JPH09220435A - 排煙脱硫装置の吸収塔 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸収塔の液溜まり部を画定する壁部に空気供
給管を貫通させる為の孔を開口することなく酸化用空気
の吹き込みを行うことができ、しかも、吸収液の撹拌効
率を低下することなく良好な酸化能力を確保できるよう
にした排煙脱硫装置の吸収塔を提供する。 【解決手段】 湿式脱硫方式とした排煙脱硫装置の吸収
塔１において、液溜まり部２を画定する壁部を回動自在
に貫通して配置される撹拌翼１２の回転シャフト１１を
パイプ構造とし、該回転シャフト１１の内部に形成され
る流路２５を通して前記液溜まり部２の吸収液３中に酸
化用空気１３を吹き込み得るよう構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、排煙脱硫装置の吸
収塔に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、燃焼機器からの排ガス等の被
処理ガス中に含まれる硫黄酸化物を除去する装置の一つ
として湿式の排煙脱硫装置が知られている。

【０００３】図３は従来の排煙脱硫装置の吸収塔の一例
を示すもので、吸収塔１内における底部の液溜まり部２
に、炭酸カルシウム等の吸収剤を含むスラリー状の吸収
液３が貯留されており、前記吸収塔１内における上方位
置には、水平方向に延びる複数本のスプレー管４が上下
方向に所要の間隔で架設されている。

【０００４】前記液溜まり部２と各段のスプレー管４と
は吸収液供給管５を介して接続されており、該吸収液供
給管５には、前記液溜まり部２から吸収液３の一部を汲
み上げて各段のスプレー管４から噴霧させ得るよう循環
ポンプ６が設けられている。

【０００５】また、前記吸収塔１の側部には、液溜まり
部２とスプレー管４との間に被処理ガス７を導入し得る
ようガス導入口８が設けられており、前記吸収塔１の頂
部には、硫黄酸化物を除去した被処理ガス７を排出し得
るようガス排出口９が設けられている。

【０００６】而して、循環ポンプ６により液溜まり部２
から吸収液３の一部を汲み上げて各段のスプレー管４か
ら噴霧させ、斯かる状態で、脱硫しようとする被処理ガ
ス７をガス導入口８から吸収塔１内に導入すると、前記
被処理ガス７は吸収塔１内部を上昇しながら各段のスプ
レー管４から噴霧された吸収液３と接触して硫黄酸化物
を吸収液３に吸収され、ガス排出口９より排出される。

【０００７】一方、被処理ガス７から硫黄酸化物を吸収
した吸収液３は液溜まり部２に滴下するが、前記液溜ま
り部２内には、電動機１０により回転シャフト１１を介
して駆動される撹拌翼１２と、吸収液３中に酸化用空気
１３を吹き込む空気供給管１４とが配設されており、該
空気供給管１４より酸化用空気１３を吹き込みながら前
記撹拌翼１２を回転して吸収液３を撹拌すると、被処理
ガス７から硫黄酸化物を吸収することにより吸収液３中
に生成された亜流酸カルシウムが酸化されて安定な石膏
（硫酸カルシウム）が生成されるので、該石膏を図示し
ない石膏取出口より抜き出して回収する。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、斯かる
従来の吸収塔１においては、吸収塔１の液溜まり部２を
画定する壁部に、撹拌翼１２の回転シャフト１１を貫通
させる為の孔と、空気供給管１４を貫通させる為の孔と
を夫々別個に開口させなければならなかった為、吸収塔
１の強度が低下すると共に建築コストも高くなるという
不具合があった。

【０００９】更に、図示する如く、撹拌翼１２の吸込み
側（背面側）に酸化用空気１３を吹き込み、該酸化用空
気１３を撹拌翼１２による吐出流に乗せて分散させるよ
うにした場合には、撹拌翼１２の吸込み側（背面側）か
ら吸引された酸化用空気１３が吐出側（正面側）に移行
する際に、酸化用空気１３の気泡が撹拌翼１２に剪断さ
れて回転抵抗となる為、撹拌翼１２による撹拌効率が低
下するという不具合があり、また、図４に示す如く、撹
拌翼１２の吐出側（正面側）に酸化用空気１３を噴出す
るようにした場合においても、撹拌翼１２の前方を空気
供給管１４が遮ることになり、吐出流の形成が阻害され
て吸収液３の撹拌効率が低下するという不具合があっ
た。

【００１０】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもの
で、吸収塔の液溜まり部を画定する壁部に空気供給管を
貫通させる為の孔を開口することなく酸化用空気の吹き
込みを行うことができ、しかも、吸収液の撹拌効率を低
下することなく良好な酸化能力を確保できるようにした
排煙脱硫装置の吸収塔を提供することを目的としてい
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、底部の液溜ま
り部から吸収液を汲み上げて上方から噴霧させ、該吸収
液を落下中に被処理ガスと接触させて硫黄酸化物を吸収
させながら前記液溜まり部に戻し、該液溜まり部の吸収
液を撹拌翼で撹拌しながら酸化用空気を吹き込んで酸化
させるようにした排煙脱硫装置の吸収塔であって、前記
液溜まり部を画定する壁部を回動自在に貫通して配置さ
れる撹拌翼の回転シャフトをパイプ構造とし、該回転シ
ャフトの内部に形成される流路を通して前記液溜まり部
の吸収液中に酸化用空気を吹き込み得るよう構成したこ
とを特徴とするものである。

【００１２】従って本発明では、回転シャフト内の流路
を通して該回転シャフトの先端から撹拌翼の吐出側（正
面側）に酸化用空気が吹き込まれるので、該酸化用空気
の気泡が撹拌翼に剪断されて回転抵抗となったり、撹拌
翼の前方を遮る空気供給管が吐出流の形成を阻害したり
する不具合が回避される。

【００１３】更に、吸収塔の液溜まり部を画定する壁部
に空気供給管を貫通させる為の孔を開口することなく酸
化用空気の吹き込みを行うことが可能となるので、従来
よりも吸収塔の強度を向上し且つ建築コストを削減する
ことが可能となる。

【００１４】また、本発明では、前記回転シャフト内の
流路にシール水を常時注入し得るよう構成することが可
能であり、このようにすれば、酸化用空気の吹き込みを
停止した時でも、前記回転シャフト内の流路に対する吸
収液の侵入が防止される。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照しつつ説明する。

【００１６】図１及び図２は本発明を実施する形態の一
例を示すもので、図３と同一の符号を付した部分は同一
物を表わしている。

【００１７】前述した図３と略同様に構成した排煙脱硫
装置の吸収塔１において、液溜まり部２を画定する壁部
に、シール性能を備えた軸受１５を介して回転シャフト
１１が回動自在に貫通されており、該回転シャフト１１
の液溜まり部２内側に張り出した先端部には、吸収液３
を撹拌する為の撹拌翼１２が装備されている。

【００１８】前記回転シャフト１１における液溜まり部
２外側に張り出した部分の適宜位置には、ギヤホイール
１６が一体に外嵌されており、該ギヤホイール１６に噛
合されたピニオン１７が、固定部材１８に支持された電
動機１９により駆動されるようになっている。

【００１９】また、前記回転シャフト１１は軸方向に貫
通するパイプ構造として形成されており、該回転シャフ
ト１１の液溜まり部２外側に張り出した基端部には、前
記回転シャフト１１に追従して回動しないよう固定部材
２０に固定された回転継手２１が設けられ、該回転継手
２１には、所要場所に配設したブロワ２２から遮断弁２
３を介して酸化用空気１３を導く空気供給管２４が接続
されており、前記回転シャフト１１の内部に形成された
流路２５を通して前記液溜まり部２の吸収液３中に酸化
用空気１３を吹き込み得るようにしてある。

【００２０】ここで、前記遮断弁２３は、ブロワ２２か
らのオン・オフ信号２６により開閉作動されるようにな
っており、ブロワ２２の起動と同時に開放されて酸化用
空気１３の供給を開始し、且つブロワ２２の停止と同時
に閉止されるようになっている。

【００２１】また、特に本形態例においては、前記回転
継手２１に、図示しない水源から給水ポンプ２７を介し
てシール水２８を導く給水管２９も接続されており、前
記回転シャフト１１内の流路２５に対しシール水２８を
常時注入し得るよう構成されている。

【００２２】即ち、回転継手２１の内部には、回転シャ
フト１１の基端部における終端に突設された空気導入口
３０を介して前記回転シャフト１１内の流路２５に連通
する第一室３１と、前記回転シャフト１１の基端部にお
ける周方向複数箇所に開口されたシール水導入口３２を
介して前記回転シャフト１１内の流路２５に連通する第
二室３３とが形成されており、前記空気供給管２４は第
一室３１に、前記給水管２９は第二室３３に夫々接続さ
れている。

【００２３】而して、電動機１９によりピニオン１７を
回転すると、該ピニオン１７が噛合しているギヤホイー
ル１６を介して回転シャフト１１が回動され、該回転シ
ャフト１１の先端部の撹拌翼１２が回転して液溜まり部
２の吸収液３が撹拌される。

【００２４】斯かる状態でブロワ２２を起動すると、遮
断弁２３が開放されて酸化用空気１３が空気供給管２４
に送給され、回転継手２１内の第一室３１から空気導入
口３０を介して回転シャフト１１内の流路２５に酸化用
空気１３が導入され、回転シャフト１１の先端から撹拌
翼１２の吐出側（正面側）に酸化用空気１３が吹き出さ
れる。

【００２５】回転シャフト１１の先端から吹き出された
酸化用空気１３は、撹拌翼１２による吐出流に乗って液
溜まり部２の吸収液３中に良好に分散され、被処理ガス
７から硫黄酸化物を吸収することにより吸収液３中に生
成された亜流酸カルシウムが酸化されて安定な石膏（硫
酸カルシウム）が生成される。

【００２６】また、このとき、給水ポンプ２７を起動し
てシール水２８を給水管２９に送給しておけば、回転継
手２１内の第二室３３からシール水導入口３２を介して
回転シャフト１１内の流路２５にシール水２８が注入さ
れ、前記回転シャフト１１内の流路２５に対する吸収液
３の侵入が確実に防止される。

【００２７】尚、このようにシール水２８を注入して
も、燃焼機器等から排ガスとして導かれる被処理ガス７
が高温である為に、該被処理ガス７との接触で吸収液３
中の水分は連続的に蒸発されてしまうので、液溜まり部
２の吸収液３が希釈されてしまうような不具合は起こら
ない。

【００２８】従って上記形態例によれば、回転シャフト
１１内の流路２５を通して該回転シャフト１１の先端か
ら撹拌翼１２の吐出側（正面側）に酸化用空気１３を吹
き込むことができるので、該酸化用空気１３の気泡が撹
拌翼１２に剪断されて回転抵抗となったり、撹拌翼１２
の前方を遮る空気供給管が吐出流の形成を阻害したりす
る不具合を回避することができ、吸収液３の撹拌効率を
低下することなく良好な酸化能力を確保することができ
る。

【００２９】更に、吸収塔１の液溜まり部２を画定する
壁部に空気供給管２４を貫通させる為の孔を開口するこ
となく酸化用空気１３の吹き込みを行うことができるの
で、従来よりも吸収塔１の強度を向上し且つ建築コスト
を削減することができる。

【００３０】また、特に本形態例に示した如く、回転シ
ャフト１１内の流路２５にシール水２８を常時注入し得
るよう構成すれば、酸化用空気１３の吹き込みを停止し
た時でも、前記回転シャフト１１内の流路２５に吸収液
３が侵入することを防止することができるので、前記回
転シャフト１１内で石膏が生成されて流路２５が閉塞さ
れるという不具合の発生を未然に防止することができ
る。

【００３１】尚、本発明の排煙脱硫装置の吸収塔は、上
述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要
旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ること
は勿論である。

【００３２】

【発明の効果】上記した本発明の排煙脱硫装置の吸収塔
によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。

【００３３】（Ｉ）回転シャフト内の流路を通して該回
転シャフトの先端から撹拌翼の吐出側（正面側）に酸化
用空気を吹き込むことができるので、該酸化用空気の気
泡が撹拌翼に剪断されて回転抵抗となったり、撹拌翼の
前方を遮る空気供給管が吐出流の形成を阻害したりする
不具合を回避することができ、吸収液の撹拌効率を低下
することなく良好な酸化能力を確保することができる。

【００３４】（ＩＩ）吸収塔の液溜まり部を画定する壁
部に空気供給管を貫通させる為の孔を開口することなく
酸化用空気の吹き込みを行うことができるので、従来よ
りも吸収塔の強度を向上し且つ建築コストを削減するこ
とができる。

【００３５】（ＩＩＩ）回転シャフト内の流路にシール
水を常時注入し得るよう構成すれば、酸化用空気の吹き
込みを停止した時でも、前記回転シャフト内の流路に吸
収液が侵入することを防止することができるので、前記
回転シャフト内で石膏が生成されて流路が閉塞されると
いう不具合の発生を未然に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を実施する形態の一例を示す側面図であ
る。

【図２】図１の回転継手の内部構造を示す断面図であ
る。

【図３】従来例を示す概略図である。

【図４】別の従来例を示す概略図である。

【符号の説明】

１ 吸収塔 ２ 液溜まり部 ３ 吸収液 ７ 被処理ガス １１ 回転シャフト １２ 撹拌翼 １３ 酸化用空気 ２５ 流路 ２８ シール水

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底部の液溜まり部から吸収液を汲み上げ
   て上方から噴霧させ、該吸収液を落下中に被処理ガスと
   接触させて硫黄酸化物を吸収させながら前記液溜まり部
   に戻し、該液溜まり部の吸収液を撹拌翼で撹拌しながら
   酸化用空気を吹き込んで酸化させるようにした排煙脱硫
   装置の吸収塔であって、前記液溜まり部を画定する壁部
   を回動自在に貫通して配置される撹拌翼の回転シャフト
   をパイプ構造とし、該回転シャフトの内部に形成される
   流路を通して前記液溜まり部の吸収液中に酸化用空気を
   吹き込み得るよう構成したことを特徴とする排煙脱硫装
   置の吸収塔。
2. 【請求項２】 回転シャフト内の流路にシール水を常時
   注入し得るよう構成したことを特徴とする請求項１に記
   載の排煙脱硫装置の吸収塔。