JPH0920648A - 外用剤 - Google Patents

外用剤

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JPH0920648A
JPH0920648A JP18790495A JP18790495A JPH0920648A JP H0920648 A JPH0920648 A JP H0920648A JP 18790495 A JP18790495 A JP 18790495A JP 18790495 A JP18790495 A JP 18790495A JP H0920648 A JPH0920648 A JP H0920648A
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water
graft copolymer
aqueous solution
polymer
external preparation
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JP18790495A
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Zenichi Ogita
善一 荻田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 基材が、水溶性高分子主鎖に、その水溶液が
曇点を有する高分子を側鎖として結合するグラフト共重
合体と水からなり、グラフト共重合体中の隣接した側鎖
間の水溶性高分子主鎖の平均重合度が10以上で、側鎖
の割合が10〜90重量%、かつグラフト共重合体の分
子量が10万以上であることを特徴とする外用剤、並び
に水溶液が曇点を有する高分子からなる主鎖に、水溶性
高分子を側鎖として結合するグラフト共重合体と水から
なり、グラフト共重合体の分子量が10万以上であるこ
とを特徴とする外用剤。 【効果】 生体表面温度以下では水溶液、以上ではハイ
ドロゲルとなる性質のグラフト共重合体水溶液が配合さ
れており、冷暗所で溶液(ゾル状)生体表面温度(25
〜35°C)で、直ちにゲル状に変化して付着滞留す
る。その結果、医薬品の効果持続性を著しく高めること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、注入、含嗽、湿布、
噴霧、塗布、清拭、消毒、点眼、点耳、点鼻等の外用に
供する外用剤に関するもので、さらに詳しくは、使用時
の付着と滞留性を著しく向上させることのできる外用剤
に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、薬剤を水、エタノ
ールや油類等の溶媒で溶解(水もしくはエタノール抽出
溶解も含む)、あるいは懸濁させて外用に供するものと
した液状の製剤、例えば注入、含嗽、湿布、噴霧、塗
布、清拭、消毒、点眼、点耳、点鼻薬剤等が知られてい
る。
【0003】これらの従来の外用剤では、粘度を高め、
生体表面上への付着、及び滞留性を向上させることを目
的として、例えばハチミツ、グリセリン、アラビアゴ
ム、トラガントゴム、アルギン酸ナトリウム、メチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(C
MCナトリウム)、ゼラチン、コンドロイチン硫酸等の
高分子化合物が添加されてもいた。
【0004】しかしながら、従来の外用剤の場合には、
生体表面への付着性、あるいは滞留性を向上させるため
に、上記の高分子化合物を添加しすぎると、それに伴い
外用剤の粘度が著しく増加し、注入、含嗽、湿布、噴
霧、塗布、清拭、消毒、点眼、点耳、点鼻等の処方によ
る使用が著しく困難になるという重大な問題点があっ
た。
【0005】そこで、容易に使用可能で、生体表面に対
する付着性と滞留性を向上させることができれば従来の
外用剤の問題点を解決することができる。このような従
来の問題点の解決の1つの方法として、使用時の温度で
ゾル状態であり、生体に付着した時にゲル状態に変化す
るようなゾル−ゲル転移を有する熱可逆性ハイドロゲル
を外用剤として使用することが有効な方法である。従
来、種々の熱可逆的ハイドロゲルが検討されてきた。タ
ンパク質であるゼラチンや、多糖類である寒天がその代
表で、これらの水溶液は冷却により流動性を失なってゼ
リー状のハイドロゲルとなり、加熱によって再び水溶液
に戻る熱可逆ゾル−ゲル転移を示すことがよく知られて
いる。これとは逆に加熱によってハイドロゲルとなるも
のとしては、多糖類誘導体であるメチルセルロースの水
溶液がある。しかしながら、これらの系に共通する問題
点として、これらの水溶性高分子がいずれも天然の材料
を素材としているため、品質の安定性確保が困難である
こと、ゾル−ゲル転移点温度の制御が困難であること、
ゲル化温度に達してからゲル化するまでに長時間を要す
ることなどが挙げられ、外用剤用素材としての特性は満
足のいくものではなかった。
【0006】一方、非イオン性界面活性剤の中にも、そ
の水溶液が熱可逆的にハイドロゲルを形成するものがあ
ることが知られている。例えば、ポリプロピレンオキサ
イドの両端にポリエチレンオキサイドが結合した、プル
ロニックF−127(商標;旭電化工業(株)製)の高
濃度水溶液は約20℃以上でハイドロゲル、それ以下の
温度で水溶液となることが知られている(例えば、Inte
rnational Journal ofPharmaceutics, 12, 147-152(198
2))。しかしながら、この材料の場合、約20wt%以
上の高濃度でしかハイドロゲルとならず、ハイドロゲル
中の含水率が低いという問題があった。また、約20w
t%以上の高濃度でゲル化温度以上に保持しても、さら
に水を加えるとゲルが溶解してしまうという問題もあっ
た。該ゲルを外用剤として使用した場合には、体表面の
汗あるいは洗浄水などによって該ゲルが溶解してしま
い、生体表面への長期間、安定した滞留性が得られな
い。また、この材料の場合、比較的分子量が低いため、
約20wt%以上の高濃度水溶液は非常に高い浸透圧を
示し、細胞膜等も容易に透過するので、生体を対象とす
るような外用剤としての用途には不都合を生じる。
【0007】さらにまた、熱可逆性ハイドロゲル材料と
してポリ−N−イソプロピルアクリルアミドとポリエチ
レンオキシドの結合体が知られているが、その製造工程
で両高分子中に複数の反応活性な官能基を導入している
ため、結合反応の際に化学架橋が生じて不溶化する危険
性が高く製造が困難であるばかりではなく、得られるハ
イドロゲルの物性を制御することは非常に困難であっ
た。
【0008】同様に三官能性のポリエチレンオキシドと
ポリプロピレンオキシド、もしくは逆に三官能性のポリ
プロピレンオキシドとポリエチレンオキシドとの結合体
も熱可逆性ハイドロゲル材料として提案されてもいる
が、このものも、製造時に化学架橋が生じ、上記と同様
の欠点が避けられないものであった。さらに、この発明
者の知見によればこのような化学架橋は架橋重合体がゾ
ル−ゲル転移点温度以上の状態、すなわちゲル状態で分
子間の運動性を著しく制約するために柔軟性が失われ、
生体の複雑な動きに追従できず、また、化学架橋に起因
する脆性により外用剤が容易に破壊されてしまう。
【0009】そこで、この発明は、上記の通りの従来の
熱可逆性ハイドロゲル材料の問題点を解決し、品質の安
定性、ゾル−ゲル転移点温度の制御性、ゲル化の効率性
に優れていることはもちろんのこと、含水率を高くする
事ができ、生体への適合性に優れ、かつ化学架橋が存在
しないため、柔軟で、複雑形状や変形への追従性にも優
れた外用剤を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、基材が、水溶性高分子主鎖にそ
の水溶液が曇点を有する高分子を側鎖として結合したグ
ラフト共重合体と水からなり、グラフト共重合体中の隣
接した側鎖間の水溶性高分子主鎖の平均重合度が10以
上で、側鎖の割合が10〜90重量%、かつグラフト共
重合体の分子量が10万以上であることを特徴とする外
用剤<A>を提供する。さらにまた本発明は、上記の課
題を解決するものとして、基材が、水溶液が曇点を有す
る高分子からなる主鎖に、水溶性高分子を側鎖として結
合したグラフト共重合体と水からなり、グラフト共重合
体の分子量が10万以上であることを特徴とする外用剤
<B>も提供する。
【0011】さらに詳しく説明すると、まず、この発明
で規定するところの基材としてのグラフト共重合体と
は、幹となる線状重合体(主鎖)に任意の重合体の枝
(側鎖)を結合させた高分子化合物を意味しており、こ
の発明のグラフト共重合体は、主鎖が水溶性高分子であ
って、側鎖が曇点を有する高分子からなること<A>、
あるいはまた、主鎖が曇点を有する高分子であって、側
鎖が水溶性高分子からなること<B>を特徴とし、か
つ、必須としている。
【0012】このような構造のグラフト共重合体からな
る特定の外用基剤はこの発明によってはじめて提供され
るものである。曇点とは、透明な高分子の水溶液(濃度
1wt%)を徐徐に加熱した時、はじめて白濁を生じる
温度を言い、この発明においては、この曇点が0℃〜9
0℃、さらには0℃〜40℃であることが望ましい。す
なわち、その水溶液が曇点を有する高分子は曇点以下の
温度では水に溶解するが、曇点以上の温度では非水溶性
となり水から析出する。その水溶液が曇点を有する高分
子としては、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、
ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド、ポリ−N−シ
クロプロピルアクリルアミド、ポリ−N,N−ジエチル
アクリルアミド、ポリ−N−アクリロイルピペリジン、
ポリ−N−アクリロイルピロリジン、ポリ−N,N−エ
チルメチルアクリルアミドなどのポリN置換アクリルア
ミド誘導体、ポリ−N−イソプロピルメタアクリルアミ
ド、ポリ−N−シクロプロピルメタアクリルアミドなど
のポリN置換メタアクリルアミド誘導体、ポリプロピレ
ンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイド、ポリビ
ニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール部分酢化物
などが挙げられる。
【0013】上記のポリN置換(メタ)アクリルアミド
誘導体の曇点は、他の単量体とのランダム共重合によっ
て調節でき、親水性単量体との共重合によって曇点が上
昇、疎水性単量体との共重合によって曇点が低下する。
ここで親水性単量体としては例えば、N−ビニルピロリ
ドン、アクリルアミド、アクリル酸など、疎水性単量体
としては例えば、n−ブチルメタクリレート、アクリロ
ニトリル、スチレンなどを挙げることができる。
【0014】この発明における水溶性高分子としては、
例えば、メチルセルロース、デキストラン、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリN−ビニル
ピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミ
ド、ポリメタアクリルアミド、ポリN−メチルアクリル
アミド、ポリヒドロキシメチルアクリレート、ポリアク
リル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポ
リスチレンスルホン酸およびそれらの塩、ポリN,N−
ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリN,N−ジ
エチルアミノエチルメタクリレート、ポリN,N−ジメ
チルアミノプロピルアクリルアミドおよびそれらの塩な
どが挙げられる。
【0015】そして、上記のこの発明の外用剤における
グラフト共重合体については、その分子量が10万以上
であることを必須としている。ここで分子量10万以上
のグラフト共重合体とは、側鎖または主鎖を構成する曇
点を有する高分子の曇点以下の温度においてグラフト共
重合体の水溶液を分画分子量10万の限外濾過膜(アミ
コン社製YM100)を用いて限外濾過した時、濾過さ
れないものをいう。
【0016】この発明の外用剤におけるグラフト共重合
体と水の構成比は、グラフト共重合体が水に対して1〜
20重量%の範囲であることが好ましい。グラフト共重
合体が1重量%を下回ると、ゾル−ゲル転移点温度以上
で安定な外用剤となりにくく、20重量%を上回ると、
ゾル状態での粘度が高くなり、ゾル−ゲル転移点温度以
下で創傷部位へ適用する際に支障を生じ易い。また、グ
ラフト共重合体が水に対して20重量%を上回ると、外
用剤の含水率が低くなり、生体との親和性も低下する。
【0017】この発明の外用剤における基材としてのグ
ラフト共重合体<A>が、主鎖が水溶性高分子であっ
て、側鎖が曇点を有する高分子からなる場合には、隣接
した側鎖間の水溶性高分子主鎖の平均重合度が10以上
かつ側鎖の割合が10〜90重量%であることも必須と
している。隣接した側鎖間の水溶性高分子主鎖の平均重
合度が10未満の場合、水中で水和した水溶性高分子の
立体障害効果(体積排除効果)が不十分となり、側鎖の
曇点以上の温度における側鎖間の凝集を有効に抑制でき
ないため、系全体が巨視的な相分離(著しいゲルのシネ
レシス)を起こし、安定な外用剤が得られない。側鎖の
割合が10重量%未満の場合、側鎖の曇点以上の温度に
おける側鎖間の凝集力が不十分なためにハイドロゲルと
ならず、側鎖の割合が90重量%を越える場合、側鎖の
曇点以上の温度における側鎖間の凝集力が強すぎるため
に、ゲルの著しいシネレシス現象が生起して安定な外用
剤が得られない。 なお、ここで、曇点を有する側鎖高
分子の分子量をA、水溶性高分子主鎖を構成する単量体
の分子量をB、グラフト共重合体中の側鎖の割合をC重
量%、隣接した側鎖間の水溶性高分子主鎖の平均重合度
をnとすると、式(1)の関係がある。
【0018】
【数1】 ポリN置換(メタ)アクリルアミド誘導体、ポリビニル
メチルエーテル、ポリビニルアルコール部分酢化物の曇
点は分子量にあまり依存しないのでこれらの高分子を側
鎖とする場合には側鎖高分子の分子量(重合度)に特に
制限はないが、好ましくは重合度5〜1000である。
ポリプロピレンオキサイドを側鎖とする場合、プロピレ
ンオキサイドの重合度は2〜200、好ましくは、10
〜100である。この範囲内でポリプロピレンオキサイ
ドの水溶液は曇点を有し、該曇点は重合度の増加ととも
に低下する。本発明の創傷被覆材においては、該ポリプ
ロピレンオキサイド部分が曇点を有することが重要であ
って、曇点を有する限り、該ポリプロピレンオキサイド
部分に他のアルキレンオキサイド、例えば、エチレンオ
キサイドやテトラメチレンオキサイドが含有されていて
も良い。
【0019】また、この発明の外用剤における基材とし
てのグラフト共重合体<B>が、主鎖が曇点を有する高
分子であって、側鎖が水溶性高分子からなる場合には、
グラフト共重合体中の水溶性高分子側鎖は、その平均重
合度が10以上であることが好ましい。その平均重合度
が10未満の場合には、水中で水和した水溶性高分子の
立体障害効果(体積排除効果)が不十分となり、主鎖の
曇点以上の温度における主鎖間の凝集を有効に抑制でき
ないため、系全体が巨視的な相分離(著しいゲルのシネ
レシス)を起こし、安定な外用剤が得られにくくなる。
一方、水溶性高分子側鎖の平均重合度が1000を越え
る場合、水中で水和した水溶性高分子の立体障害効果が
過剰となり、主鎖の曇点以上の温度における主鎖間の凝
集を阻害するため、安定な外用剤が得られにくくなる。
従って、水溶性高分子側鎖の平均重合度の好ましい範囲
は10〜1000である。
【0020】また、グラフト共重合体中の側鎖の割合に
ついては、10重量%以上とするのが好ましい。これが
10重量%未満の場合、主鎖の曇点以上の温度における
主鎖間の凝集力が強すぎるために、ゲルの著しいシネレ
シス現象が生起して安定な外用剤が得られず、側鎖の割
合が90重量%を越える場合、主鎖の曇点以上の温度に
おける主鎖間の凝集力が不十分なためにハイドロゲルと
ならない傾向にある。従って、上記グラフト共重合体中
の好ましい側鎖の割合は10重量%〜90重量%の範囲
である。
【0021】次に、この発明で用いるグラフト共重合体
の製造法について説明すると、一般にグラフト共重合体
の合成法としては、1)重合体の連鎖移動反応を利用す
る方法、2)幹重合体に遊離基に分裂し得る官能基を導
入し、そこから重合を開始する方法、3)幹重合体から
イオン重合を開始せしめる方法などが知られている。本
発明のグラフト共重合体をこれらの方法によって得るこ
ともできるが、得られたグラフト共重合体の物性の良好
な制御および製造時の架橋形成の制御という点で、側鎖
を構成する高分子鎖中に1個の重合性官能基を導入し、
主鎖高分子を与える単量体と共重合させて得ることが有
利である。
【0022】ここで側鎖を構成する高分子鎖中に導入さ
れる重合性官能基の数は1個であることが必要で、複数
の重合性官能基が導入されるとその後の主鎖高分子を与
える単量体との共重合においていかなる溶媒にも不溶の
化学架橋ゲルが生成し、本発明の外用剤となる水溶性の
グラフト共重合体が得られなくなる。側鎖を構成する高
分子鎖中に重合性官能基1個を導入するには、例えば側
鎖を構成する高分子を与える単量体を重合させる際に連
鎖移動剤を用いて、直接あるいは間接的に重合性官能基
を高分子鎖片末端に導入することができる。重合性官能
基1個を分子内または末端に結合した側鎖を構成する高
分子と主鎖高分子を与える単量体との共重合反応を行う
ことにより、本発明に必須の高重合度のグラフト共重合
体を得ることができる。
【0023】一方、上記の外用剤中に含有される外用薬
剤は従来公知のものをはじめとして適宜なもの、すなわ
ち、水溶性あるいは非水溶性、油溶性の各種のものが使
用される。これらの外用薬剤は上記のグラフト共重合体
水溶液に溶解または分散されている液状(ゾル)で使用
されるが、あるいはゲル状の軟膏等として使用すること
もできる。
【0024】外用薬剤について例示すると、例えばアス
ピリン、サルフェナム酸、メフェナム酸、インドメタシ
ン、トルメチン、イブプロフェン、ケトプロフェン、フ
ェニルブタゾン等の非ステロイド系抗炎症剤、コルチゾ
ン、デキサメタゾン等のステロイド系抗炎症剤、硝酸
塩、ゲンタマイシン、ピロミド酸、オフロキサシン等の
抗菌剤、各種のビタミン剤、抗ヒスタミン剤、さらには
ナファゾリン、テトラヒドロゾリン等の血管収縮剤、ク
ロラムフェニコール、塩化ベンザルコニウム、テトラサ
イクリン、その他の各種の経皮吸収性の処方剤等の各種
の外用薬剤が使用される。
【0025】上記のグラフト共重合体の水溶液は、さら
に水と相溶する溶媒あるいは水可溶性物質を含んでも良
い。例えば、水と相溶する溶媒としてはエタノール、グ
リセリン、プロピレングリコールなどのアルコール類、
アセトン等が例示される。また、例えば水可溶性物質と
しては各種の塩類、水溶性高分子などが例示される。ま
た、前記の非水溶性外用薬剤の配合に使用することので
きる非水溶性媒体は、水と非相溶の溶媒を意味してお
り、このようなものとしては、例えばヘキサン、流動パ
ラフィンなどの炭化水素、植物油、ワックス、ワセリ
ン、エーテル類、などが例示される。
【0026】また、分散助剤は、上記のグラフト共重合
体水溶液中の水不溶性医薬品もしくは該医薬品を含む非
水溶性溶媒の懸濁性を高める作用を有する物質であり、
例えば以下に記す各種界面活性剤が用いられるが特に非
イオン性界面活性剤が好適に用いられる。例えば、陰イ
オン性界面活性剤の例として、ドデシル硫酸ナトリウム
等のアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テル硫酸塩、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル
エーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテルリン酸塩等を、陽イオン性界面活性剤の例と
して、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の
第四級アンモニウム塩、第一〜第三脂肪アミン塩等を、
両イオン性界面活性剤の例として、N,N−ジメチル−
N−ドデシル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタ
イン等のベタイン類等を、非イオン性界面活性剤の例と
して、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪
酸部分エステル等を挙げることができる。
【0027】この発明の外用剤については、その配合割
合について特に制限はないが、上記のグラフト共重合体
の使用によるこの発明の外用剤として特徴が阻害されな
い範囲とする。もちろん、外用剤としての処方上の薬剤
使用量が適宜に調節されるべきことは多言を要しない。
外用薬剤の配合量については、たとえば一般的には、こ
の発明のグラフト共重合体100重量部に対して0.0
1〜30部程度の範囲において用いられる。
【0028】分散助剤を配合する場合には、その添加量
は種類によって異なるものの、一般的には外用剤100
重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.0
5〜1重量部程度とする。
【0029】
【作用】以上の通り、この発明の外用剤は低温では流動
性のある水溶液、高温では流動性を失ってハイドロゲル
となる熱可逆ゾル−ゲル転移を示す。そのメカニズムは
以下のように推定される。すなわち、基材としてのグラ
フト共重合体の側鎖または主鎖を構成する曇点を有する
高分子の曇点以下の温度では、主鎖、側鎖ともに水溶性
であるので完全に水に溶解する。しかし、この水溶液の
温度を該曇点以上に昇温すると、該曇点を有する高分子
部分が非水溶性となって凝集し分子間会合が起こる。一
方、グラフト共重合体の主鎖または側鎖を構成する水溶
性高分子部分は該曇点以上においても水溶性を保つの
で、曇点を有する高分子部分(側鎖または主鎖)間の凝
集が巨視的な相分離に至ることを防止し、安定なハイド
ロゲルが形成される。
【0030】そして、この発明の外用剤は、基材が、上
記の特有の構成からなるグラフト共重合体であることに
よって、従来のもののように、化学架橋が生じることが
ないため、その製造工程において不溶化することはな
く、実際の利用時にも柔軟で複雑形状や変形への追従性
に優れたものとなる。この発明の外用剤は、従来のよう
な化学架橋が生じないため、ゲルは疎水結合という物理
的架橋のみによって形成され、その架橋の結合エネルギ
ーおよび寿命は化学架橋に比べて充分に小さく、生理的
条件下でその架橋の形成を制御することができる。この
ため、この発明の外用剤は、複雑な生体形状への適応性
(密着性)、柔軟な生体組織との物理的マッチング、生
体の動きおよび変形への追従性に優れていて、生体上に
長期間、安定して付着滞留させることができる。また、
生体温度以下に冷却すれば、再度粘度の低いゾル状態と
なるので容易にこの外用剤を除去することが可能とな
る。
【0031】このような効果に加え、水不溶性外用薬
剤、あるいはこのものを含有する非水溶性媒体を配合す
る外用剤にあっては、その分散安定性を著しく向上させ
るとの効果が特筆される。これは上記グラフト共重合体
水溶液が生体表面でゲル化し、分散する水不溶性薬剤も
しくはこれを含有する非水溶性媒体の相互凝集を効果的
に阻止することによるものである。
【0032】上記グラフト共重合体の有するこの効果
は、生体に対して為害作用を有し、また医薬品の効果に
悪影響を及ぼす可能性がある界面活性剤などの分散助剤
の使用量を著しく低減させることになる。そこで以下、
実施例を示し、さらに詳しくこの発明の外用剤について
説明する。
【0033】
【実施例】基材の製造 実施例1 片末端に1級アミノ基を有するポリプロピレンオキサイ
ド(平均分子量約2000(プロピレンオキサイド平均
重合度32)、米国ジェファーソンケミカル社製:ジェ
ファーミンM−2005、曇点約20℃)20gを四塩
化炭素50mlに溶解し、アクリル酸クロライド(国産
化学(株)製)0.91g、トリエチルアミン1.38
mlを加え、室温で終夜反応させた。濾過後、溶媒を減
圧留去して片末端に重合性官能基を導入したポリプロピ
レンオキサイドモノアクリルアミド体を得た。
【0034】上記ポリプロピレンオキサイドモノアクリ
ルアミド体10g、アクリルアミド20gを蒸留水97
0mlに氷冷下で溶解し、窒素置換後、過硫酸アンモニ
ウム0.3gおよびテトラメチルエチレンジアミン20
0μlを加え、氷冷窒素雰囲気下、終夜反応させた。反
応液を分画分子量10万の限外濾過膜(アミコン社製Y
M100)を用いて限外濾過により精製、濾過されない
ものを回収して凍結乾燥し、ポリアクリルアミド主鎖に
ポリプロピレンオキサイド側鎖を結合した分子量10万
以上のグラフト共重合体27gを得た。核磁気共鳴スペ
クトルおよび元素分析の解析結果からこのグラフト共重
合体中のポリプロピレンオキサイド側鎖の割合は33重
量%であった。
【0035】式(1)においてA=2000、B=7
1、C=33であるから、このグラフト共重合体中の隣
接したポリプロピレンオキサイド側鎖間のポリアクリル
アミドの平均重合度nは約57と算出される。上記グラ
フト共重合体5gを蒸留水95gに氷冷下で溶解し、5
重量%の水溶液とした。この水溶液は20℃以下では完
全に透明で流動性の高い水溶液であるが、30℃以上の
温度では流動性を失い、わずかに白濁した含水率95重
量%の安定なハイドロゲルとなった。このハイドロゲル
を冷却すると、20℃でもとの透明な水溶液にもどっ
た。この変化は、可逆的に繰り返し観測された。また、
このゲルを35℃で多量の水中に投入したが、溶解しな
かった。実施例2 実施例1で得られたポリプロピレンオキサイドモノアク
リルアミド体10g、N−ビニルピロリドン(関東化学
(株)製)20gを蒸留水970mlに氷冷下で溶解
し、窒素置換後、過硫酸アンモニウム0.3gおよびテ
トラメチルエチレンジアミン200μlを加え、氷冷窒
素雰囲気下、終夜反応させた。反応液を分画分子量10
万の限外濾過膜(アミコン社製YM100)を用いて限
外濾過により精製、濾過されないものを回収して凍結乾
燥し、ポリN−ビニルピロリドン主鎖にポリプロピレン
オキサイド側鎖を結合した分子量10万以上のグラフト
共重合体27gを得た。核磁気共鳴スペクトルおよび元
素分析の解析結果からこのグラフト共重合体中のポリプ
ロピレンオキサイド側鎖の割合は33重量%であった。
【0036】式(1)においてA=2000、B=11
1、C=33であるから、このグラフト共重合体中の隣
接したポリプロピレンオキサイド側鎖間のポリN−ビニ
ルピロリドンの平均重合度nは約37と算出される。上
記グラフト共重合体5gを蒸留水95gに氷冷下で溶解
し、5重量%の水溶液とした。この水溶液は20℃以下
では完全に透明で流動性の高い水溶液であるが、30℃
以上の温度では流動性を失い、わずかに白濁した含水率
95重量%の安定なハイドロゲルとなった。このハイド
ロゲルを冷却すると、20℃でもとの透明な水溶液にも
どった。この変化は、可逆的に繰り返し観測された。ま
た、このゲルを35℃で多量の水中に投入したが、溶解
しなかった。実施例3 N−イソプロピルアクリルアミド22.6gをベンゼン
800mlに溶解、2−メルカプトエチルアミン6.2
g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1.6gを
加え、60℃で8時間反応させた。溶媒を減圧留去して
100mlまで濃縮し、ジエチルエーテル2000ml
に加えて沈澱を析出させた。該沈澱を真空乾燥後、蒸留
水200mlに溶解し、分画分子量3000の限外濾過
膜(アミコン社製YM3)を用いて限外濾過、次いで濾
液を分画分子量1000の限外濾過膜(アミコン社製Y
M1)を用いて限外濾過により精製、濾過されないもの
を回収して凍結乾燥し、分子量1000〜3000の片
末端に1級アミノ基を有するポリ(N−イソプロピルア
クリルアミド)10gを得た。トリニトロベンゼンスル
ホン酸を用いた1級アミンの定量により、数平均分子量
を求めたところ、約2000であり、その水溶液(1w
t%)の曇点は34℃であった。
【0037】上記の片末端に1級アミノ基を有するポリ
(N−イソプロピルアクリルアミド)10gを四塩化炭
素50mlに溶解し、アクリル酸クロライド(国産化学
(株)製)0.46g、トリエチルアミン0.69ml
を加え、室温で終夜反応させた。濾過後、溶媒を減圧留
去して片末端に重合性官能基を導入したポリ(N−イソ
プロピルアクリルアミド)モノアクリルアミド体を得
た。
【0038】上記ポリ(N−イソプロピルアクリルアミ
ド)モノアクリルアミド体20g、アクリルアミド10
gを蒸留水970mlに氷冷下で溶解し、窒素置換後、
過硫酸アンモニウム0.3gおよびテトラメチルエチレ
ンジアミン200μlを加え、氷冷窒素雰囲気下、終夜
反応させた。反応液を分画分子量10万の限外濾過膜
(アミコン社製YM100)を用いて限外濾過により精
製、濾過されないものを回収して凍結乾燥し、ポリアク
リルアミド主鎖にポリ(N−イソプロピルアクリルアミ
ド)側鎖を結合した分子量10万以上のグラフト共重合
体27gを得た。核磁気共鳴スペクトルおよび元素分析
の解析結果からこのグラフト共重合体中のポリ(N−イ
ソプロピルアクリルアミド)側鎖の割合は66重量%で
あった。式(1)においてA=2000、B=71、C
=66であるから、このグラフト共重合体中の隣接した
ポリプロピレンオキサイド側鎖間のポリアクリルアミド
の平均重合度nは約15と算出される。
【0039】上記グラフト共重合体5gを蒸留水95g
に氷冷下で溶解し、5重量%の水溶液とした。この水溶
液は34℃以下では完全に透明で流動性の高い水溶液で
あるが、37℃以上の温度では流動性を失い、わずかに
白濁した含水率95重量%の安定なハイドロゲルとなっ
た。このハイドロゲルを冷却すると、34℃でもとの透
明な水溶液にもどった。この変化は、可逆的に繰り返し
観測された。また、このゲルを40℃で多量の水中に投
入したが、溶解しなかった。実施例4 片末端をメタクリル酸エステルとしたポリエチレンオキ
サイド(NKエステルM−900G(平均重合度9
0)、新中村化学工業(株)製)40gおよびN−イソ
プロピルアクリルアミド20gを蒸留水3000mlに
溶解、窒素置換後、過硫酸アンモニウム1gおよびテト
ラメチルエチレンジアミン5mlを加え、室温窒素雰囲
気下、終夜反応させた。反応液を分画分子量10万の限
外濾過膜(アミコン社製YM100)を用いて限外濾過
により精製、濾過されないものを回収して凍結乾燥し、
ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド主鎖にポリエチ
レンオキサイド側鎖を結合した分子量10万以上のグラ
フト共重合体55gを得た。核磁気共鳴スペクトルおよ
び元素分析の解析結果からこのグラフト共重合体中のポ
リエチレンオキサイド側鎖の割合は66重量%であっ
た。
【0040】上記グラフト共重合体5gを蒸留水95g
に溶解し、5重量%の水溶液とした。この水溶液は35
℃以下では完全に透明で流動性の高い水溶液であるが、
35℃以上の温度では流動性を失い、わずかに白濁した
含水率95重量%の安定なハイドロゲルとなった。この
ハイドロゲルを冷却すると、35℃でもとの透明な水溶
液にもどった。この変化は、可逆的に繰り返し観測され
た。また、このゲルを40℃で多量の水中に投入した
が、溶解しなかった。実施例5 片末端をメタクリル酸エステルとしたポリエチレンオキ
サイド(NKエステルM−900G(平均重合度9
0)、新中村化学工業(株)製)20gおよびN−n−
プロピルアクリルアミド20gを蒸留水2000mlに
溶解、窒素置換後、過硫酸アンモニウム1gおよびテト
ラメチルエチレンジアミン5mlを加え、室温窒素雰囲
気下、終夜反応させた。反応液を分画分子量10万の限
外濾過膜(アミコン社製YM100)を用いて限外濾過
により精製、濾過されないものを回収して凍結乾燥し、
ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド主鎖にポリエチ
レンオキサイド側鎖を結合した分子量10万以上のグラ
フト共重合体37gを得た。核磁気共鳴スペクトルおよ
び元素分析の解析結果からこのグラフト共重合体中のポ
リエチレンオキサイド側鎖の割合は50重量%であっ
た。
【0041】上記グラフト共重合体5gを蒸留水95g
に氷冷下で溶解し、5重量%の水溶液とした。この水溶
液は25℃以下では完全に透明で流動性の高い水溶液で
あるが、25℃以上の温度では流動性を失い、わずかに
白濁した含水率95重量%の安定なハイドロゲルとなっ
た。このハイドロゲルを冷却すると、25℃でもとの透
明な水溶液にもどった。この変化は、可逆的に繰り返し
観測された。また、このゲルを30℃で多量の水中に投
入したが、溶解しなかった。実施例6 片末端をメタクリル酸エステルとしたポリエチレンオキ
サイド(NKエステルM−230G(平均重合度2
3)、新中村化学工業(株)製)40gおよびN−n−
プロピルアクリルアミド20gを蒸留水3000mlに
溶解、窒素置換後、過硫酸アンモニウム1gおよびテト
ラメチルエチレンジアミン5mlを加え、室温窒素雰囲
気下、終夜反応させた。反応液を分画分子量10万の限
外濾過膜(アミコン社製YM100)を用いて限外濾過
により精製、濾過されないものを回収して凍結乾燥し、
ポリ−N−n−プロピルアクリルアミド主鎖にポリエチ
レンオキサイド側鎖を結合した分子量10万以上のグラ
フト共重合体55gを得た。核磁気共鳴スペクトルおよ
び元素分析の解析結果からこのグラフト共重合体中のポ
リエチレンオキサイド側鎖の割合は66重量%であっ
た。
【0042】上記グラフト共重合体5gを蒸留水95g
に氷冷下で溶解し、5重量%の水溶液とした。この水溶
液は25℃以下では完全に透明で流動性の高い水溶液で
あるが、25℃以上の温度では流動性を失い、わずかに
白濁した含水率95重量%の安定なハイドロゲルとなっ
た。このハイドロゲルを冷却すると、25℃でもとの透
明な水溶液にもどった。この変化は、可逆的に繰り返し
観測された。また、このゲルを30℃で多量の水中に投
入したが、溶解しなかった。実施例7 片末端をメタクリル酸エステルとしたポリエチレンオキ
サイド(ブレンマーPME−4000(平均重合度9
8)、日本油脂(株)製)75gおよびN−イソプロピ
ルアクリルアミド117g、n−ブチルメタクリレート
8gをベンゼン1000mlに溶解、窒素置換後、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル3gを加え、窒素雰
囲気下、60℃で5時間反応させた。反応液にクロロホ
ルム1000mlを加えて希釈し、この溶液をヘキサン
10lに加えて沈澱を生成させ、該沈澱を乾燥後、蒸留
水4lに溶解させた。この水溶液を分画分子量10万の
限外濾過膜(アミコン社製YM100)を用いて限外濾
過により精製、濾過されないものを回収して凍結乾燥
し、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド−n−ブチ
ルメタクリレート主鎖にポリエチレンオキサイド側鎖を
結合した分子量10万以上のグラフト共重合体170g
を得た。核磁気共鳴スペクトルおよび元素分析の解析結
果からこのグラフト共重合体中のポリエチレンオキサイ
ド側鎖の割合は66重量%であった。
【0043】上記グラフト共重合体5gを蒸留水95g
に氷冷下で溶解し、5重量%の水溶液とした。この水溶
液は20℃以下では完全に透明で流動性の高い水溶液で
あるが、20℃以上の温度では流動性を失い、わずかに
白濁した含水率95重量%の安定なハイドロゲルとなっ
た。このハイドロゲルを冷却すると、20℃でもとの透
明な水溶液にもどった。この変化は、可逆的に繰り返し
観測された。また、このゲルを25℃で多量の水中に投
入したが、溶解しなかった。実施例8 N−ビニルピロリドン22.6gをベンゼン800ml
に溶解、2−メルカプトエチルアミン6.2g、2,
2’−アゾビスイソブチロニトリル1.6gを加え、6
0℃で8時間反応させた。溶媒を減圧留去して100m
lまで濃縮し、ジエチルエーテル2000mlに加えて
沈澱を析出させた。該沈澱を真空乾燥後、蒸留水200
mlに溶解し、分画分子量3000の限外濾過膜(アミ
コン社製YM3)を用いて限外濾過、次いで濾液を分画
分子量1000の限外濾過膜(アミコン社製YM1)を
用いて限外濾過により精製、濾過されないものを回収し
て凍結乾燥し、分子量1000〜3000の片末端に1
級アミノ基を有するポリ−N−ビニルピロリドン10g
を得た。トリニトロベンゼンスルホン酸を用いた1級ア
ミンの定量により、数平均重合度を求めたところ、約2
0であった。 上記の片末端に1級アミノ基を有するポ
リ−N−ビニルピロリドン10gを四塩化炭素50ml
に溶解し、アクリル酸クロライド(国産化学(株)製)
0.46g、トリエチルアミン0.69mlを加え、室
温で終夜反応させた。濾過後、溶媒を減圧留去して片末
端に重合性官能基を導入したポリ−N−ビニルピロリド
ンのモノアクリルアミド体を得た。
【0044】上記ポリ−N−ビニルピロリドンのモノア
クリルアミド体20g、N−n−プロピルアクリルアミ
ド10gを蒸留水1500mlに氷冷下で溶解し、窒素
置換後、過硫酸アンモニウム0.3gおよびテトラメチ
ルエチレンジアミン200μlを加え、氷冷窒素雰囲気
下、終夜反応させた。反応液を分画分子量10万の限外
濾過膜(アミコン社製YM100)を用いて限外濾過に
より精製、濾過されないものを回収して凍結乾燥し、ポ
リ−N−n−プロピルアクリルアミド主鎖にポリ−N−
ビニルピロリドン側鎖を結合した分子量10万以上のグ
ラフト共重合体27gを得た。核磁気共鳴スペクトルお
よび元素分析の解析結果からこのグラフト共重合体中の
ポリ−N−ビニルピロリドン側鎖の割合は66重量%で
あった。
【0045】上記グラフト共重合体5gを蒸留水95g
に氷冷下で溶解し、5重量%の水溶液とした。この水溶
液は25℃以下では完全に透明で流動性の高い水溶液で
あるが、25℃以上の温度では流動性を失い、わずかに
白濁した含水率95重量%の安定なハイドロゲルとなっ
た。このハイドロゲルを冷却すると、25℃でもとの透
明な水溶液にもどった。この変化は、可逆的に繰り返し
観測された。また、このゲルを30℃で多量の水中に投
入したが、溶解しなかった。実施例9 ホウ酸10gを100mlの熱湯に溶解し、室温に冷却
後、25mlのハッカ水を添加し、同時に上記実施例1
で作成したグラフト共重合体25gを添加した後、精製
水を加えて、全量を500mlとした。次いで上記の混
合物を氷冷、攪拌下に、該グラフト共重合体を完全に溶
解し、含嗽(がんそう)、洗口剤を作製した。
【0046】この含嗽、洗口剤のゾル−ゲル転移温度
を、流動性の変化により測定した結果、約25℃であっ
た。実施例10 イソジンガーグル100ml、ハッカ水25ml、及び
実施例1で作製したグラフト共重合体25gを添加した
後、精製水を加えて、全量を500mlとした。次いで
上記の混合物を氷冷、攪拌下に、該グラフト共重合体を
完全に溶解し、含嗽(がんそう)、洗口剤を作製した。
【0047】この含嗽、洗口剤のゾル−ゲル転移温度
を、流動性の変化により測定した結果、約20℃であっ
た。実施例11 予め煮沸して溶存している二酸化炭素を除去した精製水
1000mlに、酢酸鉛10gを溶解し、冷却後、析出
してくる塩基性炭酸鉛を適量の酢酸を加えて溶解させた
溶液に、実施例1で作製したグラフト共重合体50gを
添加し、氷冷、攪拌下に完全に溶解し、湿布(しっぷ)
剤を作製した。
【0048】この湿布剤のゾル−ゲル転移温度を、流動
性の変化により測定した結果、約21℃であった。実施例12 1.0gの塩酸エフェドリン、0.5gのクロロブタノ
ール、5gの実施1で作製したグラフト共重合体を、1
00mlの生理食塩水中に、氷冷、攪拌下に完全に溶解
し、点鼻液を作製した。
【0049】この点鼻液のゾル−ゲル転移温度を、流動
性の変化により測定した結果、約20℃であった。実施例13 1.0gの炭酸水素ナトリウム、500mg(力価)の
クロラムフェニコール、1.5gのホウ酸、0.023
gのパラオキシ安息香酸メチル、5gの実施例7で作製
したグラフト共重合体に全量が100mlとなるように
滅菌精製水を加えて、氷冷、攪拌下に完全に溶解し、点
耳液を作製した。
【0050】この点耳液のゾル−ゲル転移温度を、流動
性の変化により測定した結果、約25℃であった。実施例14 1.0gの硫酸アトロピン、0.56gの無水リン酸二
水素ナトリウム、0.28gの無水リン酸水素ナトリウ
ム、0.36gの塩化ナトリウム、5gの実施例7で作
製したグラフト共重合体に全量が100mlとなるよう
に5000倍に希釈した塩化ベンザルコニウム水溶液を
添加し、氷冷、攪拌下に完全に溶解し、点眼液を作製し
た。
【0051】この点眼液のゾル−ゲル転移温度を、流動
性の変化により測定した結果、約22℃であった。実施例15 19.11gのホウ酸を1000mlの精製水に溶解
し、A液を作製した。12.40gのホウ酸、及び10
0gの実施例7で作製したグラフト共重合体を、100
0mlの精製水中に氷冷、攪拌下に完全に溶解し、B液
を作製した。
【0052】次に、A液とB液を氷冷、攪拌下に完全に
混合し、コンタクトレンズ用洗眼液(pH8.2)を作
製した。このコンタクトレンズ用洗眼液のゾル−ゲル転
移温度を、流動性の変化により測定した結果、約25℃
であった。実施例16 実施例7で作製したグラフト共重合体3.5gに70m
lの精製水を加え、4℃の冷蔵庫内でグラフト共重合体
を完全に溶解し、5%溶液を作製した。一方、バシトラ
シン(5万USP単位)を30mlの流動パラフィン
(モレスコホワイトP−70、村松石油研究所製)で研
和し、4℃の冷蔵庫内で十分に冷却した。この流動パラ
フィンを、上記の5%溶液中にゆっくりと滴下し、溶液
をスターラで攪拌して、流動パラフィンを該溶液中に分
散させ、oil in water型懸濁液を作製した。これらの操
作は4℃の冷蔵庫内で行った。この懸濁液のゾル−ゲル
転移温度を、流動性の変化により測定した結果、約20
℃であった。また、顕微鏡で、ゲル化した懸濁液を観察
したところ、分散された流動パラフィンの粒径分布は、
100μmから1000μmで、平均は約500μmで
あった。懸濁液中の流動パラフィン粒子は、界面活性剤
を使用していないにもかかわらず、凝集することなく、
長期間安定しており、懸濁液をゲル化した効果が認めら
れた。こうして得た懸濁液は、化膿性皮膚炎、火傷、外
傷の化膿防止用軟膏として用いることができた。塗布す
るとき約20℃以下に冷却しておくと、懸濁液はゾル状
となり非常に塗布しやすく、また、皮膚に付着すると体
温で懸濁液はゲルとなり、付着性が非常に良く、また、
違和感もなく快適に使用することができた。実施例17 40gの実施例1で作製したグラフト共重合体に800
mlの精製水を加え、4℃の冷蔵庫内でグラフト共重合
体を完全に溶解し、5%溶液を作製した。一方、テトラ
サイクリン30gを200mlの流動パラフィン(モレ
スコバイオレスU−8、村松石油研究所製)で研和し、
4℃の冷蔵庫内で十分に冷却した。この流動パラフィン
を、上記の5%溶液中にゆっくりと滴下し、溶液をスタ
ーラで攪拌して、流動パラフィンを該溶液中に分散さ
せ、oil in water型懸濁液を作製した。これらの操作は
4℃の冷蔵庫内で行った。この懸濁液のゾル−ゲル転移
温度を、流動性の変化により測定した結果、約20℃で
あった。また、顕微鏡で、ゲル化した懸濁液を観察した
ところ、分散された流動パラフィンの粒径分布は、10
0μmから1000μmで、平均は約500μmであっ
た。懸濁液中の流動パラフィン粒子は、界面活性剤を使
用していないにもかかわらず、凝集することなく、長期
間安定しており、懸濁液をゲル化した効果が認められ
た。こうして得た懸濁液は、口腔用軟膏として用いるこ
とができた。塗布するとき約20℃以下に冷却しておく
と、懸濁液はゾル状となるため、噴霧器を使用して口腔
内に塗布することができ、また、口腔内に付着すると体
温で懸濁液はゲルとなり、口腔内での付着性あるいは滞
留性が非常に良く、また、違和感もなく快適に使用する
ことができた。比較例 比較例1 両末端に1級アミノ基を有するポリプロピレンオキサイ
ド(平均分子量約2000(プロピレンオキサイド平均
重合度32)、米国ジェファーソンケミカル社製:ジェ
ファーミンD−2000、曇点約20℃)20gを四塩
化炭素50mlに溶解し、アクリル酸クロライド(国産
化学(株)製)1.82g、トリエチルアミン2.76
mlを加え、室温で終夜反応させた。濾過後、溶媒を減
圧留去して両末端に重合性官能基を導入したポリプロピ
レンオキサイドジアクリルアミド体を得た。
【0053】上記ポリプロピレンオキサイドジアクリル
アミド体10g、アクリルアミド20gを蒸留水970
mlに氷冷下で溶解し、窒素置換後、過硫酸アンモニウ
ム0.3gおよびテトラメチルエチレンジアミン200
μlを加えたところ、氷冷窒素雰囲気下約30分でゲル
化反応が生起し、いかなる溶媒にも不溶の化学架橋ゲル
となってしまった。比較例2 実施例1で得られたポリプロピレンオキサイドモノアク
リルアミド体10g、N−ビニルピロリドン(関東化学
(株)製)20gをクロロホルム970mlに氷冷下で
溶解し、窒素置換後、2,2’−アゾビスイソブチロニ
トリル0.3gを加え、窒素雰囲気下、終夜沸点還流反
応させた。溶媒を減圧留去後、蒸留水1000mlに溶
解し、分画分子量10万の限外濾過膜(アミコン社製Y
M100)を用いて限外濾過、次いで濾液を分画分子量
3000の限外濾過膜(アミコン社製YM3)を用いて
限外濾過により精製、濾過されないものを回収して凍結
乾燥し、ポリN−ビニルピロリドン主鎖にポリプロピレ
ンオキサイド側鎖を結合した分子量3000〜10万の
グラフト共重合体20gを得た。核磁気共鳴スペクトル
および元素分析の解析結果からこのグラフト共重合体中
のポリプロピレンオキサイド側鎖の割合は33重量%で
あった。
【0054】式(1)においてA=2000、B=11
1、C=33であるから、このグラフト共重合体中の隣
接したポリプロピレンオキサイド側鎖間のポリN−ビニ
ルピロリドンの平均重合度nは約37と算出される。上
記グラフト共重合体5gを蒸留水95gに氷冷下で溶解
し、5重量%の水溶液とした。この水溶液は20℃以下
では完全に透明で流動性の高い水溶液であり、30℃以
上の温度では、わずかに白濁するものの流動性は失われ
ずハイドロゲルとはならなかった。比較例3 両末端をメタクリル酸エステルとしたポリエチレンオキ
サイド(NKエステル23G(平均重合度23)、新中
村化学工業(株)製)40gおよびN−n−プロピルア
クリルアミド20gを蒸留水3000mlに溶解、窒素
置換後、過硫酸アンモニウム1gおよびテトラメチルエ
チレンジアミン5mlを加え、室温窒素雰囲気下で反応
させたところ、約1時間でいかなる溶媒にも不溶の化学
架橋ゲルとなってしまった。比較例4 片末端をメタクリル酸エステルとしたポリエチレンオキ
サイド(NKエステルM−900G(平均重合度9
0)、新中村化学工業(株)製)40gおよびN−イソ
プロピルアクリルアミド20gをクロロホルム3000
mlに溶解し、窒素置換後、2,2’−アゾビスイソブ
チロニトリル0.3gを加え、窒素雰囲気下、終夜沸点
還流反応させた。溶媒を減圧留去後、蒸留水1000m
lに溶解し、分画分子量10万の限外濾過膜(アミコン
社製YM100)を用いて限外濾過、次いで濾液を分画
分子量3000の限外濾過膜(アミコン社製YM3)を
用いて限外濾過により精製、濾過されないものを回収し
て凍結乾燥し、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド
主鎖にポリエチレンオキサイド側鎖を結合した分子量3
000〜10万のグラフト共重合体50gを得た。核磁
気共鳴スペクトルおよび元素分析の解析結果からこのグ
ラフト共重合体中のポリエチレンオキサイド側鎖の割合
は66重量%であった。
【0055】上記グラフト共重合体5gを蒸留水95g
に溶解し、5重量%の水溶液とした。この水溶液は50
℃以上に昇温しても流動性の高い水溶液であり、ハイド
ロゲルとはならなかった。比較例5 平均分子量約6000のポリエチレンオキサイドトリオ
ール(BASF社製)100gを蒸留水1000mlに
溶解、室温で過マンガン酸カリウム12gを徐徐に加え
て反応させた。濾過後、生成物をクロロホルムに抽出、
溶媒を減圧留去してポリエチレンオキサイドトリカルボ
キシル体90gを得た。このポリエチレンオキサイドト
リカルボキシル体10gとポリプロピレンオキサイドジ
アミノ体(プロピレンオキサイド平均重合度約65、米
国ジェファーソンケミカル社製:ジェファーミンD−4
000)10gを四塩化炭素1000mlに溶解、ジシ
クロヘキシルカルボジイミド1.2gを加え、沸点還流
下に6時間反応させた。反応液を冷却、濾過後、溶媒を
減圧留去し、残さを真空乾燥して架橋重合体を得た。こ
れを氷冷下、5wt%の濃度で蒸留水に溶解した。 こ
の水溶液をゆるやかに加温してゆくと、5℃から徐徐に
粘度が上昇し、約10℃で固化し、ハイドロゲルとなっ
た。 このハイドロゲルを冷却すると、5℃で水溶液に
もどった。この変化は、可逆的に繰り返し観測された。比較例6 商品名プルロニックF−127(旭電化工業(株)製)
を氷冷下に20重量%の濃度で蒸留水中に溶解した。該
水溶液は15℃以下では完全に透明で流動性の高い水溶
液であるが、25℃以上の温度では流動性を失い、含水
率80重量%のハイドロゲルとなった。このハイドロゲ
ルを冷却すると、15℃でもとの透明な水溶液に戻っ
た。この変化は、可逆的に繰り返し観測された。しか
し、このゲルを25℃で多量の水中に投入すると、容易
に水に溶解した。
【0056】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、この発明の
外用剤には、基材として、生体表面温度以下では水溶
液、以上ではハイドロゲルとなる性質のグラフト共重合
体水溶液が配合されているので、冷暗所で溶液(ゾル
状)を成し、生体表面温度(25〜35℃)で暖められ
ると、直ちにゲル状に変化して付着滞留する。その結
果、外用剤の使用が著しく容易になるし、生体表面に対
する付着、滞留性が顕著に向上し、医薬品の効果持続性
を著しく高めることができる。しかもゾル−ゲル転移温
度が0℃より高く37℃以下であるため、生体表面に熱
的損傷を与えることがない。しかも、水不溶性医薬品も
しくは該医薬品を含む非水溶性溶媒の懸濁安定性を著し
く向上させる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材が、水溶性高分子主鎖に、その水溶
    液が曇点を有する高分子を側鎖として結合するグラフト
    共重合体と水からなり、グラフト共重合体中の隣接した
    側鎖間の水溶性高分子主鎖の平均重合度が10以上で、
    側鎖の割合が10〜90重量%、かつグラフト共重合体
    の分子量が10万以上であることを特徴とする外用剤。
  2. 【請求項2】 基材が、水溶液が曇点を有する高分子か
    らなる主鎖に、水溶性高分子を側鎖として結合するグラ
    フト共重合体と水からなり、グラフト共重合体の分子量
    が10万以上であることを特徴とする外用剤。
  3. 【請求項3】 外用薬剤が溶解または分散されている請
    求項1または2の外用剤。
  4. 【請求項4】 非水溶性の外用薬剤が非水溶性媒体に含
    有されて配合されている請求項1または2の外用剤。
  5. 【請求項5】 分散助剤が配合されている請求項3また
    は4の外用剤。
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