JPH09209820A - シリンダライナ及びその製造方法 - Google Patents
シリンダライナ及びその製造方法Info
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- JPH09209820A JPH09209820A JP8015609A JP1560996A JPH09209820A JP H09209820 A JPH09209820 A JP H09209820A JP 8015609 A JP8015609 A JP 8015609A JP 1560996 A JP1560996 A JP 1560996A JP H09209820 A JPH09209820 A JP H09209820A
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- Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
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Abstract
ゝ、鍔部の応力集中部の疲労破壊を防止すること。 【解決手段】 シリンダライナの鍔部周辺に局部熱処理
を施して局部的にベイナイト組織を形成し、鍔部の応力
集中部を強靭化する。これによりシリンダライナの筒部
摺動部はパーライト組織を維持することができる。
Description
ナ及びその製造方法に関する。
とからなり、鍔部はガスケットを介してシリンダヘッド
とシリンダブロック間に締め付けられる。この締め付け
応力はエンジンの高出力化とともに増大しており、締め
付け時における鍔部の破断が起こりやすくなっている。
の各行程毎に繰り返し応力が作用するため、過酷な使用
状態となっており、特に鍔部の破断が起こりやすいとい
う事情があった。このような鍔部の破断対策として、実
公平6−036281号公報記載のように、筒部と鍔部
の境界部外周にロール加工を行い、加工硬化による強度
の向上を計るという手法が提案されたが、最近のエンジ
ンの高出力化、軽量小型化に対応できない。また同様の
箇所を外周からの焼入れによって硬化させようという、
実開昭60−69344号公報の提案もあるが、問題の
解決にはほど遠いものであった。
の向上並びに軽量小型化を目的として開発された技術と
して、特開平3−234351号公報で示すように、M
o,Niを添加した鋳鉄材を用いた鋳包み用シリンダラ
イナが提案されている。このシリンダライナは、鋳包み
シリンダブロックを作製するとき、ベイナイト化するの
が特徴である。したがってシリンダライナ全体がベイナ
イト組織であるため強靭であるが、通常のパーライト組
織のシリンダライナと比べて摺動特性の低下が問題であ
る。
ークーリング通路の周辺や2サイクル用シリンダライナ
の吸排気用ポートブリッジで亀裂の発生がしばしば起こ
っており、このような大きな温度勾配を擁し、応力集中
の起こり易い箇所への有効な表面改質が今日まで行われ
ずに来た。
する課題は鋳鉄製シリンダライナの摺動特性を維持しつ
ゝ、シリンダライナの破断し易い部分、特に鍔部周辺部
の疲労破壊(この疲労破壊は応力集中または繰返えし応
力(熱応力)などによって生じる)を防止することにあ
る。
イナの鍔部ボアーイーリング部とその周辺部や2サイク
ル用シリングライナのポート部とその周辺部の強靭化を
図ることにある。
するために、鋳鉄製シリンダライナの筒部摺動部をパー
ライト組織とし、鍔部などの非摺動部をシリンダライナ
外周側または内周側からの熱処理によってベイナイト組
織にするものである。このようにシリンダライナの非摺
動部の破断し易い箇所だけを例えば高周波加熱によって
オーステナイト生成温度まで加熱してオーステナイト組
織にし、さらにこれをベイナイト生成温度まで急冷し、
その温度で一定時間保持することによってベイナイト組
織にして、その強靭化を図るのである。シリンダライナ
は一般に緻密なパーライト組織の基質に黒鉛が適当な量
と大きさをもって分布した鋳鉄製品であるが、上記のよ
うに非摺動部だけをベイナイト組織(詳しくは、ベイナ
イト、マルテンサイト及び残留オーステナイトの混合組
織でHRC24〜45の硬度を有する)にすると非摺動
部の応力集中部分の疲労破壊を防止することができると
ともに筒部摺動部の摺動特性を維持することができる。
遠心鋳造によって造られ、材質としては上記のように、
耐摩耗性、耐焼付き性、耐腐蝕性が優れ、高温における
強度・硬度が高くまた油膜保持力が強い鋳鉄が用いられ
ている。図1(A)に示すように上記シリンダライナ1
は筒部2と鍔部3で構成されるが、鍔部3の下に研摩逃
がし溝部4が設けられており、かゝる鍔部3がガスケッ
トを介して、シリンダヘッドとシリンダブロック間に締
付けられているので、上記締付け力の作用やエンジンの
各行程毎の繰返えし応力の作用によって破断が起り易く
なっている。そこで、本発明では、同図で一例を示して
いるように鍔部3とこれに連なる研摩逃がし溝部4及び
その周辺部8−1を熱処理してベイナイト組織にする。
図中5はピストンリングが摺動する筒内周面であり、6
は非摺動部、7は摺動部であって線Aがピストンリング
の行程上端位置を示している。
ライナ1の外周面と鍔部3の下面に近接して高周波コイ
ル9を配設し、冷却パイプ10をシリンダライナ1の内
周面5に近接して設ける。シリンダライナ内周面5を冷
却水で冷却しながら高周波コイル9に電流を流して誘導
加熱によって部分8を加熱し、この部分をオーステナイ
ト組織にする。
るが、その空気吹付け量と高周波電流の調節によって所
定温度まで急冷し、その後この温度を保持して上記加熱
部をベイナイト組織とする。上記の加熱温度、冷却速
度、冷却停止温度、保持時間等はシリンダライナの材料
の成分によって異なるので、各材料のTTT曲線にした
がってオーステナイト組織、ベイナイト組織が得られる
条件を決定する。例えは、760〜900℃の加熱温
度、4〜130℃/sec の冷却速度、250〜500℃
の冷却停止温度、25秒〜35分の保持時間などであ
る。具体的に一列を示せば、図3で示す鋳鉄組成、L1
62材を使用し、高周波加熱による加熱温度を850
℃、急冷速度115℃/sec 、急冷停止温度(保持温
度)を320℃、保持時間を20分間として熱処理した
ところ、筒部は硬度HRC20を有するパーライトマト
リックスが得られ、図1(A)で示す鍔部近傍8−1の
熱処理部は硬度HRC38を有するベイナイトマトリッ
クスが得られた。そして、各組織の部材の強度を測定し
たところ、パーライトマトリックスで274.4MPa 、
ベイナイトマトリックスで431.2MPa の強度が得ら
れた。
ライトマトリックスに比べ引張強度が高く、強靭性を有
する。このためシリンダライナ非摺動部をベイナイト化
すれば、同部分を起点とする破断が起りにくゝなる。一
方パーライトマトリックスはベイナイトマトリックスに
比べ、耐摩耗性、耐焼付き性に優れているため、摺動部
をパーライトマトリックスにすることで、従来の耐摩耗
性、耐焼付き性を維持することができる。
耐焼付き性に優れた特性を有するシリンダライナを提供
することができる。なお、本発明で用いる鋳鉄母材は通
常の鋳鉄組成で構成されるが、その組成を具体的に述べ
れば次のとおりである。すなわち、重量%でC:2.6
〜3.5%、Si:1.6〜2.6%、Mn:0.5〜
1.0%、P:0.1〜0.4%、S:0.12%以下
を含み、必要によりCr:0.1〜0.5%、B:0.
02〜0.12%、Cu:0.2〜0.6%の少くとも
1種を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる。
するために、ベイナイト化促進元素Mo:0.2〜2.
0重量%、Ni:0.2〜5.0重量%をさらに添加し
てもよい。本発明で熱処理する非摺動部の他の例を図1
(B)〜(E)で示す。図1(B)は鍔部下の研摩逃が
し溝部4を中心にして円形状に熱処理したもので、特に
研摩逃がし溝部及びその周辺部8−2の強靭化を図って
いる。
たって熱処理したものであり、図1(D)は鍔部3、研
摩逃がし溝部4を含めたシリンダライナ外周上部8−4
を熱処理している。なお、図1(D)で示すように、非
摺動部6におけるシリンダライナ内周面5より加熱して
研摩逃がし溝部4の背面8−5を強靭化しても本発明の
効果は達成される。
部ボアークーリング部とその周辺部をベイナイト化する
ことで、上記ライナの強靭化と耐摩耗性、耐焼付き性を
同時に得ることができる。同様に、2サイクル用シリン
ダライナに形成されるポート部とその周辺部をベイナイ
ト化することで上記効果が得られる。
2.1%、Mn:0.7%、P:0.2%、S:0.0
3%、Cr:0.3%、B:0.08%及びCu:0.
4%を含み、残部Feからなるシリンダライナの鍔部
に、図2で示すように高周波コイルを配設し、シリンダ
ライナ内周面を冷却しながら高周波コイルの誘導加熱に
よって850℃まで加熱し、図1(B)に示す鍔部周辺
部8−2をオーステナイト組織にした。
中に浸漬し、このまゝ20分間保持した。これにより鍔
部周辺部8−2をベイナイト組織にした。このように熱
処理したシリンダライナ1に図4に示す鍔飛び強度試験
を施した。すなわち、シンリダライナ鍔部を受けリング
12上に載置し、加圧リング11をシリンダライナ1の
上面にのせたのちシリンダライナ筒部2に荷重をかけ、
これにより鍔部3に引張力を付与し、その破断荷重を測
定した。
ライナを上記の熱処理を施さずに、図4に示す鍔飛び強
度試験を行い、その破断荷重を測定した。以上の測定の
結果、図5に示すように、本発明のシリンダライナ(本
発明品)は110Mgの破断荷重が得られたのに対し、従
来品は65Mgの破断荷重しか得られなかった。
ナは筒部が耐摩耗性、耐焼付き性を有し、鍔部周辺の応
力集中部が強靭性を有するので、エンジンの過酷な使用
状態下であってもその使用寿命を大幅に改善することが
でき、したがって工業的効果は甚大である。
あり、同図(A)〜(E)のそれぞれはベイナイト組織
の形成状態を示す。
を示す断面図である。
る。
ある。
Claims (13)
- 【請求項1】 鋳鉄製シリンダライナにおいて、該シリ
ンダライナの摺動部がパーライト組織からなり、非摺動
部がベイナイト組織からなることを特徴とするシリンダ
ライナ。 - 【請求項2】 前記非摺動部がシリンダライナの鍔部と
これに連なる研摩逃がし溝部及びその周辺部である請求
項1記載のシリンダライナ。 - 【請求項3】 前記非摺動部が、シリンダライナの鍔部
下の研摩逃がし溝部及びその周辺部である請求項1記載
のシリンダライナ。 - 【請求項4】 前記非摺動部が大型シリンダライナに形
成される鍔部ボアークーリング部とその周辺部である請
求項1記載のシリンダライナ。 - 【請求項5】 前記非摺動部が2サイクル用シリンダラ
イナに形成されるポート部とその周辺部である請求項1
記載のシリンダライナ。 - 【請求項6】 鋳鉄組成を有するシリンダライナ素材を
鋳造し、該シリンダライナ素材を旋削加工した後に、得
られたシリンダライナの非摺動部にその外周側から熱処
理を施すことにより上記非摺動部をベイナイト組織にす
ることを特徴とするシリンダライナの製造方法。 - 【請求項7】 前記シリンダライナの非摺動部にその内
周側から熱処理を施す請求項6記載のシリンダライナの
製造方法。 - 【請求項8】 前記非摺動部が、シリンダライナの鍔部
とこれに連なる研摩逃がし溝部及びその周辺部である請
求項6記載のシリンダライナの製造方法。 - 【請求項9】 前記非摺動部が、シリンダライナの鍔部
下の研摩逃がし溝部及びその周辺部である請求項6記載
のシリンダライナの製造方法。 - 【請求項10】 前記非摺動部が大型シリンダライナに
形成される鍔部ボアークーリング部とその周辺部である
請求項6記載のシリンダライナの製造方法。 - 【請求項11】 前記非摺動部が2サイクル用シリンダ
ライナに形成されるポート部とその周辺部である請求項
6記載のシリンダライナの製造方法。 - 【請求項12】 前記非摺動部が研摩逃がし溝部の背面
のシリンダライナ内周面周辺部である請求項7記載のシ
リンダライナの製造方法。 - 【請求項13】 前記熱処理として、前記非摺動部に7
60〜900℃の温度範囲で高周波加熱を行い、前記非
摺動部をオーステナイト組織にしたのち、250〜50
0℃の温度まで、4〜130℃/sec の冷却速度で冷却
し、該温度で25秒〜35分の間保持してベイナイト組
織にする請求項6又は7記載のシリンダライナの製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01560996A JP3644742B2 (ja) | 1996-01-31 | 1996-01-31 | シリンダライナの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01560996A JP3644742B2 (ja) | 1996-01-31 | 1996-01-31 | シリンダライナの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09209820A true JPH09209820A (ja) | 1997-08-12 |
JP3644742B2 JP3644742B2 (ja) | 2005-05-11 |
Family
ID=11893459
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01560996A Expired - Fee Related JP3644742B2 (ja) | 1996-01-31 | 1996-01-31 | シリンダライナの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3644742B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012170332A3 (en) * | 2011-06-10 | 2013-01-31 | Caterpillar Inc. | Machine component with a cavitation resistant covering |
CN107524539A (zh) * | 2017-07-06 | 2017-12-29 | 马勒技术投资(中国)有限公司 | 一种提高抗穴蚀能力的湿式缸套 |
CN108397306A (zh) * | 2018-03-06 | 2018-08-14 | 广西玉柴机器股份有限公司 | 用于降低气缸体主轴承座润滑油道孔口应力的结构 |
-
1996
- 1996-01-31 JP JP01560996A patent/JP3644742B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2012170332A3 (en) * | 2011-06-10 | 2013-01-31 | Caterpillar Inc. | Machine component with a cavitation resistant covering |
CN107524539A (zh) * | 2017-07-06 | 2017-12-29 | 马勒技术投资(中国)有限公司 | 一种提高抗穴蚀能力的湿式缸套 |
CN108397306A (zh) * | 2018-03-06 | 2018-08-14 | 广西玉柴机器股份有限公司 | 用于降低气缸体主轴承座润滑油道孔口应力的结构 |
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