限する。フッ化物系のフラックスを使用する不活
性ガス雰囲気ろう付けの場合、Mg量が0.2 %を越える
と、Mgがフッ化物系フラックスと反応してろう付け性
が阻害され、Mgのフッ化物が生成してろう付け部の外
観がわるくなる。
【0016】Tiは、芯材の耐食性向上に寄与する。す
なわち、合金マトリックス中において、Tiは、濃度の
高い領域と低い領域に分かれ、それらがクラッド材の板
厚方向に交互に分布して層状組織を形成し、Ti濃度の
低い領域が高い領域に比べて優先的に腐食する結果、腐
食形態を層状にし、粒界腐食を抑制、防止する効果があ
る。Tiの好ましい含有範囲は0.1 〜0.35%であり、0.
1 %未満ではその効果が小さく、0.35%を越えて含有す
ると、鋳造時に巨大な化合物が生じ易くなり、圧延性を
害するため健全な板材が得難くなる。Tiのより好まし
い含有範囲は0.1 〜0.2 %、さらに好ましい含有範囲は
0.16〜0.2 %である。
【0017】芯材中には、その他の元素として、少量の
Fe、Zn、Cr、Zr、Bが含有されていてもクラッ
ド材の性能に影響を与えることがない。但し、Feは多
量に含まれると耐食性が害されるので0.7 %以下に制限
するのが好ましく、Znは、芯材の電位を卑にし、犠牲
陽極材およびろう材との電位差を小さくするので0.1%
未満に限定するのが好ましい。また、Cr、Zrはそれ
ぞれ0.1 %以下および0.05%以下に制限するのが好まし
い。Bは50ppm 以下に制限するのが好ましい。
【0018】犠牲陽極材中のMgは、犠牲陽極材(内面
クラッド材)の強度を向上させるとともに、犠牲陽極材
中のMgの一部は、ろう付け時に芯材中に拡散し、芯材
の強度を向上させる機能も有する。好ましい含有量は、
1.0 〜2.5 %の範囲であり、1.0 %未満ではその効果が
十分でなく、2.5 %を越えると、熱間圧延時にそりが生
じ易くなり、圧延が困難となる。SiはMgと共存して
強度を高める作用を有する。好ましい含有範囲は0.2 〜
1.0 %であり、0.2 %未満ではその効果が小さく、1.0
%を越えて含有すると、耐食性を劣化させる。
【0019】Znは、犠牲陽極材の電位を卑にし、芯材
に対する犠牲陽極効果を保持させる機能を有する。具体
的には、ろう付け時の拡散により犠牲陽極材(内面クラ
ッド材)の表層部から芯材にかけて、連続的にZnの濃
度が減少するZnの濃度勾配、すなわち電位勾配が生
じ、腐食が板厚方向に進行するのを防止する。Znの好
ましい含有量は0.1 〜0.6 %の範囲であり、0.1 %未満
ではその硬化が小さく、0.6 %を越えると、拡散深さす
なわち腐食深さが大きくなるため、クラッド材全体の厚
さを薄くすることができなくなる。Znのさらに好まし
い含有範囲は0.1%以上0.5 %未満である。
【0020】InおよびSnは、犠牲陽極材の電位を卑
にし、芯材に対する犠牲陽極効果を確実に発揮させ、芯
材における孔食の発生を防止するために機能する。ま
た、これらの元素はZnよりも拡散速度が遅いため、芯
材へ拡散深さは小さく、芯材の腐食深さは小さくてす
む。好ましい含有量は、In:0.01 〜0.1 %、Sn:0.01
〜0.1 %の範囲であり、それぞれ下限未満では効果が十
分でなく、また、それぞれ上限を越えて含有すると自己
腐食性が低下するとともに圧延加工性が害される。さら
に好ましいIn、Snの含有量はそれぞれ0.01〜0.04%
の範囲である。
【0021】なお、本発明の犠牲陽極材に、0.6 %以下
のFe、0.5 %以下のCu、0.4 %以下のTi、50ppm
以下のB、0.1 %以下のCrおよび0.5 %以下のMnが
添加されても性能が害されることはないが、Cu、Mn
は犠牲陽極材の電位を貴にする傾向があるので、出来れ
ば添加しないことが望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の熱交換器用アルミニウム
合金クラッド材は、芯材、犠牲陽極材およびろう材を構
成するアルミニウム合金を、半連続鋳造により造塊し、
芯材および犠牲陽極材については均質化処理したのち、
それぞれ所定厚さまで熱間圧延する。ついで、各材料を
組合わせ、常法に従って、熱間圧延によりクラッド材と
し、最終的に所定厚さまで冷間圧延する工程を経て製造
される。
【0023】本発明のアルミニウム合金クラッド材から
溶接管を製造して熱交換器用チューブ材とし、またヘッ
ダープレート材として、自動車用のラジエータやヒータ
コアなどのアルミニウム製熱交換器の組立てに使用する
場合には、アルミニウム合金のフィン材を組合わせ、ろ
う付け炉中において、フッ化物系フラックスを用いる不
活性ガス雰囲気ろう付けを行う。
【0024】そのために、本発明のアルミニウム合金ク
ラッド材において、芯材の片面にはAl−Si系ろう
材、Al−Si−Mg系ろう材がクラッドされる。この
場合、フッ化物系フラックスを用いる不活性ガス雰囲気
ろう付け用ろう材としては、基本的にSi:6〜13%を含
有するAl−Si合金が適用され、真空ろう付け用ろう
材としては、Si:6〜13%、Mg:0.20 〜3.0 %を含有
するAl−Si−Mg合金が適用される、これらのAl
−Siろう材およびAl−Si−Mgろう材には、B
i:0.1%以下、Be:0.1%以下、Ca:1.0%以下、L
i:1.0%以下のうちの1種または2種以上を含有させる
こともできる。
【0025】本発明においては、前記特定組成の芯材、
犠牲陽極材およびろう材の組合わせにより、クラッド材
全体の板厚を0.2mm 以上0.3mm 未満と薄くしても、強
度、耐食性に優れたクラッド材を得ることが可能とな
る。この場合、内面にクラッドする犠牲陽極層の厚さは
30〜80μm 厚さとするのが好ましい。
【0026】クラッド材の板厚が小さくなると、犠牲陽
極層の厚さを大きくし且つ電位的にも卑にして犠牲陽極
効果を向上させるとともに、犠牲陽極層にも強度を持た
せて全体の強度を向上させることが必要となるが、犠牲
陽極層の厚さが30μm 未満では、芯材中のCuが、ろう
付け時に犠牲陽極層内に拡散し、犠牲陽極層の表面まで
達して表面の電位を貴にし、腐食を促進させる傾向があ
る。犠牲陽極層の厚さを30μm 以上とした場合には、C
uが表面に達することがなく、従って、クラッド材の内
表面と芯材との電位勾配が大きくなり、確実に耐食性の
向上を達成することができる。
【0027】犠牲陽極層中に含まれるMgは、ろう付け
時に芯材中に拡散し、内面にクラッドされる犠牲陽極層
と芯材の強度を向上させる。この場合、内面クラッド材
の厚さが厚いほどクラッド材全体の強度が大きくなる
が、犠牲陽極層の厚さが80μmを越えると、Mgが芯材
を通過して、ろう材側に達し、ろう付け不良の原因とな
り易いから犠牲陽極層厚さは80μm 以下とするのが好ま
しい。
【0028】以下、本発明の実施例を比較例と対比して
説明する。
【実施例】
実施例1 連続鋳造により、表1に示す組成を有する芯材用アルミ
ニウム合金、表2に示す組成を有する犠牲陽極材用アル
ミニウム合金、およびろう材用合金(JIS BA4045、S
i:10.0 %、残部Alおよび不可避的不純物)を造塊し
た。芯材用アルミニウム合金および犠牲陽極材用アルミ
ニウム合金の鋳塊については均質化処理を行い、犠牲陽
極材用アルミニウム合金およびろう材用合金の鋳塊を所
定の厚さまで熱間圧延し、これらの圧延材と芯材用合金
の鋳塊を組合わせて熱間圧延し、クラッド材とした。さ
らに冷間圧延、中間焼鈍を行い、最終冷間圧延により厚
さ0.23mmのクラッド板材(H14) を作製した。クラッド板
材の厚さ構成は、ろう材の厚さを0.025mm 、犠牲陽極材
の厚さは0.04〜0.06mmとした。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】クラッド材における芯材および犠牲陽極材
の組合わせは表3に示すとおりであり、得られたクラッ
ド板材のろう材側に、Mn:1.2%、Zn:1.5%を含有
し、残部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウ
ム合金板(厚さ0.07mm) をコルゲート加工してなるフィ
ン材を配置し、フッ化物系フラックスを使用して、窒素
ガス雰囲気中で600 ℃( 材料温度) の温度に加熱し、ろ
う付けを行ったのち、ろう付け後の板材とフィンの接合
状況を目視により観察し、芯材および犠牲陽極材の溶融
状況を断面組織観察により調べた。
【0032】つぎに、クラッド板材にフィン材を配置す
ることなく、クラッド板材を、そのままの状態で、上記
フッ化物系フラックスを使用するろう付けと同じ条件で
加熱したのち急冷して試験材とし、引張試験および以下
に示すような腐食試験を行った。 腐食試験1:ろう材側(外面側)について、CASS試
験(試験期間30日) を行った。
【0033】腐食試験2:犠牲陽極材側(内面側)につ
いて、Cl- :100ppm 、SO4 2 - :100ppm 、Cu2+:10p
pm、HCO3 - :100ppm を含む水溶液を腐食液とし、試
験材を、88℃の温度に加熱した腐食液中に8h浸漬したの
ち、室温まで放冷しながら16h放置するというサイクル
を3 カ月間繰り返した。
【0034】試験結果を表3に示す。表3にみられるよ
うに、本発明に従う試験材は、いずれも、圧延加工性は
良好で割れなどの欠陥を生じることがなく、ろう付け後
の強度に相当する引張強度は200MPa以上の優れた値を示
し、また、ろう付け部の接合状況も良好で、芯材、犠牲
陽極材に局部溶融も観察されず、腐食試験1による最大
腐食深さは、いずれも0.10mm以下で、クラッド板材の板
厚の半分程度にした達しておらず、また腐食試験2によ
る最大腐食深さは0.07mm以下で、板厚の1/3にも達し
ない優れた耐食性を示した。
【0035】
【表3】
【0036】比較例1 連続鋳造により、表4に示す組成を有する芯材用アルミ
ニウム合金、表5に示す組成の犠牲陽極材用アルミニウ
ム合金、およびろう材用合金(JIS BA44045 、Si:10.
0 %、残部Alおよび不可避的不純物)を造塊し、実施
例1と同一の条件により、厚さ0.23mmのクラッド板材
(ろう材厚:0.025mm、犠牲陽極材厚:0.025〜0.09mm、H1
4)を作製した。得られたクラッド板材について、実施例
1と同じ方法でろう付けを行い、また実施例1と同じ条
件で引張試験および腐食試験のための試験材を作製し、
ろう付け接合状況の目視観察、断面組織観察、引張試験
および腐食試験を行った。芯材と犠牲陽極材の組合わ
せ、および試験結果を表6に示す。なお、表4および表
5において、本発明の条件を外れたものには下線を付し
た。
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】表6にみられるように、試験材No.9は、芯
材中のMn含有量が少ないため、十分な強度が得られ
ず、試験材No.10 は、芯材中のSi量が多いため、耐食
性が劣っている。試験材No.11 は、芯材中のMg量が多
過ぎるため、ろう付け不良が生じた。試験材No.12 は、
芯材が従来のJIS 3003合金であり、引張強度が低く、耐
食性も劣っている。試験材No.13 は、犠牲陽極材中のM
g量が少ないため、引張強度が低い。試験材No.14 は犠
牲陽極材中のSi量が多過ぎるため、また、試験材No.1
5 は犠牲陽極材がZnを含有しないものであるため、と
もに犠牲陽極層の腐食速度が速く、内側の最大腐食深さ
が大きくなっている。
【0041】試験材No.16 は、犠牲陽極材がIn、Sn
を含まないものであるため耐食性が劣る。試験材No.17
は、犠牲陽極材中のSn量が上限を越えているため、熱
間圧延で割れが生じ、試験材を得ることがきなかった。
試験材No.18 は、犠牲陽極層の厚さが小さいため、芯材
中のCuが、ろう付け時に内面クラッド材内に拡散する
ことに起因して、内面側の耐食性がやや劣っている。試
験材No.19 は、犠牲陽極材中のMgがろう材側に達し、
ろう付け不良が生じた。
【0042】実施例2 芯材用アルミニウム合金(Mn:1.0%、Cu:0.45 %、
Si:0.5%、Ti:0.18 %、Mg:0.09 %、残部Alお
よび不可避的不純物)、犠牲陽極材用アルミニウム合金
(Mg:1.2%、Zn:0.3%、Si:0.7%、In:0.03
%、残部Alおよび不可避的不純物)およびろう材用合
金(JIS 4003、Si:7.5%、Mg:2.2%、残部Alおよ
び不可避的不純物)の連続鋳造鋳塊を準備し、実施例1
と同様の工程で処理して、厚さが0.23mmのクラッド材(
ろう材厚: 0.025mm 、犠牲陽極材厚:0.05mm 、H14)を得
た。
【0043】このクラッド材は優れた熱間圧延性を示
し、このクラッド材のろう材側にAl−1.2 %Mn−1.
5 %Zn合金からなる厚さ0.07mmのコルゲートフィンを
載せ、真空ろう付けを行ったところ、ろう付け性は良好
で、断面組織観察においても局部溶融は認められなかっ
た。また、このクラッド材を用いて、実施例1と同一の
方法で、引張試験および腐食試験用の試験片を作製し、
引張試験および実施例1と同じ腐食試験を行った結果、
引張強さ205MPa、最大腐食深さは、内側が0.06mm、外側
が0.10mmの優れた強度特性および耐食性能を示した。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、強度、耐食性に優れた
熱交換器用アルミニウム合金クラッド材が提供される。
このアルミニウム合金クラッド材は、自動車用ラジエー
タ、ヒータコアなどのチューブ材、ヘッダープレート材
などの部材、とくにチューブ材として好適に使用でき
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯材の片面にAl−Si系のろう材をク
    ラッドし、他の面に犠牲陽極材をクラッドしてなるアル
    ミニウム合金クラッド材において、芯材が、Mn:0.3〜
    2.0 %(重量部%、以下同じ)、Cu:0.25 〜1.5 %、
    Si:0.2〜1.0 %、Ti:0.1〜0.35%を含有し、残部A
    lおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構
    成され、犠牲陽極材が、Mg:1.0%を越え2.5 %以下、
    Zn:0.1〜0.6 %、Si:0.2〜1.0 %を含有し、さらに
    In:0.01 〜0.1 %、Sn:0.01 〜0.1 %の1種または
    2種を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる
    アルミニウム合金で構成されることを特徴とする熱交換
    器用アルミニウム合金クラッド材。
  2. 【請求項2】 芯材の片面にAl−Si系のろう材をク
    ラッドし、他の面に犠牲陽極材をクラッドし、フッ化物
    系フラックスを使用してろう付けを行うためのアルミニ
    ウム合金クラッド材において、芯材が、Mn:0.3〜2.0
    %、Cu:0.25 〜1.5 %、Si:0.2〜1.0 %、Ti:0.1
    〜0.35%を含有し、残部Alおよび不可避的不純物から
    なるアルミニウム合金で構成され、犠牲陽極材が、M
    g:1.0%を越え2.5 %以下、Zn:0.1〜0.6 %、Si:
    0.2〜1.0 %を含有し、さらにIn:0.01 〜0.1 %、S
    n:0.01 〜0.1 %の1種または2種を含有し、残部Al
    および不可避的不純物からなるアルミニウム合金で構成
    されることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金ク
    ラッド材。
  3. 【請求項3】 芯材が、さらにMg:0.2%以下を含有す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の熱交換器用
    アルミニウム合金クラッド材。
  4. 【請求項4】 芯材、犠牲陽極材およびろう材からなる
    クラッド材の全体の厚さが0.2mm 以上0.3mm 未満で、犠
    牲陽極材の厚さが30〜80μm であることを特徴とする請
    求項1〜3記載の熱交換器用アルミニウム合金クラッド
    材。
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