JPH09208488A - 脳血管性痴呆治療剤 - Google Patents

脳血管性痴呆治療剤

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JPH09208488A
JPH09208488A JP8320003A JP32000396A JPH09208488A JP H09208488 A JPH09208488 A JP H09208488A JP 8320003 A JP8320003 A JP 8320003A JP 32000396 A JP32000396 A JP 32000396A JP H09208488 A JPH09208488 A JP H09208488A
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JP
Japan
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water
acid
trh
oligopeptide
sustained
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Application number
JP8320003A
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English (en)
Inventor
Masaomi Miyamoto
政臣 宮本
直 ▲はま▼口
Sunao Hamaguchi
Toshiro Butani
敏郎 部谷
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】脳血管性痴呆治療剤を提供する。 【解決手段】TRH作用を有するオリゴペプチドを含有
してなる脳血管性痴呆治療用製剤。 【効果】上記製剤は、極微量のオリゴペプチドによっ
て、脳血管性痴呆症に著効を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脳血管性痴呆治療剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、老齢人口の増加と共に老人性痴呆
症の患者数はますます増加する傾向にあり、社会的にも
非常に重要な問題となってきている。脳血管性痴呆は脳
梗塞や脳出血の後遺症として出現するものであり、その
臨床症状は場所、時間、人に対する見当識障害や記憶障
害に加え、意欲低下、情緒障害、うつ的症状や行動異常
などであり、それは多岐にわたっている。これまで脳血
管性痴呆の治療薬としては、向精神薬(主として抗不安
薬、抗うつ薬)、脳循環代謝改善薬などが繁用されてい
るが、必ずしも満足できる効果は得られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】脳血管性痴呆は直接的
に脳血管系の障害、たとえば脳出血、脳梗塞などにより
脳神経細胞が障害を受け、種々の神経活動に異常を来た
すものである。とりわけ、記憶系には著しい障害が表わ
れる場合が多い。しかしこの記憶系の障害に対する的確
な治療薬または治療方法がなく、中枢神経系の機能異常
であるとして、脳内の代謝あるいは神経伝達機能の調整
剤が用いられてはいるが、諸症状とくに記憶障害の改善
には結び付いていない。一般に薬物は血液脳関門を通過
しにくく、はっきりした効果を得るには多くの投与量を
必要とする。このため、脳以外の組織に作用し、副作用
が避けにくい。それゆえ、副作用が少なく、かつ、僅か
の投与量で有効性を発揮する薬物が求められてきた。本
発明者らは、TRHおよびそのアナログを含有する徐放
性製剤について検討を加えて来たが(EP−A−O25
6726公報参照)、これらの徐放製剤により極微量の
投与で脳梗塞モデル動物における記憶障害を顕著に改
善、治療されるという知見を得た。これに基づいて更に
研究した結果、本発明を完成した。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)TRH
作用を有するオリゴペプチドを含有してなる脳血管性痴
呆治療用製剤、(2)徐放性製剤である前記(1)記載
の製剤、(3)マイクロカプセルである前記(2)記載
の製剤、(4)TRH,乳酸・グリコール酸共重合体お
よびD−マンニトールを含有してなる前記(3)記載の
製剤を提供するものである。上記TRH作用を有するオ
リゴペプチドとして、例えば式
【化1】 [式中、Xは4,5または6員複素環基を、Yはイミダ
ゾール−4−イル,4−ヒドロキシフェニルまたはイソ
プロピルを、R1,R2は同一または異なって水素もしく
は低級アルキルを、R3は水素または置換基を有してい
てもよいアラルキルを、Zはメチレンまたは硫黄原子を
示す]で表わされる化合物が挙げられる。 Xで示される4,5,6員複素環基は窒素,酸素または(お
よび)硫黄原子を有していてもよく、例えば
【化2】 などが挙げられる。R1およびR2で表わされる低級アル
キルとしては、C1-3アルキルなど(例、メチル,エチ
ル,プロピル,イソプロピルなど)が挙げられる。R3
で表わされる置換基を有していてもよいアラルキルとし
ては、1〜2個の水酸基などの置換基を有していてもよ
いフェニルC1-2アルキルなど例えば3,4−ジヒドロキ
シフェニルエチルなどが挙げられる。化合物(I)は2〜
4のアミノ酸または誘導体もしくは類似体からなる場合
が好ましい。
【0005】化合物(I)に包含される化合物として、ピ
ロ Glu−His−ProNH2(TRH),α−ブチロラクト
ンカルボニル−His−ProNH2(DN−1417),
オロチル−His−ProNH2(CG−3509),2−
メチルテトラヒドロチアジン−3−オン−5−イルカル
ボニル−His−ProNH2(CG−3703),ピロGl
u−Tyr−ProNH2(Ro 102928),ピロGlu−
His−ProNH(3,4−ジヒドロキシフェニルエチ
ル)(Ro 109430),ピロGlu−His−(3,4
−ジヒドロキシフェニルエチルアミノカルボニル)(R
o 108802),ピロ−2−アミノアジピル−His−
チアゾリジン−4−カルボアミド(MK−771),ピ
ロ−2−アミノアジピル−Leu−ProNH2(RGH−
2202),ピロGlu−His−(3−モノメチル)Pro
NH2(RX74355),ピロGlu−His−(3,3−
ジメチル)ProNH2(RX77368),アゼチジノ
ン−4−イルカルボニル−His−ProNH2(YM−1
4673)など[これらの化合物の性状についてはニュ
ーロファーマコロジー(Neuropharmocology),20
947−957(1981)および同誌,23,339−
348(1984),ブレーン・リサーチ・レビュー(Br
ain Research Reviews),,389−403(19
82),ブレーン・リサーチ(Brain Research),48
,228−235(1989),アルツナイム・フォル
シュング(Arzneim Forsch./Drug Res.),39,2
97−298(1989),EP−A−123,444公
報参照]が挙げられる。とりわけ化合物(I)としてTR
H,DN−1417,CG−3509が好ましい。上記化
合物はフリー体でも、あるいはその塩でもよく、上記化
合物またはその塩は水和物、あるいは非水和物の何れで
あってもよい。とりわけ、フリー体またはpKa 4以上の
弱酸の塩が好ましい。
【0006】本発明における上記オリゴペプチドを含有
し、それらを持続的に放出する製剤としては通常の徐放
性製剤であればよく、その形態、投与ルートには関係な
く用いることができる。通常1週間以上の放出期間を有
する徐放性製剤を用いるが、1回の投与では1週間以上
持続的に薬物を放出しなくともそれらを頻回投与するこ
とで同様の効果が得られれば、そのような製剤でもよ
い。しかし、1回の投与では少なくとも24時間以上の
持続的な放出をする製剤が好ましく、より好ましくは1
回の投与で2日以上の持続的な放出をする製剤がよい。
このように持続的にTRHまたはその活性をもつ物質を
放出する製剤としては注射剤または埋め込み剤が挙げら
れる。薬物を高分子マトリックス中に分散した埋め込み
剤、それらを粉砕するかあるいは初めからマイクロスフ
ェアーもしくはマイクロカプセルとした注射剤が一般的
な製剤である。使用する高分子としては生体内分解性あ
るいは生体内溶解性のものがよく、(1)ポリ乳酸、乳酸
・グリコール酸共重合体、ポリシアノアクリレート、ポ
リカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリリンゴ
酸、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸、ポリオルソカーボネー
ト、無水マレイン酸系共重合体等の合成高分子、(2)ア
ルブミン、ポリアミノ酸、コラーゲン、ゼラチン等の蛋
白質、(3)ポリアクリルスターチ、分解性スターチ、デ
キストラン、およびその誘導体、メチルセルロース、エ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アセ
チルセルロース、ニトロセルロース等の糖類等が挙げら
れる。これらの徐放性製剤(好ましくはマイクロカプセ
ルなど)のうち特に好ましいものとしては、TRH,乳
酸・グリコール酸共重合体およびD−マンニトールを含
有してなる徐放性製剤などが挙げられる。
【0007】これらの徐放性製剤の製造方法としては、
例えば、モールディング法などの通常用いられる方法で
よい。薬物は高分子マトリックス中に均一に分散あるい
は溶解したものがよく、薬物および高分子を適当な溶剤
に均一に溶解し、溶剤を除去して成形した埋め込み剤を
調製する方法、あるいは薬物の水溶液を高分子の非水溶
媒を均一に混合または乳化し、溶媒および水を除去した
埋め込み剤を調製する方法等が挙げられる。これらの埋
め込み剤を粉砕して注射剤を調製することもできる。マ
イクロスフェアーの調製方法は相分離法、液中乾燥法
(溶媒除去法)、コアセルベーション法、スプレードラ
イ法、粉砕法等の調製方法が挙げられる。他の徐放性製
剤としては経皮投与剤が挙げられる。経皮投与剤として
はいわゆるパッチ剤あるいは軟膏剤のいずれでもよい
が、パッチ剤の方が長期間持続的に薬物を放出するには
好ましい。経皮投与剤は通常の方法で調製される。使用
される製剤基剤としては、TRHまたはその活性をもつ
物質を溶解または分散させやすいプロピレングリコー
ル、ソルビトール液、グリセリン、ポリエチレングリコ
ール等の多価アルコール類、オリーブ油等の植物油、ス
クワレン、ラノリン等の動物油、流動パラフィン、ワセ
リン等の鉱物油、その他の油脂、脂肪酸エステル等が用
いられる。このとき、経皮吸収の促進剤を使用してもよ
い。促進剤としては脂肪アルコール、脂肪酸のアルカリ
金属塩、脂肪属モノアミン、エイゾン等が挙げられる。
【0008】好ましい徐放性製剤の製造方法としては通
常用いられる水中乾燥法等、特に好ましくは、(W/
O)/W型水中乾燥法またはO/W型水中乾燥法等が用
いられる。即ち、(W/O)/W型水中乾燥法の場合、
TRH薬物を含む溶液を内水相とし、高分子重合体を含
む溶液を油相としてW/O型乳化物をつくり、該乳化物
を水相に分散させて(W/O)/W型乳化物をつくり水
中乾燥法に付し、油相中の溶媒を除去することにより水
溶性薬物のマイクロカプセルを製造する。O/W型水中
乾燥法の場合、水溶性薬物と高分子重合体とからなる油
相を水相に分散させてO/W型乳化物をつくり水中乾燥
法に付し、油相中の溶媒を除去することにより水溶性薬
物のマイクロカプセルを製造する。この際(W/O)/
W型乳化物,O/W型乳化物いずれの方法においても、
水中乾燥時の外水相に、例えば特開平6−145046
号に示されるような浸透圧調節剤を加えることも可能で
ある。上記TRHの使用量は、薬物の種類、所望の薬理
効果および効果の持続期間などにより異なるが、内水層
中の濃度としては、約0.001%〜約90%(W/
W)、より好ましくは約0.01%〜約80%(W/
W)から選ばれる。特に好ましくは約0.01%〜約7
0%(W/W)である。また、TRHはフリー体でも塩
の形でもよいがフリー体が好ましい。
【0009】本発明で用いられる高分子重合体として
は、水に難溶または不溶で、生体適合性のある高分子重
合体等が挙げられる。水に難溶とは、該高分子重合体の
水に対する溶解度が0より大きく約1%(W/W)以下
であることを意味する。かかる高分子重合体としては、
例えば、生体内分解型としてポリ脂肪酸エステル(例、
ポリ乳酸,ポリグリコール酸,ポリクエン酸,ポリリン
ゴ酸、乳酸・グリコール酸共重合体など),ポリ−α−
シアノアクリル酸エステル,ポリ−β−ヒドロキシ酪
酸,ポリアルキレンオキサレート(例、ポリトリメチレ
ンオキサレート,ポリテトラメチレンオキサレートな
ど),ポリオルソエステル,ポリオルソカーボネート、
あるいはその他のポリカーボネート(例、ポリエチレン
カーボネート,ポリエチレンプロピレンカーボネートな
ど),ポリアミノ酸(例、ポリ−γ−ベンジル−L−グ
ルタミン酸,ポリ−L−アラニン,ポリ−γ−メチル−
L−グルタミン酸など)などが挙げられる。さらに、生
体適合性を有するその他の高分子重合体として、ポリス
チレン,ポリメタアクリル酸,アクリル酸とメタアクリ
ル酸との共重合体、ポリアミノ酸,デキストランステア
レート,エチルセルロース,アセチルセルロース,ニト
ロセルロース,無水マレイン酸系共重合体,エチレンビ
ニールアセテート系共重合体,ポリビニールアセテー
ト,ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらの高
分子重合体は1種でもよく、また2種以上の共重合体、
あるいは単なる混合物でもよく、またその塩でもよい。
【0010】これらの高分子重合体の中で、特に注射剤
として用いる場合は、生体内分解型高分子重合体が好ま
しい。該生体内分解型高分子重合体の好ましい具体例と
しては、例えばヒドロキシカルボン酸の重合体または共
重合体あるいはそれらの混合物などが挙げられる。該ヒ
ドロキシカルボン酸としては特に限定されないが、一般
式(II)
【化3】 〔式中、Rは水素またはアルキル基を示す。〕で表され
るヒドロキシカルボン酸が好ましい具体例として挙げら
れる。上記式中、Rで示されるアルキル基としては、例
えば炭素数1から8の直鎖あるいは分枝状のアルキル基
(例、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブチ
ル,イソブチル,第3級ブチル,ペンチル,ヘキシル,
ヘプチル,オクチル等)が好ましい。これらの中で、炭
素数1から3の直鎖あるいは分枝状のアルキル基(例、
メチル,エチル,プロピル,イソプロピル等)が特に好
ましい。
【0011】上記ヒドロキシカルボン酸の好ましい具体
例としては、例えばグリコール酸,乳酸,2−ヒドロキ
シ酪酸,2−ヒドロキシ吉草酸,2−ヒドロキシ−3−
メチル酪酸,2−ヒドロキシカプロン酸,2−ヒドロキ
シイソカプロン酸,2−ヒドロキシカプリル酸などが挙
げられる。このうち特に、グリコール酸,乳酸,2−ヒ
ドロキシ酪酸,2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸,2−
ヒドロキシカプロン酸等が好ましい。さらに、グリコー
ル酸,乳酸,2−ヒドロキシ酪酸等が特に好ましい。こ
れらのヒドロキシカルボン酸において、D−体,L−体
およびD,L−体が存在するものは、そのいずれを用い
てもよいが、D,L−体が好ましい。該共重合体の共重
合の形式は、ランダム、ブロック、グラフトの何れでも
よい。これらのグリコール酸共重合体において、生体内
での分解が比較的速やかで単独で用いた場合の放出期間
が1ケ月以内のものが好ましい。本発明に使用される高
分子重合体は、一般的な合成法(例えば、特開昭61−
28521号公報参照)で問題なく合成できる。
【0012】本発明に使用されるこれらの高分子重合体
の平均分子量は約2000〜約800000のものが好
ましく、より好ましくは約5000〜約200000の
範囲から選定される。上記の高分子重合体として、乳酸
・グリコール酸共重合体を用いる場合が好ましく、その
組成比は約100/0〜約50/50(W/W)が好ま
しい。酪酸・グリコール酸共重合体を用いる場合、その
組成比は約100/0〜約25/75(W/W)が好ま
しい。乳酸・グリコール酸共重合体は、重量平均分子量
が約5000〜約30000のものが好ましい。さらに
約5000〜約20000のものが特に好ましい。上記
高分子重合体として例えばポリ乳酸(A)とグリコール
酸・2−ヒドロキシ酪酸共重合体(B)との混合物を用
いる場合、(A)/(B)で表される混合比が約10/
90〜約90/10(重量比)の範囲で使用される。好
ましくは約25/75〜約75/25(重量比)の範囲
である。ポリ乳酸の重量平均分子量は約5000〜約3
0000のものが好ましい。さらに約6000〜約20
000のものが特に好ましい。グリコール酸・2−ヒド
ロキシ酪酸共重合体の組成比は、モル比で約40/60
〜約70/30が好ましい。グリコール酸・2−ヒドロ
キシ酪酸共重合体の重量平均分子量は約5000〜約2
5000が好ましい。さらに約5000〜約20000
が特に好ましい。
【0013】なお、本明細書における分子量とは、ポリ
スチレンを基準物質としてゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の
分子量をいう。測定は、GPCカラムTSKゲル(20
00,2500,3000、東ソー社製)を使用し、移
動相としてクロロホルムを用いた。これら高分子重合体
の使用する量は、水溶性薬物の薬理活性の強さと、薬理
放出の速度および期間などによって決まり、たとえば水
溶性薬物に対して約0.2〜約10000倍(重量比)
の量で調製されるが、好ましくは約1〜約1000倍
(重量比)の量の重合体をマイクロカプセル基剤として
用いるのがよい。油相中の高分子重合体の濃度は、約
0.5〜約90%(W/W)、さらに好ましくは約2〜
約60%(W/W)から選ばれる。
【0014】本発明に用いられる浸透圧調節剤として
は、水溶液とした場合浸透圧を示すものであればいかな
る物質であってもよい。該浸透圧調節剤の具体例として
は、例えば水溶性の多価アルコール類、水溶性の一価ア
ルコール類、水溶性の単糖類,二糖類およびオリゴ糖あ
るいはそれらの誘導体、水溶性のアミノ酸、水溶性のペ
プチド,タンパク質あるいはそれらの誘導体などが挙げ
られる。これらのうち水溶性の多価アルコール類、なら
びに水溶性の単糖類,二糖類およびオリゴ糖あるいはそ
れらの誘導体などが好ましい。さらに水溶性の多価アル
コール類および水溶性の単糖類などが特に好ましい。最
も好ましくは水溶性の多価アルコールなどである。
【0015】上記水溶性の多価アルコール類としては、
例えばグリセリン等の二価アルコール類、アラビトー
ル,キシリトール,アドニトール等の五価アルコール
類、マンニトール,ソルビトール,ズルシトール等の六
価アルコール類などが挙げられる。これらのうち六価の
アルコール類などが好ましい。なかでも、マンニトール
などが特に好ましい。上記水溶性の一価アルコール類と
しては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピル
アルコール等が挙げられる。これらのうちエタノールな
どが好ましい。上記水溶性の単糖類としては、例えばア
ラビノース,キシロース,リボース,2−デオキシリボ
ース等の五炭糖類、ブドウ糖,果糖,ガラクトース,マ
ンノース,ソルボース,ラムノース,フコース等の六炭
糖類などが挙げられる。これらのうち六炭糖類などが好
ましい。上記水溶性の二糖類としては、例えば麦芽糖、
セロビオース,α,α−トレハロース、乳糖、ショ糖な
どが挙げられる。これらのうち乳糖、ショ糖などが好ま
しい。上記水溶性のオリゴ糖としては、例えばマルトト
リオース,ラフィノース等の三糖類、スタキオース等の
四糖類などが挙げられる。これらのうち三糖類などが好
ましい。上記水溶性の単糖類,二糖類およびオリゴ糖の
誘導体としては、例えばグリコサミン、ガラクトサミ
ン、グルクロン酸、ガラクツロン酸などが挙げられる。
【0016】上記水溶性のアミノ酸としては、例えばグ
リシン,アラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン,
フェニルアラニン,チロシン,トリプトファン,セリ
ン,トレオニン,プロリン,ヒドロキシプロリン,シス
テイン,メチオニン等の中性アミノ酸、アスパラギン
酸,グルタミン酸等の酸性アミノ酸、リジン,アルギニ
ン,ヒスチジン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。ま
たこれらの水溶性アミノ酸の酸(例、塩酸,硫酸,リン
酸等)またはアルカリ(例、ナトリウム,カリウム等の
アルカリ金属等)との塩を用いてもよい。水溶性のペプ
チド,タンパク質あるいはそれらの誘導体としては、例
えばカゼイン,グロブリン,プロラミン,アルブミン,
ゼラチンなどが挙げられる。これらの浸透圧調節剤は、
単独で使用しても、一種以上を混合して使用してもよ
い。これらの浸透圧調節剤の外水相中での濃度は、浸透
圧調節剤が非イオン性物質の場合、約0.001%〜約
60%(W/W)、好ましくは約0.01〜約40%
(W/W)、より好ましくは約0.05〜約30%(W
/W)、特に好ましくは約1%(W/W)である。ま
た、浸透圧調節剤がイオン性物質の場合、上記の濃度を
全体のイオン価で除した濃度が用いられる。浸透圧調節
剤の添加濃度は、溶解度以下である必要はなく、一部が
分散状態であってもよい。
【0017】本発明における(W/O)/W型水中乾燥
法によるマイクロカプセルの製造は例えば以下のように
して行なわれる。まず、水に水溶性薬物を前記の濃度に
なる量を溶解し、これに必要であればゼラチン、寒天、
アルギン酸、ポリビニルアルコールあるいは塩基性アミ
ノ酸などの薬物保持物質を加えて溶解もしくは懸濁し、
内水相とする。通常、常温で溶解されるが必要であれば
90℃以下の温度で加温することによって容易に溶解さ
れる。これらの内水相中には、TRHの安定性、溶解性
を保つためのpH調整剤として、炭酸、酢酸、シュウ
酸、クエン酸、リン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、アル
ギニン、リジンまたはそれらの塩などを添加してもよ
い。また、さらに生理活性ペプチドの安定化剤として、
アルブミン、ゼラチン、クエン酸、エチレンジアミン四
酢酸ナトリウム、デキストリン、亜硫酸水素ナトリウ
ム、ポリエチレングリコールなどのポリオール化合物な
どを、あるいは保存剤として、一般に用いられるパラオ
キシ安息香酸エステル類(例、メチルパラベン、プロピ
ルパラベンなど)、ベンジルアルコール、クロロブタノ
ール、チメロサールなどを添加してもよい。
【0018】このようにして得られた内水相を、高分子
重合体を含む溶液(油相)中に加え、ついで乳化操作を
行い、W/O型乳化物をつくる。該乳化操作は公知の分
散法、例えば、断続振とう法、プロペラ型撹はん機ある
いはタービン型撹はん機などのミキサーによる方法、コ
ロイドミル法、ホモジナイザー法、超音波照射法などが
用いられる。またこれらの工程は、バッチで行なっても
よいし、流路の中で連続的に乳化を行なってもよい。連
続乳化の例としてはホモミックラインフローなどが挙げ
られる。上記高分子重合体を含む溶液(油相)は、高分
子重合体を有機溶媒中に溶解したものが用いられる。該
溶媒としては、沸点が約120℃以下で、かつ水と混和
しない性質のもので、高分子重合体を溶解するものであ
ればいかなるものでもよい。その具体例としては、例え
ばハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、クロロエタン、ジクロロメタン、トリクロロエタ
ン、四塩化炭素など)、脂肪酸エステル(例、酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなど)、エーテル類(例、エチルエーテ
ル、イソプロピルエーテルなど)、芳香族炭化水素
(例、ベンゼン、トルエン、キシレンなど)等が挙げら
れる。これらは2種以上適宜の割合で混合して用いても
よい。温度は約5〜約30℃、好ましくは約10〜約2
5℃、より好ましくは約10〜約20℃、W/O/W形
成時の水相温度としては約5〜約30℃、好ましくは、
約10〜約25℃、より好ましくは約10〜約20℃と
することが好ましい。ついで、このようにして調製され
たW/O型乳化物を、浸透圧調節剤を前記の濃度になる
量を含有した水相中で水中乾燥法に付す。すなわち、該
W/O型乳化物をさらに浸透圧調節剤を含有した第3層
目の水相中に加え、(W/O)/W型の3相乳化物を形
成させた後、油相中の溶媒を除去し、マイクロカプセル
を調製する。
【0019】本発明におけるO/W型水中乾燥法による
マイクロカプセルの製造は、例えば以下のようにして行
われる。まず、高分子重合体を水不溶性溶媒に溶解す
る。ついでこの溶液に、水溶性薬物を加えよく混合して
油相を製造する。この場合、所望により水不溶性溶媒と
共に水溶性溶媒を用いることも有効である。ついで、こ
のようにして製造された油相を、浸透圧調節剤を前記の
濃度になる量を含有した水相中で水中乾燥法に付す。す
なわち、該油相をさらに浸透圧調節剤を含有した第2相
目の水相中に加え、O/W型乳化物を形成させた後、油
相中の溶媒を除去し、マイクロカプセルを製造する。
【0020】上記水不溶性溶媒としては、該高分子重合
体を溶解し、水に不溶性のものであればいかなるもので
もよい。該水不溶性溶媒の具体例としては、例えばハロ
ゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン,クロロホル
ム,ジクロロヘキサン,クロロエタン,ジクロロエタ
ン,トリクロロエタン,四塩化炭素等)、エステル類
(例、酢酸エチル等)、エーテル類(例、エチルエーテ
ル等)、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン,トルエン
等)、炭化水素類(例、n−ペンタン,n−ヘキサン
等)などが挙げられる。上記水溶性溶媒は、水溶性を有
し、上記水不溶性溶媒と混合し得るものであればいかな
るものでもよい。該水溶性溶媒の具体例としては、例え
ばアルコール類(例、メタノール,エタノール,プロピ
ルアルコール,イソプロピルアルコール等)、アセト
ン、アセトニトリルなどが挙げられる。
【0021】(W/O)/W型水中乾燥法における第3
相目の水相またはO/W乾燥法における第2相目の水相
に乳化剤を加えてもよい。その例としては、一般に安定
なO/W型乳化物を形成するものであればいずれでもよ
い。さらに具体例には、例えばアニオン界面活性剤
(例、オレイン酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウ
ム,ラウリル硫酸ナトリウムなど)、非イオン性界面活
性剤(例、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル〔例、Tween 80,Tween 60(アトラスパウダー社
製)など〕ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体〔例、H
CO−60,HCO−50(日光ケミカルズ社製)な
ど〕あるいはポリビニールピロリドン、ポリビニールア
ルコール、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼ
ラチンなどが挙げられ、これらの中の一種類か、いくつ
かを組合わせて使用してもよい。使用の際の濃度は約
0.01%〜約20%(W/W)の範囲から適宜選定で
き、より好ましくは約0.05%〜約10%(W/W)
の範囲で用いられる。
【0022】油相中の溶媒の除去は、通常用いられる方
法が採用される。該方法としては、プロペラ型撹拌機、
あるいはマグネチックスターラーなどで撹拌しながら常
圧下または徐々に減圧して行なうか、ロータリーエバポ
レーターなどを用いて、真空度を調節しながら除去す
る。この場合、高分子重合物の固化がある程度進行し、
内層から薬物の放出による損失が減少した時点で、溶媒
の除去をより完全にする目的で、(W/O)/W型ある
いはO/W型乳化物を徐々に加温して行うと所要時間を
短縮することができる。また、温度以外の方法で増粘化
および固化を行う場合は、単に(W/O)/W型あるい
はO/W型乳化物を撹拌下放置するか、加温するか、窒
素ガスなどを吹きつけるかすることなどによって除去し
てもよい。この溶媒の除去過程は薬物の放出をコントロ
ールするマイクロカプセルの表面構造を大きく左右する
重要な過程である。たとえば、除去の速度を速く行うこ
とによって、表面に多くの細孔を生じ、またより大きな
細孔となり、薬物放出速度を高める。
【0023】このようにして得られたマイクロカプセル
は遠心分離あるいはろ過して分取した後、マイクロカプ
セルの表面に付着している遊離の水溶性薬物、薬物保持
物質などを、蒸留水で数回繰返し洗浄し、必要であれば
加温し減圧下でマイクロカプセル中の水分の乾燥および
マイクロカプセル剤中の溶媒の乾燥をより完全に行な
う。乾燥には真空乾燥機より好ましくは凍結乾燥機が用
いられる。真空度、温度は通常の凍乾条件が用いられ
る。品温としては凝集を避けるあるいは放出特性を維持
するためマイクロカプセル・Tg 濃度以下にすることが
好ましいが短時間(好ましくは120時間以下)であれ
ばTg 温度以上であっても差し支えない。上記で得られ
たマイクロカプセルは、必要であれば軽く粉砕した後、
篩過して、大きすぎるマイクロカプセル部分を除去す
る。マイクロカプセルの粒子径は、徐放性の程度により
懸濁剤として使用する場合には、その分散性,通針性を
満足させる範囲であればよく、たとえば、平均径として
約0.5〜約400μm の範囲が挙げられ、より好まし
くは約2〜約200μm の範囲にあることが望まれる。
【0024】たとえば、本発明のマイクロカプセルを注
射剤とするには、本発明のマイクロカプセルを分散剤
(例、Tween 80,HCO 60(日光ケミカルズ社
製),カルボキシメチルセルロース,アルギン酸ナトリ
ウムなど),保存剤(例、メチルパラベン,プロピルパ
ラベン,ベンジルアルコール,クロロブタノールな
ど),等張化剤(例、塩化ナトリウム,グリセリン,ソ
ルビトール,ブドウ糖など)などと共に水性懸濁剤に、
あるいはオリーブ油,ゴマ油,ラッカセイ油,綿実油,
コーン油などの植物油,プロピレングリコールなどに分
散して油性懸濁剤とし、徐放性注射剤とする。さらに、
上記のマイクロカプセルの徐放性注射剤は、懸濁剤とし
て、上記の組成以外に、賦形剤(例、D−マンニトー
ル,D−ソルビトール,ラクトース,ブドウ糖など)を
加えて、再分散した後、凍結乾燥もしくは噴霧乾燥して
固型化し、用時に、注射用蒸留水あるいは適当な分散剤
を加えると、より安定した徐放性注射剤が得られる。
【0025】また、無菌性を保持するため、各原料の溶
液は公知のろ過フィルターを用いて除菌しておくことが
好ましい。また、無菌化した溶液を凍結乾燥など無菌工
程を経て、粉末化し、用時に注射用水や無菌化された有
機溶媒に溶解して各工程で使用することも可能である。
あるいは公知の滅菌法を利用することも可能である。ま
た各原料はエンドトキシンのないものあるいは脱パイロ
ジェン工程を経たものを用いることが好ましい。本発明
の製剤(好ましくは徐放性製剤)は優れた抗脳血管性痴
呆作用を有しており、かつ毒性が低いので、哺乳動物
(ヒト,マウス,イヌ,ラット,ウシなど)に対して安
全な医薬組成物(例えば脳血管性痴呆治療用製剤など)
として使用できる。
【0026】薬物の投与量は薬物の活性の度合いによっ
て異なるが、基本的な投与形態を1週間の徐放剤とした
場合、成人の脳血管性痴呆患者に対して1回の投与量が
約0.35〜約35mg(約0.007〜約0.7mg/kg体
重)で十分な効果が期待できる。後の実験結果に示すよ
うに、このような持続的な剤形とすることで投与量は水
溶液の連日投与よりも低減できかつ、水溶液の連日投与
では得られなかった有効性が得られた。この場合1回の
投与量が約0.05〜約5mg(0.001〜0.1mg/kg
体重)でも十分な効果が期待できる。一般的にTRHの
水溶液の連日投与では1回の投与量が1〜4mgを1日2
回投与されているので、1週間の投与量としては14〜
56mg(0.28〜1.12mg/kg体重)に相当する。該投
与量では副作用が多数出現し、かつ効果も必ずしも満足
できるものではなかったと報告されている(高人田直彦
他、“神経ペプチドの基礎と臨床”(祖父江逸郎編),
厚生省新薬開発研究出版、266頁〜272頁,198
6年;祖父江逸郎、神経内科治療 (4),303〜30
9(1986))が、本発明のように投与量が低減すれば
副作用も当然低減することが期待できる。投与経路は経
口、非経口のいずれでもよい。
【0027】製剤中の薬物含量はとくに規定はなく、持
続的に長期間にわたり放出すれば含量の高いほど好まし
い。一般に徐放性製剤は投与初期(約0.5〜約24時
間)に含有している薬物をその後の放出量に比較して、
より多く放出する(初期バーストと称される)。この初
期バーストが多いと副作用を引き起こすことが懸念さ
れ、投与約6時間までの放出量は約3mg以下とするのが
好ましい。このため製剤中の薬物含量は好ましくは約
0.1〜約50%(w/w)、より好ましくは約1〜約20
%(w/w)で用いられる。本発明においては乳酸および
(または)グリコール酸のホモポリマーまたはコポリマー
を用いてマイクロスフェアー(マイクロカプセルとも称
する)とし、水などに懸濁させて皮下投与することによ
り優れた活性を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を実験例により具
体的に説明するが、これが本発明の範囲を制限するもの
でないことは言うまでもない。以下の実施例中、「室
温」とは通常約10℃ないし約35℃を意味する。
【実施例】
実験例 ラットを用いて実験的な脳梗塞を作成し、このラットの
学習障害に対するTRHの持続性製剤の作用について検
討した。 (実験方法)9−11週齢のウィスター(Wistar)系雄
性ラットを用い、エーテル麻酔下左側頸動脈分岐部を露
出させ翼突口蓋動脈および外頸動脈吻側を結紮した。左
側外頸動脈からポリエチレンチューブ(PE 50)を
内頸動脈との分岐部まで挿入し、溶媒の20%デキスト
ラン(dextran)50μl に懸濁した直径35μm のマ
イクロスフェアー2000個を内頸動脈内に注入した。
偽手術群には同容量のデキストラン(dextran)を注入
した。TRH持続性製剤はマイクロスフェアー注入直後
に皮下投与した。TRH持続性製剤の投与量は一日平均
TRHとして0.01mg/kg/dayまたは0.04mg/kg
/dayとした。水迷路学習は脳梗塞処置11日後から3
日間おこなった。水迷路は直径120cm、高さ40cmの
円筒状の水槽であり、深さ25cmまで約30℃の水が満
たしてある。この水槽を4等分した1つの象限の中央に
はラットが逃避できるための10×10cmの透明プラッ
トフォームが水面下0.5cmのところに設置されてい
る。装置の周囲には実験者、テーブル、動物ゲージなど
ラットにとって視覚的な手がかりになるものがあり、こ
れらの配置は実験期間を通じて一定とした。各試行で
は、ラットを4つの出発点の1つから入水させ、ラット
がプラットフォームへ到達するまでの時間を測定した。
測定は最高120秒間行い、120秒以内にプラットフ
ォームへ到達しない場合には逃避時間を120秒として
実験者がラットをプラットフォームへ誘導した。プラッ
トフォームへ到達したラットは10秒間放置した後ケー
ジへ戻した。このような試行を1日4試行、約10分間
の試行間隔で3日間行った。 (結果)〔図1〕に実験的脳梗塞ラットの水迷路障害に
対するTRH持続性製剤の皮下投与の成績を示す。図は
2試行を1ブロックとして示したものであるが、偽手術
群は試行を重ねるにつれて逃避時間が短くなり明らかに
プラットフォームの位置を学習したことがわかる。一
方、脳梗塞ラットは、2ブロックから6ブロックまでい
ずれのブロックにおいても偽手術群と比較し有意に逃避
時間が長く、プラットフォームの空間的な位置が学習で
きなかった。それに対して、TRHの持続性製剤の低用
量投与は有意な作用を示さなかったが、高用量投与では
訓練の後期において有意な逃避時間の短縮を示した。こ
のことはTRH持続性製剤が、実験的脳梗塞ラットにお
ける学習障害に対して改善することを示唆する。以上の
ようにTRHを持続的に放出する薬剤は、脳梗塞モデル
の脳血管性痴呆に対し、極めて少量で有効性を示すこと
が判明した。
【0029】参考例1 5-Oxo-L-prolyl-L-histidyl-L-prolineamide(TRH)
の製造法 5-Oxo-L-prolyl-L-histidyl-L-prolineamide-L-tartrat
e monohydrate(TRH-T)700gを純水7Lに溶解した
後、OH型としたアンバーライトIRA−35に吸着さ
せた。次いで純水30Lで溶出して約40LのTRH水
溶液を得た。TRH水溶液約40Lに酢酸エチル10L
を加えて撹拌後、静置分液し酢酸エチル層を除去した。
次いで水層を減圧下で9Lまで濃縮した。濃縮液に酢酸
エチル4Lを加えて撹拌後、酢酸エチル層を除去した。
得られた水層にアンバーライトIR−120B(H型)
35mLを添加して室温でしばらく撹拌した。樹脂をろ去
後、減圧下でろ過液を2.8Lまで濃縮した。続いて濃
縮された水溶液に活性炭を加え、室温でしばらく撹拌し
た後、活性炭をろ去した。TRH水溶液はミリポアフィ
ルター(TYPE HA 0.45μm)ろ過、続いて
UF膜ろ過を行った後、凍結乾燥してTRH380gを
得た。
【0030】実施例1 参考例1で得られたTRHフリー体67.5gを加温し
た水20.25gに溶解した液と滅菌フィルターで濾過
した乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)〔乳酸/
グリコール酸75/25(W/W),重要平均分子量;
11,500〕607.5gを含む塩化メチレン溶液16
13gを約30〜38℃でW/O乳化物とした。このW
/O乳化物を14〜16℃に冷却後あらかじめ14〜1
6℃に冷却した1%無菌D−マンニトールを含む0.1
%PVA溶液(前もってろ過滅菌したもの)中で連続乳
化機によりW/O/Wエマルジョンを水中乾燥させるこ
とにより、マイクロカプセルを得た。得られたマイクロ
カプセルは篩か後、遠心分離により捕集された後に、D
−マンニトール87.5gを水に溶解して加え凍結し
た。最終の棚温度は50℃とした。このようにして得ら
れたマイクロカプセルは582.3gでラット(Wister
♂,10W)の背部皮下に投与すると一カ月間の放出性
を示した。 実施例2 TRHフリー体250mgを水0.625mLに溶解した(A
液)。乳酸・グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール
酸=75/25、重量平均分子量14,000、以下P
LGA(75/25)−14000のように表示する)5
gを塩化メチレン6.25mLに溶解する(B液)。 A液を
B液に小型ホモジナイザー(ポリトロン、キネマチカ社
製、スイス)で攪拌しつつ加えW/Oエマルションを得
た。これを18℃に冷却した後、18℃の0.25%ポ
リビニルアルコール (PVA)水溶液1250mL中に注
入し、タービンホモミキサーを使用してW/O/Wエマ
ルションとした。この後、W/O/Wエマルション液を
緩く攪拌しつつ塩化メチレンを揮散させ、内部のW/O
エマルションを固化させたのち、遠心分離機で固形分を
捕集し、TRHを封入したマイクロカプセルを得た。こ
れをさらに凍結乾燥し、脱溶媒および脱水がより完全に
行なわれたマイクロカプセルを得た(取込み率100
%)。得られたマイクロカプセルのin vitroおよびラッ
ト皮下に投与した後のin vivoにおけるTRHの放出性
(溶出液中または投与部位に残存するマイクロカプセル
中の薬物残存量を測定)を検討した。その結果を〔表
1〕に示す。マイクロカプセルからTRHはin vitro,i
n vivoともに4週にわたる持続した放出を示した。
【表1】 in vitroおよびin vivo放出性(イニシャルに対する残存量%)、n=3 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1日 1週 2週 3週 4週 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ in vitro 94.5 82.2 59.0 44.6 7.8 in vivo 79.8 72.8 31.3 16.7 3.2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0031】実施例3 実施例2と同様の方法でPLGA(75/25)−140
00の替わりにPLGA(75/25)−10000を用
いて2週間にわたりTRHを放出する持続性マイクロカ
プセル製剤を得た(取込み率100%)。 実施例4 実施例2と同様の方法でTRHに替わりCG−3509
を用いて4週間にわたりCG−3509を放出する持続
性マイクロカプセル製剤を得た(取込み率94.5
%)。
【0032】実施例5 PLGA(75/25)−10000の50mgをジオキサ
ン1mlに溶解し、TRHフリー体の10mgを溶解した5
0μLの水溶液を添加した。混懸液が得られた。これを
トレーに流し込み、窒素気流下で溶媒を揮散させた。得
られたフィルムを減圧乾燥して残存する溶媒および水を
完全に留去し、2週間にわたりTRHを持続性に放出す
るフィルム状製剤が得られた(取込み率100%)。 実施例6 実施例5で得たフィルムを粉砕して170メッシュのふ
るいで篩過し、約2週間にわたりTRHを放出する微粒
子製剤を得た。
【0033】実施例7 TRH酒石酸塩1.0mgをプロピレングリコール170m
gおよびオレイン酸30mgの混液に溶解し、これを厚さ
2mm多孔質セラミックスに吸収させた。この片面をアル
ミフォイルで覆い24時間持続的にTRHを経皮的に体
内に吸収させる製剤を得た。
【0034】
【発明の効果】本発明の徐放性製剤は、極微量のオリゴ
ペプチドによって、脳血管性痴呆症に著効を示す。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】実験的脳梗塞ラットの水迷路障害に対するTR
H持続性製剤の皮下投与の成績を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】TRH作用を有するオリゴペプチドを含有
    してなる脳血管性痴呆治療用製剤。
  2. 【請求項2】徐放性製剤である請求項1記載の製剤。
  3. 【請求項3】マイクロカプセルである請求項2記載の製
    剤。
  4. 【請求項4】TRH,乳酸・グリコール酸共重合体およ
    びD−マンニトールを含有してなる請求項3記載の製
    剤。
JP8320003A 1995-11-30 1996-11-29 脳血管性痴呆治療剤 Withdrawn JPH09208488A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003252751A (ja) * 2001-12-26 2003-09-10 Takeda Chem Ind Ltd 新規マイクロスフェアおよびその製造法
JP2010535885A (ja) * 2007-08-07 2010-11-25 コリア リサーチ インスティテュート オブ バイオサイエンス アンド バイオテクノロジー 荷電分子が固定化した多孔性高分子粒子およびその製造方法
JP2012515790A (ja) * 2009-01-23 2012-07-12 サーモディクス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド 微粒子製造のための連続二重エマルジョン工程
JP2020522505A (ja) * 2017-05-31 2020-07-30 デーウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド 放出制御が容易な徐放性薬物微粒子の製造方法

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