JPH092101A - 車両用表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】車両に表示手段を組み込むにあたり、表示手段
から反射部材までの光路を十分に確保する。 【構成】情報を光として発する表示手段４と、車両用風
防ガラス２に配置したホログラム１とを備え、表示手段
の前記光の情報をこの反射部材により表示するヘッドア
ップ表示装置において、前記表示手段の光路の少なくと
も一部が前記風防ガラスの下部近傍に配置した空調用ダ
クト８内を通るように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、表示システムに関する
ものであり、特に車両、船舶、航空機など乗物の風防ガ
ラスなどを介して、運転者に速度等の必要な情報を投影
する表示システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】車両内の運転手等に情報表示する方法と
して、ヘッドアップディスプレイ（以下ＨＵＤとする）
が最近用いられるようになっている。これは、液晶表示
装置等の発光表示手段から投射された光学的情報を、風
防ガラスに備えられているハーフミラーやホログラム等
からなる反射部材で反射させ、表示虚像を、運転手が運
転状態からほとんど視線を動かすことなく情報を読み取
れるようにしたものである。

【０００３】自動車用風防ガラスに反射部材を設置した
場合、表示手段および表示手段から反射部材までの光路
の一部をダッシュボード（インストルメントパネル）内
に収めることになる。ところが、ダッシュボード内は空
調用ダクト、各種メーター、ワイヤーハーネス等が詰ま
っており、またエンジン側からは防火壁がせまっている
ため、新たな部品を入れるスペースはほとんどない。特
に表示手段から反射部材までの光路に大きなスペースが
必要なので実装上大きなで問題であり、この部分に余裕
スペースが持てる大型の車両以外では装着が困難であっ
た。

【０００４】このような問題を解決するために、仮に空
調用ダクトを細くすると、送風音がうるさくなったり、
十分な風量が得られなくなる。また、前記光路長を短く
すると、表示虚像を十分遠方に表示することができなく
なり、像の歪が増加してしまう。

【０００５】また、図５に示すように表示手段を設ける
部分には一般にデフロスタ用のダクトあるいはその吹出
口が位置しているために、デフロスタ用のダクト８が前
記光路と重なり制約を受ける。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術が有していた前述のような欠点を解決しようとする
ものであり、従来知られていなかった車両用表示装置を
新規に提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題に
鑑みてなされたものであり、情報を光として発する表示
手段と、車両用風防ガラスに配置した反射部材とを備
え、表示手段の前記光の情報をこの反射部材により再生
し観察者に向けて表示するヘッドアップ表示装置におい
て、前記表示手段の光路の少なくとも一部が前記風防ガ
ラスの下部近傍に配置した空調用ダクト内を通るように
構成したことを特徴とする車両用表示装置を提供するも
のである。

【０００８】本発明において風防ガラスは自動車以外の
車両も対象になるが、この風防ガラスを車両に取り付け
た状態において、風防ガラスの下部近傍に空調用ダクト
を装備していることが必要である。この点で、自動車用
風防ガラスがもっとも一般的である。

【０００９】本発明の表示手段は、通常は液晶、ＥＣ、
プラズマディスプレイ等の表示装置のように、それ自体
で必要な情報を表示するものであるが、例えばあらかじ
め画像情報を記録したホログラムを風防ガラス部に備
え、このホログラムに再生光を選択的に照射して再生さ
せる場合には、前記再生光を選択的に発する光源がこの
表示手段となる。したがって、表示手段は反射部材にお
いて画像が再生されるように光情報を発生するための手
段または装置を意味する。

【００１０】風防ガラスに配する反射部材としては、性
能面からホログラムがもっとも一般的かつ実用的である
が、ホログラム以外のハーフミラーあるいはガラスの表
面反射でも良い。また、風防ガラスの下部に反射部材を
組み込む場合、反射部材の背面側すなわち車外側に暗色
層を設けて背景を暗くすると、表示像が見やすくなる。
特に、ホログラムタイプの反射部材の場合には、このよ
うな暗色層との組み合わせが容易に得られるので、反射
部材として特に好ましい。

【００１１】本発明は、各種メーター類や空調用ダクト
等の装備により、構造的あるいはスペース的に制約の多
いダッシュボード部分に、通常ヘッドアップディスプレ
イと称している表示システムの表示手段を簡潔に設置す
ることを目的とし、このために前記空調用ダクト部分を
表示手段の一部として、あるいは表示手段の光路として
利用することを特徴としている。ここで、空調用ダクト
は車のダッシュボード部に配設したデフロスタ用のもの
が主体であるが、社内冷暖房用のダクトであってもよ
い。

【００１２】空調用ダクトを上記光路に利用する態様
は、通常は次のようなものである。その一つは、空調用
ダクトの空間内に表示手段の一部もしくは全部を内蔵さ
せ、この表示手段の光をダクト内空間からダクトノズル
あるいはダクト壁の透明部分もしくは透明窓部を経由し
て風防ガラスの反射部材に導くものであり、他は表示手
段を空調用ダクト外に設置し、該表示装置からの光をダ
クト壁に設けた透明窓部を通して反射部材に照射するも
のである。

【００１３】このように表示装置からの光は、少なくと
もその光路の一部が空調用ダクトの空間部を通って、風
防ガラスに配置した反射部材に達する。すなわち、ダク
トあるいはその吹出口の空間を表示光の光路の少なくと
も一部として利用し、表示システムを構造的に煩雑化し
ているダッシュボード部にコンパクトに組み込むととも
に、所望の表示像を得るのに好ましい光路の長さを確保
している。

【００１４】なお、本発明において表示すべき情報と
は、その表示用途により適宜選択されるものであり、車
両のスピード計、タコメーター、更には種々の警告ラン
プや、ナビゲーション情報等が例として挙げられる。観
視者とは、主には車両の運転手であるが、助手席その他
の同乗者やこれらすべての者を含めることができる。

【００１５】

【実施例】以下に、図面に基づいて本発明を詳細に説明
する。

【００１６】図１は、自動車の車両用表示装置の場合に
おける本発明の概略を示す概念図であり、風防ガラス２
に反射型ホログラム１（以下単にホログラムとする）を
配置し、一方各種メーター類１２とともにダッシュボー
ド１３に装備したデフロスタダクト８の内部に表示素子
４を設置している。表示素子４から発した光は、ダクト
内を経た後に吹出口５を通ってホログラム１に導かれ、
ここで回折されて運転手６に虚像の像７として表示され
る。

【００１７】上記風防ガラス２は、２枚のガラス板を中
間膜１４により接着した合せガラスからなり、その運転
者に対面する側の下部にホログラム１が設けられてい
る。すなわち、風防ガラス２の社内側ガラス板の前記中
間膜と接合する内側に、ホログラム１を張りつけこれら
を２枚のガラス板で狭持することにより、ホログラム１
を合せガラス中に一体的に封入している。この場合、ホ
ログラム１の入射角１８は約１０度、出射角１９は約６
５度で、表示素子４としては液晶表示素子に光源を組み
合わせたものを用いた。

【００１８】本発明の好ましい実施態様において、風防
ガラス２の上記ホログラム１の背後には暗色層３が設け
てある。この暗色層は、外側ガラス板の内面に例えば黒
色セラミックスを焼きつけることにより形成できる。こ
のように暗色層３を設けた風防ガラス２では、照射され
る外光がこの暗色層３により遮断されるため、表示素子
４の像７は暗い背景上に再生される。この結果、表示素
子４の光源は小型で低消費電力のものですみ、表示素子
４の輝度は２００ｃｄ／ｍ² 程度あれば、通常の状態で
像７を明瞭に視認できる。

【００１９】なお、この暗色層は黒色セラミックス以外
の被膜でもよいし、光り透過率の低い薄いフィルムをガ
ラス板と中間膜との間に介在させてもよい。

【００２０】また、図１のようにデフロスタの吹出口５
から表示光をホログラム１に導く場合には、吹出口５が
ホログラム１の間近に設置することになるので、風防ガ
ラスが結露により曇っているときでもホログラム部の曇
を迅速に除去することができる。

【００２１】図２〜４は、本発明の他の実施例を示した
もので、図２はデフロスタダクト８の壁面の少なくとも
一部に透明樹脂や半透明樹脂等で窓９を設け、表示素子
４は該ダクトの下方外部に配置して、表示素子４の光を
この窓９を通してホログラム１に導くように構成したも
のである。すなわち、表示素子４の光路がダクト８を貫
通するタイプで、光路を長くしたい場合に好適する。な
お、窓９の代わりに、レンズ、プリズム、ホログラム光
学素子等をはめ込むことで、光学性能の改善や、ウオッ
シュアウトの対策を行ってもよい。

【００２２】図３はダクト８の壁面の一部をにミラー１
１にして、発光表示素子４の光路をこれらミラーの反射
で折りたたむことで、コンパクト化を図った例である。
また、図４のように、ダクト８内に発光表示素子４およ
びミラー１１を図示のように設けて車体横方向に光を通
し、十分に長い光路を確保することもできる。

【００２３】実施例では表示素子で表示された情報を表
示光としてホログラムで再生する場合について示した
が、ホログラムにあらかじめ情報を記憶させておき光源
（表示手段）から情報光を選択的に照射させることによ
り、像として再生させる場合も本質的まったく同じであ
る。

【００２４】

【発明の効果】本発明は以上説明したように、表示光の
光路の少なくとも一部が空調用ダクトの空間部を利用す
るように構成しているので、空調用ダクト、メーター等
が詰め込まれているダッシュボード内に表示手段を容易
に実装することができる。また、このように空調用ダク
トの空間を表示光の光路として有効に利用できるため、
反射部材により像をできるだけ遠方に再生するのに必要
な光路を十分に確保することが可能となる。特に、表示
手段を空調用ダクトの外部に配置し、かつ前記ダクトの
所定部に透明窓を設けて、表示手段からの表示光をこの
窓部を通して反射部材に導く場合には、前記光路を十分
に長く確保するのに好適する。

【００２５】更に、反射部材の背後に暗色層を設ける
と、より明瞭な再生像が得られるばかりでなく、光源の
小型化および低消費電力化が可能なり、表示手段を一層
小型にすることができ、空調用ダクトの空間部の利用と
相まって、表示システム全体の改善が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明における車両用表示装置の一例を示す断
面概略図。

【図２】本発明における車両用表示装置の他の実施例を
示す断面概略図。

【図３】本発明における車両用表示装置の他の実施例を
示す断面概略図。

【図４】本発明における車両用表示装置の他の実施例を
示す断面概略図。

【図５】従来技術の例を示す図。

【符号の説明】

１：ホログラム ２：風防ガラス ３：暗色層 ４：発光表示素子 ５：デフロスタ吹出口 ６：運転手 ７：像 ８：ダクト ９：窓

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】情報を光として発する表示手段と、車両用
   風防ガラスに配置した反射部材とを備え、表示手段の前
   記光の情報をこの反射部材により再生し観察者に向けて
   表示するヘッドアップ表示装置において、前記表示手段
   の光路の少なくとも一部が前記風防ガラスの下部近傍に
   配置した空調用ダクト内を通るように構成したことを特
   徴とする車両用表示装置。
2. 【請求項２】反射部材として、表示手段からの光を観察
   者に向けて回折するホログラム素子を用いたことを特徴
   とする請求項１の車両用表示装置。
3. 【請求項３】空調用ダクトがデフロスタダクトであるこ
   とを特徴とする請求項１または２の車両用表示装置。
4. 【請求項４】車両用風防ガラスの下部に配した反射部材
   の背後に暗色層を配置したことを特徴とする請求項３の
   車両用表示装置。
5. 【請求項５】ダクトの壁面の少なくとも一部に光を透過
   する透明部分を設け、この透明部分を表示手段の光路と
   することを特徴とする請求項１ないし４の車両用表示装
   置。
6. 【請求項６】前記ダクトの壁面の少なくとも一部にミラ
   ーを設けたことを特徴とする請求項１ないし５の車両用
   表示装置。