JPH09225469A - 水生寄生生物の繁殖抑制装置及び繁殖抑制方法、貝類及び藻類の付着抑制装置及び付着抑制方法 - Google Patents

水生寄生生物の繁殖抑制装置及び繁殖抑制方法、貝類及び藻類の付着抑制装置及び付着抑制方法

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JPH09225469A
JPH09225469A JP6161196A JP6161196A JPH09225469A JP H09225469 A JPH09225469 A JP H09225469A JP 6161196 A JP6161196 A JP 6161196A JP 6161196 A JP6161196 A JP 6161196A JP H09225469 A JPH09225469 A JP H09225469A
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copper
water
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Yoichi Ishikawa
陽一 石川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長寿命で複数種の金属イオンを供給できる水
生寄生生物の繁殖抑制装置及び繁殖抑制方法、貝類及び
藻類の付着抑制装置及び付着抑制方法を提供する。 【解決手段】 繁殖・付着抑制装置は、銅、銀、錫、亜
鉛、クロム及びこれらの合金の任意の組み合わせから選
ばれた第1電極及び第2電極と、両電極に直流電流を通
電する電流発生手段とを備える。電流発生手段の通電方
向は逆転可能に構成されている。第1電極及び第2電極
を水相に配置して電気分解を行い、両電極から交互に金
属を溶出させる方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水生寄生生物の繁
殖を抑制し、貝類及び藻類の付着を抑制する装置及び方
法に係り、更に詳細には、養殖槽などに生存する寄生生
物を死滅させ又はその繁殖を抑制し、また、ボイラーな
どの冷却水路や養殖池への水供給水路に生存する貝類及
び藻類を死滅させ又はその付着を抑制する装置及び方法
に関する。ここで、「水生寄生生物」とは、水産生物、
即ち水産動物及び水産植物の種々の疾病を引き起こす原
因となるものをいい、これら疾病には、各種のウイルス
病、細菌症、真菌症及び寄生虫症が含まれる。
【0002】
【従来の技術】従来から、ある種の金属イオンが微生物
の増殖を抑制することが知られており、種々の技術分野
においてかかる金属イオンを用いた殺菌や除菌が試みら
れている。例えば、水産動物の養殖においても、銅を陽
極、鉄を陰極として養殖槽中で電気分解することによ
り、銅イオンを養殖水中に供給し、養魚の疾病を治療す
る方法や装置が知られている(特公平7−48966号
公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来技術においては、陽極を構成する銅が水中に溶
出して徐々に消耗するため、この銅の量が使用可能期間
を決定する。よって、銅が消滅すると陽極を交換した
り、構造によっては陽極及び陰極の双方を交換しなけれ
ばならないという課題があった。また、陰極には鉄が用
いられるが、この陰極に水中のマグネシウム分やカルシ
ウム分が付着するので、電解電圧を大きくしないと所望
の電流が得られないことがあるという課題もあった。更
に、対象とする生物に応じて有効な金属イオン種が異な
るのであるが、上述のような従来技術では、電解によっ
て供給される金属イオンは陽極を構成する1種類の金属
(銅)のみであり、例えば、2種の金属イオンを供給し
ようとすると、それぞれを陽極とした装置を個別に用意
する必要があるという課題があった。
【0004】一方、火力発電所などにおいては、タービ
ン用ボイラー等を冷却するのに大量の水が必要である
が、コスト面の要請から冷却水として海水を使用してお
り、このため、海水取水パイプの内壁にフジツボ等の貝
類や藻類が付着して繁殖し、取水効率や冷却効率を著し
く低下させるという課題がある。かかる付着による弊害
は、養殖槽への取水管内壁、船舶や養殖槽の内壁等の水
中構築物においても見られ、それぞれの機能を劣化させ
ていた。そして、これら付着した貝類等を除去するに当
たっては、大きな取水管では内部に人間が入って除去作
業を行ったり、小さな取水管では配管を外して機械的に
掻き取らねばならず、また、水中構築物ではその壁面の
掻き取り作業を行わねばならず重労働となるばかりか、
かかる作業を定期的に行わなければならず、煩雑に耐え
ないという課題があった。
【0005】本発明は、上述のような従来技術の有する
課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこ
ろは、長寿命で複数種の金属イオンを供給できる水生寄
生生物の繁殖抑制装置及び繁殖抑制方法、貝類及び藻類
の付着抑制装置及び付着抑制方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、陽極・陰極の両極間
への通電方向を可逆的な構成とし、また、両極の構成材
料を異ならせることなどにより、上記目的が達成できる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発
明の水生寄生生物の繁殖抑制装置は、水生寄生生物の繁
殖を抑制する装置において、銅、銀、錫、亜鉛、クロム
及びこれらの合金の任意の組み合わせから選ばれた第1
電極及び第2電極と、この両極間に直流電流を通電する
電流発生手段とを備え、上記電流発生手段は通電方向が
可変に構成されていることを特徴とする。
【0007】また、本発明の水生寄生生物の繁殖抑制方
法は、水生寄生生物の繁殖を抑制するに当たり、銅、
銀、錫、亜鉛、クロム及びこれらの合金の任意の組み合
わせから選ばれた第1電極及び第2電極を水相に配置
し、電気分解により、この両電極から交互に金属を溶出
させることを特徴とする。
【0008】更に、本発明の貝類及び藻類の付着抑制装
置は、貝類及び藻類の付着を抑制する装置であって、
銅、銀、錫、亜鉛、クロム及びこれらの合金の任意の組
み合わせから選ばれた第1電極及び第2電極と、この両
極間に直流電流を通電する電流発生手段とを備え、上記
電流発生手段は通電方向が可変に構成されていることを
特徴とする。
【0009】更にまた、本発明の貝類及び藻類の付着抑
制方法は、銅、銀、錫、亜鉛、クロム及びこれらの合金
の任意の組み合わせから選ばれた第1電極及び第2電極
を水相に配置し、電気分解により、この両電極から交互
に金属を溶出させることを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明においては、電極材料として、銅、錫、
亜鉛、クロム及びこれらの合金を選定し、第1電極と第
2電極をこれら金属の任意の組み合わせとし、且つ第1
電極と第2電極との間への通電方向を逆転可能な構成と
した。従って、第1電極と第2電極の材料が同種金属の
場合には、通電方向を適宜切り換えることにより、電極
の片減りを防止でき、結果として長寿命化を実現でき
る。また、第1電極と第2電極の構成金属が異なる場合
には、通電方向の切り換えにより、1つの装置(1対の
電極)で2種の金属イオンを溶出させることができ、繁
殖抑制及び付着抑制の対象とする生物種の幅を広くする
ことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の繁殖抑制装置及び付着抑制装置においては、第
1電極及び第2電極は、寄生生物等の滅菌や殺菌に用い
ることができる材料、即ち、銅、亜鉛、錫、クロム及び
これらの合金から形成されている。ここで、第1電極の
構成材料と第2電極の構成材料とは同種でも異種でもよ
く、例えば、第1電極(銅)−第2電極(銅)、第1電
極(銅)−第2電極(錫)及び第1電極(銀合金)−第
2電極(銅)など、上述の銅、亜鉛等の任意の組み合わ
せを採用することができる。
【0012】また、本発明の抑制装置は、上述の第1及
び第2電極の両極間に直流電流を通電する電流発生手段
を有する。この電流発生手段は、その通電方向を逆転す
ることが可能に構成されており、通電方向を第1電極か
ら第2電極、又は第2電極から第1電極に切り換えるこ
とが可能である。従って、通電により生ずる電気分解に
より、第1電極又は第2電極から当該電極を構成する金
属を水相に溶出させて供給することができる。
【0013】上記電流発生手段において、通電方向の切
り換えは手動でも自動でも行うことができ、例えば、手
動切り換えの場合は定電流電源の出力極性を切り換える
スイッチを設ければよい。また、自動切り換えの場合に
は、タイマー等を付加して所定時間毎に通電方向を切り
換えるようにしてもよい。この場合、切り換え時間は、
10秒以上、望ましくは1分以上の時間で適宜選定する
のが好ましい。10秒未満では、陰極として機能してい
る電極に析出した電着物が溶解するのみに留まり、所期
の金属が溶出しないことがあるので好ましくない。な
お、この電流発生手段では、電流値の調整ができるのは
言うまでもない。
【0014】以上の構成をとることにより、本発明によ
れば、第1電極と第2電極との構成材料が同種の場合に
は、通電方向を適宜切り換えることにより電極の片減り
を防止することができ、電極の重量が同一であれば従来
の装置の約2倍の寿命が得られることになる。また、両
電極の構成材料が異なる場合には、2種類の金属、例え
ば、銅と銀とを交互に溶出させることができ、繁殖や付
着を抑制しようとする対象種が複数存在し、且つ対象種
間において繁殖等を抑制できる材料(金属イオン)が異
なる場合でも、1つの装置でこれら対象種の全て又は多
くの種に抑制効果を発揮することができる。
【0015】更に、本発明の抑制装置には、各種金属イ
オンの濃度を検出できる濃度検出手段を付加することも
可能であり、このような検出手段で金属イオン濃度を検
出することにより、使用すべき水相の環境を精密に制御
することができる。即ち、両電極の構成材料が同一の場
合には、通電をON・OFFすることにより金属イオン
濃度を精密に調整でき、抑制対象種に応じて適切な濃度
を維持することができる。また、例えば、水相の成分が
塩水であっても、金属イオン濃度が過大となって陽極か
ら有害な塩素ガスが発生するのを回避することもでき
る。一方、両電極の構成材料が異なる場合には、上述の
利点以外にも、繁殖や付着している対象種の数に応じ
て、抑制効果のある金属イオンを選択して溶出させるこ
とができ、効率的である。
【0016】次に、本発明の抑制装置の設置方法につい
て説明する。本発明の抑制装置の設置は、第1電極及び
第2電極が水相に配置されていれば十分であり、これ以
外は特に限定されるものではない。この水相の具体例と
しては、水生寄生生物の繁殖を抑制する場合には、養殖
域の水相、養殖予定域の水相及びこれらの領域への給水
手段の水相などを挙げることができる。また、養殖域の
水相には、生け簀などの養殖槽の養殖用水、養殖予定域
の水相には、養殖生物を入れる前の養殖槽の養殖用水、
給水手段には、養殖槽等への給水管が含まれる。更に、
水産物を運搬する場合に使用する水槽の水であってもよ
く、養殖生物を一時的に退避させるための槽における水
であってもよい。なお、水相成分は、淡水であるか塩水
であるかは問われない。また、貝類や藻類の付着抑制を
行う場合には、火力発電所などのボイラーのような熱発
生装置に冷却水を供給する冷却管、養殖槽への取水管、
船舶や水中構築物の壁面近傍などに設置すればよい。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。以下、本発明を、図面を参照して実施例により詳細
に説明する。図1は、本発明の繁殖抑制装置又は付着抑
制装置の一実施例を示す縦断面図であり、この抑制装置
は、図示した中心線A−Aに関して対称形をなすため、
片側のみ図示している。なお、水流の方向は矢印Bの方
向である。図1において、この抑制装置は、微生物増殖
抑制能を有する金属の一例である銅製のパイプ2(第1
電極)と、その内部に収容された同様の抑制能を有する
金属の一例である錫製の丸棒7(第2電極)とを備えて
おり、両者は塩化ビニルパイプ製の給水管1の内部に配
置されている。
【0018】上記給水管1の周面部にはネジ穴3が半径
方向に穿設されており、ステンレス製の雄ネジ4が螺着
されている。雄ネジ4の先端部は銅パイプ2の外周部に
当接しており、雄ネジ4,4で銅パイプ2を挾持するこ
とにより銅パイプ2が固定されているとともに、雄ネジ
4がリード端子の機能を果たす。また、給水管1の内周
部には周溝5が設けられており、この周溝5に装着され
たOリング6により、給水管1の内周部と銅パイプ2の
外周部とが規定する空間14の液密性が確保されている
ので、給水管1がネジ穴3を介して漏水することはな
い。
【0019】一方、錫棒7の周面部にもネジ穴8が半径
方向に穿設されており、上述の雄ネジ4と同様に給水管
1を貫通して螺着されているステンレス製雄ネジ9の先
端部が錫棒7のネジ穴8と螺合されることにより、錫棒
7が固定されている。なお、雄ネジ9は、錫棒7のリー
ド端子の機能を果たす。雄ネジ9が水と接触する部分9
aには、予め又は錫棒7と螺合させた後にポリ塩化ビニ
ル系塗料等を塗布し、水と直接接触しないようにしてお
くのが好ましい。また、接水部分9aにゴム・樹脂製チ
ューブを被覆してもよい。更に、錫棒7の端部は、プラ
スチック製のカバー10で被覆されており、海水に接し
た場合でも溶解しないような構成となっている。なお、
雄ネジ9と給水管1との間にはOリング12が装着され
ており、給水管1の漏水を防止している。
【0020】また、上記銅パイプ2の端部には、フラン
ジ付きの塩化ビニルパイプ13が挿入されており、この
パイプ13により被覆されている銅パイプ2の内周部の
一部は、電気分解により消耗することがないので、該内
周部の他の部分が電気分解により消耗しても銅パイプ2
の強度が保障され、Oリング6のシール性を維持できる
とともに、雄ネジ4の銅パイプ2との電気接続をも維持
できる。
【0021】図2は、本抑制装置の電源ユニットの構成
を示す概略ブロック図である。同図において、本装置で
は、定電流源21から発生した電流は、タイマーユニッ
ト22により一定時間毎に極性が切り換えられる構成と
なっている。また、端子23及び24は、それぞれ図1
の雄ネジ4及び9のいずれかのリード端子に接続され、
上述のように電流の極性が切り換えられることにより、
銅パイプ2(第1電極)及び錫棒7(第2電極)の極性
が切り換えられ、両電極が交互に陽極及び陰極の機能を
果たすことが可能になる。なお、タイマー22は、必ず
しも等時間で切り換える構成とする必要はなく、抑制対
象の微生物に有効な濃度をそれぞれ供給するよう時間を
異ならせてもよい。勿論、切り換え時間を同一にして極
性を変える度に電流値を変えてもよいし、電流を発生し
ない休止時間を設けてもよい。
【0022】以上のように、本装置では、銅パイプ2及
び錫棒7から交互に銅イオン又は錫イオンを溶出させる
ことができる。また、本実施例では、銅パイプ2及び錫
棒7の長手方向を水流の方向とほぼ平行になるようにし
た。従って、一方の電極から溶出する金属イオンは、他
の電極の表面と接触する前に水流により下流側に流さ
れ、他の電極表面に析出することが防止される。更に、
本装置において、電流を流す電源を、ON・OFF可能
な可変電源とすれば、間欠的に通水させる場合、これに
応じて電源をON・OFFでき、電気エネルギを効率よ
く利用することができる。更に、流速センサを付加して
流速を検出することもでき、これに応じて電流値を変化
させることにより、各種金属イオンの供給を一層精密に
制御することが可能になる。
【0023】次に、上述の繁殖・付着抑制装置を構成す
る部材の材質等について説明する。第1及び第2電極を
構成するパイプ2及び棒7の材質としては、微生物増殖
抑制能を有する金属であれば十分であり、銅のみならず
銀、錫、亜鉛及びクロムやこれらの合金等であってもよ
い。但し、通常、亜鉛イオンにより銅イオンと同等の効
果を得ようとすると、銅イオンの濃度の2倍以上の濃度
を必要とし、錫イオンでは更に高濃度を必要とする。ま
た、クロムは環境への影響が大きく、更に、水相が海水
の場合、銀は難溶性の塩化銀を形成してしまうので、海
水用途では、銅又は錫を用いるのが好ましいと言える。
なお、銅は比重が大きいので体積が小さく、分子量も大
きいので、一定量のイオンを発生させるための電気量を
小さくできるという利点もある。雄ネジ4及び9につい
ては、導電性を有する材料であれば十分であり、ステン
レス以外の他の金属やカーボン等でも使用可能である。
また、給水管1は、防水性を有すれば十分であり、塩化
ビニルのみならず種々のセラミックスや樹脂等を使用で
きる。
【0024】(実施例2)上記実施例1の抑制装置がひ
らめ養殖槽に適用可能かどうかを試験した。即ち、ひら
め養殖水槽では、銅イオン濃度を0.05ppm以下に
制御するのが好ましいことが知られている。ここで、水
槽の大きさを5m×5m×0.4m(水深)とすると水
量は10tとなる。これを2時間毎に入れ換えるとする
と、供給水量は5t/時間となり、0.05ppmの銅
イオン濃度を実現するためには、銅の供給速度を0.2
5g/時間とする必要がある。また、銅の原子量を6
4、イオン価を2とすると、0.25gの銅イオンを溶
出させるには、約210mAの電流を必要とする。
【0025】上記実施例1の両電極ともほぼ同重量の銅
とし、パイプ2の外径を10cm、肉厚を1cm、長さ
を30cmとすると、銅の有効利用率が0.7でも約
4.8年間使用できることになり、この条件下では、
4.8年間に1回電極ユニット全部を交換しさえすれ
ば、ひらめ養殖槽における微生物の発生・増殖を簡易に
防止できることになる。また、この際の銅製陽極パイプ
の電流密度は0.28mA/cm2となるので、この電
流密度で2時間電解し、水槽中の塩素濃度を測定したと
ころ、塩素は全く検出されなかった。
【0026】(実施例3)上記実施例1の銅パイプ2及
び錫棒7を備えた抑制装置を養魚槽用の海水供給管に設
置し、海水中の銅イオン及び錫イオン濃度を0.03p
pmに保持したところ、養魚の疾病が防止されたのみな
らず、養魚槽に貝や藻類がほとんど付着しなくなった。
【0027】(実施例4)実施例1の抑制装置をボイラ
ー等の冷却用海水供給管に設置し、貝類の付着抑制効果
を調査した。即ち、付着している成貝を死滅させるには
高濃度の銅イオンや錫イオンを必要とするが、貝殻の形
成時期である発生から3日後位までに、貝幼生が銅イオ
ンと接触すると貝殻の形成が阻害されるが、この際に必
要とされる銅イオン濃度は0.05ppm以下である。
そこで、実施例1の装置を用いて、海水供給管に銅イオ
ン濃度及び錫イオン濃度を0.02ppmで溶出させた
ところ、貝幼生の発生が抑制され、海水供給管の内壁に
貝が付着することも抑制された。また、既に付着してい
た貝類も上述の銅及び錫イオン供給を続行することで死
滅した。
【0028】以上のことから、低濃度の銅や錫イオン供
給は即効性に欠けるものの、長期的には貝類や藻類の付
着を防止でき、また、付着している貝類等の離脱を促す
ことができることが分かった。よって、本発明の抑制装
置によれば、金属イオンを定量的且つ長期に亘って溶出
できるので、貝類や藻類の付着防止等を図ることができ
る。なお、上述のような低濃度の金属イオンを含む海水
を、海に還元しても相当に希釈されているので生物系に
与える影響は皆無と思われる。また、本発明の抑制装置
は、海水生物だけではなく淡水生物にも有効である。
【0029】以上、本発明を実施例により詳細に説明し
たが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
く、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能で
ある。例えば、上述の実施例では、給水路に設置するの
に都合がよいように装置の全体形状をほぼ管状とした
が、これに限定されるものではなく、種々の形状を採用
することができる。また、電極は必ずしもパイプ状や丸
棒である必要はなく、平板を対向させた構成としてもよ
い。更に、電極の配置場所も水相であれば水路に限定さ
れず、例えば、養魚槽内に配置して当該槽内で電気分解
してもよい。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
陽極・陰極の両極間への通電方向を可逆的な構成とし、
また、両極の構成材料を異ならせること等としたため、
長寿命で複数種の金属イオンを供給できる水生寄生生物
の繁殖抑制装置及び繁殖抑制方法、貝類及び藻類の付着
抑制装置及び付着抑制方法を提供することができる。ま
た、実施例に記載した抑制装置は、管状・棒状の電極を
給水路内に配置し、水流と電極の長手方向とをほぼ平行
にする構成としたため、上記効果以外にも、イオン供給
量を精密に制御し易く、塩素等の有毒ガスの発生を一層
簡易に防止できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繁殖・付着抑制装置の一実施例を示す
部分縦断面図である。
【図2】図1に示した装置の電源ユニットの構成を示す
概略ブロック図である。
【符号の説明】
1・・・給水管、2・・・電極パイプ、4・・・電極リード端
子、7・・・電極丸棒、9・・・電極リード端子、21・・・定
電流源、22・・・タイマーユニット、23,24・・・端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 1/50 510 C02F 1/50 510E 520 520J 531 531D 531E 531F 560 560E

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水生寄生生物の繁殖を抑制する装置にお
    いて、 銅、銀、錫、亜鉛、クロム及びこれらの合金の任意の組
    み合わせから選ばれた第1電極及び第2電極と、この両
    極間に直流電流を通電する電流発生手段とを備え、 上記電流発生手段は通電方向が可変に構成されている、
    ことを特徴とする水生寄生生物の繁殖抑制装置。
  2. 【請求項2】 上記第1電極と第2電極との構成金属が
    異なり、これら構成金属の濃度を検出する濃度検出手段
    を備えることを特徴とする請求項1記載の繁殖抑制装
    置。
  3. 【請求項3】 上記第1電極及び第2電極が、養殖域の
    水相、養殖予定域の水相又はこれら領域への給水手段の
    水相に配置されていることを特徴とする請求項1又は2
    記載の繁殖抑制装置。
  4. 【請求項4】 通電方向により電流値又は通電時間が異
    なることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項
    に記載の繁殖抑制装置。
  5. 【請求項5】 水生寄生生物の繁殖を抑制するに当た
    り、 銅、銀、錫、亜鉛、クロム及びこれらの合金の任意の組
    み合わせから選ばれた第1電極及び第2電極を水相に配
    置し、 電気分解により、この両電極から交互に金属を溶出させ
    る、ことを特徴とする水生寄生生物の繁殖抑制方法。
  6. 【請求項6】 上記水相が、養殖域の水相、養殖予定域
    の水相又はこれら領域への給水手段の水相であることを
    特徴とする請求項5記載の繁殖抑制方法。
  7. 【請求項7】 貝類及び藻類の付着を抑制する装置であ
    って、 銅、銀、錫、亜鉛、クロム及びこれらの合金の任意の組
    み合わせから選ばれた第1電極及び第2電極と、この両
    極間に直流電流を通電する電流発生手段とを備え、 上記電流発生手段は通電方向が可変に構成されている、
    ことを特徴とする貝類及び藻類の付着抑制装置。
  8. 【請求項8】 上記第1電極と第2電極との構成金属が
    異なり、これら構成金属の濃度を検出する濃度検出手段
    を備えることを特徴とする請求項7記載の付着抑制装
    置。
  9. 【請求項9】 上記第1電極及び第2電極が、水路に配
    置されていることを特徴とする請求項7又は8記載の付
    着抑制装置。
  10. 【請求項10】 上記水路が熱発生装置用の冷却水路で
    あることを特徴とする請求項9記載の付着抑制装置。
  11. 【請求項11】 通電方向により電流値又は通電時間が
    異なることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つ
    の項に記載の付着抑制装置。
  12. 【請求項12】 銅、銀、錫、亜鉛、クロム及びこれら
    の合金の任意の組み合わせから選ばれた第1電極及び第
    2電極を水相に配置し、 電気分解により、この両電極から交互に金属を溶出させ
    る、ことを特徴とする貝類及び藻類の付着抑制方法。
  13. 【請求項13】 上記水相が水路であることを特徴とす
    る請求項12記載の付着抑制方法。
JP6161196A 1996-02-26 1996-02-26 水生寄生生物の繁殖抑制装置及び繁殖抑制方法、貝類及び藻類の付着抑制装置及び付着抑制方法 Pending JPH09225469A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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GB2344352A (en) * 1998-12-04 2000-06-07 George William Anthony Kent Silver alloy
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JP2007131593A (ja) * 2005-11-11 2007-05-31 Sharp Corp 金属のイオンまたは化合物と溶菌酵素とを含有する抗菌剤およびその製造方法

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