JPH09204219A - 加工精度不良発生予防診断方法 - Google Patents

加工精度不良発生予防診断方法

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JPH09204219A
JPH09204219A JP1164096A JP1164096A JPH09204219A JP H09204219 A JPH09204219 A JP H09204219A JP 1164096 A JP1164096 A JP 1164096A JP 1164096 A JP1164096 A JP 1164096A JP H09204219 A JPH09204219 A JP H09204219A
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JP
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machining accuracy
wear
tool
suitability
machining
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JP1164096A
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Shigemitsu Nomura
重光 野村
Masao Onishi
正夫 大西
Toshikazu Asakura
敏和 浅倉
Jun Watari
潤 渡利
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ワークを工作機械により加工するにあたり、加
工精度不良発生前に加工精度不良発生可能性原因を特定
する。 【解決手段】工作機械の加工状態を抽出するために工作
機械に配設された複数のセンサから測定値を取り込む過
程と(ステップS3)、取り込んだ測定値から前記工具
の摩耗を診断する過程と(ステップS6〜S9)、取り
込んだ測定値から前記ワークの加工精度を診断する過程
と、工具の摩耗の診断結果と前記ワークの加工精度の診
断結果から加工精度不良発生可能性原因を特定する過程
とを有する。このため、診断結果から加工精度不良発生
可能性原因を特定することができ、加工精度不良のワー
クが発生する前に適当な対応措置を採ることが可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、工作機械に装着
された工具によりワークを加工する際における加工精度
不良発生予防診断方法に関し、特に、加工状態診断装置
に適用して好適な加工精度不良発生予防診断方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】この種の従来技術として、特開平4−1
88307号公報に公表された「故障診断装置」があ
る。
【0003】この技術は、故障発生後に、センサにより
検出された測定値に基づいて、故障原因に対応するメン
バーシップ関数(メンバシップ関数ともいう。)から各
故障原因の適合度を演算し、前記測定値の各故障原因へ
の寄与率を演算し、前記適合度順に故障原因の表示を行
うとともに、メンバーシップ関数および寄与率をディス
プレイ上に表示し、かつ表示されたメンバーシップ関数
を変更・修正することができるように構成された技術で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の技術による故障診断装置は、故障発生後に故障
原因を演算し、この演算結果として得られた故障原因に
基づいて、発生した故障に対して対応措置を採るように
した装置であるため、当然、故障発生前には対応措置を
採ることができないという欠点がある。
【0005】また、故障発生と判断するための閾値設定
を正確に行ったり修正することができないため、重大な
故障が発生した場合などには、工作機械に多大なる影響
を及ぼしかねないという問題もある。
【0006】さらに、故障原因に対応するメンバーシッ
プ関数から各故障原因の適合度を演算するためには、全
てのサンプリングされた測定値に対し重み付け係数を設
定しなければならないが、この作業は非常に繁雑であ
り、正確な係数を求めるのは大変な作業であるという問
題もある。
【0007】結局、上記従来の技術を、例えば、量産ラ
インに適用した場合には、故障に対する対応処理が遅く
なり、最悪の場合には、量産ラインが停止してまうとい
うおそれがある。
【0008】このように、故障に対する予防的保全がで
きない場合には、重大な故障が発生したり、加工精度不
良品を大量に製作してしまうというおそれも存在する。
【0009】この発明は、このような課題を考慮してな
されたものであり、加工精度不良のワーク(製品)が発
生する前に加工精度不良発生可能性原因を特定すること
を可能とする加工精度不良発生予防診断方法を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、工作機械に
装着された工具によりワークを所定加工精度内に加工す
る場合に適用される加工精度発生予防診断方法におい
て、前記工作機械の加工状態を抽出するために前記工作
機械に配設された複数のセンサから測定値を取り込む過
程と、前記測定値から前記工具の摩耗を診断する過程
と、前記測定値から前記ワークの加工精度を診断する過
程と、前記工具の摩耗の診断結果と前記ワークの加工精
度の診断結果から加工精度不良発生可能性原因を特定す
る過程とを有することを特徴とする。
【0011】この発明によれば、工作機械の加工状態を
抽出するための複数のセンサから取り込まれた測定値に
基づいて工具の摩耗とワークの加工精度を診断し、この
診断結果から加工精度不良発生可能性原因を特定するよ
うにしている。加工精度不良発生前に加工精度不良発生
可能性原因を特定することができることから、加工精度
不良のワークが発生する前に適当な対応措置を採ること
が可能となる。
【0012】また、この発明は、工作機械に装着された
工具によりワークを所定加工精度内に加工する場合に適
用される加工精度不良発生予防診断方法において、前記
工作機械の加工状態を抽出するために前記工作機械に配
設された複数のセンサから測定値を取り込む過程と、前
記測定値を各要素とし、予め刃具摩耗判定用として格納
されている複数のメンバーシップ関数のうち対応するメ
ンバーシップ関数を参照して各刃具摩耗適合度を算出
し、この各刃具摩耗適合度と所定の刃具摩耗閾値とを比
較して前記工具の摩耗を診断する過程と、前記測定値を
各要素として、予めワーク加工精度判定用として格納さ
れている複数のメンバーシップ関数のうち対応するメン
バーシップ関数を参照して各ワーク加工精度適合度を算
出し、この各加工精度適合度と所定の加工精度閾値とを
比較して前記ワークの加工精度の良否を診断する過程
と、前記工具摩耗の診断結果と前記ワークの加工精度の
診断結果から加工精度不良発生原因を特定する過程とを
有することを特徴とする。
【0013】この発明によれば、工作機械の加工状態を
抽出するための複数のセンサから取り込まれた各測定値
に対応するメンバーシップ関数を参照して工具の摩耗と
ワークの加工精度の適合度を算出し、算出した各適合度
と閾値を比較して工具の摩耗または加工精度の良否を診
断し、この診断結果から加工精度不良発生可能性原因を
特定することができることから、加工精度不良のワーク
が発生する前に適当な対応措置を採ることが可能とな
る。なお、所定の閾値は、所望の値に変更することが容
易である。
【0014】さらに、この発明は、工作機械に装着され
た工具によりワークを所定加工精度内に加工する場合に
適用される加工精度不良発生予防診断方法において、前
記工作機械の加工状態を抽出するために前記工作機械に
配設された複数のセンサから測定値を取り込む過程と、
前記測定値を各要素とし、予め刃具摩耗判定用として格
納されている複数のメンバーシップ関数のうち対応する
メンバーシップ関数を参照して各刃具摩耗適合度を算出
し、この各刃具摩耗適合度により前記工具の摩耗を診断
する過程と、前記各刃具摩耗適合度に対応する各重み付
けを付加した刃具摩耗合成適合度で前記工具の摩耗を診
断する過程と、前記測定値を各要素として、予めワーク
加工精度判定用として格納されている複数のメンバーシ
ップ関数のうち対応するメンバーシップ関数を参照して
各ワーク加工精度適合度を算出し、この各加工精度適合
度により前記ワークの加工精度を診断する過程と、前記
各加工精度適合度に対応する各重み付けを付加したワー
クの加工精度合成適合度で前記工具の摩耗を診断する過
程と、前記各刃具摩耗適合度、前記刃具摩耗合成適合
度、前記加工精度適合度、前記加工精度合成適合度に基
づき、前記工作機械の加工速度が速い、遅い等の各挙動
に関する適合度を求める過程と、前記各挙動と複数の加
工不良発生原因との各組み合わせに対して重み付け係数
が予め定められた因果関係表と、前記各挙動に関して求
めた適合度とから加工精度不良発生可能性原因を特定す
る過程とを有することを特徴とする。
【0015】この発明によれば、工作機械の加工状態を
抽出するための複数のセンサから取り込まれた測定値に
対応するメンバーシップ関数を参照して、工具の摩耗と
ワークの加工精度とを診断するとともに、これらに重み
付け係数を付加して合成した適合度で工具の摩耗とワー
クの加工精度とを診断し、さらに、工作機械の各挙動に
関する適合度を求め、前記各挙動と複数の加工不良発生
原因との各組み合わせに対して重み付け係数が予め定め
られた因果関係表と、前記各挙動に関して求めた適合度
とから加工精度不良発生可能性原因を特定するようにし
ている。
【0016】このため、特定された加工精度不良発生可
能性原因に基づいて、加工精度不良のワークが発生する
前に、適当な対応措置を採ることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態に
ついて図面を参照して説明する。
【0018】図1は、この一実施の形態が適用された加
工状態診断装置を含む工作機械ステーションを示してい
る。
【0019】この工作機械ステーションは、基本的に
は、工作機械11と数値制御盤12とから構成され、工
作機械11と数値制御盤12とは、通信線、電源線等の
配線13を通じて相互に電気的に接続されている。
【0020】工作機械11は、ベース15を有し、この
ベース15上の一端側にコラム16が垂直方向に配設さ
れている。このコラム16に平行にワーク取付台17が
配設されている。ワーク取付台17の主面上に、ワーク
であるバルブシート10を複数個装着配置可能なワーク
保持ユニット18が配設されている。
【0021】ワーク保持ユニット18には、L字状の部
材を介して、歪ゲージや電子マイクロメータ等の変位セ
ンサ(相対変位量検出手段)19が固定されている。変
位センサ19としては、歪ゲージや電子マイクロメータ
に限らず、レーザを利用した測長機または磁気スケール
等を用いることができる。
【0022】変位センサ19の出力信号は、コラム16
中、ベース15中、配線13を通じて加工精度不良発生
予防診断装置本体としての数値制御盤12内に取り込ま
れる。
【0023】工作機械11のベース15上には、数値制
御盤12により駆動制御され、図示しない油圧源から流
体としての油が供給乃至排出される油圧シリンダ21が
配設されている。この油圧シリンダ21のロッド22を
通じて、スピンドルモータ(スピンドルユニット)24
を含むスライドユニット25が矢印Z方向(前進方向と
もいう。なお、Zは変位量としても使用する。)または
その反対方向(後退方向ともいう。)に移動される。こ
のロッド22の前進速度が、数値制御盤12内の後述す
るタイマと変位センサ19からの変位信号に基づき数値
制御盤12で演算される。
【0024】スライドユニット25の矢印Z方向の前方
には、ギャングヘッド26がこのスライドユニット25
に一体的に配設されている。ギャングヘッド26の上部
には、ギャングヘッド26の振動の振幅(振動量もとい
う。)Vbを測定する振動センサ31が固定されてい
る。振動センサ31の出力信号である振動量Vbも、数
値制御盤12内に取り込まれる。
【0025】また、ギャングヘッド26の先端部には、
前記スピンドルモータ24にギヤを介して結合される複
数の工具取付ヘッド27が配設され、その工具取付ヘッ
ド27にエンドミル等の刃具である工具(加工工具とも
いう。)28が取り付けられている。工具28がスピン
ドルモータ24により回転されながら、矢印Z方向に進
行することで、ワークであるバルブシート10が切削乃
至研削される。
【0026】なお、前記数値制御盤12により演算され
る前進速度は、バルブシート10を通常切削するための
加工速度Vpと仕上げ加工するための仕上げ速度Vfで
ある。
【0027】前記スピンドルモータ24には回転計(回
転センサ)30が取り付けられ、計測されたスピンドル
モータ24の回転数Rsp[rpm]が数値制御盤12
に取り込まれる。なお、スピンドルモータ24に流れる
スピンドル電流波形が数値制御盤12内のクランプメー
タ32により数値制御盤12に取り込まれ、この数値制
御盤12によりフーリエ変換されてスピンドル電流波形
に含まれる振動成分の周波数と強さがスピンドル電流振
動(スピンドル電流振動分ともいう。)Ispとして数
値制御盤12に取り込まれる。
【0028】前記油圧シリンダ21には、油圧センサ3
3と油温センサ34と前記油圧センサ33とは別体の図
示していない油圧センサとが接続され、それぞれ、シリ
ンダ後退圧力Prとシリンダ油温Tempとシリンダ前
進圧力Pfとして数値制御盤12に取り込まれる。
【0029】ベース15とギャングヘッド26との突き
当たり対向部(以下、ストッパともいう。)36には、
ギャングヘッド26側に荷重センサ35が固定されてい
る。この荷重センサ35によりギャングヘッド26の駆
動推力Dtが検出され、数値制御盤12に取り込まれ
る。
【0030】また、荷重センサ35がストッパ36に突
き当たってからの変位量がたわみ量として変位センサ1
9により検出され、検出されたたわみ量Fbが数値制御
盤12に取り込まれる。
【0031】さらに、後に説明するドウェル処理に係る
ドウェル時間Tdとターリ時間Ttが数値制御盤12で
設定され監視される。
【0032】さらにまた、ギャングヘッド26の駆動推
力Dtとシリンダ前進圧力Pfとシリンダ後退圧力Pr
とから数値制御盤12により加工推力(切削負荷と考え
ることもできる。)Lcが演算され、数値制御盤12内
に取り込まれる。
【0033】さらにまた、ベース15には、ギャングヘ
ッド26のZ方向の移動距離を監視するリミットスイッ
チ(以下、LSともいう。)がそのZ方向の適当な位置
に複数箇固定され、ギャングヘッド26またはスライド
ユニット25に取り付けられた図示しないドグによりオ
ンオフされるようになっている。そのオンオフ信号が、
数値制御盤12内のロジックプローブ37を通じて数値
制御盤12内に取り込まれるようになっている。
【0034】図1に示す加工ステーションの概略的な電
気的回路ブロック図を図2に示す。数値制御盤12は、
制御演算手段本体としてのCPU41を有し、CPU4
1は、ドウェル時間Td等を計時する計時手段としての
タイマ42を内蔵している。
【0035】CPU41には、プログラム記憶手段とし
てのROM43が接続され、このROM43には、後述
するサンプリングを制御するためのサンプリングプログ
ラム43aと、サンプリングデータである測定値を演算
制御するサンプリングデータ演算プログラム43bと、
各種メンバーシップ関数が格納されたメンバーシップ関
数設定プログラム43cと、メンバーシップ関数に関連
して適合度を演算するメンバーシップ関数演算プログラ
ム43dと、適合度に重み付けを設定する加算設定プロ
グラム43eと、重み付け設定された適合度を加算する
加算演算プログラム43fと、原因推論過程において閾
値等を設定するための原因推論設定プログラム43g
と、加工精度不良発生可能性原因を推論する原因推論演
算プログラム43hと、バルブシート10を工作機械1
1により加工するための加工制御プログラム43i等が
格納されている。
【0036】また、CPU41には、いわゆるワーク用
等のRAM44が接続され、このRAM44には、測定
値であるサンプリングデータ44aと、サンプリングデ
ータ加工用の演算パラメータ44bと、サンプリングデ
ータ演算結果44cと、メンバーシップ関数パラメータ
44dと、メンバーシップ関数演算結果(適合度演算結
果)44eと、加算パラメータ44fと、加算結果44
gと、原因推論パラメータ44hと、原因推論結果44
i等が記憶される記憶エリアに分割されている。
【0037】記憶された原因推論結果44iは、CPU
41に接続された出力手段であるCRT等のディスプレ
イ45に表示される。また、原因推論結果44iは、C
PU41に接続されたハードディスク47に記憶され
る。さらに、CPU41には、データ入力手段としてキ
ーボード46および図示しないマウス等のポインティン
グデバイスが接続されている。
【0038】工作機械11と数値制御盤12とに取り付
けられている各種センサSS(上述の変位センサ19、
回転計30、振動センサ31、クランプメータ32、油
圧センサ33、油温センサ34、荷重センサ35)の出
力信号は、サンプリングプログラム43aに基づきサン
プルホールド回路49とAD変換回路50を通じて、サ
ンプリングデータ44aとしてRAM44中に取り込ま
れる。
【0039】図3は、ワークであり製品とされるバルブ
シート10の構成を示している。バルブシート10の底
面内周壁をテーパ加工して、バルブ用の座面52を形成
しようとする場合、ワーク保持ユニット18上に固定さ
れたバルブシート10に対して、スピンドルモータ24
に取り付けたエンドミル等の工具28を矢印Z方向(バ
ルブシート10の中心軸方向)に進行させ、座面52を
切削乃至研削する。そして、この研削の最終段階におい
て、加工精度(研削精度)を上げる場合には、工具28
の矢印Z方向への進行速度を制御して所定時間仕上げ加
工処理を行う、いわゆるドウェル処理を行うことが有効
であることが知られている。
【0040】加工処理結果、換言すれば、加工精度の良
否を判定するために、研削されたバルブシート10が、
図示しない圧力もれ測定工程に送られ、その工程内の検
査室において、例えば、図4に示すように、エンジンを
構成するシリンダ室53の上端に取り付けられる。
【0041】バルブシート10をシリンダ室53に取り
付けた状態において、バルブ54を図4に示すように閉
じて、シリンダ室53に一定の空気圧力をかける。この
とき、通路55内の圧力もれ量(圧もれ量ともいう。)
(cc/min)を流量計で測定し、この測定した圧力
もれ量が規定の圧力もれ量(設定圧力もれ量ともい
う。)以下であることを条件に、所望の加工精度(研削
精度)が得られたものと間接的に認定している。
【0042】次に上記実施の形態が組み込まれた工作ス
テーションの動作について、図5、図6に示すフローチ
ャートを参照して説明する。なお、制御主体は、CPU
41である。
【0043】まず、作業者が数値制御盤12上の図示し
ない開始ボタンを押すことで加工制御が開始される(ス
テップS1)。
【0044】すなわち、ROM43に格納されている加
工制御プログラム43iに基づく一連の加工制御が行わ
れる(ステップS2)。このステップS2では、工作機
械11のスライドユニット25が、原点位置(図1中、
2点鎖線で示す位置)から矢印Z方向に所定LS(リミ
ットスイッチ)の位置まで早送りされた後、スピンドル
モータ24の回転が開始される。同時に送り速度が早送
り速度より遅い加工速度Vpに変更され、スピンドルモ
ータ24が一定時間空転した後、工具28がバルブシー
ト10に突き当たり、実際の加工が開始される。この状
態で工具28がある一定距離だけZ方向に送られた後、
設定ターリ時間(略、仕上げ加工時間に対応する時間)
Ttの計時が開始される。次に、荷重センサ35がスト
ッパ36に突き当たったとき、送り速度が、さらに遅い
仕上げ送り速度(たわみ速度ともいう。)Vfに変更さ
れて、仕上げ加工が行われる。
【0045】その後、工具28の空転処理による仕上げ
研削のためのドウェル時間Tdの計時が開始され、その
計時終了時点が前記設定ターリ時間Ttの終了時点とさ
れて、バルブシート10の座面52の加工が終了する。
【0046】ステップS2の処理中に、一定サンプリン
グ周期毎、各センサSSのサンプリングデータが測定値
としてRAM44のサンプリングデータ44aの記憶エ
リアに記憶される(ステップS3)。
【0047】実際上、サンプリングデータ(測定値)
は、バルブシート10の座面52の加工が終了してギャ
ングヘッド26が図1に2点鎖線で示す原位置に復帰し
た時点まで取り込まれ、その時点で加工制御が終了する
(ステップS4)。
【0048】また、サンプリングデータが取り込まれる
と同時に、サンプリングデータ演算プログラム43bを
利用して、所定の演算が行われて演算値が求められ、サ
ンプリングデータ演算結果44cとして記憶される(ス
テップS5)。ここで行われる所定の演算は、仕上げ速
度(たわみ速度)Vf/加工速度Vp=速度比Vrの算
出演算、スピンドル電流の振動分Isp[dB]を求め
るためのフーリエ変換とその後の対数演算、加工推力
(切削負荷)Lcの算出演算等である。
【0049】次に、ステップS6からステップS15に
おいて、刃具摩耗判定に係る処理が実行される。
【0050】まず、予めROM43に格納されているメ
ンバーシップ関数演算プログラム43dを参照して、刃
具摩耗の適合度Xiを算出する(ステップS6)。この
場合、刃具摩耗の数値化に必要なサンプリングデータ
(測定値)と演算結果とメンバーシップ関数がRAM4
4とROM43の所定の記憶エリアから抽出される。こ
こで、サンプリングデータと演算結果は、メンバーシッ
プ関数の要素を表す変数として取り扱われる。
【0051】刃具摩耗の適合度Xiを算出するための変
数は、スピンドル電流振動分Ispと加工推力Lcと速
度比Vrである。
【0052】図7Aはスピンドル電流振動分Ispに関
するメンバーシップ関数Mspを表しており、図7Bは
加工推力Lcに関するメンバーシップ関数Mcを表して
おり、図7Cは速度比Vrに関するメンバーシップ関数
Mrを表している。
【0053】ここで、変数(サンプリングデータまたは
その演算結果)の値は、図7A、図7B、図7Cにそれ
ぞれ記号○印で示すように、スピンドル電流振動分Is
pがIsp=−22[dB]、加工推力LcがLc=8
5[kg]、速度比VrがVr=1.0である。したが
って、メンバーシップ関数Msp、Mc、Mrの各値、
換言すれば、刃具摩耗の適合度Xiの値は、図7A、図
7B、図7Cを参照して、それぞれ、Msp(Isp)
=Xsp=0、Mc(Lc)=Xc=6、Mr(Vr)
=Xr=5が算出される。
【0054】次に、これらの適合度Xi=Xsp、X
c、Xrと第1の閾値(第1の基準値)R1とを比較す
る、言い換えれば、サンプリングデータ(測定値)と演
算結果とを第1の閾値R1により間接的に監視する(ス
テップS7)。
【0055】図8は、このステップS7の比較過程の説
明に供される棒グラフを示している。適合度Xiの各値
Xsp=0、Xc=6、Xr=5は、いずれも第1の閾
値R1の値(R1=10)未満の値であるので、このス
テップS7の判定に限れば、刃具摩耗を起こしていない
ようであると判断される。
【0056】次に、ファジィ推論、いわゆる証拠の積み
重ねを用い、次の(1)式に示す、適合度Xi=Xs
p、Xc、Xrの重み付け加算値(刃具摩耗合成適合度
ともいう。)Yiを求める(ステップS8)。
【0057】 Yi=Σai・Xi …(1) (1)式において、aiは、加算設定プログラム43e
に予め格納されている重み付け係数であり、スピンドル
電流振動分Ispに関するメンバーシップ関数Msp用
の係数aspとしてasp=0.5、加工推力Lcに関
するメンバーシップ関数Mc用の係数acとしてac=
0.4、速度比Vrのメンバーシップ関数Mr用の係数
arとしてar=0.1が抽出され、加算パラメータ4
4fの記憶エリアに設定される。
【0058】したがって、ステップS8で計算される刃
具摩耗合成適合度Yiは、次の(2)式に示すように、
Yi=2.9と計算され、この刃具摩耗合成適合度Yi
は加算結果44gのメモリエリアに格納される。
【0059】 Yi=asp・Xsp+ac・Xc+ar・Xr =0.5×0+0.4×6+0.1×5=2.9 …(2) 次に、刃具摩耗合成適合度Yiと第2の閾値(第2の基
準値)R2(R2=5)とを比較する(ステップS
9)。
【0060】図9は、このステップS9の比較過程の説
明に供される棒グラフを示している。図9から明らかな
ように、刃具摩耗合成適合度Yiの値Yi=2.4+
0.5=2.9は、第2の閾値R2を超えていないの
で、刃具摩耗が発生していないようである(刃具が未摩
耗である)と推論される。
【0061】この「刃具未摩耗」の推論結果が原因推論
結果44iのメモリエリアに記憶され(ステップS1
0)、ディスプレイ45上に、例えば、「刃具摩耗が発
生していないようである。」との文言とともに、図8と
図9に示す棒グラフの表示がなされる(ステップS1
1)。
【0062】なお、ステップS7、ステップS9の判定
が否定的(Xi≧R1またはΣaiXi≧R2)である
場合には、刃具交換が必要であるという結果が原因推論
結果44iのメモリエリアに格納され、工作機械11に
自動的にインターロックがかけられる(ステップS1
3)。
【0063】そして、「刃具が摩耗している。」、また
は「刃具が摩耗しているので加工精度不良発生となる可
能性がある。」という文言の警告表示とともに、図8と
図9に示す棒グラフの表示をディスプレイ45上に行う
(ステップS14)。
【0064】この表示を見た作業者が、刃具である工具
28を手作業で交換した後、インターロックの解除ボタ
ンを押すことでインターロックが解除される(ステップ
S15)。
【0065】以下、ステップS21以降において、バル
ブシート10の圧もれ量についての圧もれ判定(加工精
度判定)に係る処理を実行する。
【0066】まず、ステップS6で説明したのと同様
に、予めROM43に格納されているメンバーシップ関
数演算プログラム43dを参照して、圧もれ判定の適合
度Xjを算出する(ステップS21)。この場合、ステ
ップS3の処理とステップS5の処理によりRAM44
に格納されているサンプリングデータと演算結果(この
演算結果には、刃具摩耗合成適合度Yiも含まれる。)
とから、圧もれ判定の数値化に必要なサンプリングデー
タ(測定値)と演算結果とメンバーシップ関数が抽出さ
れる。なお、上述したように、サンプリングデータと演
算結果は、メンバーシップ関数の要素を表す変数として
取り扱われる。
【0067】圧もれ判定の適合度Xjを算出するための
変数は、刃具摩耗合成適合度Yiとドウェル時間Tdと
ギャングヘッド26の振動量Vbと工具28の仕上げ速
度(たわみ速度)Vfである。
【0068】図10Aはドウェル時間Tdに関するメン
バーシップ関数Mdを表しており、図10Bはギャング
ヘッド26の振動量Vbに関するメンバーシップ関数M
bを表しており、図10Cは仕上げ速度Vfに関するメ
ンバーシップ関数Mfを表している。
【0069】ここで、変数の値は、図10A、図10
B、図10Cにそれぞれ記号○印で示すように、ドウェ
ル時間TdがTd=0.1[sec]、振動量VbがV
b=0[G]、仕上げ速度VfがVf=6[mm/mi
n]である。したがって、メンバーシップ関数Md、M
b、Mfの値、換言すれば、圧もれの適合度Xjの値
は、図10A、図10B、図10Cを参照して、それぞ
れ、Md(Td)=Xd=9.9、Mb(Vg)=Xb
=0、Mf(Vf)=Xf=0が算出される。なお、刃
具摩耗合成適合度Yiの値は、ステップS8で計算した
値である刃具摩耗合成適合度Yi=2.9である。
【0070】次に、これらの適合度Xj=Yi、Xd、
Xb、Xfの各々の値と第3の閾値(第3の基準値)R
3とを比較する(ステップS22)。
【0071】図11は、このステップS22の比較過程
の説明に供される棒グラフを示している。適合度Xjの
各値Yi=2.9、Xd=9.9(Td)、Xb=0
(Vb)、Xf=0(Vf)は、いずれも第3の閾値R
3の値(R3=10)未満の値であるので、このステッ
プS22の判定に限れば、製作されたバルブシート10
は圧もれを起こさないものと思われる。言い換えれば、
加工精度は、所望の精度以内であるものと思われる。
【0072】次に、ファジィ推論、いわゆる証拠の積み
重ねを用い、次の(3)式に示す、適合度Xj=Yi、
Xd、Xb、Xfの重み付け加算値(加工精度合成適合
度ともいう。)Yjを求める(ステップS8)。
【0073】 Yj=Σaj・Xj …(3) (3)式において、ajは、加算設定プログラム43e
に予め格納されている重み付け係数であり、刃具摩耗合
成適合度Yiの係数ayiとしてayi=0.4、ドウ
ェル時間Tdに関するメンバーシップ関数Md用の係数
adとしてad=0.4、振動量Vbに関するメンバー
シップ関数Mb用の係数abとしてab=0.1、仕上
げ速度Vfに関するメンバーシップ関数Mf用の係数a
fとしてaf=0.5が抽出され、加算パラメータ44
fの記憶エリアに設定される。
【0074】したがって、ステップS23で計算される
加工精度合成適合度Yjは、次の(4)式に示すよう
に、Yj=5.1と計算され、加算結果44gのメモリ
エリアに格納される。
【0075】 Yj=ayi・Yi+ad・Xd+ab・Xb+af・Xf =0.4×2.9+0.4×9.9+0.1×0+0.5×0 =5.1 …(4) 次に、このようにして計算した加工精度合成適合度Yj
と第4の閾値(第4の基準値)R4(R4=5)とを比
較する(ステップS24)。
【0076】図12は、このステップS24の比較過程
の説明に供される棒グラフを示している。加工精度合成
適合度Yjの値Yj=1.16+3.96=5.12
は、設定値である第4の閾値R4を超えているので、圧
もれが発生すると判断される。
【0077】この場合、工作機械11に対してインター
ロックがかけられて加工が中断される(ステップS2
5)。
【0078】そして、原因推論演算プログラム43hに
基づく圧もれ原因推論が開始される(ステップS2
6)。この原因推論演算処理は、以下に詳しく説明する
ように、基本的には、パターン認識の類似度法を用いて
実際に測定した挙動データと予め求めてある因果関係マ
トリクス(因果関係表ともいう。)とを比較して加工精
度不良発生可能性原因を推論し、推論結果を表示する処
理である。
【0079】そこでまず、原因推論設定プログラム43
gにより、圧もれ原因(加工精度不良発生可能性原因)
を特定するための必要なデータを上述の挙動データ、言
い換えれば、上記ステップS3で取得したサンプリング
データおよび上記ステップS5で算出した演算値から抽
出する(ステップS27)。
【0080】次に、各挙動データに対応するメンバーシ
ップ関数から適合度(適合度パターンともいう。)Xk
を求める(ステップS28)。
【0081】実際上、この実施の形態において、挙動デ
ータに対応するメンバーシップ関数は、上述したメンバ
ーシップ関数Msp、Mc、Mr、Md、Mb、Mf
(図7、図10参照)も含めて22種類あり、それらを
全て示すと繁雑であるので省略するが、その22種類の
メンバーシップ関数から求めた適合度Xkを図13に棒
グラフで示す。
【0082】なお、図13の横軸上には、メンバーシッ
プ関数の理解を容易にするために、符号ではなく、メン
バーシップ関数の名称「B速速い」〜メンバーシップ関
数の名称「SP回転数低」までの用語を書き入れてい
る。図13中、「B速」とは加工速度Vpと同じ意味で
あり、「たわみ量」とは、ギャングヘッド26がストッ
パ36に突き当たった後のZ方向(前進方向)の変位量
を表し、「G/H推力」とは、ギャングヘッド26の駆
動推力Dtを表し、「G/H振動」とはギャングヘッド
ヘッド26の振動量Vbを表している。また、「CYL
前進圧」とは、油圧シリンダ21のシリンダ前進圧力P
fを表し、「CYL油温」とは、シリンダ油温Temp
を表している。さらに「SP電流(振動)」とはスピン
ドル電流振動Ispを表し、「SP回転数」とはスピン
ドルモータ24の回転数Rspを表している。
【0083】次に、サンプリングデータ等に基づいて得
られた挙動データである適合度パターンXk(図13参
照)と予め原因推論演算プログラム43hの中に、ルッ
クアップテーブルとして記憶されている因果関係表61
(図14参照)に表されている各種パターンとを比較し
て類似度Sを求め、加工精度不良発生可能性原因を特定
する(ステップS29)。
【0084】図14に示す因果関係表61から、加工精
度不良発生可能性原因としては、状態を監視する必要の
ある、フロコン目盛(フロートコントロール目盛の略で
あり、油圧シリンダ21に供給される油の流量を決定す
るために流量比例制御弁に表示されている目盛)設定の
高低(高すぎるか低すぎるかということを意味してい
る。)、前進圧(油圧センサ33で検出されるシリンダ
前進圧力Pf)の設定の高低、ターリ時間設定の長短、
CYL油温(油温センサ34で測定された油温Tem
p)の高低の8種類の原因が予め求められている。
【0085】これら8種類の原因に対して、それぞれ、
対策方法(対応処理)が予め求められている。すなわ
ち、フロコン目盛設定が高い場合には、その目盛を調整
して低くし、フロコン目盛設定が低い場合には、その目
盛を調整して高くする。
【0086】また、前進圧設定が高い場合には流量比例
制御弁(油圧力弁)を調整して低くし、前進圧設定が低
い場合には流量比例制御弁を調整して高くする。
【0087】さらに、ターリ時間設定が長い(高い)場
合にはタイマ42に設定される計時時間を短く(低く)
し、ターリ時間設定が短い(低い)場合にはタイマ42
に設定される計時時間を長く(高く)する。
【0088】さらにまた、CYL油温が高い場合には油
圧シリンダ21の動作を停止させて工作機械11の運転
を停止させCYL油温が低くなるのを待つ。CYL油温
が低い場合には油圧シリンダ21を暖気運転して、CY
L油温が高くなるのを待つ。なお、これらの対応処理の
内容は、CPU41によりディスプレイ45上に表示さ
れ、その表示に対応して自動的に、あるいは作業者によ
り手動で行われる。
【0089】因果関係表61中、列方向の内容は、前記
の図13の横軸に示す挙動データと同一の内容である。
【0090】この因果関係表61のマトリクスの要素
は、「○」、「△」、「 」(何も記載していないとい
う意味)の3種類で示しているが、それぞれ、重み付け
係数としての適合度の実際の値として、「○」が○=1
0、「△」が△=5、「 」の中はゼロ値=0が格納さ
れている。
【0091】したがって、例えば、「フロコン目盛設定
低い」の重み付けパターン(符号を62とする。)は、
因果関係表61から図15に示すパターンになることが
分かる。
【0092】また、図16および図17は、それぞれ、
「ターリ時間設定短い」の重み付けパターン63と「C
YL油温高い」の重み付けパターン64を示している。
【0093】類似度Sは、挙動データである適合度パタ
ーンXk(図13参照)に対して、「フロコン目盛設定
低い」の重み付けパターン62、「ターリ時間設定短
い」の重み付けパターン63および「CYL油温高い」
の重み付けパターン64が各々どの程度似ているかを判
断するためものである。
【0094】実際の類似度Sを求める前に、図18例を
参照して類似度Sの求め方を簡単に説明する。
【0095】図18Aに示すパターンIが、図18Bに
示すパターンIIにどの程度類似しているかの類似度S
(I II)は、次の(5)式に示す、いわゆる内積に
より求めることができる。
【0096】 S(I II)=(a×a+b×b+c×c)/ {√(a^2+b^2+c^2)×√(a^2+b^2+c^2)} …(5) なお、(5)式において、記号「^」は、累乗を表し、
右辺の分子中「a×a」の左側の「a」はパターンIの
「a」の値、右側の「a」はパターンIIの「a」の値
を示す。また、分母中、左側の√の中の「a」はパター
ンIの「a」の値、右側の√の中の「a」はパターンI
Iの「a」の値を示す。パターンIのパターンIIIに
対する類似度S(I III)も(5)式と同様な式で
与えられる。
【0097】したがって、図18例において、パターン
IのパターンIIに対する類似度S(I II)の具体
的な値は、以下のように算出され、類似度S(I I
I)=0.997になる。
【0098】 S(I II)=(6×5+9×7+6×4)/ {√(6^2+9^2+6^2)×√(5^2+7^2+4^2)} =0.997 …(6) パターンIとパターンIIの類似度S(I II)が最
大値を採る場合、すなわち、全く同じパターンである場
合には、類似度S(I II)の値は1になるので、類
似度S(I II)の値がそれぞれ0.997のパター
ンIとパターンIIとは、きわめて類似したパターンで
あることが分かる。
【0099】一方、パターンIとパターンIIIとの類
似度S(I III)を求めると、類似度S(I II
I)=0.824になり、類似度S(I II)>類似
度S(I III)であるので、パターンIに対してパ
ターンIIの方がパターンIIIよりも類似していると
判断できる。
【0100】そこで、「フロコン目盛設定低い」の重み
付けパターン62(図15参照)、「ターリ時間設定短
い」の重み付けパターン63(図16参照)および「C
YL油温高い」の重み付けパターン64(図17参照)
のそれぞれのパターンに対する挙動データである適合度
パターンXk(図13参照)の類似度S(Xk 6
2)、S(Xk 63)、S(Xk 64)をそれぞれ
求めると、 類似度S(Xk 62)=0.887 類似度S(Xk 63)=0.451 類似度S(Xk 64)=0.305 として算出される。
【0101】以上がステップS29における類似度の算
出過程の説明である。このようにして算出された類似度
Sがディスプレイ45上に表示されるとともに、その画
面上には、「フロコン設定目盛が低い可能性が高いので
フロコン目盛設定を高くする必要があります。例えば、
フロコン目盛を「1.0」から「1.3」に変更してく
ださい。」と、「ターリ時間設定が短い可能性が高いの
で設定ターリ時間を延ばす必要があります。例えば、設
定ターリ時間を「2.0sec」から「2.5sec」
に変更してください。」との表示がなされる(ステップ
S31)。
【0102】そこで、作業者が、この表示に基づいて、
数値入力を行うことでインターロックが解除される(ス
テップS31)。なお、画面上に表示された「自動数値
入力」ボタンを図示しないマウス等のポインティングデ
バイスでヒットすることにより表示された数値を自動的
に入力することもできる。
【0103】ステップS31の処理の終了後に、次に加
工しようとするワークがある場合には、ステップS32
の判定が肯定的とされてステップS1からの加工制御が
再び開始され、ステップS32の判定が否定的となった
場合には、全ての制御が終了する。
【0104】なお、ステップS24において、圧もれ判
定についての適合度の加算値ΣajXjが第4の閾値R
4より小さい場合には、圧もれ量は設定値未満であると
判断され(ステップS33)、そのことがディスプレイ
45上に表示される。そして、次に加工しようとするワ
ークが残っているかどうかの判定処理が再び行われる
(ステップS32)。
【0105】実際に、フロコン目盛のみを「1.0」か
ら「1.3」に変更した場合におけるステップS23で
計算される圧もれ判定についての適合度の加算値Σaj
Xjの値はΣajXj=4.6となり、第4の閾値R4
の値R4=5以下になることが確認されている。また、
設定ターリ時間のみを「2.0sec」から「2.5s
ec」に変更した場合におけるステップS23で計算さ
れる圧もれ判定についての適合度の加算値ΣajXjの
値はΣajXj=4.4となり、第4の閾値R4の値R
4=5以下になることが確認されている。すなわち、い
ずれの場合にも、ステップS24の判定において、Σa
jXj<5となり、ステップS33以下の処理が行える
ようになった。
【0106】このように上述の実施の形態によれば、工
具28である刃具の摩耗度を刃具摩耗の適合度Xiおよ
び刃具摩耗合成適合度Yiとして容易に数値化でき、実
際に刃具摩耗と判定される前に刃具交換の指示が可能と
なる。また、加工精度を圧もれ判定の適合度Xjおよび
加工精度合成適合度Yjとして容易に数値化できるの
で、加工精度不良品を後工程に送ることが防止できる。
さらに、「加工精度不良発生可能性有」と判定された場
合に、数値入力による正確な対応処理を効率よくかつ的
確に行うことができる。さらにまた、「加工精度不良発
生可能性有」と判断するための閾値R1〜R4の設定を
正確に行ったり修正することも容易である。
【0107】なお、この発明は上述の実施の形態に限ら
ず、この発明の要旨を逸脱することなく種々の構成を採
り得ることはもちろんである。
【0108】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、工作機械の加工状態を抽出するための複数のセンサ
から取り込まれた測定値に基づいて工具の摩耗とワーク
の加工精度を診断し、この診断結果から加工精度不良発
生可能性原因を特定するようにしている。加工精度不良
発生前に加工精度不良発生可能性原因を特定することが
できることから、加工精度不良のワークが発生する前に
適当な対応措置を採ることが可能となるという効果が達
成される。したがって、量産ラインにも好適に適用する
ことができる。
【0109】また、この発明によれば、工作機械の加工
状態を抽出するための複数のセンサから取り込まれた各
測定値に対応するメンバーシップ関数を参照して工具の
摩耗とワークの加工精度の適合度を算出し、算出した各
適合度と閾値を比較して工具の摩耗または加工精度の良
否を診断し、この診断結果から加工精度不良発生可能性
原因を特定することができることから、加工精度不良の
ワークが発生する前に適当な対応措置を採ることが可能
となるという効果が達成される。なお、所定の閾値は、
所望の値に変更することが容易である。
【0110】さらに、この発明によれば、工作機械の加
工状態を抽出するための複数のセンサから取り込まれた
測定値に対応するメンバーシップ関数を参照して、工具
の摩耗とワークの加工精度とを診断するとともに、これ
らに重み付け係数を付加して合成した適合度で工具の摩
耗とワークの加工精度とを診断し、さらに、工作機械の
各挙動に関する適合度を求め、前記各挙動と複数の加工
不良発生原因との各組み合わせに対して重み付け係数が
予め定められた因果関係表と、前記各挙動に関して求め
た適合度とから加工精度不良発生可能性原因を特定する
ようにしている。
【0111】このため、特定された加工精度不良発生可
能性原因に基づいて、加工精度不良のワークが発生する
前に、適当な対応措置を採ることが可能となるという効
果が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態が適用された加工ステ
ーションの構成を示す模式図である。
【図2】図1例の加工ステーションにおける電気的回路
構成を示すブロック図である。
【図3】バルブシートの構成を示す斜視図である。
【図4】シリンダに装着されたバルブシートの圧力もれ
量検出の動作説明に供される一部省略断面図である。
【図5】図1例の動作説明に供されるフローチャート
(1/2)である。
【図6】図1例の動作説明に供されるフローチャート
(2/2)である。
【図7】刃具摩耗に関連するメンバーシップ関数の例を
示す特性図であって、Aはスピンドル電流振動のメンバ
ーシップ関数を示す特性図、Bは加工推力のメンバーシ
ップ関数を示す特性図、Cは仕上げ速度と加工速度の速
度比を示す特性図である。
【図8】刃具摩耗の各適合度と閾値との関係説明に供さ
れる線図である。
【図9】刃具摩耗の適合度の加算値と閾値との関係説明
に供される線図である。
【図10】圧もれに関連するメンバーシップ関数の例を
示す特性図であって、Aはドウェル時間のメンバーシッ
プ関数を示す特性図、Bはギャングヘッドの振動のメン
バーシップ関数を示す特性図、Cは仕上げ速度のメンバ
ーシップ関数を示す特性図である。
【図11】圧もれの各適合度と閾値との関係説明に供さ
れる線図である。
【図12】圧もれの適合度の加算値と閾値との関係説明
に供される線図である。
【図13】挙動データに対応する全てのメンバーシップ
関数から求めた全ての適合度を示す線図である。
【図14】切削現象と圧もれ不良発生原因の重み付けを
表す因果関係表を示す線図である。
【図15】フロコン目盛設定が低いという原因に対して
得られた適合度を示す線図である。
【図16】ターリ時間設定が短いという原因に対して得
られた適合度を示す線図である。
【図17】CYL油温が高いという原因に対して得られ
た適合度を示す線図である。
【図18】パターンの類似度の計算の説明に例として供
される線図であって、AはパターンI、BはパターンI
I、CはパターンIIIをそれぞれ示す線図である。
【符号の説明】
10…バルブシート(ワーク) 11…工作機械 12…数値制御盤 19…変位センサ 21…油圧シリンダ 26…ギャングヘ
ッド 28…工具(刃具) 31…振動センサ 32…クランプメータ 33…油圧センサ 34…油温センサ 35…荷重センサ 36…ストッパ 41…CPU 54…バルブ R1〜R4…閾値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡利 潤 埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダエ ンジニアリング株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】工作機械に装着された工具によりワークを
    所定加工精度内に加工する場合に適用される加工精度不
    良発生予防診断方法において、 前記工作機械の加工状態を抽出するために前記工作機械
    に配設された複数のセンサから測定値を取り込む過程
    と、 前記測定値から前記工具の摩耗を診断する過程と、 前記測定値から前記ワークの加工精度を診断する過程
    と、 前記工具の摩耗の診断結果と前記ワークの加工精度の診
    断結果から加工精度不良発生可能性原因を特定する過程
    とを有することを特徴とする加工精度不良発生予防診断
    方法。
  2. 【請求項2】工作機械に装着された工具によりワークを
    所定加工精度内に加工する場合に適用される加工精度不
    良発生予防診断方法において、 前記工作機械の加工状態を抽出するために前記工作機械
    に配設された複数のセンサから測定値を取り込む過程
    と、 前記測定値を各要素とし、予め刃具摩耗判定用として格
    納されている複数のメンバーシップ関数のうち対応する
    メンバーシップ関数を参照して各刃具摩耗適合度を算出
    し、この各刃具摩耗適合度と所定の刃具摩耗閾値とを比
    較して前記工具の摩耗を診断する過程と、 前記測定値を各要素として、予めワーク加工精度判定用
    として格納されている複数のメンバーシップ関数のうち
    対応するメンバーシップ関数を参照して各ワーク加工精
    度適合度を算出し、この各加工精度適合度と所定の加工
    精度閾値とを比較して前記ワークの加工精度の良否を診
    断する過程と、 前記工具摩耗の診断結果と前記ワークの加工精度の診断
    結果から加工精度不良発生原因を特定する過程とを有す
    ることを特徴とする加工精度不良発生予防診断方法。
  3. 【請求項3】工作機械に装着された工具によりワークを
    所定加工精度内に加工する場合に適用される加工精度不
    良発生予防診断方法において、 前記工作機械の加工状態を抽出するために前記工作機械
    に配設された複数のセンサから測定値を取り込む過程
    と、 前記測定値を各要素とし、予め刃具摩耗判定用として格
    納されている複数のメンバーシップ関数のうち対応する
    メンバーシップ関数を参照して各刃具摩耗適合度を算出
    し、この各刃具摩耗適合度により前記工具の摩耗を診断
    する過程と、 前記各刃具摩耗適合度に対応する各重み付けを付加した
    刃具摩耗合成適合度で前記工具の摩耗を診断する過程
    と、 前記測定値を各要素として、予めワーク加工精度判定用
    として格納されている複数のメンバーシップ関数のうち
    対応するメンバーシップ関数を参照して各ワーク加工精
    度適合度を算出し、この各加工精度適合度により前記ワ
    ークの加工精度を診断する過程と、 前記各加工精度適合度に対応する各重み付けを付加した
    ワークの加工精度合成適合度で前記工具の摩耗を診断す
    る過程と、 前記各刃具摩耗適合度、前記刃具摩耗合成適合度、前記
    加工精度適合度、前記加工精度合成適合度に基づき、前
    記工作機械の加工速度が速い、遅い等の各挙動に関する
    適合度を求める過程と、 前記各挙動と複数の加工不良発生原因との各組み合わせ
    に対して重み付け係数が予め定められた因果関係表と、
    前記各挙動に関して求めた適合度とから加工精度不良発
    生可能性原因を特定する過程とを有することを特徴とす
    る加工精度不良発生予防診断方法。
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