JPH09211512A - 2次非線形光学素子 - Google Patents

2次非線形光学素子

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JPH09211512A
JPH09211512A JP1789296A JP1789296A JPH09211512A JP H09211512 A JPH09211512 A JP H09211512A JP 1789296 A JP1789296 A JP 1789296A JP 1789296 A JP1789296 A JP 1789296A JP H09211512 A JPH09211512 A JP H09211512A
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nonlinear
crystal
wavelength
nonlinear optical
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JP1789296A
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Itaru Yokohama
至 横浜
Atsushi Yokoo
篤 横尾
Masao Yube
雅生 遊部
Toshikuni Kaino
俊邦 戒能
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い2次非線形光学係数を有する有機結晶を
使用して疑似位相整合を実現し、角度ウオークオフの影
響がなく、高効率に波長変換が行える2次非線形光学素
子を提供すること。 【解決手段】 第1の非線形物質であるリンチタン酸カ
リウム(KTP)41は略直方体の形状を有し、その上
面には予め定められた周期で溝が形成される。第2の非
線形物質である2−アダマンチルアミノ−5−ニトロピ
リジン(AANP)42は上記KTP41に形成された
溝中に配される。第1の非線形物質は第2の非線形物質
よりその融点が高い材料が選ばれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高効率に2次の非
線形光学効果を発現する光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】2次非線形光学効果は、媒質の有する2
次の非線形性を利用し、3つの光の間に相互作用を生じ
させるものであり、波長変換およびスイッチ素子等種々
の光学素子への応用が検討されている。周知のように、
非線形光学効果とは、媒質中の分極Pが、下式(1)の
ように光の電界Eに比例する項以外に、E2、E3に比例
する高次項、即ち、非線形分極項が生ずるために現れる
効果である。
【0003】 P=ε0・(χ(1)E+χ(2)2+χ(3)3+…) ・・・(1)
【0004】ここで上式(1)における第2項に起因す
る効果が2次非線形効果であり、χ(2)は2次非線形感
受率である。一般に、2次非線形感受率χ(2)は、3階
テンソルであり、χ(2) ijkと記述される。ここで、i,
j,kはそれぞれ寄与する電界の成分を表す。2次非線
形光学効果では、2次非線形光学係数dijkを用いるこ
とが一般的であるが、この2次非線形光学係数dijk
2次非線形感受率と同様3階テンソルであり、一般に、
ijk=(1/2)・χ(2) ijkの関係にある。3階テンソル
ijkのうち、どの成分が大きいかは媒質の対称性によ
り定まり、媒質に対する光の進行方向及び偏光方向によ
り、利用できる実効的な2次非線形光学係数が定まるこ
とになる。
【0005】2次非線形光学効果を効率よく起こさせる
ためには、より大きな実効的な2次非線形光学係数を利
用すること、及び、一般に関与する3つの光の間に位相
整合条件を満足させる必要がある。ここで位相整合条件
とは、関与する3つの光の波長を、波長の長い順にそれ
ぞれλ1、λ2、λ3としたとき、エネルギー保存則1/λ
1+1/λ2=1/λ3を満たす3つの光に対して、2次非
線形光学効果を有する媒質の3つの光の波長に対する波
長変換に関与する偏光の実効屈折率が
【0006】 N(λ3)/λ3−N(λ1)/λ1−N(λ2)/λ2=0 ・・・(2)
【0007】の関係を満たすときのことをいう。ここで
N(λ1)、N(λ2)、N(λ3)は、3つの光の波長に対す
る非線形物質の波長変換に関与する偏光の実効屈折率で
ある。位相整合条件を満たすために一般的に行われてい
る方法は、2次非線形光学効果を有する結晶の複屈折を
用いる方法であり、偏光方向による屈折率の違いを利用
して、位相整合条件を満たそうとするものである。複屈
折を利用する位相整合の概略を、波長変換の一例である
第2高調波発生(SHG:Second Harmonic Generatio
n)により説明する。SHGは、3つの光の波長λ1,λ
2,λ3に対してλ1=λ2であり、λ3=λ1/2となる場
合の波長変換である。
【0008】二軸光学結晶を考え、結晶のx軸、y軸、
z軸方向の偏光の屈折率がそれぞれnx、ny、nzであ
り、nx>nz>nyなる関係があるとする。この場合の
屈折率の波長依存性は図6(a)に示されたように、各
偏光の屈折率は、大きな吸収がなければ波長が長くなる
つれ単調減少となり、各屈折率間の大小関係が保持され
る。ここで、この光学結晶の2次非線形光学係数のう
ち、d311が比較的大きくd311をSHGに利用する場合
を考えると、2次非線形光学係数の添字の1,2,3
は、それぞれx軸成分、y軸成分、z軸成分に対応して
いるので、波長λ1(=λ2)の光はx軸成分を含む偏光
であり、波長λ3(=λ1/2)の光はz軸成分を含む偏
光でなければならない。この時の位相整合条件は、
【0009】N(λ1)−N(λ3)=0 ・・・(3)
【0010】であるが、nx1)−nz3)=0となる
のは、特殊な場合に限られるので、一般には、図6
(b)に示すように、光の進行方向に対して、結晶のz
軸11が垂直とならないよう傾け、この例の場合には、
波長λ1の光はx軸偏光を有するように入射させ、N(λ
1)=nx1)とし、波長λ3の光はyz面内に偏光を有
するように入射させてy軸とz軸の合成屈折率を感じる
ようにすると、波長λ3に対する実効屈折率は、
【0011】 N(λ3)=(sin2θ/nz 2+cos2θ/ny 2)-1/2 ・・・(4)
【0012】で与えられ、波長λ1が入射する軸に対し
て、結晶のz軸11を傾ける角度θを調整することによ
り、式(3)を満たすようにする。即ち、このような調
整により位相整合条件を満足させることができ、比較的
高効率な波長変換が行える。この方法は角度位相整合と
呼ばれ、2次非線形光学結晶の波長変換に一般的に使用
されている。例えば、図7に示すように、非線形媒質2
5として、代表的な無機2次非線形光学結晶であるリン
チタン酸カリウム結晶(以下、KTPと表記する)を使
用した場合、波長1.32[μm]の光に対するSHG
では、結晶のz軸21を49度傾けて位相整合をとる。
また、波長変換の効率は、光密度に比例するため、図7
に示すように、レンズ集光系22を用い、非線形媒質2
5中の光密度を上げるようにして変換効率を高める。こ
の例では、波長変換に寄与する実効的な2次非線形光学
係数は、5[pm/V]であり、結晶長、即ち相互作用
長が3[nm]の結晶において、規格化波長変換効率
0.001[%/W]が得られる。
【0013】また、無機結晶に比べ大きな2次非線形光
学係数を有する有機結晶、例えば、有機結晶の中でも比
較的大きな2次非線形光学係数を有する2−アダマンチ
ルアミノ−5−ニトロピリジン結晶(以下、AANPと
表記する(参考文献:特願昭62−282221号公報
“有機非線形光学材料”))を考えると、波長1.32
[μm]に対するSHGでは、結晶のz軸を60度傾け
て位相整合をとる。この例では波長変換に寄与する実効
的な2次非線形光学係数は、69[pm/V]であり、
結晶長、即ち相互作用長が2[mm]の結晶で、規格化
波長変換効率0.1[%/W]が得られ、前述のKTP
結晶より約2桁大きな効率が得られる。
【0014】しかしながら、角度位相整合には問題点が
ある。それは、結晶の軸を傾けた場合、複屈折の影響に
より、結晶内での光の進行方向が偏光によって異なって
くるという角度ウオークオフと呼ばれている現象が生じ
ることである。例えば、図7中に示した非線形媒質25
がKTP結晶である場合、ウオークオフ角は2.6度と
なり、図中実線で示す波長λ1の光23と、破線で示す
波長λ3の光24との進行方向がずれていくために、互
いの光の相互作用ができなくなり波長変換がおこなわれ
なって波長変換の効率が落ちてしまう。
【0015】理想的には、結晶長、即ち、相互作用長が
長いほど波長変換の効率が大きくなるはずであるが、角
度ウオークオフのため、結晶長が制限され、大きな波長
変換効率が得られなかった。この角度ウオークオフの影
響は、前述のAANPの場合も同様に生じている。最
近、角度ウオークオフに影響されない方法として、疑似
位相整合法が提案されている。これは、非線形媒質に周
期的な分極反転をおこすことにより、疑似的に位相整合
条件を満足させているものであり、その位相整合条件
は、
【0016】 N(λ3)/λ3−N(λ1)/λ1−N(λ2)/λ2+m/T=0 ・・・(5)
【0017】で表される。ここで、上式(5)中、mは
奇数であり、Tは分極反転の周期である。ニオブ酸タン
タル結晶に周期的に電界を印加して、周期的分極反転を
起こした例が報告されている(参考文献:K.Mizuuchi a
nd K.Yamamoto,Applied Physics Letters,vol,66,pp.29
43-2945,1995)。図8(a)中のニオブ酸タンタル結晶
31中に記された矢印は分極方向を示している。結晶長
が10[mm]、厚さが0.3[mm]であり、分極反
転の周期Tが3.8[μm]であるニオブ酸タンタル結
晶31を用い、波長0.85[μm]のSHGにおい
て、規格化波長変換効率4[%/W]が得られている。
この場合の実効的な2次非線形光学係数は17[pm/
V]となる。
【0018】疑似位相整合では、図8(a)に示すよう
に、結晶の軸を傾けることなく、分極周期により疑似的
に位相整合をとるため、角度ウオークオフが生じない。
このため、角度位相整合に比して、結晶長を長くとるこ
とができ、このため前述のAANPを用いて角度位相整
合を行った場合よりも実効的な2次非線形光学係数は小
さいが、より高い波長変換効率を得ることができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
で報告された疑似位相整合は、いずれも電界等により分
極反転が生じやすい無機結晶に関するものであり、同一
物質内での分極反転に限られている。加えて、電界等で
は分極反転の生じにくい有機結晶では、疑似位相整合が
報告されていない。しかるに、より高い波長変換効率を
得るために、無機結晶よりも2次非線形係数が大きい有
機結晶を用いた疑似位相整合法の実現が望まれていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、前記の
ような従来技術の問題点を解決し、高い2次非線形光学
係数を有する有機結晶を使用した疑似位相整合を実現
し、角度ウオークオフの影響がなく、高効率に波長変換
が行える2次非線形光学素子を提供することを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、波長の大小関係がλ1≧λ2≧λ3であ
り、且つ1/λ1+1/λ2=1/λ3なる関係を満たす波長
λ1、λ2、及びλ3の3つの光の間で波長変換を行う2
次非線形光学素子であって、前記3つの光の波長に対
し、波長変換に関与する偏光の実効屈折率がそれぞれN
11)、N12)、N13)であり、基本長L1が L1=(1/2)・(N13)/λ3−N11)/λ1−N12)/λ2)-1 ・・・(6) である第1の非線形物質と、前記3つの光の波長に対
し、波長変換に関与する偏光の実効屈折率がそれぞれN
21)、N22)、N23)であり、基本長L2が L2=(1/2)・(N23)/λ3−N21)/λ1−N22)/λ2)-1 ・・・(7) である第2の非線形物質とを有し、光の進行方向に対し
て第1の非線形物質と第2の非線形物質とが、それぞれ
前記基本長L1のほぼ奇数倍、及び前記基本長L2のほぼ
奇数倍の厚さで交互に周期的に配列され、前記第1の非
線形物質と前記第2の非線形物質の融点が互いに異なる
ことを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
§1.概要 本発明では、融点の異なる2種類の2次非線形光学効果
を有する非線形物質を使用し、融点のより高い非線形物
質に、溝等を周期的に形成し、その溝に融点のより低い
非線形物質を融点のより高い非線形物質の分極方向と異
なる分極方向を有するように結晶成長せしめることによ
って、電界印加等の従来の方法では、容易に分極反転の
行えない非線形物質でも、疑似位相整合に適用できるよ
うにするものである。
【0022】以下、従来示されていた、同一非線形物質
内での分極反転における疑似位相整合条件式(5)に対
し、異なる2種類の非線形物質を用いた分極反転におい
ても、第1の非線形物質の厚みが式(6)で与えられる
第1の非線形物質に対する基本長L1のほぼ奇数倍、第
2の非線形物質の厚みが式(7)で与えられる第2の非
線形物質に対する基本長L2のほぼ奇数倍であれば疑似
位相整合がとれることを示す。lなる方向に進行する波
長λ1,λ2,λ3の光の電界を、それぞれE1、E2、E3
で表すと、E1及びE2の波長変換で生じる電界E3は、
参考文献:スクイズド光(森北出版)に記載されている
ように、平面波近似により、
【0023】 dE3/dl=2πdeff/N(λ3)/λ3・E1・E2・exp(−iΔkl) ・・・(8)
【0024】と表わせる。ここで、lは進行方向に沿っ
た座標であり、Δkは下式で表わされる。 Δk=2π・(N(λ3)/λ3−N(λ1)/λ1−N(λ2)/λ2) また、N(λ1),N(λ2),N(λ3)は、それぞれ、波長
λ1,λ2,λ3における媒質の屈折率である。上式
(8)をE3の初期値が0、及び電界E1,E2が十分大
きいという条件で積分すると、
【0025】 E3=2πdeff/N(λ3)/λ3・E1・E2・(exp(−iΔkl)−1)/Δk ・・・(9)
【0026】となり、波長λ3の光強度P3はE3 2に比例
するため、
【0027】 P3∝(2πdeff/N(λ3)/λ3・E1・E2)22 ・(sin2(Δkl/2))/(Δkl/2)2 ・・・(10)
【0028】で与えられる。式(10)からP3はl=
π/(2Δk)において極大となり、l=π/△kで極小と
なり、以降、周期毎に変動することがわかる。もし、極
大値をとるl=mπ/(2△k)(ここでmは奇数)毎
に、2次非線形係数deffの符号が反転すれば、式
(8)から光強度P3は減少することなく、増加してい
くことになる。この条件が疑似位相整合条件となる。
【0029】従来、疑似位相整合条件は同一物質中の分
極反転に着目されてきた。しかしながら、式(8)〜
(10)は異なる2種類の物質においても適用できる。
すなわち、第1の非線形物質の厚さを第1の非線形物質
中で光強度P3が極大値をとる(m1/2)・(N13)/λ3
−N11)/λ1−N12)/λ2)-1とし、第2の非線形
物質の厚さを第2の非線形物質中で光強度P3が極大値
をとる(m2/2)・(N23)/λ3−N21)/λ1−N
22)/λ2)-1(ここで、m1,m2は奇数)とすれば、
同様に疑似位相整合条件を満足することができ、効率よ
く波長変換を行える。 §2.実施形態 以下、図面に基づいて、本発明の一実施形態による2次
非線形光学素子について説明する。図1は本発明の一実
施形態による2次光学非線形光学素子を模式的に示す図
である。図1(a),1(b)において、41は第1の
非線形物質であるリンチタン酸カリウム(KTP)結晶
であり、略直方体の形状に形成され、その全長は10
[mm]、厚さは1[mm]である。また、KTP41
の上面には深さが0.5[mm]の溝が周期的に170
列にわたって形成されている。
【0030】42は第2の非線形物質である2−アダマ
ンチルアミノ−5−ニトロピリジン(AANP)結晶で
あり、KTP41に形成された溝中に配置される。KT
P41及びAANP42は、それぞれ幅L1が19[μ
m]、幅L2が39[μm]で周期的に配置されてい
る。43はKTP41の上面に配置されたガラス板であ
る。44はKTP41の結晶軸を示す座標系、45はA
ANP42の結晶軸を示す座標系である。また、46は
レンズであり、47は波長1.32[μm]の入射光で
ある。
【0031】また、KTP41の分極方向+z方向とA
ANP42の分極方向+z方向とは、座標系44,45
に示すように互いに相反する方向にある。このような素
子を図1(b)に示すような配置で波長変換を行う。即
ち、入射光47をレンズ46で集光し、KTP41及び
AANP42を交互に通過するようにする。この場合、
波長1.32[μm]の光に対する第2高調波発生(S
HG)により波長が0.66[μm]の光が発生する。
レンズ46は波長変換の効率を高めるために用いられ
る。
【0032】次に、前述した素子の製造方法を図2
(a)〜2(e)を参照して説明する。図2(a)〜2
(e)は本発明の一実施形態による2次非線形光学素子
の製造方法を模式的に示す側面図であり、図1と共通す
る部分には同一の符号が付されている。図2(a)中の
51は板状のKTPである。まず、図2(b)に示され
るように、板状のKTP51の上面に、幅が39[μ
m]、深さが0.5[mm]の溝を19[μm]の間隔
をあけてダイシングソーで切削し、溝を有するKTP4
1を形成する。続いて、図2(c)に示すように、溝を
有するKTP41の上面にガラス板43をかぶせる。続
いて、溝を有するKTP41及びガラス板43全体を1
80度まで加熱し、融点が172度のAANP融液中に
一部を浸し、毛細管現象によりAANP融液を溝中に導
入する。その後、全体を室温まで冷却して溝中のAAN
P融液を固化させる。この際、図2(d)に示されるよ
うに、溝中のAANPは多結晶AANP52となる。続
いて、多結晶AANP52を単結晶化して、図2(e)
に示すような、AANP結晶42を形成する。
【0033】次に、図3を参照して多結晶AANP52
を単結晶化する方法を説明する。図3は多結晶AANP
52を単結晶化する方法を示す説明図であり、図1,2
と共通する部分には同一の符号が付されている。図3に
おいて、41は溝を有するKTPであり、61,61は
KTP41に形成された溝に平行な方向に沿って、KT
P41の両側に設けられた第1のヒータであり、第1の
ヒータ61,61はその温度が180度に設定されてい
る。62,62は第1のヒータ61,61に後続する第
2のヒータであり、第1のヒータ61,61よりも低い
温度(本実施形態では120度)に設定されている。ま
た、63は溶融AANPであり、64は単結晶AANP
である。
【0034】単結晶AANP52を単結晶化する方法
は、まず、図2(d)中の、溝に多結晶AANP52が
形成されたKTP41を、AANPの融点よりも若干高
い温度に設定した第1のヒータ61,61中に配置し、
AANPを溶融させて溶融AANP63とする。その
後、AANPの融点より低い温度に設定した第2のヒー
タ62の方向(図中矢印方向)へ、5[mm/hou
r]程度の速度でKTP41を移動させる。その際、溶
融AANP63の第2ヒータ領域に入った部分が結晶成
長し、単結晶AANP64となる。このような結晶成長
法はブリッジマン法としてしられているが、一部の有機
結晶を細い溝中に配して結晶成長する場合、自発的にあ
る特定の結晶軸をもって単結晶成長するといわれてい
る。
【0035】発明者らは、図3に示される方法でAAN
Pを単結晶させる場合、AANPのc軸が図中の上下方
向、即ち、KTP41の溝の方向に方位し、a軸が図中
の紙面に垂直な方向に向く方位で成長することを見出
し、また、+c軸方向は結晶成長方向により制御できる
ことを見出した。この特性を利用することにより、図1
(a)に示した結晶方位および形状を有するAANP4
2及びKTP41を製造できる。また、KTPの融点が
1150度であり、AANPの融点と異なっているた
め、製造工程においてKTPに変質をあたえることなく
製造することができる。この点が、第1の非線形物質と
第2の非線形物質の融点が異なっている効果である。
【0036】次に、本発明の一実施形態による2次非線
形光学素子の動作原理について説明する。まず、溝等を
形成する前のKTP(図2中のKTP51)結晶に、波
長1.32[μm]の光を入射させ、第2高調波発生で
波長0.66[μm]を発生させる場合、前述した位相
整合条件式(2)を満たさないため、第2高調波光強度
の相互作用長依存性は、図4中に模式的に示された曲線
(1)のように、周期的に増減し、第2高調波光強度は
一定値以上には増加しない。ここでは式(6)に示すよ
うに第1の非線形物質に対する基本長L1
【0037】 L1=(1/2)・(N13)/λ3−N11)/λ1−N12)/λ2)-1
【0038】と定義する。ここで、λ1,λ2,λ3は波
長変換に関与する3つの光の波長であり、この3つの光
の波長がλ1≧λ2≧λ3の関係を有し、1/λ1+1/λ2
=1/λ3の関係を満たしている。また、N11),N
12),N13)は上記3つの光の波長に対する第1の
非線形物質の波長変換に関与する偏光の実効屈折率であ
る。
【0039】本実施形態では、第1の非線形物質がKT
Pであり、2次非線形光学係数はd15が使用されるた
め、波長λ1,λ2が1.32[μm]であり、波長λ3
が0.66[μm]である場合、波長λ1に対する実効
屈折率N11)はnx(1.32[μm])であり1.7
345である。波長λ2に対する実効屈折率N12)は
z(1.32[μm])であり、1.8238である。
波長λ3に対する実効屈折率N13)はnx(0.66
[μm])であり1.7592である。この場合、第1
の非線形物質の基本長L1は19[μm]である。ここ
で、nx(λ),nz(λ)は、それぞれ波長λに対するKT
P結晶のx軸偏光屈折率およびz軸偏光屈折率である。
【0040】図4中曲線(1)の周期は2L1=38μ
mで与えられる。従来の疑似位相整合法では、KTPの
分極方向を電界印加等によりL1ごとに反転させてい
た。この場合、第2高調波光強度の相互作用長依存性
は、図4中の曲線(2)のようになり、相互作用長が増
加するにつれ、第2高調光強度は増加する。この際の実
効2次非線形係数は、4[pm/V]であり、結晶長が
10[mm]である場合、規格化波長変換効率0.3
[%/W]が得られる。本実施形態では、KTPの分極
反転部の役割を80[pm/V]とより2次非線形係数
の大きなAANPが行うこととなる。ここでは、式
(7)に示すように第2の非線形物質に対する基本長L
2
【0041】 L2=(1/2)・(N23)/λ3−N21)/λ1−N22)/λ2)-1
【0042】と定義する。ここで、N21),N
22),N23)は、それぞれ3つの波長λ1,λ2,λ
3に対する第2の非線形物質の波長変換に関与する偏光
の実効屈折率である。本実施形態では、AANPが第2
の非線形物質となるが、AANPの屈折率の波長依存性
は、これまで明確でなく、基本長L2を正確に求めるこ
とができなかった。発明者らは、AANPの屈折率を詳
細に測定し、波長λにおけるx軸偏光及びz軸偏光の屈
折率n′xおよびn′zが、
【0043】 n′x=(1.884232+0.744604λ2/(λ2−0.114209)+0.012463λ2)1/2 ・・・(11) n′z=(2.259998+0.699267λ2/(λ2−0.149161)+0.009692λ2)1/2 ・・・(12)
【0044】で表されることを見出した。この結果、基
本長を求めることができ、本実施形態の場合、2次非線
形光学係数はd15が使用されるため、波長λ1,λ2
1.32[μm]、波長λ3が0.66[μm]である
場合、実効屈折率N21)はnx(1.32[μm])=
1.7345となる。実効屈折率N12)はnz(1.3
2[μm])=1.17442となる。また、実効屈折
率N12)はnx(0.66[μm])=1.7026と
なる。この場合、第2の非線形物質の基本長L2は39
[μm]である。本実施形態の第2高調波光強度の相互
作用長依存性を図4中曲線(3)に模式的に示す。AA
NPは、より大きな2次非線形光学係数を有するため、
曲線(2)より大きな効率が得られる。本発明の一実施
形態による2次非線形光学素子の実効的な2次非線形光
学係数deffは、
【0045】 deff=((deff1 21 2+deff2 22 2)/(L1+L2)2)1/2 ・・・(13)
【0046】で与えられる。ここでdeff1は第1の非線
形物質の実効的な2次非線形光学係数であり、deff2
第2の非線形物質の実効的な2次非線形光学係数であ
る。本実施形態の場合、deff=34[pm/V]とな
り、これまで報告されている疑似位相整合の実効2次非
線形光学係数のニオブ酸リチウムの20[pm/V]、
ニオブ酸タンタルの17[pm/V]を大きく上回る値
が得られる。
【0047】本実施形態では、第1と第2の非線形物質
の幅をそれぞれ基本長L1、L2としたが、それぞれ基本
長L1、L2の奇数倍としても同様に疑似位相整合を達成
することができる。その場合、第1と第2の非線形物質
の幅をそれぞれpL1、qL2(p,qは奇数)としたと
き、実効的な2次非線形光学係数deffは、
【0048】 deff=((deff1 221 2+deff2 222 2)/(pL1+qL2)2)1/2 ・・・(14)
【0049】で与えられる。また、本発明の2次非線形
光学素子を設計する際、考慮しなければならないのが、
第1の非線形物質と第2の非線形物質の間の屈折率差で
ある。第1の非線形物質と第2の非線形物質の境界で
は、屈折率差に応じて反射損失が生じる。波長λでの反
射損失Rは、第1の非線形物質及び第2の非線形物質の
屈折率から、
【0050】 R=(N1(λ)−N2(λ))2/(N1(λ)+N2(λ))2 ・・・(15)
【0051】で与えられる。従って、本発明の2次非線
形光学素子においては、第1の非線形物質と第2の非線
形物質の屈折率差が小さいことが望ましい。屈折率差が
大きい場合には、境界数を減らす、即ち、素子長を短く
する必要がある。本実施形態で用いたKTPとAANP
のx軸偏光とz軸偏光に関する屈折率の波長依存性を図
5に示す。この図から、0.6〜1.6[μm]の波長
範囲において、KTPとAANPとのx軸偏光に関する
屈折率差およびz軸偏光に関する屈折率差が、0.1以
内であることがわかる。従って、境界1つに対する反射
損失をdB(デシベル)で表すと、0.0035[d
B]以下となる。本実施形態による2次非線形光学素子
は、340の境界を有するので、トータルの反射損失
は、1.2[dB]以下となるが、76[%]以上の透
過を示すので、反射損失の波長変換効率に対する影響は
小さい。このように、AANPとKTPの組み合わせ
は、本発明に適した組み合わせの一例といえる。
【0052】本実施形態の波長変換効率を測定した結
果、規格化波長変換効率20[%/W]が得られ、疑似
位相整合ニオブ酸タンタルを用い、導波路構造を有しな
いバルク型素子で得られていた規格化波長変換効率の最
高値である4[%/W]を大きく上回る値が得られ、本
発明の効果が明らかになった。本実施形態の構成は、波
長に応じて基本長を変えることで他の波長に適用するこ
とができる。
【0053】本実施形態では、第1の非線形物質として
KTPを、第2の非線形物質としてAANPを用い、2
次非線形光学係数としてd15を利用したが、第1の非線
形物質に形成した溝中に、第1の非線形物質より低い融
点を有する第2の非線形物質を配した同様な素子が形成
できることはもちろんである。また、非線形光学係数d
15に限らず、物質に応じて任意の2次非線形光学係数を
選択することができる。さらに、本実施形態では、AA
NPが比較的長い基本長を有しているため、溝を形成す
る際に切削手法を用いたが、より短い基本長に対して
は、フォトリソグラフィを用いた微細加工エッチング技
術を適用することができる。
【0054】また、本実施形態では、第1の非線形物質
を無機材料、第2の非線形物質を有機材料としたが、本
発明は無機材料と有機材料との組み合わせに限定される
ものではなく、例えば、第1の非線形物質を有機材料、
第2の非線形物質を有機材料としても、融点差があれば
本発明の構成が実現できることはもちろんである。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の2次非線
形光学素子によれば、電界印加等の従来法で分極反転で
きない非線形物質が利用可能であり、特に大きな2次非
線形光学係数を有する有機結晶が適用でき、そのうえ、
角度ウオークオフが生じないため高い波長変換効率が実
現できるとともに、2次非線形光学効果を用いた各種素
子に、従来素子を上回る効率を有する素子として適用で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による2次非線形光学素子
の構成を模式的に表す図である。
【図2】本発明の一実施形態による2次非線形光学素子
の製造工程を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による2次非線形光学素子
の製造工程中、第2の非線形物質の結晶成長工程を表す
図である。
【図4】本発明の動作原理を示す図である。
【図5】KTP及びAANPの屈折率の波長依存性を示
す図である。
【図6】従来の角度位相整合を説明する図である。
【図7】角度位相整合で生じる角度ウオークオフを説明
する図である。
【図8】疑似位相整合を説明する図である。
【符号の説明】
41…リンチタン酸カリウム(KTP)結晶、42…2
−アダマンチルアミノ−5−ニトロピロジン(AAN
P)結晶、47…波長1.32μmの入射光。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戒能 俊邦 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長の大小関係がλ1≧λ2≧λ3であ
    り、且つ1/λ1+1/λ2=1/λ3なる関係を満たす波長
    λ1、λ2、及びλ3の3つの光の間で波長変換を行う2
    次非線形光学素子であって、 前記3つの光の波長に対し、波長変換に関与する偏光の
    実効屈折率がそれぞれN11)、N12)、N13)で
    あり、基本長L1が L1=(1/2)・(N13)/λ3−N11)/λ1−N12)/λ2)-1 である第1の非線形物質と、 前記3つの光の波長に対し、波長変換に関与する偏光の
    実効屈折率がそれぞれN21)、N22)、N23)で
    あり、基本長L2が L2=(1/2)・(N23)/λ3−N21)/λ1−N22)/λ2)-1 である第2の非線形物質とを有し、 光の進行方向に対して第1の非線形物質と第2の非線形
    物質とが、それぞれ前記基本長L1のほぼ奇数倍、及び
    前記基本長L2のほぼ奇数倍の厚さで交互に周期的に配
    列され、前記第1の非線形物質と前記第2の非線形物質
    の融点が互いに異なることを特徴とする2次非線形光学
    素子。
  2. 【請求項2】 前記第1の非線形物質はリンチタン酸カ
    リウム結晶であり、前記第2の非線形物質は2−アダマ
    ンチルアミノ−5−ニトロピリジン結晶であることを特
    徴とする請求項1記載の2次非線形光学素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0919852A1 (en) * 1997-11-26 1999-06-02 Nec Corporation Wavelength converter and method for generating optical harmonics of incident laser light
US8130368B2 (en) 2007-05-25 2012-03-06 Kabushiki Kaisha Topcon Distance measuring apparatus
US8144311B2 (en) 2008-10-01 2012-03-27 Kabushiki Kaisha Topcon Laser apparatus and distance measurement apparatus

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EP0919852A1 (en) * 1997-11-26 1999-06-02 Nec Corporation Wavelength converter and method for generating optical harmonics of incident laser light
US6215580B1 (en) 1997-11-26 2001-04-10 Nec Corporation Wavelength converter for generating optical harmonics of incident laser light at high efficiency and method for varying wavelength of incident laser light
US8130368B2 (en) 2007-05-25 2012-03-06 Kabushiki Kaisha Topcon Distance measuring apparatus
US8144311B2 (en) 2008-10-01 2012-03-27 Kabushiki Kaisha Topcon Laser apparatus and distance measurement apparatus

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