JPH09195131A - オープンエンド精紡機の糸継ぎ時の始紡制御方法及び糸継ぎ装置 - Google Patents

オープンエンド精紡機の糸継ぎ時の始紡制御方法及び糸継ぎ装置

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JPH09195131A
JPH09195131A JP427396A JP427396A JPH09195131A JP H09195131 A JPH09195131 A JP H09195131A JP 427396 A JP427396 A JP 427396A JP 427396 A JP427396 A JP 427396A JP H09195131 A JPH09195131 A JP H09195131A
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JP
Japan
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yarn
rotor
sliver
roller
speed
Prior art date
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Pending
Application number
JP427396A
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English (en)
Inventor
Toshio Morishita
寿男 森下
Tetsuya Kanai
哲也 金井
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Toyota Industries Corp
Original Assignee
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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Publication of JPH09195131A publication Critical patent/JPH09195131A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 糸継ぎ時における紡績ユニット毎のロータの
加速状態及びパッケージの大きさの差異を配慮して、継
ぎ部の品質変化(太斑)を抑制する。 【解決手段】 糸継ぎ時にロータの加速途中でボビンに
巻かれた糸の糸端がロータ内に逆送され、ロータの繊維
集束部の繊維束と接合した後、ボビンが巻取り方向に回
転されてロータ内から糸が引き出される。始紡作業時に
おけるスライバ供給開始、糸逆送開始、スライバ供給再
開及び糸巻取り開始の各時期がロータ回転速度を基準に
予め設定される。ロータの回転速度がスライバ供給開始
時の所定の値に達するまでの所要時間が測定されてロー
タの加速状況が把握され、ロータが基準より大きな加速
状態であれば糸逆送速度が基準値より速くなるように制
御される。スライバ供給の停止はフィードローラの回転
量が所定の値となった時に、糸逆送の停止はデリベリロ
ーラの回転量が所定の値となった時に行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は機台に沿って移動す
る糸継ぎ機を備えたオープンエンド精紡機の糸継ぎ時の
始紡制御方法及び糸継ぎ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オープンエンド精紡機においては、省力
化のため各種作業の自動化が行われており、糸継ぎ作業
の自動化も行われている。糸継ぎ装置としては紡機機台
の各紡績ユニット毎に装備されたもの(例えば、特開昭
48−22721号公報)と、紡機機台に沿って移動す
るとともに糸継ぎを必要とする紡績ユニットと対応する
位置で停止して糸継ぎを行う糸継ぎ機(例えば、特開昭
50−43231号公報)とがある。
【0003】糸継ぎ機は支持アームに支持されたパッケ
ージ(糸が巻かれたボビン)を駆動する駆動手段と、吸
引ノズルとを備えており、糸継ぎ作業時にパッケージか
ら糸端を吸引して糸を引き出す。そしてロータの定常運
転速度までの加速途中に、前記糸の糸端をロータ内に逆
送してロータ内の繊維集束部に集束した繊維束と接合し
た後、パッケージを糸巻取り方向に回転してロータ内か
ら糸を引き出す。ロータ内に逆送された糸端と繊維束と
の接合部は太斑となり易く、太斑を防止するにはスライ
バの供給量、供給時期、糸端の逆送及び引出し時期を所
定の範囲で正確に制御する必要がある。
【0004】そして、太斑を防止する方法として、特開
昭50−43231号公報には、ロータの回転数が所定
の回転数の範囲で、ロータ内への糸の逆送及びロータ内
からの引出しを行うとともに、ロータの回転開始時期に
対してスライバ供給開始時期を遅らせたり、短時間遮断
して繊維供給量を定常紡出時より少なくした状態で糸の
逆送を行う方法が開示されている。しかし、オープンエ
ンド精紡機では多数の紡績ユニットのロータの駆動が共
通の駆動ベルトにより行われるため、ロータシャフト外
径のばらつき、駆動ベルトに対する圧接力の差異、ベル
トのスリップ、ロータの慣性モーメントの差異等によ
り、各紡績ユニットのロータの加速状態が同一とはなら
ない。従って、スライバ供給開始時期をロータの回転開
始時期を基準として所定時間後とした場合、スライバ供
給開始時のロータ回転数がばらつき太斑が生じる。
【0005】特公平3−68133号公報にはロータの
加速状態を考慮した太斑発生防止方法として、図14に
示すようなタイミングで、ロータ駆動、スライバフィー
ド及びパッケージに繋がる糸の糸端の逆送及び糸の引出
しを行う方法が開示されている。なお、図14(a)は
糸の引き出し速度va、(b)は繊維供給速度(スライ
バ供給速度)ve、(c)はロータの回転速度(単位時
間当たりの回転数)vnのそれぞれ時間変化を示すグラ
フである。この方法では、ロータの回転速度vnが所定
の回転数n1 になった時点でスライバの供給が開始さ
れ、その時点から所定時間t1 経過後にスライバ供給が
中断される。また、糸端の逆送はスライバ供給開始から
所定時間t2 経過後に開始され、スライバの供給再開は
所定時間t 3 経過後に開始される。また、糸の引出しは
回転速度vnが所定の回転数n2 に達した時点で開始さ
れる。即ち、この方法ではスライバの供給開始時期及び
糸引出し開始時期はロータの回転速度vnを基準とする
ため、ロータの加速状況が紡績ユニット毎に異なっても
常に所定の回転速度においてスライバの供給及び糸の引
出しが開始される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特公平3−68133
号公報に開示された方法では、紡績ユニット毎のロータ
の加速状況の違いに対する配慮はなされているが不十分
である。なぜならば、スライバの供給はロータの所定の
回転数において開始されるが、糸の逆送開始はスライバ
供給開始時期から所定時間t2 後となり、スライバ供給
中断後の再開時期も所定時間t3 後となる。その結果、
糸の逆送開始時期及びスライバ供給再開時期が相対的に
ずれ、それらの時期におけるロータの回転速度が基準よ
り速くなったり遅くなったりする。糸端と繊維束との接
合時のロータ回転数が高い程糸が締まった状態となり、
ロータ回転数が低いと糸はふわふわの状態となる。その
結果、接合時のロータ回転数が変動すると継ぎ部の品質
が変化する。しかも、スライバ供給中断後の再開時期か
ら糸引出し開始時期までの時間が変動するため、糸引出
し開始時までのロータ内へのスライバ供給量が変動して
糸品質が変化する。
【0007】また、糸切れが発生する時期は不定のた
め、糸継ぎ作業を行う際のパッケージの大きさは様々で
あり、パッケージの大きさの違いにより慣性が変化す
る。その結果、パッケージを所定時間駆動する場合、パ
ッケージの大きさによってパッケージの回動量及び速度
が異なる。しかし、特公平3−68133号公報に開示
された方法では、パッケージの大きさの違いに対する配
慮はなされていない。その結果、糸端がロータ内の繊維
集束部に到達するまでの時間がばらつくとともに、ロー
タ内に逆送される糸の長さが変動して継ぎ部の品質が変
化する。例えば、糸端がロータの内面に沿って移動する
までにスライバ供給が完了していなければ、供給繊維が
糸に絡みついて部分的に太くなるとともに、繊維集束部
に繊維が均一に配置されずに糸斑が発生する。
【0008】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は糸継ぎ時における紡績ユニット
毎のロータの加速状態及びパッケージの大きさの差異を
配慮して、継ぎ部の品質変化(太斑)を抑制することが
できるオープンエンド精紡機の糸継ぎ時の始紡制御方法
及び糸継ぎ装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、機台に沿って移動する
糸継ぎ機を備え、糸継ぎ時にロータの定常運転速度まで
の加速途中でボビンに巻かれた糸の糸端をロータ内に逆
送してロータの繊維集束部に集束した繊維束と接合した
後、ボビンを糸巻取り方向に回転してロータ内から糸を
引き出すオープンエンド精紡機の糸継ぎ時の始紡方法に
おいて、スライバ供給開始時、糸逆送開始時、スライバ
供給再開時及び糸巻取り開始時のロータ回転速度をそれ
ぞれ予め所定の値に設定し、ロータの回転速度が零から
スライバ供給開始時の前記所定の値に達するまでの所要
時間を測定してロータの加速状況を把握し、ロータが基
準より大きな加速状態であれば糸逆送速度を基準値より
速くなるようにするか、あるいは単位時間当たりのスラ
イバ供給量を多くするように制御し、かつスライバ供給
の停止をスライバ供給用のフィードローラの回転量が所
定の値となった時に行い、糸逆送の停止をデリベリロー
ラの回転量が所定の値となった時に行うようにした。
【0010】請求項2に記載の発明では、オープンエン
ド精紡機の機台に沿って移動するとともに糸継ぎを必要
とする紡績ユニットと対応する位置で停止して糸継ぎ作
業を行う糸継ぎ機による糸継ぎ時に、ロータの定常運転
速度までの加速途中でパッケージに巻かれた糸の糸端を
ロータ内に逆送してロータ内の繊維集束部に集束した繊
維束と接合した後、当該糸を引き出す糸継ぎ装置であっ
て、紡績ユニットの支持アームに支持されたパッケージ
を駆動するパッケージ駆動手段と、前記パッケージに巻
かれた糸の糸端を吸引する吸引ノズルと、パッケージに
繋がる糸のロータ内への送込み及びロータ内からの引出
しを行うデリベリローラと、スライバ供給用のフィード
ローラと、前記デリベリローラを駆動するデリベリロー
ラ駆動手段と、前記フィードローラを駆動するフィード
ローラ駆動手段と、前記ロータの回転速度を検出する第
1の検出手段と、フィードローラの回転量を検出する第
2の検出手段と、前記デリベリローラの回転量を検出す
る第3の検出手段と、スライバ供給開始時、糸逆送開始
時、スライバ供給再開時及び糸巻取り開始時のロータ回
転速度をそれぞれ所定の設定値として記憶する記憶手段
と、糸継ぎ時にロータの回転速度が零からスライバ供給
開始時の前記所定の設定値に達するまでの所要時間を測
定する測定手段と、前記測定手段の測定値に基づいてロ
ータの加速状態が基準状態より大きいか否かを判断する
判断手段と、前記記憶手段に記憶された所定の設定値に
基づいてフィードローラ及びデリベリローラを駆動制御
するとともに、前記判断手段の判断結果に基づいて、ロ
ータが基準より大きな加速状態であれば糸逆送速度を基
準の逆送速度より速くなるように前記デリベリローラ駆
動手段を制御するか、あるいは単位時間当たりのスライ
バ供給量を多くするように前記フィードローラ駆動手段
を制御し、かつスライバ供給の停止をフィードローラの
回転量が所定の値となった時に行い、糸逆送の停止をデ
リベリローラの回転量が所定の値となった時に行うよう
にデリベリローラ駆動手段及びフィードローラの駆動を
制御する制御手段とを備えた。
【0011】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記制御手段は前記ロータが基準よ
り大きな加速状態であれば前記スライバ供給時のフィー
ドローラの回転速度を基準速度より速くなるように、基
準より小さな加速状態であればフィードローラの回転速
度を基準速度より遅くなるようにフィードローラ駆動手
段を制御する。
【0012】請求項4に記載の発明では、請求項2又は
請求項3に記載の発明において、紡出番手、スライバ重
量等の紡出条件に対応した、スライバ供給開始時、糸逆
送開始時、スライバ供給再開時及び糸巻取り開始時のロ
ータ回転速度がそれぞれデータベースとして記憶された
記憶手段を備え、前記制御手段は入力手段により設定さ
れた紡出条件に対応した所定の設定値を前記データベー
スから選択して使用する。
【0013】請求項1に記載の発明では、機台に沿って
移動する糸継ぎ機により糸継ぎ作業が行われる。糸継ぎ
時、ロータの定常運転速度までの加速途中でボビンに巻
かれた糸の糸端がロータ内に逆送されてロータの繊維集
束部に集束した繊維束と接合された後、ボビンが糸巻取
り方向に回転されてロータ内から糸が引き出される。糸
継ぎの際のスライバ供給開始時、糸逆送開始時、スライ
バ供給再開時及び糸巻取り開始時のロータ回転速度がそ
れぞれ予め所定の値に設定される。ロータの回転速度が
零からスライバ供給開始時の前記所定の値に達するまで
の所要時間が測定されてロータの加速状況が把握され
る。そして、ロータが基準より大きな加速状態であれば
糸逆送速度が基準値より速くなるように制御されるか、
あるいは単位時間当たりのスライバ供給量が多くなるよ
うに制御される。また、スライバ供給の停止はスライバ
供給用のフィードローラの回転量が所定の値となった時
に行われ、糸逆送の停止はデリベリローラの回転量が所
定の値となった時に行われる。
【0014】請求項2に記載の発明では、糸継ぎ機はオ
ープンエンド精紡機の機台に沿って移動し、糸継ぎを必
要とする紡績ユニットと対応する位置で停止して糸継ぎ
作業を行う。糸継ぎ機による糸継ぎ時に、ロータの定常
運転速度までの加速途中でボビンに巻かれた糸の糸端が
ロータ内に逆送されてロータ内の繊維集束部に集束した
繊維束と接合された後、当該糸が引き出される。デリベ
リローラはデリベリローラ駆動手段により駆動され、パ
ッケージに繋がる糸のロータ内への送込み(逆送)及び
ロータ内からの引出しがデリベリローラの正逆回転によ
り行われる。第1の検出手段によりロータの回転速度が
検出される。フィードローラ及びデリベリローラは制御
手段により駆動制御され、ロータの回転速度が記憶手段
に記憶された所定の設定値に達したときに、スライバ供
給、糸逆送、スライバ再供給及び糸巻取りがそれぞれ開
始される。
【0015】ロータの回転速度が零からスライバ供給開
始時の前記所定の設定値に達するまでの所要時間が測定
手段により測定され、その測定値に基づいてロータの加
速状態が基準状態より大きいか否かが判断手段で判断さ
れる。判断結果に基づいて基準より大きな加速状態であ
れば糸逆送速度が基準の逆送速度より速くなるように制
御手段によりデリベリローラ駆動手段が制御されるか、
あるいは単位時間当たりのスライバ供給量が多くなるよ
うにフィードローラ駆動手段が制御される。第2の検出
手段によりフィードローラの回転量が検出され、第3の
検出手段によりデリベリローラの回転量が検出される。
スライバ供給の停止はフィードローラの回転量が所定の
値となった時に行われ、糸逆送の停止はデリベリローラ
の回転量が所定の値となった時に行われる。
【0016】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、糸継ぎ時、糸継ぎ機に装備されたフ
ィードローラ駆動手段により、フィードローラが変速駆
動される。そして、前記ロータが基準より大きな加速状
態であれば前記スライバ供給時のフィードローラの回転
速度が基準値より速くなるように、基準より小さな加速
状態であればフィードローラの回転速度を基準値より遅
くなるように、フィードローラ駆動手段が制御手段によ
り制御される。
【0017】請求項4に記載の発明では、請求項2又は
請求項3に記載の発明において、紡出番手、スライバ重
量等の紡出条件が入力手段により入力される。記憶手段
に記憶されたデータベースから、当該紡出条件に対応し
たスライバ供給開始時、糸逆送開始時、スライバ供給再
開時及び糸巻取り開始時のロータ回転速度がそれぞれ制
御手段により選択され、フィードローラ及びデリベリロ
ーラを制御する際に使用される。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下、本発明を具体化した第1の
実施の形態を図1〜図11に従って説明する。図3に示
すように、糸継ぎ機1はオープンエンド精紡機の機台2
に設けられたレール3aに沿って走行可能に設けられ、
糸切れが発生した紡績ユニット4と対応する位置に停止
し得るようになっている。紡績ユニット4はスピニング
ロータ(以下、ロータと称す)5及び糸引出し管6を備
えている。紡績ユニット4の上方には引出しローラ7
a、クランプローラ7b、糸ガイド8、トラバースガイ
ド9a、巻取りローラ10及び支持アーム(クレード
ル)11等が配設されている。クランプローラ7bは引
出しローラ7aに当接する作用位置と、引出しローラ7
aから離間した待機位置とに配置されるようになってい
る。
【0019】糸ガイド8は通常紡出時には糸Yをトラバ
ースガイド9aと係合可能な状態でガイドする紡出位置
(図3に示す状態)に配置される。また、糸継ぎ作業時
にはパッケージPから糸継ぎ機1あるいは紡績ユニット
4に連なる糸Yをトラバースガイド9aや巻取りローラ
10に接触不能な状態に保持する糸継ぎ位置に配置され
る。トラバースガイド9aは機台2の長手方向に往復運
動を行うトラバースロッド9に固定されている。トラバ
ースガイド9aはその両側面がテーパ状に形成され、ト
ラバースガイド9aと係合可能な位置に配置された糸Y
は、トラバースガイド9aの往復移動によりトラバース
ガイド9aに捕捉されるようになっている。
【0020】図4に示すように、ロータ5はケーシング
12に回転可能に支持された回転軸13に一体回転可能
に支持され、回転軸13は全錘共通の駆動手段により回
転されるようになっている。紡績ユニット4には回転軸
13の制動用のブレーキ(図示せず)が設けられ、該ブ
レーキは糸継ぎ機1からの指令によって作動可能となっ
ている。ケーシング12はパイプ14を介して負圧源
(図示せず)に接続されている。紡績ユニット4のハウ
ジング15内には開繊手段としてのコーミングローラ1
6と、供給口から供給されるスライバSをコーミングロ
ーラ16へ導くフィードローラ17と、プレッサ18と
が配設されている。コーミングローラ16で開繊された
繊維は、入口がコーミングローラ16の周面と対応する
位置に開口し、出口がボス部19の周面に開口する繊維
輸送通路20を経てロータ5に供給されるようになって
いる。ケーシング12内にはロータ5の回転速度を検出
する第1の検出手段としての第1センサRS1が配設さ
れている。第1センサRS1はロータ5の外周面に所定
間隔で設けられた被検出部(図示せず)を検出してロー
タ5の回転速度に対応するパルス信号を出力するように
なっている。
【0021】図3に示すように、フィードローラ17は
中間に電磁クラッチ21を備えた回転軸22の第1端部
に支持され、回転軸22の第2端部には全錘共通の駆動
軸23に装備されたヘリカルギヤ24と噛合するヘリカ
ルギヤ25が固定されている。また、紡績ユニット4に
は糸切れ表示ランプ26が設けられている。フィードロ
ーラ17の近傍にはフィードローラ17の回転量を検出
する第2の検出手段としての第2センサRS2が配設さ
れている。第2センサRS2は回転軸22の周面に所定
間隔で設けられた被検出部(図示せず)を検出して回転
軸22の回転量に対応するパルス信号を出力するように
なっている。
【0022】支持アーム11は回転可能なボビン装着部
11aを備えるとともに、ボビン装着部11aにおいて
ボビンを支持し、パッケージ(糸が巻かれたボビン)P
をその表面が巻取りローラ10に当接する状態に保持す
る。パッケージPは巻取りローラ10に当接する状態で
図3の反時計方向に回転され、紡績ユニット4から紡出
される糸YがパッケージPに巻き取られる。また、支持
アーム11は糸切れ時に糸切れ検出センサ(図示せず)
の検出信号に基づいて、パッケージPと巻取りローラ1
0との間隔が一定になる位置まで上方に回動されるよう
になっている。
【0023】図3に示すように、糸継ぎ機1にはパッケ
ージPから糸端を吸引する吸引ノズルとしての第1吸引
ノズル27がその基端を中心に回動可能に配設されてい
る。第1吸引ノズル27は電磁弁28を備えた管路29
を介して負圧源30に接続され、制御手段としての制御
装置31の指令に基づく電磁弁28の開閉により吸引作
用が制御される。第1吸引ノズル27はその吸引口が最
も広くてパッケージPの幅とほぼ同一の偏平な形状で、
基端側が円筒状に形成されている。そして、第1吸引ノ
ズル27は吸引された糸Yを吸引口の中央に位置する状
態に保持するようになっている。第1吸引ノズル27は
図示しない駆動手段により、吸引口がパッケージPの外
周近傍に位置する作用位置と、図3に実線で示す第1の
待機位置と、それより後方の第2の待機位置(図9に図
示)とに移動配置可能となっている。
【0024】糸継ぎ機1には支持アーム11に支持され
たパッケージPを駆動するパッケージ駆動手段32(以
下、単に駆動手段32と称す)が配設されている。駆動
手段32は基端が支軸33に回動可能に支持されたL字
状のアーム34を備え、アーム34の先端に支持された
回転軸35に駆動ローラ36が一体回転可能に固定され
ている。アーム34は図示しないシリンダ等のアクチュ
エータの作用により、図3に示す待機位置と駆動ローラ
36がパッケージPに当接する作用位置とに支軸33を
中心に第1吸引ノズル27と干渉しない状態で揺動され
るようになっている。
【0025】支軸33には駆動プーリ37が回転可能に
支持され、駆動プーリ37はデリベリローラ駆動手段と
してのモータ38の駆動軸に装備されたプーリ38aと
の間に巻き掛けられたベルト39を介して駆動されるよ
うになっている。モータ38は正逆回転可能かつ変速可
能に構成されている。図6に示すように、駆動プーリ3
7は3本のベルトを巻き掛け可能に構成されている。図
3、図5及び図6に示すように、アーム34にはガイド
プーリ40が装備され、回転軸35に一体回転可能に固
定されたプーリ41と駆動プーリ37との間にはベルト
42がガイドプーリ40と係合する状態で巻き掛けられ
ている。
【0026】図3及び図6に示すように、支軸33の下
方の所定位置に回転軸43が配設され、回転軸43には
糸継ぎ時にパッケージPに繋がる糸Yのロータ5内への
送込み及びロータ5内からの引出しを行うデリベリロー
ラ44が一体回転可能に固定されている。回転軸43に
はプーリ45が一体回転可能に固定され、プーリ45と
駆動プーリ37との間にベルト46が巻き掛けられてい
る。即ち、モータ38の駆動により駆動ローラ36及び
デリベリローラ44が同期して駆動されるようになって
いる。駆動プーリ37及び各プーリ38a,41,45
は歯付プーリで構成されている。また、駆動ローラ36
及びデリベリローラ44の周速が同じになるように、両
ローラ36,44の外径と、駆動プーリ37及び各プー
リ38a,41,45の歯数とがそれぞれ設定されてい
る。モータ38、ベルト39、駆動プーリ37、回転軸
43、プーリ45及びベルト46によりデリベリローラ
駆動手段が構成されている。
【0027】回転軸43の近傍にはデリベリローラ44
の回転量を検出する第3の検出手段としての第3センサ
RS3が配設されている。第3センサRS3は回転軸4
3の周面に所定間隔で設けられた被検出部(図示せず)
を検出して回転軸43の回転量に対応するパルス信号を
出力するようになっている。
【0028】デリベリローラ44の後方にはクランプロ
ーラ47が配設されている。クランプローラ47はレバ
ー(一部のみ図示)48の先端に支持され、レバー48
は図示しない駆動手段により往復動されて、クランプロ
ーラ47をデリベリローラ44と当接する作用位置と、
当接不能な待機位置とに配置するようになっている。ク
ランプローラ47が作用位置に配置された状態で、デリ
ベリローラ44による糸Yの逆送あるいは引出しが可能
となっている。
【0029】第1吸引ノズル27の下方には糸受渡し手
段としての第2吸引ノズル49が回動可能に配設されて
いる。第2吸引ノズル49は電磁弁50を備えた管路5
1を介して負圧源30に接続されている。第2吸引ノズ
ル49は図示しない駆動手段により、その吸引口が第2
の待機位置に配置された第1吸引ノズル27の吸引口と
対応する吸引位置と、その下方の図3に示す待機位置と
に移動配置可能となっている。
【0030】第1吸引ノズル27の下方にはデリベリロ
ーラ44を経てパッケージPから待機位置に配置された
第2吸引ノズル49に連なる糸Yを把持可能な糸送り手
段52が配設されている。糸送り手段52は例えば、特
開昭59−71437号公報に開示された装置と同様
に、一対の糸把持用のローラ52a及び押圧ローラ52
bを備え、両ローラ52a,52b間に糸Yを把持した
状態で糸送出し方向に回転される。糸送り手段52は図
示しない駆動手段により、図3に示す待機位置と、糸引
出し管6の出口と対応する図9(b)に示す糸送り位置
とに配置されるようになっている。待機位置に配置され
た糸送り手段52の下方には、両ローラ52a,52b
に把持されるとともに第2吸引ノズル49に連なる糸Y
を切断可能な位置にカッタ53が配設されている。
【0031】糸継ぎ機1には図3における紙面と交差す
る平面に沿って上下方向に移動される糸案内手段として
のガイドバー54が配設されている。ガイドバー54は
図示しない駆動手段により、作用位置と待機位置とに配
置されるようになっている。ガイドバー54は糸継ぎ時
に作用位置においてパッケージPから紡績ユニット4に
連なる糸Yと係合し、作用位置から待機位置へと移動さ
れる際に、デリベリローラ44との係合が解除された糸
Yを定常紡出位置に配置するようになっている。ガイド
バー54は糸継ぎ機1の上下方向、左右方向及び前後方
向へ移動可能となっている。なお、図3、図9及び図1
0ではガイドバー54の糸Yとの係合部の位置のみを図
示しており、図3に示す位置が待機位置で、図10
(b)に実線で示す位置が作用位置である。
【0032】糸継ぎ機1には糸切れ表示ランプ26の点
灯の有無を検出する糸切れ確認センサ55が装備されて
いる。糸継ぎ機1は糸切れ表示ランプ26が点灯してい
る紡績ユニット4と対応する位置で停止して糸継ぎ作業
を行うようになっている。
【0033】次にフィードローラ17及びデリベリロー
ラ44の駆動を制御する制御装置31について説明す
る。図8に示すように、制御装置31は演算手段、判断
手段及び制御手段としての中央処理装置(以下、CPU
と称す)56と、プログラムメモリ57と、作業用メモ
リ58とを備えている。制御装置31は機台2側に設け
られた制御装置59と通信手段60を介して信号の授受
が可能に構成されている。第1センサRS1及び第2セ
ンサRS2の出力信号は制御装置59に入力され、CP
U56は両センサS1,S2の出力パルスに対応する信
号を通信手段60を介して制御装置59から入力可能に
なっている。CPU56は入力インタフェース61を介
して第3センサRS3及び入力手段としての入力装置6
2に接続されている。CPU56は出力インタフェース
63及び駆動回路64を介してモータ38に接続されて
いる。CPU56は通信手段60を介して制御装置59
に電磁クラッチ21の励消磁信号を出力し、制御装置5
9を介して電磁クラッチ21を励消磁制御可能となって
いる。CPU56は通信手段60を介して制御装置59
にロータ5用のブレーキBKの解除信号を出力し、制御
装置59を介してブレーキBKを解除可能となってい
る。また、CPU56は測定手段としてのタイマ65を
備えている。
【0034】記憶手段としてのプログラムメモリ57は
読出し専用メモリ(ROM)よりなり、糸継ぎ作業プロ
グラム、始紡作業プログラム及びプログラムの実行に必
要なデータ等が記憶されている。プログラムメモリ57
に記憶されたデータには種々の紡出条件とそれに対応し
たスライバ供給開始時、糸逆送開始時、スライバ供給再
開時及び糸巻取り開始時のロータ回転速度n1 ,n2
3 ,n4 との関係を示すデータベースがある。紡出条
件としては紡出番手、スライバ重量、定常運転時のロー
タ回転速度等がある。また、ロータ5の回転開始からの
経過時間tと基準時間ts との差に対応したデリベリロ
ーラ44の駆動速度との関係を示すデータベースも記憶
されている。
【0035】ロータ5への開繊繊維の供給はフィードロ
ーラ17の停止と同時に停止されるのではなく、フィー
ドローラ17の停止後もコーミングローラ16に付着し
ている繊維や繊維輸送通路20内に存在する繊維が供給
される。そして、その繊維が繊維集束部5aに達するま
でに糸端がロータ5内に挿入されると、ロータ5内に供
給された繊維が糸に絡みつく等の不都合がある。この不
都合を解消し、糸端が糸端が繊維集束部5aに到達した
後に、糸Yの引出しを行うため、CPU56は図7に示
すようにロータ5の回転速度Vr、フィードローラ17
の回転速度Vf及びデリベリローラ44の回転速度Vd
が変化するようにロータ5、フィードローラ17及びデ
リベリローラ44を駆動制御する。
【0036】フィードローラ17の停止後、ロータ5内
に供給された繊維が繊維集束部5aに到達するのに必要
な余裕時間T1 だけ糸の逆送を遅らせる必要がある。糸
逆送開始時の回転速度n2 はロータ5の加速状況が大き
くてn1 からn2 に達するまでの時間が短い場合でも、
余裕時間T1 を確保できる値に設定されている。また、
ロータ5内に逆送された糸端は最短距離を移動して繊維
集束部5aに到達するのではなく、ケーシング12内の
吸引気流の作用によりロータ5の開口端付近へ誘導され
てロータ5の内壁に付着した後、内壁に沿って繊維集束
部5aまで移動する。そのため、スライバ供給再開時の
回転速度n3 は、デリベリローラ44による糸逆送完了
後、糸端が繊維集束部5aに到達するのに必要な余裕時
間T2 を確保できる値に設定されている。
【0037】そして、前記データベースに記憶されたデ
リベリローラ44の駆動速度は、ロータ5の加速状態が
基準状態からずれても基準状態と同じ余裕時間T2 を確
保可能となるように設定されている。即ち、ロータ5が
基準より大きな加速状態であれば糸逆送速度を基準の逆
送速度より速くなるように、基準より小さな加速状態で
あれば糸逆送速度を基準の逆送速度より遅くなるように
加速状態に対応して設定されている。また、スライバ供
給時間Tfはフィードローラ17の回転量に対応するパ
ルス数で、糸逆送時間Tdはデリベリローラ44の回転
量に対応するパルス数で設定されている。
【0038】記憶手段としての作業用メモリ58は読出
し及び書換え可能なメモリ(RAM)よりなり、入力装
置62により入力されたデータやCPU56の演算処理
データ等を一時的に記憶する。
【0039】CPU56は入力装置62により設定され
た紡出条件に対応したスライバ供給開始時、糸逆送開始
時、スライバ供給再開時及び糸巻取り開始時のロータ回
転速度n1 ,n2 ,n3 ,n4 を前記データベースから
選択し、ロータ回転速度に基づいてフィードローラ17
及びデリベリローラ44の駆動を制御する。CPU56
は糸継ぎ時にロータ5の回転速度が零からスライバ供給
開始時の前記所定の設定値に達するまでの所要時間tを
タイマ65により測定し、その所要時間tに基づいてロ
ータ5の加速状況が基準状態より大きいか否かを判断す
る。そして、CPU56はロータ5の加速状態に対応し
てデリベリローラ44の糸逆送速度を変速制御する。
【0040】また、CPU56は第1吸引ノズル27、
アーム34、レバー48、第2吸引ノズル49、糸送り
手段52及びガイドバー54を駆動する駆動手段及びア
クチュエータを所定の順序で駆動制御し、電磁弁28,
50を所定のタイミングで励消磁制御するようになって
いる。
【0041】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。糸継ぎ機1の運転に先立って入力装置62に
より、紡出番手、スライバ重量、ロータ径、定常運転時
のロータ回転速度、撚数等の紡出条件が入力される。紡
出条件が入力されると、CPU56は紡出条件に対応し
たスライバ供給開始時、糸逆送開始時、スライバ供給再
開時及び糸巻取り開始時の各ロータ回転速度n1
2 ,n3 ,n4 をデータベースから選択し、作業用メ
モリ58に格納する。
【0042】機台2の運転が開始されると、紡績ユニッ
ト4から紡出された糸Yは引出しローラ7a及びクラン
プローラ7bの回転により引き出され、糸ガイド8及び
トラバースガイド9aを経て巻取りローラ10に至り、
トラバースガイド9aで綾振りされながらボビンに巻き
取られてパッケージPを形成する。機台2の運転中に糸
切れが発生すると、当該紡績ユニット4の支持アーム1
1が上動されてパッケージPが巻取りローラ10から所
定間隔離れた位置に配置され、糸切れ表示ランプ26が
点灯する。糸切れが発生すると糸ガイド8は糸継ぎ位置
に配置され、電磁クラッチ21が消磁されてフィードロ
ーラ17が停止される。また、クランプローラ7bが待
機位置に配置される。
【0043】糸継ぎ機1はレール3aに沿って移動し、
糸切れ確認センサ55が点灯している糸切れ表示ランプ
26を検出すると、糸継ぎ機1はその紡績ユニット4と
対応する位置で停止して糸継ぎ作業を行う。糸継ぎ作業
時には先ず第1吸引ノズル27が作用位置に配置され、
駆動ローラ36がパッケージPと当接する作用位置に配
置される。この状態で電磁弁28が開放されて、第1吸
引ノズル27に吸引気流が生じるとともに、駆動ローラ
36が駆動されてパッケージPが巻取り時と反対方向に
所定量回動されてパッケージPの糸端が第1吸引ノズル
27に吸引保持される。
【0044】次に第1吸引ノズル27がパッケージPの
表面速度に等しい速度で第2の待機位置まで回動された
後、パッケージPの駆動が停止される。次いで図9
(a)に鎖線で示すように、第2吸引ノズル49が作用
位置に配置され、その吸引口が第1吸引ノズル27に吸
引保持されている糸Yと対向する位置に配置される。そ
の状態で電磁弁50が開放されて第2吸引ノズル49に
吸引作用が生じるとともに、電磁弁28が閉鎖されて第
1吸引ノズル27の吸引作用が停止されてパッケージP
に連なる糸端が第2吸引ノズル49に吸引保持された状
態となる。
【0045】次に糸送りコントロール手段52の押圧ロ
ーラ52bが開放位置に配置された状態で、第2吸引ノ
ズル49が鎖線で示す位置から図9(a)の時計回り方
向に回動され、実線で示す待機位置に配置される。第2
吸引ノズル49の移動途中でパッケージPに連なる糸Y
が、デリベリローラ44を経て両ローラ52a,52b
の間及びカッタ53の切断領域に導かれる。第2吸引ノ
ズル49の移動時にパッケージPに連なる糸Yに無理な
力が作用しないように、駆動ローラ36が駆動されてパ
ッケージPから糸Yが繰り出される。パッケージPから
第2吸引ノズル49に連なる糸Yは糸ガイド8及びデリ
ベリローラ44と係合して、トラバースガイド9aと係
合不能な状態に保持される。
【0046】第2吸引ノズル49が待機位置に配置され
ると押圧ローラ52bが把持位置に配置され、その後、
カッタ53が作動されて両ローラ52a,52bに把持
された糸Yが切断される。次いで糸送り手段52は図示
しない駆動手段の作動により、図9(b)に示すように
糸引出し管6の端部と対応する糸送り位置に配置され
る。糸送り手段52の移動に伴って両ローラ52a,5
2bの把持部からパッケージPに至る糸経路が長くなる
ため、その差分だけパッケージPから糸を繰り出すよう
に駆動ローラ36及びデリベリローラ44が回動され
る。
【0047】糸送り手段52が糸送り位置に配置された
後、クランプローラ47が作用位置に配置されて図9
(b)に示す状態となる。次いで両ローラ52a,52
b、駆動ローラ36及びデリベリローラ44が同期した
状態で糸端を糸引出し管6側に送り込む方向(逆送方
向)に所定量回転される。糸引出し管6には紡績ユニッ
ト4内部の負圧が作用しており、糸端は糸引出し管6に
吸引されて糸引出し管6の所定位置に配置された状態と
なる。この状態では糸Yは糸引出しローラ7aと係合不
能な状態に配置されている。
【0048】次に押圧ローラ52bが解放位置に配置さ
れ、パッケージPに連なる糸Yのロータ5側への送り
(逆送)と、糸引出し管6からの引出しとが、デリベリ
ローラ44及び駆動ローラ36の回転により行われる状
態となる。この状態から糸端をロータ5の繊維集束部5
aに集束された繊維束に接合するとともに、糸を紡績ユ
ニット4から引き出す始紡作業が、図1及び図2に示す
フローチャートに従って実行される。なお、糸送り手段
52は押圧ローラ52bが解放位置に配置された後、待
機位置に配置される。
【0049】次に始紡作業を図1及び図2に示すフロー
チャートに従って説明する。先ずステップS1でCPU
56から制御装置59にロータ5のブレーキ解除信号が
出力されてロータ5の回転が開始されるとともに、タイ
マ65により経過時間の測定が開始される。CPU56
はステップS2で制御装置59から出力される第1セン
サRS1の出力パルスに対応する信号に基づいてロータ
5の回転速度を演算し、ステップS3でロータ回転速度
Vrがn1 に達したか否かを判断する(判断工程)。ロ
ータ回転速度Vrがn1 に達すると、CPU56はステ
ップS4に進んでタイマ65の経過時間、即ちロータ5
の回転開始からロータ回転速度Vrがn1 に達するまで
の所要時間tを作業用メモリ58に記憶させるととも
に、制御装置59に電磁クラッチ21の励磁信号を出力
する。そして、電磁クラッチ21が接続されてフィード
ローラ17が回転され、スライバSの供給が開始され
る。
【0050】CPU56は電磁クラッチ21の励磁信号
を出力すると同時に、制御装置59から出力される第2
センサRS2の出力パルスに対応するパルス信号のパル
ス数のカウントを開始、即ちフィードローラ17の回転
量の計測を開始する(ステップS5)。また、CPU5
6はステップS6でロータ5の加速状況を判断するとと
もに、糸Yの逆送速度をロータ5の加速状態に対応した
速度に設定してその設定値を作業用メモリ58に記憶さ
せる(判断・逆送速度設定工程)。即ち、所要時間tと
基準時間ts とが比較されるとともに、その差に対応し
た逆送速度がデータベースから選択されて設定される。
【0051】次にCPU56はステップS7でフィード
ローラ17の回転量即ちカウンタのカウント数C2nを読
み込み、ステップS8でカウント数C2nが所定の値C2n
sに達したか否かを判断する。カウント数C2nが所定の
値C2nsに達するとステップS9に進んで電磁クラッチ
21の消磁信号を出力する。そして、フィードローラ1
7が停止される。
【0052】次にCPU56はステップS10でロータ
回転速度Vrを演算し、ステップS11でロータ回転速
度Vrがn2 に達したか否かを判断する。ロータ回転速
度Vrがn2 に達すると、CPU56はステップS12
に進んでモータ38の逆転駆動指令信号を出力する。そ
して、モータ38がステップS6で設定された逆送速度
で糸Yを送り出すように駆動され、駆動ローラ36及び
デリベリローラ44が同期して糸Yを糸引出し管6内に
送り込む方向に回転(逆転)されて糸Yの逆送が開始さ
れる。CPU56はモータ38の駆動指令信号を出力す
ると同時に、第3センサRS3の出力パルス数のカウン
トを開始、即ちデリベリローラ44の回転量の計測を開
始する(ステップS13)。
【0053】CPU56はステップS14でデリベリロ
ーラ44の回転量即ちカウンタのカウント数C3nを読み
込み、ステップS15でカウント数C3nが所定の値C3n
sに達したか否かを判断する。カウント数C3nが所定の
値C3nsに達すると、CPU56はステップS16に進
んでデリベリローラ44の停止指令信号を出力する。そ
して、デリベリローラ44及び駆動ローラ36が停止さ
れ、糸Yの逆送が停止される。
【0054】次にCPU56はステップS17でロータ
回転速度Vrを演算し、ステップS18でロータ回転速
度Vrがn3 に達したか否かを判断する。ロータ回転速
度Vrがn3 に達すると、CPU56はステップS19
に進んで電磁クラッチ21の励磁信号を出力する。そし
て、電磁クラッチ21が接続されてフィードローラ17
が回転され、スライバの再供給が開始される。次にCP
U56はステップS20でロータ回転速度Vrを演算
し、ステップS21でロータ回転速度Vrがn4に達し
たか否かを判断する。ロータ回転速度Vrがn4 に達す
ると、CPU56はステップS22に進んでモータ38
の正転駆動指令信号を出力する。そして、モータ38が
正転駆動され、駆動ローラ36及びデリベリローラ44
が同期して糸Yを糸引出し管6から引き出す方向、即ち
パッケージPの糸巻取り方向に回転(正転)される。そ
して、糸端に繊維集束部5aに堆積した繊維束が接合さ
れた糸Yが糸引出し管6から引き出されてパッケージP
に巻き取られる。以上により一連の始紡作業が完了す
る。
【0055】この状態では糸Yは糸ガイド8によりトラ
バースガイド9aと係合不能な位置に配置されているた
め、糸Yは綾振りされずにパッケージPに巻き取られ
る。デリベリローラ44の回転速度が糸引出しローラ7
aの回転速度と一致した時点で、クランプローラ7bが
作用位置に配置されるとともに、クランプローラ47が
待機位置に配置される。そして、図10(a)に示すよ
うに、糸引出しローラ7aの回転により糸Yが引き出さ
れる状態となる。次に支持アーム11が下方に移動され
てボビンが巻取りローラ10と接触する位置に配置され
るとともに、駆動ローラ36が待機位置へ移動される。
さらに、ガイドバー54が作用位置に配置された後、糸
ガイド8が紡出位置に配置されて糸Yがトラバースガイ
ド9aと係合可能な位置に配置される。そして、トラバ
ースガイド9aが1往復する間に糸Yがトラバースガイ
ド9aに捕捉され、その後は綾振りされながら糸Yの巻
取りが行われる。デリベリローラ44と係合状態にあっ
た糸Yは、トラバースガイド9aがデリベリローラ44
の先端から離れる方向に移動する際にその係合が解除さ
れ、図10(b)に示すようにガイドバー54と係合す
る状態となる。
【0056】この状態からガイドバー54は、トラバー
スガイド9aから紡績ユニット4までの糸経路が短くな
るように、前方(図10(b)の右側)へ移動された
後、糸Yとの係合が解除されるように図10(b)の紙
面と垂直方向に移動される。そして、糸Yとの係合が解
除された後、ガイドバー54は下方へ移動されて鎖線で
示す待機位置に配置され、糸Yは定常紡出状態となって
糸継ぎ作業が完了する。
【0057】ブレーキBKが解除されてロータ5の回転
が開始された後、定常紡出時の回転速度ns に達するま
での加速状態は紡績ユニット4によって異なり、図11
(a)に示すように鎖線で示す基準状態より大きな場合
と、図11(b)に示すように鎖線で示す基準状態より
小さな場合とがある。ロータ5の加速状態が大きな場合
にはロータ回転速度Vrがn2 からn3 に達するまでの
時間T3 は基準状態より短くなり、加速状態が小さな場
合には時間T3 は基準状態より長くなる。従って、加速
状態が大きな場合にデリベリローラ44を基準速度と同
じ速度で回転すると、デリベリローラ44が停止してか
らフィードローラ17の駆動が開始されるまでの余裕時
間T2 が短くなり、糸端が繊維集束部5aに達する前に
スライバの供給が再開される虞がある。しかし、この実
施の形態ではデリベリローラ44の回転速度が加速状態
に対応して、回転速度×時間T3 の値が一定となるよう
に変更されるため、余裕時間T2 を基準状態と同じ長さ
に確保できる。そして、時間T3 を直接時間で計測する
代わりに、デリベリローラ44の回転量で計測するた
め、デリベリローラ44の回転に変動があっても所定長
さの糸Yがロータ5内に確実に送り込まれる。
【0058】加速状態が小さな場合にデリベリローラ4
4を基準速度と同じ速度で回転すると、デリベリローラ
44が停止してからフィードローラ17の駆動が開始さ
れるまでの余裕時間T2 が長くなる。従って、糸端が繊
維集束部5aに達する前にスライバの供給が再開される
虞はない。しかし、糸端が繊維集束部5aに到達した
後、糸引出し開始(巻取り開始)までの時間が長いと、
糸に加わる撚数が多くなる。しかし、この実施の形態で
は加速状態が小さな場合にはデリベリローラ44の回転
速度が遅くなるため、糸端が繊維集束部5aに到達して
から糸引出し開始までの時間が短くなり、そのような不
都合はない。
【0059】この実施の形態では以下の効果を有する。 (イ) 糸継ぎ作業時における始紡作業の際、スライバ
供給開始時、糸逆送開始時、スライバ供給再開時及び糸
巻取り開始時のロータ回転速度がそれぞれ予め所定の値
1 ,n2 ,n3 ,n4 に設定されている。従って、ロ
ータ5の加速状況が紡績ユニット4毎にばらついても、
各工程が常に適正なロータ回転速度でばらつきなしに実
行されるとともに、糸Yの引出し時におけるロータ回転
速度が一定となって継ぎ部の品質が均一となる。
【0060】(ロ)また、n2 の値が、最初のスライバ
供給時に供給された開繊繊維が繊維集束部5aに到達す
る余裕時間T1 を見込んで設定されているため、ロータ
5内に供給される繊維が逆送中の糸Yに絡み付くことが
ない。また、スライバ供給再開時の回転速度n3 は、デ
リベリローラ44による糸逆送完了後、糸端が繊維集束
部5aに到達するのに必要な余裕時間T2 を確保できる
値に設定されている。従って、デリベリローラ44の回
転時間が変動しても糸端が繊維集束部5aに到達した
後、スライバの供給が再開され、繊維が逆送中の糸Yに
絡み付くことがない。
【0061】(ハ) ロータ4の加速状況を把握し、ロ
ータ5が基準より大きな加速状態であれば糸逆送速度を
基準速度より速くなるように制御するため、スライバ供
給再開時までの時間が短くても、必要な余裕時間T2
確保できる。
【0062】(ニ) ロータ4の加速状況を把握し、ロ
ータ5が基準より小さな加速状態であれば糸逆送速度を
基準速度より遅くなるように制御するため、糸端が繊維
集束部5aに到達した後、スライバ供給再開時までの余
裕時間T2 があまり長くならず、紡出糸の品質に悪影響
(撚数の増加)を及ぼし難い。
【0063】(ホ) スライバ供給量をフィードローラ
17の回転量、即ちスライバの長さに相当する量に基づ
いて制御するため、フィードローラ17の回転時間で制
御する場合に比較して、スライバ供給量を所定量に制御
し易い。
【0064】(ヘ) 糸Yの逆送量をデリベリローラ4
4の回転量に基づいて制御するため、デリベリローラ4
4の回転時間で制御する場合に比較して、逆送量を正確
に制御できる。
【0065】(ト) 入力装置62により紡出番手、ス
ライバ重量等の紡出条件を入力すると、その紡出条件に
対応した、スライバ供給開始時、糸逆送開始時、スライ
バ供給再開時及び糸巻取り開始時のロータ回転速度がデ
ータベースから選択されて自動的に設定される。従っ
て、作業者は紡出条件を入力するだけで、始紡時の条件
設定をする手間が不要となる。
【0066】(チ) CPU56は機台2を制御する制
御装置59と通信手段60を介して信号の授受が可能に
構成されている。従って、機台2側に設けられた第1セ
ンサRS1及び第2センサRS2の出力信号に基づいて
ロータ回転速度及びフィードローラ17の回転量を検出
でき、検出手段及び該検出手段を検出位置と待機位置と
に配置する移動手段を設ける必要がないため糸継ぎ機1
を小型化できる。
【0067】(リ) 1個のモータ38で駆動ローラ3
6及びデリベリローラ44を駆動する構成としたため、
両ローラ36,44を正確に同期した状態で駆動でき
る。 (ヌ) 始紡作業完了後、デリベリローラ44と係合状
態にある糸Yがデリベリローラ44と係合しない定常紡
出位置に配置される際、ガイドバー54を介して定常紡
出位置に配置される。従って、デリベリローラ44との
係合状態から直接定常紡出位置に配置される場合に比較
して、糸Yの大きな弛みが発生し難く安定した状態で紡
出が継続される。
【0068】(第2の実施の形態)次に第2の実施の形
態を図12及び図13に従って説明する。この実施の形
態ではフィードローラ17を糸継ぎ機1側からも駆動可
能に構成し、スライバ供給時にフィードローラ17の回
転速度をロータ5の加速状況に対応して変速する点が第
1の実施の形態と異なっている。なお、第1の実施の形
態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略す
る。
【0069】図12に示すように、フィードローラ17
の回転軸22には係合部66が突設されている。糸継ぎ
機1の下部にはエアシリンダ等のアクチュエータ(図示
せず)により回転軸22の軸方向に往復移動される支持
部材67が設けられ、支持部材67にフィード用モータ
68が固定されている。フィード用モータ68には可変
速モータが使用され、CPU56からの指令信号に基づ
いて変速制御されるようになっている。フィード用モー
タ68の駆動軸には係合部66と嵌合可能な嵌合凹部6
9aを備えた連結部材69が固定されている。係合部6
6と嵌合凹部69aとはテーパスプラインにより結合可
能に構成されている。フィード用モータ68及び連結部
材69によりフィードローラ駆動手段が構成されてい
る。連結部材69はアクチュエータの作動により、係合
部66と結合する図12に鎖線で示す連結位置と、係合
部66と係合不能な実線で示す待機位置とに配置され
る。
【0070】また、各紡績ユニット4には第3センサR
S3が装備されず、糸継ぎ機1にフィード用モータ68
の駆動軸の回転量を検出するロータリエンコーダ70が
第3の検出手段として設けられている。CPU56は入
力インタフェース61を介してロータリエンコーダ70
と接続されている。
【0071】プログラムメモリ57にはロータ5の回転
開始からロータ5の回転速度Vrがn1 に達するまでの
所要時間tと、基準時間ts との差に対応したフィード
ローラ17の駆動速度との関係を示すデータベースも記
憶されている。フィードローラ17の駆動速度は、ロー
タ5が基準より大きな加速状態であればフィードローラ
17の基準の回転速度より速くなるように、基準より小
さな加速状態であればフィードローラ17の基準の回転
速度より遅くなるように設定されている。
【0072】次に前記のように構成された装置の作用を
説明する。糸継ぎ機1は糸継ぎ作業を必要とする紡績ユ
ニット4と対応する位置で停止すると、第1の実施の形
態と同様にしてパッケージPの糸端を紡績ユニット4の
糸引出管6内に所定量送り込む。また、アクチュエータ
が作動されて連結部材69が連結位置に配置され、フィ
ードローラ17がフィード用モータ68により変速駆動
可能な状態にセットされる。その状態から始紡作業が開
始される。
【0073】この実施の形態においても基本的には第1
の実施の形態のフローチャートに従って始紡作業が行わ
れる。ただし、ロータ回転速度Vrがn1 に達した場
合、ステップS4におけるスライバ供給開始作業とし
て、電磁クラッチ21への励磁信号の出力に代えて、C
PU56はロータ5の加速状態に対応した回転速度でフ
ィードローラ17を回転させるようにフィード用モータ
68へ駆動指令信号を出力する。即ち、CPU56はロ
ータ5の加速状況を判断し、ロータ5の加速状態に対応
したフィードローラ17の回転速度をデータベースから
選択する、そして、その回転速度でフィードローラ17
を回転させ駆動指令信号をフィード用モータ68へ出力
する。ステップS9ではフィード用モータ68に停止指
令信号を出力してフィードローラ17を停止させる。ま
た、ステップS19ではフィード用モータ68の駆動が
ロータ5の加速状態に対応した回転速度で再開される。
【0074】スライバの再供給開始から糸Yの引出し開
始までに供給されるスライバSの量はフィードローラ1
7の回転速度×時間に対応し、図13にハッチングを施
した部分の面積Asに対応する。図13はロータ5の加
速状態が鎖線で示す基準状態より小さな場合を示してお
り、ロータ回転速度Vrがn3 からn4 に達するまでの
時間はT4 は、鎖線で示す基準の加速状態の場合より長
くなる。従って、フィードローラ17が一定の速度で回
転される場合は、スライバ供給量が基準より多くなる。
また、ロータ5の加速状態が基準より大きな場合、前記
時間T4 が短くなるため、フィードローラ17が一定の
速度で回転される場合は、スライバ供給量が基準より少
なくなる。
【0075】しかし、この実施の形態ではフィードロー
ラ17の回転速度が加速状態に対応して、面積Asの値
が一定となるように変更されるため、スライバの再供給
開始から糸Yの引出し開始までに供給されるスライバの
量は一定となる。従って、ロータ5の加速状態に拘らず
継ぎ部の太斑がより少ない糸が紡出される。
【0076】従って、この実施の形態では第1の実施の
形態における効果の他に以下の効果を有する。 (i) フィードローラ17が糸継ぎ機1から変速制御
可能に構成され、スライバ供給速度がロータ5の加速状
態に対応して変速されるため、ロータ5の加速状態が大
きな場合でも余裕時間T1 を確保するのが容易となる。
【0077】(ii) フィードローラ17が糸継ぎ機1
から変速制御可能に構成され、スライバ供給速度がロー
タ5の加速状態に対応して変速されるため、スライバ供
給再開時から糸引出し開始時までに供給されるスライバ
の量がほぼ一定になり、継ぎ部の太斑がより少ない糸が
紡出される。
【0078】(iii) 糸継ぎ機1に配設されたフィード
用モータ68により回転される連結部材69をフィード
ローラ17に形成された係合部66と嵌合して、フィー
ドローラ17を駆動するため、各紡績ユニット4毎に変
速手段を設ける必要がなく、フィードローラ17を変速
駆動する構成が簡単となる。
【0079】(iv) フィードローラ17の回転量を検
出する第3の検出手段として、糸継ぎ機1に設けられた
フィード用モータ68の駆動軸の回転量を検出するロー
タリエンコーダ70が設けられている。従って、各紡績
ユニット4毎に第3の検出手段を設ける必要がない。
【0080】なお、本発明は前記実施の形態に限定され
るものではなく、例えば、次のように具体化してもよ
い。 (1) 紡出条件の入力によりその紡出条件に対応した
スライバ供給開始時、糸逆送開始時、スライバ供給再開
時及び糸巻取り開始時のロータ回転速度n1 ,n2 ,n
3 ,n4 が自動設定される構成に代えて、各ロータ回転
速度n1 ,n2,n3 ,n4 を入力装置62により設定
可能な構成としてもよい。この場合、制御装置31に、
入力装置62により入力された各ロータ回転速度n1
4 が始紡作業を円滑に行うのに適した範囲内にあるか
否かのチェック機能を持たせることが好ましい。また、
入力装置62で各ロータ回転速度n1 〜n4 を全部入力
する代わりに、スライバ供給開始時のロータ回転速度n
1 のみを入力すると、他の回転速度n2 ,n3 ,n4
自動的に設定される構成としてもよい。
【0081】(2) 入力装置62により紡出番手、ス
ライバ重量、定常運転時のロータ回転数等を一々入力す
る構成に代えて、機台2側に入力された紡出条件から必
要な紡出条件を通信手段を介して入力する構成とする。
この場合、紡出条件の入力の手間が簡単になるととも
に、糸継ぎ機1側に機台2の紡出条件と異なる紡出条件
を誤って入力することを防止できる。
【0082】(3) デリベリローラ44の回転速度を
ロータ5の加速状態に対応して変速制御する場合、ロー
タ5の加速状態が基準より大きな場合に、デリベリロー
ラ44を基準速度より速く駆動し、加速状態が基準より
小さな場合には基準速度で駆動してもよい。
【0083】(4) フィードローラ17の回転速度を
ロータ5の加速状態に対応して変速制御する場合、ロー
タ5の加速状態が基準より大きな場合に、フィードロー
ラ17を基準速度より速く駆動し、加速状態が基準より
小さな場合には基準速度で駆動してもよい。
【0084】(5) ロータ5の加速状態とフィードロ
ーラ17あるいはデリベリローラ44の駆動速度とを関
係式としてプログラムメモリ57に記憶させる。 (6) 駆動ローラ36とデリベリローラ44とをそれ
ぞれ別のモータで駆動する構成としてもよい。
【0085】(7) デリベリローラ44を定速駆動と
し、ロータの加速状態に対応してスライバ供給時のフィ
ードローラの回転速度を変速して余裕時間T2 を確保す
るようにしてもよい。
【0086】(8) 第1吸引ノズル27で口出しされ
た糸端を糸引出し管6と対応する位置に配置する糸受渡
し手段として、第2吸引ノズル49に代えて糸Yを把持
解放可能な把持手段を使用してもよい。
【0087】(9) 負圧源を糸継ぎ機1側に設けずに
機台2側に設け、両吸引ノズル27,49を機台2側の
負圧源(サクションダクト)に接続可能な管路を介して
連結してもよい。
【0088】(10) 綾振り手段としてトラバースガ
イド9aを使用する代わりに、トラバース溝を備えた巻
取りローラ10を使用する。 (11) ボビンBとしてストレートボビンに限らず、
コーンボビンを使用してもよい。
【0089】前記実施の形態及び変更例から把握できる
請求項記載以外の発明について、以下にその効果ととも
に記載する。 (1) 請求項1〜請求項3に記載の発明において、ロ
ータの加速状態が基準より小さな加速状態であれば糸逆
送速度を基準値より遅くなるように制御する。この場
合、糸端が繊維集束部に到達した後、スライバ供給再開
までの時間が短くなり、紡出糸の品質に悪影響(撚数の
増加)を及ぼし難くなる。
【0090】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜請求項
4に記載の発明によれば、糸継ぎ時における紡績ユニッ
ト毎のロータの加速状態及びパッケージの大きさに差異
があっても、継ぎ部の品質変化(太斑)を抑制すること
ができる。
【0091】請求項3に記載の発明では、さらに、スラ
イバ供給再開時から糸引出し開始時までに供給されるス
ライバの量がほぼ一定になり、継ぎ部の太斑がより少な
い糸を紡出できる。
【0092】請求項4に記載の発明では、紡出条件を入
力すると自動的に、紡出条件に対応したスライバ供給開
始時、糸逆送開始時、スライバ供給再開時及び糸巻取り
開始時のロータ回転速度がそれぞれ設定されるため、前
記ロータ回転速度を入力する手間が省けて糸継ぎ機1の
運転条件の設定が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の始紡作業の手順を示すフ
ローチャート。
【図2】 同じくフローチャート。
【図3】 糸継ぎ機と機台の関係を示す概略側面図。
【図4】 紡績ユニットの部分断面図。
【図5】 駆動手段を図3における紙面の裏側から見た
概略側面図。
【図6】 駆動手段の概略正面図。
【図7】 始紡作業時のロータ等の回転速度変化を示す
線図。
【図8】 制御装置のブロック図。
【図9】 作用を説明する概略側面図。
【図10】 作用を説明する概略側面図。
【図11】 作用を説明する線図。
【図12】 第2の実施の形態の部分概略側面図。
【図13】 作用を説明する線図。
【図14】 従来技術のロータ回転速度等の時間変化を
示す線図。
【符号の説明】
1…糸継ぎ機、2…機台、4…紡績ユニット、5…ロー
タ、5a…繊維集束部、6…糸引出し管、11…支持ア
ーム、17…フィードローラ、27…吸引ノズルとして
の第1吸引ノズル、31…制御手段としての制御装置、
32…パッケージ駆動手段、36…駆動ローラ、37…
デリベリローラ駆動手段を構成する駆動プーリ、38…
同じくモータ、43…同じく回転軸、45…同じくプー
リ、46…同じくベルト、44…デリベリローラ、56
…制御手段、演算手段及び判断手段としてのCPU、5
7…記憶手段としてのプログラムメモリ、58…記憶手
段としての作業用メモリ、62…入力手段としての入力
装置、65…測定手段としてのタイマ、66…係合部、
68…フィードローラ駆動手段を構成するフィード用モ
ータ、69…同じく連結部材、70…第3の検出手段と
してのロータリエンコーダ、RS1…第1の検出手段と
しての第1センサ、RS2…第2の検出手段としての第
2センサ、RS3…第3の検出手段としての第3セン
サ、P…パッケージ、S…スライバ、Y…糸。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機台に沿って移動する糸継ぎ機を備え、
    糸継ぎ時にロータの定常運転速度までの加速途中でボビ
    ンに巻かれた糸の糸端をロータ内に逆送してロータの繊
    維集束部に集束した繊維束と接合した後、ボビンを糸巻
    取り方向に回転してロータ内から糸を引き出すオープン
    エンド精紡機の糸継ぎ時の始紡方法において、 スライバ供給開始時、糸逆送開始時、スライバ供給再開
    時及び糸巻取り開始時のロータ回転速度をそれぞれ予め
    所定の値に設定し、ロータの回転速度が零からスライバ
    供給開始時の前記所定の値に達するまでの所要時間を測
    定してロータの加速状況を把握し、ロータが基準より大
    きな加速状態であれば糸逆送速度を基準値より速くなる
    ようにするか、あるいは単位時間当たりのスライバ供給
    量を多くするように制御し、かつスライバ供給の停止を
    スライバ供給用のフィードローラの回転量が所定の値と
    なった時に行い、糸逆送の停止をデリベリローラの回転
    量が所定の値となった時に行うようにしたオープンエン
    ド精紡機の糸継ぎ時の始紡制御方法。
  2. 【請求項2】 オープンエンド精紡機の機台に沿って移
    動するとともに糸継ぎを必要とする紡績ユニットと対応
    する位置で停止して糸継ぎ作業を行う糸継ぎ機による糸
    継ぎ時に、ロータの定常運転速度までの加速途中でパッ
    ケージに巻かれた糸の糸端をロータ内に逆送してロータ
    内の繊維集束部に集束した繊維束と接合した後、当該糸
    を引き出す糸継ぎ装置であって、 紡績ユニットの支持アームに支持されたパッケージを駆
    動するパッケージ駆動手段と、 前記パッケージに巻かれた糸の糸端を吸引する吸引ノズ
    ルと、 パッケージに繋がる糸のロータ内への送込み及びロータ
    内からの引出しを行うデリベリローラと、 スライバ供給用のフィードローラと、 前記デリベリローラを駆動するデリベリローラ駆動手段
    と、 前記フィードローラを駆動するフィードローラ駆動手段
    と、 前記ロータの回転速度を検出する第1の検出手段と、 フィードローラの回転量を検出する第2の検出手段と、 前記デリベリローラの回転量を検出する第3の検出手段
    と、 スライバ供給開始時、糸逆送開始時、スライバ供給再開
    時及び糸巻取り開始時のロータ回転速度をそれぞれ所定
    の設定値として記憶する記憶手段と、 糸継ぎ時にロータの回転速度が零からスライバ供給開始
    時の前記所定の設定値に達するまでの所要時間を測定す
    る測定手段と、 前記測定手段の測定値に基づいてロータの加速状態が基
    準状態より大きいか否かを判断する判断手段と、 前記記憶手段に記憶された所定の設定値に基づいてフィ
    ードローラ及びデリベリローラを駆動制御するととも
    に、前記判断手段の判断結果に基づいて、ロータが基準
    より大きな加速状態であれば糸逆送速度を基準の逆送速
    度より速くなるように前記デリベリローラ駆動手段を制
    御するか、あるいは単位時間当たりのスライバ供給量を
    多くするように前記フィードローラ駆動手段を制御し、
    かつスライバ供給の停止をフィードローラの回転量が所
    定の値となった時に行い、糸逆送の停止をデリベリロー
    ラの回転量が所定の値となった時に行うようにデリベリ
    ローラ駆動手段及びフィードローラの駆動を制御する制
    御手段とを備えたオープンエンド精紡機の糸継ぎ装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は前記ロータが基準より大
    きな加速状態であれば前記スライバ供給時のフィードロ
    ーラの回転速度を基準速度より速くなるように、基準よ
    り小さな加速状態であればフィードローラの回転速度を
    基準速度より遅くなるようにフィードローラ駆動手段を
    制御する請求項2に記載のオープンエンド精紡機の糸継
    ぎ装置。
  4. 【請求項4】 紡出番手、スライバ重量等の紡出条件に
    対応した、スライバ供給開始時、糸逆送開始時、スライ
    バ供給再開時及び糸巻取り開始時のロータ回転速度がそ
    れぞれデータベースとして記憶された記憶手段を備え、
    前記制御手段は入力手段により設定された紡出条件に対
    応した所定の設定値を前記データベースから選択して使
    用する請求項2又は請求項3に記載のオープンエンド精
    紡機の糸継ぎ装置。
JP427396A 1996-01-12 1996-01-12 オープンエンド精紡機の糸継ぎ時の始紡制御方法及び糸継ぎ装置 Pending JPH09195131A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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